内閣総理大臣演説等

小渕内閣総理大臣

堺屋経済企画庁長官

大阪大学における公開討論会録

「21世紀の日本」

平成10年11月2日


公開討論会の概要

(1)議事次第等
日 時平成10年11月2日
14:30〜15:30
会 場大阪大学基礎工学部シグマホール 2階
ディスプレー室
次 第1.開会  大阪大学副学長 本間 正明
2.歓迎挨拶  大阪大学総長  岸本 忠三
3.総理基調講演 総理大臣  小渕 恵三
4.大臣発言  経済企画庁長官 堺屋 太一
5.質疑応答
6.閉会  大阪大学副学長 本間 正明
(2)出席者名簿
小渕 恵三(おぶち けいぞう) 内閣総理大臣
堺屋 太一(さかいや たいち) 経済企画庁長官
学生と一般市民の皆さん
<司会>
本間 正明(ほんま まさあき) 大阪大学副学長

【司会(本間大阪大学副学長)】それでは、ただいまから小渕恵三総理大臣、堺屋太一経済企画庁長官、公開討論会「21世紀の日本」を開催いたします。

 私は司会の大阪大学副学長の本間でございます。御協力の方、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 まず初めに本学を代表いたしまして、歓迎のあいさつを大阪大学総長岸本忠三から申し上げます。よろしくお願いいたします。

【岸本大阪大学総長】本日、小渕総理大臣、堺屋経済企画庁長官を本学にお迎えいたしまして、本学学生及び市民の皆様方と「21世紀の日本を考える」という対話集会を開催させていただきますことは、本学にとりましても大変光栄なことであります。

 大阪大学は“地域に生き、世界に伸びる”をモットーに21世紀の日本において、世界50億人に通じる人材を育成すること、50億人に通ずる科学と文化をつくり出すことを目標に頑張っております。この対話集会が21世紀に活力ある日本をつくるための1つの指針を与えてくれるものと期待しております。

 簡単ですが、あいさつに代えさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)

【司会】それでは、小渕恵三総理大臣より基調講演をお願いをいたしたいと思います。

基調講演

【小渕総理大臣】御紹介をいただきました小渕恵三です。名にし負う阪大をお訪ねできまして、大変うれしく思っております。

 また今日は、大阪の御出身でもあります堺屋経企庁長官と御一緒にお邪魔をさせていただきました。学生の皆さんの率直なお尋ねに答えをしつつ、現下の状況につきましてお話しをする機会をいただいて、大変に光栄に思っております。

 余り難しい話は抜きにしたいと思いますが、私は、この間母校の早稲田大学を久し振りに訪ねまして、創始者の大隈重信公が内閣総理大臣になりましたのが1898年でございます。私は100 年経って、またその学校の出身者で総理になったわけでございますけれども、久し振りに学生の皆さんとお話しをして大変懐しく学生時代を思い出しました。今日は大阪大学ということで、初めてお邪魔をさせていただきました。今、岸本総長さんからもお話を承り、また、副学長の本間先生にはいろいろ政府関係の審議会等でもお世話になっておりますし、また最近はわかりやすくテレビに出ていろいろとお話をしていただいております。最近、堺屋先生に大臣になってもらったものですから、余りテレビに出る機会がない代わりに本間先生にお願いしようということかもしれません。

 私は早稲田へ行きましたときに、今度内閣総理大臣になったけれども、実は内閣掃除大臣だと言ったらまたマスコミに批判されました。何故かというと、やはり戦後50年いろいろとやってまいりました。ところが実際この50年間の間にいろんな問題がこの日本の中にも出てきて、それがあかやさびみたいな形で船体にへばりついて、ちょっと大型船もなかなか運航困難な状況になってきた。したがって、時あたかも21世紀を前にしているわけですが、ここ数年、やはり戦後の大きな問題を解決をして、新しい気持ちを持って次の世紀に臨む、そのためには問題をできる限り処理していく、そういう意味で、ある意味では内閣掃除大臣ではないかという気がいたしております。

 近々のことを申せば、御案内のように金融関係で2つの法律案を過ぐる国会で通過をさせました。これも御案内のとおり長い、長いというよりむしろここ十数年の日本の金融を巡っての大きな問題が山積してまいりまして、日本の金融機関がともかく不良債権を抱えてにっちもさっちもいかなくなった。これをどうするかということになってきて、その処理について対応してきているわけであります。

 御案内のとおりに日本の最近のバブル、この問題が結局あれほどの不良債権が金融機関の健全性を壊してきているという形になってきておるわけでございまして、私はここ十数年の日本のバブルないしその崩壊の状況というのは世界史的に見ても大変大きな事件ではないかと、翻って恐らく後世そう言うのではないかなと。

 御案内のようにバブルについては、これは勉強されたと思うけれども、一番有名な事件は世界史的には1636年か37年のオランダでのチューリップ、これで球根が先物取引で大変急騰して球根1個で馬車1台と交換される。むしろ家1軒、2軒という、そういうことだった。それが急になくなってオランダは長期不況になった。

 2番目は南海泡末事件というので1720年にイギリスで、これが株価が、南海会社が急騰して、そしてその分をもって泡末会社が設立されて、結局その南海会社の株も暴落してバブルが発生し、かつ泡と消えたということです。

 3番目は有名なのは1920年代の米国でバブルが生じて株価が暴騰して、そして御承知のような暗黒の木曜日を迎えて株価が大暴落した。

 1929年にこうなったんですが、そのときには恐らく小学生までが株に手を出して株を買ったというような事件に匹敵するのが、私はこのここ十年内外の日本のバブルではないかと。そのために大量の不良債権を抱えて日本の金融機関も大変おかしな状況になってきたんだと思っておりまして、その処理のためになかなか実は手がつけられずして今日いよいよ日本の金融機関もこのままでいってしまうと、日本発の金融恐慌を起こすのではないかという形の中で過ぐる国会で法律を通させていただきました。実はその処理についてはこれからだと思っておりまして、そういった意味で、諸懸案について是非対応しなければならない問題が今の内閣の課題でありまして、前の国会で実は旧国鉄・林野と大変多くの借金を抱えてきたものの処理もいたしました。ですから、私の内閣としては是非そういった問題を全部解決をして、そして、できれば次の世代に渡していかなければならないと実は思っております。

 そこで、21世紀を考えた場合に私は幾つかキーワードがあるかと思うんですが、1つは言うまでもありませんが、少子高齢化社会ということだろうと思っておりまして、この問題は話せば長くなりますからやめますが、いずれにしても、この問題がキーワードの1つ。それから、もう一つは情報化の問題でございまして、これもこれから大きな新時代を迎えてどう対応するかということであります。

 実は私は議員になりまして、かなり早い前から情報産業ということに関心を寄せまして、情報産業振興議員連盟というのをつくりまして、実は今もその会長をしておるわけですが、そもそも昭和46〜47年ですけれども、それをやりましたときに、ほかの議員を集めてきて情報産業議員連盟というのをつくる。日本は将来は情報関係が日本の知的産業として伸びていかなければならないからということで集めましたところ、かなり参加していただいたんですが、参加していただいた議員が随分間違えておりまして、情報産業というのがよくわからない。多分これはスパイ防止法をやるのではないかというぐらいの発想でしたが、爾来、今日の日本がこれだけ大きくなって、これから情報通信の分野で更に21世紀の1つのキーワードとして進めていかなければならないのではないかと思っております。役所も実はこの問題では通産省と郵政省が縄張り争いみたいなことをやらないではなかったのでありますが、今は内閣総理大臣を中心にいたしまして、2人の大臣を副本部長にいたしまして、私が今中心でやらしていただいております。

 第3の問題は、グローバライゼーションといいますか、これが必要なことではないかと思っております。そこで何でもかんでもグローバル化ということで今の金融システムなどもそういった点で右往左往しておりますけれども、この点についても真のグローバリズムを日本としてどう受け止めていくかということについて、一種の反省の時期にも来ているという感じがいたしておりますので、この点も世界のよきシステムは受け入れなければならない。かと言って、日本として長い間培ってきたよい面をどう残していくかという問題の整理が必要になってくるのではないかなという気がいたしております。

 そこで、私は本日の時点が極めて重要だという認識をいたしておりますのは、歴史的に見ると近世で考えれば第3の、ある意味の開国の時期を迎えているのではないかという気が非常にしてならないのであります。言うまでもなく第1は、明治維新のときに黒船が来て、そして明治維新が達成されたという時期だろうと思いますし、第2には結局日本が戦争に敗れて、1945年8月15日以降の時代、これが第2の開国の時期。

 実は第3が今ではないかなという認識がちょっとしておりますのは、いろんな面で考えられまして、例えば明治のときというのは当時の幕府が倒れて、幕府の持つ有能な官僚がみんな引いてしまったということだろうと思うんです。そこで、その当時の薩長土肥かもしれませんけれども、本当に20代の人たちが出てきて、そして、新しい改革をかなり強力に推し進めてきた。

 それから、2回目のときが若干日本人のエネルギーであったかどうわかりませんが、やはり戦争に敗れたということで、マッカーサーという最高司令官が来て、そしてやられた。農地開放も何もみんなやられた。

 実は今第3の開国の時代だという気がするのは、第1のときも黒船が来て、一種の外圧があった。もちろん、内部的にはもうそういう時代を迎えていたんだろうとは思いますけれども、そういうことがあった。2回目は戦争に破れてまさにアメリカのGHQが来て改革をやった。さて今はということになりますと、今はある意味でグローバリズムといいますか、そういうものの中で改革が行われつつあるという感じがいたしておりますが、ちょっと感じますのは、やはりそれがよくも悪くもできたゆえんのものが明治のときには幕府の官僚が全部引いて、そして結局若手の人たちが出てきてやった。

 そして、戦後もやはり当時の旧来の政治家あるいは軍官僚、みんなこれはパージにかかってしまって、そして、その後戦後の政治を担当していたのはかなり若手の人たちが中心でやってきたということで、そういう例を並べますと、今回もそのパージがなければ日本の国はよくならないかというと、小渕恵三を含めて旧来の政治家みんな辞めろという話になるので、そこまでは行かないで、今、金融機関は大変大きな変革の時期を迎えてきておりまして、ですから旧来のような経営感覚でやりますと乗り越えられない。むしろ30代、40代とは言いませんが、若手の人たちが今の金融機関の中心でやっていくという形の中で是非改革が行われれば、必ず日本のそういったこともできるのではないかというふうに実は考えております。

 いろいろと話したいことはございますが、お尋ねにもお答えしたいと思いますから、私はそういうもろもろの20世紀で問題が起きたこと、あるいは我が国の戦後の問題を整理整頓して、新しいミレニアムに入るべき、ちょうどここ数年間が極めて重要な時期ではないかなという気が非常にいたしております。どこまで可能かわかりませんが、問題を一つ一つ整理すると同時に、21世紀がそうしたものの整理整頓された上に新しい時代を迎えられるように、この内閣としてもその準備をいたしていかなければならないというふうに考えております。

 そして、望むらくは新しい世紀におきましては、日本も世界も本当にすばらしい時代を迎えたいと思っておりますが、私は実は国内の政治もそうですし、国際的な関係におきましても、今世紀で起こったことは是非今世紀で解決をしたい、そういう考え方の元に対処しております。

 つい先般韓国との関係も一区切りをつけさせていただきました。年来、隣りの国でありながら、近くて遠い国ということで、なかなか複雑な、ある意味で、こういう言葉はどうかわかりませんが、屈折した両国の関係がなかったと言えばうそになることでありまして、そういった意味で、金大中大統領という方と私は個人的に会いましたのは今回で3度目であります。しかし、過去2回お話ししてみて、本当に気持ちとして是非今世紀で起こったことはいろいろあるけれども、しかし考えてみれば36年というものは長き1,500年にわたる日本と朝鮮の関係を考えれば、ある意味では時期は非常にわずかな時期ではなかったか、この際、今世紀で結論をつけたいということを非常に言われました。

 実は韓国の大統領が来るたびにいつも日本としては深い反省の意を込めてお話をし、そして、それに対してなかなか決着を見なかった。今回はあえて共同宣言をつくりまして、そして、将来もう21世紀にわたっては、改めて日本についての批判は行わない。そして同時に我々もこれを機に新しい世紀に移ろうではないかという気持ちでいたしました。

 残りは今ロシアとの関係が残っておりまして、これから今月の10日ないし11日に訪ロする予定にしておりますが、これも御案内のとおり今、日本が国連加盟しておる185 の中で、ただ一つ平和条約が結ばれていない国がロシアという国でございまして、是非この機会に決着をつけたいと念願いたしておりますが、これも報道その他でお聞き及びのように最高責任者が今療養中と聞いておりまして、療養中というより休暇を取って休んでおられるということでございますので、今モスクワを離れておられるんですが、今年の5月に日本に来られて平和条約を2000年までにやろうという強い意思を示されておりますし、2月にエリツィンさんに会いましたときにもその気持ちを強くいたしておりまして、何とか今回今世紀で起こったことは今世紀中に目途をつけたいということで、強い意思を示しておるわけでございます。

 長くなりましたが、私はそういう結論を何とかこの内閣で日本の国内の政治、それから国際的な問題でも決着をつけて、そして来世紀は日本としては新しい飛躍の年にしていかなければならぬというふうに思っております。

 私のキャッチフレーズというわけではありませんが、国徳国家というのでございまして、その言葉は実は大阪の御出身と言っては何ですが、今は亡き松下幸之助さんが言われた言葉から引用させていただいておるわけですが、人間には人徳というものがある。しかし、国にも国徳というものがあってしかるべきではないか。日本も戦後50年ひたすらに経済成長に明け暮れて頑張ってこられた。その成果によって今の日本があるわけでございますけれども、国としての存在は必ずしも世界各国からいわゆる尊敬の念をすべてに持たれているかどうかについての疑念がある。そこで、人間に人徳という言葉があるように国にも国徳という言葉があっていいのではないかと、かつてどこかでおっしゃられたことが記憶にありまして、是非日本としては来世紀、世界の模範たる国徳国家を目指していければと、こういう感じがいたしております。

 いろいろと話したいことはやまやまあるんですが、お尋ねもあろうかと思いますので、私の気持ちの一端をお話し申し上げて、責めを果たさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

【司会】どうも小渕総理大臣ありがとうございました。それでは、引き続きまして堺屋太一経済企画庁長官よりごあいさつをお願いいたします。

堺屋経済企画庁長官挨拶

【堺屋経済企画庁長官】私は18年半通産省に勤めておりました。その後19年10か月、巷の物書きをしておりました。この度、小渕総理大臣のお声掛かりで入閣をいたしました。私のようなものが閣僚に呼ばれるというのは、こういう国難の経済危機のときでなければないでしょうし、私もまた、そんな時期でなければこんな仕事はしなかったと思っております。今、日本の経済は誠に大変です。今、小渕総理大臣から第3の開国という話がありましたが、もっと大きく言えば、日本は近代に工業社会というものをつくり上げました。規格大量生産の国をつくり上げた。その点では大いに成功いたしました。恐らく1980年代の後半の日本は世界で最も優れた大量生産、近代工業国家であったろうと思います。それが今また新しい歴史の時代、多様な知恵の値打ちが尊ばれる時代になって、それに変わらなければならないという大きな転換期を迎えております。

 私たちは戦後新しい時代を切り開いてきました。そして、この近代工業国家をつくっている。ところが、今私たちが直面しているのは全く新しい、また違った時代であります。まず人口が増えない時代なんです。物価も上がらない時代なんです。これは日本の歴史の中で享保以来250 年ぶりの珍しい現象であります。皆様方、お若い方々はそういった新しい日本、新しい文化というものをつくり出していく地位にあります。

 そういう意味で今日関西では初めてだと思いますが、総理大臣をお迎えして学生の皆さん方、社会人の皆さん方と自由な討論ができる。この大変不況であり、かつまた新しい国家をつくらなければならないこの時代にこういう機会が持てたことを私としても大変うれしく思っております。できるだけ皆様方の活発な御質問、御意見をいただくために、私のあいさつはここでとめさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

質疑応答

【司会】どうも堺屋大臣ありがとうございました。それでは、いよいよ質疑応答の時間に入らせていただきます。開会前に皆様方からあらかじめちょうだいしております質問票の中から採用させていただきたいと思います。私がお名前と所属を紹介いたしますので、御起立の上、マイクで御質問をお願いいたします。

 初めに、本学経済学部3年生、**君にお願いをいたします。よろしくお願いします。

【**】ここ2、3年日本経済は回復の兆しが全く見えない不況のどん底にあると思いますが、そのような中、その場しのぎとしか思えないような減税や公共投資を続けるべきなのでしょうか。わざわざ財政赤字を増やしているとしか思えません。僕たち21世紀を担う世代にとってこのような政策によって将来の負担を大きくされることは大変気掛りです。そこで、小渕総理大臣にお伺いします。その場しのぎの政策ではなく、21世紀の健全で明るい社会を目指した政策をお持ちでしたらお聞かせください。

【司会】それでは総理お願いいたします。

【小渕総理大臣】ありがとうございました。橋本内閣のときに6大改革をやったんですね。その中で財政構造改革、行政改革、経済構造改革、社会保障改革、金融システム改革、そして教育改革、こういったものです。ですから、この6つの改革を21世紀までにやらなければならないのは私は1つの方向性だったと思うんです。

 ところが、その中で財政構造改革、すなわち財政の均衡を図っていかなければならない。すなわち現在でも国ベースで544 兆円の国債を抱えて非常に財政的には不均衡です。ですから、考え方としては私は正しかったと思うんだけれども、実際問題としてこれを実行する姿勢をということは、単年度でやろうとしたわけではないけれども、ここ数年間のうちにレベニュー・ニュートラルにしていこうということの考え方を強調し過ぎた余り、そのまま日本経済が素直に成長していればこれも達成できる方向だったんだけれども、実は世界経済というものは非常に不安定で、去年のことを言えばタイに起こった通貨の問題がアジア全体に及んで、韓国まで外貨がなくなるというようなそういう状況になってきたわけでしたので、そこで私としてはこの財政改革については、当面これを凍結をしていってでも今の経済を回復させていかなければならない。

 実は日本だけで言えば、みんなシビアに考えて、少しお金がなくても我慢して財政を立て直していくというのは日本だけでやれというなら、それは日本としてみんな我慢してくれと言い得るんですが、日本の経済そのものが非常に大きくなり過ぎてしまって、日本の動向そのものがアジアはもとよりですけれども、国際経済に大きな影響を与えてきているということでして、ここに経企庁長官がおられますが、もう2年続きのマイナス成長になってきて、ですからどの程度の経済成長が望ましいかということは一概に言えない。本間先生に聞いて帰りたいところだけれども、実はマイナスであっては日本経済は国際経済に対する責任を果たし得ないということなんで、今、予想ではマイナス1.8 と言っていますけれども、少なくとも私の内閣としてはそれを上向きに上げて、これはパーセンテージを言うのは難しいですけれども、少なくとも2%程度の経済成長が安定的にできるような日本経済でないと国際的な責任を果たし得ないということだろうと考えて、財政構造改革法を凍結をして、今、御指摘がありましたけれども、財政出動をさせることによって少なくともそういった経済成長を引き上げる努力をしていかなければならないわけです。

 これはなかなか難しいことですけれども、一番古典的に言えば、景気が悪くなったときには昔は金利の高いものを下げて設備投資をさせるとか、あるいは財政出動をさせるとか、減税をさせるとかいろいろですが、国ができる手法としては限られてきておるということなんですが、今、これから緊急経済対策をもう一回11月にやろうとしておりますが、できる限りの手法、できる限りの手段を講じてプラス成長に向かい得るようなことをやっていかなければならない。

 話は長くなりましたが、そのために今御指摘の、借金を国としていく、それは誰が責任を負うかということになると後世の人だということで、ここにいる皆さんがまたそれを背負うかいうことなんですが、これは必ずしも借金がすべて後世に残るかどうか、簡単に言えば経済成長が適正になってきて、国の経済が活性化して、そして企業が利益を生み、そしてタックスが納められるという形になってくれば、かなり急速にそうした財政状況というのは改善し得るということはあり得るのだろうと思います。

 かつてアメリカのレーガノミックス、これは正しかったか正しくなかったかということはいろいろ議論が学問的にあるんだと思います。しかし、結果的に見ると今クリントン大統領が、今の中間選挙をやっているけれども、争点はいかにこの黒字をどう使うかという、そういう話を各候補者がやっておる状況でありまして、わずかの間にそれこそアメリカ経済が双子の赤字から始まってにっちもさっちもいかなかったのが、税を引き下げ財政出動をし、そしてもう一つこれは大事なことですがね、それは企業家がそのマインドを非常に大きく成長させ、特に情報産業関係は今世界をリードしている。日本もこれから新しい産業を興して、そして同時に活性化すれば税収というものは必ず上がってくるという明るい期待と希望を持ってやっていけば、私が内閣を辞めた後の内閣総理大臣はいかに黒字を使うかという時代が来るというために、そうすれば、皆さんの負担にならないようにする。そのためには兵力をちびちび投入したのではだめだということで、是非理解をしてもらって、この際、あらゆる手法を講じていこうということで今、努力しておるということを御理解いただけたらありがたいと思います。

【司会】どうもありがとうございます。堺屋長官、何かただいまの件で。

【堺屋経済企画庁長官】今、小渕総理のおっしゃったことでほぼ尽きていると思うんですけれども、場当たり的に使っているんじゃないですね。やはり、6つの大改革のうち行政改革はちゃんとそのまま進んでいっております。財政改革だけがこの不況によって変わったわけですが、これも、場当たり的に使っているわけではありません。急ぐものもありますし構造的なものもある。そういうのをきちんと形づけながら使っておるのでありまして、やはり何年か後、日本の経済が立ち直って、日本経済の財政が黒字になるような事態をつくり出す、これが重要なことで、不退転の決意を持って日本の経済を立て直して、財政も10年の後には黒字になるような形に持っていきたいと考えております。

【司会】どうもありがとうございます。それでは、2番目の質問に移らせていただきます。本学大学院国際公共政策研究科博士課程の学生の**君お願いいたします。

【**】私も学部は早稲田で勉強しておりまして、総理の後輩でございます。

 今回、総理にお聞きしたいのは、軍縮問題に関してであります。総理はこれまで対人地雷の禁止条約について、批准、署名などに非常にイニシアチブを持って望んでおられまして、それから、例のインド、パキスタンの核実験の後に、核不拡散、核軍縮に関する東京フォーラム、といったものを即座につくられて非常に軍縮問題に関しては積極的な姿勢を示されておられます。

 今後を考えてみた場合に、核の軍縮というテーマに関して、これから日本としてはどういう役割を果たしていこうというふうにお考えか。

 特にお聞きしたいのは、日本の特殊な状況としまして、広島、長崎がありますけれども、一方で、アメリカの核の傘の下にあるという状況の下で、実際にどういうふうに核軍縮を進めていくのか、その辺をお聞きしたいと思います。

【司会】総理お願いいたします。

【小渕総理大臣】これは、現実と理想ということになるんだろうと思います。しかし、理想といえども、手の届かないとか何かではなくて、やはり究極的には核廃絶を目指して努力を不断に続けていくということに尽きるんだろうと思います。そういうことから言えば、日本は広島、長崎もこれあり、世界の人たちも日本の発言ということについては、私が国連に行って発言しても、あるいはまたこの間広島でパキスタン、インドの代表の皆さんとも話も進め、そういう日本側の真摯な態度というものは、非常に理解しておるし、これを進めていかなけばならぬと思っております。

 そこで、現実には米ロを中心にして、核がまだ厳然として残っているわけですが、これは、その2つの核大国が今、SALTUからSALTVに入ろうということで努力をしているわけですから、それは積極的に支持していくし、また、その核廃棄について、日本側としてもたしか1億ドルだと思うがお金を出して、特に、ロシアの直接核の廃棄ではありませんけれども、関係する廃棄の努力に対して、資金的な協力をしながらいくということも1つだと思います。

 もう一つは、やはり核を持つことができる可能性がありながら、その国の方針として、それを取っておらない国、すなわち我が日本を含めて、そういう国々と協力をして今、核保有国は5つの国プラス2で7か国になったわけだけれども、そういうところにプレッシャーを掛けていこうと。

 私が外務大臣時代ですけれども、ブラジルに行ってカルロード大統領にも話をして、それから、アルゼンチンのメネム大統領にも話しました。それから南ア、メヌキ副大統領に話しました。いずれにしても、こういう国々はかつて核を持とうとし、核の開発まで入ったけれども、結局、今、これをやめておるわけでございます。

 それからもともとソ連邦のときにはウクライナみたいに、核弾頭を持っておったんだけれども、それを今廃棄というか戻しちゃってやっていない国、だから、核を持つ能力を持ちかつ持っておったのを廃棄した国々と話し合って、これを是非その力を背景にして国際世論をつくっていくという努力をしようと、この間も、パリで話があったときに、そういう国々も入って、いわゆるG7なりG8にそういう国々も入れてやっていかなければならないということだと思うんです。

 そういう意味では、現実にはNPT体制やあるいはCTBT体制、あるいはカットオフについても、今度、パキスタンがジュネーブで話し合いに入るということまで言ったわけですが、そういった意味で、これ以上拡散させないという現実の中で、どうするかという問題があろうと思います。

 もう一つの御指摘は、日本が核の傘の中にあるのではないかということですが、これは日本の安全保障の面からいっても、それをなくしてしまえばよろしいかということになると、これは現実的な面で日本の安全保障の立場から、今の時点ではその守りの中におる。しかし、それと核廃絶に向けての努力をすること、私は矛盾しているとは考えていないので、現実にどう対処するかという面で、これから積極的にイニシアチブを取る必要があるのではないかというふうに思っております。

 そういった意味では、日本の立場というのは極めて重要であるということだろうと思います。

 なかなかこの核についてはいろいろな変遷がありまして、もともと核管理を国連でやったらどうかと最初に主張したのはインドのネールです。今はネール亡き後のインドでありますが、隣国との関係もこれあって、核保有国になったという現況もございますが、いずれにしても、今、国際的ないろいろな世論の中で、二大核大国もSALTVに向かってやっていかなければならない大きな流れであることは事実でありますが、依然としてロシアは2万5,000から3万のものを持っておるし、アメリカも2万程度のものを持っておる。15分以内に約五、六千発は常に発射できる可能性を持っている現実の中で、いかにこれを防ぐかということについては、日々の努力を日本が中心にやっていかなければならない。

 そういう意味で、今度も国連で、究極的核廃絶決議案を日本がイニシアチブを取って出しております。ですから、そういったものに対しての国際世論を是非喚起できるように最大限の努力をしていくということが我が国の責務であるというふうに考えております。

 それから地雷の問題にちょっと触れられましたが、これはボランティアの方々も努力をされまして、日本も参加して、国民的な支持もいただいたので、私としては、これを実行できて大変喜んでおりますが、是非この点についても御支持をいただきたいと思っています。

【司会】どうもありがとうございました。3番目は、**さん、お願いいたします。

【**】本日はあこがれの小渕首相と堺屋長官と直接お話しできる機会を大変深く感謝をいたします。

 さて、阪神・淡路大震災から3年9か月が経ちますけれども、あのときのボランタリーな活動が今、多くのNPOに引き継がれて、高齢問題ですとか青少年の問題、環境問題、外国人の問題、さまざまの起こるコミュニティーの問題に多大な解決能力ができるグループとして育ってきているわけです。これは言わば、新しい市民公益のNPOが、解決ができる能力を持ってきたというふうに言えると思います。それはすなわち公共サービスを市民が担うというふうなステージがいよいよきたということだと思っております。

 また一方、今、日本には雇用不安が大変深刻な問題になっていますけれども、最近は特にその問題が著しいわけです。そのときに、NPOが自分らしい、新しい働きができる分野であるということが大いに期待できるというふうに思うわけです。

 それは、例えば、被災地域で震災で経営が立ちいかなくなった業者の方ですとか、あるいは余儀なく早期リタイアメントをされた方、また、未来に夢を描ききれなくなった若者たち、こういった方々が生活の保障もろくにないNPOで、生き生きと活動している姿がまさしく印象的なわけです。

 今年の3月にNPO法が成立いたしました。けれども、NPOを実際に利用してその活動を継続するということには大変な困難さがつきまとっています。とりわけ、その財政基盤というものについては、今、非常に厳しい状況がありまして、本来、財源として望ましい会費とか勤務収入、助成金、事業収入、これがバランスよく獲得出来るのが本来NPOの姿であると思いますけれども、とてもとてもそういう状況ではありません。

 今日はNPOの主務官庁でいらっしゃる経企庁の堺屋長官がいらっしゃっておりますので、是非お尋ねをしたいんですけれども、今後、NPOの活動に期待を掛けてほしいというふうにお願いすると同時に、私たちの財源基盤が非常に緊急課題となっておりますので、その具対策として、行政の外部事業委託の少なくとも10%はNPOに授注してもらえないかということであります。そういう発注のガイドラインを是非設けてほしい。介護ですとか、それから環境問題、外国人支援、文化、調査研究、NPOの方針に述べられています12分野で、そういうものがあると思いますけれども、是非、その辺をお願いしたい。

 実際、私が所属するCS神戸では、兵庫県から事業委託を受けました。そのことによって、私たちは財政への面だけではなくて、NPOとしての政策形成能力、また、団体の責任能力、NPOの経営能力、さまざまな基礎的な体力を今つけております。

 そんなことからしましても、NPOを21世紀の、首相おっしゃる、いわく第3の開国にふさわしい市民公益の担い手として、積極的でかつ具体的な政策をお願いしたい、御意見をちょうだいしたいと思います。

【司会】堺屋長官お願いします。

【堺屋経済企画庁長官】私も神戸の震災のときにはNPOに参加いたしました。ちょうど震災の翌々日だったんですが、小渕総理大臣が自由民主党の副総裁であられた当時、飛び込みまして、神戸の震災は大変だと、これは復興本部をつくらなければいかぬという提案をいたしました。

 それで、復興委員会をつくっていただきまして、私も何度か神戸に行って、NPO、またはそれらしき活動をさせていただきました。

 それがめばえとなりまして、NPO法というのが今年の3月国会で成立いたしまして、来月の1日から施行されることになりました。経済企画庁の中では4日、あさって、NPO室という部屋ができますし、各都道府県にもそれに対応したものができるはずでございます。

 財政的な面でございますが、これは国会の付帯決議で2年以内に見直すということが付いておりまして、今のところ寄附その他について特別の恩典がございません。誠にこの点は不行き届きと思いますが、どのようなNPOが出てくるのか、どの程度活動ができるのか、また、それにもいろいろ種類もありますし、上下いろいろ、大小いろいろございますので、そういったことを見極めて2年後に見直すということになっております。

 また、NPOに政府発注、その他いろいろなことをしたらどうかということでございますが、これもすぐにはいきませんが、よき例、よき玉がありますれば、我々の方でもやりたいと考えておりますし、また、各市町村、都道府県、自治体の方にもそういったことをお願いしたいと思っております。

 何しろ今年3月に法律ができて12月から施行される、まだ施行前でございますので、十分な観察ができておりませんが、これが立派に育って日本の福祉、介護の中に、国民の善意が生かされるような時代になればありがたい、そういう具合にするにはどう持っていったらいいのか、これは税制の問題、寄付の問題、あるいは役所とのかかわりの問題、また、人材養成の問題等、多くの問題を抱えていると思いますので、各国の例等を参考にしながら、できるだけ早い機会にこれを立派なものに立ち上がらせていきたいと思っております。

【小渕総理大臣】私がちょっと敷衍しますと、第3の開国の話をしましたけれども、日本もビッグガバメントから小さな政府というものを考えなきゃならないと。従来は国家予算もタックスもほとんど国が国税として収納して、それを最も優秀な官僚たる大蔵省主計局の主計官が配分しているという形であったと思うんですけれども、それはやはり政と官の関係、あるいは大きな政府から小さな政府ということを考えていくと、では、政府に全体の責任を負わせるということになって、自らが国民の意思で自らの努力でやっていくということになると、NGOなりNPOというものの存在というものが非常に大きくなっていくし、それが必然的に国家が全部国民を指導する行き方になって、国民の中からわき上がるようなそういう善意の気持ちがこんな形でわいてくるという形にいかなければ、国が成り立たない点もあるのではないか、そういう意味では、この間の阪神、あるいはまた日本海で起きた重油の処理などの問題について、日本人のにもこれだけの多くの活動をし、自らのものとしてやろうという機運が生まれたということ、これは生まれておったんだろうと思いますけれども、形としてそう出てきたということは非常に大きなことだと、また、地雷の問題についても、先ほど申し上げましたけれども、これとNGOは御案内のとおり、ノーベル賞をもらったわけでございまして、そういうものに支えられている問題も私は非常に大きいのではないかという気はいたしております。

 それから、去年のCOP3も京都で開かれました。私も実は外務大臣として行きましたけれども、NGOの皆さんも1つの大きな部屋を持って活動しておりまして、そういう意味ではこれからもひとつ次の世紀の新しい国の中でのお互い役割を考えてやっていこうということの1つの明るい象徴であるんです。

 したがって、今、長官が言われるように、それに対してやはりインセンティブが掛けることができるようないろいろな措置はこれからできる限り講じていかなければならないのではないかと思っております。何か看板を今度掛けるとか。

【堺屋経済企画庁長官】今度11月4日に看板を出すんですけれども、これもNPOの運動をしておられる女性の方に書いてもらって、普通、長官が書いてくれと言われるんですけれども、私が余り字も上手でございませんから、遠慮して、NPOの活動をしておられる方々にやっていただくように、NPOの人たちの部屋をつくりたいと思っております。

【司会】どうもありがとうございます。小渕総理は実は、知る人ぞ知る公益法人、あるいは公益信託の国会議員における唯一の理解者であるわけですけれども、これは私からお伝えをしたいと思います。
 それから、サラリーマンを代表いたしまして、**さんから、お願いします。

【**】今、本間先生からサラリーマンを代表してということでしたけれども、一サラリーマンとして質問させていただきたいと思います。

 先ほどもお話にありましたけれども、会社に勤める者にとりまして、今、一番の不安は、雇用や生活面での将来に対する不安であります。我々中高年も、来春卒業される学生も、働く意思があって、働く能力がある人たちに働く場所がない。働く意思も能力もあるのに働く場所がないというのは極めて深刻な問題だと思います。こういうようなことでは、日本の活力というものは、ますます低下すると思いますし、社会不安も起きてくると思います。

 また、大阪を見ましても都市部、特に住宅問題とか、インフラというのは、ゆとりがあるとは言い難い状況でありまして、こうしたことも我々の将来に対する不安、あるいは年金問題を見聞をしておりましても、我々は団塊の世代より少し下ですけれども、その後には余り残っていないというお話もありまして、不安がある今のうちにしっかり少しでも蓄えておかないと将来に不安が残るという気持ちがあるんだと思います。

 先ほど総理は21世紀、第3の開国でキーワードは少子高齢化と、情報化とグローバリゼーションであるという話をいただきました。情報化というのを産業界としてはよくわかるところでありますけれども、情報化の進展は、ある意味で高効率化、要するに効率化の高い社会になりますので、雇用は減少するというアンビバレントな問題を含んでいるのかと思います。

 私は情報化に対する、例えばインフラに対する整理というよりは、むしろコンテンツと言いますか、ソフトを創出する人材とか、もっといろいろなところから新しいアイデアの発想、知恵が生まれてくるような社会をつくっていくことが大事だと思いますけれども、6つの改革も我々から見て不安を払拭するような中身は出てきていないと思いますし、今、総理が一番大切と思う将来のビジョン、あるいは日本をこういうふうにしていきたいというところについてのお考えと、そのためには今なすべき改革は何かと。あるいは目下11月の経済政策で行おうとしている施策がそれに向かってどのように生かされていくのかということをお聞かせいただければと思います。

【司会】総理、それではよろしくお願いします。

【小渕総理大臣】まず経済対策ですが、従来からどうしても公共事業中心で考えられてきたんですが、今、各省庁に指示しまして、もちろん、公共事業の持つ意味あいというものは否定するわけでありませんけれども、もっと21世紀に向けて何ができるかという玉をみんな出させていただいておりまして、先月末で一応仕切りましたので、これからそれを具体的に出していきたいと思っております。

 それから、少子高齢化の問題につきましても、前の内閣から調査会その他、審議会をこしらえていろいろやっておりまして、その答申がいろいろ出てきますが、率直なところを申し上げますと、なかなか人口が増えてくるという要素、その中で一 応住宅問題が非常に影響があるんじゃないかという主張をされる方がおりますので、私自身も今度、堺屋大臣と相談しながら、「生活空間倍増計画」というのを打ち立てておりまして、簡単に言えば、家も今の倍のものにする。仮に一軒の家の倍増もあるし、逆に言えばセカンドハウスを持つということもあるし、1つの家の中でもそうして倍増して、それは先進国から考えれば自分の家にお客様をお招きしていろいろパーティーをするということは、今の日本の住宅事情では非常に不可能ですし、恐らくここにおられる総長先生から始まって、たくさん外国からお客さんが来ても、つい料理屋に行ったりするようなことになるので、我々実体験しているんですね。ですから、外国では必ず家に呼ばれて、アットホームの感じの中で胸襟を開いていろいろな話ができるということを考えると、日本の場合、衣食についてはかなりのベースになっていることはお互い感覚的に理解しているし、また、外国に行ってもそう思いますけれども、住環境についてだけは、これは非常に悪い。

 したがって、今度もローンの問題についても、今、税制調査会に検討させていますから、ここで発表するわけにいきませんけれども、住宅政策、思い切ったことをやろうと考えておりまして、これを衣食住という形で、本当に均衡の取れた形にしていくということになれば、少子化、これは必ずしも家の問題だけじゃないと思っておりますけれども、1つの問題解決の手段になるんじゃないかなと考えております。

【堺屋経済企画庁長官】ちょっと付け加えさせていただきますと、少子高齢化というと、非常に暗いイメージがあるんですが、これからは高齢者自身が高齢者のマーケットにという時代が来ると思うんです。

 私が学生だったころには、50歳の女優さんがメロドラマの主演をすることはなかったんです。今は堂々とやっているんですね。これは何故かというと、見ている人が50歳なんです。

 だから、今の50歳の方々が70歳になられたときには、今の70歳とは違うんです。私たち今度経済企画庁から『国民生活白書』というのを出すことになっておるんですが、それのテーマが中年、40歳代、50歳代なんですけれども、それを統計だけで見ると、過去の統計をそのまま延ばすと、非常に暗い社会が出るんですが、経済というものはもっとダイナミズムなもので、人間の生活というものはもっと変わりやすいものですから、60歳代の人が増えたとき、70歳代の人が増えたときには、それにふさわしい流行ができ、技術ができ、世の中ができる。

 今、総理がおっしゃった住宅、あるいは都市の問題もそうですけれども、若者のときには、車で走り回るような都市がよかった。これが中高年になると、歩いて楽しめるような都市がいい。そういうダイナミズムがありますから、そんなに心配する必要はないと思うんです。もっと老後と言いますか、人生の最後、これを昔の言葉で言いますと、人生の最後は白秋というんです。まさに収穫を自ら味わうのが人生の長、高齢者です。こういった明るい見方を持ってやってもらたいと。

 今度の『国民生活白書』では、そういった不安と同時に、希望についても発表しようということにしておりますので、また、御批判ください。

【司会】どうもありがとうございます。それでは、次の質問に移らせていただきます。本学大学院経済研究科博士課程、タイ国からの留学生であります**君です。

【**】私はタイの留学生で7年前に日本に参りました。周りの留学生を見ておりますと、日本に留学に来て、日本のことが好きになって、あるいは日本に対するいい印象を持って母国に帰る留学生が本当に少ないのです。実際この問題の根本的な原因の1つは、日本政府の留学生に対する支援方法にあるのではないかと思います。留学生生活に困らない程度の奨学金はいただいていますが、そのお金で勝手にしなさいというような印象が強いんです。どちらかと言いますと、日本政府は国費留学生に対してアフターケアのないサービスというような様式で援助しています。留学生の私たちからすると、日本政府の留学生政策はどんな意図を持って行われているかが全くわからないどころか、日本政府に対して不信感を抱いてしまいます。せっかく、もう少しで架かりそうな国際交流の架け橋が架からなくなるのは、とても残念です。

 総理大臣は、この古くて新しい問題に対して、どう思われますか?

【小渕総理大臣】私も、時々、今のような厳しい御批判をいただいておることは承知しております。ただ、大変よい経験をして日本を離れてそれぞれの国で御活躍されている人もまた多々おります。

 つい先だっても官邸に古い人ではいわゆる戦争前に日本に来ておられた方とか、あるいは戦後来られた方々の皆さんの代表が来られまして、いろいろなお話を聞きました。また私もこの間5月にタイも含めて各地域を回りまして、そのときに集まっていただいた方々は比較的我が国に対しての対応について、もちろん不満もありましたけれども、それなりに評価もしていただいた方もおると思います。

 それから、お国ではありませんけれども、マレーシアについては非常にこの間から状況が悪くなってきましたので、私、外務大臣のとき特別に日本に、今もマハティールさんがルック・イースト政策で相当の方を送っていただきまして、急にこういう経済状況になりましたので送れなくなるということなので、そのことについての財政的な措置も講じさせていただきました。

 さはさりながら大変残念ながら日本に来て勉強されて帰国されて、我が国に対する印象が十分でないということなので、そういったことで、いろいろどこに原因があるか、宿舎の問題、あるいは周りの人たちの気持ちなのか、あるいはまた相談するところがないのか、いろいろと問題はあるんだろうと思いますが、いずれにしてもこうした問題について遠慮なくお話をいただいて、もしその原因が幾つかに分類されるとすれば、それを解消するために努力をしたいと思いますが、具体的に言ってどういう点が一番なんでしょう。お金の面については余り問題はないようなお話ですが。

【**】私は今年の3月まで国費留学生でしたので、日本政府の国費留学生でしたので特に経済的な問題はないですけれども、私と違って私費で来られる方の方はお金の問題ももちろんのことで、住宅の問題ですとか、あるいは先ほど総理がおっしゃったような相談できるようなところがないような状況です。

【司会】私、留学生担当の副学長といたしまして、反省すべき点いろいろございますので、これからきめ細かく大学でも対応させていただきたいと思っていますし、それからポリシーとしての日本の留学生に対する考え方というのをより明確にしていく必要があるんだろうと思います。

 時間が差し迫っておりますが、10分間程度延長を許されておりますので、引き続き質問に移らせていただきたいと思います。

 主婦を代表されまして、**さんにお願いいたします。

【小渕総理大臣】ちょっとお尋ねの前に今の点、留学生のこと、実は中曽根内閣のときから倍増計画でずっとやってきたわけです。ですから、数字を見ますと急速に留学生の数が増えてきた。ここ1両年、実は少し下り坂になっているんです。ですから、そういうことを考えると、留学生の数字を倍増するような形で非常に多くするということをまず目標にした点もあったのではないか。もう少し質の問題、どうやったらいいかという反省もしなければならない。ですから、もちろん目標を立てて10万人についてだったか、これをやろうとしたんですが、今途中で下がり目になっていますので、これをいい機会に数をもちろんもっとたくさん留学してもらいたいと思うけれども、内容についても今一度よく検討してみたいと思っています。

【司会】それでは**さんお願いします。

【**】団塊世代の主婦の1人として総理にお尋ねしたいと思います。先ほどのお話で21世紀のキーワードの第1番目に少子高齢化を持ってくださいまして私は本当に心強いと思っております。そして堺屋長官も歩いて楽しめる都市ということでおしゃってくださいまして、これも本当にうれしいことだと思っております。と申しますのは、私は主婦たちと女の目で大阪の町をつくる会をつくりまして、高齢者やそれから障害のある人たちに呼び掛けまして、大阪の地下鉄111 全駅をバリア・フリーの視点で2年間掛けて調査をいたし、そして交通局に改善提案をいたしております。

 駅を歩いて感じますことは、高齢社会を考えた場合、すべての人が暮しやすいというためには中央のコントロールというよりはもっと民間の人たちや、それから当事者たちに任せた方がいいのではないかと思っているんです。

 先ほど総理が日本のよい面をどう残していくかとおっしゃいましたが、本当に私もそれを感じております。私の子どものころはもっとよかったのにとつい回顧主義に陥るような現在の日本のありようでございますので、そういうところからも是非とももう少し地域の特性を生かしたようなまちづくりができないのかなというところで思っておりますが、世界ではもうバリア・フリー化ということは言われておりまして、今はもうユニバーサル・デザインの時代だと言われておりますが、国としてまちづくり的なことでは具体的にはどのような方法で進めようと考えておられるのかお聞かせいただきたいと思います。

 もう一つ、このような公開討論会を開いてくださいまして本当に大変うれしいと思っております。これが単なるパフォーマンスと取られないためにも、是非、後で文章でお答えをいただきたいと思います。そして、またそれが少し難しいようでございましたら、官邸のホームページなどをお使いくださいまして、是非とも総理のお考えを表明していただければと思います。よろしくお願いいたします。

【司会】それでは総理お願いいたします。

【小渕総理大臣】総理大臣といっても全部わかっているわけではないので、ただ一生懸命勉強するつもりではしてます。私の得意な分野でずっと35年も国会議員をやっていますけれども、何せ総理大臣というのはすべて責任があると思っております。

 バリア・フリーについてもごく簡単に言えば、世の中の大きな流れだし、これから高齢化社会を迎えてそうしたものをこれから設置していかなければならぬということは言うまでもないので、法的にも6年にハートビル法が制定されて、エレベータを設けるなど積極的に対応していることは当然ですし、それから公共交通機関についてもそうで、鉄道駅のエレベーター、エスカレーターの交通バリア・フリーの施設に対しましても支援措置を講じておるわけですが、この前も京都駅でしたか、京都駅がいろいろ問題があって私のところに来られた方がおりまして、みんな建物がいろいろ、会社がいろいろ錯綜しているものだから、自分のところだけはうまくするけれども、うまくつながっていかないようなことがありまして、いろんな問題点がありますので、是非そういった点で、これからの将来、極めて重要な諸点だと心得ておりますので、インターネットでちゃんとお答えいたしたいと思います。

【**】ありがとうございます。

【堺屋経済企画庁長官】今のもう一つの点で、各地域に任せたらどうかという点でございますけれども、これはかなり地方分権ということも進めております。また、今話題になっておりますものにPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)という、民間の人々の知恵を大いに活用して、もちろん、その経験もお金も活用してまちづくりをしていったらどうかというようなことの考え方もありまして、これも今、議員提案でございますけれども、出ております。そういうものができてまいりますと、それぞれの地域を代表するようなプロデューサーの方々、グループの方々が、ここはこうしたらいい、ここはこうしたらいいというような提案をいただいて、それを実現できるようにきめ細かく地域別のことができるようになっていくのではないか。

 先ほど申しましたように、規格大量生産のときには日本中同じ形の車が走り回るのが一番いいと言ったんですけれども、これからの時代はそれぞれの地域のそれぞれの住民に合ったまちづくりをできるような、そういった体系をつくっていく必要があると私も思っております。

【**】すみません。一つだけお願いがございます。このように10月21日付朝日新聞朝刊3面に「やさしい駅目指しバリア・フリー化へ、運輸省、全国1,900 駅2010年度までに」という記事がございまして、その中に、来年度には身障者や高齢者の団体などと協議しとございます。本当に是非とも私たちの声が反映されるように市民会議というものを立ち上げていただきたいと思うんです。そして、大阪には今日も会員が来ておりますけれども、主婦たちの女の目で大阪のまちをつくる会があるということを小渕総理の心の片隅にちょっと御記憶いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

【小渕総理大臣】心の片隅じゃなくちゃんと。

【司会】陳情もあったようでございますので、私が与えられた時間は30分まででございましたけれども、お許しを得てもう14分近くまで時間の超過をいたしております。たくさん質問を選ばせていただいた上で、それをオミットするのは私にとりまして心苦しいわけでございますけれども、総理大臣、堺屋長官、今後の予定もございますので、これでこの討論会を終わらせていただきたいと思っております。

 小渕総理大臣、堺屋長官、本日は本当にお忙しい中をありがとうございます。

 ただいまから花束を贈呈させていただきたいと思います。

【小渕総理大臣】本間先生、まだ恐らくたくさんのお尋ねがあると、私のところに来ているけれども、残念ですから、これについてはどういう形でお答えしたらいいか、また先生と相談をさせていただきたいと思います。それから、官邸のインターネット・ホームページもございますから、これでお答えもしたいと思うし、ついでと言っては悪いですが私のホームページもございますので、見ていただきますと、若干人となりもわかっていただけるのではないかと思っておりますが、よろしくお願いいたします。そういう形でお答えさせていただきたいと思います。

【司会】ありがとうございます。総理のせっかくのお言葉ですので、是非アクセスをしていただきまして、総理と直接会話をしていただきたいと思います。
 それでは花束贈呈いたします。よろしくお願いいたします。
 それでは総理大臣、経済企画庁長官、本当にありがとうございました。これで本日の公開討論を終わらせていただきたいと思います。
 皆さん拍手でお送りしたいと思います。(拍手)


当日は87人の方から広範な質問が寄せられましたが、数が多かったので一人一問に限定し、また同じような質問もありましたので、大阪大学に主なものを選んでいただきました。以下は、そうした問に対するお答えです。

問1 今後、まちづくりにあたっては、公共交通機関も含め、障害者や高齢者に優しいバリアフリー化を推進していく必要がありますが、この点についての総理のお考えをお聞かせください。
(その際には障害者や高齢者の団体などの意見もじゅうぶん汲み取っていただきたいと思います。)
(**さん)

【答】 21世紀の本格的な高齢社会を迎えるに当たって、障害のある人や高齢者を含むすべての人が安心して日常生活を営み、積極的に社会参加できるような福祉のまちづくりを行うことが重要な課題であると考えています。
 このため、平成7年に「障害者プラン(ノーマライゼーション7ヶ年戦略)」を、政府の障害者施策推進本部において決定し、福祉のまちづくりに取り組んでいるところです。
 具体的には、次のようなバリアフリー化に向けての取組みを推進しています。

@歩道の整備については、駅、商店街、公共施設の周辺やこれらの施設間において、幅の広い歩道(幅員3m以上)の整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善、横断歩道橋へのエレベーターの設置、乗り降りしやすいバス停への改善などを推進しています。
A幅広く国民が利用する施設である官庁の建物については、障害のある人や高齢者をはじめとして国民が利用しやすい、親しみやすい施設として、アプローチの段差をなくす、出入り口を自動扉とする、廊下の幅を広げる、障害のある人が使用しやすいトイレの設置などの整備を、既存施設の改修も含め行っています。
B公共性の高い民間建築物等については、「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」に基づき、補助、税制の特例等を行い、バリアフリー化を積極的に誘導しています。
C住宅については、新しく建設する公営住宅や公団賃貸住宅について、高齢者等が使いやすい仕様とするとともに、既存のものについても順次改修を進めています。また、民間住宅のバリアフリー化について、住宅金融公庫融資による誘導を行っています。
D公園の整備については、誰もが身近に行ける範囲に公園(住区基幹公園)を整備し、これらの公園内に障害のある人等に使いやすいトイレを設置しています。
E公共交通機関については、高齢者や障害のある人が安全かつ身体的負担の少ない方法で公共交通機関を利用して移動することができるよう、特に鉄道駅におけるエレベーター・エスカレーターなどの交通バリアフリー施設整備に対し支援措置を講じるなど、公共交通機関のバリアフリー化を引き続き積極的に進めてまいります。
 今後とも、障害のある人や高齢者の方々のご意見も十分に伺いながら、全ての人が安全で快適に過ごすことができる社会資本整備の一層の充実を図って参ります。

問2 減税には短期的効果だけでなく、長期的効果もあると思われますが、中・長期的にはどのような目標、どのような状況を目指した減税をお考えですか。それとも単に景気刺激のみを目標としたものをお考えですか。
(大阪大学大学院生 **さん)

【答】 私の公約である「恒久的な減税」は、所信表明演説で申し上げたとおり、「我が国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向け、抜本的な見直しを展望しつつ、景気に最大配慮して」実施することにしております。したがって、今回の減税は、厳しい経済の現状を踏まえ、景気回復を最優先課題として実施するものではありますが、同時に、中・長期的に我が国税制がどうあるべきかという観点からの見直しは、いずれかの時点で必要になると考えており、こうした見直しにつながるものにする必要があると考えております。
 例えば、今回の減税において、個人所得課税の最高税率の引下げや法人課税の実効税率の引下げを実施することにしておりますが、これらは、国民の意欲を引き出せるよう、また、我が国企業の国際競争力を十分に発揮できるよう、中・長期的な観点から実施するものである。
 なお、21世紀にも通じる抜本的な税制の見直しについては、各種控除のあり方や課税ベースの問題などを含め、どのような方々にどのような負担をしていただくかということについて、国民一人一人に様々なご意見があることから、経済情勢などを見極めつつ、国民的な議論をしていく必要があると考えております。

問3 米国追従の政治手法で、アジアの中の日本として、安定したアジアの発展にどのように寄与(イニシアティブをとっていく)されていくお積もりですか。
(大阪大学教職員 **さん

【答】 国際社会の相互依存が深まっている現在、我が国の安全と繁栄は、国際社会、特にアジアが繁栄し安定していて初めて確保できるものです。我が国は、そのような好ましい国際環境を醸成するために自らのイニシアティブで次のような積極的な努力を傾けております。
 まず、アジアが直面する経済危機に対しては、我が国は総計430億ドルの世界最大規模の支援策を表明し着実に実施しています。また、10月には300億ドルの資金援助スキームを表明したところであり、今後とも引き続きアジア諸国の経済回復、経済構造改革、社会的弱者救済等のための支援を行っていく方針です。また、日本経済の再生はアジア経済はもとより世界経済にも貢献するものと考えており、最大限の努力を尽くしているところです。
 また、アジア地域の平和の安定の確保のためには、日米安保体制を堅持しながら、ASEAN地域フォーラム(ARF)のような種々の安全保障に関する対話や地域協力の枠組みを通じ、アジア諸国との二国間の友好関係を増進しながら、アジア太平洋という広がりの中で、開かれた地域協力や対話を重層的に推進していく考えです。

問4 「政治改革」というタームのみが、実質を伴わず、形式的になり久しいです。我々大学生にも理解できるように、実の伴った「政治改革」を具体的にお話し下さい。
(大阪大学学部生 **さん)

【答】 政治改革の目指すものは、国民の政治に対する信頼を確立することであり、そのためには政治家個々人の政治倫理の確立が何よりも重要でありますが、あわせて選挙制度や政治資金制度等の諸制度や国会運営のあり方等について不断の見直しを行い、必要な改革は大胆に進めていくことが必要であると考えております。
 現在も、政治倫理の確立や政治腐敗防止のための法案が国会に提出され、次期国会の継続審査とされているところでありますが、いずれにしろ、これまでの改革にとどまらず、さらなる改革を引き続き推進していくことは重要なことと考えております。

問5 地方自治体の財政が危機的状況にあると思いますが、現在の府県制は21世紀にふさわしいシステムでしょうか。
(**さん)

【答】 都道府県制度のあり方については、現行の都道府県制度が実態的にも意識の面でも定着しており、また、地方自治制度の基本的構造に関わる極めて重要な問題であることから、中長期的に十分な研究が必要であると考えております。
 去る5月29日に閣議決定した「地方分権推進計画」においては、現行の都道府県・市町村という二層制の地方制度を前提に、それぞれの性格に応じた相互の役割分担を明確にし、対等・協力の新しい関係を構築することとしております。
 こうした都道府県と市町村の新しい関係を構築することにより、

@市町村は、住民に最も身近で基礎的な地方公共団体として、主体的、個性的な行政を柔軟に遂行することとなるとともに、
A都道府県は、広域の地方公共団体として、広域にわたる事務や一般の市町村を超える規模及び能力が必要とされる事務など、本来の役割を重点的に担うこととなり、都道府県、市町村それぞれの役割分担をふまえつつ、着実に地方分権を推進していくことが現実的であると考えております。
 また、都道府県の区域を超える行政需要については、広域連合等の活用など、都道府県を超えた連携が必要になるものと考えております。

問6 現在のペースで国債発行残高が増加し、我々の世代に大きな借金を残すことになれば世代間の不公平を作り出すと思いますが、いかがお考えでしょうか。
(大阪大学大学院生 **さん)

【答】 我が国の財政事情を見ると、国と地方を合わせた長期債務残額は、平成10年度末で541兆円程度の見込みであり、GDP比で100%を超えるという現状には憂慮すべきものがあります。
 将来世代のことを考えれば、中長期的な財政構造改革の必要性は否定されるものではありませんが、現下の極めて厳しい経済情勢に鑑み、財政構造改革を推進するという基本的考え方は守りつつ、まずは景気回復に全力を尽くすという観点から、当面、財政構造改革法を凍結することとしたところです。

問7 商品券の配付について、自民党と公明党との間で合意がなされましたが、政府として今後どのように対処するのでしょうか。
(大阪大学学部生 **さん)

【答】 ふるさとクーポン(地域振興券)について、地域経済の活性化等を図るとの観点から、与野党間において合意がなされたところです。
 今後、与野党間の合意を踏まえ、政府としても作業を進めていきたいと考えています。
 なお、ふるさとクーポン(地域振興券)の効果については、これを誘い水として、個人消費を換気し、地域経済の活性化を図ることが期待されます。

問8 今般出された格調高い大学審議会答申も、大学関係者の意識改革と大学を支える社会の支援がなくては実現が困難です。また、政府として、研究費面の支援だけでなく、長期的視点に立った教育環境の整備の支援が必要です。21世紀を展望した「大学の果たすべき役割」と「大学に対する政府の果たすべき役割」についてお考えをお聞かせください。
(大阪大学教職員 **さん)

【答】 21世紀は、様々な意味で不透明な時代であるとされています。そのような中で、我が国が創造性と活力のある国家として発展を続け、また、国際社会において主要な役割を果たしていくためには、大学が、我が国や国際社会で活躍することができる人材の養成や、未来を拓く新しい知の創造に努めていくことが不可欠であると考えております。
 大学に対する政府の果たすべき役割は、施設・設備の整備や教職員の配置、教育研究経費や有利子奨学金の充実など、大学の教育研究活動の条件を整備することであり、私としても、出来る限りの努力をしてまいりたいと思います。

問9 21世紀はますます科学技術が重要な役割を果たすようになると思いますが、日本は欧米に比べて基礎研究が遅れていると聞いています。これからの科学技術政策を聞かせて下さい。
(大阪大学大学院生 **さん)

【答】 尽きることのない知的資産を形成する科学技術は、21世紀に向けて、人類が活力にあふれた社会造っていくための原動力です。特に、資源に乏しく、また、急激に高齢化社会を迎えようとしている我が国が、産業の空洞化、社会の活力の喪失といった事態を回避していくためには、科学技術の積極的な振興が必要です。また、我々人類が、地球環境、エネルギー・資源、食糧などの地球規模の諸問題を解決する上でも、科学技術が大きな役割を果たしていくことが求められています。
 このような認識のもと、平成7年11月に科学技術基本法が議員立法により制定されるとともに、平成8年7月には、同法に基づき、科学技術基本計画を策定し、積極的に科学技術の振興を図っております。
 政府においては、これらに基づき、

@新産業の創出や情報通信の飛躍的進歩への対応、地球規模の諸問題の解決、健康の増進や災害の防止など生活者ニーズへの対応、といった社会的・経済的要請に対応した研究開発を強力に推進しております。
Aまた、欧米に比べて立ち遅れが指摘されている基礎研究については、人類が共有しうる知的資産として、また社会の高度化に様々な波及効果を与えるものとして積極的に振興することとしており、我が国の基礎的研究の中心的役割を担う大学や、国立試験研究機関における研究開発を一層強化しております。
Bさらに、柔軟かつ競争的で開かれた研究開発システムを構築するため、例えば、研究者の流動性を高めるための制度改革や研究開発のための資金の多様化や拡充を進めております。
 今後とも、政府全体で一体となって、科学技術を振興してまいります。

問10 現在の日本は、アメリカ等の諸外国に比べてインターネットなどの情報インフラの普及が遅れていると思いますが、このような問題に対して具体的な対策はお考えでしょうか。
(大阪大学大学院生 **さん)

【答】 情報通信の各分野を見ますと、例えばインターネットホスト数、CATVの普及率等については米国が日本を上回っているのはご指摘のとおりですが、光ファイバ化率、携帯電話等の普及率、衛星放送の普及率については日本が米国を上回っている状況で、日米比較を一概に申し上げるのは難しいところです。
 このうち、インターネットについては、ホストコンピューター数では米国が2,574万台であるのに対し、日本は135万台と、現状では大きな隔たりがありますが、伸びの点では、最近5年間で全世界で約21倍であるのに対し日本は約38倍と、将来的には日米間格差は縮まって行く状況にあると考えられます。
 またこのインターネットを利用した電子商取引の市場規模は、平成9年度で818億円と、この2年間で120倍に急成長しており、今後の産業経済構造を根本から変革する可能性が期待されています。
 インターネットの一層の普及、電子商取引の本格的な発展のためには、インター ネットの機能の高度化が不可欠であることから、郵政省において「次世代インター ネットに関する研究開発」を平成8年度から5ヶ年計画で推進し、超高速・大容量通信に対応できるシステムの開発に取組んでいるところです。
 また、今後の高度情報通信社会に向けて、子供達が早い段階からインターネットに慣れ親しめる環境を創ることは、我が国の将来にとって重要な課題です。このため、先般、郵政大臣から通信料金等に関し、学校向け特別料金の導入について、関係事業者に要請し、事業者から前向きな回答を受けているところです。
 こうした取組みを通じて、インターネットの国民各層へのさらなる普及を図っていくこととしています。