司法制度改革推進本部顧問会議

司法制度改革推進本部顧問会議(第4回)議事概要



1 日 時  平成14年5月16日(木) 18:00〜19:40

2 場 所  総理大臣官邸大会議室

3 出席者

(顧問)
佐藤幸治座長、今井敬顧問、大宅映子顧問、奥島孝康顧問、小島明顧問、佐々木毅顧問、笹森清顧問、志村尚子顧問

(推進本部)
森山眞弓副本部長(法務大臣)、古川貞二郎本部長補佐(内閣官房副長官)

(推進本部事務局)
山崎潮事務局長 他

4 議事次第
(1) 開会
(2) 検討会の検討状況等について
(3) 法曹養成制度について
(4) その他
(5) 閉会

5 配布資料[PDF形式]
  1. 検討会の検討状況

  2. 法曹養成制度の改革に関する審議会意見の基本的な考え方

  3. 新しい法曹養成制度に関する検討状況

  4. 法科大学院の第三者評価(適格認定)の在り方について(意見の整理)

  5. 第三者評価(適格認定)基準の在り方について(意見の整理)

  6. 新司法試験の在り方について(意見の整理)

  7. 法科大学院制度と新司法試験等導入に向けたスケジュール

  8. 司法試験の仕組み

  9. 法科大学院の設置基準等について/論点を反映した骨子(中央教育審議会大学分科会法科大学院部会)

  10. 法科大学院の設置基準等について(中央教育審議会中間報告概要)

6 会議経過

(1) 開会の後、山崎事務局長から、検討会の検討状況等について説明がなされ、概要以下のような質問・意見があった。

  •  今後具体的な立案作業に入っていくと、内容が専門的・技術的になり、狭い範囲の縦割りの議論に終始してしまうのではないか。これに伴い、顧問会議で実質的な議論を行うことが難しくなり、事務局主導となっていくのではないかと懸念されるので、顧問会議と検討会の関係をどうすべきかを考えることが必要である。
     その上で、国民・利用者のための司法制度改革という司法制度改革審議会意見書(以下「意見書」という。)の趣旨を生かすためには、場合によっては、複数の検討会で合同の検討会を行うことも必要ではないか。
     また、検討されている内容を国民に対していかに発信していくべきかについて、顧問会議としてその方針を明確に示すことが必要である。
     (座長より、顧問会議が単なる追認機関になってしまってはいけないということは顧問の共通認識と考えられる旨、重要な問題は必要な時点で顧問会議で議論するという方針を堅持すべきである旨、また、今後、検討会と顧問会議の間で意思の疎通を図ることも必要と考えられ、その方法については、事務局とも相談して考えたい旨を発言。)
     (事務局より、御指摘の点については、座長とも相談して、どのような方法があるか検討したい旨を説明。)

(2) 山崎事務局長から、法曹養成制度について、資料2から資料10までに基づいて説明がなされ、概要以下のような質問・意見があった。
  •  意見書に忠実に考えれば、法曹養成制度の在り方の基本的理念は、(1)法曹のあるべき質・量の決定を行うのは国民であること、(2)法曹の養成は教育の観点から教育改革の全体構想に立って行うべきこと、(3)法曹養成制度は法科大学院によるプロセスとしての法曹養成の観点から構想すべきこと、であると考えるが、この理念を貫徹し、法曹の都合で法科大学院や司法試験の合格者数を規定するような、法曹のための法曹養成制度としないことが必要ではないか。

  •  法科大学院の第三者評価については、法曹の養成を行うのは国民であるという観点から、法曹の量と質のコントロールを国民参加の下に行う制度とすべきではないか。意見書では、第三者評価は外部有識者の参加により客観性、公平性、透明性を確保すべきとしており、この趣旨がいかされるような第三者評価機関の設置、構成メンバーにしてほしい。
     (事務局より、第三者評価をどのように行っていくかについては、まだ具体的には決まっていないので、御指摘を念頭に置いて検討していきたい旨を説明。)

  •  法科大学院の第三者評価について、第三者評価機関は複数だが、司法試験の受験資格と結びつくミニマム・スタンダードの部分は全国統一的な内容となるので、ミニマム・スタンダードの認定機関は全国で一つに限ることとしている法曹養成検討会の意見の整理の内容では、第三者評価の仕組みは大学院の設置認可や司法試験の受験資格と密接に関連しつつも、独立した意義と機能を有するとしている意見書の趣旨を逸脱しているのではないか。検討会での意見を知りたい。
     (事務局より、法科大学院における教育の質の維持・向上を図る観点からは第三者評価機関は複数あっても構わないが、第三者評価のうち司法試験の受験資格に結びつくミニマム・スタンダードを満たしているかどうかについては全国統一的に評価するという意見が、法曹養成検討会において大勢を占めた旨を説明。)

  •  新司法試験の予備試験の基本的な位置付けについて、予備試験の受験資格を制限するのではなく、試験の内容・方法等を工夫するとしている法曹養成検討会の意見の整理の内容では、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の趣旨を損わないように配慮を求めている意見書の趣旨に反しないか。例外的であるべき予備試験が実質的には司法試験を受ける一つのコースになってしまうのではないかという疑念がある。
     (事務局より、予備試験については、その受験資格について、例えば、「経済的事情等により法科大学院に行けなかったこと」とすると、そうした事情をどのような資料に基づいて誰がどう判断するのかということになり、受験資格で絞り込むことは法制上も非常に難しいとの指摘がなされた。しかしながら、予備試験のルートが本道になってしまっては法科大学院を設置する意味がなくなるのではないかとの議論もあった。このため、予備試験においては、法科大学院を卒業したのと同等の能力の有無を試験することとし、予備試験が司法試験受験の本道とならないよう、試験内容を濃密なものとするという考え方で整理された旨を説明。)

  •  最近、リストラ、企業再編等に伴い労働紛争がかなり発生している中で、労働法分野について、法科大学院や司法試験での必修化も含めて、教育の充実が必要ではないか。労働者側の意見としてだけでなく、社会情勢から見て社会的要請の大きな項目の一つとして受け止めてほしい。
     (事務局より、労働法分野については法科大学院の選択科目の一つとして取り入れられることになるだろうと思われるとともに、これ以外のものであっても重要な科目については、ほとんどの法科大学院で取り入れられるだろうと認識している旨を説明)

  •  法曹人口の大幅な増員を確保する観点から、年間3,000人の司法試験合格者数を達成できるようにするためには、法科大学院の入学試験はあまり難しくしすぎるべきではない。
     (事務局より、入学試験を難しいものとするというよりは、入学後に厳しい成績評価を行って淘汰していくようなイメージであるとともに、入学試験である適性試験は法律の試験ではない旨を説明。)

  •  どの大学から法科大学院を受験しても差別されることのないようにすべきである。
     (事務局より、出身大学による差別をしないことは、第三者評価基準の中に含まれており、特定大学の出身者が入学者のどのくらいの程度ならばよいかを言うことは難しいが、この点は第三者評価の対象となる旨を説明。)

  •  法科大学院の入学者数に関して、非法学部出身者の割合を3割以上とすることについては、多様な人材を育てるためにも、是非工夫してほしい。
     (事務局より、当分の間は法学部出身者が多くなるだろうから、当面3割としているが、将来、状況が変わってくれば基準も変わると考えられる旨を説明。)

  •  法科大学院での修業年限が2年又は3年であり、その後、司法試験に1回で合格できない場合には、法曹資格の取得に期間がかかりすぎることとなるのではないか。司法修習との関連を含めてあまり時間がかからないで済むよう工夫してほしい。
     (事務局より、期間を短縮するため、司法試験では口述試験を行わないこととするとともに、大学3年からの法科大学院への飛び入学も認めることとしている旨、また、法科大学院内での飛び級を認めるべきであるとの議論もあるが、2年コースの場合、1年で教育を修了することは難しいので、法科大学院内での飛び級は困難であると考えている旨を説明)

  •  司法試験は、法科大学院の修了後に行うということだが、いつ頃行うのか。
     (事務局より、具体的には決まっていないが、現在、論文試験の採点は7,8月の休みの期間でないとできない状況にあるため、そこをどうするかという問題がある旨を説明。)

  •  企業では、倒産法制、知的財産法、独占禁止法、金融関連法、税法、労働法、国際取引での契約実務等に対応できる多様な知識を持った人材が必要とされる。このため、法科大学院では選択科目にこうした分野を取り入れて、幅広いカリキュラムを準備してほしい。特に、知的財産権に関して、技術面・法律面の知識、国際感覚のある人材を育成することに留意してほしい。
     (事務局より、法科大学院の選択科目の設定については、各法科大学院で工夫し、それぞれの特徴を出すことを期待している旨を説明。)

  •  法科大学院の実務家教員を2割程度以上確保できるようにお願いしたい。
     (事務局より、実務家教員の確保については、これから、実務家を派遣することとなる裁判所、検察庁、弁護士会とも詰めていきたい旨を説明。)

  •  第三者評価については、ミニマム・スタンダードの認定機関を一つとすることは理解できるが、法科大学院間の競争を促進する観点から、多様な民間の評価機関が作られるべきである。また、法科大学院は積極的に情報公開を行うべきである。
     (事務局より、教育を向上させる観点から、複数の評価を行い、各法科大学院に競争をさせ、また、情報公開をさせてよいものとしていくことが前提となっていると考えている旨を説明。)

  •  知的財産法、独占禁止法、金融関連法、税法等の法科大学院の選択科目については、司法試験の試験科目としても取り入れてほしい。
     (事務局より、司法試験の試験科目については、今後、法科大学院がどのような選択科目を取り入れるかの状況を見ながら、司法試験管理委員会の意見を聴いて、法務省令で定めるシステムを考えており、ほとんどの法科大学院で取り入れている科目については、試験科目に取り入れることが必要ではないかと考えている旨を説明。)

  •  司法試験は資格試験であるという点を重視し、一定のレベルにあれば合格させ、後は能力のない者は淘汰されていくような形があってもよいのではないか。
     (事務局より、司法試験が資格試験であることは当然の前提である旨を説明。)

  •  予備試験は、将来的に継続して実施されるようにしてほしい。

  •  これからの法曹には国際的な教養、視野が求められているが、法科大学院の教育や司法試験の在り方において、国際性の確保に特別の配慮はなされるのか。
     (事務局より、本部事務局に国際化検討会を設けており、現在は外国法事務弁護士制度について検討しているところである旨、今後、国際的に対応できる法曹の養成についても検討していきたい旨、及び、選択科目については各法科大学院の自主性に関わるものであるが、ニーズの強いものは科目として取り入れられていくと考えられる旨を説明。)

  •  第三者評価機関について、大学基準協会、大学評価・学位授与機構等の現存する評価機関との関連はどのようになるのか。
     (事務局より、現存する機関についても視野に入れているが、どのような結論になるかについては未だ決まっていない旨を説明。)

  •  予備試験について大検のイメージを持っているがどうなのか。予備試験のイメージを明確に詰めておくべきである。
     (事務局より、予備試験は法科大学院を修了したのと同等の能力を有しているか否かを試験するというイメージであるが、大検よりは内容の濃いものであると考えており、そのような制度設計を行うようにしたい旨を説明。)

  •  司法制度改革の本格的な議論が始まってから、マスコミの関心が薄れてしまっている。国民的な議論が影を潜めてきていることは寂しい。もう一度火を付ける必要があるのではないか。

  •  法科大学院は、社会のニーズを踏まえ、多様性と質を確保すべきである。多様性を確保するためには、個々の法科大学院がその特性を生かして差別化を図り、個性で競争することが重要であり、評価基準の共通部分を高くするとこれができなくなる。多様性を吸収できるような工夫が必要である。

  •  法科大学院は互いに切磋琢磨して競争し、国民・ユーザーが厳しく評価するようにすべきである。評価の軸足はユーザーサイドにあるという点が決定的に重要である。

  •  法科大学院には競争が必要であり、その中で国民が各々の特徴を評価できるシステムとすべきである。ただし、知的財産法、労働法等国家戦略的に重要なものについては、本来は自主的な競争であるが、国が助成するようなことも考え得るのかもしれない。

  •  意見書では、法科大学院、第三者評価、司法試験の受験資格の3つは有機的に関連する事項であるとしており、今後の検討でもこの点に注意してほしい。

(3) 自由討議が行われ、概要以下のような質問・意見があった。

  •  最近マスコミの関心が薄れているのは、問題が小さくなってきているからだと思う。日本人は何事にも先回りして考えすぎるから、本筋が見えなくなってしまう。改革を進める場合、全て100点満点ということはあり得ない。
     例えば、法曹を増やすのであれば、レベルが低下しがちとなるのはやむを得ない。増やすことが本筋なのかどうかである。また、予備試験にしても、多様なルートを確保するという一方で本道になってはいけないという。いろいろ例外はあるとしても、基本的な方向性がどちらなのか分からない。
     司法試験が資格試験だというならば、合格者数は分からないはずである。
     時間がかかるから口述試験を止めるというのは理由にならない。必要ならば時間がかかってもやるべきだし、不要ならばやらないということだ。

  •  意見書の基本原則に即しているか否かを考えることが顧問会議の責任であるから、法律案を作って国会に出す前に顧問会議に諮り、手続的に本筋を押さえることができる十分な機会を与えてほしい。

  •  3月に法科大学院を卒業したら遅くとも秋には司法修習に入れるようにする必要がある。そのために、大学としても、司法試験の担当教授には採点に専念してもらうなど応分の協力をして、犠牲を払うことも必要である。

  •  第三者評価の在り方について未だはっきりと骨太なところが見えてこない。その点を一層詰めてほしい。

  •  法曹を増やすことは、明確なルールに従って物事が動いていくことを実感させるための手段を国民に提供するものである。また、法曹が増えても、思い出の事件を裁いているようではいけないのであり、これまで我が国は時間感覚なく制度が動いてきた。そこで、例えば、民事裁判の第一審の判決がどのくらいで出るようになるかといった分かりやすいメッセージを示していくことが必要である。これからは、透明性とそれを実現するための人的な装置、それに応えるシステムが合理的な時間内に動いていくことについて、もう少し明快な形で伝えていくことが、顧問の任務としてあるのではないか。

  •  司法制度改革は当初大々的に取り上げられたが、本部になってから取り上げられていない。司法のどこが変わるということの明確なメッセージが必要である。

  •  国民は、お上に依存し、法を使うという意識がない。まず、国民の意識改革を行うことが必要である。

  •  立法・行政を含めて官から国民に対するメッセージが全然出ていない。むしろ、民間臨調や経済界・労働界といった民間人が発信している。国民の意識を喚起するに当たり、この顧問会議の役割が極めて重要である。メッセージの発信の仕方について顧問会議で考えるべきである。

  •  法曹改革では、娑婆の空気を分かっている法曹三者がいるのかどうかという点が問題である。

  •  司法制度改革は「豊かな創造性とエネルギーを取り戻そうとする」改革であるという原点を点検すべきであるが、司法制度改革審議会の議論の過程を最もご存じなのは座長であり、座長にはもっと発言してほしい。

  •  我が国は法治国家と言われているが、その透明度は極めて低い。我が国に海外企業が進出してこないのは、行政指導が多いなど見えない規制があり、ルールが明確でないからだ。行政が法律を解釈する司法を抱え込んでいるところが我が国の問題であり、透明性を確保しないと新しいエネルギーと創造性は生まれないのではないか。
     また、司法制度がその国の活力・バイタリティに役立っているか否かについての国際的な順位も低く、むしろ司法が我が国の活力を阻害している面がある。さらに、競争力も落ちてきており、例えば、国債の格付けも低下している。ルールの透明性についての改革をしないと日本の活力はますます劣化していく。

  •  顧問会議がしっかり改革の方向性を監視し、国民に司法制度が変わるという期待と確信を持ってもらえれば、注目が集まるのではないか。

  •  司法制度改革のPR不足は否めない感じがする。顧問及び顧問会議として国民に分かりやすく訴えていく必要がある。

  •  裁判が遅いので、これを早くするためには、法曹人口を増やすことが必要である。また、裁判員制度を導入するにしても、裁判のスピードが早くないといけない。

  •  法曹が、国際的な社会の変化に対応できていない。もっと専門性、国際感覚を備えた法曹を早急に養成すべきである。

  •  司法制度と同様に、立法も迅速に対応することが必要であり、法務省・内閣法制局の強化が併せて必要である。

  •  司法制度改革は実行段階にあるので、国民に分かりやすく訴えるだけでなく、改革を実行していくことが最も重要である。

  •  裁判が遅いということは司法制度が仮眠状態にあるということである。司法のスピードが世界の流れとずれている。これでは、国民の期待をつぶしてしまうこととなる。
     (座長より、司法制度改革について、国民に対して簡潔に分かりやすく、どう変わるのかというメッセージを再度発信することが必要である旨、その際のキャッチフレーズは、透明性、ルールに従った社会ということであり、さらに、身近な司法、速い司法、正義が勝つ頼り甲斐のある司法ということも重要であり、これらを訴えるためのペーパーを工夫して、次回の顧問会議にお諮りした上で、顧問会議として訴えるべきことを公表したい旨を発言。)
     (内閣官房副長官より、司法制度改革についても、例えば、原則として一定年限以内には結審させるというような目標を立ててその目標を実現するためにはどうしたらよいかを議論すれば、相当にインパクトがあるのではないか、司法制度改革はいろいろ詰めるべき点も多いが、顧問の皆様には改革が実現できるようにするための目付役であってほしいし、政府としても、是が非でも実現するという強い決意の下に、改革に意欲的に取り組んでいく旨を発言。)

(4) 森山副本部長から概要以下のとおりあいさつがなされた。

  •  顧問の皆様にはたいへん御熱心に御議論いただき感謝する。政府としても、新聞、広報誌、テレビ・ラジオ等で広報活動に努力しているが、それらも参考にしながら、顧問の皆様からアピールをお出しいただきたい。

以 上

文責:司法制度改革推進本部事務局
注)速報のため、事後修正の可能性あり