第1回配布資料一覧

仲裁検討会参考資料3

UNCITRAL国際商事仲裁モデル法(模範法)

(1985年6月21日採択)



* 訳文は『解説 国際取引法令集』(三省堂 1994)による。

第1章 総則

第1条(適用範囲(1))
(1) この法律は、この国と他国間で有効な取極に反しない限り、国際商事(2)仲裁に適用する。
(2) この法律の規定は、第8条、第9条、第35条及び第36条を除き、仲裁地がこの国の領域内にあるときにのみ適用する。
(3) 仲裁は次の場合に国際的とする。
(a) 仲裁合意の当事者が、その合意時に異なる国に営業所を有する場合、又は、
(b) 次の場所の一つが、当事者が営業所を有する国の外にある場合、
 (i) 仲裁合意で定められているか、仲裁合意によって定まる仲裁地
 (ii) 商事関係の義務の実質的な部分が履行されるべき地、もしくは紛争の対象事項と最も密接に関連を有する地、又は、
(c) 当事者が、仲裁合意の対象事項が二国以上に関係する旨明示的に合意した場合、
(4) 本条(3)項の適用上、
(a) 当事者が2以上の営業所を有するときは、営業所とは仲裁合意と最も密接な関連を有する営業所をいう。
(b) 当事者が営業所を有しないときは、常居所による。
(5) この法律は、この国の他の法律であって、一定の紛争を仲裁に付すことを禁じ、又はこの法律の規定以外の規定によって仲裁に付すことを認める法律に影響しない。
(1) 各条項の表題はもっぱら参考のためであって、解釈のために用いられるべきではない。
(2) 「商事」という語は、商事的性格の全ての関係から生じる事項を含むように広く解釈しなければならず、契約から生じるか否かを問わない。商事的性格の関係は次の諸取引を含むが、これに限られない。物品又は役務の供給又は交換のための商取引、販売契約、商事代理、ファクタリング、リーシング、工場建設、コンサルティング、エンジニアリング、ライセンシング、投資、金融、銀行業務、保険、開発契約又はコンセッション、合弁事業その他の形態の産業協力又は業務協力、航空機、船舶、鉄道又は道路による物品又は旅客の運送。

第2条(定義及び解釈規則)
この法律の適用上、
(a) 「仲裁」とは、常設仲裁機関によって実施されるか否かを問わず、あらゆる仲裁をいう。
(b) 「仲裁廷」とは、単独仲裁人又は仲裁人の合議体をいう。
(c) 「裁判所」とは、国の司法制度上の機関をいう。
(d) 第28条を除くこの法律の規定により、当事者がある事項に関する決定の自由を有する場合、かかる自由は、当事者が団体を含む第三者にその決定を行う権限を与える権利を含む。
(e) この法律の規定において、当事者が合意したか合意することができるという事実又はその他の方法で当事者の合意に言及している場合、その合意は、当該合意中に言及された仲裁規則を含む。
(f) 第25条(a)及び第32条(2)項(a)を除くこの法律の規定が請求につき定めている場合、それは反対請求にも適用され、答弁につき定めている場合、それは反対請求に対する答弁にも適用される。

第3条(書面による通知の受領)
(1) 当事者が別段の合意をしていない限り、
(a) 書面による通知は、それが名宛人自らに配達されるか、その営業所、常居所又は郵便受取場所に配達されたならば、受領されたとみなす。もしもこれらのいずれもが、妥当な調査をした後にも明らかにならなければ、書面による通知は、それが書留書状、又は配達をこころみたことの記録を残せる他の方法で、名宛人の最後に知られていた営業所、常居所又は郵便受取場所に送られたならば、受領されたものとみなす。
(b) 通知は、配達された日に受領されたと見なす。
(2) 本条の規定は、裁判所手続における通知には適用しない。

第4条(責問権の放棄)
 この法律の規定のうち当事者がその規定と異なる合意をすることができる規定又は仲裁合意上の取極が遵守されていないことを知りながら、不当な遅延なく、又は期限が定められているときはその期限内に、かかる不遵守に対して異議を述べないで仲裁手続を進める当事者は、異議を述べる権利を放棄したものとみなす。

第5条(裁判所の介入範囲)
 この法律の定める事項に関しては、裁判所はこの法律に定める場合を除き、介入してはならない。

第6条(仲裁援助及び監督のため一定の職務を行う裁判所その他の機関)
 第11条(3)項、第11条(4)項、第13条(3)項、第14条、第16条(3)項及び第34条(2)項に定める職務は、(この模範法を制定するそれぞれの国が、一つもしくは複数の裁判所、又はそこで定められているときは、これらの職務を行うことのできる他の機関をここに示す)によって行われる。

第2章 仲裁合意

第7条(定義及び仲裁合意の方式)
(1) 「仲裁合意」とは、契約に基づくか否かを問わず、一定の法律関係につき、当事者間で既に生じたか又は生じうべき、すべての又はある種の紛争を仲裁に付託する旨の当事者の合意をいう。仲裁合意は、契約中の仲裁条項又は別個の合意のいずれのかたちによってもすることができる。
(2) 仲裁合意は、書面によらなければならない。合意は、それが両当事者の署名した文書、交換された書状、テレックス、電報その他隔地者通信手段で合意の記録となるもの、又は交換された申立書及び答弁書であって、そのなかで一方の当事者が合意の存在を主張し、他の当事者によって否認されていないものに含まれているときは、書面によるものとされる。契約における仲裁条項を含む文書への言及は、その契約が書面でなされ、かつその言及がその条項を契約の一部とするようなものである限り、仲裁合意となる。

第8条(仲裁合意と裁判所における実体的権利の主張)
(1) 仲裁合意の対象である事項について訴えの提起を受けた裁判所は、当事者の一方が本案に関する自己の最初の陳述より前にその旨申し立てたならば、仲裁に付託すべき旨を当事者に命じなければならない。但し、裁判所が、合意が無効であるか、効果を生じえないか、履行が不可能であると認める場合にはこの限りでない。
(2) 本条(1)項にいう訴が提起された場合、争いが裁判所に係属している間も、それにかかわらず〔仲裁廷は〕仲裁手続を開始又は続行し、判断をくだすことができる。

第9条(仲裁合意と裁判所による暫定措置)  当事者が仲裁手続の前又は手続中に暫定保全措置を申し立てること、及び裁判所がかかる措置を認めることは、仲裁合意に抵触しない。

第3章 仲裁廷の構成

第10条(仲裁人の数)
(1) 当事者は、自由に仲裁人の数を定めることができる。
(2) かかる定めのないとき、仲裁人は3名とする。

第11条(仲裁人の選定)
(1) 当事者が別段の合意をしていない限り、何人も、その国籍のゆえに仲裁人として行為することを妨げられない。
(2) 当事者は、本条(4)項及び(5)項の規定に反しない限り、単独又は複数の仲裁人選定手続を、自由に合意して定めることができる。
(3) かかる合意のないとき
(a) 3名の仲裁人による仲裁においては、各当事者が1名の仲裁人を選定し、そのようにして選定された2名の仲裁人が第三仲裁人を選定する。一方の当事者が他の当事者から仲裁人選定の請求を受領した後30日以内に第三仲裁人に合意しないとき、又は選定された2名の仲裁人が選定後30日以内に第三仲裁人に合意しないとき、その選定は、当事者の申立により、第6条に定める裁判所その他の機関が行う。
(b) 単独仲裁人による仲裁において、当事者が仲裁人に合意できないときは、一方の当事者の申立により、第6条に定める裁判所その他の機関が仲裁人を選定する。
(4) 当事者の合意した選定手続において、
(a) 一方の当事者が、かかる選定手続のもとで必要とされる行為をしないとき、
(b) 両当事者又は2名の仲裁人が、かかる選定手続のもとで期待されている合意に達することができないとき、又は、
(c) 機関を含む第三者が、かかる選定手続のもとで委ねられている任務を行わないときには、
いずれの当事者も、第6条に定める裁判所その他の機関に必要な措置をとるよう申し立てることができる。但し、選定手続に関する合意が、選定確保のための他の方法を定めている場合はこの限りでない。
(5) 本条(3)項又は(4)項により、第6条に定める裁判所その他の機関に委ねられている事項に関する決定に対して、上訴は提起できない。裁判所その他の機関は、仲裁人を選定するに当り、当事者の合意によって要求される資格及び独立不偏な仲裁人選定を確保しうるような諸事項に十分留意し、単独又は第三仲裁人の場合については、当事者の国籍以外の国籍を有する仲裁人を選定することが望ましいか否かについても考慮しなければならない。

第12条(忌避事由)
(1) 仲裁人として選定されうることに関して交渉を受けた者は、自己の不偏独立について正当な疑いを生じさせうるようなあらゆる事情を開示しなければならない。仲裁人は、かかる事情を既に当事者に知らせていない限り、選定された後及び手続中、遅滞なくこれを当事者に開示しなければならない。
(2) 仲裁人は、その不偏又は独立について正当な疑いを生じさせるような事情があるか、当事者の合意した資格を有しないときに限って忌避されうる。当事者は、自己が選定し又は選定に関与した仲裁人については、選定後に知った理由に基づいてのみ忌避することができる。

第13条(忌避手続)
(1) 当事者は、本条(3)項の規定に反しない限り、仲裁人の忌避手続を、自由に合意して定めることができる。
(2) かかる合意のないときは、仲裁人を忌避しようとする当事者は、仲裁廷の構成を知った後又は第12条(2)項に定める事情を知った後15日以内に、忌避理由を記載した書面を仲裁廷に提出しなければならない。忌避を申し立てられた仲裁人が辞任するか他方の当事者が忌避に合意しない限り、仲裁廷は忌避の申立につき、決定しなければならない。
(3) 当事者の合意した手続又は本(2)項に定める手続のもとで忌避が認められないときは、忌避を申し立てた当事者は、忌避申立を却下する決定の通知を受けた後30日以内に、第6条に定める裁判所その他の機関に、忌避につき決定するよう申し立てることができ、その決定に対して上訴は提起できない。かかる申立が係属している間、忌避を申し立てられた仲裁人を含む仲裁廷は、仲裁手続を続行し、判断をくだすことができる。

第14条(行為の懈怠または不能)
(1) 仲裁人が法律上又は事実上その任務を行うことができなくなったか、その他の理由により不当な遅滞なく行為しないときは、仲裁人が辞任するか当事者が任務の終了を合意するならば、仲裁人の任務は終了する。これらの事由に関して争いがあるときは、いずれの当事者も、第6条に定める裁判所その他の機関に、任務の終了についての決定を申し立てることができ、その決定に対して上訴は提起できない。
(2) 本条又は第13条(2)項のもとで仲裁人が辞任するか一方の当事者が仲裁人の任務の終了に同意したときは、それが本条又は第12条(2)項に定める事由の承認を意味すると解してはならない。

第15条(代替仲裁人の選定)  第13条又は第14条に基づくか、その他の理由による仲裁人の辞任、当事者の合意による解任、又はその他の理由により仲裁人の任務が終了した場合には、代替仲裁人が、交替せしめられる仲裁人の選定に適用された規則に従って選定されるものとする。

第4章 仲裁廷の管轄

第16条(仲裁廷の管轄に関する決定権限)
(1) 仲裁廷は、仲裁合意の存在又は効力に関する異議を含む自己の管轄に関して決定する権限を有する。この場合、契約の一部を構成する仲裁条項は、契約の他の条項から独立した合意として扱われる。契約を無効とする仲裁廷の決定は、法律上当然に仲裁条項を無効とするものではない。
(2) 仲裁廷が管轄を有しないとの主張は、答弁提出前になされなければならない。当事者は、仲裁人を選定し、又は仲裁人の選定に参加したとの事実によって、かかる主張をすることを妨げられない。仲裁廷がその権限の範囲を超えているとの主張は、その権限の範囲外であると主張される事項が仲裁手続中提起された後速やかに行われなければならない。仲裁廷は、いずれの場合にも、遅延に正当な理由ありと認めるときは、時機に遅れた主張を許すことができる。
(3) 仲裁廷は、本条(2)項に定める主張について、先決問題として、又は本案に関する判断において決定することができる。仲裁廷が自ら管轄を有する旨を先決問題として決定したときは、いずれの当事者も、その決定の通知受領後30日以内に、第6条に定める裁判所に対し、その点につき決定するよう申し立てることができ、その決定に対して上訴は提起できない。かかる申立の係属している間、仲裁廷は、仲裁手続を続行し、判断をくだすことができる。

第17条(暫定措置を命じる仲裁廷の権能)
 当事者が別段の合意をしていない限り、仲裁廷は、当事者の申立により、紛争の対象事項に関し、仲裁廷が必要と認める暫定保全措置をとることをいかなる当事者に対しても命じることができる。仲裁廷は、いかなる当事者に対しても、かかる措置に関して相当の担保を提供することを要求することができる。

第5章 仲裁手続の進行

第18条(当事者の平等待遇)
 当事者は平等に扱われなければならず、各当事者は、その主張、立証を行う十分な機会を与えられなければならない。

第19条(手続規則の決定)
(1) この法律の規定に反しない限り、当事者は、仲裁廷が手続を進めるに当って従うべき手続規則を、自由に合意して定めることができる。
(2) かかる合意がないときは、仲裁廷は、この法律の規定に反しない限り、適当と認める方法で仲裁を進行させることができる。仲裁廷に付与された権能は、証拠の許容性、関連性、重要性及び証明力について決定する権能を含む。

第20条(仲裁地)
(1) 当事者は、仲裁地について自由に合意することができる。かかる合意のないときは、仲裁地は、当事者の利便を含む事件の諸事情を考慮して、仲裁廷が決定する。
(2) 本条(1)項の規定に関わらず、仲裁廷は当事者が別段の合意をしていない限り、仲裁人の合議、証人、鑑定人もしくは当事者の審問、又は物品その他の財産又は文書の検認のために、適当と認めるいかなる場所においても会同することができる。

第21条(仲裁手続の開始)
 当事者が別段の合意をしていない限り、特定の紛争に関する仲裁手続は、かかる紛争を仲裁に付託すべき申立を、被申立人が受領した日に開始する。

第22条(言語)
(1) 当事者は、仲裁手続に用いるべき一又は複数の言語を、自由に合意して定めることができる。かかる合意のないときは、仲裁廷が、手続に用いるべき一又は複数の言語を定める。この合意又は決定は、そこに別段の定めがない限り、当事者の書面によるすべての陳述、すべての審問及び仲裁廷のすべての判断、決定又はその他の通知に適用される。
(2) 仲裁廷は、いずれの書証にも、当事者が合意したか仲裁廷が定めた一又は複数の言語への翻訳を付すべき旨を命じることができる。

第23条(申立及び答弁)
(1) 当事者が合意したか仲裁廷が決定した期間内に、申立人は、自己の申立を裏付ける事実、争点及び求める救済につき陳述しなければならず、被申立人は、これらの事項に関する答弁の陳述をしなければならない。但し当事者が、かかる陳述の内容につき別段の合意をした場合はこの限りでない。当事者は自己の陳述とともに、関連があると認めるすべての書類を提出し、又は後に提出する文書その他の証拠を示すことができる。
(2) 当事者が別段の合意をしていない限り、いずれの当事者も、仲裁手続が行われている間、自己の申立又は答弁を修正又は補完することができる。但し仲裁廷が、その時機に遅れたことを考慮して、修正を許すことが不適当と認める場合はこの限りでない。

第24条(審問及び書面による手続)
(1) この規定と異なる当事者の合意に反しない限り、仲裁廷は、証拠提出のため、又は口頭弁論のために審問を行うか又は手続を文書その他の資料に基づいて進めるかを決定しなければならない。但し、当事者が審問が行われるべきでない旨合意した場合を除き、当事者の申立があれば、仲裁廷は、手続の適当な段階でかかる審問を行わなければならない。
(2) 当事者には、審問及び物品その他の財産又は文書の検認のための仲裁廷の期日について、十分な余裕を持って事前に通知しなければならない。
(3) 一方の当事者によって仲裁廷に提出されたすべての陳述、文書その他の情報は、他方の当事者にも伝達しなければならない。仲裁廷がその決定を行うに当って依拠することあるべき鑑定人の報告又は他の証拠文書も、これを当事者に伝達しなければならない。

第25条(当事者の懈怠)
 当事者が別段の合意をしていない限り、十分な理由なくして、
(a) 申立人が第23条(1)項に従ってその申立を伝達しないときは、仲裁廷は手続を終了させなければならない。
(b) 被申立人が、第23条(1)項に従ってその答弁を伝達しないとき、仲裁廷は、その懈怠をそれによって申立人の主張を認めたものとして扱うことなく、手続を続行しなければならない。
(c) いずれかの当事者が審問に出席しないか書証を提出しないときは、仲裁廷は手続を続行し、仲裁廷に提出されている証拠に基づいて判断をくだすことができる。

第26条(仲裁廷による鑑定人選任)
(1) 当事者が別段の合意をしていない限り、仲裁廷は、
(a) 仲裁廷が判断すべき特定の争点について意見を徴するため、1名又は複数の鑑定人を選任することができ、
(b) 当事者に対し、関連ある情報を鑑定人に供与すること、又は関連ある文書、物品その他の財産を検認のため提出し、もしくは検認できるようにすることを求めることができる。
(2) 当事者が別段の合意をしていない限り、当事者が要請するか仲裁廷が必要と認めるときは、鑑定人は、書面又は口頭による報告を行った後、審問に参加しなければならない。その審問において、当事者は、鑑定人に質問する機会、及び争点につき証言させるために〔他の〕鑑定証人を出席させる機会を有する。

第27条(証拠調べにおける裁判所の援助)
 仲裁廷又は仲裁廷の許可を得た当事者は、この国の権限ある裁判所に対し、証拠調べのための援助を申し立てることができる。裁判所は、その権限内で、かつ証拠調べに関する規則に従い、申立を実施することができる。

第6章 判断の作成及び手続の終了

第28条(紛争の実体に適用される規範)
(1) 仲裁廷は、当事者が紛争の実体に適用すべく選択した法の規範に従って紛争を解決しなければならない。一国の法又は法制のいかなる指定も、別段の合意が明示されていない限り、その国の実質法を直接指定したものであって、その国の法抵触規則を指定したものではないと解釈しなければならない。
(2) 当事者の指定がなければ、仲裁廷は、適用されると認める法抵触規則によって決定される法を適用しなければならない。
(3) 仲裁廷は、両当事者が明示的に授権したときに限り、衡平と善により、又は友誼的仲裁人として判断しなければならない。
(4) いかなる場合にも、仲裁廷は契約の条項に従って決定しなければならず、取引に適用される業界の慣行を考慮に入れなければならない。

第29条(仲裁人の合議体による決定形成)
 複数の仲裁人による仲裁手続においては、仲裁廷のいかなる決定も、当事者が別段の合意をしていない限り、全構成員の過半数による。但し、手続問題については、両当事者又は仲裁廷の全構成員によって授権されたときは、仲裁廷長〔統括仲裁人〕が決定することができる。

第30条(和解)
(1) 仲裁手続中当事者が紛争について和解したときは、仲裁廷は手続を終結し、かつ両当事者の申立があって仲裁廷に異議がなければ、その和解を合意に基づく仲裁判断の形式で記録しなければならない。
(2) 合意に基づく判断は、第31条の規定に従って作成し、それが判断である旨を記述しなければならない。かかる判断は、本案に関する他のいかなる判断とも同じ地位および効力を有する。

第31条(判断の形式及び内容)
(1) 判断は書面によるものとし、単独仲裁人又は複数の仲裁人が署名しなければならない。複数の仲裁人による仲裁手続においては、仲裁廷の全構成員の過半数の署名があれば足りる。但し欠けている署名につき、その理由を述べることを要する。
(2) 判断は、当事者が理由を付すことを要しない旨合意しているか、判断が第30条のもとでの合意に基づく判断でない限り、その依拠した理由を述べなければならない。
(3) 判断には、日付及び第20条(1)項に従って決定された仲裁地を記載しなければならない。判断は、その地においてなされたものとみなす。
(4) 判断がなされたときは、本条(1)項に従って仲裁人が署名した謄本を各当事者に交付しなければならない。

第32条(手続の終結)
(1) 仲裁手続は、終局判断又は本条(2)項に従う仲裁廷の命令により終結する。
(2) 仲裁廷は、次のいずれかの場合には、仲裁手続終了の命令を発しなければならない。
(a) 申立人が申立を取り下げたとき。ただし被申立人が申立の取下に異議を有し、かつ被申立人が紛争の最終的解決に達する正当な利益を有すると仲裁廷が認める場合はこの限りでない。
(b) 当事者が手続の終結に合意したとき。
(c) 仲裁廷が、手続の続行をその他の理由により不要又は不可能と認めたとき。
(3) 仲裁廷の任務は、第33条及び第34条(4)項に定める場合を除き、仲裁手続の終結によって終了する。

第33条(判断の訂正及び解釈。追加的判断)
(1) 当事者が期間につき別段の合意をしていない限り、判断受領の後30日以内に、
(a) 一方の当事者は、他の当事者に通知して、仲裁廷に対し、判断に存する計算の誤り、書誤り、誤植又はこれと同種の誤りの訂正を申し立てることができる。
(b) 当事者の合意があれば、一方の当事者は、他の当事者に通知して、仲裁廷に対し判断の特定の点又は部分の解釈を示すよう申し立てることができる。
 仲裁廷が申立を正当と認めるときは、申立後30日以内に訂正をなし、又は解釈を示さなければならない。解釈は判断の一部となる。
(2) 仲裁廷は判断の日から30日以内に、本条(1)項(a)に定めるところと同類の誤りを職権で訂正することができる。
(3) 当事者が別段の合意をしていない限り、当事者は、他方の当事者に通知して、判断受領の30日以内に、仲裁廷に対し、仲裁手続中に提起されながら判断から脱漏していた申立について追加判断をするよう申し立てることができる。仲裁廷が、申立を正当と認めるときは、60日以内に追加判断をしなければならない。
(4) 仲裁廷は、必要であれば、本条(1)項又は(3)項のもとでの訂正、解釈又は追加判断をするための期間を延長することができる。
(5) 第31条の規定は、判断の訂正もしくは解釈又は追加判断に適用する。

第7章 判断に対する不服申立

第34条(仲裁判断に対する排他的不服申立〔手段〕としての取消の申立)
(1) 仲裁判断に対する裁判所への不服申立は、本条(2)項及び(3)項の規定に従う取消の申立によってのみすることができる。
(2) 仲裁判断は、次の各号に掲げる場合にのみ、第6条に定める裁判所が取り消すことができる。
(a) 〔取消の〕申立をした当事者が次の証明を提出した場合
 (i) 第7条に定める仲裁合意の当事者が、無能力であったこと、又はその仲裁合意が、当事者がそれに準拠することとした法律もしくはその指定がなかったときはこの国の法律のもとで、有効でないこと。
 (ii)〔取消の〕申立をした当事者が、仲裁人の選定もしくは仲裁手続について適当な通告を受けなかったこと、又はその他の理由により主張、立証が不可能であったこと。
 (iii) 判断が、仲裁付託の条項で予見されていないか、その範囲内にない紛争に関するものであるか、仲裁付託の範囲をこえる事項に関する判定を含むこと。但し、仲裁に付託された事項に関する判定が、付託されなかった事項に関する判定から分離されうる場合には、仲裁に付託されなかった事項に関する判定を含む判断の部分のみを取り消すことができる。
 (C) 仲裁廷の構成又は仲裁の手続が、当事者の合意に従っていなかったこと。又はかかる合意がないときは、この法律に従っていなかったこと。但し当事者の合意がこの法律の規定のうち、当事者が排除することのできない規定に反している場合はこの限りでない。
(b) 裁判所が次のことを認めた場合
 (i) 紛争の対象事項がこの国の法のもとでは仲裁による解決が不可能であること。
 (ii) 判断がこの国の公序に反すること。
(3) 取消の申立は、申立をする当事者が判断を受領した日から、又は第33条に基づく申立をしたときは、仲裁廷がその申立を処置した日から3月を経過した後は、することができない。
(4) 裁判所は、判断取消を求められたとき、適当でありかつ一方の当事者の申立があるときは、仲裁手続再開の機会、又は仲裁廷が取消事由を除去すると考える措置をとる機会を仲裁廷に与えるために、裁判所が定める期間取消の手続を停止することができる。

第8章 判断の承認及び執行

第35条(承認及び執行)
(1) 仲裁判断は、それがなされた国のいかんにかかわらず、拘束力あるものとして承認され、管轄を有する裁判所に対する書面による申立があれば、本条及び第36条の規定に従い、執行されなければならない。
(2) 判断に依拠し又はその執行を申し立てる当事者は、妥当に認証された判断の原本又は妥当に証明されたその謄本及び第7条に定める仲裁合意の原本又は妥当に証明されたその謄本を提出しなければならない。判断又は仲裁合意がこの国の公用語で作成されていないときには、当事者は、これらの文書の、公用語への妥当に証明された翻訳を提出しなければならない(3)。
(3) 本項の諸条件は最も厳格な基準を定めることを意図したものである。それゆえある国がより緩やかな条件を維持したとしても、模範法が達成しようとする調和にもとることにはならない。

第36条(承認または執行の拒否事由)
(1) 仲裁判断の承認又は執行は、それがなされた国のいかんにかかわらず、次の各号に掲げる場合にのみ、拒否することができる。
(a) 判断が不利益に援用される当事者の申立により、その当事者が承認又は執行の申立を受けた管轄裁判所に次の証明を提出した場合
 (i) 第7条に定める仲裁合意の当事者が、無能力であったこと、又はその仲裁合意が、両当事者がそれに準拠することとした法律により、もしくはその指定がなかったときは、判断がなされた国の法律により、有効でないこと。
 (ii) 判断が不利益に援用される当事者が、仲裁人の選定もしくは仲裁手続について適当な通告をうけなかったこと、又はその他の理由により主張、立証が不可能であったこと。
 (iii) 判断が、仲裁付託の条項で予見されていないか、その範囲内にない紛争に関するものであるか、仲裁付託の範囲をこえる事項に関する判定を含むこと。但し、仲裁に付託された事項に関する判定が付託されなかった事項に関する判定から分離され得るときは、仲裁に付託された事項に関する判定を含む判断の部分は、承認し、かつ、執行することができる。
 (iv) 仲裁廷の構成又は仲裁手続が、当事者の合意に従っていなかったこと、又はかかる合意がないときは、仲裁が行われた国の法律に従っていなかったこと。
(v) 判断が、未だ当事者を拘束するにいたっていないか、その判断がされた国、もしくはその法律のもとで判断がなされたところの国の裁判所により、取り消されもしくは停止されたこと。
(b) 裁判所が次のことを認めた場合
 (i) 紛争の対象事項が、この国の法のもとでは、仲裁による解決の不可能であること。
 (ii) 判断の承認又は執行が、この国の公序に反するであろうこと。
(2) 判断の取消又は停止の申立が、本条1項(a)(v)に定める裁判所に対しなされたときは、承認又は執行の申立を受けた裁判所が適当と認めるときは、その決定を延期することができ、かつ判断の承認又は執行を求めている当事者の申立により、他方の当事者に対して相当な保証を提供するよう命じることができる。