アジア・ゲートウェイ戦略会議(第2回) | |||||||
| 日 時: | 平成18年11月21日(火)8:00〜9:00 |
| 場 所: | 官邸南会議室(3階) |
| 出席者: | 塩崎内閣官房長官、根本内閣総理大臣補佐官、伊藤委員(座長)、中北委員(座長代理)、中村委員、深川委員、宮田委員、石倉一橋大学教授 |
○根本内閣総理大臣補佐官 おはようございます。これから「アジア・ゲートウェイ戦略会議」の第2回目を開かせていただきます。
今日はお手元にテーマが書いてありますが「2.アジア・ゲートウェイ構想の具体的な検討」という観点で、アジア・ゲートウェイ構想における日本の役割は何か。人材育成・活用、社会・組織文化の変革をどう考えるか。そして、これまでの先生方の御議論も踏まえさせていただいて、アジア・ゲートウェイ構想の基本的考え方。前回、提示させていただいたものに、その後の御意見も踏まえて少し加筆させていただきました。それにつきまして、御議論を賜りたいと思います。
議論を集約するために、少し席の間隔を狭くしました。総理も今日は出席できないのですが、具体的な制度につながるように、活発な御議論をお願いしたいということですので、多少狭いと思われるかもしれませんが、こういう感じが議論しやすいかなということでセットさせていただきました。
それでは、伊藤座長、よろしくお願いいたします。
○伊藤座長 それでは、早速議事次第の「2.アジア・ゲートウェイ構想の具体的な検討」に入りたいと思います。最初は「(1)アジア・ゲートウェイ構想における日本の役割」についてでございますが、まず宮田委員の方からごあいさつをかねて、このアジア・ゲートウェイ構想に関して、重要と考えられる論点について御発言をお願いしたいと思います。
○宮田委員 先般は、どうしても抜けられませんでしたので、申し訳ございませんでした。本日は、よろしくお願いいたします。
私はこういう提案をさせていただきました。ちょっと神がかった雰囲気の提案ですので、御理解しにくいかもしれませんが、私これを持っていると何十時間でもしゃべれるわけです。
東京藝術大学というか、文化・芸術を発信する大学が、チームを組みました。そして、その中で常に考えていることは、我が身が美しくあれば、それは「躾」であるという意識観です。本当に美しい国、日本ということであるならば、我が身から美しくなければいけない。実は、今年の入学式のときにしゃべった言葉でございます。「身」という言葉に「美」という言葉がプラスアルファされることによって、「躾」という言葉になっております。本当に自分が美しいということであるならば、例えば現在あるいじめだとか、自殺だとか、いろんな問題がありますが、そういうことは逆になくなっていくのではないか。しつけさせられるのではなくて、我が身からしていくということが大変大事なことではないか。
同時に、私のキーワードとして、「TOKIMEKI再美日本」という意識観を持っております。日本のすばらしさをもう一回構築させていただけたら、少なくとも世界発信ができるのではないかということでございます。
いろいろ日本のすばらしい今までの伝統芸能があります。だからといって、この日本の伝統芸能を含め文化を後戻りさせようという気持ちで言っているわけではございません。例えば1つの例ですが、10〜12世紀ごろに絵物語、皆さん一番御存じの『鳥獣戯画』がございます。あれはまさしく現在のアニメの原点でございまして『鳥獣戯画』を含めて、日本が昨日、今日になって世界発信しているわけではなくて、ちゃんとそういう歴史の観点の上に立ってものができ上がっているということを確認することと、もう少し誇りを持っていただきたいということがあります。
2番目の大きなことは、ヨーロッパにいかに日本が影響したかという点におきまして、産業も勿論ですが文化芸術の部分では大変大きな影響を与えております。
例えばジャポニズム、アール・ヌーボーにしてもそうですし、いろんな印象派の人たちなどは、ほとんどが日本の文化を継承して、それで世界に発信しているという状態ができておりますので、改めてまた日本のよさを発見、再開発することによって、現在に合わせた状態でもっていけば、日本というものは世界発信、あるいはアジアのいい意味でのリーダーシップを取れるのではないかということを考えております。
基本的な考え方や国際的レベルの問題、あるいは逆に日本に伝えること等々書いてございますが、今、日本の中でとても残念なことというのは、お金の使い方が下手くそである。それが正確に伝わってないということによって、日本人が尊敬される日本人になってないというところがとても気になります。
たまたま入学式で、お前たちはすばらしい、美しい仕事をし、美しい演奏をし、美しい作品を描いたから、今、東京藝大にいるのだという話をさせていただきました。その美しさをなくさないで、世界発信していってくれれば、必ずや文化は君たちのテリトリーになるだろうということでお話しさせていただきました。ちょっとスタンディングオベーションになってしまいましたけれども、こんなことがあるのは誇りではないかということでございます。
持ち時間を終わりましたので、ここでおしまいにします。ありがとうございました。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。
次に、根本内閣総理大臣補佐官から御発言をお願いします。
○根本内閣総理大臣補佐官 今日の議論のために、今、宮田先生からプレゼンテーションをいただきましたが、私の方でも、前回の議論をベースに、資料1「アジア・ゲートウェイ構想における日本の役割〜多様性を受け容れ、諸外国の文化を活かす『日本』を発信〜」というテーマで、資料を作成いたしました。もう先生方にお配りしてありますので、詳細は省略いたします。
今、アジア、世界で求められているものは何かということで、3つ目のポツに書いてありますが「地球の限界を踏まえ、環境、安全のみならず、文化、生活習慣に至るまで、多様かつ繊細な価値が尊重・評価される国際秩序の構築が必要」ではないかとしております。
2つ目が、日本が持つ多様な価値を受容する考え方を世界に発信したらどうかという点で、幾つか記述させていただいております。
3つ目が、日本の魅力を磁力にして、アジアと世界のゲートウェイを目指そう。アジア・ゲートウェイ構想とは「美しい国」である日本の魅力を磁力にしていくことではないか。
具体的には、以下に書いてありますが「開かれたアジアの実現に向け、日本をアジアと世界のゲートウェイにしていく」。
こういうたたき台を用意させていただきました。宮田先生の提言と含めて御議論を賜ればと思います。
○伊藤座長 ありがとうございます。
それでは、アジア・ゲートウェイ構想における日本の役割について、今、根本補佐官の方からお話もありましたけれども、それも含めて皆さんから御意見を、石倉さんも含めて、お願いいたします。
石倉さん、どうぞ。
○石倉教授 今のお話を伺って、やはりアジアと欧米は基本的にいろんな面で違いがあると思いました。6月にダボス会議の東アジア版を東京でやったときも、アジアとEUとの比較がされました。トップダウンでやるか、ボトムアップでやるか、何かよくわからないところから、いいものが出るようにするかなど、EUとは基本的なアプローチが違うという話が出ました。多分その辺りのちがいをよく理解して、アジアの代表者として、アジアの価値観をアジアにも、世界にも伝えるという役割を日本が担うのが非常に重要ではないかと思うのです。
特に最近、アメリカのスタンダードが国際ルールになってしまうのではないか。欧米のアングロサクソン的なものだけがデファクト・スタンダードになってしまうのではないかという懸念があります。そこで、言葉に表しにくいことをうまく表現できるというのは、やはり日本の非常に大きな力だと思います。宮田先生のおっしゃったように「説明」をうまくできる人はあまりいないので、ああいうことをうまく皆に伝えられるという能力は、非常に大きな意味を持つと思います。日本の文化自体を伝えるだけでなく、ある事象を解釈して、ほかの人にわかるように伝えるのは、非常に有意義で価値のある役割だと思いますし、日本はそうした役割を期待されていると思います。
○根本内閣総理大臣補佐官 多様な価値を受容する考え方、ここに書かせていただいたのですけれども、そういうことですね。
○石倉教授 そうです。日本は、一見モノカルチャーとよく言われるのですけれども、歴史を見てみると、多様なものを受け入れてきていて、それが並存している。青木昌彦さんの講演で、「千と千尋の神隠し」など最近日本から発信され、世界で流行っているものも、よく見るといろいろな文化がうまく表現されていると聞きました。それ以前、私は日本をモノカルチャーの国だと決めつけていたので、それを聞いてびっくりしたのです。日本のそういう面をもっとアピールできると思います。
○伊藤座長 どうぞ。
○宮田委員 へんてこりんな話ですけれども、日本人は何でもみんな神様なのです。紙も水も木も、すべてが神様になっている。それが今、宮崎さんのアニメの中にも完璧に継承されていますね。
グローバルに全部を持っていきながら、ちゃんとそれを秩序立てて連携ができる日本人のすごさというものを、もう一回確認しないといけないと思います。
○石倉教授 そうですね。そうした特色は、今忘れられている部分だと思います。実はそうした力を持っていたということを思い出すことも必要でしょう。それは過去に戻るということではなくて、新しいものの中にも断片的に出ている、例えばこういうものに見られると具体的に言うと、非常に効果的だと思います。
昔に戻ると言うことではないことを強調すべきだと思います。
○宮田委員 誤解されるといけないのですけれども、周りにばっと書いてあるのは、決して昔に戻るわけではなくて、これがベースになっていますということです。
○根本内閣総理大臣補佐官 融合して新しいものを生み出すということですね。
○宮田委員 とてもうまいのです。あっという間にやります。
○石倉教授 それはそんなに簡単な話ではないし、世界の大国でもなかなかできないことなのだということを、うまく言うことが重要だと思います。
○伊藤座長 どうぞ。
○中北座長代理 私は経済学者だから文化論は余り得手ではないのですけれども、いいもの、価値のあるものというのは、黙っておればおのずと語るというふうに思いがちなのですけれども、再発見とか再開発とちらっとおっしゃったのですが、やはり発信していくということが極めて重要ではないかと思います。
名古屋なども、それまでは東京、大阪、京都の通過点で、産業以外特段何もないというふうに、これまで書かれていたらしいのですが、それをこの1年、2年の間で、関係者は非常に情報発信に努められた。特にアジアとの関係では、産業・観光博物館とか、いわゆる日本がこれまでの経済成長を明治含めて戦後遂げてきた、そういった経過、過程、体験というのが、アジアの方には非常に関心が高い。実際、かなり観光、あるいは高いレベルの方のアンケートをその後取ったところは、高山の鵜飼いよりも、トヨタやヤマハとか、そちらに非常に興味があったという話です。
日本人自身も今、単に物見遊山ではなくて、体験、学習、見る、学ぶ、そういう方向に来ているので、そのような意味でもっと発信していくということが重要ではないかと思います。
ですから、内外に情報発信していく。そのためのインフラの整備も併せてやっていかないと、せっかくいいものがあっても再発見されない。それが伝わっていかないということで、価値として他者から認識されてない。日本人自身も十分認識してないということになるので、こんな視点を強調したいと思います。
それは海外への情報発信の強化ということで、今、放送とか映像配信というのをやっておられますのでけれども、手段のところだけではなくて、そういう考え方そのもの、発信力を高めていく、そういうスピリットが重要ではないかと思います。
○伊藤座長 私も手段を考えるときに、2つのことを分けて考えた方がいいと思いまして、1つは発信ということと、もう一つは交流ということと、かなり性格の違うものかなという気がするのです。発信ということは、勿論非常に大事だと思います。今、既にあるものが十分に横に伝わってないということで、手段は放送をもっと強化するのか、あるいはそういう拠点をつくるのか、いろんなことがあるのですけれども、あるものを外に出していくということです。
もう一つは交流という意味は、外でやるのか中でやるのかということは両方あるのですけれども、実際には生身の人間にいろんなものを感じてもらうとすると、ただ単に瞬間で映像を見たり、あるいは日本はいいなと思ってもらうだけではなくて、やはり日本を体験してもらうとか、あるいは日本の人が向こうに行って交わるというところがあって、そのときに極めて重要だと思うのが、日本の中に来ているアジアの方々が、どういうふうにお考えになるのかということが、かなり大きな鍵だと思うのです。
しかも、これをしっかりやっていくことはかなり難しい問題です。単に日本でどういう文化活動とか交流活動をするかというだけではなくて、例えば日本にものを売るとか、あるいは看護師さんが日本で仕事をするということになってくると、日本の制度みたいなものが、本来海外と交わっていろんな形で新しいものをつくっていき、現在も進行形でいかなければいけないと思います。
ですから、申し上げたいことは、発信ということと、交流という二次元で考えていかないと、多分中身の深いものはできないのかなという気がいたします。
まだ時間ありますので、何度でもどうぞ。
○石倉教授 中北先生がおっしゃった点ですが、日本では、とかくハード中心ということになりがちです。「製品さえよければ売れるはず」だという思想がまだまだ強いと思います。やはりいいものはこういう点が良いとはっきり言わないと、相手はわかってくれません。
今のように、世界中で多くの人が発信・交流する中で、こういう点があなたのニーズにぴったりです、今の世の中に必要とされているものを提供していますということを、やはりちゃんと言うのは、つくった人の義務であり、大きな仕事ですと考える必要があります。
それから、発信と交流は、私たちの分野【発言者注:経営、特に知識マネジメントの分野】では、「原体験、聞いたとか見ただけではなく、自分で体験したことが重要である」、と最近では考えられています。自分自身の体験は非常にビビッドな印象を残します。今、ウェブが発達していて、情報は何でも取れるし、顔を合わせる会議も今迄ほど必要ではないのではないか、といわれていますが、やはり面と向かって会わないとなかなか議論は進まない。一緒にその場を共有したという経験がないと、その手段【発言者注:最近高度に発達している情報通信技術のこと】が十分には生かされないと思います。私も会議をやったら、最初にプラットフォームをつくっただけでは全然議論が進まなくて、1回会ったら、あの人はこういう人だとか、ここはわかっていて、ここはわかってないという発見がありましたので、経験は非常に大きいと思います。
アジアの人が日本に来てどういう経験をするかは、とても重要です。余り良い経験をしないで帰ってしまうと、日本に対するマイナスイメージ、ネガティブな口コミがばっと広がってしまいます。そういう中では、幾ら発信しても余り効果がないと思います。
○根本内閣総理大臣補佐官 今の先生の話が、次のテーマにつながっていくのですね。
○石倉教授 はい。
○深川委員 文化とかも特にそういうところがあるのですけれども、結構複雑なのは、やはり欧米人が考える日本文化というのは、非常に単純に文化なので受け入れられるのですけれども、中国、韓国の系統は、うちの方がオリジナルだという複雑な受け止め方があるのです。だから、金持ちになったからソフィスティケートされた形でプレゼンしているけれども、どうせこんなのうちから行ったのではないかという、これが大衆レベルに結構あって、そういう教育をまたしているので、余りナイーブに欧米人と同じ感じではちょっといけないところがあると思うのです。
やはり文化の力ってすごい力なので、一番上のものには結局はみんな感動するのですけれども、そこに至る前にナショナリズムのフィルターが通ってしまうということなのです。だから、それをもう所与のものとして、いいものをこれでもかと見せていくしかない。そういう覚悟を持たないといけないと思います。
○宮田委員 本当にそのとおりでして、大学教育などの高等教育をやっていますと、本当にいいものはどの国でも、中国、韓国でも全くナショナリズムはありません。お互いに感動し合えるし、そのいいレベルというのが余りにもちゃんと伝わってないところで、下世話なところでやっているから結局排除されて、最終的には金で幾らやってもどうにもならない否定的な文章になってくる、言葉になってくる、言動になってくるという点がありますので、日本人そのものも文化そのものに対してのレベルを高めないといけない。それから、受け入れる気持ちがね。中国、韓国は、もうおっしゃるとおりで、あちらから文化をいただいていますから、私なども金属の人間ですから、もう日本になった金属の文化というのは、シルクロードを経て中国、韓国に来ています。だから、彼らが来たときには、父なる国、母なる国、お兄さん、兄弟の国からいただいたけれども、今、日本はこうなっていますという、感謝と同時に比較する言葉を必ず入れないとだめでした。
しかし、今は変わっていますよ。お互いに頑張りましょうというとらえ方にすると、非常にニュートラルになります。
○根本内閣総理大臣補佐官 角度は少し違いますが、中村会長は経済人として、松下のブランドイメージとか、発信、交流されていますね。そういう企業の海外での経験、体験から、何かお考えがあればお願いします。
○中村委員 伊藤先生がおっしゃった、特に発信ということに関して、極めて日本が独善的に発信する場合が多いと思います。いい製品ですよと言っても、各国の生活者によって全然受け止め方が違う場合があるわけです。そういう意味で結果として誤った受け止め方をされるような発信になってしまうことが、多いのではないでしょうか。やはりかみ砕いて、もう少しその国々に合った発信、その人々に合った発信の仕方が必要ですし、その国がアクセプトできる発信の仕方をしていかないと、かえって逆効果となります。それは交流の仕方でも同じでありまして、そういう点をもう少し見直す必要があるのではないかと感じております。
宮田先生が、いみじくもおっしゃった、我々の日本の文化というものは遠くは中国、朝鮮半島を通って渡来したものが非常に多いということに、果たして日本人は感謝しているのかということなども踏まえて、もう一度発信の仕方をきっちりと見直しておく必要があると思います。
一例を挙げますと、ベトナムという国は、人口の80%が仏教徒で、しかも我々と同じ祖先なのです。蒙古斑があるのです。したがって、非常に共通的な遺伝子があるのではないかと推定します。企業活動においても、そのほかの活動においても、お互いに受け入れやすい、共感を呼ぶような発信の仕方、交流の仕方をしていかなければならないと思っております。
○石倉教授 私は専門が企業戦略なのですが、松下電器は、ずっと昔からアジアで事業活動をしていらっしゃいますから、たくさんの人がアジアに行き、実際の経験をしていらっしゃると思います。さっき深川先生がおっしゃったように、実際はこうだという話は、たくさんあると思うのです。実際やってみたらこんなことが起こったなど、そういうことがもう少しほかに波及していくと良いと思います。勝手な意見ですみませんが、ひとつの企業の中にとどまってしまうところがあるのではないでしょうか。
○中村委員 1つだけ申し上げますと、その国に長く住んでいますと、本当にその国を盲目的に好きになってしまうことがある一方、全く嫌いになってしまうといったことがあるようです。その真ん中・中立でいることは客観的になかなか難しく、その国と日本との架け橋になるという考え方がどこかに消えてしまうのではないでしょうか。
ですから、中国に関しても好中か嫌中かではなく、もっと客観的にアジアを見る能力、思考というものが必要な時代になったのではないかと感じています。前から必要でありましたけれども、忘れていたのではないかと思います。
○伊藤座長 今、人材の話も出ましたので、もしよろしければ、この議論はまた後で続けていただくということで、次のテーマの「(2)人材育成・活用、社会・組織文化の変革」について、本日ゲストスピーカーとして石倉教授にお願いしておりますので、自己紹介もかねて御発言をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○石倉教授 今日はこのような会議に呼んでいただき、ありがとうございます。私は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科にいます。ここは簡単に御紹介しますと、英語でMBAのプログラムをやっているところです【発言者注:日本人だけでなく外国人も対象にしている。】多分、先ほどからお話が出ているように、実際こういう試みをやってみたらどうだったかという経験をお話ししたいと思います。それが1番目です。
もうひとつは、私の研究分野であるイノベーションやクラスター、競争力から考えた日本の制度に関する問題点、何をしたらいいかという解決案をざっと御紹介したいと思います。
パワーポイントの資料を準備しましたが、主な点は、最初の4ページに示されていて、後は参考資料です。それから、最近出た新聞記事が2つ、いずれも私の言いたいことを書いてあるものを準備しました。後でごらんいただければと思います。
まず第1番目の国際企業戦略研究科【発言者注:略称ICS】のご紹介です。この場でウェブサイトが見られれば紹介するのが一番簡単なのですが、できないので、後でお時間があったらウェブサイトをごらんください。
ICSは、2000年に当時、国立大学初の専門大学院として始まりました。ICSのコンセプトは、「一橋(ひとつばし)」をもじって、「西洋と東洋」、「理論と実践」、「ケース・スタディという欧米的なものと一橋らしいゼミ」など、2つの世界に「橋を架ける」というものです。つまり、両方の世界のいいとこ取りをしようというのが基本的なコンセプトであり、とてもわかりやすいと思います。
当初から世界を対象にしましたので、国際経営コースは、10月から新学期、すべて英語でやっています。2000年から始めたわけですが、コンセプトはわかりやすくて良いものの、実際にやってみるといろんなことが起こります。それを毎年実験、試行錯誤しながら解決しようとしている、その途中にあります。
「オープン」ということがこの会議の中心概念のひとつだと思うので、「オープン」という側面から見た一橋について、お話します。実際やってみると予想通りという点もありますが、結構違うという点もかなりあります。
1つは、これは予想どおりというか予想を上回っている点ですが、一橋は、世界ルールに合わせてオープン化した、つまり海外に対して開かれた大学院です。新学期は10月から始まりますし、英語でやっています。このようにオープン化したメリットは予想よりずっと大きいです。たとえば、海外から何か問い合わせがあったときに、ウェブサイト(英語)を紹介すれば、それで通ります。学内で使うイントラネットもすべて英語です。こちらからの発信だけでなく、海外にある資料も翻訳という手間なしに何でもそのまま使うことができます。これはスピード感が重要な今の時代には、非常に大きなメリットです。
もうひとつの大きなメリットは、「内なるオープン化」です。一橋の学生は、大体平均年齢30歳ぐらい、実務経験4年以上、日本人以外の比率が半分から3分の2ぐらい、外国人はアジア人が多いのですが、こうしたオープン化が、実は日本人にとって、大きな刺激になるのです。
同じプログラムを同年代の学生が一緒にやっているのですが、大ざっぱに言ってしまうと、外国人の方が日本人よりたくましく、逆境にもくじけない、元気なのです。また、要求度【発言者注:授業や教授陣、事務に対するもの】が非常にきつい。だから、つまらない授業をすると、ものすごく文句を言ってくるのです。私自身も問題解決のコースを実験的にやった年に、この科目はそれ自体教えるのが難しいのですが、途中で学生から、「こんなコースは価値がない」「私たちの時間を無駄にしている」と言って、すごい勢いで不平が出たのです。もちろん私はその対応で大変な思いをしたのですが、一般的にいって、日本人の学生はなかなかそこまでしないことが多いです。だから、こうした経験から、日本の学生も、主張をちゃんとすることを、学ぶわけです。
同じプログラムを1年やっていくと、日本人の中でも、大きく変わる人が出てきます。こういうことをやっていいということが分かる【発言者注:日本人学生が認識し、変わってくる。これを「内なるオープン化」といっている。】、それが予想よりずっと大きいのです。
また、英語でやることのメリットははかり知れず、思っていた以上にすごいです。英語を使うことによって、世界に開かれるわけです。これを、「私のオフィスの窓から見えるのは、毎日新聞社ではなくて太平洋と大西洋なのです」と私はよく言いますが、世界に開かれていると実感しています。
多様性についても、クラスにいろいろな国の人がいるので、多様性を「議論する」というよりもそこで起こっていることに多様性が息づいているわけです。
多様性がそこにあることのもう一つのメリットは、いろいろな国の人の中で日本人の学生を見ると、日本のよさをもう一度見直すきっかけになるという点です。例えばアメリカ人などには、時々、自分の主張ばかりする人がいます。最初はみんなそれに結構乗ったりするのですけれども、しだいに、言い方もやりようがあるでしょうということが、だんだんわかってきます。日本人の学生で最初は余り発言もなかった人が、結果としてはみんなの人望を集めるようになるとか、本当はこの人に実力があるのだというところがわかってきます。これはやはり長い間、24時間近く一緒に行動するからで、そこはなかなかいいところだと思います。
一橋の経験からいえることは、「世界に開かれる」「世界レベルの競争と協働」とは、どういうことなのかが実感としてよくわかることです。
では、課題は何なのかというと、まだ余りにも規模が小さいという点です。こうしたオープン化の試みは、大学院レベルでは一橋と新潟の国際大学、学部では立命館くらいで、全体から比べると余りにも小さすぎて全体へのインパクトになりません。だから、【発言者注:日本の高等教育、そして教育全体を動かすためには】ある程度の規模が必要です。留学生を何人かというレベルでは制度全体の変革には全然足りません。10%というレベルではなく、30%以上などかなりの規模にする必要があります。
大きな動きにするには、大学研究者の30%を外国人にする、授業を英語でするなど、ある程度思い切ってやる必要があります。最近一緒に本【発言者注:「世界級キャリアのつくり方」】を書いた黒川清先生は、「大学の大相撲化」「大相撲ナイゼーション」と言う表現を使っていますし、よく新聞などにも出ていますが、やはりある程度の規模でやる必要があると思います。
2番目のテーマは「イノベーション、国際競争時代における日本の制度改革」です。ちょっと復習なのですが、競争力の源泉はイノベーションです。これは、技術革新も勿論含まれますが、それを超えた、「新しい市場、サービス、製品、ビジネスをつくる」ということです。また1回限りの大ホームランではなく、イノベーションを継続することが不可欠です。そのためには、社会システム全体を改革する必要があります。人材、資金、情報のネットワーク、よいものは、どんなところから来ても認める市場などが必要です。先ほども話が出ていましたが、日本ではインド人、韓国人など国籍だけで最初からハードルがあるという話も聞きます。また、失敗・チャレンジを評価するところが社会にそもそもないと、イノベーションは無理だと思います。
私もイノベーションに関しては、クラスターなどいろいろなことに関与しているのですが、クラスターとは、地域の強みをいかし、世界で勝負できるイノベーションを地域レベルでやろうという試み【発言者注:良く知られているのは、シリコンバレー】です。いろいろな取組を見ると、まだまだ中途半端という感じがします。
どういうことかというと、最近の、省庁の縦割り行政をある程度解決するために、横断的にやろうというアイディアと試みはいいのですが、それでは本当にうまくいっているかというと、そうした形を形式的につくっただけで、実際にはまだまだという状況がよくみられます。
この補佐官制度というのは、横断的という意味で非常に期待しています。こうした会議から、よい結果が出てくるといいと思います。
実際クラスターなどについてもいろいろな活動を現場でやってきた方々は、民間企業のトップにしても、官庁のクラスター担当者にしてもたくさんいるわけです。しかし、そこで起こったことをうまく吸い上げる仕掛けがなく、うまくいかなかったことからの教訓が全然生かされていません。これは企業でも同じで、失敗例はみんな忘れたいと思っていることが多く、失敗例のケースを探そうとしてもなかなか見つかりません。しかし、どうして失敗したのか、次にどうすればそうした失敗が防げるかを分析すると、組織にとっては、大きな財産になるのです。しかしなかなかそういう動きが見られません。
たとえば、構造改革特区にしても、そこから何が学べて、何がうまくいかないのか、具体的なものを集めていったらいいと思います。
アジアということから考えれば、アジアだけではないのですが、地域レベルでのデータベースを整備して、本当にこの地域の強みは何なのかということを客観的に世界と比較して押さえる必要があります。それから進捗状況をモニターし、世界と比較するためにも、ちゃんとしたデータベースが必要です。イノベーションは長期的な取組が必要です。そうした中で、官庁では2年ごとに人が異動するというやり方では、データベースやネットワークの構築はなかなか難しいと思います。
○伊藤座長 ありがとうございました。また議論していただくということでお願いします。
幾つか大事なことをおっしゃって、1つは国内の中に拠点をつくる、特にマスというか、選択と集中みたいな部分が大事だということ。
それから、ここの会議全体に非常に関係があるのですけれども、要するにアジアにゲートウェイを開くということは、実はイノベーションに必要な社会のシステム変革の大きな原動力になるのだということだと思います。
補佐官の方から何かございますか。
○根本内閣総理大臣補佐官 石倉先生の御指摘、もっともだと思うのです。この人材育成のところでも、具体的にやってみて、世界レベルの教育をやってもらう。これは大事だと思います。
イノベーションの点では私もそう思っているのですけれども、クラスターも文科省、そして経産省、産業クラスターをやっているのです。いろんな例が出ているのです。ところが、おっしゃるように毎年毎年手を挙げさせてやる。例えば3年ぐらい継続してやる。恐らくそこはもう一段のイノベーションが必要なのだと思うのです。経験知から学んで、どこが問題であったか。多分それが各省横断的にという仕掛けでやられているのだけれども、そこがもう一段飛び越えなければいけないだろうと。そこは、関係省庁の上で引っ張る力が必要なのだと思うのです。
ですから、この「アジア・ゲートウェイ戦略会議」という場で、官房長官にも入ってもらっていますが、ある程度政治家が入らないと、各省庁に、やはり行政でやってくださいという状況なのだろうと思うのです。
だから、日本のクラスターも初めていろいろやっておりますけれども、先生おっしゃるように、点検し、評価し、具体的な制度論として、どういうさらなる仕掛けが必要か、そういうことをこの場で出していければいいと思います。
私もいろんな事例を見ていますけれども、東北大の教授が自ら研究開発して、異業種の企業を全部自分で束ねて、研究資金まで持ってきてやっている。あれはイノベーションに近い、一人イノベーションだと思うのですけれども、そういう例も出てきていますから、いい知恵から、いい試みから、何を制度化するか、失敗からいかに失敗をさせないような新たな制度に仕組むかというところだと思うのです。
○伊藤座長 資料2は、もし今ここでやっていただければ、それで議論に入りたいと思います。
○根本内閣総理大臣補佐官 資料2で、今、多少イノベーションに入ってしまいましたが、今日の「人材育成・活用、社会・組織文化の変革」という点で、これも事前にお配りしてありますが、今、石倉先生からお話をいただきました。「1.現状認識」では、世界を見ると世界的な人材獲得競争が高まっている。労働力として外国人を受け入れている先進国の課題が、実はいろいろ出てきています。
日本の足元を見ると、今、石倉先生からお話がありました。依然として、日本人を中心とした人材育成になっていて、大学、企業の国際化の遅れが出ているのではないか。更に、まだ内向きの社会・組織文化になっているのではないか。こういう分野を、今の石倉先生の発想、取組で打開するということだと思います。
もう一つ、一方で今の話は高度人材の育成という視点だったと思うのですが、実は理想と実態のギャップの拡大というのがあって、日本の方針は高度な外国人労働者が積極的に受け入れられて、単純労働者は慎重にということでありましたが、現実には比較的単純な外国人労働者、これが日系何世という形で増加して、他方高度な人材は日本を敬遠するという傾向が実態ではないか。実は、日系人などの外国人の多い地域社会、これはいろいろな社会問題が深刻化していて、こういう点でも対応する必要があるということであります。
「2.検討の方向」ですが、これはまさに今日のテーマになった方向性ですけれども、世界の頭脳を惹きつける国際的な知的ネットワークの中心になるべきではないか。
2つ目は、世界で活躍できる人材をつくる。地域としてのアジアの競争力を高めるという視点。
3つ目は、外国人受入の基本方針の体制整備を確立する。
制度的には、そういう3点の対応が必要ではないかと思います。
今日、直接議論は出ておりませんでしたが、入国管理・入国後管理の適正化で、専門的、技術的分野の外国人労働者の受け入れは、積極的に推進しようと。
比較的単純な労働者に対する適切な受入制度の構築が必要ではないか。例えば研修技能実習制度、3年間で戻ってもらっていますが、これを一回日本に来た方にもう一度2年間来ていただく、こういう対応も必要ではないか。
一方で、今お話をしましたが、不法就労・滞在、あるいは生活者としての外国人に対する対応の強化、こういう点も必要ではないか。
具体的な取組例としては、今日はお話しをしていただきましたが、一橋大学の取組、先ほどもお話に出ていました、立命館アジア太平洋大学における取組。
こういうペーパーを整理させていただきました。
○伊藤座長 官房長官もうお出になりますので、一言お願いします。
○内閣官房長官 今回、このアジア・ゲートウェイ構想というのを、根本補佐官に担っていただいているわけであります。なかなかこのゲートウェイというのは何だろうかというのが難しく、一言で言えば架け橋ということなのでしょうが、私たまたまこの間まで外務副大臣というのをやっていて、いろんな外国に行って、改めて日本を外から見たり、考え直したりして、いろいろ考えるところがあって、外務省にいたときに30人委員会というのをつくりまして、もし補佐官のお許しが得られればお配りしたいと思いますが、言ってみればこのゲートウェイ構想というのは、かなり安倍総理の主張する外交のベースになるような、ど真ん中の政策だと思うのですけれども、今までの発想よりも1つレベルが高いことをやろうとしているのではないかと思っております。
ただ、私が外務省でやったことというのは、その入口みたいなことで、むしろ日本を主張し、日本にもっと来てもらうというぐらいの話でまとめたもので、後でお配りしますが、架け橋になるためには、物事というのは単純に考えた方がいいと思うのですが、やはり人に架け橋をお願いするというのは、言ってみれば仲立ちとか、そこを通ってきてもいいということを感じるためには、日本なら日本の力を認知してもらわなければいけないし、自らも認知しないといけないだろうと思います。
もう一つ、架け橋として認知してくれるためには、日本に対する信頼感というものがないとだめだろうと。ですから、公平性とか公正性とか責任感とか、交渉のときの仲立ちとか架け橋になってくれる人というのは、やはり信頼されないとだめだろうと。
もう一つは、ただ信頼されるだけではなくて、尊敬もされなければいけない。恐らく力を認知するというのは、外の人から認知してもらうけれども、先ほど来お話に出ているように、自らが自分の力を認知し直さないとだめだと。
この力の認知と信頼感と尊敬というのは、多分3つがお互いに全部ないとできない。そういう国に日本はなろうではないかと。特にアジアを意識しながらというのが、今回の一大構想を根本補佐官にやっていただいていることだろうと思うのです。
そうした力の認知とか信頼感とか、尊敬とか、そういうもののために、今お話が出ているようなさまざまな発想が、具体的な政策が出てくるのだろうと思うので、先ほど来発信とか、そういうものがありましたが、是非具体的な政策を考えるときにいつも、最後は人間ですから、あの人ならばと思ってくれないと「架け橋国家」には多分なれないので、あの国ならばと思ってもらうための条件は何だろうかというところにいつも立ち返ってから、こういう具体的なことを考えていくと、整理がしやすいのかなということを、先ほど来先生方のお話を聞いて感じました。
ということで、閣議の方に参りますので、今の報告書を人数分だけ置いてまいります。日本は何で力があるのにこんなに外に行ってプレゼンスが低いのだろうかとか、訴求力、発信力が何で弱いのだろうか、何で日本にこんなに外国の人が来てくれないのか、そういう発想でまとめて、具体的な提案もあるので使えるものは使っていただいて結構ですけれども、今回のものはもっとレベルが高いので、更に先生方に頑張っていただきたいと思います。
それでは、済みません。
○根本内閣総理大臣補佐官 今回の構想は、理念構想と具体化をフィードバックしながら、やりとりしながら、それで中身を厚くしていこうということなのです。
○石倉教授 そうですね。
○伊藤座長 今のご発言はレベルの高いこともしなさいという官房長官からの御下命だと思います。
○根本内閣総理大臣補佐官 相当レベルは高いと思います。
○伊藤座長 時間があと10分ぐらいしかありませんけれども、この話はまだ続くと思います。特に人材とか、組織について何かもし御発言があればお願いします。
どうぞ。
○中村委員 この人材交流という点から、日本への留学生受入について少し紹介してみたいと思います。松下では、1998年から毎年20名〜30名とごく少数ですが、アジア諸国から日本への理工系大学院修士課程を学ぶ留学生への援助を行っております。
大学に入るための語学研修1年間に月15万円、大学に入りますと月18万円の援助となる奨学金制度であります。今までの8年間で222 名となり、わずかな数ではありますがアジアの国と日本の架け橋になってくれているのではないかと思っております。
また、中国、マレーシア、インドネシア、タイ、韓国等極めて多くの国から留学生を受け入れております。
今、世界における留学生の受入数を比較してみますと、米国は毎年58万6,000 人、英国が24万3,000 人、ドイツが22万7,000 人、フランスが18万人、オーストラリアでも13万6,000 人の受入数となり、GDPに比していかに日本(11万7,000人)が、他の先進国と比較して留学生の受入数が少ないかということがわかります。
したがいまして、私は留学生の受入について、政府として数値目標を明確にし本格的に取り組んでいただきたいと思います。また、企業でも企業のできる力の範囲で努力していくことも必要であると思います。
以上です。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。
どうぞ。
○中北座長代理 2点あるのですが、先ほどの情報に別にこだわるつもりはないのですけれども、日本企業の戦後のいろんな体験とかノウハウが、日本のビジネススクールの研究の素材に、どれぐらい生かされているのか疑問がありまして、日本の企業、あるいは官僚の人がハーバードやそちらの方に行って、アメリカのやや過去の話を、時には日本の事例をそこで勉強すると。ところが、日本でも無尽蔵な事例があるにもかかわらず、それがなかなか教育の方、経済学の方になかなか生かされてない。それは、情報がうまく出ないのか、いろんな配慮がない。しかし、そこを更に日本企業で勉強して、追体験して、そういうことがまたしみ込んで情報発信にという感じなので、そういう疑問がある。
もう一点は、官房長官が少しおっしゃったのですが、国を開くといったとき、制度面の税制とか入国、ビザの事前の手続、いろいろ難しい問題があると思うのですが、かなり単純労働を優先か、技能労働を優先か、かなり180 度違うと思うのですけれども、一体世界ルールがどこにあるのかということは、次回、次次回辺りに、その辺を考えながら、今どこにあるのか、どういう事情から暫定的にとらえられないかということを、少し大所高所から考えていくことが必要ではないかと思います。
以上、2点です。
○伊藤座長 少し時間が押してきまして、まだ資料3がございますので、資料3も含めて、お願いします。
○根本内閣総理大臣補佐官 資料3は、前回「アジア・ゲートウェイ構想のイメージ(たたき台)」ということで示させていただきました。実は、これを先生方の議論の中からどんどん充実していったらいいのではないか。
それから、先生方の個別の御意見もいただきましたので、赤字で書いてあるところが検討施策例で、検討施策例を盛り込ませていただきました。今日は大変短時間で凝縮した議論になって、最後の議論の時間を取ることが余り多くないのですが、議論する中でどんどんこういう形で構想のイメージをふくらませていって、検討政策例でいろいろ出しておりますが、将来のステップはこの検討施策例を具体的な制度に煮詰めていくという考え方で、内容が毎回進化している代物であります。
○伊藤座長 ここで議論する時間は早いと思いますから、是非またこういう形で資料をいただいて、今日のお話を伺っていて思ったのは、一方でこういう形で具体的な例をいっぱい出していくことで発想をふくらまして、他方で先ほど官房長官おっしゃったように、それをどこかの段階でレベルの高い安倍外交のど真ん中のレーンのようなものが出てくればと思います。
○根本内閣総理大臣補佐官 安倍外交の中心的な打ち出しもできるのではないかと思います。
○伊藤座長 それでは、最後に、補佐官この後外国に行かれるということで。
○根本内閣総理大臣補佐官 実は戦略会議を2度やらせていただきまして、私の役割は対外的に日本の経済政策、安倍政策について対外発信してくることであるものですから、タイミング的に来週しかないのです。
実は、来週インドのダボス会議とシンガポール、アジア・ゲートウェイ構想を話しながら、むしろ向こうの方々ともディスカッションをしていきたいと思っております。
今日もいろいろお話を聞かせていただきましたし、インドネシアとかシンガポールに行って、こういうところをテーマにしてやりとりしたらいいのではないかとか、もしそういう御示唆があればいただきたいと思います。
○伊藤座長 私は是非一つ、向こうで恐らくマスコミがいっぱい来ると思いますので、英語でこのアジア・ゲートウェイ構想というのが新聞に出るように発信していただければと思います。
○根本内閣総理大臣補佐官 できればこの会議も、いろんな政策が出てきて、みんな日本のアジア・ゲートウェイだと。継続して、何でもアジア・ゲートウェイというイメージで、政策的なものを発信していければ、それは対外的に、あと国内も非常に意味があると思います。
○伊藤座長 ほかに何かよろしいですか。
○石倉教授 やはり中心となるメッセージを繰り返し言うのが大事です。この会議らしい特徴があるユニークなものを。だから、「アジア・ゲートウェイ」「大相撲ナイゼーション」など、何度も何度も言っていると、みんなその気になってくると思います。
○根本内閣総理大臣補佐官 これは全くブレーンストーミングからやり始めているので、一応5本の柱とか、日本の魅力を発信するとか、いろいろ試行錯誤でやってきているのです。塩崎官房長官の今日おっしゃられたことも、塩崎官房長官は外務副大臣の間にこういうものを30人委員会でやって、私もこれを渡されて、そしゃくしながらやっている。確かに同じことを何度も言い続けると、多分固まってくるのです。日本の強みとか魅力とか、だんだん内外にわかってくる。それがまた磁力となって世界に発信できる。こんなことかなと思っています。
○宮田委員 そうですね。せっかくやったら尊敬されないとね。もったいないです。たまたまなのですが、うちの留学生なんかは国へ帰って最後は大体文科大臣関係の人たちになっています。ほとんど方々がそういう要職、教授、あるいは学長、そういうものに必ずなっています。
○中北座長代理 今、留学生の比率はかなり高いのですか。
○宮田委員 そんな高くないですね。というのは、ヨーロッパからの留学生がそんな多くないですが、全世界からコンスタントにずっと来ています。
○根本内閣総理大臣補佐官 今日の人材のところも、高度な有能な人材というテーマと、あともう一つ多少指摘させていただいたのが、例えば製造業で日系人の労働者を受け入れて、そこからいろいろ社会問題も出てきているわけです。
一方では資格という点で、ある程度専門職で受け入れられてきましたが、実はそういう現場、生活実態に即してみると、そういう生活者の部分で有能な人材の面と、今、既に日本で生活されている点もあるものですから、ここは余り対応されてないと。自治体で対応されていますけれども、実はこういう面も対応する必要があるのではないかということで、多少この中に入れたいと思います。
○石倉教授 常に考えておかねばならないのは、この会議のユニークさです。ユニークなところは何かを、意識して、それを中心メッセージにして、発言していかないと、聞いている人はまた同じことをやっているのかと思ってしまいます。何が今までと違うのかを常に意識して、そこを強調したらいいと思います。
これもあるし、あれもあるしというと、聞いた人は、それぞれ自分が聞きたいところだけを聞いてしまいます。課題はいろいろあるけれども、この会議ではこの点にフォーカスする。たとえば、高度人材なら高度人材でもいいと思うのですけれども、これだけにフォーカスして、そこからの波及を促すというアプローチです。ほかに課題があることはわかっていますが、この会議の目玉はこれですというメッセージです。
○根本内閣総理大臣補佐官 やはりプレゼンテーションのプロですね。伊藤元重座長からも、優先順位を明確にして、あるいは絞り込み、選択と集中と言われています。
○伊藤座長 もう時間ですけれども、最後に何かあれば、どうぞ。
○根本内閣総理大臣補佐官 今日は大変活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
○宮田委員 最後ですが、入口に私の作品がある会議場でやらせていただいて、こんな光栄なことはございません。
○根本内閣総理大臣補佐官 ぶら下がりで、それをコメントしておきます。
○宮田委員 あれがまさしくゲートウェイで走っていますから。
○伊藤座長 ありがとうございました。