内閣総理大臣演説等

内閣総理大臣談話

平成十一年十月五日

 私は、自由民主党総裁に再選されたこの機会に、内閣改造を断行し、自由党及び公明党・改革クラブとの連立内閣を発足させることといたしました。三党派はその政治責任を共にしながら、切磋琢磨して国家と国民のためにより良い政策を練り上げ、果敢に実施に移して、現下の諸課題に対処してまいります。

 私はかねてより、我が国のあるべき姿として、「富国有徳」、すなわち経済的な富に加え、物と心のバランスがとれ、品格や徳のある国家を目指すべきであると申し上げてまいりました。そのために、先の通常国会における施政方針演説で、「繁栄」、「安心」、「安全」、「世界」そして「未来」への五つの架け橋を構築することを明らかにいたしました。二十一世紀への橋渡しをする内閣として、その実現に全力を挙げて取り組んでまいります。

 昨年七月の組閣以来、私は「経済再生内閣」と銘打って、財政、税制、金融、法制のあらゆる分野の施策を総動員して、金融危機、経済不況の克服に取り組んでまいりました。その結果、国民の皆様の努力とあいまって、わが国の経済は改善の兆しを見せ始めています。しかしながら、景気を本格的な回復軌道に乗せるとともに、二十一世紀の新たな発展基盤を築き上げるために、坂の途中の車を押し上げ切るまでは手を緩めることなく、引き続き積極的な経済運営に努めてまいります。このため、第二次補正予算の編成を含め、中小・ベンチャー企業の振興をはじめとするわが国産業の体質強化や雇用対策などに全力を尽くしてまいります。
 中央省庁等の再編、地方分権の推進、国家公務員定数・コストの削減、さらには規制緩和など、行政改革を推進してまいります。また、人口の少子高齢化、経済社会の変化などを背景に、国民生活のセイフティーネットである社会保障のあり方が大きな論点になっています。介護保険制度の円滑な実施や公平で安定した年金制度の改革など、信頼できる制度の確立に取り組んでまいります。さらに、教育は「富国有徳」の心の部分に関わるものであり、教育改革について幅広い議論を行い、その成果を生かしてまいりたいと考えております。

 世界の平和と発展のために、国際社会における日本の地位にふさわしい役割を積極的かつ誠実に果たすとともに、わが国の安全と繁栄の確立に向けて粘り強く努力してまいります。また、沖縄をめぐる諸課題の解決に努めつつ、来年の九州・沖縄サミットの成功に向けて準備を進めてまいります。

 新しいミレニアムを目前にし、次の時代を明るく希望に満ちたものとするために、新内閣は「対話と実行」を基本として、国民の叡知を結集し、政治主導でスピーディに、現在の難局を乗り越えていく決意であります。皆様のご理解とご協力を心からお願いいたします。