令和3年1月7日新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問と回答

(質問)
 総理は昨年の臨時国会の所信表明演説で、「爆発的な感染は絶対に防ぐ」と約束しました。しかし、政府の分科会は1都3県の感染状況を、爆発的感染拡大に当たる「ステージ4」相当としています。爆発的な感染を防げなかった、約束を守れなかった結果責任について、どう考えますか。また、今回の宣言は、感染抑止と経済再生の両立を目指すこれまでの方針を転換するということでしょうか。その場合、「GoToトラベル」も誤りだったのでしょうか。緊急事態宣言を再発令する理由として「飲食のリスク」を挙げましたが、「GoToイート」も誤りだったということでしょうか。【東京新聞】

(回答)
 政府としての新型コロナウイルス対策を指揮し、国民の命と暮らしを守ることが、私に課せられている責任であると考えております。
 GoToトラベルやGoToイートについては、感染対策をしっかりと講じた上で、専門家の御意見も伺いながら、運用してまいりました。
 年末年始の感染状況を踏まえ、何としてもこの感染拡大を食い止め、感染を減少方向にもっていくため、緊急事態宣言を決断いたしました。

(質問)
 報道によると、新型コロナウイルスに感染して、自宅などで体調急変して亡くなった人が全国で少なくとも122人に上ると言われている。やむを得ず自宅・宿泊療養になった患者さんの医療支援を政府としてどうしていくのか?【ジャパンタイムス】

(回答)
 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中で、医療提供体制は更にひっ迫した状況となっており、必要な方が必要な医療を受けられるようにしていかなければならないと考えております。
 このため、まず、今般、コロナ対応の病床を大幅に増やすことができるよう、新たに対応病床を増やしていただいた場合には、1床当たり最大で約2,000万円の強力な支援を行うこととしております。
 また、軽症者や無症状者の方については、これまでも宿泊療養施設や自宅での対応を徹底しておりますが、病状が急変した場合に備え、施設には看護師が常駐するとともに、自宅の方に対しては、保健所において定期的に健康観察を行っております。感染拡大が進む中で、保健所の体制が厳しくなっているという状況も踏まえ、国において1,200名の専門職を確保し、都道府県からの要請に基づき派遣するなど、人員体制の強化を始めとした支援に取り組んでまいります。

(質問)
 東京電力福島第1原発で増え続けている放射性物質トリチウムを含む処理水の取扱いについて伺います。現行計画上のタンク設置が昨年12月に完了し、保管の限界が近づきつつあります。地元・福島県では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、処分方法や風評被害対策の議論が深まらないことへの懸念も出ていますが、政府として、東京電力に処理水のタンク増設を具体的に検討するよう指導するなどのお考えはありますか。また、首相は「いつまでも先送りすることのできない課題」との見解を示してきましたが、いつごろをめどに処分方針を決定するのか、現時点の見通しについてもお聞かせください。【河北新報社】

(回答)
 アルプス処理水について、タンクが増加し、敷地がひっ迫する中、いつまでも方針を決めず、先送りすることはできません。
 これまで6年以上にわたる専門家による検討など議論を積み重ねてきました。現在、更に政府内での検討を深めています。
 今後、適切な時期に政府として責任を持って処分方針を決めます。その際、風評対策にもしっかりと取り組みます。
 なお、タンク増設の要否については、処理水の処分方針の検討と併せて検討する必要があると考えています。

(質問)
 東京都の小池都知事は、「時短要請しても従ってもらえない」「国が緊急事態宣言を出してほしい」と発言していたと報じられています。一方、政府は「先に都に時短要請をしてほしい」との立場をとっていたと報じられています。宣言発出について、「政府は小池知事に押し切られた」との指摘もあります。小池知事との意思疎通、連携が不十分だった結果、宣言の発出が遅れたのではないでしょうか。総理の御見解を伺います。【日刊現代】

(回答)
 東京都を始めとする1都3県では、この年末年始も感染者数は減少せずに、極めて高い水準となっており、大変な危機感を持っております。こうした状況を深刻に捉え、何としてもこれ以上の感染拡大を食い止めるため、緊急事態宣言を決断しました。
 政府としては、各都道府県知事と常に緊密に連携しながら新型コロナウイルス対策を講じてきたところです。引き続き各地方自治体と緊密に連携しながら、今後の対策に当たってまいります。

(質問)
 緊急事態宣言の発令地域と非発令地域の間の移動自粛は求めないのか、理由と共にお伺いします。首相は過去に「爆発的な感染は絶対に防ぐ」と発言されましたが、爆発的感染を示すステージ4、緊急事態宣言という事態になりました。対策が、例えば飲食の場そのもののみに集中するなど不十分だったという認識はありますか。この間の対策の自己評価、結果責任への認識と併せてお伺いします。【北海道新聞】

(回答)
 専門家から感染リスクがかねて指摘されているのが飲食です。東京都で6割を占める経路不明の感染の原因の多くは、飲食が原因であると、専門家からも指摘されています。
 このため、今回は飲食店への営業時間短縮を始めとして、効果のある対象に徹底的な対策を講じてまいります。具体的には、専門家が感染防止対策の急所と指摘している飲食店の営業時間短縮だけでなく、テレワークによる出勤7割減、20時以降の外出自粛、イベントの人数制限の4点をパッケージで対策を行ってまいります。
 政府としての新型コロナウイルス対策を指揮し、国民の命と暮らしを守り抜くことが、私に課せられている責任であると考えております。何としてもこの感染拡大を食い止め、感染を減少方向にもっていくため、感染拡大防止のために全力を尽くし、ありとあらゆる方策を講じてまいります。

(質問)
 今日の緊急事態宣言に伴って開かれた衆参議運委員会についてお伺いします。野党側は首相の出席を求めていましたが、昨春の緊急事態宣言の延長や解除の際は西村康稔経済再生相が担った「前例」があるとして、自民党は応じませんでした。首相は自民党総裁でもありますので、首相が「やる」といえば出席できます。首相は「前例踏襲打破」「やれることはすべてやる」をモットーに、安倍政権時代から危機管理などに当たってきました。なぜ今回は前例を打破して、国民の代表である国会での説明を試みなかったのでしょうか。【朝日新聞】

(回答)
 国会における対応については、国会がお決めになることであります。
 国民の皆様には、引き続き、様々な場を活用して、政府として、施策の考え方を丁寧に説明してまいりたいと思います。

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