各検討会の議事内容等

国際化検討会(第2回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成14年2月25日(月)10:00〜12:40

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委員)ヴィッキー・バイヤー、柏木昇、加藤宣直、久保利英明、下川真樹太、下條正浩、道垣内正人、乗越秀夫、西謙二、玉井克哉、波江野弘(敬称略)
(説明者)
大塲亮太郎(法務省大臣官房司法法制部参事官)
下川真樹太(外務省経済局国際機関第一課サービス貿易室長)
小原 望 (日本弁護士連合会外国弁護士及び国際法律業務委員会委員長)
(事務局)山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、松川忠晴事務局次長、齊藤友嘉参事官

4 議題
  1. 検討の進め方について
  2. 外弁制度の現状等について
    (法務省・外務省・日弁連からの説明及び質疑応答)
  3. ヒアリングの実施について
  4. その他

5 配布資料
資料2−1 検討スケジュール(案)(改訂版)
資料2−2 法務省説明資料(第2回国際化検討会説明資料・法務省説明骨子)
資料2−3 外務省説明資料(外弁問題に関する国際的動向)
資料2−4 日弁連説明資料(弁護士と外国法事務弁護士との共同事業のあり方と弁護士の国際化)
資料2−5 ヒアリング実施要領(案)
資料2−6 司法制度改革審議会における審議概要(「法整備支援・弁護士の国際化」関係)

6 議事

(1)検討の進め方について

 事務局から、検討会の検討事項・スケジュール(資料2−1)について説明がなされた。これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、●:事務局、□:座長)。

○ 外弁問題はGATS(WTOサービス貿易の一般協定)において問題となっているところである。サービス貿易交渉の交渉日程は、今年の6月末までにリクエスト(相手国に対する自由化要望事項の提示)を、来年の3月末までにオファー(相手国からのリクエストに対する自由化の回答)を提出することとなっている。したがって、このWTO交渉のスケジュールにあわせて外弁問題を検討すべきではないのか。

● 外弁法の改正案については、平成15年か平成16年の通常国会の提出が我々の目指すところである。スケジュールについては、平成15年通常国会に提出することをも念頭において作成されている。WTO交渉の進展状況を見つつ、その内容如何では、スケジュールの取扱いを検討することになろう。

○ 司法制度改革審議会の意見において、外弁制度の見直しについては国際的議論もにらみつつ検討すべきとされていることから、WTO交渉のスケジュールにあわせて検討すべきである。WTO交渉は様々な分野の一括交渉であることから、他の分野の交渉の行方が法律サービスの交渉の行方を左右することもあり得る。

● 一般論としてWTO交渉の行方に配慮することは当然ではあるが、当面の予定としては、前倒しでスケジュールを立てている。

○ 司法制度改革審議会の意見においては、知的財産権の問題についても、国際化の観点からその重要性が認識されているところであるから、外弁問題や法整備支援と同様に、知的財産権に関する事項も本検討会で取り上げていただきたい。法制審議会において、知的財産権に関する提言について一定の検討がなされていることは承知しているが、国家戦略的な見地からこの問題の検討がなされているとは思われない。このような問題に事務局が取り組むという姿勢が大事である。

○ 本検討会において司法の国際化の課題について広く議論することは賛成だが、他方であまりに様々な課題を取り上げ過ぎて、議論が拡散することは避けて欲しい。事務局のスケジュール案のとおりに、まず外弁問題について淡々と検討するべきである。

○ 事務局のスケジュール案について、第10回までは具体的であるが、それ以降は抽象的で、どのような成果が見込まれているのか不透明である。知的財産権の課題についても取り上げるようにとの意見が出されているが、知的財産権だけではなく、民事司法の国際化というもう少し大きな観点からの検討が必要であると考えている。

● 事務局の整理としては、司法制度改革審議会の意見書に記載された具体的な提言について、過不足なく実現することが必要だと考えている。知的財産権の問題や民事司法の国際化の問題についても、意見書の具体的提言については、ほぼいずれかの検討スキームで取り上げるようになっていると理解している。

○ 司法制度改革を進めるに当たっては、利用者の視点で検討することが大事であると考えている。企業にとっては知的財産権の問題は切実であることから、本検討会で是非取り上げて欲しい。知的財産権の問題は国際的な観点から、もっと幅の広い議論が必要なのではないか。この点から検討スケジュールを再考して欲しい。

● 知的財産権については、戦略会議を立ち上げる動きなどもあり、そのような司法制度改革の外での動きにも配慮しなければならない。

□ 検討の進め方については様々な意見が出されたが、外弁制度の検討については、早急な検討が要請されていることから、事務局から提示されたスケジュールに沿って検討を進めたい。民事司法や知的財産権などの課題についても取り上げるべきではないのかとの指摘については、事務局と更にその取扱いを検討させていただきたい。

(2)外弁制度の現状等について
 法務省、外務省、日弁連から、外弁制度の現状や外弁問題に関する国際的な動向等について説明がなされた(資料2−2、資料2−3、資料2−4)。
 これに対して、次のような質疑がなされた(○:委員、■:外務省、▲:日弁連、△:法務省)。

○ WTO交渉は様々な分野の一括交渉であることから、法律サービスの交渉が例えば農業分野の交渉の行方に影響を与えることになると考える。外弁制度について、事務局のスケジュール案のとおり検討して早々と結論を出してしまったら、外交交渉上の重要な切り札を失うことにならないのか。

■ WTO交渉においては幅広い分野を扱っており、それぞれの分野において、各国の関心事項の濃淡はある。これら全ての分野について、WTO交渉のスケジュールに合わせて国内の意思決定をしていくということはなかなか難しく、恐らくそうはならないのであろう。国内において早々と外弁問題について結論を出してしまうと、全体的なパッケージの中で、更なる自由化要求を受けるということもあり得るし、或いは、日本としてはこれしか自由化できないということを、他分野とのパッケージの中で理解を得るということもあり得る。いずれのケースもあり得るので、WTO交渉のスケジュールに合わせていくのがいいのかどうかは、検討の余地がある。

○ 日弁連の説明では、外弁制度をこれ以上規制緩和すると、弁護士の独立性が害され、日本法の法律サービスが外国のローファームに席巻されるとのことであるが、具体的に考えると、なぜそのようになるのかは良く理解できない。仮に、外国法事務弁護士が日本の弁護士を雇い、外弁による職務上の指揮命令が弁護士倫理とコンフリクトするのであるならば、日本の弁護士事務所においても、雇用主の弁護士と被雇用の弁護士との間で同じ問題が潜在的に起こり得るのではないか。職務上の指揮命令と弁護士倫理とのコンフリクトが解決できないならば、その弁護士はその事務所を辞めるべきであって、外弁制度の規制緩和が、直ちに弁護士の独立性の問題や日本法のサービスの席巻といった問題に結びつくとは考えられない。また、弁護士法人の名称規制について、外国法事務弁護士の所属事業体の名称を使用できないとする旨の条項が日弁連の規定に盛り込まれることになった背景を説明して欲しい。

▲ 弁護士の独立性については、狭義と広義のものがある。狭義については、弁護士がその良心に従って独立してサービスを提供するということであり、個々の弁護士の問題である。ここで説明をしたのは、広義の独立性についてであり、これは事務所組織の話である。例えば、欧米のローファームにおいては、個々のパートナーが、顧客の獲得目標その他についてのビジネスプランを出して、それが実現できないと更迭されるといったことが行われる。特定共同事業を営んでいる事務所においては、日本の弁護士と外国法事務弁護士のパートナーは、実質的には資金面において対等ではない。個々の事件についても、契約の準拠法等について、本国のローファームからの指示がある。このように、弁護士の独立性に関して組織上の問題がある。弁護士の独立性に問題がないと言うのは、大雨の中の濁流に箸を立てて、箸がしっかりしていれば良いではないかと言うようなものである。弁護士法人の名称規制については、あくまで日本の弁護士法人について外国法事務弁護士の所属事業体の名称を使用しないようにするものであり、外国法事務弁護士や外国弁護士を何ら拘束するものではない。

○ フランスの外国弁護士受入制度について、どのような歴史的経緯を辿っているのか。

△ 外弁制度が、新たな試験を課すことなく外国の弁護士に受入れ国において一定の法律事務を取扱うことを認める制度とするならば、フランスには現在、そのような制度はないと承知している。

▲ フランスは外国弁護士の受入れについて完全資格制を採用しており、日本の弁護士がフランスで法律事務を行う場合には、フランス語によるフランス法の試験を受けなければならない。ただし、外国の弁護士のために、フランス語による試験であるがより易しいものが用意されている。フランスには、以前、アボカ(弁護士)とコンセイユ・ジュリディク(法律相談士)という2つの資格があり、外国弁護士は、新たな試験を課されることなく、コンセイユ・ジュリディクとして一定の法律業務を取り扱うことができたが、1992年に政策的な配慮からコンセイユ・ジュリディクの資格は廃止された。ただし、経過措置として、制度廃止時にフランスにあった事務所については、それまでと同様にフランスにおいて活動をしても良いことになった。そのため、フランスのトップ10のローファームのうち8つまでが、ビッグ・ファイブかフランス以外のローファーム系列の事務所であるのが現状である。

○ 最近、米国カリフォルニア州最高裁が、ニューヨークの弁護士がカリフォルニアの仲裁で代理をしたことが非弁行為であるとの判決を出した。一方、日本においては、外国弁護士が国際仲裁代理を行うことは認められており、また、例えば、ニューヨーク州弁護士であっても他州の法律を指定法とすれば、その法律を日本国内において取り扱うことができることになっている。これは、米国本国においてはできないことを日本においてはできるという、おかしな結果を招いているのではないか。

▲ 国際仲裁代理については、平成8年の外弁法改正により日本において認められることとなったが、その当時は世界各国において国際仲裁代理を自由に行うことが認められているとされていた。その点、必ずしも検討が十分ではなかったのではないか。指定法については、米国からの要求があり、また政策的な判断もあって導入されることとなった。米国の現状については、他州の弁護士の活動を認めるような方向にあるようだが、指摘のような判決もあり、まだまだ遅れていると思われる。

(3)ヒアリングの実施について
 事務局から、次回以降のヒアリングの実施要領案(資料2−5)について説明がなされた。

(4)今後の日程等
 次回(3月20日(水)14:00〜17:00)は、法務省、外務省、日弁連から法整備支援について説明を行うとともに、弁護士と外国法事務弁護士との提携・協働について関係者からヒアリングを行うこととなった。

(以上)