アジア・ゲートウェイ戦略会議(第4回) | |||||||
| 日 時: | 平成19年1月26日(金)8:00〜9:00 |
| 場 所: | 官邸南会議室(3階) |
| 出席者: | 塩崎内閣官房長官、根本内閣総理大臣補佐官、伊藤委員(座長)、白石委員、中北委員(座長代理)、中村委員、深川委員、宮田委員、国分良成慶應義塾大学教授 |
○根本内閣総理大臣補佐官 それでは、皆様お集まりですので、ただいまから第4回「アジア・ゲートウェイ戦略会議」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多忙のところ御出席を賜りましてありがとうございます。 本日は、ゲストスピーカーとして、国分慶應義塾大学教授に御出席をいただいております。
○根本内閣総理大臣補佐官 伊藤座長に議事進行をお願いする前に、私から1点御説明をいたします。前回会議での総理の御指示を踏まえ、物流、特に貿易手続の改革などにつきまして、民間ユーザーを中心とした官民合同の検討の場を今回設けることといたします。
資料は別紙1のとおりでありますが、御了承いただけますでしょうか。
○根本内閣総理大臣補佐官 御了承いただきましたので「物流(貿易関連手続等)に関する検討会」を開催して、具体的なことはこの検討会で詰めていきたいと思います。
それでは、これからの議事進行は伊藤座長にお願いします。
○伊藤座長 それでは、早速議事次第の「2.アジアの共通発展基盤の整備」に入りたいと思います。最初に根本補佐官から御発言をお願いいたします。
○根本内閣総理大臣補佐官 それでは、お手元に資料2と資料3「アジアの共通発展基盤の整備」について、簡単に御説明したいと思います。資料2が本文でありますが、別途このポイントを示した資料3を準備しておりますので、そちらで説明させていただきたいと思います。
第1に「基本的視点・方向性」で3点示しております。
第1に、民主導という視点、ビジネスは基本的にオープンで自由な経済環境を求めますので、今後ともこの民の力こそがアジア経済を一体化していく原動力だと思います。これが開かれたアジア、オープンなアジアをつくっていく上で、極めて重要だと思います。
EPA交渉など、上からの経済連携だけではなくて、ビジネス主体で進む実体的な一体化の後押し、このようなボトムアップのアプローチを重視し促進する必要があると思います。
例えば自動車産業では、日本企業の人材育成システムや生産管理システムがアジア各国において普及しつつあります。このような企業慣行の普及を後押しし、実体的なアジア標準にする。これがアジアの成長を支え、日本企業のビジネス環境を整備することになろうかと思います。
第2に、地域の競争力、地域のイノベーションという視点、アジアへの期待は成長センターとしての世界経済の牽引力ということであります。そのためには、内発的に発展できるだけの競争力、イノベーション力が重要だと思います。広域的なインフラ整備を始め、やるべきことは山積しておりますが、中でも特に人材の育成が鍵だと思います。この面でも、民の力を生かすという視点を重視したいと思います。
例えばどういう人材が求められるのか。現地企業のニーズを踏まえた人材育成が重要だと思います。
第3に、持続的な発展という視点。アジアのポテンシャルは、大変大きいものがありますが、一方、エネルギーなども大事であります。先の東アジアサミットで、総理から省エネや鳥インフルエンザ対策など、さまざまな地域協力のコミットメントを示し、高い評価を得ました。
このような分野でも、日本の技術・経験・ノウハウに大きな期待があります。そうした期待に、しっかりと応えていくことが大切だと思います。
国分先生、白石先生、深川先生、中北先生からお話をいただいた上で、日本がアジアとともに発展するために、何をすべきか議論をさせていただきたいと思います。
私の説明は以上です。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、本日のゲストスピーカーで、中国の専門家でもいらっしゃいます国分先生に、自己紹介も兼ねて御発言をお願いしたいと思います。
○国分教授 本日は、お招きをいただきまして、ありがとうございます。時間の関係もございますので、早速中に入っていきたいと思います。
私に特に与えられたテーマは、中国の将来ということと、日本というものの将来をどう考えていくかということでございます。
私がこのテーマを考える際に、中国の将来は一体どうなるのかというのを、大体2020年〜2025年ぐらいを想定して考えてみたいということであります。
なぜ、2020年〜2025年かと申しますと、 1つは、中国自身が現在の、いわゆる経済成長というものの一つの指標を大体その辺に置いているということであります。これは、日本語で言うと小康状態、まずまずの生活といいますか、こういうものができるのがその辺だというふうに、中国のさまざまな目標数値が設定されているものが多いということが一つです。
2つ目は、政治的に考えてみますと、実は2022年という年が非常に重要でありまして、これが現在議論されているということになります。
どういうことかといいますと、今年が共産党の大会の第17回目ということになります。5年に1回ということになりますので、次回は2012年であります。これが18回目の党大会であります。2012年に、現在の国家主席の胡錦濤総書記の2期の任期が終わっていくということになります。つまり2012年からポスト胡錦濤の時代が始まるということを想定し、次のリーダーも2期続くと想定すると2022年ということになります。つまりポスト胡錦濤のリーダーを決める問題でありまして、そのポスト胡錦濤のリーダーシップというものが、今年の17回党大会で出てくるわけでありまして、それが18回党大会で正式に決まる形になっていくはずであります。
そうなりますと、現在はもう既に2022年ぐらいまでのことが、中国政治では考えられているということになります。つまりポスト・ポスト胡錦濤の辺りの、中国がそのとき政治的に一体どうなっているのか議論になるところであります。
いずれにしても、中国の一つの大きな将来シナリオが2020年〜2005年辺りにかなり集中してくる可能性があるということであります。
中国の将来シナリオですが、時間の関係でかなり簡単にお話ししていきます。Aは極めてプラスのシナリオで、順調な経済成長というものです。現在もまた10%超えているようですが、ただ、その経済成長というものができるだけ消費というものを中心にした、今のように余りに投資、投資に行かない形になり得るかどうか。そして社会が安定し、民主化も漸進的に進んでいくという、言わばある種のバラ色の社会になっていくわけですけれども、これが一番好ましいシナリオになるのだと思います。恐らく中国もこれを望みたいと思っているでしょうし、国際社会にとってもこれが望ましいシナリオになるのだろうと思います。
Bのシナリオは、逆のシナリオになっていくわけでありまして、成長が鈍化する。不況、そして社会不安定化、そして政治的混乱が起きていくということであります。
Cは、恐らくその中間だろうということで、現状維持。そうすると、C1〜C3までのシナリオがあるわけでありまして、現状とほとんど変わらないか、少しよくなるか、あるいは少し悪化するかということになるわけですが、これは正直この後の政策展開がどういうふうに変わっていくかということと偶然的な要素もございますので、簡単には申し上げられませんが、少なくとも中国と国際社会が望むのはシナリオAである。
そのためには何が必要かということになると、まず第1に必要なのが、市場経済化というものを確立しないといけないということになります。その市場経済化の根本を見てまいりますと、先ほど申し上げた投資、投資という体制から消費社会にどう向かっていくかということになります。そのときに必要なのが私有財産制をきちんと確定していくということであります。これは恐らく土地の問題なども含まれてくることになるわけであります。 現在土地の私有は認められてないわけですが、その辺にどう少しでも手を付けてくるかという話であります。知的所有権もそうでしょう。
まだ、個人所得税を含めて、税制がきちんとしていない、徴税システムも含めてできていない。特に納税意識、あるいは参加意識というものも含めて、この辺がどうなっていくかということであります。特に現在は累進課税も制度化されず、上の方が個人所得税を払わなくていいような形になっておりますけれども、そうした税制、そして全体的に市場経済メカニズムに透明性があるかないかということになるわけであります。
そうしたものを支えていく法制度、特に民法などでありますが、それがきちんと確定していくかどうかということであります。
同時に国際社会においては、アメリカが最近中国に関して言うような「責任あるステークホルダー」になれるかどうかということであります。これは経済だけではなくて、安全保障なども含めてでありますけれども、つまり中国が必要な、きちんとやるべきそうした義務を果たしていくかどうかという、これは特に透明性の問題が一番大きいかと思いますけれども、中国の役割をどういう形で果たし得るか。
3番目は、政治の問題になりますけれども、中国の弱点は何かと言われたら、最大の弱点は民主化していないということであります。つまりここを少しずつでもクリアーしていかなければいけないということになるわけであります。これが胡錦濤さんの言っている和諧社会という言葉になるのかどうかわかりません。いずれにしても、政治的民主化が言論の自由とか、あるいは政党結社の自由という目標を最終的到達点として、その前に最も必要なことは、たとえ一党支配であったとしても再分配のシステムがきちんとできるかどうかということであります。
それは、先ほど申し上げたような制度がきちんとできて、それが機能するかということでありますけれども、つまりは現在のような偏差・格差のある社会というものを、どういうふうに富の再分配をしていくか、所得の再分配をしていくか、このメカニズムがまさに政治的民主化の最も重要な第一歩になっていくということになるだろうと思います。
いずれにしても、中国の混乱というものは、国際社会にとってもマイナスになる。中国自身がもう既に国際社会の一員、ある意味では相互依存化が進んでいるわけでありますから、中国の混乱が我々の混乱にもつながる形になりつつあるわけであります。
そうしたいろんなシナリオはあるのですけれども、私が申し上げたいのは、しかし、そういうシナリオにもかかわらず、中国の現実はこうなっていくということであります。
それはどういうことかといいますと、特に経済や文化の面でますます中国は国家としての側面よりも地域としての側面が大きくなるということであります。政治的な集権は続くでしょう。しかし、経済的には連邦制のような形にますますなっていくということであります。
同時に、地域あるいは産業、人というのが、ますます競争が激化することになるわけでありまして、それは多元化、そして階層化が進んでいくわけであります。
そういう意味で考えてみますと、中国という巨大な地域と人というものを、我々がどういうふうに有効利用していくかということであります。この有効利用ということ自体が、恐らく中国のためにもなっていくという双方向性があるだろうと思っております。
こういう中で、日本は一体中国というものをどういうふうに活用していくか。日本の活路の問題になります。日本の活路を考えたときに、前提条件として、まず第一に言えることは、成功、失敗体験を含めて、アジアで最初の民主体制を確立し、そしてポスト工業社会に突入しているということであります。つまりワンセットですべて経験しているという、ある種の比較優位性というものがあるわけであります。
2つ目は何かというと、にもかかわらず、恐らく少子高齢化等によって、国力というものは全体的、相対的に少しずつ低下していく可能性が高い。そういう中で、近隣アジア諸国が台頭していくという、地域全体の在り方が水平になっていくということであります。
日本は前提として鎖国はできない。そして、アジア諸国との経済的連携を強めなければならないし、一体化していくという事実は恐らく止めることはできないだろうと思います。そういう中で、少しでも自らの地歩といいますか、陣地を確保しておかなければならないというのが今、必要なことであります。
そのときに、当然日本という1つの国家としての主体性も確保していかなければならないということになるわけで、それは日本という地域に暮らしている我々国民の生活、豊かさというものを、どうやって確保していくかということが、最も重要な前提と言ってもいいわけであります。
どうも中国研究をやっておりますと、どうしても言葉を漢字で考えていきたくなるのですけれども、その活路を見出すときに、言葉としてどんなものが必要か。
「積極性」これは主体性と言ってもいいかもしれません。
「客観性」というのは、つまり自分の置かれた地位、場所、相対性をきちんと理解するということ。
そして、日本の近代化の最大の特徴であった「順応性」をどう発揮するかということであります。これがややもすると成功体験に裏打ちされ過ぎて、順応性を失っていく。
「戦略性」、このアジア・ゲートウェイも戦略会議ですが、戦略というのはそこら中で使われております。戦略性というグランドビジョンは必要ですが、具体性のない戦略は一番困ることも忘れてはいけない。それは戦術性というのかもしれません。
「感受性」というのは、自分のことだけ考えていればいいというわけではありませんので、相手のこともきちんと考えていかなければ、これは自分の発展にもつながらないということになります。
そういう中で、一体日本が理念と利益というものを、どういうふうにバランスよく取り込んでいくかということになるわけでありまして、恐らく現実的な理解でいけば利益ということが重視されていかざるを得ないわけであります。
そのときに必要なことは、つまりは外へどうやって入り込むかということと、日本という内でどういうふうに外を取り込んでいくかという問題になるのだろうということになります。
「思考のアウトソーシング」としましたのは、日本の魅力というのがそこら中で議論されるわけですが、自分の魅力は自分ではなかなか考えにくいところがあります。ですので、そうした魅力は他者から、大体他者の発見の中から自分の魅力がわかってくるわけでありますから、そういう意味ではやはり思考のアウトソーシングみたいなものも必要ではないかと思います。つまり日本人が日本の国内だけで日本の魅力を考えても限界があるということであります。
さらに申し上げたいのは、中国、アジア地域研究の拡充と発信能力ということです。例えば国立東アジア研究所という議論が10年前くらいにありましたけれども、結局何もできませんでした。ただ、今では大学や研究機関にいろんな形のアジア研究の基盤ができつつあります。そうしたものを拡充していく、きちんと確立したものにしていくということが、やはりこれからのアジアとの付き合い方として必要になってくるだろうと思います。
それから最後に申し上げておきたいのは、やはりそうは言っても国家と国家の関係、特に指導者同士の関係というものが、上からきちんと政治的に安定していないと、今、申し上げたようなことが何もできないということになるだろうと思います。1、2分オーバーいたしましたけれども、終わりたいと思います。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、特にASEANに大変精通していらっしゃる、白石委員から御発言があります。よろしくお願いいたします。
○白石委員 どうもありがとうございます。私、海外出張に行っておりまして、メモをつくっておりません。申し訳ありません。簡単に4点ほど申し上げたいと思います。
基本的な考え方は、アジアの経済連携ということを考えるときに、実はさまざまな協力のメカニズムというのは、ほぼすべてASEANをハブとしております。だから、その意味で制度としてASEANが重要だということは、よく言われることですが、それと並んで、実は東アジアの経済統合にとっても、それから日本の民間の企業展開にとっても、ASEANの統合を進めていくことが非常に重要である。
その意味で、現在、日本とタイ、日本とインドネシアのようなバイのEPA、あるいは日本とASEANのEPAの交渉が進んでおりますけれども、同時にASEANそのものの経済統合を、ある意味では後ろから背中を押してあげるような形で、日本として支援していく必要が非常に重要であろうというのが基本の考え方でして、その上で4点。
まず第1点は、これは既に経済産業省のイニシアティブで少し始まっておりますけれども、やはりベースになるような、例えば共通のフォーマットに基づいた統計データの整備、こういうことをやるような研究ネットワークというものを、やはり日本として推進していく必要があるだろうと。これが第1点です。
第2点は、これはもう既に先日総理が提案されて、非常に評判のよかったことですけれども、例えば省エネルギーのシステムのようなもの、あるいはリサイクルのシステムのようなもの、つまり日本がこれまで日本の独自の問題を解決する上でつくってきたさまざまな優れたシステムがありますが、それを地域的に広めていくのが第2点であります。
第3点は、実は経済的な統合の進展とともに、国境を超えた犯罪が非常に増加しております。海賊だとか、マフィアの地域化と最近よく言われておりますけれども、これに対する対応は、これからますます重要になってくる。
そこで、非常に重要なことは、あらゆる犯罪の裏にはマネーロンダリングがあります。だから、その意味でマネーロンダリングに対して特に日本として支援していく必要があるのではないかと思います。
もう一つは、特にシーレーンの安全保障ということから申しますと、既に日本は海上保安庁が中心になってさまざまな活動をしておりますが、これは日米関係にとっても非常に重要な問題でありまして、その意味で海上保安庁が中心になっているような協力も是非進めていく必要があるのではないかと思います。
最後に4番目ですが、こういうさまざまのことをやる上で、実は東南アジア、あるいはASEANの国々では、まだ日本の援助が決定的に重要であります。しかも、これまで日本というのは、ともすればそれぞれバイでカンボジアに対して、ベトナムに対して、インドネシアに対してという形で援助をしておりましたけれども、これからはますます地域を対象にして、あるいは複数の国を対象とした援助等々の協力が必要になってくるだろうと。 それを遂行するためには、やはり地域を地域として見る人がいるのではないか。あるいはそういう機関が要るのではないか。ごく単純に申しますと、例えば東南アジア大使のようなものが一人いて、こういう問題を常に見る体制をつくることが重要ではないかと思います。これが第4点目であります。
簡単でありますけれども、これが今日私が申し上げたいことであります。どうもありがとうございました。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。
次に深川委員の方から御発言がありますので、お願いいたします。
○深川委員 皆さんの方向性はかなり似てきていると思いますし、同じようなお話が出ていると思いますので、余り付け加えることはないような気がしますが、私は主として、本来アジアをやっているわけなのですけれども、逆に日本の側から今回は幾つか発言したいと思います。
1つは、理念が3つ挙げられて今までずっと議論してきているわけなのですけれども、やはりFTAもそうですし、どこでもそうですけれども、やはり調整を伴うものは民主体制である限り国民を説得しないと何もできないということです。ですから、現実を直視して、余り根拠のない楽観論に立つべきではない。
例えば外国人労働の受け入れをFTAでやっているわけですけれども、本当に外国人労働者が必要と、本当に国民の大多数が思っているかどうか。まだこのままずるずる行けると思っているのではないかという部分は相当あると思いますし、やはりこれだけ外国人犯罪が増えてきたときに不安に思っている人は非常に多いと思いまして、こういうところを答えずに、ただFTAのパーツとして議論してもだめです。やはり地方の行政とかも不法外国人労働者が増えているので、行政は大変苦労されているのです。全然言葉のできないような人たち、子どもが学校に行けなくなってしまうような人たちを抱えていて、これが犯罪の温床になるのではないかという恐怖を持っているので、もう少しトータルに外国人を入れていくことのコストとベネフィットとを国民に示して、どの辺がいいですかということを正攻法で問うべき時期に来ていると思います。
2番目に、開かれたアジアをつくるのは大変結構なのですけれども、というか、それ以外に選択肢はないと思いますけれども、従来のような雁行形態的な、日本は常に一番先頭に立っているという意識はもう捨てざるを得ないと思います。
開放度という意味では、外社や観光客の受け入れ、あるいは大学の英語の授業の普及ですとか、あるいは規格認証がグローバルスタンダードであるかということに立ったときに、むしろ日本は一番遅れている。中途半端に日本語による高等教育を完成してしまい、中途半端に国際競争力を持っているものですから、どうしても日本にしか通用しない基準が存在している。
アジアは後発の理念で丸のみでいきますので、ある意味では日本的な調整コストはないのです。
そういうことを認めつつ、しかし、アナログ的に体験でしか経験できない先進化体験というのは日本しか持ってないので、これをレバレッジにしていくというアプローチが、両方の視点を持っていかないといけないと思います。
アジアは、基本的に自助努力と互恵主義という、非常に柔軟な体質を持っていまして、みんなでやるというのが一番安定的であり、若干遅いですけれども、しかし、アメリカのようなヘジモニックなリーダーシップを追求するよりみんなは付いてくるということです。 これは、チェンマイイニシアティブの金融協力で、如実に確立されたと思いますけれども、あなたは格付けの研究をやってください。あなたはボンド市場の育成をやってください。あなたは情報透明化の話をやってください。こういうチームに分けてみんなリーダーがいて、できるところまでやりますという全員参加のアプローチを取っていて、確かに圧倒的な経済力ではあるのですけれども、スタイルとしてこのスタイルを取った方が、みんなで衆知を集めるというのか、みんなでやる村方式というのが非常に合っている地域なのです。そういうリーダーシップを取るべきだと思います。
プラス後発国もあるのですけれども、やはり自助努力をさせないとだめです。上から言っても自分で必要性を感じやらないと、鳥インフルエンザだとか疫病の話というのは、自分もやりたくてなっているわけではないですけれども、自分もやらなければいけないという気持ちを持たせないと効果がない。こういうアプローチで言くべきだと思います。
尊敬と共生ですけれども、これは非常に難しい課題で、雁行形態的な発想に立っている限り非常に難しいと思うのです。日本として避けなければいけないのは、アメリカ的な原理主義を非常に押し付けるタイプで、これは、中国を利するだけであって、日本にとっては非常に損なアプローチになると思います。
とりあえずは、体制も価値観もみんな違うので、アジアを一番束ねられるのは経済成長だと思います。その経済成長を追求するためなら、みんな付いていきます。みんなで一生懸命やろうという気持ちはあるので、やはり日本はイノベーションと生産性、技術的には中国、ASEANとも簡単にはコピーできない、統合型の技術を中心にリーダーシップを取っていくしかない。
あとアメリカと違う。実はアメリカとくっ付いたからといって、くっ付いてレバレッジが取れるところは取ったらいいと思いますけれども、永遠にこの地域から引っ越すことができないという地政学が存在しているわけで、国益もそれによって異なることがたくさんあります。
例えばアメリカの言っている知財というのは、製造業の知財は非常に少ないと思いますけれども、日本はやはり現場のスキルに知財が埋まっているので、知財の何を守るかという議論は、当然アメリカと違いますし、物流とか医療という戦略分野が東アジアとのリンケージにおいて非常に重要だということも、アメリカとはプライオリティーが違うと思います。
そんなことを考えながらやっていったらいいと思うのですが、人とか物の話というのは、これからいろんなことが出てくると思います。やはり従来からお話ししているときに、ハコモノが要るところはつくった方がいいのでしょうけれども、日本の優位は基本的にはソフトにあると考えるべきこと。それから、民間主導で、これは先ほど御説明がありましたが、あと国民の不安へのボトムラインを固める話、例えばFTAであれば人の移動と犯罪人引き渡し協定というのはセットで交渉させるべきで、そういうことをやっていくべきだと思います。
あと人材育成については、人の人材育成に協力するのは大変結構ですけれども、御自分の人材育成をやるべき段階に日本は来ていて、もう国際機関に出す専門的な人材というのが払底しています。全然追い付いていません。これは、早晩10年以内に中国の相当程度キャッチアップされるでしょう。ASEANを支援してあげたい気持ちはわかりますけれども、日本の上がしっかりしてこそASEANも続けて日本に来ようと思うわけで、自らをお考えになった方がいいと思います。
その意味では、アメリカとのプラットホームはうまく使っていくべきだと思います。世界中の優秀な人がとりあえずみんなアメリカのトップテンに行くので、悲しいことなのですけれどもこことは競争できないから、ここから中国に帰ってくる人たち、ここからその他アジアに帰ってくる人たちに、短期間日本でいてもらって、リサーチしたり、研究したり、働いてもらったりして、そうするとうまくつなげるのではないかということを、一時期、経済産業省さんがやっていましたけれども、そんな考え方もあると思います。
日韓の場合は、日本経済の生産性がピークだった1980年代に韓国のトップ10%の留学生は全部アメリカに行っていたのですけれども、帰りはほとんど日本で1、2年過していて、学位論文を日本で書いている人が多いのです。これが力になっているところがあって、アメリカとのプラットホームはうまく使っていくべきであると思います。
以上です。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、もう一方、中北座長代理から、これまでの議論を踏まえて、今後の議論の進め方について御発言があります。よろしくお願いいたします。
○中北座長代理 ありがとうございます。私は、次回産業に関して言及する機会があるのかもしれませんので、今日は全体のことに関して感じましたところを手短にお話しさせていただきます。
これまで各論といいますか、市場開放中心に、非常に数多くの充実した議論、提案もなされてきて、その観点では私は相当成果があったのではないかと思います。
ただ、これらの、例えば7つの柱とか挙げられたわけですが、これら全体に横串を刺して統一していくための軸といいますか骨が、まだ不十分ではないかという感じが率直にしております。
逆に言いますと、すべて市場開放が重要なのか。それは重要だと思いますが、本当にやれるのかどうか。それがアピールするのかどうか。つまり優先順位とか関係づけというのを、やはり基本的に明確にして、場合によっては絞り込む必要があると。その方がアピールする効果も高いのではないかと私自身は思っているわけです。
ここで全体を組み立てるための条件、それをまた考えるための視点を今日は3つ挙げてみました。
1つは、ここでは戦略会議ということで議論しているのですが、ある意味で我々自身、あるいは日本自身というものが、どういう関係に立っているかという主体の特定がやや不明確ではないかという感じがします。つまり、中国との関係、それからアジアといったときに、ASEANの話も出ましたけれども、どことの関係における日本なのか。
勿論、デリケートな問題はありますが、北朝鮮も地理的に当然アジアの中に含まれるわけですから、その問題も全く無視はできないと思います。
西域の方に入りますが、広くはインドという多少文化圏も違う部分。ここはポテンシャルが高いという議論はあったのですが、どう規定するかということも、ある程度了解を付けておく必要があると思います。
その上でなんですが、ゲートウェイといったときに、日本がゲートウェイをやるということは、特に中国との関係を考えてみますと、中国を対象にしてゲートウェイをやるということに例えばなったとしたら、これはなかなか野心的な話に聞こえなくはないと思います。つまり中国からとりますと、何で日本にゲートウェイをやってもらわなければならないのかという、そういう本音として受け止め方もあり得るのではないか。ここは、国分先生もいろいろお考えあるかもしれませんが、私はそういう問題意識を捨て去れないのではないかと思います。
あと日本を開放するといったとき、では日本に市場開放のセンターをつくるというのは、本来は望ましいのだと思いますが、金融などを考えますと、率直に言ってこれはかなりツーレイトな状態に陥っているわけで、だから頑張るというのはあるのだと思いますが、しかし、それを日本、東京だと言ってしまっていいのかどうか。ここは非常にデリケートな問題があると思います。
先ほど申し上げた、我々日本といったとき、アジアと日本の関係、あるいはアメリカとの関係、ここをやはりどう規定するのか。ゲートウェイといったときに、アメリカ、ヨーロッパとの間に立つのか、それともそもそも日本は完全に地政学的だけではなくて、アジアにどの程度軸足を置いているのか。これはある程度、発表するしないにかかわらず、明確にしておかないといけない。これは下手をすると孤立するという危惧を持っています。 3番目ですが、市場開放の裏には、必ず負担という問題があります。これは先ほど深川先生がおっしゃったことに大変共感を持ちました。高学歴者、優秀なエンジニアに来てもらいたい。これは望みたいところですけれども、本当にそういう方に来てもらえるのかどうか。しかし、現実には選別できない実態があるという状況が、例えばEUを見ますとある。ドイツなども選別したいけれどもなかなかできない。イギリスも今ではポーランド人のメイドさんがたくさん増えて、それを嫌がっているイギリス人がいるとよく報道されているのです。そこまで国民が覚悟しているのであれば歓迎だと思いますが、本当にそのようなコンセンサス、それに近いような状態があるのかどうかということを、やはりよく尋ねてみる必要もあるのではないかと思います。
その次は同じ話になりますが、見たい国日本というのがあったわけですが、同時に働きたい国、住みたい国といったときに、本当に彼らから見てそういう条件をそれなりにオファーできるミニマムを保障しておく必要もあると思います。
特に地方の問題も含めまして、自治体レベルの問題も非常にきめ細かな議論もある程度必要な議論ではないかと思います。
農業の問題は、言わずもがなのことであります。
以上を踏まえますと、特に重要なのは、総論というものを書き起こすことを考えますと、やはり日本のアジア認識、特に中国との関係、あるいは中国を認識するかということは、これは捨てられない。ここがある程度、明確に出ないと総論の議論が成り立たないと思います。
中国経済を強めに見るのか、弱めに見るのか、それはさまざまですけれども、特に日中の経済関係、勿論コラボレーションもあるわけですが、いや応なく摩擦の面も当然あり得るわけで、そこをどう受け止めるか、そこをある程度日本側の考え方、メッセージとしても出しておく必要があると思うわけです。
もう一点は、市場開放、イノベーションという軸が非常にきれいに出ています。一方で、ODAという話も、そうは言いながら出ているわけです。ここを、ある程度新時代のコンセプトとしてうまくアウフヘーベン(止揚)していくためには、例えば官民合同というのはできるだけ避ける必要があります。これからの時代というのは、PPPとか公民連携とかがありますけれども、つまり公は全体の規格、基準、あるいはガバナンスを担当するが、民の方は創意工夫を出して、サービスの良質化、効率化、イノベーションを実現する。両者の分業、あるいは共同、コラボレーションという形で、言わば援助のソフト化ということを積極的に目指していくのだという言い方も、先祖返りということではなくて、新しい時代のコンセプトという意味では強調することも必要ではないかと思います。
最後は、もしうまくできたら、それを安倍総理に、どこかで歴史的に残る演説をしていただくということを、私個人は望んでいます。安倍ドクトリンとはいいませんが、安倍イニシアティブという形で、是非30年前の福田さんの演説を超えるようなものをしていただければいいのではないかと思っております。
以上です。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、この後委員の皆様に御自由に発言していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。
○中村委員 3点手短に提言させていただきます。
まず1点目ですが、今、日本とASEAN諸国とのEPA交渉が進んでおりますが、この完成の目標年次が2012年になっております。私はそれを2010年としてはいかがかと思っております。また、そうする必要があると考えております。と申しますのは、2010年にAPECの議長国を日本が担当するということがあります。
それから、AFTAの完成年であるということもあります。
もう一つは、中国とASEANのFTAでは、関税撤廃を2010年に目指しているということです。
そういうことから、2010年を完成目標というふうに前倒しして発表してもらいたいと思っております。それが1点目です。
2点目は、総理が東アジアサミットで発表なさったうちの一つの、環境問題、省エネ等についてです。やはり日本の持っている技術をアジアに広め、貢献していくということからいたしますと、一度日本で「国際環境技術フォーラム(仮称)」、「技術」という語を入れておかないと環境フォーラムと誤解されますから、そういうものを是非開催してみてはどうかと思います。
3点目は、やはり何と言っても情報通信基盤の共有が最重要になってくるのではないかということです。特にアジア諸国では、自然災害が多発しております。そういったときのために、情報通信網が共通で強固であるものをつくらなければいけません。そういうことからいたしまして、地震等に耐え得る情報通信網にすべきであります。特に日本は地デジの最先端国でありますから、地デジ、ワンセグ放送を共有するための技術協力を推進していってもよいと思います。
もう一つは携帯の4Gについてです。3Gでは遅れをとってしまっておりますので、4Gについて、少なくとも中国と日本が共同でリーダーシップを取っていくという形で、アジア全域的に共通の通信フォーマットを持つということが、大きなアジアの一体化に結び付くと考えております。
以上3点を提言とさせていただきます。
○伊藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。勿論一度御発言された方でも、ほかの方の発言を聞いてコメントがあれば、どうぞ。
○中北座長代理 今の中村さんのおっしゃったお話に関連してなんですが、環境、情報通信、これは非常に大きいインフラの整備を伴うのだと思うのです。勿論、民のイノベーション、技術開発力、これも連動する必要があると思います。
これまでODAが積極的に行われてきたのですが、いろんな制度上の問題もあって、ハコモノづくりで終わってしまっているわけです。しかし、現実は施設の建設で終わるのではなくて、でき上がったものを、うまく維持・管理・運営していくことが非常に重要であって、そこのところの民の力が非常に弱い。ですから、資本財だとか耐久消費財だとか、より高度な人的なサービスの提供というのは、日本は欧米と比べて非常に劣っているわけです。勿論、語学の問題だとか、昔、植民地を持っていなかったとか、そういう事情は勿論あるのですけれども、やはり背後にスタンダード、標準化の問題だとか、いろんなネットワーク、ある意味で政治の支援が足らないということも、時には言われますけれども、いずれにしても、総合的な公と民、パブリック・プライベート・パートナーシップというのが、全体として必要であると思います。
今、世界の援助というのは、欧米ではPPPの観点から、より公と民の協力が主流になってきているので、日本はハコモノをつくって終わりということではなくて、そこから先は言い換えると大変大きいビジネスチャンスがあるということも、もう少し内外に知らしめる必要があると思います。
特に環境問題というときに、水だとか、大変いい技術を持っているのですが、往々にして国内に大きいマーケットがあるために、そこで過当競争が起きていろいろ問題が起こしている。むしろ、これからはアジア近隣に出ていって、日本のポテンシャルの力を外で発揮する。そのための条件基盤をつくるためのODAと位置づけて、その連携が重要だと。時系列的な連携を重視する考え方が重要だと思います。
○伊藤座長 どうぞ、お願いします。
○根本内閣総理大臣補佐官 中北先生のお話の関連で言えば、私もこの戦略会議の間に機動的に、途中段階でもいろんな方と議論しております。最近も世界水フォーラムをやりたいという方々が来られて、日本は全く水争いのない国で、ほかの国は国境を接していることから水で争ってきている。つまり、水について、日本は各国に対して非常にいろんなアドバイズをやれる立場にあると。
おっしゃるように、過去のODAでも水道は日本でつくった。ところが、維持管理はアメリカ、イギリスなどがやるという状況になっているというのです。ですから、先生おっしゃられたように、我が方も今回提示させていただいた資料の中で、ODAの活用の話は書いてありますが、そこはまさにソフトも含めた公民協力も含めたODA、これが新しいODAの姿だろうということを提案させてもらったらどうかと思っております。
それから、中北先生の前段の総論の話は、アジア・ゲートウェイ構想をどう理念として成立させるかということだと思うのです。そこはもう少し時間をかけながら、3つの理念ということは打ち出しましたが、もう少しそこは議論して詰めていったらどうかと思います。
あと先生方からいろんな御意見をいただいて、なるほどなと私も聞いておりました。今日は、アジアの共通発展基盤の整備ということで提示させていただきましたが、これに更に今日の先生方の意見を入れて、付加すべき点があります。
それから、人材育成のテーマは前回12月にやりましたけれども、先ほどの実際に日本に住んでおられる外国の方の、ある種社会的な問題が出てきている。これは共生社会論で、官房長官のところでまとめていただきましたが、そういう視点もきちんと取り入れる必要があるだろうとか。人材を受け入れるというところで強調しておりましたが、やはり日本が自らの人材を育てる。当然入っているのですけれども、そういうものも更にここに入れ込む必要があると思います。
○伊藤座長 ほかにいかがですか。どうぞ。
○宮田委員 先ほど中村委員がおっしゃっていました、携帯の4Gです。あれはもう是非中村先生のところからやっていただきたいと思います。というのは、日本が発信しなければいけないときの発言の媒体が一番遅れています。とても残念な感じがしますので、それもまさしく松下さんから頑張っていただくぐらいの気持ちでやられたらいいのではないかと思います。
○根本内閣総理大臣補佐官 国分先生、中国は経済的には連邦的な形になることから、日本は上海、北京といった個別の地域と地域が結び付く必要があるのだとおっしゃられました。私もそうだと思いますが、アジア・ゲートウェイ構想の中でも、地域活性化の観点から、日本の地域が直接アジアと結び付くという視点で地域活性化につなげたらどうかと思っています。今、日本の各地域が中国といろんなつながりが出てきておりますが、その辺の観点で御意見があればお願いします。
○国分教授 まず政治的に考えれば、当然、東京と北京という関係になるわけですけれども、しかし、中国の現実は、先ほどから申し上げておりますように、ますます地域化、あるいはそれぞれに個別化している。そういう意味では、全体的に経済は連邦制になりつつあるという形になってきているわけですが、最終的にはそれをどういうふうに政治的に統合するかというのは、中国自身の課題になります。
そのさい、中国の今の現実を見たときに、我々が見ている地域である上海とか広東とか北京とか、基本的に我々の視点は沿海地帯に多くは向けられてきているということだと思います。
日本との各それぞれの連携という形で考えますと、やはり地方と地方の連携というものが、かなり現実には進んできていると思います。むしろ東京と北京よりもはるかに現実に、それに観光客を考えてみましても、かなり中国からも増大してきているという現実があるわけです。勿論これにはさまざまなリスクや問題もあり、どういう形で日本にそうした人たちを誘致するかということもあります。ただ、日本の地方にある、日本の持っている特有の温泉とか、スキーなどもそうですけれども、そういう魅力をどういうふうにうまく観光資源として活用していくかということは、中国との関係の中でも非常に重要だと思います。
○伊藤座長 宮田先生のテーマに行く前に、私も一言だけ、皆さんの議論をもう一回整理するという意味で、理念と具体的な政策と2つあると思うのですけれども、皆さんの議論を伺っていて非常に強く印象を受けたのは、理念に関して時間軸ということをかなり意識して議論することにより説得性が出てくるのかなと思います。
中国で言うと、今年、国交回復35周年ですね。あるいは先ほどおっしゃったように2010年に、我々がAPECの議長国をやるとか。その他いろいろなことがあるので、要するに、単に将来の絵に描いた餅というだけではなくて、今年、来年、あるいは5年後に、何が日本はできて、どういうふうに動いていくのかということが、そこにがちっと入ってくると、4Gもそうなのですけれども、多分説得性が出るのかなという印象を受けました。
あとは勿論深川さんがおっしゃったように、余り理想論を書いても、日本の国内はどうなのか。実際に日本が直視しなければいけない問題をきちっと議論しなければいけないのかなと。いずれにしても、できるだけ理念を説得的になるような仕掛けをまた考えさせていただければと思います。
どうぞ。
○深川委員 ODAの話が出ていたと思うのですけれども、多分それから時間軸を設定してやっていくときに、最近やっているドナーコーディネーションというのが東アジアにあります。世界一斉に開発を始めたわけですけれども、卒業国を出したのは日本が援助してきた国だけなのです。韓国、台湾、シンガポール、香港、全部卒業で、あとタイがちょっと怪しいですけれども、タイとマレーシアが卒業してくれれば、これだけ卒業国を出していて、タイがラオスを援助し、韓国がモンゴルを援助しというふうに今なっているのです。
新しく出てくるエマージングドナーを支援するというのが、今、ODA業界の1つのネットワークになっていて、ここで政策のコーディネーションができれば、アジアの連携も強化されますし、やはり欧米と日本のODA感はかなり違うところがあって、別に日本がやってきたことが全部いいとは到底言えないと思いますけれども、卒業国が出たというのはこれまた事実なのです。
そういう人たちが同じような考え方でODAに向かっていってくれる、韓国とかタイのような人たちがいるというのは、非常に大事なので、それをやられたらいいと思います。○白石委員 それは私も賛成です。例えばタイの場合は、実際に需要があって、日本と一緒にやりたいという意思がありますので、本当に大事だと思います。
○中北座長代理 その点に関して言うと、ドナー同士の連携もありますが、それは更に日本も、これまで国や公的にやっていたビジネスが、同時に民営化していくという流れも、あるいはもっと技術を持っているのだけれども、今、自治体や官の中に入っているのだと。 さっき補佐官が水のことをおっしゃったのですが、例えば水道事業というのは非常に高い技術です。日本は安全・安心技術、水も非常に衛生水準が高いのだけれども、やはり自治体の中にこもってしまっている。それをもっと民営化して、あるいはアジアでビジネスするという時代を、今できないとしても、もう少し想定しながら考えていく。現実に、フランスやイギリスやアメリカは、もうそこでビジネスしているわけですから、言わばドナーの方の問題意識を更に踏まえまして、我々自身ももう少し民営化とか、あるいは公と民の連携ということは、そういう観点で重要になってくると思います。
○伊藤座長 時間か大分少なくなってきておりますが、それでは、国分教授に一言、その後宮田委員、お願いします。
○国分教授 2点短く申し上げますが、1点目は、台湾のことを私は全く議論していなかったのですけれども、この点を付け加えておきたいと思います。中国というものの将来を考えたときに、この地域は巨大に地域化してくる。そういう中に台湾というものを、国交はないのですけれども、最近の新幹線の需要を見てもわかりますように、政治的なイシューとしてだけで考えてよいような状況ではありません。
むしろ我々が考えるべきは、さまざまな文化にせよ、漫画にせよ、あるいはテレビ番組にせよ、まず台湾に日本から入り、それが上海を経由して中国に入っていくという形で、日本の番組や、いろんなソフトのコンテンツが入っていくという現実があります。つまり日本の魅力が台湾を経由して中国に入っています。
また、企業によっては台湾企業と合弁をして、それが中国大陸に行くという形になってきておりますけれども、そういう意味では台湾というものが、国交はありませんけれども、隠された日本にとっての重要な地域になってきているということも言えると思います。
新幹線なんかも、恐らくここでの経験がどういう形で中国に取り込まれていくか。こういうことも十分あり得ると思っております。
2点目は、やはり水とエネルギーというのは、中国でボトルネックのテーマになってくるだろうということです。というよりはもう現実になっているわけですが、北京も既に砂漠化が手前まで来ているという現実があります。「水を制する者、中国を制す」というのが、歴史の格言でありますけれども、そういう意味で北京の遷都論まで挙がってきている状態であります。工業化がますます進むにつれて水という深刻な問題に、特に中国の北の地方でありますけれども、日本の知恵というものが十分必要になると思います。
以上です。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、宮田さん、お願いします。
○宮田委員 大分雰囲気が違うかもしれませんが、とりあえず、美しいアジアと日本ということで、表現力が相当違いますが、思っている気持ちは同じでございますので、日本を愛する、そしてアジアを愛する気持ちでやっております。このグラフィックをごらんになりながら、お時間が厳しいのでちょっと言わせていただきます。
豊かな自然と共生しながら形成してきた伝統の文化を、新たな現代の新しい文化に創造していきたい。文化力というものが、美しい日本をつくり、ひいては文化・芸術が国の安全保障の重要な基盤になるのではないかという気がしております。
例えば、フランスなどは文化省で、国家予算の1%を文化振興に使っております。イタリアでは、御存じのように文化財活動省、文化財監督省、文化保護に関しては大変な力を入れている。
アジアに目を向けた場合には、韓国では0.95、中国でさえ0.3、豪州では0.77。残念ながら我が国では国家予算の0.12でしかないという、大変寂しい限りでございます。その中で日本が頑張っているのですが、こんな程度で何とか考えなければいけないという気がいたしております。
例えばよく、アニメーションという言葉が出てきます。これは、御存じかとは思いますが、アメリカに輸出している鉄鋼産業の何と3倍の稼ぎをしており、世界中のテレビアニメの65%は日本がつくっているのですけれども、1個のデータを100万なら100万で売った切りなのです。その後それを皆さん放映しっぱなしで、ほかの国がみんなもうかっている。これはハリウッドのやり方をしなければいけません。その件に関して、日本はコンテンツ産業にしても、もはや日本は大変怪しいところに来ております。こんな稼げる世界をもっともっとちゃんと、いわゆるコーディネーター、人材を育成することによって、大変すばらしい日本の文化を改めて産業として取り入れることができるのではないかという気がいたしております。
あとは文化財の保護、それから、現代芸術ということが大変叫ばれております。そのことをやらないといかぬのではないかという気がいたしております。
提言といたしまして、コンテンツエンジンの構想を是非ともやっていただきたいということです。これと同時に、ここで1つ新しい提言をさせていただきますが、1%アートというものがございます。これは世界各国の先進国では必ずやっております。パブリックにしろ何にしろ、1つの大きな事業をやったときには、1%必ず芸術を入れるということによって、市場が、あるいは美しい国、日本であるということが確立するわけでございます。
そんなこともございますので、私以下いろんなスタッフと考えたところでは、新しい省庁をつくったらいかがかということで、文化財産省というものを設立したらいかがなものかと考えました。これによって、観光や知的財産、文化、芸術、スポーツ、そういうものすべてで、世界に伍した品格のある日本ができるのではないかと思います。これと同時に、先ほどちょっと申しましたが、4Gの話ではないのですが、言葉の弊害がありますが、世界発信していくには、どうしても何か必要だというときに、この芸術ということが大変うまく全体の流れがつかめるのではないか。人の輪がつくれるのではないか。
それから、過去の例で文化財があるところには爆弾は落ちません。まさしく文化は戦車をつくるよりも平和をつくる、いわゆる安全保障になるのではないかという気がいたしております。
ついでながら、私はたまたま藝大におりますので、藝大の関わりといいますか、何ができるか、小さな大学でございますから、できることにも限りがございますが、心、あるいは豊かさ、ときめきだけは伝えることができると思います。
アジア文化・芸術のリーダーといいながらも、日本の文化・芸術は2000年以来、シルクロードを経てすべてきておりますので、今度は逆に人材育成することによって帰依する、返してあげるというふうな、決して先ほど深川先生のおっしゃったよう、雁行のような考え方ではなくて、一緒になって歩こうという気持ちでございます。そして豊潤なアジア文化のコーディネーターになりたいと考えております。
時間が5分しかなかったものですから、少し行ったり来たりいたしましたが、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○伊藤座長 どうも済みません。時間がなかったのですけれども、できるだけいろんな形でこれから生かしていただきたいと思います。
○根本内閣総理大臣補佐官 先生、コンテンツ・ゲートウェイということでございましたが、具体案をもう少し。
○宮田委員 まずこの部分で一番最初にやっていただきたいのは、首相の下にコンテンツ産業振興戦略会議室というのをつくっていただきたいんです。これをつくることによって、いろんなもののノウハウがいっぱい集約されて発信することができます。また、東京藝大が横浜に新しい映像館をつくりました。プラスそこにこれからアニメもつくっていきたいと思っておりますので、あそこを拠点にしていきながらやっていくと、横浜市、民間と大学との3者で構築した大学ができましたので、それを大いに利用してくださったら結構かということで提言させていただきました。
○伊藤座長 どうもありがとうございました。
それから、補佐官、お願いいたします。
○根本内閣総理大臣補佐官 それでは、時間がまいりましたので、終わらせていただきたいと思います。またいつものように、大変闊達な忌憚のない御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。今日のところはこれで終了させていただきたいと思います。
ありがとうございました。