5.会議経過
(1)まず、議事に入る前に、上村内閣広報官から地球温暖化防止に関するバンフレットについて、田邊外務省地球環境問題担当大使からAGBM8の概要について説明を行った。引き続き、議事に入り、近藤議長から10月27日に東京で、10月30日に大阪で開催された合同会議ヒアリングの結果について説明があった。その後、報告書骨子案に沿って、報告書とりまとめに向けての審議が行われた。
(2)委員からの意見の概要は次のとおり。
「1.はじめに」、「2.地球温暖化対策の基本的な考え方」について
○「技術的、経済的に可能な対策を徹底して洗い出した」(P1、L20)とは思っていない。また、「更なる省エネルギーの追究のための限界費用は大きい」(P2、L8)とは思わない。
○タイトルが「(2)対策の」(P1、L15)とあるが、対策の基本的考え方は示されていない。国として何をすべきかを明確にして、民間が、そして、国民が何をすべきか明示すべき。その上で、インセンティブ付与と、このままでは規制もやむを得ない、ということを書くべき。
○合同会議の目的を明確に出すべき。2010年に向けての日本提案を踏まえ、長期的な課題という問題意識を冒頭で明記すべき。
○もともと世界全体での目標削減率は、自然科学的知見に基づいて定められるべき筋合いのものである。その上で、何らかの「差異化」を施して決まる日本の削減率を所与とした上で、それを達成するための「対策」のあり方を、何らかの評価基準に基づき審議するのが合同会議の目的であったはずなのだが、これまでの合同会議において、こうした議論はほとんど行われなかった。言い換えれば、「できる」、「できない」の議論に終始していたと思われる。
様々な対策のメニューの中から何らかの対策のセット(組み合わせ)を選び取るためには、前もって「評価の基準」が定められていなければならない。評価の基準の第一は、「市場を尊重した対策」を優先するのか、それとも「コマンド・コントロール方式の対策」を優先するのかである。合同会議におけるこれまでの議論においては、コマンド・コントロール式の対策の必要性が当然であるかのように言われており、「市場を尊重した対策」(例えば炭素税)を否定する意見が多かった。「市場を尊重した対策を優先すべきである」というのが大方の経済学者の見解であるからには、経済学者への納得のゆく説明が必要である。
もし市場を尊重した対策を優先するのなら、次に勘案すべき評価基準は「費用対効果」(コスト・エフェクティブネス)である。すなわち、同じ効果を発揮する複数個の対策を比較するに当たっては、費用の安い対策の方を望ましいとする。合同会議においては、こうした視点が欠如していたと言わざるを得ない。
○「2(1)基本的認識」(P1)の最後について感覚的な論調になりがちなので、実現可能性や実施後の効果を検証するシステムを確立すべき。
○「目標削減率は、自然科学的知見に基づいて定められるべき筋合いのものである」との指摘については、削減には相当長い時間が必要であり、削減目標の議論は実行可能性など他の条件で決められる問題であり、自然科学的知見では決められないというのが現在の立場。
○合同会議の目的は、京都会議の意義を広く国民に知ってもらい、それぞれが努力していくためのきっかけと位置付けるべき。評価する知識を持たないので、各分野の専門的な議論はそれぞれの審議会など別の場に委ねるべき。個別の点は例示と提起にならざるを得ない。審議会の意義を強調して書くべき。
○政府が提出したものを我々が徹底して洗い出して議論したわけではなく、これからも議論していく。「対策」(P1、L15)はレベルがばらばらで、政策・戦略と、個別の対策が入っている。政策・戦略については、1990年に地球環境保全関係閣僚会議で地球温暖化防止行動計画が作成されたが、7年たった現在、守られていない。合同会議と行動計画の関係を整理して、行動計画がうまくいかなかったから、合同会議を開催した、と位置付けるのはどうか。アイドリングストップは別として、行動計画には幅広く中長期的な課題も含め書き込まれており、合同会議の議論の方が絞り込まれている。行動計画は網羅的であったためか、フォローアップを行ってこなかったためか、あまり効果を発揮してこなかった。その反省に立ち、具体的な対策を並べてみて、プライオリティーを決め、対策の進行管理・フォローアップをしっかり行うようにすべき。
○行動計画が単に失敗であったとするのではなく、行動計画になかったメカニズムとしてフォローアップをするとかを書き込むことが必要。
○ヒアリングでも一般市民が合同会議に寄せる期待は大きいことが分かった。冒頭で、地球温暖化問題に関するこれまでの国際的・国内的な背景と合同会議の目的・位置付けをはっきりと明記すべき。「7.おわりに」では、京都会議後に何をするのかが重要だという位置付けをはっきり示すべき。
○合同会議の背景には多くの審議会があることに留意すべき。氷山の一角しかしゃべっていない。なぜ合同して議論してきたかを書くべき。
○環境問題はこれまで専ら環境庁と通産省の審議会でのみ検討していたと思われがちであったが、合同会議によって幅広く検討する機会ができたことは意義深い。しかし、合同会議は会場の関係から非公開で実施してきたため、削減目標は外交問題であり合同会議では議論の対象としていないことを理解されないのは残念。本会議の性格を明確にするため、冒頭で、CO2削減目標の決定は本会議の使命ではなく、国内対策を検討している意義を明確に書くべき。
○「ライフスタイルの変更は国民一人一人の責務として協力を求める」(P2)というのは、国民に何を求めているのかが不明。
「3.産業、運輸、民生部門における対策の基本的方向」について
○これまで合同会議に提出された資料及びこの骨子案にある削減の見通しは、いずれも「一つの見通し」に過ぎない。また、種々の「対策」の効果についての評価もまた「一つのシナリオ」に過ぎないことを、まず確認しておきたい。「何%削減が可能だ」という見通しも、「何%削減が精一杯だ」という見通しも、それぞれ「一つの見通し」に過ぎないのである。
一般に、「見通し」やシナリオはいくつもあり得るし、それらの蓋然性について客観的に予見することはできない。したがって、「見通し」について見解の一致を見ることは不可能と言わざるを得ない。とくに13年も先の「見通し」に大きな開きのあるのは当然のことである。
もちろん「見通し」やシナリオの当否は、主観的な判断に委ねられて然るべきであるが、「見通し」の前提となる「仮定」が明らかにされない限り、こうした見通しやシナリオの当否について、軽々しく判断を下すわけにはゆかない。
したがって、「対策」を審議すべき合同会議が、何らかの「見通し」を不可侵の前提であるかのようにするのには異論がある。
一例を挙げてみよう。新聞報道(毎日新聞10月14日)された「一つの見通し」は、2010年に90年比5%削減するには、「コンビニエンスストアの午後11時閉店」、「ガソリンスタンドの日曜営業禁止」、「大容量製品の生産禁止、新築住宅への太陽光発電システム設置の義務づけ」などのコマンド・コントロール方式の対策を”必要”としているが、これらはあくまでも「一つのシナリオ」という意味で単なる”十分”条件に過ぎない。これらの他にも様々な対策の組み合わせがあり得るのであって、いかなる対策の組み合わせにせよそれが”必要”というわけでは決してない。必要条件と十分条件の取り違えは、議論をいたずらに混乱させるものである。
○「3(3)産業、運輸、民生部門における対策の基本的方向」に「削減することを見込む」(P4、L7他)とあるが、長期的にアプローチしなければならない。7%削減すれば安泰ということではない。仮にこの見通しで行ったら、その先どのようにしなければいけないかという方向性は複眼的アプローチとしては示すべき。
省エネルギーだけが全面に出ているが、リサイクルも重要。「省エネルギー法に基づき」(P4、L9他)と複数箇所に出てくる。確かに省エネも大切だが、それで全部解決できるような書き方はどうか。省エネ法も以前からあるが、抜本改正が必要かもしれない。それ以外にリサイクル法などもある。総合的にかつ全体的な削減、エネルギー需要抑制を考えていかなければいけない。もっと長期性、総合性が浮かび上がるような書き方にすべき。特に全体のプライオリティー付けが必要。それがなくては地球温暖化防止行動計画と変わらない。現在の範囲においても時間的な範囲においても視野を広げて、それぞれの対策の位置付けが浮かび上がるような書き方をすべき。
○「対策の総合的評価」(P4)は、「安定化することをを見込む」(P4、L26)ということではなく、更なる長期的な削減に向けての努力をする必要があるという前向きな書き方にすることが重要。これ以上はできないという否定的な書き方はやめるべき。
○全体的に、産業界を含めた国民に対する今後の見通しの厳しさのアピールが足りない。安定化でも相当に厳しいものであることを合同会議で述べて、それをそれぞれが出身の審議会に持ち帰って議論する。合同会議をきっかけとしてそれぞれの立場で議論が進むことが重要。
○途上国の環境対策に対する援助について是非書くべき。途上国における対策の方が限界効果ははるかに大きい。報告書は、国内対策に関するものであるとともに、世界に対するメッセージでもある。資金、人材、組織、技術すべてを含めて、途上国に対する援助は国内対策での大きな問題。例えば、自動車の所有者から寄付をもらって対策に充てるというのは、国内的のみならず、対外的にも途上国における取り組みを要求する際の有効な手段と考えられる。
運輸部門の対策について、「低燃費車の普及促進のための経済的誘導施策の強化」(P4、L10)には、はっきりと「税制を含む」と書くべき。また、「パーク・アンド・ライド」(同、L12)だけ具体的に書いてあるが、この狭い国でパーキングスペースがそれほど確保できるわけではなく、余り意味があるとは思えないので、削除すべき。さらに、「物流の効率化」(同、L11)については、営業用トラックと比較し、自家用トラックは効率が悪い。共同運行など自家用トラックの効率の促進を書き加えるべき。
○途上国対策について運輸部門だけに記述することは、他の部門といった国内対策全般との関係から不適切。
○民生や運輸部門が伸びていることが問題となっている一方、産業部門は全体の50%を排出している。産業界としては、これまで最大限の努力をしてきており、これからも積み上げようとしている。新エネルギー、原子力の導入が大前提とされている(P3、L2)ことを委員全員に認識してほしい。その上で、産業部門の対策(P4、L1)は、産業界は自主的取り組みとしてできる限りのことをやってきており、自主的にやることが最も効率が上がる方法であることを大前提と考えてほしい。当該部分の記述はそのままで結構。
また、「省エネルギーの義務付け」(P5、L8)とあり、「なお、CO2排出削減を進める場合には、エネルギー使用量の制限のような措置をも検討せざるを得なくなると見込まれるが、・・・今回の対策としては採らないこととする」(同、L11〜13)という記述があるが、経済性を度外視して省エネを進めることは、産業界の省エネ原資を減らすことになるため、長期的にみるとマイナスであることを理解いただいたと考える。
また、対策の実施状況のフォローアップを厳格に行うこと(同、L15)はそのとおり。ただし、それは各部門が最大限の努力を積み上げた結果であり、そのフォローアップは、各分野の自己完結的なものと理解している。原子力が増加できなかった場合に、その分を産業部門の7%削減に上積みすることは不可能。あくまでも実行可能なものであることが必要。
○現状を考えるに、2010年までに原子力2500万KWが実現できるとは現場にいて自信がない。自治体や住民、マスコミから、原子力推進についてのコンセンサスづくりをやっていただかないと進まない。例えば、AGBM8で原子力の話を持ち出したら、途上国から反発が起き、恥を掻いたという記事があった。そういう状態では2500万KWは無理。建設的な批判は受けるが、原子力を育てるということがないと、CO2対策はできない。特に自治体には電源立地に対する理解がほしい。原子力のコンセンサスづくりに大きく踏み込むことを書いてほしい。
○なかなか難しいところ。原発は今すぐ立地が決まっても2010年までに送電できるかどうかも難しい。しかし、原子力に対することは書いておく必要がある。
○今の案のままではさらっと書きすぎ。
○新エネルギーと原子力の導入の推進(P3、L2)については、原子力に依存せざるを得ないということを国民に理解してもらうことが必要。経済的繁栄、活力の維持が当然と言いながらライフスタイルを見直せでは国民にとっては何だという感じになる。現状を示して理解してほしいという姿勢を文章で表すべき。
○産業界で7%削減ということだが、現在に至るまでいかに努力してきたか大いに世界にPRしてほしい。例えば、セメント業界では、ドイツで高いエネルギー効率を目指しているが、日本はドイツの2005年の目標値を既に達成している。鉄や化学でも、主要欧米諸国に先駆けて省エネ設備を設置している。このように一生懸命努力しているということを、国民や世界に分かってもらいたい。
○あまり書きすぎてももっとできるのではないかと言われる。
○確かに排気ガスでも無理にやって良い水準を達成したと言われるが、このことは、発展途上国への技術移転など、地球全体で100年先まで考慮することが必要。例えば、原子力でやらないと石炭と石油ではどうしても減らない。中国の李鵬首相は山峡ダムも環境対策だと言っている。中国では11月に入ってもホテルでは暖房をしていない。日本でも国民がこぞって民生、運輸全体でやらないといけない。
○数値目標に関する日本案の特色は差異化であり、これまでの努力によりレベルが違うということだが、国内対策も同じ。全て同じように書いてあるが、運輸部門に相当やってもらわないと難しい。産業界はブラッシュアップの必要性はあるが、準優等生に近い。もっとメリハリを出すべき。
○見通しの数字はあくまでも1つの見通しに過ぎない。これは1985年〜1995年のトレンドを伸ばしているが、問題は、1990年〜1995年。1%台の経済成長率にもかかわらずCO2の排出量やエネルギーの需要は3%伸びている。記述にあるとおり、「国民の生活の利便性、快適性、豊かさの追求」(P3、L16)が原因。しかし、国民が果てしなく利便性を追求するわけではなく、そうした状況はほぼ飽和状態に達している。数%下がればそれほどではない。トレンドで安易に伸ばすべきではない。「経済学の常識」に照らして納得しがたい諸点を中心に、これまでの議論に対する意見を述べる。
会議に提出された資料に「例えば産業部門のCO2排出量を7%以上削減しようとすれば、経済に莫大な影響(失業、不況等)が及ぶ」との趣旨の記述があったが、ほとんとの経済現象は連続的であって、「7%という閾値があって、それを超えた途端にカタストロフが起きる」といった経済的事象の存在は、経済学の常識に照らして考えられない。もしそのようにお考えの委員がおられるなら、その理由を明らかにしていただきたい。
対策を評価するに当たり、目標達成までに13年間の時間的余裕があることを念頭に置くべきである。例えば2010年に90年比10%削減することは、平均年率0.74%の削減を意味する。1年で10%削減するのと、13年で10%削減するのとでは、適切な対策の組み合わせが違ってくるのはむろんのことである。13年という時間は、コマンド・コントロール方式の対策を必要としないに足るだけ、十分長いと考えて差し支えないだろう。
コマンド・コントロール式対策の最大の難点は、こうした対策が二酸化炭素排出削減に寄与する技術革新の可能性を損ないかねないという点にある。温暖化対策の決め手となるのが技術革新であるからには、技術革新を促すような対策が優先されるべきである。
コマンド・コントロール式の対策と市場を尊重する対策の具体例を一つ挙げておく。例えば燃費効率の良い乗用車(例えばハイブリッド・カー)を普及させるために、補助金で対処するのと、取得税や保有説の減税で対処するのとを比較すると、後者の方が望ましい。なぜなら前者がうまく機能するためには「どれだけの補助金を手当てすれば、燃費効率の良い車がどれだけ売れるのか」を政府が熟知していることが必要だが、後者は市場に任せて普及を促すという意味で、全知全能の政府を必要としないからである。
現在、規制緩和を始めとする経済構造改革が推し進められつつあるが、そうした時代文脈の中で温暖化対策をどう位置づけるのかという視点が欠かせない。
規制強化は時代の流れに逆行する。
エネルギー価格とエネルギー需要の関係について、「エネルギー価格の上昇はエネルギー需要をほとんど抑制しない」との意見が(炭素税の導入を否とする立場の)委員から提起されたが、計量経済学を専門とする私としては、そうした意見に納得しかねる。その理由は以下の通りである。
第一、オイルショック後のエネルギー価格の上昇がエネルギー需要をどれだけ抑制したのかは、「もし価格上昇がなかったならば、需要はいかほどであったのか」がわかった上でしか評価の仕様がないはずである。また、エネルギー省費は価格のみならず、その他諸々の要因にも依存することをも勘案すれば、単純な「四則演算」により価格上昇と需要抑制の関係(したがって需要の価格弾力性)を推し量ることはできない。エネルギー需要の価格弾力性を推計するには、それなりに精緻な計量経済分析が必要とされる。多少専門的になるが、2度のオイルショック時を含む時系列データに基づき、適切な分布ラグを想定した上で、計測されたエネルギー需要の価格弾性値は、有意にマイナスに計測されている。
第二、需要の価格弾力性については、短期のそれと中長期のそれを峻別する必要がある。一般に、エネルギー需要の価格弾力性は、短期的には小さく、中長期的には大きいと予想される。なぜなら短期的には「節約」で対応するしかないのだが、中長期的には「機器の交換」という対応があり得るからである。
炭素税については、ヒアリングの際も、産業界や労働組合から反対の意見が多かった。このメンバーの中でも、炭素税導入賛成は自分だけ。報告書でなぜ、炭素税は駄目と書かないのか。様々なメリット、デメリットがあるということでは、NHKの解説と同じレベル。
○その場合は、ビジネス・アズ・ユージュアル(BAU)に幅を持たせればよい。10数年も先の話で証拠立てるのは非常に難しい。国民にショックを与えるトーンが重要。
○トレンドの単純な延長には問題があるかもしれない。違う考え方があり得ることは事実。しかし、ここでの議論は、通産省、環境庁で積み上げたこの数字に基づいている、と言えばよい。
○見通しが当たるか否かは2010年にならないと誰にも分からない。仮に低い見通しが当たれば、結果的に何%も削減できてよかったということかもしれない。
○ここでのBAUは一つのシナリオにすぎないのは、そのとおり。1つのシナリオとして書くしかない。
○モニタリングやフォローアップのメカニズムを入れておけば、行動計画のように相当軌道から離れてしまっているのに、そのことが知られていないということが防げる。
○「対策の総合的評価」(P4)にもあるとおり、対策をすべて実現した場合に、しかも2%のモデレートな経済成長を想定してやっと達成できるというもの。外交交渉の結果、差異化が認められないとか政策措置が共通の義務化となると大変な問題。現実的な考え方で書いていただきたい。最後の技術のブレイクスルーの記述はこれを基本にされたい。
○合同会議が徹底的に洗い出したわけではなくとも、各省庁が徹底的に洗い出したことは確かであり、データを公開し、前提や見通しも議論してもらえばよい。具体的施策については、これ以上はできないとは言えない。あくまで現時点で考えられるもので、COP3などの国際会議で措置が出されたときにこの中にないからできませんというわけにはいかない。将来的には細かな議論は各審議会でやればよい。
○原子力についての表現がきつい。国民はなかなか納得しないのではないか。量的には少なくても風力、太陽光など新エネルギーがあり、生活水準を下げてもよいから原子力を低めにしてくれというジャーナリスティックな議論もある。また、「見通し」は、今この数字を信じないと大変なことになるという意識を国民が持つべき真剣なものと考えるべき。見通しの持つ重みを受け止めるべき。
○ジャーナリズムでは別の場面では豊かな生活というように、原子力との選択に関して本当に国民が気分を変えて生活水準を下げることになるかどうか。経済的繁栄はした方がよいので、何とかできるならそうしたいということ。国民はギリギリの選択を求められているというメッセージが伝わることが重要。
○事故があったりして、国民に原発アレルギーがある。原発を作る地域には大変厳しい抵抗がある。原発をつくるかわりに生活水準を下げるという選択肢もある。こうした選択肢を提示し、国民に問い掛けることも必要ではないか。そのためには、情報提供、省エネのための活動によるムード作りが重要。
「4.ライフスタイルの見直し」「5.革新的な技術によるブレイクスルー」「国際協力」「7.おわりに」について
○お金や犠牲を払うなど広い意味でのコスト負担をすることが結果的にインセンティブにつながると言わないと厳しい状況は乗り越えられない。
○「国民」と「国民一人一人」との表現があるが、例えば、国民の努力には消費者のみならず企業も含めて考えることもできるので、この点への考慮が必要。また、国は地方公共団体を支援する一方、NGO、ボランティアの活動は評価し、発展を期待するだけ(P5)。民間団体へも支援の方向性を出すべき。
○「欲しがりません勝つまでは」で戦争に負けた。その後、アメリカ文化が入り、「大きいことはいいことだ」という文化に慣れた。今日は物が豊富になったからこれからは変わると決め付けられるかどうか。ハイブリッドカーもどこまで普及するかは疑問。次は何かを強烈に訴えて国民運動的にどのような価値観を持つように誘導するのかが重要。
○国民だけでなく、国、自治体のライフスタイルの変更も必要。パイを大きくするとの発想を考え直すべき。不況だとすぐに所得減税などの議論となるが目線が高すぎる。生活の廃棄物も捨てるところがない。山紫水明の国の緑を子孫まで継承していく義務があるのではないか。
○ライフスタイルについては同感だが、合同会議ではそこまで議論をしていない。ライフスタイルの見直しの重要性だけを書いて、そのことを国民審議会で議論するなどの仕掛けを盛り込めばよいのではないか。
○我慢、節制という暗いイメージではなく、これが新しい21世紀のライフスタイルであると明るい面を強調するべき。ライフスタイルを若者に押し付けるわけにはいかない。
○ライフスタイルの見直しには取り組みの例示が一つの選択肢として書いてある。個人の自覚だけでなく、国民の一人一人がそういう生活ができる社会的なシステム作りをすべき。例えば、自由時間の拡大をシステムとして作り上げれば、より選択肢の幅が広がる。大きな方向性をここで決め、個々の問題は個別の審議会で議論するということにすればよい。
○官庁がこれまで行ってきた政策とは別の次元の話で、推進する主体、社会的条件整備を根本的に構築し直さないといけない。次の時代へ向けての積極的な価値観を提示することは必要だが、そのための体制作りが最初に強調すべき点であり、具体的な点は次の問題。
○市場経済とか自由主義経済を前提とすれば、選択の主体はあくまで消費者。消費者の選択肢を広げ、省エネ設計の製品を買うことのインセンティブを与える施策を採るのが政府の役割。コマンド・コントロールのような古い考え方はやめるべき。
○コマンド・コントロールにもいろいろあり、税金の導入のような誘導策もある意味ではコマンドコントロールの一つである。また、ライフスタイルの問題については、しっかりしろと掛け声だけかけるのではなく、国民が大量消費・大量生産ではない選択ができるよう国が施策を提示し、必要な情報提供し、それに対する教育を行うことが重要。
○社会システムを作るというだけではイメージがよくわからない。インターネット上で温暖化問題に関するページを作成してみたが、広報をしてみると内容が固いなどの意見があり、国民の反応は今一つという感じがした。周知活動は非常に難しいと肌で感じる。
○ライフスタイルの問題は価値観、特に世代間の価値観の違いがあって非常に難しい問題。21世紀は20代から40代の人たちの世紀であり、これらの世代に対するメッセージを打ち出すべき。アメリカ流の大量生産・大量消費は峠を越えた、これに代わる新たなメッセージを出すべき。
○国内対策は、努力目標なのか義務として国民が守る決意を固めるのかがあいまい。はじめに、京都会議に向けた日本提案と報告書の位置付けを明確化すべき。
○社会システムを作るということは、国民一人一人が温暖化防止に向けた取り組みができるような制度をつくってうまく誘導をするという意味。自由時間が大切だから休みを取れといっても休暇が取れにくい仕組みを直さなければいけないという趣旨。
○南仏では停車中のアイドリングや冷房の使用には罰則が設けられている。ライフスタイルの変化を求めるに当たっても消費者は快適性を常に求めているので、啓蒙だけをして、後は市場に任せるだけでは難しい。時には南仏のように罰則を設ける必要もあると思う。規制も思い切ってやるべき。
○規制強化は一律にアナクロニズムだという議論は問題。交通規制など世の中には規律というものがある。市場の経済的規制が問題だということであり、規制緩和だけではなく、適切な規制を行うことも時には必要。
○規制には、あってもなくてもいい規制、あってはならない規制、なくてはならない規制、もっと強化すべき規制、の4種類あり、環境関係の規制は、なくてはならない規制である。一方、コンビニの11時以降の営業規制のようなものはやるべきではない。
○オイルショックなしでオイルショックと同じ対応を求めようとしているのだから難しい問題。フロンへの対応とはまったく異なる。
○規制についてはいきなりやるのではなく、13年間あるのだから、納得してもらいつつ段階を踏んでやるべき。
○20%とか40%とかの数字の根拠について、公開されているものから数字を出しているのならば、その出典を明らかにすべき。また、報告書の内容は外交交渉の手足を縛るものにならないか。
○今まで各省庁が地球温暖化対策に関する施策をばらばらに行っていたが、今回合同会議を開催することにより各省庁が協力して一体となったという意味で画期的。「7おわりに」に「国は」(P7、L13、14)とあるが、合同会議としては、各省庁が一体的・総合的に取り組む施策についてはしっかりフォローアップをするという仕組みを作るべきだと指摘すべきであり、「国は」と簡単にくくるのはどうかと思う。
○「対策の総合的評価」(P4)では、それまでに記述された施策を積み上げると2010年時点で安定化という書き方になっているが、2010年で終わりではないため、長期的に更に削減努力をするという前向きな書き方、これをもって縛られることのない書き方にすべき。
○産業界は今まで精一杯のことは全てやってきた。そうした対策を全部やって安定化するということを踏まえ、2%の経済成長を前提にすると、更なる削減努力が必要であり、そのためには革新的な技術によるブレークスルーが必要ということ。余り実現可能でない目標を書くことには反対。
○ここで出ている施策を足し合わせれば2010年に安定化するという結果になるため、これ以上やる場合は更なる努力が必要というニュアンスで書いて欲しい。長期的なことを考えると、これで全て終わりという書き方は良くない。これだけやっても安定化であり、大変厳しい努力が必要だということが大事。
○「1990年比安定化を超える削減のためには、・・・・更なる削減努力が必要」(P4、L28〜30)と書いてあり、この構成でおかしくない。
○これだけ日本はCO2排出削減のために頑張っているのを、もっと絞れという話ではない。例えば、今まで動いていないグリーン税制など、経済界にマイナスを与えない税制手法も考えられる。また、リサイクルの問題にしても、これまでの企業の自主的努力を否定するのではなく、別のやり方があるのではないかということ。いろいろな考え方を今後それぞれの審議会で発展させ、2010年以降により削減を進めていくことは避けられないのであり、そうした方向性を出して欲しいということ。決して今までの努力では足りないということではない。
○「対策の総合的評価」(P4)と「3(4)講ずべき政策の体系」(P5)については、このままで結構であり、これを変えるということになれば、また意見を言うことになる。
○「原子力、新エネの導入がこのまま進んだとしても」(P3、L2〜3)の記述、及び「3(5)経済的手法についての考え方」の「炭素税には・・・・引き続き検討」(P5、L18〜20)の記述について、もう少しきちんと書くか、報告書から落とすか、残すのであればこの程度の書きぶりでよいか、あるいはもっといい書き方があるか。
○多数決で決めるなら、今までの議論を総括すれば、炭素税はやらないと書くべき。
○炭素税の導入を検討しているのは日本だけ。もう少しはっきり反対と書いてもいいのではないか。
○市場を尊重する立場から最も合理的な対策という意味では、炭素税しかないと思う。国際競争力の問題については、例えばスウェーデンのように鉄鋼などを非課税にすればいいのであり、様々な措置によりその影響を中立的にすることができるにもかかわらず、頭ごなしに反対というの意見が余りにも多い。少数意見も書くという方針ならば、きちんと少数意見も書いて欲しい。
○ただでさえなかなか国民には分かりにくい。さらに、合同会議において、こういう意見もあった、こういう意見もあったという報告書を出せば、国民はCO2排出削減のためにまだ何もしなくていいんだな、という理解をすることとなり、趣旨と違ってくる。報告書では、継続審議という表現になってもかまわないし、いっそ書かないのも一つの考え方。
○報告書でカタカナを多く使うのは問題。
○経済的手法として炭素税だけ書いてあるが、他にも税金や助成金などで人々の行動を誘導するという方法もある。炭素税だけ目の敵にするのではなく、手法として経済的なインセンティブを使うことも十分考えていかねばならないということは書いた方がいいのではないか。
○考え方として原子力は温暖化防止のためにどうしても進めるべきと書くのは無理がある。原子力が現実に温暖化防止に資するという役割を十分国民に認識してもらうという形で書いてはどうか。
○原子力はうまく書かないと誤解を招く。報告書自体が全否定されてしまう可能性もある。
○原子力は全電力の30%を供給している。しかし、自分の身の回りに原子力により供給された電気が入っているという認識が国民一般にはないため、すぐ「原子力発電はやめてしまえばいい」ということになる。
○橋本総理も「CO2の排出削減のためには原発を20基増設する」と言うが、その前提となる7050万kwという数字は、資源エネルギー庁のエネルギー需給見通しでかなり前に決めたものであり、報告書を書くときにその点はきちんと書くべき。
○原子力発電をやめて石炭発電にしたらCO2排出量が2割増えることを分かった上で議論してほしい。炭素税と原子力の話は、非常にシンボリックに、この議論を左右するものとして受け取られる可能性がある。当たり前のことを当たり前に書くことから始めるべき。このようなことで議論が分かれるのは全体を進める上で不幸であり、そうならないような扱いをすべき。
○炭素税については、引き続き検討ということでいいのではないか。
○排出権取引まで一挙にいくのは少々おかしいものの、経済的措置には、燃費効率のいい車への優遇税制などいろいろある。炭素税もそのうちの1つとして、市場を尊重する立場からはそうした対策が望まれるということを書くべき。
○炭素税について、報告書から記述を全く落とすのは痛くない腹を探られることになる。炭素税と原子力の両方とも、淡々と触れることは触れるということにしてはどうか。ただ、触れ方については、いらざる誤解を招くことのないようにすべき。
○炭素税は合同会議の議論では否定されていると理解している。日本だけ炭素税を導入しても生産が海外に移転し、地球環境には悪影響。それにもかかわらず炭素税を主張することは理解できない。
○手法としての炭素税はあり得るのであり、仮に国際的に炭素税導入ということになったときに「あり得ない」ということではない。ただ、今の状況下で手法として具体的な政策に取り込むことに反対する人が多かったということ。炭素税を全く無視して書くことにより、炭素税を抹殺したという印象を与えることに懸念を感じる。
○炭素税という言葉を出さずに、税制を含む経済的手法は大きな影響を持つと書けばいいのではないか。これについてはまだまだ検討を進めるべきだし、必要なものは将来的にやるべき。
○地球温暖化防止に関するパンフレットの「各国のGDP当たり一次エネルギー消費」のグラフを見ると、日本はこんなに低いからもう排出削減しなくていいんじゃないかという気がする。もっと警告的な表がないと、もっと使えばいいということになる。
○それはグラフの作り方が悪い。縦軸の一番下がゼロではなく100になっているのがいけない。
○よくやってる国は、削減する力があるからもっとやれ、ということにもなりかねない。
(3)今後の予定として、近藤議長と茅議長代理で相談して、本日の意見をできる限り反映した形で、報告書の原案を作成し、原案に対する委員の意見を事前にもらい、それを踏まえた形で次回会合で最終的な審議を行い、とりまとめたい、との議長の発言があった。
(4)次回会合は11月13日(木)午前9時30分から開催することとなった。
−以上−
(文責 内閣内政審議室 速報のため事後修正の可能性あり)