本日ここに、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、戦没者御遺族及び各界代表多数の御参列を得て、全国戦没者追悼式を挙行いたしますことは、誠に意義深く、感慨今なお新たなものがあります。
先の大戦が終わりを告げてから今日まで、早くも五十四年の歳月が過ぎ去りました。苛烈を極めたあの戦いの中で、祖国の安泰を願い、家族を案じつつ戦場に散り、戦禍に倒れ、あるいは戦後、遠い異郷の地に亡くなられた三百万余の戦没者の方々に思いを馳せ、残された御遺族の深い悲しみを思うとき、今なお悲痛の思いが胸に迫ってまいります。ここに心から御冥福をお祈りいたします。
また、あの戦いは、我が国のみならず多くの国々、とりわけアジアの近隣諸国に対しても多くの苦しみと悲しみを与えました。私は、この事実を謙虚に受けとめ、深い反省とともに、ここに謹んで哀悼の意を表したいと思います。
戦後我が国は、焦土の中から立ち上がり、平和を国是とし、幾多の困難を乗り越え、国民のたゆまぬ努力により目覚ましい発展を遂げてまいりました。
この平和で豊かな今日においてこそ、過去を謙虚に振り返り、戦争の悲惨さと、そこに幾多の尊い犠牲があったことを次の世代に語り継ぐとともに、国際社会において再び戦争の惨禍を繰り返すことのないよう、恒久の平和を確立することが、我々に課せられた重大な責務であります。そして、このことこそが、過去に対する償いとなり、犠牲となられた方々のを鎮めることとなると確信するものであります。
本日この式典に当たり、先の大戦から学びとった多くの教訓を改めて深く心に刻み、国際社会において重要な地位を占める一員として、世界の恒久平和の確立と、心豊かに暮らせるより良い社会の実現のため全力を尽くすことを、ここに改めてお誓いする次第であります。
終わりに、戦没者御遺族の皆様の今なお消えぬ深い苦しみ、悲しみに思いを致すとともに、皆様方の今後の御平安を切に祈念申し上げ、式辞といたします。
平成十一年八月十五日
内閣総理大臣 小 渕 恵 三