アジア・ゲートウェイ戦略会議(第3回) | |||||||
| 日 時: | 平成18年12月19日(火)14:00〜15:00 |
| 場 所: | 官邸南会議室(3階) |
| 出席者: | 安倍内閣総理大臣、塩崎内閣官房長官、根本内閣総理大臣補佐官、伊藤委員(座長)、氏家委員、白石委員、中北委員(座長代理)、中村委員、深川委員、宮田委員、御立尚資ボストンコンサルティンググループ日本代表 |
○根本内閣総理大臣補佐官 総理がこれから入りますが、始めさせていただきたいと思います。それでは、第3回「アジア・ゲートウェイ戦略会議」をこれから開会いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ出席を賜り、本当にありがとうございました。出席者ですが、本日は皆様全員御出席ということであります。
また、本日はゲストスピーカーとして御立ボストンコンサルティンググループ日本代表に御出席をいただいております。
それでは、これからの議事進行は伊藤座長にお願いいたします。
○伊藤座長 それでは、早速、議事次第の「2.人流・物流インフラ機能の強化と関連制度の改革について」、議論を始めたいと思います。
最初に、根本補佐官の方より御発言をお願いいたします。
○根本内閣総理大臣補佐官 それでは「人流・物流インフラ機能の強化と関連制度の改革」ということで資料1、それから、横長の資料2を用意させていただいております。
この人流・物流インフラ関係、先日、私が経済財政諮問会議でアジア・ゲートウェイについて説明した際に、総理を始めとする多くの議員の方からさまざまな意見がありました。アジア・ゲートウェイ構想の柱となる議題だと思います。
資料1について説明いたします。
人流・物流に関しましては、大きく2つの懸念があります。
1つは、我が国はアジアの成長を取り込んでいく必要があるのに、アジアとの交流の鍵となる空港・港湾の利便性が低い。早急に手を打たないと、アジアの国々が日本を通過してしまう。これが1つの懸念であります。
2つ目は、企業は国際分業を進めておりまして、物流がスムーズに行くかどうか。これが競争力を左右しております。ハード面だけではなくて、関税手続などの貿易手続が遅れておりまして、製造業の国内立地・国内回帰などの致命傷になりかねない。
この2つの懸念があります。
一方、世界は戦略的に利用者の利便性を高めることに取り組んできておりまして、我が国は縦割り行政のままで、また、事業者も国内需要に安穏している。横断的・大局的な政策を打ち出してこなせなかったのではないかと思います。
今後は「(4)検討の基本的方向」に示しておりますように、利用者サイドに立った政策へ転換する。人口・国内需要減少時代を迎え、アジアワイドでの政策への転換など、これまでの政策を大きく見直していく必要があるのではないかと思います。
2ページから4ページ目にかけて、人流・物流の現状がどうなっているかということを書いておりますが、ここからはよりわかりやすくということで、横長の資料2で現状について説明させていただきたいと思います。
まず、第1ページ目「競争力が低下した日本の空港・港湾」と書いてございます。
アジアや世界に比べて、日本の空港や港湾の競争力が落ちております。ハードの整備にも限界がありますし、ソフト面でも対応が遅れたのだろうと思います。
2ページにまいります。アジアの物流量が増える中で、日本もアジア各国との取引が増大していることを示しております。
こういう中で重要なのは、そのアジアの物流全体で見ると、釜山、上海、香港の港湾などが中核になっております。日本には、それを経由しないと物が流れてこないという状況になっております。右の方にありますが、大陸間の物流で大型コンテナ船も日本を通過してしまっているという現状であります。
3ページに移らせていただきます。ここでは、空港・港湾の整備と道路や物流施設の整備が統合的に行われていないということを示しております。
各施設ごとの縦割りであるために、周辺整備を含めた一体的な取組みが遅れておりまして、渋滞やゲート待ちといった事態が深刻な問題になっております。
4ページ目、企業の国際分業が進む中で、アジア域内での部品取引の頻度が激増しております。例えば、1枚のハードディスクでも20回、工作機械は部品レベルで計算すると約1万回の貿易手続が必要となっておりまして、このコスト・時間をいかに削減するかが競争の鍵になっております。
そうした中で、24時間化している韓国の仁川(インチョン)空港に比べまして、成田空港では通関手続などに問題があり、使い勝手で大きな差が生じております。緊急の発注などの対応ができないという状況にあります。
現状は、この横長の資料で説明させていただきました。
また、恐縮ですが、資料1に戻って説明をいたします。
資料1の4ページ目に「3.具体的な検討テーマ」を提示しております。
○根本内閣総理大臣補佐官 「3.具体的な検討テーマ」。ここでは、政策の考え方の基本を示しておりまして、今後、より具体化していく主なポイントとしては「(1)利用者の立場に立った規制の見直し」。内外の民間事業者の創意工夫が生きる形への政策転換、格安航空便の活用など、さまざまなアイデアが考えられます。
「(2)アジア域内外の人流・物流を日本に引きつける航空自由化(「アジア・スカイネットワーク構想」)」。アジア各国と戦略的にオープンな航空関係を構築し、航空需要の変化に対応し、機動的な路線展開を可能とする。
「(3)国際競争力のある空港への機能の強化と利便向上」。特に、羽田空港の深夜早朝便の活用や、成田空港の有効活用を進めるなど、首都圏の空港を国際競争力のある空港へしていくことが必要だと思います。
5ページにまいります。
(4)の港湾のポイントでありますが、24時間化とともにコスト、スピード、サービス面の改革を進め、国際競争力を強化していく。外国にできることは日本でもできるはずだと思います。
「(5)国際競争力のある貿易諸制度の実現(ソフトインフラのオープン化)」。
貿易手続でも通関制度を簡素化し、国際的に遜色のないものにする。
セキュリティ確保と物流効率化を両立するために優良事業者への優遇制度を一応整備しておりますが、実質的メリットが乏しいために、対象企業数はわずか6社、米国の1,000 分の1というのが実態であります。形に中身が伴うように変えていくということだと思います。
時間の関係もありますので、(6)〜(8)は省略をさせていただきます。
一応、以上、駆け足で御説明をさせていただきました。この後、ボストンコンサルティングの御立代表より、主に航空分野についての御意見をいただきたいと思います。その後、併せて御議論をいただきたいと思います。
○伊藤座長 それでは、お願いします。
○御立BCG日本代表 ボストンコンサルティングの御立でございます。よろしくお願いいたします。
今の仕事を13年ほどやっているのですが、その前、14〜15年、日本航空に勤めており、ビジネスとして航空並びに物流というところをずっと見てまいりましたので、その立場から今日はポイントだけ申し伝えたいと思います。
お手元に、A4縦長の資料がございまして「アジア・ゲートウェイ構想についての論点」という簡単なレジュメをつくってまいりましたので、これに沿いましてポイントのみ御説明させていただきたいと思います。
せっかく、総理を中心に新しい政策を打ち出されるに当たって、これから世の中が変わっていく新しいシフトのところをどれぐらい取り込むかが、我々の立場から見ますと非常に大事だと思っております。2つ取り込んでいただきたい大きな流れがございます。
1つは、今までハブ・アンド・スポークというのがはやっていたのですが、恐らく、これは終わりを告げます。この一番大きい理由は、航空機の技術進化です。これをどういうふうに見据えて将来の政策にしていくかというところが、取り入れていく上で非常に大事だと思います。
2点目は「LCC(Low cost carrier)」。低コスト航空会社の中に非常に信頼性の高いものが出始めていますので、日本の消費者の方に、それから、海外から日本に訪日する方にどうやって選択肢を与えていくか。
この2つの流れを取り込んだ政策にしていただくのが非常に大事だと思いまして、そこに絞ってお話を申し上げます。
まず、先にハブと申しましたけれども、これはハブよりも、今度はポイント・トゥ・ポイント、一地点から一地点に行った方が便利に決まっています。今までシンガポールのようなモデル、それから、アメリカのモデルというのはお客さんには非常に妥協を強いてきました。当然、乗り継ぎがものすごく混雑しますし、それが元で便のスケジュールが乱れたり、荷物がなくなるということが頻発していますが、どうしてもそれをやった方がいいのは、航空会社が大きい飛行機を飛ばした方が1席当たりのコストが安い。それで、まず大きいものを持ってくる。でも、それでは埋められないので、それから先の小さいものでお客さんを集めておきましょうという形で来ました。しかし、これからは中ぐらいの飛行機でも1席当たりのコストが低い。それから、大きい飛行機というのは、本当は便当たりのコストが高くなっております。1席に直すと、例えば100 円で飛ばせたとしても、それは必ず全部埋まるとは限りませんから、埋まっていなければ1席当たり高くなってしまう。それを中型機なら便1便飛ばしても安いし、1席当たりでも安いという、特に787 、実はこれは全日空が世界で最初に入れることになる飛行機ですが、これが出てきますと、すごく大きな変化が来ます。既に一部の空港当局並びにエアライン、我々の中のそういう専門家グループも議論を始めておりまして、恐らくはハブ型のブームはここ数年で終わって、今まで中規模程度の需要しかないので、ポイント・トゥ・ポイントに飛ばなかったところ、例えばよく言われているのは、アイルランドのような、だんだん産業が強くなっているところ、それから北欧のように、最近産業は強くなっているけれども、後背地需要が小さかったところに、どんどん世界中からポイント・トゥ・ポイントで飛ぶようになる。
したがって、成田・関空・中部を考える上でも、ハブにしようということはあまり考えずに、ポイント・トゥ・ポイントで使いやすい空港にしていく必要があると思います。
それから、ローコスト・キャリアというのが出てきます。今までの実情は、とりあえず入ってきてうまくいかなくて出ていくというヒット・エンド・ラン・モデルと呼ばれているところが多かったのです。ところが、最初にシンガポール航空、最近はカンタス航空、このカンタス航空というのは世界で一番安全な航空会社ですが、そういう既存航空会社が自らのコストを下げるために、自分の会社の中にローコスト・キャリアをつくっています。一番有名なのは、来年以降日本にも飛んでくると言われているカンタス航空のジェットスターというものです。これは機材は全部まとめてカンタスと一緒に買います。ストレートに申し上げると、カンタスの既存の労働組合のコスト構造の航空会社と、新しいコスト構造の航空会社を並列で競争させて、うまくいった方を伸ばしていくということで、労務コストの改善にもつなげていくというようなことを始めています。安全は担保し、機材は一番新しくて、利用者にとっては非常に使い勝手のいい航空会社をつくろうという動きです。こういう流れを日本の政策の中にどうやって採り入れ、アジア・ゲートウェイを強くしていくかということがポイントになるのですが、基本スタンスは先ほど根本補佐官がおっしゃったように消費者視点です。
それから、せっかくやっていただく以上は、官邸主導で横串を通して多分先送りをなくしていただくということだと考えており、具体的には今まで利用者利便というときに、日本では利用者を全部一律に議論してきまして、これをまず変える必要があると考えます。
1つは、ビジネス旅客と観光旅客で、求めるものが違います。ビジネス旅客は時間競争力が何より大切で、その場合に大きく必要になってくるのは、羽田の国際線利用というところを、特にビジネス旅客が都心に行く際の時間距離の価値を認めてくれる方々にとってどれだけ使い勝手のいいものにするかという点です。
そのことを考えますと、今までの政策パッケージの中では、どうしても過去に成田空港の地元への配慮もありましたので、成田空港があくまで基幹国際空港、羽田空港は再拡張後も国際線は補完的にというのがあったんですが、1日複数便を見込めるように北京、上海とか香港とか、アジアでビジネス路線のところは相当程度羽田空港に移すといった施策を考えてもよいのではないでしょうか。当然成田空港も観光で残ればいいんですけれども、そういうふうに少し大きなシフトをするというのがビジネス旅客の利便にとってはかなっているのではないでしょうか。
中長期的に見れば当然ロンドンとかシカゴとかニューヨークとか、超長距離路線も羽田空港ということも当然ありますが、羽田空港が2009年度末、報道によると多分2010年のどこかで新しい滑走路ができて、発着枠が増えるタイミングでは、まずは政策としてはアジアのビジネス路線がきちんと羽田空港から出るようにするという大きな振り子を振っていただくというのが非常に大きいのではないでしょうか。
そうすると、先ほどのポイント・トゥ・ポイントへのシフトで、羽田空港自身がポイント・トゥ・ポイントでアジアではメジャーな空港の位置に一挙に立ち上がります。そのときに、何でもかんでも平等にするのではなくて、ビジネス路線を中心にしていただくというのが非常に大事だと思っています。
それから、これはビジネスの立場から見ておりますと、産業連関、特に日本の製造業のビジネスの中に組み込まれている地域というのが明らかになります。例えば福岡というのは自動車産業がどんどん強くなっておりまして、この九州と中国、同じような意味で言いますと、中部と中国、こういうところの便についてはシャトル便のような形で、1日のうち何回も行ったり来たりするようなことでビジネス旅客の利便が高まるというところを、ある程度航空交渉とか航空政策の中で誘導していただくという余地はかなりあろうかと思っております。
更にポイント・トゥ・ポイントに関連して言いますと、先ほど言いましたアイルランドのダブリンですとか、イタリアのミラノとか、中規模地点だがビジネス需要があるところについて、優先的に航空交渉とかでも、例えば成田空港に入っていただけるようにしていくというような、まずビジネス旅客の時間競争力の向上ということが、何だかんだ言いながら今まで成田空港をつくってきた経緯の中で、はっきりと羽田空港を活用するということが言えなかったという実態がございますので、ここで打ち出していただく価値は非常に大きいですし、消費者にとっては非常にわかりやすいことだと思います。
先ほど申し上げましたLCC、ローコスト・キャリアの部分でございますが、彼らを活用するというのが2ページ目に書いてございます。これは面白くて、例えばカンタス航空のジェットスターというのを見ますと、お客さんは例えばシドニーから関空へ、往復大体3万円くらいで便が来るのですが、その裸の航空券を買っている方はほとんどいなくて、ネットを使って自分で申し込まなきゃいけない。その後に宿泊は要りますか要りませんか。要るとするとこんなパッケージがあります。全部選べます。毛布は要りますか、イヤホンは要りますか、御飯は要りますか、こうしたことを全部自分で選びます。そうすると、航空会社は要る人に全部有料で提供するのです。毛布を使えば300 円。御飯を出せば1,500 円という形で、全部追加をしていくと、在庫ロスなしに、必要な人に必要なものを選んでもらうという仕組みです。最大のポイントは、こういう安い旅行をしたい方というのは、少々時間がかかっても不便でもあまりこだわりません。 例えばロンドンで言いますと、第3空港、こういうところを活用しておられて、ちょっと不便でも自分は安いのだったらそういう選択肢がある方がいいという方々がいる。
実際は日本でちょっと不便だからという空港は、例えば代表的なのは、失礼な言い方をすれば関空でございまして、関空というのは非常に不便な場所にあって、ビジネスからすると非常に使いにくいのですけれども、これはこういうLCCなどを誘致していって、関空自体にもっと入ってきてもらうようにするというところはかなり余地があります。他で言いますと、例えば横田、これも過去の議論がいろいろあって、米軍とのやりとりがあるのですけれども、最終的に航空会社側などの意見では地上インフラが弱いので、横田を使ってもそんなに皆さん使いませんよという意見が多かったのですが、本当にローコスト・キャリアが来て、少し遠くても横田だったら安いということであれば、あとシャトルバスをつくっておけば、それで構わないとおっしゃる日本の旅行客の方も、海外からの入り込み客の方もいるでしょう。
こういう視点から、ビジネスと切り分けて観光でちょっと不便でも構わないという価格感受性の方々に選択肢を与えるというのをはっきり打ち出していただくのはかなり価値があります。また、これは言い換えると、横田、関空だけではなくて、例えば羽田空港の深夜、これは真夜中に着いても、枠ができても使わないという議論が多いのですが、真夜中に着いても半額だったら構わないよという若い人は幾らでもいるわけで、一般、深夜の長距離バスがどれだけ埋まっているかというのを見ていただくと、そういうニーズが非常にあるにもかかわらず、今までビジネスと観光というもの、空港の使い分けを考えてこなかったせいで、そういう選択肢の提供ができなかった。そういう部分に対応することが可能なのではないかと考えております。
ここまでは世の中の大きい流れの、ハブからポイント・トゥ・ポイントへ、それからローコスト・キャリアというポイントを中心にお話しさせて頂きました。あえて追加させていただくと、ローコスト・キャリアの積極的振興策は、日本の航空会社の競争力、特にコスト競争力向上の上でも大いなる刺激になると思いますし、彼らにも場合によっては海外航空会社とジョイント・ベンチャーのような形で、そういうものをやっていただいて、日本発のローコスト・キャリアがANAなりJALなり、あるいは第三の航空会社が出てくるというような自由化、規制緩和の流れにのっとった振興策というのもあるのではないかと思っております。
最後になりますが、空港インフラを使って、エアラインにこういうインセンティブを与えるという以外に幾つか大事なポイントがあると思っておりまして、2つだけ申し述べさせていただきます。
1つは、海外のこういうビジネスに携わっている連中と相当数議論しているのですが、日本はランゲージバリアが高いというのが共通した意見でございます。実は地域によって差がありまして、九州はこの点非常に進んでおります。これも御承知のとおりで、福岡に行けば地下鉄に乗るのでも、高速道路を走るのでも、ハングルなり中国語でほとんど支障なくできるというポイントがいっぱいあるのですが、首都圏に来ると一遍にできなくなってしまうというのが実態です。これは地方自治体も含めてなんですが、やはり官を挙げてランゲージバリアを下げるということの旗を振らないとなかなか進んでいかないというのが正直なところでございます。
2点目、最後になりますが、これからアジアということを考えると、中国は語られ尽くされるくらい語られてきているのですが、やはりインド、先週いらっしゃった首相の話を持ち出すまでもなく、インドとの日本の産業連関をどう強めていくかというところに、今回のアジア・ゲートウェイの政策が何か絡められないかというのが大きな問題意識でございます。
中村さんがいらっしゃるので釈迦に説法になってしまうのですけれども、ものづくりの世界でいろいろ見ていますと、付加価値がハードウェアそのものから、組み込まれているソフトウェアとハードウェアの組み合わせの方にどんどんシフトしております。
例えば携帯電話で今、一番新しいのには、数十年前の銀行のオンライン・システムが全部入るくらいのソフトウェアが載っていると言われていますし、ハイブリッドに代表される自動車はソフトウェアのかたまりですし、いわんや家電製品はどんどんソフトウェアになってきている。
これから中期的には大人手不足時代が日本に襲ってきて、かつ、理数系離れが言われていている。先日は我々もグローバルの経営会議をインドでやり、インドの大蔵大臣閣下等とも話す機会をいただいたのですが、インドの理数系人材を自国の競争力のためにどう使うかというのが欧米先進国の共通の課題であると、みんなが語っておりました。日本の場合は、市場としてのインドにどうやって売っていこうというのが多いのですが、その人材をどう使うかというところは、まだ一部のIT産業の方、自分たちがソフトウェアを安くつくりたいので、そこに行こうという方々以外に出てきていません。インドのレベルの高い人的資源を、日本の製造業に組み込んでいただくためには2つバリアーがあります。
1つは、日本に来やすくする。例えば日本のものづくりは、これは東大の藤本先生などがおっしゃっていることですが、すり合わせなのです。いろんな人がすり合わせながら、ハードとハードがぶつからないように、本当に質の高いものでつくっていく。このすり合わせをハードウェア人材とソフトウェア人材でやるときに、フェース・トゥ・フェースで会って話をしなければいけないのですが、今、インドで話をすると、やはりビザのとりにくさに問題を感じている。長期に日本企業に派遣するときに、非常にいろいろ難しい問題がありまして、特にこれは日本のものづくり競争力を上げる上で、インド人の理数系大卒以上という人にとっては、特別なビザ・ウェーバー(ビザ無し)なり、出入りがしやすいというところを考えてあげる必要がある。これは当然先ほどのポイント・トゥ・ポイントのビジネス便についても、インドについては少し優先的に扱ってあげる必要があるのではないかと思っております。
こういう知的労働者、競争力という視点でインドを考えていく上で、先ほどのビザだけではなく、航空、それからアジア・ゲートウェイの中でインドをこれからどう位置づけていくかというのは、考えてみると、民間企業が努力しながら中国を自分のビジネスの中に組み込んできたプロセスを、今度はソフトウェア技術者という点でインドを日本のビジネスの中に組み込んでいくという作業にほかなりません。ですから、これは恐らく民がそういうことをしやすいような形で政策インセンティブだけを与えてくれれば、お考えになっておられる経営者の方は、すぐについて来られるのではないかと思っておる次第でございます。
ちょっと長くなりましだか、私の方から意見陳述させていただきたいのは、以上でございます。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。私、日曜日にインドから帰ってきたのですけれども、ムンバイから来るのに大変な思いをしまして、まだ飛行機はいろいろやれるところがあると思いますけれども、時間は限られておりますけれども、今の話も含めて、自由に委員の方から御意見を出していただければと思います。
○中村委員 関空の応援演説というわけではないですが、来年8月2日に第2滑走路がオープンいたしまして、日本で初めて完全な24時間型空港が誕生する予定です。今おっしゃったとおり、空港の利便性からしますと、24時間化は諸外国、同時にアジアの人々から見て関空に非常に親密感をもたらすと思います。関空に大きな親しみをもってもらうことで、便さえあれば関空に降りたいという人がでてくるのです。また、安ければいいということではありませんが、利用コストの比較優位は重要です。優位な関空に仕立て上げるためには、これは関空だけではありませんが、やはり問題は着陸料や施設の使用料が非常に高いということであります。例えば、離着陸料を比較しても極めて高い事実があります。一番安いのはチャンギ(シンガポール)ですが、着陸料が26万円に対して、関空では83万円と3倍以上になるのです。
そういう点で海外のエアラインが日本の空港に入ってこようというような条件をもう一度課題整理し、解決するということが必要です。課題解決すれば、アジアについては旅客並びに貨物ともに、利用が非常に増えるのではないかと考えております。
以上でございます。
○伊藤座長 申し上げたいことがあるのですけれども、今日、御立さんが話題にされた航空というのは一番目に見える形で大きく動く部分だろうと思います。これを使えるか使えないかというのは非常に大きなポイントで、関空の件もそうなのですけれども、もっと申し上げれば2009年羽田、これをアジアに使うか使わないということが、これから10年首都圏についての我々のアジア戦略の鍵を握っているような感じがします。
しかも、物理的に何か作るかということ以外に、今の24時間の話だとか、今は羽田空港と金浦空港(ソウル)の間でやっていることも、これは非常に厳しい制約の中でやっておりまして、石垣島までの距離で相手も国内空港という中で何とかやっているわけです。けれども、これは要するに、だましだましやっているような話で、もう少し正面からこれを使うかどうかという話で、幾つかの難しいハードルがあると思うのですけれども、それをやるかやらないという感じであるとすると、これは極めて重要なことで、是非具体的な議論をしていただきたい。
それから、どれだけ効果があったかわかりませんけれども、コンピュータ・エンジニアの相互認証ということをやりました。こういうことを1つやると、そこが鍵になって人が流れるということで、何かそれをもう少し広げて、何でもかんでもインドから来てもらえばいいわけじゃなくて、戦略的にこういうことの人材を、こういう形で相互にやる。基本的には日本に来るということですけれども、それを一回詰めてきたら、いろんなことができるのかなと思います。
○内閣官房長官 今日は御立先生ありがとうございました。
1つは、羽田空港の2010年以降の話がありましたが、そこまで3、4年あるんですね。この間にできることは何だろうか。例えば先ほどの夜中に着いてもいいという、これなどは今でも夜中はかなりがらがらにあいているだろうと思うのです。あそこは24時間ですから、そこのところをどう考えるのか。
ちょっと今度はスロット(発着枠)が増えるのですが、着陸後、飛行機を滑走路から早く出す道(誘導路)ができるそうです。そこで上海虹橋空港と羽田空港の間に何便か入れようとしています。他にも、例えばこの間フランクフルトに行ってびっくりしたのは、ものすごく間隔が短くて降りてくるのです。あそは管制官も民営化していると聞いていますが、航空会社と管制官と一緒になって、できるだけ安全に、短いインターバルで動かすためにいろんな工夫をしているようですが、羽田空港はもっとうまく着けるようにできないのか。
朝夕は割合滑走路は混んでいますね。昼も勿論混んでいるのですが、朝夕に比べればまだましだから、隙間があるのではないか。そうすると、昼間ももうちょっとアジアに向けて何か使えないか。2010年までの羽田の活用をアジア・ゲートウェイの観点からもう少しできないのかというのが第1点です。
第2点はインドで、今年オープンスカイのことを書きましたが、今までは国と国が、どこの空港とどこの空港との間を週何便、どういう飛行機でとガチガチにやっていたのを、航空会社がどこの飛行場でも、例えばムンバイでもチェンマイでも何でもいいのですけれども、自分でビジネスチャンスがあると思ったら、自分で交渉してくるということをほかのところでやっているようです。インドも多分オープンスカイを望んでいるだろう思うのですけれども、そういう裁量性をもっと、国が物事を全部決めるのではなくて、民間が先を見て飛ばして、失敗したら自分の失敗ということでやれるようにできたらいいのではないかということを書いて載せたことがあるのです。
今、インドにはダイレクト便が週5便しかないのです。全部乗り継ぎ便なものですから、ビジネスマンというのは乗り継ぎ便だと乗りたくないということで、余り乗っていないのです。JALのダイレクト便に6割くらいしか乗っていない。ところが、ニーズは一杯あって、日本のビジネスマンに聞いてみると、全部シンガポール経由かバンコク経由で通わざるを得ないとなっているのです。その辺は、例えば貨物便を成田空港で使っているものを名古屋(中部空港)に持っていって、開いたスロットをインドのバンガロールに飛ばすとか、いろんなことができるようにした方がいいのではないかと思うのですが、御立さんのバックグラウンドもJALですから、いろいろその辺は詳しいと思うのでその辺の可能性はどう考えるか、今後の在り方はどうかと思って、御質問しました。
○御立BCG日本代表 今のご質問については、何を達成したいかと、何を取り除いてあげればできるか、という2つの面に分けて議論したいと思います。
何を達成したいか。まず羽田空港の深夜も含めて有効活用をどうするか。これは羽田空港も成田空港もすごくストレートに申し上げますと、空域の問題、それから地元です。この地元と空域(管制)の2つとの配慮の中で、例えば今でもぎりぎり限界まで飛ばしているかというと、羽田空港も成田空港も飛ばしていません。少し配慮で上限を決めているというのが正直なところです。そこに対してどういう位置づけをするか。多分、今までの省庁の枠の中のお考えでは国土交通省が困っていたことだと思うのです。
そこは実際に官邸中心に、もう少しストレートな形で、この戦略的に重要なゲートウェイをやるためには、それまで2009年、2010年までについても、ぎりぎりできるのはどうなのか。安全確保をするための安全投資をするし、場合によっては地元の騒音対策もトータルパッケージで考えるから、そこを国として損しないようにしようじゃないかという打ち出しをしていただければ、ここは取り除けるものがあと数%は必ずあると信じています。 それから、2点目の有効活用のところでございますが、これは羽田だけではなく、関空もありますし、先ほどのLCCですね。使いにくい時間とか使いにくい場所でも飛びたいという人に優遇措置を与えるというようなこと、簡単に言えば値段がつきにくい権益(時間帯)に対しては、ある程度安い値段で着陸料を与えるようなことをしてあげると、例えば関空を使うような航空会社も増えてくるわけでございますし、その辺を取り除いていけば、明らかに消費者の目に見える形で早く手が打てるという形でございます。
3点目のインドのところ、ここは何を達成するかというと、2つのことがありまして、1つは、手段をオープンスカイにするかどうかは別として、インドへの直行便を増やすために何をするかというときに、一番必要なのは戦略的に、こういう地域とのビジネス路線は、優先的に航空交渉もする。
もっと言うとその枠は早い者勝ちで取ってあげるから使わないのだったら航空会社が悪いというストレートなスタンスを持って、まず(増便すべき)戦略的なところはどこだということを決めることです。
これも外交現場と航空交渉の現場のすり合わせの中で言うと、各国平等にという議論が必ず出てきます。何でインドだけにやるのだ、スリランカにもやらなきゃいけないじゃないか、という議論でいつも止まっています。これは戦略的パートナーシップと総理などもおっしゃったり、小泉前総理がおっしゃったりしたときからずっと出ている。ここは戦略的なのだということを少し明示しないと、方向性がはっきりしない。
あとオープンスカイというのは、思想はオープンであるべきだと思っているのですが、アメリカ流のオープンスカイポリシーと、インドと日本の間がオープンになるというのは必ずしもイコールではないと思っております。簡単に言うと、(アメリカのように)自分のところの空港の制約は少なく、かつ経営はみんな弱い者を淘汰すると、航空機産業も含めて一番強いアメリカにとっては、全部オープンにして、自由にしてもらって、勝ち残りゲームにした方が得だと、正直言って間違いない。しかし、アメリカ以外の国はそういうことはありませんので、逆に言うと先ほどの戦略的なパートナーシップ、これはFTAなども含めて、航空も広めたところで、どことはオープンにするかという方針を決めるべきです。
そのときに羽田空港と成田空港の発着枠というのが、交換権益としては非常に大きい価値を残しますので、国益の上でどこに対してはそのカードを切っていくのだということさえ指導力を持ってお決めいただければ、多分オープンな形にするのはさほど難しくない。ノット・イコール・アメリカ型オープンスカイというふうに私は思っております。
○伊藤座長 もう一つテーマがあるのですが、このテーマでどなたか御発言がございましたらどうぞ。
○深川委員 空港の使い勝手をよくするのは大変結構なことだと思いますけれども、やはり全体のロジスティックスを効率化するという観点がないとだめだと思います。空港だけやっても、深夜降りても、高いタクシーを乗らないといけないとなると、ほとんど意味がないのです。
物流も人と同じように重要なので、その意味ではもっとソフト、特に貿易手続の簡素化というのは、この5年間で随分おやりになっているのですけれども、電子データ交換システムとかEDIなどはまだ全く混沌とした状態で、日本の中もうまくつながっていませんし、アジアに至ってはパソコンのキャパシティーが追いつかないという低レベル状態です。でも、これができるかできないかで、やはりサプライチェーンは非常に大きく変わってきますし、頑張っている日系会社の背中を押してあげるという観点に立って、こういうEDIみたいなものは思い切って投資するべきです。ノウハウも日本しかないですから、リーダーシップを取ってやるべきだと思います。
そういう意味でハコモノ偏重に逆戻りしてはいけないですし、ひたすらハコモノのキャパシティーを増やすだけでアジアと対抗するのは無意味だと思います。
もう一つ言えば、空港の運営とかも思い切った民営化でコストを落としていくという気持ちがなければランディングフィー(着陸料)は落とせないです。
仁川(インチョン)にはなばなしいブランドショップが一杯できて、今ごろになって成田も真似しているみたいですけれども、遠く及ばないですね。仁川(インチョン)は死ぬ気でヒースローに学んだので、ああいう気持ちで民間人を投入した形で空港運営を使い勝手という観点に立ってやらないと、今までのような役所方式では限界があると私は思います。
○伊藤座長 このテーマについて、またありましたら、事務局を通じて意見をいただければと思います。
よろしければ次の議題「アジア・ゲートウェイ構想の基本的な考え方について」に移りたいと思います。最初に根本補佐官の方からお願いします。
○根本内閣総理大臣補佐官 それでは、本日の議題の2番目の「アジア・ゲートウェイ構想の基本的な考え方について」御説明したいと思います。
本日はこれを是非とりまとめたいと思います。
資料3と4があります。資料4が本文でありますが、別途ポイントを示しました資料3を準備いたしましたので、そちらの方で簡単に説明をさせていただきたいと思います。
このペーパーは前段で先生方からも御意見をいただきながら、あるいは議論しながらまとめさせていただきました。
最初に「現状認識」として、「今、日本に何が求められているか」ということで、この議論をスタートした背景を改めて示しました。そして「構想の目的」でありますが、「1.アジアの成長と活力を日本に取り込み、新たな『創造と成長』を実現する」。
2点目が「アジアの発展と地域秩序に責任ある役割を果たす」。
3点目が「魅力があり、信頼され、尊敬される『美しい国』を創る」。この3点を挙げました。
そして、理念をどうするかということでありますが、アジアや世界に向けてアジア・ゲートウェイ構想で、日本は何をやろうとしているのだということを発信するために3つの基本理念を示しました。伊藤座長からも理念が必要だという話がありました。3つの基本理念に整理をさせていただきました。
「1.開放的で魅力ある日本を創る」。これは閉鎖的で内向きというイメージを刷新し、「訪れたい、学びたい、働きたい、住みたい」と思う国をつくっていくというメッセージであります。
「2.開かれたアジアを共に創る」。これはアジアにおいて緊密化している民間の経済実態を踏まえ、こうした経済を中核とした地域の秩序づくりを更に深めていく。そして、それは当然開放的なものとするというメッセージであります。
「3.互いを尊重し、共に生きる」。これは自由とか法治とかいった普遍的な価値の共有を基本にしながら、アジアの多様性を踏まえ、相互に尊重しあえる関係を構築し、アジアと共に生きていくというメッセージとしてまとめさせていただきました。
この3つの理念の下に重点的に進めるべき政策の7本の柱を提示させていただきました。 「1.人流・物流ビッグバン」。
人流・物流を利用者サイドから総合的にとらえる政策は、各省庁ベースで出てきにくいので、アジア各国が威信をかけて整備している間に整備を怠り国際競争力の低下や、日本パッシングが懸念される事態になっております。ここは人流・物流ビックバンが必要だということであります。
「2.国際人材育成・受入戦略」。
前回議論をいたしました。高度な人材に関しては、国際的に頭脳獲得競争が激化しております。受入拡大とこうした人材の育成がアジア全体のイノベーションにもつながり、日本の競争力だけではなく、地域としてのアジアの競争力を高めていくことになると思います。
「3.日本・アジアの金融資本市場機能強化」。
10年前、橋本内閣時代に金融ビッグバンを提唱し、2001年に東京市場をニューヨーク、ロンドン並みにしたいといたしましたが、現実は厳しいものがあります。企業の資金調達面だけではなくて、金融センターは貴重な情報のセンターでもありますので、この機能を再度強化したいと思います。
氏家委員には今後このテーマに関し、いろいろと相談させていただきたいと思います。 「4.『国内市場型』産業の競争力強化」。
内需型産業は人口減少でほうっておくと市場が縮小いたします。成長するアジアに活力を見出して勝負していくために、農業やサービス業の国際競争力を強化していく。国全体の生産性を上げることにつながると思います。
「5.アジアの活力を取り込む地域戦略」。
地域経済の活性化の鍵は、成長するアジアの活力を取り込むことだと思います。北海道ニセコのスキー場。あるいは九州のフードアイランド、先進事例はありますので、これらの取り組みを強化したいと思います。
「6.日本の魅力の向上・発信」。
日本のゲーム、アニメといったコンテンツは世界で高い評価を得ております。これに限らずに伝統とハイテクを融合させた「新日本様式」など、日本の魅力はまだまだ奥が深いわけでありますが、この魅力の鍵は、人や企業のクリエイティビティー、知的創造力、これが21世紀型の経済におけるイノベーションの源泉だと思います。このような魅力を高め、同時に発信し、日本のイメージを更に高めてはどうかと思います。
宮田委員には、この点で具体的な提案がありますので、別途議論の機会を設けさせていただきたいと思います。
「7.アジアの共通発展基盤の整備」。
アジアを経済的に国境のない1つの市場としていくには、ルールや商慣行などが標準化されている。特に日本のシステムが普及していくことが望ましいと思います。この点は今日の日経の経済教室で白石委員がエネルギー管理者制度や家電の省エネ表示のラベリング制度で指摘しております。身近な行政では、母子手帳制度など、こうした取組みを進めていく必要があるのではないか。
各項目とも具体的な政策課題がたくさんありますが、ここでは柱だけを提示させていただきました。今後更に具体化を進めていきたいと思います。
以上です。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。大事な点は一杯出ていたのですが、余り時間がありませんので、4分ほどしかないのですけれども、この際どうぞお願いします。
○白石委員 大枠では非常に結構だと思います。1つ、基本的考え方の中に項目として入るかどうかは別にしまして、是非、実際の議論の中で取り入れていただきたいのは、例えば国際人材育成のところ、あるいは日本の魅力向上・発信のところで、日本の現在のフェローシップ、あるいはスカラーシップの制度そのものを一度見直す時期に差しかかってきているのではないかということでございます。
それは例えば大学院の学生について、実は慶応大学の村井(純)先生というコンピュータの専門家がおられますけれども、彼がこの数年間、インタラクティブなロングディスタンスの教育を東南アジアの幾つかの国の大学とやっていますと、日本人よりももっと優秀なくらいの学生を見つけることができる。それは実際に学生に1年間教えますと、その学生がどのくらい力を持っているかというのが本当によくわかりますので、それが分かった上で、大学院生として日本に連れてきますと、歩留りがすごくよくなるわけです。今のように政府奨学金ということで向こうから学生として引き受けてくれと言われて、こちらも経歴だけ見て、推薦者がこれだったらいいかと思ってやってみると、はずれたとかですね。そういうのに比べると、今は技術の革新によって学生そのもの、いい学生を探すことができるようになっていますので、それに対応した奨学制度をつくる。
もう一つは、特に東南アジアに参りまして、常に聞かれることは、若い人が、例えば日本で漫画家になりたい。だけれども、そのための学校はあるのか、奨学金はあるのか。あるいはコンピュータのゲームを書きたい。学校はあるのだろうか、奨学金はあるのだろうか。そういう質問というのは、17歳、18歳くらいの男の子、女の子は一杯いるのです。
それはある意味では非常な人材のプールがそこにあるわけで、そういう需要をうまく生かすような奨学金制度というのも重要なのではないかと思います。
○伊藤座長 どうもありがとうございます。ほかにどなたか。
○氏家委員 7つの重点政策のうちの3番のところなのですけれども、「日本・アジアの金融資本市場機能強化」というところで、「日本をアジア・世界の国際金融センターに」と書かれており、それは非常に重要なことだと思うのですが、このアジア・ゲートウェイ戦略会議という特色から考えますと、「アジアの金融資本市場の育成について日本に何ができるか」という打ち出し方の方がインパクトが強いのではないかと思っているのです。現状、アジアは非常に貯蓄が高いにもかかわらず、そのお金が欧米に行って、またアジアに戻ってくる。為替がミスマッチする、資金の期間がミスマッチするという状況ですから、アジアの貯蓄をアジアの中で使うためには、アジアの金融資本市場を育成していく。そのために日本に何ができるのかという打ち出し方の方にウェートを置いた方が、かえっていいのではないかと思っています。
同じ観点ですが、「開かれたアジア」を共につくるというときにも、アジアの金融市場を育ててあげるということによって、アジアが開かれていくというのを付け加えていったらいい。そういう視点の方がいいのではないかなと私は思います。
○根本内閣総理大臣補佐官 白石先生の今のお話は、具体的な制度の課題を整理していくときに、是非盛り込みたいと思います。
それから、氏家委員の話は、私も同感で、実はここの金融資本市場の機能強化は、今、日本をアジアの国際金融センターにするという視点と、アジアの金融資本市場を育成するという2つの柱があるのだろうと思うのです。どちらにウェートをかけるかという話はありますけれども、2つの柱で考えていったらどうだろうかと思います。
○伊藤座長 申し訳ございません。もう時間が来たのですが、どうしましょうか。
○宮田委員 一言。「美しい国、日本」、これは文化だけではだめ。芸術という言葉を入れなければ。
○中村委員 7つの重点施策を打ち出す場合に、冠が要ると思うのです。是非、安倍総理のリーダーシップをお示しいただく、即ち「安倍イニシアティブ」ですね。「やります」ということを力強くアジアに発信していけば、非常に理解されやすいと思いますので、是非付け加えていただきたい。
○中北座長代理 私もそれと重なるのですけれども、各論は非常に内容豊かで、全体を統括する枠組みということで、来年は福田ドクトリンからちょうど30周年ですので、可能であれば是非総理に足を運んでいただいて、心の琴線に触れるような、平明だけれども、非常に中身の深い言葉で語っていただくといいのではないかと。たしか2時間くらいかけてマニラであのときは演説されたと思いますが、あれはやはりアジアの人々の警戒感を解く上で20年にわたって非常に有効でしたので、是非、安倍ドクトリンとして語っていただくといいと念願します。
○根本内閣総理大臣補佐官 ありがとうございました。このアジア・ゲートウェイ構想の基本的な考え方で基本方針の一番後にも書いてありますが、もっとどんどん積極的に発信していくことや、官邸主導ということで、このやり方自体も我々の目的ですので、それを踏まえてやらしていただきたいと思います。
では、総理から一言お願いします。
○内閣総理大臣 今日は第3回目でありますが、この第3回目において、基本的な考え方のおとりまとめをいただきました。今日は御立さん、わざわざお越しをいただきまして、御礼を申し上げたいと、このように思います。
先般、フィリピンにおいて、東アジアサミットが予定をされていたのですが、残念ながら来年に延期になりましたが、その東アジアサミットで発表する予定にしておりまして、ここでも議論になったのですが、青少年の交流拡大を日本が行っていくという声明を、フィリピンで記者会見の形で行ったわけでありまして、来年の東アジアサミットの際にも、この日本の構想を更に皆さんに説明をしていきたいと思っております。
また、このゲートウェイ構想についても、東アジアサミットの機会に、首脳のセッションの際に是非我々の考え方を述べていきたいと思っています。
先ほど御立さんからも御指摘がございましたが、このアジアにおける人の流れや物流の機能強化はこのゲートウェイ構想の柱でもあるわけですが、いろいろな問題が残っているのも事実であります。幸いと言っては何なのですが、言わばハブからポイント・トゥ・ポイントに変わっていくと。ハブには日本は十分対応できなかったのですが、この変化のときこそ、ここで乗り遅れたら取り返しがつかない。むしろハブの方はパスをしたのでありますが、ポイント・トゥ・ポイントの方ではむしろ先端を走っていくという気持ちで取り組んでいきたいと思います。
先日の諮問会議でも話をいたしましたが、空港・港湾の24時間体制、オープンスカイ、貿易手続の改革等について、何とか時間を置かずに、先延ばしせずに、私の内閣でしっかりと実現をしていきたいと思います。
こうしたことを進めていくことによって、国民の皆様の生活にどういう変化が出てくるかということも、国民の皆様に説明をしていく必要もあるでしょうし、当然これは企業の競争力にとっても不可欠であろうと思います。また、国家としてのイメージにとっても極めて大きなことではないか。つまり、これはアジア全体に対しての日本の影響力という観点からも、戦略的に重要な課題であろうと思います。
ですから、できない理由を並べるのではなくて、各省においてもどうすれば問題を解決できるかということについて是非説明をしてもらえるようにしていきたいと思います。
その意味におきまして、私の考え方にのっとって、根本補佐官から統括をしていただいて、責任を持って当たっていただきたいと思いますし、各省庁において、これは省庁の縦割りではなくて、民間ユーザーも含めた検討の場を設けて、対応してまいりたいと。それは根本さんを通じて私に報告をしてもらいたいと思います。
来年5月の最終とりまとめに向けまして、是非具体的な政策についても御議論をいただき、具体的な政策も我々は是非詰めて発表していきたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
○内閣総理大臣 先般シン首相が来たときも、大変日本に対する期待が大きくて、かなりドラマティックに日印関係を発展させたいということで、そういう意味で航空便が全然ないということも大きな課題でしょうし、インド・イギリスは週100 便ということです。日本は4便。
○内閣官房長官 ドイツでもダイレクトに50便くらい飛んでいるのです。
○白石委員 ドイツと同じくらいにはしたいですね。
○内閣官房長官 フランスでも40便です。
○伊藤座長 インドでは随分話題に出ていまして、期待も大きいと思います。
○内閣総理大臣 来年から日印EPAの共同タスクフォースもスタートします。
○根本内閣総理大臣補佐官 それでは、本日は忌憚のない御意見をいただきまして、ありがとうございました。
これで本日の会議を終了いたします。