昭和4年に竣工した現在の総理大臣官邸は、築後70年を経過する中で老朽化、狭隘化が著しく、激動する社会経済情勢の変化に対応して求められる機能を充足するにはもはや限界を露呈している。 政府においては既に昭和50年代から現在の総理大臣官邸の建て替えの検討を進めてきたが、昭和62年に新たな総理大臣官邸の整備について閣議了解し、爾来、新官邸敷地の基盤整備等を進めるとともに、平成8年度より建設大臣官房官庁営繕部において設計に着手し、現在まで鋭意作業を進めてきた。 この間、『総理大臣官邸整備に関する懇談会』『新官邸における危機管理等のあり方に関する懇談会』『新官邸の基本設計に関する有識者会議』等の場を通じて、各界の有識者の叡智を集め、新官邸の設計全般にわたり御助言をいただいてきた。 一方、我が国の財政をめぐる状況が厳しさを増す状況の中で、財政構造改革の趣旨を踏まえ、新官邸についても今年度の着工を先送りしたが、現在の内閣機能強化、とりわけ危機管理機能の強化をめぐる情勢や既に限界を露呈している現官邸の現状を踏まえると、新官邸の整備はもはや一刻の猶予も許されない。 このため、来るべき21世紀に向けた新たな行政システムの構築に併せ、内閣総理大臣及び内閣が求められる役割と機能を十全に発揮できるよう、新しい総理大臣官邸を今こそ建設し、21世紀に向けた躍動感あふれる社会の構築に向けた着実な一歩を踏み出すこととする。 【危機管理機能の強化】 また、老朽化の著しい現官邸は首都直下型等大規模地震に対して官邸として必要な機能の保全を図ることは困難であり、このような状況を放置することは許されない。 このため、新官邸の整備により、緊急事態に際して、迅速な情報収集、的確な意思決定を行い、政府の中枢として総理大臣官邸に求められる役割を十全に発揮できるようにする必要がある。
【内閣機能の強化】 しかしながら、現官邸は狭隘化が著しく、現在の補佐スタッフさえ十分に収容できないのみならず、必要な情報通信機器、OA機器の設置も物理的に困難であり、国際化、情報化等時代の変遷の中で、官邸として求められる執務機能を充足することは困難となっている。 このため、新官邸の整備により、内閣機能強化に伴う総理の補佐スタッフの増強に対応した受け皿の確保と時代の変化に対応した執務環境の整備を図る必要がある。
【行政改革の実施時期を踏まえた早期整備】 一方、昨年12月の行政改革会議最終報告においては、内閣機能強化、危機管理機能強化を施設面から担保するため、行政改革の実施時期を踏まえ新官邸をできる限り早期に整備すべきことが指摘されている。 このため、行政改革の開始時期を踏まえ、21世紀に向けた新たな行政システムの構築に併せ内閣機能強化を実効あらしめるため、行政改革の実施に遅れることなく新官邸を早急に整備することが必要である。
【敷地利用計画】 新官邸は、国会議事堂、最高裁判所と並び我が国を代表する建築物としての位置づけを明確にするため、これらの建物の配置軸線に合わせて配置する。 新官邸敷地には、新官邸本館のほか、新総理大臣公邸、官房長官公邸、内閣宿舎、危機管理用臨時宿泊施設等を配置する。 現官邸は、曳家、改修の上、新総理大臣公邸として利用する。 新官邸本館東側には、十分な広さのフロントヤードを確保し、新官邸の表玄関にふさわしい空間を構成するとともに、緊急時にはヘリコプターが離着陸できるよう整備する。また、本館南側には、本館の迎賓機能及び中庭と一体的に利用できるよう庭園を整備する。なお、庭園等の詳細については今後検討する。
【新官邸本館の構成】 5階には内閣総理大臣、内閣官房長官、内閣官房副長官等の執務室、4階には閣議室、接見室等の会議室及び総理の補佐スタッフが総理の直近で総理の意向を踏まえながら執務できるよう内閣執務室を配置する。 特に内閣執務室については、今後の内閣機能の強化に対応するとともに、弾力的かつ柔軟な対応できるよう配慮する。 3階の正面玄関ホールを1層下った2階にはレセプションホール、貴賓室等迎賓関係諸室を配置する。 1階には記者会見室、記者クラブ室をはじめとする広報関係諸室を配置する。 地階には、危機管理センターを配置する。 屋上はヘリコプターが離着陸できるよう整備する。
【危機管理機能の充実】 このため、政府の危機管理の中枢となる危機管理センターとして、対策本部会議室、 対策事務室、幹部打合せ室、24時間体制で情報収集にあたる情報集約室などを配置し、危機管理のための十分な専用スペースを確保する。 また、情報通信の設備、機器については、通信の輻輳、障害を受けにくく、最新のマルチメディアに対応した設備、機器を整備するとともに、将来の通信分野の技術革新に対応できるよう配慮する。 さらに、災害時等においても官邸としての十分な機能が発揮できるよう、耐震性を含む新官邸建物の安全性、信頼性の確保を図るとともに、特に危機管理センターについては電気、ガス、水道などの途絶時にも機能の保全が図れるよう信頼性の向上を図る。 また、緊急時に迅速な参集等が可能となるよう、新官邸屋上及びフロントヤードはヘリコプターが離着陸できるよう整備する。
【新官邸本館のデザイン】 東面、南面及び西面は、ガラスを使用することにより、明るく、透明感のある外観を構成し、国民との親近感を表現する。この際、安全性の確保に十分配慮する。 さらに、日本建築の素材である『木』を外から見えるようガラスの内側に使用することにより、日本を感じることのできるよう配慮するとともに、官邸にふさわしい品位や優雅さ、あたたかみや親しみを表現する。 また、建物全体に大屋根をかけ日本を感じられるような特徴あるスカイラインを演出することにより、官邸にふさわしい正面性と安定感を表現するとともに、周辺からの見下ろしに配慮する。さらに、日本の建築の有する建物の『内』と『外』の有機的なつながりを意識した空間を構成する。
【安全性・信頼性の確保】 また、電力、ガス、水道などの2系統化を図るとともに、主要機器の二重化、熱源用燃料の多元化等によりバックアップを図る。 【地球環境保全への取り組み】 【高齢者、障害者等への配慮】 【周辺環境への調和】
【新官邸本館】
(注)上記スケジュールについては、平成10年8月28日に公表した資料である。
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