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(7)意見交換
○岸本座長 どうもありがとうございました。有名な移植の拒絶を抑える世界をリードする薬を作られた藤山委員のご発言ですが,やはり日本から世界をリードする革新的な医薬品というのが圧倒的に少ない,その理由とか,どうすればいいかということをまた議論していただきたいと思います。
それでは,本日は初会合でございますので,各委員からご意見をお伺いしたいと思います。時間が非常に押しておりますので,お1人につき1分以内で簡潔に,雄弁な方がたくさんおられますけれども,言いたいことは書面で後でお送りいただくということで,一言ずつ簡単にお願いしたいと思います。まず新井委員からどうぞ。
○新井委員 1分間ということですので2点申し上げます。認識としましては,アメリカを中心に1950年代に生化学と分子遺伝子が融合して分子生物学が成立した。これが今日のBTのもとを築いた。ここはBT戦略会議ですけれども,現在,21世紀は,実際にはIT,NT,みんな縦割で別々に立っていますが,これが融合して新しい学問分野と産業分野をつくる可能性がある。重点領域としてアメリカが果たした学融合と産業化の役割を,今,日本が同じように21世紀に進める可能性がある。これを申し上げたいということが1つです。
そのためには,大学の改革が必須であると同時に,もう一つは,産業化に際して,今,ご報告がありましたけれども,2つの異なるレベルの産業化について検討する必要がある。これは医薬品や製造業を含めた現在の産業をいかに活性化するかという問題が一つ。もう一つは,未来型の,まだ売る物がない知識の段階のものをいかに産業にしていくか。これは互いに随分関連しますが,全く別の次元の問題でございます。日本では,現在の産業が困難に陥っていますが,それに対する対策だけではなくて,新しい知識に基づく産業をいかに生み出すか,ここが大事だと思います。
1分になりましたので,これに関してはまた時間があれば発言をいたします。以上です。
○岸本座長 続きまして,伊丹委員。
○伊丹委員 2点申し上げたいと思います。1点は,この会議は戦略会議でございますので,非常に細かい制度改正の問題等をくどくどと書くのではなくて,極めて骨太な方針を10年単位をにらんでさっと出す,それを是非やっていただきたい。
もう一つは,このバイオテクノジー産業は,非常に科学技術と産業の距離がものすごく近い産業です。私,いろいろな産業を分析いたしましたが,こんなに科学技術と産業の距離が近い産業はない。その点を着目いたしますと,日本はおそらく科学技術基盤の形成のための基礎投資,これは研究開発投資と思っていただければいいのですが,国がやるもの,あるいは大学があるもの,企業がやるもの全部含めまして,おそらく0を1つ増やす必要がある。それくらいのことをやらないと,とても追い付かない。
2番目は,科学技術と産業の距離が近いものですから,それを受け止めた産業側の構造を,徹底的にそれが受け入れられるような構造に大改革をしないと,おそらくせっかくつくった技術は生きない。したがって,化学とか医薬品の産業構造を大改革する必要が多分ある。それだけを申し上げたいと思います。
○岸本座長 大石委員,どうぞ。
○大石委員 ヒトのゲノムが昨年ほぼわかったわけでございますけれども,最初は3万という遺伝子の数だったのですが,現在は4万くらいになっています。おそらくこれからの我々の健康にとって中心となる医薬品の基になるわけでございます。その点において,日本はこれから私の考えるところでは,必ずしもそれが現在の情勢はかなり厳しいと認識しております。
確かに,日本は,今一生懸命やっていますけれども,私が一番心配するのは,例えば普通特許というのは,数が問題ではなくて,新しい人間の知的活動が続く限り永久に続くわけですが,人の遺伝子に限りましては,もう限られた数,3万8,000 とか4万2,000 とか言われていますけれども,それをもしその機能がわかって,外国の製薬会社がそれに特許の網を掛けたときに,果たして日本のこれからの将来の医療費が非常に高いお金で外国から買わなきゃならない。そういうことを私は非常に懸念しておりますし,よほどきちっとしていかないとうまくいかない。
もう一つ,バイオは基礎的なことと,それに伴う産業的なものの距離が非常に近いわけでございますけれども,その場合に,逆に非常に分野が広いとか,研究体制の問題が非常に重要だとか,社会性を持っているとか,情報処理の必要があるとか,今までの産業とは全く別の構造を持っているということを是非理解していただいて,今までのような日本のような産業政策がおそらくはこれにはあてはまらないのではないか,おそらくここで非常に新しい一つの政策が必要になるのではないか。その2点だけ申します。
○庄山委員 日本経団連では,バイオの国家戦略ということにつきまして,その必要性を提言してまいりました。本日,こういう形で総理の開催により,この戦略会議を設置いただきましたことを非常にうれしく思っておりまして,誠にありがとうございました。是非,産業界としても,一体となってこの推進を図ってまいりたいと思っております。
3点申し上げますと,1つは,バイオテクノロジーを用いて様々な我が国の産業の活性化や,あるいは新しい産業の育成を図っていく必要があるということであります。単に医療と申しましても,医薬も医療機器も,IT関連,ヘルスケアのシステムであるとか,非常に幅広いものですので,是非そのようにしたいというのが第1点。
第2点は,先ほどお話もございましたけれども,バイオテクノロジーというのはITでありますとか,あるいはナノテクノロジー,こういう他の分野の技術革新と融合していろいろな形の競争力強化ができるということでありまして,そういう意味におきまして,是非連携を強めてまいりたいと思っております。
3点目は,既にお話が出ておりますが,国家戦略につきましては,期限と担当官庁というものを明確にして,アクションプランの形で,きちっとしたフォローアップ体制でやっていただきたいという3点でございます。
○岸本座長 どうもありがとうございました。杉山委員。
○杉山委員 2点ほどお願いしたいと思います。
一つは,しばしば大きな科学技術というのは大学等の基礎研究に端を発することがあると思います。そういったものは産業界との距離が非常にありまして,多分発掘することが非常に困難だと思います。したがって,1つは橋渡し体制を強化する,整備するということが,私の関わっております植物バイテクの領域では非常に重要な点だと思います。
もう一つは,これは植物バイテクを中心に申し上げますけれども,活力をなくしているということで,従前のアグリー産業というだけではなくて,例えば自動車産業ですとかエネルギー産業,こういったものが新しく既に活動を始めておられますので,異種業界参入を奨励することによって植物バイテク産業というのが生まれ変わる必要があるのだろうということをお話し申し上げたいと思います。以上です。
○岸本座長 寺田委員。
○寺田委員 3点申し上げます。重要なところは,やはりバイオ産業の育成の場合は安全が第1でして,第2にその評価をどうするか,3番目は国民の理解だと思っております。
安全というのは,国がパブリック・ドメインで守る必要がある。アメリカでもFDAとかCDCとかで健康を軍隊として守っているわけでして,CDCとあわせて1万8,000 人くらいで国家公務員が守っているわけです。数は別にしてそういうシステムが必要で,それがあってはじめてバイオ産業が市場原理で動くものだと思っております。
先ほどからトランス・リレーショナルとか治験の問題がありましたが,評価の方も大きなインフラを作らなくてはいけないということです。国民の理解,要するにステークホルダーである国民と一緒,人を扱う場合には必ず国民が一緒にならないといけませんから,国民の理解に大きな努力をしないとやっていけないと考えています。その3つです。
○岸本座長 どうもありがとうございました。平田委員どうぞ。
○平田委員 私はバイオ産業情報化コンソーシアムの会長をしているということもありまして,特に医療,医薬領域において,国際競争力で勝とうという国家戦略ということに鑑みて,何が日本の勝てる領域なのか,日本の強みを特に強調する中で,現在のBTの努力が産業化につながる道をいろいろ提言していきたいと思っております。
更に,先ほどもございましたように,確かにゲノム解析では後塵を拝しましたけれども,いわゆる完全長cDNAの解析とかSNPs,それから糖鎖技術では一歩リードしているわけですので,この辺を戦略的に加速する施策,資源配分とかプライオリティー,そういうことをやっていきたい。まだまだ,社会にこれらを完全にする体制が整っておりませんので,そういうことを整備していく必要があろうかと思います。
最後にBT関係の産業化には多大な投資リスクといいますか,非常にロングランのインキュベーション期間を要し,また,なかなか成果に対する不確実性のリスクも大きいということがございます。是非,そういう努力にインセンティブを与えるような,成果物に対する,例えば新薬ですと保険薬価の十分な配慮とか,それから知的財産権での適切な保護,これが不可欠だと思います。
○岸本座長 どうもありがとうございました。三保谷委員。
○三保谷委員 私は2つ申し上げたいのですが,バイオテクノジーの振興にあたってはまず国民の理解に対して力を入れていただきたいと思います。いずれにしても,国民が自分の病気の治療や何かの選択時に,自分は何を選んでどう行動するか責任を持って選べるような手段というか予備知識が必要だと思うのです。
この国の現状ですけれども,今,話題になっている海外のやせ薬を飲んで,あふれるほど食糧がある日本で生命を落としてしまう現実があるわけです。「人間は周囲の動植物を食べて生きている」という命の感覚というか,生命の営みを理解しようとする科学の目が大人にも子どもにも備わっていないと,これから先の科学技術の発達について,正しい選択ができないのではないかと心配しております。
ですから,社会教育の場や小中高の子どもたちの教育の現場で,是非一貫した「生命科学をどう自分たちの暮らしに生かしていくか」という考え方を伝える努力をしていただきたいと思います。
もう一つ,今,医療費が増大して,生活習慣病の予防や治療の問題がかなり大きくなっていますが,薬の開発は勿論いいのですが,まずできることはあると思うのです。生活習慣を改めるとか,一つは食事の改善とかですが,是非病気になる前の第一次予防ということも踏まえた上での開発に取り組んでいただきたいと思っております。
○岸本座長 どうもありがとうございました。
あと10分くらいになりましたのが,尾身大臣,遠山大臣,武部大臣,平沼大臣からご説明をお願いいたします。
○尾身科学技術政策担当大臣 本日,BT戦略会議が開始されまして,アメリカ,あるいはヨーロッパで国家戦略があると言われていたわけでございますが,日本におきましても,いろんな総合的な戦略をつくっていただけるということで,私ども大変期待をしているところでございます。
2010年にはバイオの市場規模は25兆円と言われておりますが,大体ITの半分くらいの規模でございまして,非常に大きなウェートを占めてくることになると思っております。先ほどからのお話のとおり,ゲノムの解読が一応終了して,ポスト・ゲノムという時代に入って,バイオの関係は新しい時代に入ってきたと考えております。そのような中で,このバイオテクノジーとIT,あるいはナノテクノロジーという分野が,相互に関連をしながら進んでいくという時代に入ってきたと思っておりまして,これを立体的,総合的に進めていくことが今後大変大事だと思っております。
バイオの分野は基礎研究では日本は大変すぐれていると言われておりますけれども,応用技術,あるいは産業化という分野に弱いと言われております。そういう中で日本の強み,先ほどからのお話のとおり完全長cDNAとかSNPsとか,発酵技術とか,そういうものを生かしてこれから全力で勘張っていきたいと考えております。
総合科学技術会議の中に,バイオに関する技術開発のところを扱いますBT研究開発プロジェクトチームというのを設けて,純粋技術の分野についての検討をしっかりやった上で,この戦略会議の方にもその内容についてお話をさせていただき,是非これを取り上げていただきたい。そういう体制をつくってやってまいりたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,遠山大臣お願いします。
○遠山文部科学大臣 バイオテクノロジー分野で日本全体を俯瞰をして,研究開発から実用化まで,一貫した方針で施策を進めていくことは大変大事だと考えておりまして,この会議の意義は大変大きいと思います。この分野は国際的な競争も大変激しいわけでございまして,時間軸を頭に入れた戦略的な施策運営が大事だと考えます。
我が省は科学技術面,それから教育面を担当いたしますが,1つは,質の高い研究の推進をすることと,その成果の特許化について力を注ぎたいと思います。既にお話が出ておりますが,例えば蛋白の3,000 プロジェクトが既に走り出しておりまして,日本の研究者が世界で1万くらいあるという基本的な蛋白質の構造,機能の解析にしのぎを削っております。これは将来の産業に大いに結び付くところでございますが,そういう非常に優れたところを大いに推進していきたいと思います。
それから,世界をリードする先進技術,機器の開発,あるいはゲノム情報などの統合化と積極的活用,更には人材育成,あるいは今お話にありましたような国民への理解を求める作業も行っていきたいと思っております。
我が省といたしましては,今申し上げたようなことについて,アクションプランを今後この会議に示してまいりたいと思います。それと同時に,既に我が省では,このバイオテクノロジー関係の研究開発の推進方策を策定いたしておりますので,既存のきちっとした積み上げもご参考にしていただいた上で,今後の戦略を出していただきたいと思います。以上でございます。
○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,武部大臣。
○武部農林水産大臣 バイオテクノロジーは何と言っても関係府省が足並みをそろえて,産学官の連携の下に進めるということが大変重要だと思います。農林水産省といたしましては,先般,農林水産政策の大胆な見直しを進めるために,『「食」と「農」の再生プラン』というものを工程表とともに策定し,発表したところでございますが,この中では,食の安全,安心に関する技術開発,それからいろいろお話がありましたポスト・ゲノム研究の加速化,更には機能性食品の開発,環境技術の開発等に積極的に取り組む方針にいたしております。
特に資源の少ない我が国が,循環型社会の構築を目指す上で不可欠なバイオマスの利活用について,お手元に資料7として配布させていただいておりますが,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」を踏まえまして,農林水産省が関係府省の協力を得ながら,「バイオマス・ニッポン総合戦略」の年内策定に向けまして,現在,民間の有識者等からなりますアドバイザリーグループの意見を伺いながら,今月中に戦略骨子をとりまとめるべく,作業を進めているわけでございます。
このため,BT戦略会議といたしましても,本趣旨をご理解の上に,是非ご支援を賜りたいと思います。
以上,農林水産省としては,国民生活の向上と産業競争力強化という観点から,バイオテクノロジーの推進に全力を尽くしてまいりたいと存じておりますので,よろしくお願いいたしたいと思います。
○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,平沼大臣。
○平沼経済産業大臣 経済産業省としまして,昨年の11月から産業競争力戦略会議というのを各界の方に入っていただいて,6か月に渡っていろいろ議論をしてきました。その中で,行動的な戦略を作らなければいけないと,こういう提言をさせていただいてきたところですけれども,早速このBT戦略会議,これを立ち上げていただいたということは,非常に私は画期的であり,意義のあることだと思っています。経済産業省といたしましては,このBT戦略会議ができたからには,それを産業化戦略に結び付けて,産業化の中で閉塞している経済状況,こういったものを切り開いていく。こういう視点で大いに皆様方にお力を出していただければと思っておりまして,私どもとしては,日本の強みがバイオ分析デバイス,バイオインフォマティクスなどの分野でもありますから,それを生かしながら,私ども経済産業省といたしましても,全面的な協力をしたいと思っております。以上です。
○坂口厚生労働大臣 番外でございますけれども,申し訳ありません。私の方の分野は,将来これはバイオづけになると言ってもいいほどの分野でございますので,何とか早くやらなきゃいけないという気がいたしますが,先ほど大石委員がご指摘になりましたように,特許で外国にすべて抑えられてしまいますと,非常に高齢化社会,大変将来の医療費がかかるわけでございますので,大変なことになるというように私も危機感を持っておる一人でございます。
そうした意味で,井村委員がご指摘になりました中で,遅れた理由というのを書いていただいてございますが,こうしたところをできるだけチェックをしていくのが大事であるし,我が省として障害になっているところがあればそれは一番早く直さなければならないわけでありますから,そうしたことで努力をしたいと思っております。
○奥谷環境大臣政務官 さきほど農林水産大臣から発言がありましたように,環境省としても,バイオマスを資源やエネルギーとして利用することは,地球温暖化対策と循環型社会の形成に貢献する取組として,極めて重要な課題と認識しております。このため,農林水産省をはじめとする関係府省と協力して,「バイオマス・ニッポン総合戦略」を策定するとともに,バイオマス利用技術の開発・普及の促進策に積極的に取り組んでいきたいと考えております。また,他にも,微生物等による水質浄化技術など,環境保全のためのバイオテクノロジーの開発・普及に取り組んでいきたいと考えております。
さらに,環境省では,関係する省と連携し,バイオテクノロジーの利用に伴う環境影響の防止という観点からの取組を行っております。具体的には,遺伝子組換え生物による生物多様性への悪影響を防止するため,次期通常国会において生物多様性条約に基づくカルタヘナ議定書の国内担保法を制定することを期して,農林水産省,経済産業省,文部科学省とともに検討を行っております。
以上のように,環境省としては,関係府省とも協力し,バイオテクノロジーの環境保全分野への積極的な活用を促進するとともに,バイオテクノロジーの利用に伴う生態影響を適切に防止し,バイオテクノロジーの健全な発展のために取り組んでまいりたいと考えております。
○岸本座長 どうもありがとうございました。
本日は,皆様方から非常に貴重なご意見をいろいろお伺いいたしました。時間が非常に押しておりましたので,十分意見を言っていただくことが出来ませんでしたけれども,是非,大綱に盛り込むべき問題につきまして,書面でお送りいただけたらありがたいと存じます。また,必要に応じ外部の有識者の意見もお聞きし,起草委員会でたたき台をつくらせていただきまして,検討したいと思っております。
(8)閉会
それでは,ちょうど予定の時刻がまいりましたので,これで閉会をさせていただきますが,本日の会合の内容につきましては,会合終了後に私から記者発表をさせていただきたいと思っております。
次回の会合につきましては,今のところ8月30日の午後1時30分から2時30分を目途に調整をいたしたいと考えております。
本日はご多忙のところご参集いただきまして,誠にありがとうございました。これでちょうど時間になりましたので,終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
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