産業構造改革・雇用対策本部

総 合 雇 用 対 策
〜雇用の安定確保と新産業創出を目指して〜

平成13年9月20日
産業構造改革・雇用対策本部決定



 我が国が未来への発展基盤を構築し、潜在的な成長力を現実のものとし、真に経済を再生させていくためには、聖域なき構造改革を進めていくことが不可欠である。

 現在の我が国の経済は、7月の完全失業率が5.0%となるなど、雇用情勢を始めとして一層厳しさを増している。今後、不良債権処理の進展に伴い、雇用情勢が更に悪化する可能性も否定できない。こうした時こそ、痛みを最小限に抑えながら、新しい成長の基盤を構築していくことが必要である。

 このため、以下の3つの課題に対応するための施策を一体的に講じていくことが必要である。

 第一に、「雇用の受け皿整備」のため、思い切った規制・制度改革を通じた新市場・新産業を育成することが必要である。
 第二に、「雇用のミスマッチ解消」のため、労働移動が円滑に行われるよう、官民の連携による職業紹介、能力開発を積極的に推進し、人材の適材適所を実現することが必要である。
 第三に、「セーフティネットの整備」を行い、広く国民が安心感を持って生活し、新たな意欲が喚起されるよう努めることが必要である。

 このような観点から、産業構造改革・雇用対策本部において、緊急かつ重点的に取り組むべき総合的な施策パッケージを「総合雇用対策」としてとりまとめた。


I.雇用の受け皿整備
〜 新市場・新産業の育成による雇用創出 〜

1.新市場の創出

 医療福祉、環境などの分野は、我が国の新しい市場創出の鍵を握る。競争的・効率的な医療福祉システムや、環境共生型の経済社会の構築などに取り組み、これらの分野の市場を拡大するとともに、質の高いサービスの提供等、国民のニーズに応える。
  1. 保育分野:待機児童ゼロ作戦等の推進(U6.に後掲)

  2. 介護分野:介護サービスの供給体制の充実

  3. 医療分野:医療システム改革と医療市場の創出

  4. 環境分野:循環型社会の形成、省エネ・新エネ関連産業の拡大

2.開業創業倍増プログラム

 開業・創業を5年で倍増し(現在18万社/年)、市場創造の源となるよう、資金面、人材面等の環境整備を進めるとともに、中小企業の経営革新を強力に支援する。また、地域再生産業集積(産業クラスター)計画を推進し、世界に通用する新事業が展開される産業集積を形成する。
  1. 開業創業、経営革新促進のための環境整備
  2. 地域再生産業集積(産業クラスター)計画の推進

3. 技術革新による新事業の創出(イノベーションの促進)

 世界最高水準の大学づくりに向けて大学に競争原理を導入し、その基盤を強化する。また、基礎研究力を保有する大学とベンチャー企業群との近接性を高めることにより、大学発ベンチャーの創出を加速する(3年で1,000社)とともに、地域の特性を活かしつつ、地域科学技術振興を推進する。

4.産業競争力の強化

 我が国の中長期的な発展の礎となる産業競争力の強化のため、ライフサイエンス等4分野への研究開発投資の重点化や民間研究開発を支援する。また、企業経営の機動性を高めるとともに、企業活動の円滑化及び商業の活性化のための制度を整備し、チャレンジする企業を支援する。

 また、IT、物流、都市等の成長分野においても、規制改革の着実な推進等により、新たな市場と雇用の創出を図る。


II.雇用のミスマッチ解消
〜 官民の連携強化、能力開発、就業環境の整備 〜

1.ミスマッチ解消のための連携の強化

 雇用のミスマッチを解消させるため、官民連携した求人情報の提供、職業紹介と職業訓練の連携による早期再就職の促進等に努める。

2.個人の主体的な能力開発を推進するシステムの整備

 求人・求職者間における能力のミスマッチを解消するため、企業主導の能力開発に加え、個人が主体的に能力開発を行うことにより、柔軟で質の高い技術と能力を有する労働者を育成する。

3.民間活力を活かした多様な能力開発機会の確保・創出

 職業訓練校等の公共職業訓練とともに、民間教育訓練機関を十分に活用して委託訓練を進め、多様な能力開発機会を確保・創出する。

4.大学・大学院等を活用した高度な人材の育成

 大学・大学院等を活用し、高度な人材を育成する。

5.中高年齢者等の就業促進

 求人・求職者間の年齢による雇用のミスマッチの解消等を通じて、中高年齢者等の就業を促進する。

6.女性が働き続けられる経済社会基盤の構築

 子育て支援機能の強化など、女性が安心して、子供を産み育てることができるような社会的環境を整備する。

7.就業形態の多様化に対応した環境整備

 労働者の多様な働き方を可能とする労働環境を整備する。

8.労働者派遣制度の見直し

 厳しい雇用失業情勢に対応するとともに、労働市場の基盤整備の一環として、労働者派遣制度の見直しを行い、労働力需給調整機能の強化を図る。

9.職業紹介制度の見直し

 労働市場の基盤整備の一環として、職業紹介制度の見直しを行い、新たな雇用が創出される分野への円滑な労働移動を促進する。



III.セーフティネット整備

1.地域のニーズを踏まえた雇用創出

 地域の実情に応じた雇用創出を推進していくため、改正雇用対策法の施行にあわせ見直しをする助成金制度の効果的な運用に努めるとともに、今年度までの事業である「緊急地域雇用特別交付金」の見直しを行う。

2.就職支援特別対策パッケージの実施

 当面かつ最大の課題である不良債権処理等の推進に伴って生ずる雇用への影響を最小限に抑え、雇用の安定を図っていくため、各種助成金の積極的活用を行うなど、就職支援特別対策パッケージを早急に発動する。

3.失業なき労働移動の強化

 離職を余儀なくされる労働者が円滑に再就職することができるようにするため、各種助成金の積極的な活用を図るとともに、民間と連携した失業なき労働移動のための取組を強化する。

4.失業者の生活の安定と就業の促進

 失業者の生活の安定と就業の促進を図るため、失業者に対する各種の支援措置を実施する。

5.「緊急雇用対策法案(仮称)」の制定

 現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえ、失業者の生活の安定と再就職の促進に必要な措置を緊急に講ずるため、訓練延長給付制度の拡充、経営革新を行う中小企業に対する雇入れ助成及び労働者派遣に関する臨時特別措置の創設(中高年齢者について派遣期間の1年制限を3年に延長)などを内容とする「緊急雇用対策法案(仮称)」を臨時国会に提出する。(臨時国会に法案提出予定)

6.中小企業に対するセーフティネットの充実

 構造改革の進展と合わせ、潜在力を持ちやる気のある中小企業等の創業・経営革新を支援するとともに、そのような中小企業等が連鎖的に破綻することを回避し、経営再生を支援するため、新たな中小企業向けの金融上の措置を含め、セーフティネットの一層の充実を図る。