地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議(第5回)議事要旨

1.日 時  平成9年11月13日(木)午前9時30分〜11時30分
2.場 所  内閣総理大臣官邸 大客間
3.出席者 (委員)
近藤次郎議長、茅陽一議長代理、荒木浩、今井敬、久米豊、河野光雄、小林陽太郎、佐和隆光、篠原滋子、豊田章一郎、中村英夫、松尾陽、水口弘一、森嶌昭夫、吉岡初子各委員
(政府)
古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長、平林内閣外政審議室長、上村内閣広報官 他
4.議 題
地球温暖化問題への国内対策に関する合同会議骨子案について

5.会議経過

(1)まず、議事に入る前に、田邊外務省地球環境問題担当大使から気候変動枠組条約第3回締約国会議非公式閣僚会合の概要について説明を行った。引き続き、議事に入り、報告書案について審議が行われた。

(2)委員からの意見の概要は次のとおり。

○「各業界ごとの取り組みを公的な場において定期的にフォローアップしていく」(P7)とあるが、「公的な場」とは何を想定しているのか。(これに対し、資源エネルギー長長官から「自主行動計画そのものがある種の社会的契約であるという位置付けで、それを産業構造審議会や総合エネルギー調査会といった審議会でフォローアップすることを考えている」旨の発言があった。)

○各部門別のフォローアップは審議会で行うとしても審議会ごとの取り組みには差が生じるものと考えられる。本合同会議としては報告書の完成を以って当面の仕事は終わったと思うが、対策の全体の流れをフォローアップする方法として、本合同会議を将来また活用することも一案。(これに対し、古川官房副長官から「合同会議は対策の基本的方向を示した大変意義深い場であることから、検討事項についてのフォローアップの必要性は十分に認識しており、議論の場は是非設けたい」旨発言があった。)

○細部については異論もあるかと思うが、これまでの議論や各委員から事前に提出された意見を適切に反映したものであり、大筋において合同会議の報告書としては最大の評価。審議会が集まって様々な角度から環境問題について議論したことは初めて。今後とも、何らかの形で各審議会の情報交換といったフォローアップを希望。

○各審議会で持ち帰って検討していく中で、整合性がとれない点が出てくる可能性は十分にある。審議会の代表が集まった合同会議という形式が良いかは分からないが、調整する場を設けることは必要。

○「革新的技術の進展」(P9、L2)、「慎重であるべきである」(P10、L15)、「貯蔵、固定化」(P13、L8)は修正してはどうか。また、「意味のある」(P2)は「有意味な」という検証可能なという意味がある訳を用いてはどうか。
「規制的手法と誘導的手法」(P3、下L4)とあるが、我が国でこれまで議論されてきた対策は、自主的取り組み、規制的手法、経済的手法。誘導的手法は経済的手法とほぼ同義だが、使い方があいまい。原子力には20基との説明があるが(P6)、新エネルギーについても、エネルギー供給の何%とか説明すべき。また、年と年度の使い方を整理してほしい。「過当競争の防止」(P11)はマルクス経済学者の使う言葉で近代経済学者は使わない。(これに対し、茅議長代理から修正の必要性について検討する旨説明があった。)

○合同会議により各審議会の様々な意見が統一されたことに大きな意味があり、各審議会に持ち帰った際に本合同会議の結論を尊重する形で行ってほしい。また、今後フォローアップを行うことは重要だが、差異化が認められず、横這いから更に2%削減などとなると、経済的に非常に問題が生じる。本合同会議として、報告書に明記してあること以上に規制的手法を採らないことを確認してはどうか。なお、炭素税については、合同会議としては、我が国の対策として現段階では採るべきではない、との結論であると解釈している。

○本合同会議は基本的方向付けを議論したのであって、個々の問題について各審議会に縛りが掛かるという決定はしていない。基本的方向付けとしては当然考慮に入れなければならないが、報告書に書かれていることを踏み越えてはいけないとの解釈には反対。

○本合同会議は9つの審議会の議論を否定するものではない。炭素税について各審議会がこれ以上議論しないことを決めたという解釈はしない。各審議会はそれぞれの立場で省庁の行政について注文をつけるもの。

○エネルギー需要側を中心に議論してきたが、供給側についても議論すべきであった。新エネルギーや原子力の導入について本来一項目起こすべきであった。新エネルギーの導入は容易ではなく、原子力については苦労が予測される。項目を起こすことは今更できないが、もう少し強く書き込んではどうか。(これに対し、茅議長代理から「今回は供給問題については触れていないが、これは今後重要な施策の一つであるということを、基本的考え方に書き込む」旨の発言があった。)

○供給サイドの話はしっかり書き込むべき。総合エネルギー調査会でも来年から議論するとすれば、原子力のウェイトを国民に分かってもらうような手法を含めて議論していくことが必要となる。十分議論できなかったところは各審議会でフォローアップすればよいので、合同会議のスタート時においてエネルギー消費抑制を中心とした旨を書き込むべき。

○閣議決定に基づいているとは言っても、新エネルギー1910万kl、原子力7050万kWを「導入することを基本とし」(P6、L19)という書き振りでは、20基の原発増設を認めるように読める。確かに、安全の確保や国民の理解に触れてはいるが、「広く国民の理解を得るように努力」(P6、L20)では、合意にならない。「合意を得るように努力」の方が現実的。この点については、別の場で、十分国民の理解が得られるように議論してほしい。フォローアップについて、縦割り行政で切るのではなく、政府全体としてCO2排出削減をどうするか考えていくということを提言してほしい。本合同会議で決まったことに拘束されるという点については合意できない。「90年レベルとほぼ同レベル」(P8、L29)でよいということではなく、更なる削減を目指すという国民の合意が必要。そこにウエイトがあることを公表の際に確認してほしい。5人の連名で合同会議報告に抗議するFAXを受け取った。環境問題を取扱うNGOからはどうやっても批判があるが、そうした批判を受けて、更なる努力をすることが必要。今後、各審議会で議論することになるが、それがバラバラではこまるので、十分配慮してほしい。

○新エネと原子力の導入(P6)については、積み上げた計算の前提条件であり、外すことはできない。原子力をどうするかは、本合同会議とは別の話であり、あくまでもこれを前提としているという意味。供給面については、この問題とは別に議論すると整理して、整合性をとりたい。

○リサイクルについては、これまでの議論の中であまり出てこず、また、政府提出の資料にもない。供給面について記述するのであれば、リサイクルにも一言触れてほしい。

○原子力発電の導入について、国民の合意が得にくいとの発言があったが、新エネルギーを現状の3倍にすることについても、国民に対するイメージはよいが、技術的には困難を伴い、相当の努力が必要。

○2010年のエネルギー消費量を、産業、運輸部門で95年からほぼ横這いに抑え、民生部門で11%の伸びに抑えることが可能とされているが、民生部門は全体の約4分の1であるから、全体のエネルギー消費量は95年から2010年で約2〜3%増大することになる。これは、対策の効果が「エネルギー需要は現在に比べてほぼ横這い」(P8)ということと矛盾するのではないか。(これに対し、資源エネルギー庁長官から「95年から2010年の15年間で3%というのはほぼ横這いと言える」旨発言があった。)

○NGOなどから我々が初めから努力しなかったのではないかと思われているが、我々が一生懸命努力していることは証明しようがない。そこで、「東京、大阪において国民各層からの意見の聴取を行い」(P1)とあるが、東京と大阪におけるヒアリングは全部で20数人からの意見を聴いたに過ぎず、一寸表現が大袈裟なのではないか。表現を柔らかくしてはどうか。(これに対し、近藤議長から、意見陳述人以外にも数百人規模の人が来場したほか、FAX等でも意見を聴いている旨発言があった。)

○報告書では専門用語を用いないこととしたと承知しているが、産業部門の部分(P4)で技術的専門用語が駆使されており、分かりにくい。(これに対し、近藤議長から、産業部門以外の部分の記述ともバランスがとれており、それ程難解な用語ではない旨発言があった。)

○「意味のある」「現実的」な目標を設定すべきである(P2)となっているが、デンヴァーサミットで同時に謳われていた「equitable」との原則が落とした理由は何か。日本がこれまで行ってきた努力に対する評価という差異化の観点からも入れておくべきではないか。(これに対し、茅議長代理から、報告書のこの部分では実際に差異化に触れていないので、かかる文脈から、敢えて落とした旨発言があった。)今後のフォローアップについては、今回の合同会議の構成にこだわらず、効果的・総合的なメカニズムを機能させていくべき。

○「衡平」については、デンバーサミットで決まった表現であるから、報告書の中に関連の記述がなくても書き入れるべき。

○報告書はこれでよいが、日本提案については、相当実現が難しいものの、一般には低いものと受け取られており、もっとよく理解してもらうことが必要。日本とエネルギー供給構造がよく似ているフランスと比較してはどうか。EU案ではフランスは削減率0%。

(3)以上の審議を受けて、近藤議長と茅議長代理に字句の修正を一任することで基本的に報告書案が了承された。近藤議長からは、「報告書を英訳し、各国の理解を得たい。報告書の内容については、政府の今後の国際交渉の手足を縛らないよう注意したつもりであるが、各省庁は本報告書の内容を重く受け止め、本提案に沿って実効性のある対策を講じてくれるものと信じている。明日、総理に報告する」旨の挨拶があった。

(4)最後に、古川内閣官房副長官から「8月27日の第1回会合以来、短期間とはいえ、極めて精力的に御審議いただき、本日ここに、報告書をとりまとめいただいたことに対しまして、心より御礼申し上げます。地球温暖化問題という深刻かつ重要な問題に対する、皆様方の熱心な御議論には、心を打たれるとともに、重ねて感謝申し上げる次第でございます。明日、近藤議長から総理に御報告いただけるとのことですが、地球温暖化問題への対応策について大きな方向性をお示しいただいたことは非常に意義深いものと考えております。近藤議長、茅議長代理をはじめとして、委員の皆様方には、これまでの御尽力に対しまして、心から厚くお礼を申し上げるとともに、今後とも、本問題に対する橋本内閣の取り組みに御協力をお願いいたします。合同会議あるいはフォローアップの問題については重要であると認識しており、本日の委員の御発言の趣旨を十分踏まえ、考えてまいりたい。橋本総理、村岡官房長官には、国会等の用務が予定されておりますので、私が代わりにごあいさつ申し上げた次第であります」との挨拶があった。

(5)近藤議長、茅議長代理が相談し字句を修正した上で、明11月14日(金)に近藤議長から総理大臣へ報告書を提出することとなった。

−以上−
(文責 内閣内政審議室 速報のため事後修正の可能性あり)