令和3年9月28日新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問と回答

(質問)
 総理は、会見で「闘いに明け暮れた日々だった」と振り返りました。総理は肩の荷を下ろすことができますが、国民はこれからもコロナ禍から逃れられません。無責任だという声があることに対し、総理はどう思われますか。【中国新聞】

(回答)
 私自身は、自分の任期の限り、新型コロナ対策に全力を尽くしてきました。
 緊急事態宣言などを全て解除し、段階的に制限を緩和することで安心とにぎわいのある日常に向けた道筋を付けることができました。無責任との指摘は当たらないものと考えています。

(質問)
 官房長官時代を含め菅義偉総理の沖縄に対する政策についての御質問です。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に関しては、沖縄県知事が反対するほか、2019年の県民投票の結果を見ても、根強い反対の民意があります。しかし、菅総理は「県民に寄り添う」「沖縄県民の理解を得ていく」とおっしゃりながら、名護市辺野古の新基地建設をこれまで強行してきました。退任を前に、県民の民意を無視する形で移設工事を進めてきたことに対して、どのように思われ、お考えでしょうか。記者会見で総理は任期中、政策に道筋を付けてきたとおっしゃっていましたが、普天間移設で沖縄県民の理解を得ることはできた、道筋を付けたとお考えでしょうか。そして次の総理に対して、移設工事を中断し沖縄県の理解を得るよう求めるお考えがあるのでしょうか。来年に日本復帰50年を迎える沖縄と次期政権や菅総理としてどう向き合っていけばいいのか、お考えがあればお聞かせください。【琉球(りゅうきゅう)新報】

(回答)
 世界で最も危険と言われる普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない。これは、政府と地元の皆様との共通認識だと思います。
 日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であり、この方針に基づき着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の危険性を除去することにつながります。
 政府としては、様々な機会を捉えて、沖縄県の考えを伺いながら、平成25年に当時の県知事から埋立承認を頂き、自然環境や住民生活にも最大限配慮して、工事を進めてきたところであり、普天間飛行場の全面返還に向けた道筋を付けることができたと考えています。
 次期政権におかれても、辺野古移設に向けて全力で取り組むとともに、地元の皆様の御理解を得る努力を続けてもらいたいと思います。
 私は、これまで、できることはすべて行う、目に見える形で実現する、という考えの下、沖縄のために全力を尽くし、那覇空港第二滑走路の整備や、北部訓練場の返還、市道宜野湾11号線の全線開通などを実現してきました。
 来年は、沖縄の本土復帰から50年です。次期政権におかれても、沖縄の振興や基地負担軽減を目に見える形で実現するべく、粘り強く取り組むことを期待します。私も、引き続き、沖縄のために全力を尽くしてまいります。

(質問)
 総理は28日の記者会見で、総理大臣と官房長官の違いを問われ、「最終決定者であるかどうか。そこは極めて重いものがある」とおっしゃられました。その権限行使の一つに、日本学術会議人事の任命拒否があると思います。学術会議側から推薦された候補6人は、なぜ任命が見送られたのでしょうか。総理がおっしゃってきた「総合的・俯瞰(ふかん)的観点」では理由やプロセスがよく分からず、アカデミズムからの根強い不信感は残念ながら拭い去れていません。事実、当事者である6人だけでなく第三者の立場で文書開示を求めている弁護士や学者ら約480人が、拒否の理由や経緯を記録した行政文書を内閣府などが開示しないのは違法として、行政不服審査法に基づき、8月20日に政府に審査請求を申し立てています。こうした動きをどう受け止めていますか。この問題は、学術会議の独立性、政治と学問の関係性に影響を及ぼす問題であり、うやむやにしたままでは今後に禍根を残すこととなり、双方にとって不幸なことだと考えます。任命権者は内閣総理大臣であり、この問いには菅総理しか答えられないと思います。説明責任を果たす意味でも、最後に記憶をたどって明確にお答えいただけないでしょうか。また、今後の会員の任命の在り方について、時の総理が同様に任命を拒否する権限を行使することは、あってしかるべきだとお考えでしょうか。【京都新聞】

(回答)
 日本学術会議の会員の任命については、日本学術会議法に沿って、学術会議に求められる役割等も踏まえて、任命権者として判断を行ったものであり、そのことは繰り返し説明してまいりました。
 憲法第15条第1項は、公務員の選定は国民固有の権利と規定しており、この憲法の規定に基づき、日本学術会議法では会員を総理が任命することとされていることから、この任命に当たっては必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではないという点については、政府としての一貫した考え方であり、今後の任命も日本学術会議法に沿って行われるべきものと考えています。
 行政文書の開示請求に対しては、請求を受けた行政機関において、法令に従い対応することとしています。

(質問)
 菅総理の記者会見に関する朝日新聞(9月28日付朝刊)記事によると、これまで計19回の会見で(幹事社質問以外の)一般の質問ができた回数が最少だったのは東京新聞の1回だった。東京新聞は9月28日の会見でも質問できなかった。なぜ、質問できる社に偏りがあるのか。質問者は誰が、どうやって決めているのか。その判断に菅総理も関与してきたのか。全社が偏りなく質問できるように、例えば事前にくじ引きやさいころで決める、または五十音順にするなど公平な仕組みが必要ではないか。次期政権にそうした改善策を引き継ぐ考えはあるか。【時事通信】

(回答)
 記者会見における質問者については、冒頭に幹事社から2問をお受けする以外は、内閣広報官が、内閣記者会とフリーランス等のバランスなどを勘案して指名しているものと承知しています。
 いずれにせよ、記者会見は、国民の皆さんに対する政策の説明・発信のための貴重な機会と考えており、次期政権においても適切に対応していくものと考えます。

(質問)
 菅総理は安倍政権を継承しましたが、国民が安倍政権に対して疑念を持つ「負の遺産」の象徴である森友学園問題や、「桜を見る会」問題で再調査はしませんでした。参院選広島選挙区での買収事件でも、昨年の総裁選で「責任を持って対応する」と約束しましたが、自民党本部からの1億5,000万円が買収の原資になった疑惑はまだ残っています。安倍政権の「負の遺産」になぜ向き合わなかったのでしょうか。政治不信を増大させた責任は感じていますか。【東京新聞】

(回答)
 御指摘のような事案について、国民の信頼を大きく損なったとの批判があることは、重く受け止めており、国会等において必要な説明をしてまいりましたが、いずれにせよ、政治家は、国民の皆様から厳しい目が向けられていることをしっかりと認識し、自ら襟を正し、政治活動を行っていくべきだと考えています。

(質問)
 菅総理にお伺いします。この高市氏の「敵基地無力化論」を支持しますか、反対されますか? その理由を含め、御見解をお聞かせください。【岩上安身氏(フリーランス)】

(回答)
 総裁選における各候補の主張について、逐一支持や反対を述べることは差し控えます。

(質問)
 総理が官房長官を務めた安倍政権から、その後を継いだ菅政権に至るまでの総括についてお伺いします。森友学園問題の文書改ざんや日本学術会議の委員任命拒否などで、行政にひずみが出ている、強権的で異論に耳を貸さない体質があるとの指摘がありました。こういった批判に今、どうお答えになりますか。また総理は菅政権とはどのような政権だったと総括されますか。さらに、NHKの質問の中で自民党総裁選に向けた誤算に関する質問への回答がありませんでした。この回答も含め、お伺いします。【北海道新聞】

(回答)
 様々な事案について、頂いた批判についてはしっかりと受け止め、ルールの遵守を徹底し、国民の期待に応えられるようにしていかなければならないと思います。
 私自身は、政治家として常に幅広い方々のお話を伺い、政策実現に取り組んでまいりました。その姿勢は今も変わりません。
 私の政権を振り返ると、国民の命と暮らしを守ることを最優先に、新型コロナ対策に明け暮れた1年でした。
 その中で、とりわけワクチンと治療薬こそが、状況を打開する決め手となると考え、できる限り多くの方に一日も早くお届けできるように取り組んでまいりました。
 そうした取組の結果として、緊急事態宣言を解除し、飲食などの制限を段階的に緩和することとなりました。
 このほかの政策についても、改革を進め、多くの課題に対処することができました。長年の課題にも挑み、グリーン、デジタル、不妊治療、社会保障改革など未来を担う世代のための改革に道筋を付けることができました。ALPS(多核種除去設備)処理水など、先送りできない課題にも、責任を持って対応してきました。
 持てる力を全てつぎ込んで働いてきたつもりです。やり残したことも、もちろんありますが、国民の安心を取り戻すため、日本の未来のため、できるだけのことはやりました。誤算などなく、悔いはありません。

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