各検討会の議事内容等

法曹養成検討会(第3回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成14年2月5日(火)10:30〜12:30

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、木村 孟、ダニエル・フット、永井和之、牧野和夫、諸石光熙(敬称略)
(説明者)
池上政幸(法務省大臣官房人事課長)
黒川弘務(法務省大臣官房司法法制部司法法制課長)
(事務局)大野恒太郎事務局次長、松川忠晴事務局次長、片岡弘参事官

4 議題
司法試験の在り方について

5 配布資料
資料:法曹養成検討会(第2回)議事概要

6 説明資料(法務省)
資料1:現行司法試験について
資料2:新司法試験等について(骨子)
資料3:新司法試験等について
資料4:参考資料

7 議事
(1) 法務省からの意見聴取
  1. 池上人事課長からの説明
    現行司法試験について、説明資料4に沿って説明がなされた。

  2. 黒川司法法制課長からの説明
    新司法試験等について、説明資料3に沿って説明がなされた。

(2) 質疑・意見交換
法務省からの説明の後、次のような質疑応答、意見交換がなされた(□:座長、○:委員、■:法務省)。

○ 論文試験の採点で、採点者間のばらつきはどのように調整しているのか。口述試験の採点方法はどのようなものか。合格枠制(丙案)の合格者は、全体ではどの位の成績となっているのか。

■ 論文試験では、偏差値を用いて格差を調整している。口述試験では、60点を基準点として、61点、59点などと点数が付けられている。なお、各試験の合否判定方法や採点方針については、本年1月に公表されている。平成11年から平成13年までの論文式試験の合格者数は毎年約1,000人だが、制限枠合格者には全体の成績が1,500番台の者もいる。

○ 受験者、合格者における法学部出身者の割合はどの位なのか。

■ 大学生・大学院生における法学部の割合は、平成13年の出願者では88.9%、合格者では96%である。全体でも、合格者の9割前後が法学部出身者と思われる。

□ 職を持って法学部の夜間に通っているような者は把握しているのか。

○ その場合、塾講師や警備員等は、無職者か有職者か、どのように取り扱われているのか。

■ 受験者の願書での申告に基づいて分類しているが、警備員は有職者だが会社員には入らず、アルバイトは無職と記載してもらうようにしている。

○ 口述試験の得点について、実力の差が1点、2点の小差にとどまるということは、どういうことか。

■ 論文試験で一定の能力があると判定された者を対象に口述試験を行うので、実力にそれほど差はないのが実情である。

○ 論文試験の採点基準はどのようなものか。例えば、論点の半分しか触れていない答案でも、良い論述がなされていれば良い得点が付くということがあるのか。

■ 論文試験の採点においても、大まかな採点基準や得点分布の割合について考査委員の申合せがなされている。個々の答案の採点は考査委員の判断によるが、いわゆる論点主義を助長しないようにすべきだという委員も多く、指摘のような採点方法も採られているのではないかと思われる。

○ 考査委員の経験でも、論点主義を助長しないよう留意しており、論点によっては、その一部が落ちていても良く書けている答案を重視していた。

○ 自分の頭で考えない答案が多いというのは、受験生の能力が低下しているのか、それとも、リスクを回避しようとしているのか。論文試験の採点について、受験者数の上限はどの位か。

■ 最近受験者全体の平均的な学力が低下したと感じている考査委員も多く、予備校で教えられたことの丸暗記の答案が増えているとの意見もある。考査委員によれば、採点については、現在の程度の受験者数(6,000人〜7,000人程度)が上限ではないかと言われており、考査委員の増員についても、その適任者を確保できるかという問題がある。

○ 口述試験では何を問うのか。知識や論理能力は論文試験で問うことができると思われるが、口述試験で他の能力を問うのだとすれば、科目ごとに実施する意味はどこにあるのか。

■ 現行の口述試験では、一定の法律問題を素材として、法曹となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を口頭表現という形で試している。

○ 科目ごとの口述試験の実施が困難であれば、例えば、1時間で3あるいは4系統を統合的に行うという方法も可能ではないか。

■ 考えられる方法の一つと思われるが、その場合でも、複数科目の考査委員を同時に配置する必要があるという問題がある。

○ 複数の科目にわたる複合的な問題は、出題の方法に限界がある。考査委員の経験から言うと、知識ではなく、質問にどのように答えるかを見たいが、現在の15分では短い。一つの科目でも、突っ込んで質問すれば、能力がよく分かると思う。

○ 法典法国の法曹としては、正確な知識を幅広く備えていることが必要であり、例えば、弁護士の法律相談では、基本的な事項はその場で説明する必要があり、「調査してから後日回答する」では済まない。論文試験は必要な情報を与えて論理的思考力を試す試験とすべきであるが、基礎的知識の具備を確認するためには、短答式試験を実施すべきである。

○ 審議会意見は、法曹の多様性や「国民の社会生活上の医師」としての法曹を掲げており、弁護士には依頼者のための熱意や誠意、カウンセリング能力等が強く求められる。ペーパーテストで試すことのできる能力は限定されており、法科大学院でのプロセス教育と司法試験の役割分担を考える必要があるのではないか。

■ 法科大学院、司法試験、司法修習をトータルで考える必要があり、熱意や技術のような実務的要素は、司法修習に相当程度ゆだねるべきではないか。

○ 法曹の多様化に応じて必要な能力も異なるので、司法試験では、多様な法曹に最低限共通して求められるものを問うべきではないか。法曹倫理の理解も最低限のものとして必要であり、論理的説得力や弁護士倫理の大枠に反していなければ合格とするという大まかな採点であれば、現在でも法曹倫理を試験科目とすることが可能ではないか。

■ 基本六法を中心として、それにプラスした選択科目が最低限共通として必要であると考えている。法曹倫理については、現時点では学問としての普遍性に疑問があり、客観的な採点が難しいという問題がある上、全法科大学院で同一水準の教育がなされるのかも明らかでない。

○ 選択科目を設けると、例えば環境法のような分野を専門としたい学生が、司法試験のためだけに他の選択科目を勉強することになり、また、法科大学院の創造的な取組みや最先端の教育を阻害することになるのではないか。受験生が志望に関係なく得点の取りやすい科目を選択することが、以前に選択科目を廃止した理由の一つではなかったか。

○ 法曹にとっての基本法とは、どのような意味か。法曹としての需要が一番多いということか、六法を知っていれば、あとは応用で対応できるということか。いわゆる裁判法曹と違い、弁護士については、刑法、刑訴法は必須ではないのではないか。

■ 我が国では、法典法国として基本六法が確立しており、個々の法律もベースは六法にある。応用のための土台としての基本六法は、法曹の基本として必須のものである。

○ 基本六法は、従来は法曹の必要十分条件であったが、今後は、十分条件ではなくなるかもしれないものの、必要条件であることに変わりはない。例えば、知的財産権法では民法の理解が必要であり、企業法務でも、違法性や犯罪構成要件等の刑事法の理解が必要である。

○ 刑法の教育は、法律家としての物の考え方を鍛えるという点でも重要である。短答式を行うのであれば、合格のための知識の覚え込みのような弊害が起きないよう、内容を工夫する必要がある。法曹倫理は法科大学院で十分に教育すべきではあるが、試験科目とすることは、採点等の面で問題がある。

○ 刑事法も法曹倫理も重要である。法曹倫理を試験科目としないと、重要でないとのメッセージを与えることになり、学生も勉強しなくなるのではないか。法曹倫理の試験は、基本的知識に欠けている者、まったく考えていない者を不合格とすればよいのではないか。

○ 法曹倫理については、法科大学院で必修科目とされれば、重要であるとのメッセージになる。そのようなメッセージ性の点は、他の科目についても同様であり、すべてを司法試験科目にすべきであるということにはならない。

○ 法曹の最低限として、法曹倫理も試験科目とすべきである。正解のある問題ばかり出すから正解指向となるのであり、正解のない問題でも、論理的・説得的に論じているかを見ればよい。点数で評価するのではなく、合否の判定だけでよい。

○ 法曹倫理の試験を合否の判定のみとした場合、他の科目にどのように組み込むのか。

○ 法曹倫理で不合格とされた者は、それだけで全体でも不合格とすべきである。

○ 試験範囲としてどのような法律を対象とするかと具体的な試験科目とは必ずしも一致する必要はなく、両者を一致させて考えるのは、従来の形にとらわれているのではないか。短答式も口述試験も、やり方によっては法曹の資質を試すことができる。試験方法については、法科大学院の教育方法・成果とも関連する問題であり、現段階で固定的に決める必要はないのではないか。法曹倫理も、成熟した段階で試験科目とすることも考えられる。ただ、合否の判定だけでは、他の科目との関係で、合否判定にどのように組み込むか問題となるのではないか。

○ 全科目の合計点で合否を判定するのではなく、民事系、刑事系等の科目のグループごとに最低点を決めて合否を判定し、何年かかっても、最終的に全グループで合格すればよいというような方法も考慮することができないか。

■ 科目ごとの積み上げ方式では、合格まで何年かかるか分からない制度となり、修習に入る段階での能力のばらつきも予想され、プロセスとしての法曹養成という考えに沿わないように思われる。

○ 日本では、インタビューは機能していない。論文試験の成績が良いのに、口述試験に不合格となった者がいるのか。いわゆる「入れ替わり率」のようなものは出しているか。また、口述試験不合格者の翌年の合格率はどの位か。

■ 論文試験が高得点でも口述試験に不合格となった者もかなりいる。論文試験の成績が下位10%の層でも、口述試験の合格率は8割以上であり、不合格者の翌年合格率も、全体の合格率よりはやや低いが、8割以上である。

○ 法曹としての決定的な能力ではなく、合格後の経験や訓練で補完できる能力であれば、あえて10%を落とす試験を行う必要はないのではないか。

○ 考査委員の経験から言うと、口述試験は受験生の個性が分かる。会話が成立しないような者が、法曹には不適格として不合格とされているように思われる。できれば、口述試験は残すべきではないか。

○ 口述試験がそのようなものであるなら、各分野の法律知識を問う必要はないのではないか。

○ 60点、61点というような採点は、不適格者の排除と合致しないのではないか。

○ 思考がパターン化しているために存在しない学説を考えさせるような問題にまったく対応できないような者が不合格とされているのではないか。口述試験の選抜機能を強調するなら、もっと落とすような試験とすることも考えられるのではないか。

8 次回の予定等
次回(2月19日 14:00〜17:00)は、第三者評価(適格認定)基準の在り方、司法試験の在り方について、引き続き意見交換を行うこととなった。

(以上)