2.場所:総理大臣官邸大客間
3.出席者:
(1)川口環境大臣挨拶
冒頭、川口環境大臣から次の主旨の挨拶があった。
(2)地球温暖化対策推進大綱の進捗状況及び今後の取組の重点について
小川内閣審議官より審議会の再編に伴う審議会合同会議の構成の変更点について説明があった後、各省庁から地球温暖化対策についての報告があった。
(3)意見交換
引き続き意見交換が行われた。概要は以下のとおり。なお、欠席の佐和委員と南委員からペーパーで意見が提出され、席上配布された。
(今井委員)
○いろいろな対策の御紹介があり高く評価しているが、私が聞いているところでは、運輸部門は、大綱決定のときに2010年までに1990年度から17%の増に抑えることになっていたが、既に98年度で21.1%増。民生部門は同じく2010年で1990年のレベルに抑えることになっていたのに対し、98年度では、既に12.6%のオーバーになっている。
これに対し、産業部門は98年度では、90年度から3.2%削減しており、大綱の目標である6%に向けて着実に自主行動計画で進めている。しかし、先般の中央環境審議会で産業界の自主行動計画が不当に低く評価されていることは全く心外。ただし、いろいろの御批判には十分耳を傾け、今後、例えば参加業種の拡大や調査内容の充実や情報開示を行いたい。また、民生・運輸のCO2削減にも資するようないろいろな提言を行いたいが、全体としてどうやって目標を達成するのかが大変心配であり、民生・運輸で達成できない分が産業界にすべてしわ寄せになることは絶対お断りしたい。我々は自主行動計画を確実に達成していくので、自由な経済活動を阻害する措置をとることは絶対やめていただきたい。
もう一点だけ申し上げれば、この前、私の名前で緊急アピールを出したが、現在、政府がCOP6に向けて、アメリカを引き込んでやっていこうとしていることは、私どもは高く評価している。やはり世界の4分の1を排出しているアメリカが入らないと実効ある対策にならず、また、途上国に対しても参加を呼び掛けることはできないので、非常に問題がある。
日本はオイルショック以来、産業界はあらゆる手段で90年までに省エネを十分達成しており、これ以上やる余地が非常に少ないが、今申し上げたような自主計画でやっている。もし、日本が批准してアメリカや発展途上国が批准しないということになると、これは産業競争力上、全く問題にならないことになり、国内の空洞化、雇用の喪失が起きる。したがって、その辺を十分御考慮に入れていただきたい。
(森嶌議長)
○中央環境審議会の名前が出たので、一言だけお答えする。中環審においても、産業界の自主的取組は非常に高く評価している。これに対し、例えば外部の人が取組をチェックできる機会を設ければ透明性が高まるという提言はあるが、決して自主的取組を低く評価したのではない。とりあえずその点だけ、今の御意見に対して申し上げたい。
(河野委員)
○地球温暖化外交と、国内体制の2点について述べたい。まず外交で言えば、ブッシュ効果という言葉が適切かどうかわからないけれども、ブッシュがああいう態度をとったことについて賛否両論いろいろあるが、日本の国内産業界から見ていると、本音の議論がやっとできるようになったと思う。そもそもなぜ6%を決めたのか、あのときの代表は誰だったのかという議論が随分裏であったが、表では語られなかった。そんなことは言ってもしようがないという雰囲気であり、せめて京都メカニズムをもう一つ弾力的にできないかという程度の議論でずっと来た。米国からあっけらかんとした反対意見が出たため、少したがが緩んで本音の議論ができるようになった。しかし、それはただ単にたがが緩んだのではなく、やはり米国の反対意見が内在していると、「国内体制整備」と環境省が言っても進まない。
川口大臣は、また来週米国に行かれると聞いている。削減目標についての大議論をここで持ち出すつもりは全くないが、少なくとも京都メカニズムの問題については日本がうんと利用しやすくなるような交渉をしてもらいたい。一番の基本は、公平という観点。6%削減目標については、追加して新しくCO2を削減するコストは日本が一番高いことは計算で全部出ていたが、それを日本はあえてのんだ経過がある。それを考えれば、日本の産業界がこのままほっておけば空洞化が進展するという議論も、気持ちはよくわかる。スタートで公平であってしかるべき。公平という言葉がキーワードだと思う。
国内体制論で言えば、34業種全部を通産省が一応フォローアップしている。私はそのうち11業種について、4年間座長として聞く立場を務めた。先週も実は2業種の実施をしたが、そこで痛感することは日本の産業界がこの議論にくそまじめであることである。フォローアップを実施する人は技官が多く、技術的なブレイクスルーについて詳細に書いてくるが、よくもまあこんなに真面目にやっているものだと思う。他の国ではこんなことをやっていないと思う。役所の計画もそうだが、だから実質も大まじめだ。それを遠くから低く評価されると、私も4年間座長をやっているので、もうちょっと真面目にやっているということくらいは言いたい。
もう一つは、国民一般が温暖化問題を机上論でやっており、それがどれだけの負担になるかについての受け取り方が極めて稀薄。産業界はきちんとやっているが、一般国民は自動車も電気の使い方も野放図で、余り対策が進んでいない。頭の中で立派なことを言っているが、行動とはほとんど結び付かないケースが9割以上だ。このギャップをどう埋めるかというのが国内体制整備論の基本だと思う。
(千速委員)
○産業界を代表して一言申し上げたい。1970年代から1990年代で日本の産業界は大幅な省エネルギー、環境対策に取り組んできており、例えば鉄鋼業では、第一次オイルショック後で約20%の省エネを既に達成している。その間に鉄鋼業界が投入した省エネのための環境対策のための設備投資額は2兆円に及ぶ。
そうした中で更に自主行動計画にのっとり、一層の省エネ、環境対策に目下一生懸命取り組んでいるが、今後の対応を考えるとき、画期的な研究、技術開発によるブレイクスルーが切り札になると強く痛感している。政府として、中長期的な国家技術戦略の中で温暖化防止技術の開発を明確に位置づけ、是非これを実行、推進していただきたい。
(加藤委員)
○河野委員が事業者側の大変な努力の割には国民は電気や車の使い方がかなり野放図だと言われたが、かなりの国民運動が今一生懸命やっており、小学校の子どもたちのグリーンの運動や、お母さんたちも分別収集の努力をしている。その上で、確かに民生と運輸が予定よりも削減できていないということであれば、その原因を精査する必要がある。全部が各家庭の責任だという押し付けられ方は、私は少し抵抗がある。原因を精査して、努力の傾け方をお互いに分担して考えていくべき。
もう一つは、COP3のときには、アメリカに対してみんながあれだけの説得をしたわけだし、様々ないきさつを考えると、国際的な約束事を今になって何だかんだと言って遅らせることは、今まで国内で省エネ運動や資源を大事にする運動をやってきた沢山の人々の努力に対して水を差すことになる。
日本の市民団体、消費者団体、環境のNGOは外国ともお付き合いをしており、EUのグループから日本の国に対して、もっと信頼を持てるようなことを日本の消費者団体はすべきでないかという要請もきている。アメリカでも全員がブッシュさんと同じ考えではなく、環境運動の市民団体などは、COP6再開会合における批准を期待している。確かに日本はアメリカと大変親密な関係にあるので説得の努力はすべきだが、少なくとも日本の目標値を変更するというような言い訳で遅らせることはやめていただきたいと、私は、運動をしている国民の気持ちを代弁してお願いしたい。
(浅野委員)
○中央環境審議会の地球環境部会で懇談会を開催したが、そのときに出席した委員の意見は、アメリカが批准することが望ましいことは完全にみんな一致していたが、アメリカが批准しなければ我が国は批准しないことをはっきりと表明すべきであるという意見は極めて少数であった。むしろ、積極的に我が国が批准することを表明する方が良いという意見が多かったことを申し上げておく。ただし、これは勿論、どっちが絶対的に良いということは言えないことも我々は冷静に議論しており、メリット、デメリットがあるので、その辺のバランスを十分考えるべきである。
先ほどから森嶌議長からも御説明があったが、私どもが今、中央環境審議会の小委員会で検討している中で、一定の前提の下ではあるが、可能性として、国内対策で6%以上の削減が可能であるということが計算上出てきている。そのすべての対策を行うかどうかはこれからの政策決定の問題であるが、当然経済的な評価なども行っており、どれを優先的に取り上げるかは考えなければならないが、最大限の対策を行えば国内の対策だけでも6%の削減は可能であることは一応明らかにしている。
中環審では、9日に中間取りまとめを発表し、今後の国内制度の在り方について多くの方々から更にコメントをいただく予定だが、具体的な施策については、やはり関係審議会と協議をしながら進めていく必要があることを痛感している。
今井委員その他の委員が言われたように、私どもの認識として運輸・民生部門の対策が遅れていることは確かであり、施策を強化しなければならない。そのためには個々の政策をばらばらに取り上げて、これがどのくらいの効果があるという議論だけでは十分でない。各部門で連携して対策を行う際には1つのシステムが必要になるし、そのときにはどうしても部門だけで切って議論することは不可能な部分がある。例えば、民生の部門は必ず産業部門とつながる部分があり、運輸の部門も産業とつながる部分がある。その部分を一方的に産業にしわ寄せするという印象を与える気は全くないが、縦割りで切って対策をとるだけでは話が済まないことが全部の部門の施策を横に並べて考えてみた場合に明らかとなってきた、というのが今の議論の状況であり、御理解をいただきたい。
(茅議長代理)
○2点意見がある。交通の問題については、経済産業省の分析によると、交通での一番の原因は郡部において乗用車数が増加していることが一番大きい。これはよく理解できる。郡部で老人がだんだん増えており、自分が町に出るときに、公共機関よりも自家用車を使う傾向があり、そうするとバスなどが採算がとれなくなり、だめになるという悪循環が起きている。この交通の問題については、国土交通省ないし警察庁からお話があったが、正直言って、これだけで本当に今言われているような効果が出るかどうか非常に心配。この2つの省庁の御努力を信頼したいが、やはりこれだけでは簡単に問題は解決しないと思うので、是非今後そういった側面をよく考えて御努力をいただきたいというのが第1点。
第2点は、今、2010年のターゲットのことで議論されているが、私もエネルギー需給見通しで作業をやってみて、2010年のターゲットというのがいかに大変かつくづく感じた。しかし、考えてみると、問題は2010年のターゲットを達成するだけでは全然済まないわけで、長期的にかなり大きくCO2の排出を下げていく必要がある。これを今のような努力をずっと続ける形で達成できるかと言ったら、ほとんどできないだろう。
したがって、何か抜本的な変化を我々の方でいろんな分野でやらなければいけない。これは時間がかかるが、今から用意をする必要がある。1つは勿論、自然エネルギーの開発など供給面だが、それだけではなく需要面もやる必要がある。産業もしかりで、例えば鉄鋼業、これは現在、石炭を使った高炉転炉体制でやっており、確かにエネルギーが必要だが、果たして石炭を使わなければできないかというと、従来の原子力製鉄の例のように、いろんな試みがあり得る。ただ、従来は温暖化ということで考えたわけではなかった。しかし、長期的に考えると、そういった違うプロセスも考えていくことが抜本的に問題を変えていくわけで、長期的にはそういった努力を産業界も、そして国も応援することが今後非常に大事であり、それを是非お願いしたい。
(藤井委員)
○私は交通が専門だが、今の茅先生のお話で、郡部の交通量が多くなっているのが問題だという話は理解できない。一般的な認識としては、むしろ都市、大都市の周辺の交通量が非常に大きく、しかもそこで非常に大きな渋滞が発生していることが問題だという認識。一方で公共投資の抑制の話があり、公共投資はかなり選択的に使わなければならない。したがって、まず、都市の環状道路等の整備を進めるべきとの認識だが、いかがか。
(茅議長代理)
○実験投資をやる都合上、全部の需要面についての内容を分析しているが、都市部における交通量の増加より郡部における自動車の数の増加がトータルとして寄与度が高いという結果が出ている。その理由は、1つは老齢化、それからそれに伴う世帯数の増加で、1台当たり距離は伸びていないが、数が伸びてトータルの結果としてガソリン需要が増えている。これを少しでも抑えなければ問題は解決できないのではないかということを申し上げた。
(加藤委員)
○茅先生の言われたことに同感。日本リサーチ総合研究所で地域環境調和型ライフスタイル形成推進調査を福井県の武生市をモデルにやっているが、それを見るとやはり非常に車に頼って買物に行っている。交通手段は自家用車を自分で運転する人が79.2%、あるいは家族が運転する車の人が23.8%で、これは複数回答だが、自転車はずっと減って18.2%。どこで買物をしているかというと、市内の大型スーパーが57.1%、郊外の大型スーパーが57.1%、郊外の大型ホームセンター39.6%。このような状況が非常に典型的に出てきている。そして、公共交通は衰退していく。それから、大型店同士の競争になっており、町中の商店街が非常にさびれてしまって、もうなくなってしまっている。そうすると競争が起こるたびに、人々は車に乗ってあっちの町、こっちの町へ行ったり、近くの村の人もそのような動き方をしているというのが、多くの地方都市の状況ではないかと考えると、この地球温暖化に関わるエネルギー問題を考えるときには、都市の在り方というようなことも視野に入れていかないとだめではないかと考える。
(森嶌議長)
○私も、2008年〜2012年の問題、6%かどうかという問題ではなくて、今、茅さんが言われたように、これから先に向けて社会を抜本的に考え直すというスタンスが必要と思う。当面の問題として今日の各省庁の御報告は大変有益だったと思うが、我々、国の審議会全体の視野としては、もう少し先を見た議論をしていかなければならない。
大臣のお話にもあったが、地球温暖化問題は、京都会議で1990年比で我が国については6%の温室効果ガス削減ということが合意されており、この推進大綱の意味も、この目標の達成に向けてどのように各省が努力をするかということにある。関係審議会においても、政府の温暖化対策の進展にできる限りの努力をしていく所存であり、関係府省庁におかれては、本日の御意見、御指摘を踏まえた上で、より一層の対策の推進をよろしくお願いしたい。
(以上)