令和5年12月13日岸田内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答

【ジャパンタイムズ】
 防衛増税に関し、「決められない政治」との批判の払拭と、実質賃金が下げ止まらない中で国民に負担を求めることについて

(回答)
 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置については、先日(12月14日)とりまとめられた令和6年度与党税制改正大綱において、
・ たばこ税について、より具体的な税制改正の方向性が示された上、
・ 昨年の閣議決定の内容に加え、上述のたばこ税の方向性に沿って検討し、適当な時期に必要な法制上の措置を講ずることを、次期通常国会に提出する税法の附則において明らかにする旨が示される
といった一定の前進が図られており、「決められない政治」とのご指摘はあたりません。
 実質賃金についてのご指摘ですが、税制措置については、国民の負担感をできるだけ抑える観点から、現下の家計の所得や約94%の法人にとっては負担増とはならないよう、個人・法人への影響に最大限配慮する仕組みにすることとしています。
 更に、その実施時期については、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応等を踏まえ、柔軟に判断することとしています。
 引き続き、国民の皆様にご理解をいただけるよう丁寧な説明を行うとともに、国民の命と我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くため、防衛力の抜本的強化を速やかに実現してまいります。

【ニッポン放送】
 政治資金問題に対するこれまでの閣僚等の答弁について(適切性、かん口令やテンプレート的な回答の指示の有無)

(回答)
 自民党の各政策集団の政治資金パーティーについて様々な指摘がなされ、その結果として、国民の政治に対する信頼が揺らぎ、自民党全体に対しても厳しい目が向けられているところです。
 会計処理の実務や個々の議員が置かれた状況は、政治団体ごと、議員ごとに様々であることから、国会等の場における閣僚等の説明の状況を一概に評価することは困難ですが、いずれにしても、各政治団体が、適切な説明をできる者に適切に説明をさせるということが重要であり、自民党総裁の立場からも、各政治団体に丁寧な説明をさせるよう、幹事長に指示をしているところです。引き続き、これを徹底させます。
 なお、国会等の場における一連の説明に関し、官邸から各閣僚等に対して、「かん口令やテンプレート的な回答」を指示した事実はありません。

【信濃毎日新聞】
 政治資金問題を受けた閣僚交代の趣旨及び検察が捜査中の段階における記者への議員の回答姿勢について

(回答)
 14日の政務三役等の人事については、所属する政策集団がどこかということで判断したものではなく、政治資金の問題が連日大きく報道されるという状況の中で、政治の信頼回復と国政の遅滞回避のため、一人一人の意向、事情を勘案してそれぞれ判断したものです。
 現在、関係する政治団体における事実確認等が行われている中で、会計処理の実務や個々の議員が置かれた状況は、政治団体ごと、議員ごとに様々であることから、報道陣に対する閣僚等の説明の状況を一概に評価することは困難ですが、いずれにしても、各政治団体が、適切な説明をできる者に適切に説明をさせるということが重要であり、自民党総裁の立場からも、各政治団体に丁寧な説明をさせるよう、幹事長に指示をしているところです。引き続き、これを徹底させます。

【新潟日報社】
 拉致問題担当相交代に関し、閣僚の任命権者としての責任及び帰国に向けた動きに与える影響について

(回答)
 拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題です。拉致問題は岸田政権の最重要課題であり、いかなる状況においても、拉致問題の解決に遅滞が生じるなどということはあってはなりません。
 自民党の政治活動に政治資金の観点から厳しい目が向けられる中で、政治の信頼回復と拉致問題への対応を含む国政の遅滞回避のため、任命権者として、拉致問題担当大臣等の人事を行いました。
 日本国内では、御家族はもとより国民の間に差し迫った思いが一層強まっています。こうした差し迫った思いをしっかり共有しながら、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、引き続き、全力で果断に取り組んでまいります。
 拉致問題担当大臣の後任は、林芳正さんにお願いしました。林芳正さんには、御家族の皆様に寄り添いながら、拉致被害者の方々の御帰国の実現に向けた環境整備や、拉致問題に関する啓発活動などに全力で取り組んでいただきたいと考えております。

【TBSラジオ】
 「捜査に影響を与える可能性がある」ことを理由とした各種発言の意図について

(回答)
 12月8日の衆・参の予算委員会において、自民党の各政策集団の政治資金パーティーに関する政治資金の取扱い等について質問を受けた際、私自身、捜査中であるとの報道を前提として「政策集団の問題について、今、告発を受けていると承知をしております。これについて私の立場で発言することは、捜査に影響を与えるおそれがあります。」などとお答えをしたところです。
 一般論として申し上げれば、捜査は不偏不党かつ公平中立に行われるべきものであるところ、内閣総理大臣の立場から現に捜査中と報道されている個別具体の事案に関する事柄を発言することは、捜査に様々な影響が及ぶおそれや捜査の公平中立に疑念を抱かせるおそれなどがあることから、適切でないものと考えます。

【The Diplomat】
 オスプレイ事故に関連し、飛行訓練ルートの米側への情報請求と日米地位協定の見直しについて

(回答)
【米軍機の飛行ルートの情報請求】
 米軍機の飛行訓練は、パイロットの練度維持・向上のために必要不可欠な要素であり、日米安保条約の目的達成のため、極めて重要です。他方、米軍は、全く自由に訓練を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきであることは当然です。
 米側からも、飛行に際し安全確保は最優先であり、国際規則や日本の国内法に整合的な米軍の規則に従って行われているとの説明を受けています。
 政府としては、引き続き米側に対し、安全面に最大限配慮し、地域住民への影響を最小限にとどめるよう求めてまいります。
【日米地位協定の見直し】
 日米地位協定と、米国と他国と締結している地位協定との比較については、地位協定そのものの規定ぶりのみならず、各国における米軍駐留の在り方、実際の運用、安全保障環境等の背景等も含めた全体像の中で検討する必要があり、単純に比較することが適当とは考えていません。
 その上で、日米地位協定については、これまで、手当すべき事項の性格に応じて、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきているところであり、今後もそのような取組を積み上げていく考えです。

【横田氏】
 診療報酬改定について

(回答)
 30年ぶりの経済の明るい兆しを経済の好循環につなげるには「物価に負けない賃上げ」の実現が必要です。
 医療・介護・福祉分野において率先した賃上げ姿勢を示すことが必要と考えており、診療報酬改定においては、現場で働く幅広い方々の処遇改善として、令和6年度にベア2.5%、定昇分を入れれば4.0%を実現するために必要な水準を措置することを検討しています。
 賃上げ促進税制の強化とあわせ、公的価格のあり方を見直し、処遇改善加算の仕組みを拡充することで、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築したいと考えています。
 また、薬価については、市場実勢価格を踏まえて改定することを基本としています。その上で、次期薬価改定に当たっては、医薬品の安定供給を確保しつつ、「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」を両立することが重要と考えています。
 以上のような観点から、現在、最終調整が行われているところであり、政府としてしっかり結論を出してまいります。

【大川氏】
 ボトムアップの改革等による政治資金パーティー問題の再発防止について

(回答)
 自民党の各政策集団の関係団体における会計処理の実務は、政治団体ごとに様々であることから、まずは、各政治団体が、それぞれの問題の原因や課題等をしっかりと把握し、今後同様の問題が起きないようにするためには何が必要なのかを共有することが重要と考えます。
 また、党としても、各政治団体の状況をしっかりと把握しつつ、国民の信頼回復のために必要な対応を果断に講じてまいります。
 具体的な方策については、今後明らかになる問題の原因や課題等を踏まえて判断することが重要と考えますが、その過程では、党所属の議員とも膝詰めの議論を集中的に行うなど、党全体で一致結束して、国民の信頼回復のための取組を進めてまいります。

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