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資料2−4

第2回 国際化検討会 プレゼンテーション用レジメ

弁護士と外国法事務弁護士との共同事業のあり方と弁護士の国際化

2002.2.25
日本弁護士連合会
外国弁護士及び国際法律業務委員会
委員長 小 原  望



一、 はじめに

二、世界における国際的規制緩和への動き

1. 弁護士制度とGATS

 1995年1月1日からは弁護士業務もサービス貿易の一種としてWTO体制下におかれ、わが国も国際条約であるGATS(General Agreement on Trade in Services, 「サービス貿易一般協定」)を遵守すべき義務がある。WTOの新ラウンドは2001年11月にカタールのドーハで開催されたWTO閣僚会議において、正式に開始が宣言されたが、WTOのサービス貿易交渉は、GATTウルグアイラウンドの最終合意の際に5年後に見直しのための交渉を開始することが合意されていたので、2000年2月25日からすでに開始されている。弁護士業務を含むサービス貿易交渉に関しては、今後は本格的にリクエスト・オファー方式による交渉が開始され、2002年6月30日までに第一次のリクエストを加盟各国が提出し、2003年3月31日までにリクエストを受けた国は第一次のオファーを提出することとなっている。
 かかる交渉の後、約3年後には最終合意に至ることが予定されているが、 WTOのサービス貿易交渉で新たな合意がなされ、GATSが改正されたり、GATSの下でのわが国の約束表が改正されれば、それに対応してわが国の弁護士法、外弁法等の弁護士制度に関する法令を改正せざるをえなくなる場合がある。従って、司法制度改革、特に外国弁護士制度改革とそれに伴う立法作業に際しては、サービス貿易交渉の進展の状況に充分注意する必要がある。

2. 欧米の大ロー・ファーム等の動き

(1)世界の大ロー・ファームの規模(トップ10)

(添付資料1.2.参照)
名     称 弁護士数(人) 総収入(ドル)
(下段 円 1$=\135.65)
弁護士1人あたりの収入(ドル)
(下段 万円1$=\135.65)
1 ベーカー・アンド・マッケンジー
(Baker & McKenzie)
2,732 8億1,800万
(1,110億)
330,238
4,480
2 クリフォード・チャンス
(Clifford Chance)
2,029 9億3,920万
(1,274億)
462,400
6,274
  3 エバーシェズ
(Eversheds)
1,652 3億3,984万
(461億)
206,400
2,800
4 スカデン・アルプス・スレート・ミーガー・アンド・フロム
(Skadden, Arps, Slate, Meagher & Flom)
1,467 10億2,500万
(1,390億)
775,340
(1億517)
5 アレン・アンド・オヴァリ
(Allen & Overy)
1,460 5億3,120万
(721億)
363,200
4,927
6 ジョーンズ・デイ・リーヴァイス・アンド・ポーク
(Jones, Day, Reavis & Pogue)
1,411 5億9,500万
(807億)
490,519
6,654
7 フレシュフィールズ
(Freshfields)
1,397 6億800万
(825億)
435,200
5,903
8 リンクレイタース
(Linklaters)
1,360 6億3,200万
(857億)
464,000
6,294
9 モーガン・ルイス・アンド・ブッキウス
(Morgan, Lewis & Bockius)
1,116 4億2,950万
(582億)
452,954
6,144
10 ホワイト・アンド・ケース
(White & Case)
1,030 4億500万
(549億)
478,158
6,486

○はわが国に外国法事務弁護士を派遣しているロー・ファーム
◎は上記外国法事務弁護士が、わが国の弁護士と特定共同事業をしているロー・ファーム

(2) ビッグ・ファイブ(五大国際会計事務所)の規模
(添付資料3参照)
名     称 スタッフ数(人) 総収入(ドル)
(下段 円 1$=\135.65)
1プライスウォーターハウスクーパース
(PricewaterhouseCoopers)
162,834 215億
(2兆9,165億)
2アーサー・アンダーセン
(Arthur Andersen)
144,620 178.28億
(2兆4,184億)
3 ケーピーエムジー
(KPMG)
108,000 135億
(1兆8,313億)
4 デロイット・アンド・トッシュ
(Deloitte & Touche)
92,000 125.08億
(1兆6,967億)
5 アーンスト・アンド・ヤング
(Ernst & Young)
78,311 92億
(1兆2,480億)

(3)日本の法律事務所の規模(2002.2.21)
  弁護士数
1長島・大野・常松法律事務所144
2西村総合法律事務所110
3森綜合法律事務所93
4アンダーソン・毛利法律事務所91
5あさひ法律事務所69
6三井安田法律事務所68

3.規制緩和への内外の動き

(1)米・EUの大ロー・ファームの要求

外国法事務弁護士による弁護士雇用の許容

外国弁護士と弁護士との共同事業(国際的共同経営)

外国法事務弁護士と弁護士の特定共同事業要件の緩和

職務経験要件の緩和

外国法事務弁護士による隣接法律職の雇用の許容

外国弁護士と隣接法律職との共同事業

外国法事務弁護士による第三国法取り扱いの完全自由化

(2)ビッグ・ファイブの動向
MDP (Multidisciplinary Partnership or Practice、異業種間共同事業)に関する議論

事実上のMDP

(3)日本国内における動き
1.法律事務独占の緩和
2.隣接法律職の職域拡大
3.総合的法律経済関係事務所

(4)国際的規制緩和への動き
1.提携、共同事業によるネットワーク化
2.事実上の支店化又はMDP化
3.法律業務の産業化

三、共同事業の諸問題

1. 共同事業禁止の趣旨
異業種間
隣接業種間

2. 共同事業の諸形態

(1) 提携等

(2) 事務所の共同使用

狭義―事務所スペースの共同使用
広義―人物・物的施設の共同使用(経費共同)

(3) 共同経営(国内)

(4) 国際的共同経営

3. 特定共同事業の要件
(1)弁護士と外国法事務弁護士間の共同事業に限られる(外弁法49条2、I,II)
(2)特定共同事業を営む弁護士は、弁護士として少なくとも5年の職務経験を有していなければならない(同法49条の2、I,II)。
(3)特定共同事業の対象は「国際的事案」に限られる(同法49条の2、I)。
(4)特定共同事業を営む弁護士と外国法事務弁護士は各々独立の事務所を有しなければならない(同法49条の2、III)。
(5)特定共同事業の他の当事者の事案に不当に関与したり、他方当事者を不当に拘束することは禁止される(同法49条の2、III)。
(6)顧客への透明性の要請から、特定共同事業を営む旨の表示が義務付けられる(同法49条の2、IV)
(7)特定共同事業を営む場合には、一定の事項を連名で日弁連に届け出なければならない(同法49条の3)

4.特定共同事業の要件緩和とその影響
国際共同経営化、事実上の支店・雇用化

5.健全な共同事業への基盤整備

(1) 法曹人口の均衡

法曹人口(約)法曹人口1人当りの
国民数(約)
アメリカ941,000290
ドイツ111,000740
イギリス83,000710
フランス36,0001,640
日 本20,0006,300

(司法制度改革審議会、「司法制度改革審議会意見書の解説」、14頁より)

(2)  日本の弁護士と隣接法律職
弁護士18,897名(2001.12.20)試験合格者数990名
弁理士4,776名(2001.12.31)試験合格者315名
税理士65,831名(2001.12.31)試験合格者1,085名
司法書士17,162名(2001.12.1)試験合格者623名
4業種合計106,666名試験合格者数3,013名 (2001年度)
社会保険労務士25,855名(2001.11.30)試験合格者3,774名
5業種合計132,521名試験合格者数6,787名(2001年度)
行政書士35,423名(2001.12.31)試験合格者6,619名
6業種合計167,944名試験合格者数13,406名 (2001年度)

(3)外国弁護士資格の相互承認
法律専門職細分化の弊害
弁護士資格への統合

(4)弁護士倫理の統一化
  1. 依頼者に対するもの
    秘密保持、利益相反、独立性、資質・能力等
  2. 司法制度に対するもの
    裁判所と相手方の尊重、平等なアクセスの保証、弁護士会の独立性等

四、世界の主要国における外国弁護士受入状況と問題点

1.米国
2.EC委員会(EU)
3.英国
4.ドイツ
5.フランス
6.その他

五、世界の弁護士会・法曹団体の動き

1.パリ・フォーラム(1998)
2.ABA(米国法曹協会)
3.CCBE(欧州弁護士会評議会)
4.IBA(国際法曹協会)

六、弁護士の国際化への条件整備

1.法律情報の英語化
2.英語教育の充実化
3.訴訟制度の国際化
4.ADRの法制・施設の充実と国際化

七、むすび


【添付資料】