各検討会の議事内容等

法曹養成検討会(第4回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成14年2月19日(火)14:00〜17:00

2 場所
司法制度改革推進本部事務局第1会議室

3 出席者
(委 員)田中成明座長、井上正仁、今田幸子、加藤新太郎、川野辺充子、川端和治、木村 孟、ダニエル・フット、永井和之、牧野和夫、諸石光熙(敬称略)
(事務局)山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、松川忠晴事務局次長、片岡弘参事官

4 議題
(1)各委員の意見発表
(2)司法試験の在り方について
(3)第三者評価(適格認定)の在り方について

5 配布資料等

6 議事
(□:座長、○:委員)

(1) 各委員の意見発表
 司法試験の在り方、第三者評価(適格認定)の在り方について、各委員から、意見書に沿って意見が発表されたほか、次のような意見が述べられた。

○ まず第一に、これからの社会が求める「国民の社会生活上の医師」たる法曹、多様な法曹は、現行制度では養成することができず、一回の試験による選抜から「プロセス」としての養成に転換する必要があるという、今回の改革の基本理念を忘れてはならない。先日の中央教育審議会の法科大学院部会(以下、「中教審部会」という。)で、新司法試験についての法務省案は法科大学院の理念に反するものであるなどの意見が出されたので、この場でも紹介する。

○ 制度の随所で、機会の平等と公平性の確保に配慮すべきである。予備的な試験については、全体の制度設計としては、法科大学院によるプロセス養成をメインとしつつも、予備試験ルートを設ける必要があり、その機会はあらゆる人に開かれているべきである。法科大学院と同程度を要求する試験とすれば、予備試験ルートが広くなると心配することはないのではないか。

○ 新司法試験は、法科大学院が理想的な形で定着するまでは、選別機能を重視した試験とならざるを得ないのではないか。短答式試験は、現在のようなものでは知識の覚え込みの傾向が懸念されるが、現実に受験者数が多数となった場合に必要となることも考えられ、「実施できる」という形にしておくのがよい。口述試験は、合格者が3,000人となる場合にどのような試験が可能かを考えると、口頭表現能力のチェックは法科大学院の成績評価にゆだねてもよいとも思われ、口述試験をやめるというのも一つの考え方かもしれないし、残すとしても、「実施できる」という形にしておくのが適当ではないか。予備試験との関係では、法科大学院経由者がメインとなることは異論はないが、予備試験の受験資格の制限は適切でなく、実際上も難しいので、本試験の内容や、予備試験合格者にも本試験の受験回数制限を課すことなどによって、予備試験のルートが大きくならないようにすべきではないか。前回の本検討会では、予備試験の在り方については議論されておらず、中教審部会での議論は前提が異なるのではないか。

(2) 司法試験の在り方について
 次のような意見交換がなされた。

□ 新司法試験について、法科大学院の教育内容を十分に踏まえた新たなものとするという点は、各委員とも異論はないと思われる。試験科目については、これまでの各委員の意見を踏まえて検討することとしたい。試験方法については、論文式試験を中心とすべきであるという点は、各委員とも異論はないと思われる。

○ 短答式試験は実施すべきではないと考えるが、もし実施する場合でも、論文式試験の受験者数を絞り込むために行うことは、短答式試験の欠点が顕著に出るので反対である。

○ 基本的知識の確認は、本来的には法科大学院の成績評価によって行うべきであるが、短答式試験を実施するとしても、論文式試験と併用するのがよいのではないか。もっとも、受験者数が相当多数となった場合には、現実問題として論文の採点ができなくなるのではないかという問題がある。

○ 現在の論文式試験のような、手間をかけた細かい採点をしなくてもよい。新司法試験は、法曹としての最低限の能力を判定する試験に変え、採点方法も、科目ごとに合否のみを判定する方法に変えるべきである。

○ 合否のみの判定でも、実際には、他の答案との比較やランク付けが必要であり、採点が省力化できるわけではない。合否のみを判定し、一科目でも不合格があると全体として不合格とするという方法では、各科目ともぎりぎりの合格点でも合格できるが、他方、一科目でも不合格となれば、他の科目で高得点を取っても不合格となってしまうことになる。これからの法曹としては、後者のような人の方が魅力があるのではないか。

○ 法曹としての最低限に達していない者だけを落とすという試験とするのであれば、一科目でも不合格となれば全体として不合格とすべきである。

○ 論文式試験の受験者数を絞り込むために短答式試験を行うことは、現在の制度と同じ結果となることが懸念され、反対である。論文式試験についても、ドラフティングの問題や融合問題、資料をたくさん与えて分析させる問題など、様々な方法が考えられる。

○ 新司法試験では、論文式試験の採点に、現在よりも手間がかかることになるのではないか。

○ どのような能力が必要とされるのか、どのような方法で判定するのかという点から考えるべきである。知識習得型は悪いと言われる場合の「知識」と、法曹に必要な「知識」とは異なる。後者について言えば、知識それ自体が単独として存在することに意味があるのではなく、ネットワークとして体系的に備えておくことが必要だということである。新司法試験の短答式では、このような体系化された知識を問うべきである。

○ 知識を断片的に丸暗記することは不要であり、血となり肉となった知識が必要である。

□ 短答式試験について、各委員とも、現在と同じものとは考えていないものと思われる。新司法試験(本試験)の受験資格については、法科大学院の修了者と予備的な試験の合格者に認めるということで、各委員とも異論はないと思われる。受験回数制限とその後の再受験の問題については、法制面の問題もあるので、事務局において検討し、報告いただきたい。新司法試験の実施時期については、法科大学院修了後に実施すべきという意見が大勢と思われる。

(法務省司法法制課長)予備的な試験について、補足的に説明したい。法務省としては、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度を整備するという司法制度改革審議会意見の趣旨を損なうような制度設計とすることはまったく考えていない。新司法試験は、受験技術優先の勉強では対応できず、法科大学院で思考力を身につけた者でなければ合格が難しい試験となると思われ、その合格者は、自ずと法科大学院修了者が中心となると思われる。経済的事情等を理由に予備試験の受験資格を制限しようとしても、規定の仕方や実際の認定が極めて困難となる。受験資格の制限という方法によらなくても、審議会意見の趣旨を実現する方法が考えられるのではないか。

○ 予備試験は、法科大学院のプロセスを経由することを要求することが社会的に相当でないと認められるような者のために設けられることになったという原点を忘れるべきではない。それ以外の者は当然法科大学院に進む制度とし、法科大学院を経由しないことが社会的に相当であるかを審査する仕組みを設けるべきである。

○ 形式的な受験資格として審査することが困難なのであれば、社会的経験を問うような試験内容とすることが考えられるのではないか。経済的事情で法科大学院に行けなかった者や社会人として経験のある者に予備試験を受験させることは当然であるが、予備試験ルートが太くなり、成績優秀者が予備試験ルートに流れ、法科大学院修了者はこれより劣るという評価がなされるような事態は避けるべきではないか。

○ 多数の者が予備試験ではなく法科大学院に進むような制度設計とすればよく、少数の優秀者が予備試験ルートに行くことは仕方ないのではないか。そのような者まで法科大学院に行かなければならないとする制度設計は合理的とはいえないのではないか。また、予備試験に合格しても本試験の受験回数制限が課されるとすれば、予備試験はリスキーな選択となるのではないか。

○ 日本では、超特急組がエリートであるという意識が強く、学部段階や法科大学院在学中から予備試験を目指して受験勉強に専念する学生が出ることが予想され、そうなると、プロセスによる養成、幅広い法曹の養成という趣旨が損なわれるのではないか。

○ 優秀者が予備試験ルートに行くのは仕方がないという考えは、プロセスによる養成への転換が必要であるという改革の根本理念に反するのではないか。

○ 予備試験の受験資格を制限すべきとの意見は、法科大学院に自信がないので保護してほしいという印象を受ける。法科大学院が充実すれば、予備試験ルートより、法科大学院修了者の方が良いということになるのではないか。

○ 新司法試験で法科大学院で教育された高い能力が問われるのだから、予備試験合格者でも、本試験でそのような高い能力があると判定されたのであれば、それでよいのではないか。

○ 法科大学院に自信があるからこそ、法科大学院を経由してほしい。これからの法曹には試験で判定できない能力も必要とされており、これを養成するプロセスが重要である。

○ 法科大学院経由者が中心となり、予備試験の合格者が少数にすぎないのであれば、これを排除することは適当でないのではないか。

○ 予備試験を設ける以上、超特急組を排除することは実際には困難ではないか。むしろ、これからは、超特急組はエリートであるというのではなく、専門分野に強い法科大学院を修了したことや、社会に出てからの評価が重要になるのではないか。

○ 法科大学院修了と同程度のものであれば、予備試験は極めて難しい試験となり、簡単には合格できず、司法試験も法科大学院でしっかり勉強した人が多数合格する制度となると思われる。

○ 受験資格で制限しなくても、試験内容で予備試験ルートを限定することができるのであれば、異存はない。

○ 問題が生じるのは、法科大学院の設置当初のことであり、アクレディテーションが定着してくれば、今議論されているような問題は生じないのではないか。どのような試験としても、必ずクリアする者が出てくるので、当面は仕方がないのではないか。社会人の判定については、社会における活動実績を詳細に記載させれば、判定に時間はかかるが、必ずしも困難ではないと思われる。

□ 予備試験については、問題意識や制度全体の方向性は各委員とも異論はないと思われるが、法制的、技術的な問題もあるので、事務局において検討し、御報告をいただくこととしたい。新司法試験と現行司法試験の関係については、まず、同じ年においては、いずれか一方のみ受験できるという点は異論はないと思われる。法科大学院在学者・修了者の現行試験受験については、法制的な問題もあるので、事務局において更に検討していただきたい。

○ 法科大学院在籍中の現行試験受験については、実際に問題となるのは1、2年のことであり、あえて禁止する必要はないのではないか。新司法試験の方が合格しやすいのであれば、現行試験を受けようとする者は出ないのではないか。

○ 法科大学院在学中の現行試験受験を制限しないとしても、受験回数制限にカウントすることは考えられる。

(3) 第三者評価(適格認定)の在り方について
 次のような意見交換がなされた。

□ 入学者選抜において特定大学の出身者を優遇してはならないという趣旨については、各委員とも異論はないと思われる。

○ 法科大学院ごとの独自入試により、自大学出身者を事実上優遇することが可能となるので、解釈指針等で、具体的な防止策を規定すべきではないか。

○ 非法学部出身者・社会人の一定割合以上の選抜について、実際の入試事務を考えた場合、当初から別枠の入試とするのであれば別だが、3年型につき一般的な入試を行い、その中から非法学部出身者・社会人の枠を設けて選抜するということは難しいので、数字で割合を定めることは難しいのではないか。

○ 法科大学院としては、非法学部出身者・社会人が結果として一定割合以上となるような選抜をするよう努めるほかないのではないか。

○ 多様なバックグラウンドをもった人材を広く受け入れるよう、選考過程において、他分野の専攻等を重視することとし、それが合理的なものと認められればよいのではないか。

○ 大学院入試の現状からすると、特定大学の出身者を優遇しないということについては、実施するには相当の覚悟が必要ではないか。

○ 試験の出題範囲や内容で自大学出身者が有利となるような選抜方法が採られていないかはチェックできるのではないか。

□ 選考に関するデータの公表も重要であろう。

○ 一般的な入試で非法学部出身者・社会人を一定割合以上選抜することは難しいとの意見については、適性試験は共通に行われるので、その上で、どのような者を入学させるかという問題ではないか。

○ 適性試験の結果と実際の合格者とで、非法学部出身者・社会人の割合が大きく異なるような場合には、試験内容の合理性が問われることになるのではないか。

□ 教育課程については、これまでの各委員の意見を基に更に検討を進めたい。少人数教育については、コアとなる科目は、各大学の準備のためにも、1クラスの学生数の基準を示す必要があると思われる。

○ 専任教員と学生の比率(1対15)からすると、実際には、1クラスの学生数はそれほど多くならないのではないか。

○ 基本法科目は少人数で行うべきであり、60人程度が理想であるが、最大でも80人以下であろう。

○ 現在の司法研修所では1クラス70人程度であり、法科大学院でも、80人程度が上限ではないか。

○ アメリカの場合と異なり、日本では、教員も学生も、双方向的・多方向的な教育に慣れていないので、もっと少人数とすべきではないか。中教審部会では、法律基本科目については50人程度を基本とすることで意見が一致したが、この意見も参考にすべきではないか。

○ 教員については、教育方法の実習・研究を行うことが必要であろうが、学生は、何度かやれば対応できるようになると思われる。

○ 法科大学院の設置までに教員を訓練するためのプログラムを設けるべきではないか。

□ 実務教育については、教員の研修も含めて、法曹関係者のサポートが必要と思われる。

○ イギリスでは、スタッフ・デベロップメントが盛んに行われている。日本でも、学生による評価システムの導入等により教員の能力が向上すると思われる。

○ 在籍者数と収容定員について、司法試験の受験控えによる留年が大きな問題となるのではないか。法令上、留年できないと決めることは困難であり、留年者の分だけ新入生を減らさなければならないというように厳格に運用することは困難ではないか。

○ 成績向上の見込みのない学生は退校させるシステムを導入するべきではないか。

(文部科学省大学課長)制度的には、学長の権限で退学、留年させることが可能であるが、教育機関としては、学生を直ちに退学させず、修了レベルの水準に引き上げるよう努力するというのが一般的な考え方と思われる。

○ 奨学金等の学生支援制度の充実を図る必要がある。また、学生の奨学金や奨学ローンの支給を法科大学院での成績にリンクさせるようなシステムが有効ではないか。

□ 学生支援制度の充実については、中教審に伝えていただきたい。中教審部会の委員も兼ねている委員にお願いしたい。

○ 厳格な成績評価を実効化するためには、退学制度がないと意味がないのではないか。

7 次回の予定等
 次回(3月7日 10:30〜12:30)は、第三者評価(適格認定)の在り方について、文部科学省担当者から説明を受けるとともに、引き続き意見交換を行うこととなった。

(以上)