内閣内政審議室
コンピュータ西暦二千年問題に関する政府の取組について御説明申し上げます。
コンピュータ・プログラムが二千年以降の日付に対応していない場合に正常に機能しないという二千年問題は、その対応を誤れば国民生活や企業活動に支障が生じ、我が国の高度情報通信社会の構築に向けた信任を揺るがしかねない重大な問題であると認識しております。
二千年問題の重要性、緊急性に鑑み、昨年九月、小渕内閣総理大臣のイニシアティブにより、内閣総理大臣を本部長とする高度情報通信社会推進本部において、二千年問題の対応に万全を期すための具体的な行動計画を決定したところでございます。
その際、同推進本部の下に、民間重要分野の枢要な地位にある方々から構成される「コンピュータ西暦二千年問題に関する顧問会議」及び全省庁の事務次官等による「コンピュータ西暦二千年対策推進会議」を設け、政府の取組体制を抜本的に強化したところであります。
昨年九月に決定いたしました「コンピュータ西暦二千年問題に関する行動計画」におきましては、まず第一に、新聞、テレビなど多様な媒体を通じ、集中的に政府広報を実施し、民間の取組と併せて、政府として幅広く国民に対して、二千年問題への対応を徹底させることといたしております。
これと同時に、関係省庁において、総括責任者の下、体制を整備し、二千年問題対応窓口を設けるとともに、官邸ホームページを関係省庁等とリンクさせた上で二千年問題に関する情報を掲載し、広く情報の提供に努めているところでございます。
第二に、二千年問題により国民生活や企業活動に支障を生じさせることのないよう、中央省庁、地方公共団体及び民間部門において、コンピュータ・システムの修正、模擬テストを行うことを含めた総点検を強力に進めております。
特に、金融、エネルギー、情報通信、交通、医療等の民間重要分野や中央省庁の保有するシステムにつきましては、本年六月末までの模擬テストの原則完了を目標に計画的に対応が進められております。
第三に、危機管理につきましては、二千年問題が起こることがないよう修正作業を徹底することが第一義であることを大前提とした上で、個々のシステムの誤作動など万が一の場合に備えた個々の危機管理計画を策定することとしております。現在、中央省庁、地方公共団体、民間部門それぞれにおいて、精力的に取組が進められているところでございます。
この点に関しまして、企業における危機管理計画の策定を促すため、本年四月に、政府として、「企業のための危機管理計画策定の手引き」を作成し、官邸及び関係省庁のホームページに載せるとともに、中小企業を中心に幅広く配布いたしたところであります。
また、地方公共団体に対しましても、「地方公共団体のための危機管理計画策定の手引」を作成し、すべての都道府県及び市区町村に配布し、危機管理計画を関係各省庁の指導も参考にしつつ早急に策定するよう要請したところです。
このような行動計画に基づく各分野の対応状況につきましては、四半期ごとに定期的にフォローアップし、「コンピュータ西暦二千年対策推進会議」及び「コンピュータ西暦二千年問題に関する顧問会議」で御議論をいただいた上で、公表することとしており、直近では、本年四月に両会議を開催し、公表いたしております。
最新の調査結果につきましては、主なものを申し上げれば、次のとおりです。
金融分野につきましては、昨年十二月末までに重要なシステムについて全金融機関の七十三パーセントが修正を完了し、五十六パーセントが模擬テストを完了いたしており、本年六月末には、九十六パーセントの金融機関が模擬テストを完了する見込みとなっております。
重要システムの中でも最重要の決済システムについては、日銀ネットをはじめとする決済システムの共同接続テストが、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、取引所会員証券会社等の参加の下、昨年十二月から四回実施されており、これまで特段の問題はないことが確認されてきております。
電力分野につきましては、本年三月末時点で、制御系重要システムの模擬テスト進捗率は八十八パーセント、六月までに九十八パーセント、十一月までにすべて完了する計画となっております。また、制御系重要システムについては、すべてのシステムについてマイクロチップの設計及びそのプログラム等まで調査した結果、電力供給を直接コントロールする機能については、マイクロチップも含め年月日情報を用いていないことから、停電や電圧異常等供給上及び保安上支障となる事態は発生しないことが確認されております。
電気通信分野につきましては、電話・専用線等の通信系の重要システムの六十九パーセントが模擬テストを完了、六月末までに九十九パーセント完了する見込みとなっております。
航空分野につきましては、航空管制システムについて本年三月までに模擬テストを実施し、問題がないことが確認されております。国際的な共同模擬テストについても、米国、香港との共同テストを成功裡に終え、その他の近隣諸国に対しても、共同模擬テストの実施を働きかけ、所要の調整を行っているところであります。定期航空会社の制御系システムの重要システムは、模擬テストを三月に七十九パーセント、六月には一社を除き完了予定、残りの一社も七月には完了予定となっております。
また、危機管理計画の策定につきましては、金融、電力、航空分野等のほとんどの企業は六月末までに策定を終える予定といたしており、その他の民間重要分野の企業についても概ね九月末までに策定する見込みとなっております。
対応の遅れが懸念される中小企業につきましても、その対応は着実に進捗しつつありますが、未だ具体的な対応に着手していない企業も相当残されているものと推定されます。このため、危機管理計画の策定を含め二千年問題に対する取組の重要性に関する普及・啓発に努めるとともに、各種支援策を総合的に展開しているところであります。
中央省庁の保有するシステムにつきましては、国民生活などに密接に関連する重要システム五百五十五件のうち六十七パーセントの三百七十三件が三月時点で既に修正等を完了しており、機器の更新時期や新システムへの移行時期との関係などやむを得ない事情があるものを除いた、全体の九十二パーセントの五百十一件が六月末までに模擬テストを完了する予定となっております。
地方公共団体につきましては、すべての都道府県で六割以上の進捗率であり、概ね終了している団体が六十パーセントとなっております。また、市区町村につきましては、ほぼ百パーセントの市区町村で修正作業に着手しており、概ね終了している団体は五十四パーセントとなっております。
このように、各分野において格段の進捗が見られ、他の先進諸国と比較しても遜色のない状況となっていると考えておりますが、今後とも、より一層の対応を進めることが必要であると考えております。
最後に、二千年問題への対応に当たって重要な点を二点述べたいと思います。
まず、二千年に向けて、正確な情報がないために、国民の皆様がいたずらに不安を感じることのないようにすることが重要であります。このため、本年四月に、家電製品や電話から電力、水道まで国民の身の回りの製品等について、その二千年問題への対応状況をとりまとめ、公表いたしました。今後とも、民間による情報の積極的な公表を促すとともに、政府といたしましても、国民の視点に立った適切な情報提供に努めてまいる所存であります。
次に、コンピュータ・ネットワークが国境を越え、世界各国を結び合わせている今日、本問題への対応は、各国共通の課題であり、我が国としても、国際的な取組に積極的に貢献してまいる所存であります。
日米間では、昨年九月の日米首脳会議を受けて設置した日米共同作業部会を通じ、日米共同模擬テストの実施を含め、緊密な意見交換を進めているところであります。このほか、G8や国際連合等国際的な場での議論に積極的に参加しているところであります。
また、四月十九日から三十日まで、小渕内閣総理大臣が提唱いたしました「APEC・Y2K週間」が開催され、アジア・太平洋諸地域において一斉に二千年問題への集中した取組が行われました。我が国といたしましても、国際シンポジウムを共催するとともに、APEC途上国メンバーに我が国の専門家を派遣し、セミナーを開催したり、関係者を対象に日本で研修を行うなど積極的に貢献してきております。今後とも、企業のための危機管理計画策定の手引きの翻訳を始め、我が国として有するノウハウすべてを提供し、諸地域の取組を支援してまいります。
以上がコンピュータ西暦二千年問題に関する政府の取組についての概要であります。
政府といたしましては、今後とも、行動計画に基づき、模擬テストの実施など官民を挙げた総点検や危機管理計画の策定等を進め、その対応に万全を期してまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。