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安全保障と防衛力に関する懇談会(第2回)議事要旨


 日  時 平成16年5月18日(火)18:00〜19:30


 場  所 総理大臣官邸小ホール


 出席者
(委 員)
荒木   浩東京電力顧問
五百旗頭 真神戸大学法学部教授
佐藤   謙都市基盤整備公団副総裁(元防衛事務次官)
田中  明彦東京大学東洋文化研究所教授
張  富士夫トヨタ自動車株式会社取締役社長
西元  徹也日本地雷処理を支援する会会長
(元防衛庁統合幕僚会議議長)
樋渡  由美上智大学外国語学部教授
古川 貞二郎前内閣官房副長官
柳井  俊二中央大学法学部教授(前駐米大使)
山崎  正和東亜大学学長
(政府側)
細田   博之内閣官房長官
二橋  正弘内閣官房副長官(事務)
野田  健内閣危機管理監
谷内  正太郎内閣官房副長官補
柳澤   協二内閣官房副長官補


 議事概要
(1)官房長官挨拶
 外交や経済を含む幅広い分野の有識者の皆様に、我が国の将来の進路を見据えつつ、安全保障と防衛力全般の見直しについて深く御議論いただくことは極めて意義深いことであると考える。
 この懇談会については、開催の趣旨にもあるとおり、幅広い御議論をいただきたいと考えているが、いかなる議論が行われるかについては、国会でも注目されているところである。
 これから、様々な重要な論点について突っ込んだ意見交換をさせていただきたい。


(2)事務局説明
 事務局から、国際テロ、大量破壊兵器の拡散、平和の定着、人間の安全保障といった点についての説明とともに、軍事力の役割の多様化、我が国にとっての課題等について説明があった。
(3)意見交換
 テロなど新たな脅威には、「抑止が効かない」ことから、予防が重要である。予防に際しては、相手が見えないだけに国際協調が重要となる。また、予防していても実際に事態が起こった場合は、対処能力も試されることから、運用を的確・迅速に行うことや、関係機関との連携などの体制の構築が迫られている。
 東アジアには、北朝鮮の問題があり、伝統的な安全保障上の問題と新たな安全保障上の問題の両方がある。新たな脅威への対応に当たっての予防に関しては、外交やODAといった軍事力以外による対応が有効であるが、いざというときのための防衛力をきちんと整備しておくことも必要である。
 防衛力の整備には、戦略観あるいはシステマティックな取扱いが必要である。新たな脅威といっても、システムを構築するに際し、例えば、テロリストの脅威と、脅威のマルチプライヤーである大量破壊兵器とを単に並列的に並べることでいいのかどうか検討が必要である。
 テロに対処するには、テロリストの意図を分類して、いかなる手段で対応していくかに結びつけていくことが必要である。
 新たな脅威には抑止が効かないと言われるが、少し丁寧に説明しないと余り説得力がない。すべてのテロリストに抑止が効かないというわけでもない。自衛隊、警察等の協力がそれなりの抑止効果を高めることに繋がるのではないか。
 新たなタイプの脅威を分析するとともに、現代社会におけるこちら側の脆弱性がどこにあるかといった点も議論が必要である。
 我が国の防衛を考えるに当たり、朝鮮半島や中国といった我が国周辺の事情から、伝統的な防衛体制の在り方は無視できない。欧米先進国の防衛力の役割を分析してみると、国・地域の防衛のみならず、国際社会の平和と安全への貢献、国益の擁護、軍事的均衡の維持等がある。新たな脅威と伝統的な脅威への対応のバランスをどうとるかについて、どこの国も悩んでいる問題であろうと思う。
 安全保障で経済の果たす役割も重要である。日本のアジアにおける経済援助や民間企業の活動がアジアの安全に資した面があるのではないか。テロでも、明日への希望がある人たちは自爆はしないであろう。その意味で、経済の役割も俎上に載せることが必要ではないか。
 冷戦期は、拒否力程度の防衛力の保有と、国際環境全般を改善することで対応できたが、今や、流動的な何でもありの時代を迎えて、日本も例外でなくなってきている。国民への脅威に対処するということでは、テロ、大災害など、いつ起こるかわからない非伝統的な脅威に緊急性があるのではないか。
 テロリストのネットワークを断ち切ることで、テロの抑止とまではいかなくても、ある程度インフルエンスを及ぼすことは可能である。その意味で、テロとの闘いにおいて、国際的な情報協力と国民への協力をより本格的に求めることが重要である。
 今の防衛大綱を見直して、新しいストラテジーを考えていくとすれば、自衛隊が本土の防衛を超えてもう少し海外に展開していくことなどを考えると、基盤的防衛力の見直しも避けて通れない。
 自国の防衛のみならず、テロなどの新たな脅威に対応していくときに、同盟国の間の役割分担等について具体的に考えていくことが重要な問題として出てくると思う。
 国としての危機管理体制も重要な問題であり、いざという時に危機管理のため、各省庁が協力・連携はしているが、政府として、国家として対応できるかどうか思い切った論議が必要である
 基盤的防衛力の考え方は、自ら空白にならないという消極的な観点から防衛力を意味づけているが、もっと積極的に安全保障環境の安定や改善に寄与するにはどうするかという考え方が必要になってくる。さらに、基盤的防衛力の概念以外にも、例えば昭和32年の「国防の基本方針」が今のままでいいのか、国際協力を実施する上で今の体制で支障がないのか等の問題についての議論もあっていいのではないか。
 国としての安全保障と危機管理を考える上で、どういう脅威を前提として考えるかについて議論が必要ではないか。
 米国の軍事戦略がどうなるのかということについても、検討が必要ではないか。
 技術革新が与える影響、技術基盤の問題についても議論が必要ではないか。
 過去の事案からのマイナスの教訓も踏まえることが必要ではないか。