令和3年5月7日新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問と回答

(質問)
 緊急事態宣言が発出されることになった福岡県について伺います。4月16日の政府の基本的対処方針分科会で、福岡県の感染状況に専門家から強い危機感が示され、尾身茂会長はまん延防止等重点措置の適用に向け「要件はそろっている」との見解を示したことが公開された議事録で分かりました。なぜ当時、専門家の指摘に従ってまん延防止等重点措置を適用しなかったのか、措置を適用していれば、宣言を出さなければならないような感染拡大は招かなかったのではないか、判断が遅くないか、これではまん延防止等重点措置の制度を新設した意味がないのではないか。見解をお願いします。【西日本新聞】

(回答)
 福岡県については、4月下旬以降に急速な感染拡大が生じましたが、県においては、4月22日から21時までの飲食の時短措置を開始したと承知しています。
 その上で、更なる感染拡大を受けて、5月1日に、県の方からまん延防止等重点措置の適用の要請があり、具体的な内容について県側と調整を行ってきましたが、ゴールデンウィーク中における感染状況や医療のひっ迫状況を踏まえ、今回、まん延防止等重点措置ではなく、緊急事態宣言の対象とすることとしたものです。
 なお、4月16日の段階で、一部の専門家からそうした意見がありましたが、最終的には、福岡県を対象としないことで、基本的対処方針分科会の御了解を頂いたものと承知しております。

(質問)
 コロナ禍で飲食、観光業者などが苦境にある中、国会議員の歳費はどうあるべきか、総理にお尋ねします。連立を組む公明党の石井幹事長は7日、有罪が確定し当選無効となった場合に議員歳費を返還できるようにする法改正に向け、党内論議を始める考えを示しました。発端は、河井克行元法相と妻案里氏による大規模な選挙買収事件です。有罪が確定した案里氏の当選無効に伴う4月の参院広島再選挙では有権者から厳しい声が寄せられ、自民党新人が落選しました。これを受け、自民党広島県連会長の岸田前政調会長は「政治とカネ」問題をめぐって党本部に改革提言すると述べ、下村政調会長も歳費返還の仕組み作りに前向きな姿勢を示しました。野党各党もかねて、歳費法改正の必要性を訴えています。公明党の石井幹事長は、法改正について「今国会中に成立できれば望ましい」と発言していますが、総理はどのように対応しますか。質問の要点は下記のとおりです。具体的にお答えください。現在の歳費法には、当選無効が確定した場合に歳費返還を求めたり、逮捕、起訴されて国会欠席を続ける議員への支給を止めたりする規定がありません。この点を、総理はどうお考えですか。連立与党の公明党が法改正に向けて党内論議を始める考えを示し、今国会中の法改正を求める意向を表明したことを、どう捉えますか。自民党前政調会長の岸田氏が「政治とカネ」問題をめぐる改革を求める発言をし、現政調会長の下村氏も歳費返還の仕組み作りに前向きな姿勢を示したことを、自民党総裁としてどう受け止め、どのように対応しますか。発端となった河井案里氏は疑惑発覚後、国会欠席が目立ちながらも、国から歳費や期末手当など計4,942万円を受け取りました。これをコロナ禍で苦しむ飲食・観光業者を始め国民がどう受け止めているか、総理は考えたことがありますか。次期衆院選でも「政治とカネ」問題は大きな争点になると思いますが、総理はどう臨む考えですか。【中国新聞】

(回答)
 政治家は、その責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう、常に襟を正していかなければならないと考えています。
 また、国会議員の歳費の在り方や歳費等の支給については、政治活動の自由と密接に関連していることなどから、各党各会派がそれぞれのお考えを持ち寄って、御議論いただくべきものと考えています。

(質問)
 水際対策について伺います。総理は会見でも、インドで発見された変異株を念頭に水際対策強化について触れましたが、果たしてそれで本当に十分でしょうか。なぜ施設隔離を6日間ではなく14日間にするといった、より強い措置を採らないのでしょうか。5月1日の共同通信の報道によると、入国後14日間の間、入国者が誓約書に示した待機場所にいることが確認できなかったり、その場所以外にいた人が、多くて1日300人以上に上るということですが、抜本的な見直しが必要ではないのでしょうか。【ジャパンタイムズ】

(回答)
 政府としては、変異株が確認された国・地域からの入国に対する水際対策を速やかに強化してきており、既に、全ての国・地域からの外国人の入国については、原則として許可していません。
 その上で、帰国される在留邦人や在留資格保持者が再入国許可をもって再入国する場合などの特別な事情のある外国人の方についても、出国前と入国時の2回の検査や入国後14日間の待機などの誓約書の提出を求め、それに反した場合には、氏名等を公表し得るとしています。さらに、検疫法上の停留や入管法上の退去強制手続等の対象とし得ることとするなど、防疫措置を強化してきています。
 これらの措置に加え、感染者が急速に増大し、新たな変異株も確認されていることから、当分の間、インド、パキスタン及びネパールの3か国からの全ての入国者に対し、3回の検査に加え、入国後6日間、指定する施設での待機を求めることとしました。この待機期間については、これらの入国者が、入国後に3回の検査を受け、その結果が陰性であることなども踏まえて、総合的に判断したものです。
 また、その後の入国後14日間の自宅等での待機についても、スマートフォンアプリによる位置情報の確認やビデオ通話による状況確認、3日以上連絡が取れない場合などの見回りなどにより、一層徹底を図っていきます。
 いずれにせよ、政府としては、引き続き、国民の健康と命を守り抜くことを最優先に、国内外の感染状況等を見極めつつ、必要な措置を着実に講じてきています。

(質問)
 この1年余り、宣言の発令や延長は、「総合的」、という判断で直前に決まり、具体的な制限内容には、唐突感が否めません。また、総理は一貫して「専門家の意見を聞いた上で」と強調されますが、そうした慎重な進め方が必要な一方で、時に、責任の所在を押し付けているようにも映ります。それを踏まえて質問です。東京五輪の開幕が迫っています。政府としては現在、開催を大前提としていますが、変異株による第4波の状況を鑑み、「開催断念」は選択肢の一つに浮上していますか。そして、この件についても、開催都市ではありませんが、開催国の政府として、近いうちに専門家の意見を仰ぐお考えはございますか。【アドバンスニュース】

(回答)
 まずは、現在の感染拡大を食い止めるために全力を挙げてまいります。
 東京大会については、IOC(国際オリンピック委員会)は開催を既に決定しておりますが、開催に当たっては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていきます。
 昨年9月から、東京都、大会組織委員会と各省庁の調整会議を開催しており、当初より感染症の専門家2名にアドバイザーとして参加いただき、意見を伺ってきたところです。
 こうしたことを踏まえ、選手や大会関係者と一般の国民が交わらないようにする、選手は毎日検査を行う、など、厳格な感染対策を徹底してまいります。

(質問)
 愛知県への緊急事態宣言の拡大について伺います。私共の昨日までの取材では、地元愛知の関係者の間には、緊急事態措置を実施すべき地域とするより、現在発出されているまん延防止等重点措置の延長を求める声のほうが強かったように考えています。
 こうした中で、愛知県を緊急事態宣言の対象地域とされた理由、併せて、隣県の岐阜県と三重県をまん延防止等重点措置を実施すべき区域とされた理由について教えて下さい。【CBCテレビ】

(回答)
 緊急事態宣言の発出の基準については、基本的対処方針にあるように、感染状況や医療提供体制・公衆衛生体制のひっ迫状況を踏まえ、専門家の意見も聴いた上で、総合的に判断することとされています。
 愛知県では、感染が拡大し、病床の状況のひっ迫も続いている状況で多くの指標でステージ4相当であり、また、感染力が強いとされる変異株も拡大が続いています。
 岐阜県と三重県では、いくつかの指標でステージ3又は4相当であり、特定の区域で感染の拡大が見られるとともに、感染が県全体に拡大するおそれがあることから、まん延防止等重点措置を機動的に活用し、感染拡大を防止する必要があります。
 その上で、専門家や地域の状況を最も把握している自治体の意見も聴きながら、5月7日の専門家で構成される基本的対処方針分科会にも諮ったうえで、政府として最終的に決定しました。

(質問)
 首相は3月の会見で「再び緊急事態宣言を出すことがないように対策をしっかりやる」と述べましたが、3度目の発令に至りました。4月23日の会見では短期集中の対策で「ウイルスの勢いを抑え込む」と述べましたが、勢いが収まったとは言えません。首相の発言されたことが実現されず、陳謝するという光景が繰り返されることでリーダーの言葉に重みがなくなり、国民にお願いする効果が薄れていると考えますが、どうお考えでしょうか。また、こうした状況となっているこの間の対策の政治責任についてお伺いします。【北海道新聞】

(回答)
 今回の緊急事態宣言の延長により、関係の皆様に引き続き御負担をお掛けすることについて、深くおわび申し上げます。
 国民の皆さんに安心できる日々を取り戻していただくため、ワクチン接種の加速化を徹底するとともに、感染拡大を何としても食い止めることが私の責任であり、政府はもとより、医療・介護従事者、地方自治体を始め、関係する皆さんの力を結集し、先頭に立って取り組んでまいりたいと考えています。
 新型コロナの影響が長期化する中、自粛疲れや慣れといった指摘もあると承知しています。一方で、ワクチン接種を加速化することで、私たちは必ず近い将来、この局面を乗り越えることができると考えています。それまでの間、感染防止対策を徹底するためには、国民一人一人の御協力が極めて重要であり、今一度、皆様の御理解と御協力を心よりお願いします。

(質問)
 財務省の公文書改ざん問題についてお伺いします。国は6日、自死された近財局職員の赤木俊夫さんが改ざんの経緯を記したとされる「赤木ファイル」の存在を認めました。国会による真相究明や第三者による再調査の必要性についてどう考えていますか。【朝日新聞】

(回答)
 森友学園問題に係る決裁文書の改ざんについては、財務省において、事実関係を調査して、調査報告書をまとめており、さらに、検察の捜査も行われ、結論が出ているものと承知しています。
 決裁文書の改ざんはあってはならないことであり、今後も、公文書管理法に基づき、文書管理を徹底してまいります。

(質問)
 総理は、緊急事態宣言の延長に伴い、必要な人々に支援を届けるとおっしゃっていましたが、3月8日からスタートした一時支援金についてお尋ねします。ID・パスワードの発行ミスなどで、最も困っている3月中に申請した人たちの多くに支援金が届いていません。他の支援策でも同様のことが起きていると思われます。現実に支援が困窮者に届いているか、精査しフォローアップするお考えはございますか。【横田由美子氏(フリーランス)】

(回答)
 一時支援金の給付件数のうち2週間以内に給付した割合は9割超であり、給付に遅れが生じているとは考えておりません。
 なお、申請内容に不備がある、給付要件を満たさないおそれがある場合には、不備修正や追加証憑(しょうひょう)提出を依頼しております。
 審査に時間を要している場合もありますが、引き続き、困難な状況に直面している事業者の皆様に、迅速かつ適切にお届けできるよう、全力を尽くしてまいります。

関連リンク