司法制度改革審議会

司法制度改革審議会 第23回議事概要



1 日時 平成12年6月27日(火)13:30〜17:07

2 場所 司法制度改革審議会審議室

3 出席者
(委員、敬称略)
佐藤幸治会長、竹下守夫会長代理、井上正仁、北村敬子、鳥居泰彦、中坊公平、藤田耕三、水原敏博、吉岡初子
(事務局)
樋渡利秋事務局長

4 議題
@ 「国民がより利用しやすい司法の実現」及び「国民の期待に応える民事司法の在り方」について(意見交換及び取りまとめ)
A 夏の集中審議について
B 公聴会・実情視察について

5 会議経過

@ 「『国民がより利用しやすい司法の実現』及び『国民の期待に応える民事司法の在り方』に関する審議結果の取りまとめ(案)」(別紙1)に沿って、意見交換及び取りまとめが行われた。主な内容は以下のとおり。

○ 冒頭の※印の4行について、前書きないし全体のフレームワークを示す内容に記述を充実させるべきである。

○ 中間報告をまとめる段階になれば、全体のバランス等を勘案しながら適切な前文をつけることは当然であるが、現時点での取りまとめの段階であっても少し工夫してみる必要がある。

(「T 裁判所へのアクセスの拡充」について)

○ 1(1)の対応の方向(1つ目の○)の「訴えの提起を抑制する弊を生じているケースもあると思われる」は、「弊も生じていると思われる」とするのが適切である。

○ 1(3)の問題の所在(2つ目の○)の「権利の内容が訴訟を通じて減殺・希釈される」というのは一般にわかりにくい表現なので改めるべきである。

○ 敗訴者負担制度の導入については、「片面的」導入も必要ではないか。また、例外にすべき類型の例示に「消費者訴訟」も加えられないか。

○ 違法建築の撤去のために地方自治体の建築確認を争う訴訟でも、訴訟自体の要件が厳しい上に、敗訴の場合に自治体側の弁護士費用も負担しなければならないのでは、訴訟提起への萎縮効果が大きく、妥当でないのではないか。

○ 敗訴者負担の例外とすべき類型について、労働訴訟や少額訴訟はあくまでも例示であり、現段階で細かな文言の意味を詰める作業を行う必要はないのではないか。このペーパーの性格も直ちに当審議会の中間報告になるというものではなく、審議の途中段階でのメモであって、今後の修正・追加・削除も適宜あり得るとの共通理解の下に、1(3)の対応の方向については、原案通りでよいと考える。

○ 1(4)の訴訟費用保険に関して、民間の経済活動として保険が普及するかどうかがポイントなのであって、内閣に意見を述べることを任務とする当審議会で審議すべき内容が果たしてあるのかどうか。

○ 税法上の取扱いや保険業の監督の関係で国との接点があると思うので、対応の方向は原案のままでよい。

○ 4(2)の簡易裁判所の事物管轄の見直しに関して、金額についての議論をするだけでなく、簡易裁判所判事の資格が特別に定められていることを踏まえて、簡易裁判所を誰が担うべきかという視点も重要なのではないか。

○ 事物管轄の見直しについては、訴える場面での利便のみを考えがちだが、例えば、一般消費者が金融業者から訴えられる場面のことなども考慮に入れる必要はないか。

○ 5の開廷日・開廷時間の柔軟化に関して、訴訟を提起される側から言えば、夜間や休日に呼び出されることになる面があることを考慮すべきではないか。

○ 夜間・休日の現在の利用状況は必ずしも高くないが、周知が十分でないことが大きな要因なのではないか。裁判所職員の勤務条件も勘案しつつ、より利用しやすく、例えば夜8時くらいまでは開廷とする方向性を出すべきではないか。

○ 夜間・休日の開廷といっても、裁判所の所在地も考慮しないと具体的な利便は向上しないのではないか。

○ 実際の利用状況を見ながらの検討では、改革は望めない。利用者の立場に立つ当審議会から発信しなければ、現状は変わらないのだから、対応の方向をより積極的な表現に改めるべきである。

○ 米国政府から在日大使館を通じて当審議会に出された文書があり、これにも留意する必要があるのではないか。

○ 懲罰的損害賠償については、アメリカン・スタンダードがグローバル・スタンダードではない典型例だ。英国ではごく限られているし、大陸諸国では採用されていない。ドイツに至っては、米国の判決の懲罰的損害賠償の部分はドイツ国内で執行できないとの判例もあり、我が国も同様である。いずれにせよ、現段階では意見が分かれており、対応の方向は原案のままでよい。

(「U 民事訴訟の充実・迅速化」について)

○ 大規模訴訟だけでなく一般の訴訟についても計画審理が大切で、そのような規定を法律上に盛り込むこととなれば、その意義は大きい。

○ 民事訴訟の充実・迅速化について、ていねいな審理が大前提であるべき。そのためにも、早期の証拠収集が不可欠で、ディスカバリー制度の導入も含めて考えるべきではないか。

○ 証拠収集手続の拡充に関しては、適切な人からの説明を聞いた上で、改めて審議の対象とすべきである。

(「V 専門的知見を要する事件への対応」について)

○ 1(2)の専門委員制度について、両当事者がいないところで裁判官が専門家の意見を聞き得るということについては、専門家の間で意見が分かれる事項もあるので、裁判官の心証形成の透明性や公平性について国民の理解が得られない場合もあるのではないか。

○ 裁判官があらゆる事項に十全な知識を持っているわけではないのだから、専門的見地からそこを補うための仕組みは有用である。心証形成に全く影響が無いのでは却って意味が無いのではないか。

○ 当事者の納得が得られないのに裁判所が専門委員の選任を行うとすれば問題がある。当事者の同意が重要で、納得の得られる選任手続が必要ではないか。

○ 選任に際して、除斥や忌避の制度も考えるべきではないか。

○ 1(2)の対応の方向(4つ目の○)の「少なくとも、裁判官の中立公平等に疑義の生じない場合」の「少なくとも」は削除すべきである。

○ 2(1)知的財産権関係事件にはかなり特殊性があるとは言え、専門委員はともかく、評決権を持つ専門参審制の導入を図ることが今日合意されたかのような記述は、参審制そのものについて十分な議論を行っていない現段階では適切でないのではないか。

○ 2(1)の対応の方向(1つ目の○)の「専門委員、専門参審制など」を「専門委員あるいは専門参審制など」とすれば、選択の余地が出せるので、そのように改めるべきである。

○ 労働関係事件については、事実上の5審制と言われる問題も含めて、改めて議論する必要がある。

(「W 民事執行制度の在り方」について)

○ 民事執行制度の具体的な改善については各方面からの要望が強い。いくつかの具体策については、要検討でなく対応の方向に記載することはできないか。

○ 債務者の財産把握の方策など、個別に十分検討すべき事項も多いので、現段階では、このままでよい。

(「X 司法の行政に対するチェック機能の在り方」について)

○ 行政に対するチェック機能の在り方に関しては、具体的な方策は別途検討するとしても、強化が必要だということは現段階でも対応の方向として書き込むべきである。

(「Y 裁判手続外の紛争解決手段の在り方」について)

○ 1のADRの拡充・活性化に関して、相談・あっせん型ADRの例示に「国民生活センター」を追加すべきである。

(「Z 司法に関する情報公開の在り方」について)

○ 情報公開に関して、裁判所も行政機関と同様に国家機関であるのだから、情報提供の努力ということにとどまらず、あらゆることが基本的に開示の対象となるものと考えるべきではないか。

以上の意見交換を踏まえ、所要の修正を加えた上で取りまとめることとされた。

A 夏の集中審議における審議事項等について、以下のとおり了解された。

8月7日(月)午後
○ 弁護士の在り方に関する利用者サイドの委員からのレポート
○ 隣接士業に関する委員からのレポート
○ レポートに基づく議論
○ 法曹養成(文部省における検討状況の報告及び意見交換)
8月8日(火)午前
○ 法曹人口の検討に当たり考慮すべき事項の整理及び意見交換
8月8日(火)午後〜9日(水)
○ 法曹一元その他関連する問題についての議論

B 7月15日(土)に開催が予定されている札幌での地方公聴会(第3回)における公述人の選定に関し、会長及び会長代理による審査の結果、応募者30名の中から別紙2のとおり6名を選定した旨、佐藤会長から報告があり、了承された。なお、東京での公聴会(第4回)における公述人の選定についても、会長及び会長代理に一任とされた。
また、札幌での地方公聴会(第3回)における傍聴者としては310名の応募があり、応募者全員に傍聴券を発送する旨、事務局から報告があった。

以 上
(文責 司法制度改革審議会事務局)

− 速報のため、事後修正の可能性あり −