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第1回BT戦略会議 議事録


1 日 時:平成14年7月18日(木)17:00〜18:00

2 場 所:内閣総理大臣官邸 大会議室

3 出 席 者:【別紙】

4 議事内容:

(1)福田内閣官房長官から開会の辞
 ただいまから「バイオテクノロジー戦略会議」,略しまして「BT戦略会議」の第1回会合を開催させていただきます。本日はご多忙のところお集まりをいただきまして大変ありがとうございます。私,内閣官房長官の福田でございます。後ほど会議の座長をご紹介するまでの間,会議の進行を務めさせていただきます。
 このBT戦略会議の開催の趣旨は,お手元の資料1のとおりでございます。今回は初顔合わせてございますので,本来ならば委員の方々のご紹介をさせていただかなければならないところでございますが,できる限り中身の意見交換に時間を取りたいと思いますので,資料1のメンバー一覧表がございます。それをもって委員のご紹介に代えさせていただきたいと思います。
 それでは,議事に先立ちまして,内閣総理大臣からの挨拶がございます。その前にプレスが入りますので,お待ちいただきたいと思います。

(報道関係者入室)

(2)小泉内閣総理大臣から以下のとおり挨拶
 今日はお忙しいところをありがとうございます。最近バイオテクノロジー,BTは目覚しい発展を遂げています。その成果の活用は,例えば,我が国を世界最高水準の健康社会としていく上で,また,我が国企業の競争力強化,新規産業の育成を進めていく上で大きな力となると思います。
 世界に目を転じますと,各国がしのぎを削ってBTを力を入れており,激しい競争となっています。先日,関西に出張しましたが,関係者が力を結集して「関西バイオ推進会議」を組織するなど,BTの推進に熱心に取り組んでおり,BTに対する強い期待感を感じたところであります。
 今般,幅広い分野の有識者にご参集いただき,関係閣僚も加わって我が国のバイオテクノロジー戦略について活発な議論をいただき,本年中を目途に,国として取り組むべき戦略をまとめていただきたいと思います。
 なにとぞよろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

(3)福田内閣官房長官から座長の指名・座長の挨拶
○福田内閣官房長官 会議の座長でございますが,小泉総理のご指名により岸本忠三委員にお願いをいたしたところでございます。それでは,これからの進行は座長の岸本委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○岸本座長 座長を務めさせていただきます大阪大学の岸本でございます。総理からのご要請に応えるべく,努力してまいりますので,よろしくご協力のほどをお願いいたします。ただいま総理からのご挨拶にもございましたけれども,最近のライフサイエンス,バイオテクノロジーの急速な進展,その成果をいかにうまく国民の元気で長生きしたいという気持ちにつなげていくか。そして,経済をいかに活性化することにつなげていくかということの,国としての戦略を策定していきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

(4)会議の運営について
○岸本座長 まず,会議の運営でありますけれども,第1には,発言者名を記載した議事録を,ご本人の確認を取った上で公表いたしたいと思います。
 第2に,会議で配布した資料についてですが,回収する必要があるもの等例外的な場合を除きまして,原則公開としたいと思います。
 第3に,会合の内容につきましては,毎回会議終了後に私から記者会見を行わせていただきたいと思っております。以上のような運営の仕方でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

(5)検討スケジュールについて
○岸本座長 ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。
 続きまして,検討のスケジュールでございますけれども,先ほど総理からも述べられましたように,本年中にBTの戦略を作成したいと考えております。このため資料3にありますように,今回を含めて5回程度開催し,必要があれば外部の有識者の意見もお聞きしながら,検討を進めていきたいと思っております。
 また,時間が限られており,今後の検討を効率的に進めることが必要になりますので,戦略の草案を作成する起草委員会を設けてはいかがかと思っております。起草委員会で議論のたたき台をつくっていただきまして,そのたたき台に基づいて本会議で議論を進めていってはどうかと考えております。このメンバーと他の有識者の委員の方々との,適宜テーマを決めて議論する場も設けて,集中的に,また密度の濃い議論ができればいいのではないかと思っております。
 この方向でよろしければ,起草委員会メンバーにつきましては,次回までに固めさせていただきたいと思いますが,以上のようなスケジュールでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

(6)BTをめぐる現状と課題について
○岸本座長 それでは,そのように進めさせていただきます。
 議事を進行しますが,本日は初回でございますので,BTを巡る現状と課題につきまして,幅広くご意見をお伺いいたしたいと思います。効率的に議論を進めるために,まず,全体的立場から井村委員,それから産業分野から歌田委員及び藤山委員に資料を用意していただいておりますので,その資料につきまして簡単にご説明いただきまして,できるだけ短くやっていただいて,あとの意見交換の時間を最大限に取るようにしたいと思います。よろしくご協力をお願いいたしたいと思います。
 それでは,まず最初に井村委員,お願いいたします。

○井村委員 総合科学技術会議の井村でございます。資料4−1及び4−2をごらんいただきたいと思います。4−1に従ってお話を申し上げます。
 1枚めくっていただきますと,目次がございます。更にめくっていただきますと,今なぜBT戦略会議かということを書いております。21世紀はご承知のように生命の世紀であると言われますが,その理由の1つは,生命科学が爆発的に発展するということであります。特に狭い意味の生命科学だけではなくて,さまさまな分野に波及効果をもたらすものと考えられております。
 2番目に人類の健康,福祉,環境,食料などの問題への貢献があります。特に日本は高齢社会でありますので,これは大変大きな課題になります。こういったことから,先ほどからお話がありましたように,世界の各国が生命科学を重視して様々な施策を行っております。我が国でも生命科学,ライフサイエンスを重点分野として取り上げて,重点分野推進戦略の中に詳しく書いておりますので,後で資料をお目通しをいただきたいと思います。しかし,こうした研究を実用化に結び付けるためには,国家としての総合的な戦略が必要であり,これが戦略会議の目的ではないかと思います。
 バイオテクノロジーは,現在ではかなり広い範囲になっております。医薬品産業,食品産業,農業のみではなくて,今後様々な物質の生産とか環境問題への対応,あるいは情報に使われるのではないかと考えられますので,ここではBTをできるだけ広く取って考えていく必要があると思います。
 日本の現状を少し説明申し上げますと,まず5ページでございますが,狭い意味でのバイオ産業,すなわちバイオテクノロジーを使って作ったものが,どれくらい現在売られているかということを示します。年々増加しておりますけれども,狭くとると1兆3,000 億くらいであります。しかしながら,ここにはバイオテクノロジーでつくられる以外の薬は含まれておりません。したがって,いろんな薬剤を入れ,広くBTを取りますと,6ページのとおりで,現在およそ6兆円の規模であります。2010年には新しいBTのみで25兆円以上になると考えられております。EU,米国におきましても,ほぼ同様の予測がなされているところであります。
 このうちで医薬品開発の国際競争力を見てみますと,7ページのとおりです。左が国内の開発状況で,残念ながら外国からの導入の医薬品が多いということを示しております。国際的な新薬のシェア,これはかなり日本も頑張っておりますけれども,それでも4位くらいでございます。
 8ページには,主要な製薬企業を書いておりますが,日本は上位10位以内には残念ながら入っておりません。
 9ページをごらんいただきますと,今度は医療機器であります。医療機器も国際競争力が弱くて,右の図をごらんいただくとわかりますように,輸入がどんどん増えていっている。輸出は増えないという状況であります。診断機器にはまだ日本の国内の企業がかなりのシェアを占めておりますが,治療機器,それからここには書いておりませんけれども,いろいろなバイオ関連分析機器,こういうものはほとんど輸入であります。したがって,かなりたくさんの研究費を投入していただいておりますけれども,半分くらいは外国に流れてしまっているというのが現状であろうと思います。
 それでは,日本の基礎研究が弱いのかという疑問が生じます。10ページをごらんいただきますと,ヒトゲノムの解析では日本はやや遅れを取り,アメリカ,ヨーロッパに比べて6:3:1くらいの貢献しかできなかったわけであります。しかし,最近では完全長cDNAといいまして,これはメッセンジャーRNA(伝令RNA)に対して作るDNA,これがいろんな解析に役立つわけですが,それは日本が一番よくやってまいりました。またSNPsといいまして,遺伝子の個人差の研究,これもミレニアム・プロジェクトのお陰で非常に進んでまいりました。こういった強みを今後生かしていく必要があるのではないかと思っております。
 11ページ,ライフサイエンス関連予算でございますけれども,現在,ライフサイエンスの関連予算は科学技術振興費と呼ばれる狭義の科学技術予算のおよそ14%であります。決して多くはありません。しかし,平成13年度から14年度を比較していただきますと,かなり大きな伸びを示しております。
 12ページ,左側が世界の主要国における論文数の推移,右側が被引用度数でありますけれども,これをごらんいただきますと,日本は必ずしも高くない。特に被引用度数が残念ながら高いと言えない状況であります。しかし,世界の著名な学術雑誌に対して日本からの投稿数は,徐々にではありますが伸びております。
 13ページをごらんいただきますと,それがおわかりいただけると思います。ただ,例外は一番下の「New Eng.J.Medicine」という雑誌でありまして,これはヒトを対象とした臨床研究のみを掲載する雑誌ですが,そこは残念ながら増えていないということになります。今度は企業化への出口でありますけれども,新薬の治験の届出数,これは残念ながら現在減っております。これはまたあとでご議論が出ると思います。
 15ページ,今度は特許でありますけれども,特許は日本がバイオ関連で約20%を占めておりますが,現在最も重要な遺伝子の組替え,遺伝子解析,この辺りの基本技術は日本が非常に少ないということが問題であります。その中で,比較的に日本が健闘していますのは,糖鎖工学,16ページにあります微生物でありまして,この辺は比較的日本が強いところであります。
 それから,バイオベンチャー,これが17ページにありますが,日本でも増えてきておりますけれども,まだアメリカの1,400 社,ヨーロッパの1,600 社に比べてうんと少ない状況であります。
 18ページには,日本でBT産業が遅れた理由を書いておりますが,時間の都合で後でまた議論のときにでも申し上げたいと思っております。
 暗い話ばかりではございません。最近日本ではバイオクラスターが,19ページに示しますように,あちこちでつくられておりまして,それぞれの地域の特徴を生かしたバイオ産業が,今,芽生えつつあります。
 20ページには,米国の代表的なバイオ産業集積クラスターを示しております。ここまでは,まだまだまいりませんが,米国のバイオクラスターを目指して日本のバイオクラスターも伸びつつあります。
 最後は,総合科学技術会議の取組みを示したものであります。以上です。

○岸本座長 どうもありがとうございました。我が国のバイオテクノロジーの現状を総括していただきました。引き続きまして,歌田委員から,産業界からの報告です。

○歌田委員 日本バイオ産業人会議の世話人代表をしております歌田でございます。本日はこういう会議を開催していただきましたこと,また,その席で私に発言を許していただいたこと,大変感謝申し上げます。
 時間の関係上,早口で述べさせていただきます。
 21世紀は生命科学の世紀である。今,井村先生がおっしゃったとおりでありますが,バイオテクノロジーにつきましては,日本の産業の活性化という面と,国民の生活面から見たときのクオリティー・オブ・ライフの向上という面とがあります。国民が今何を望んでいるか,一番望んでいるものは何かと言えば,健康とか安全とか環境問題とか,あるいはそれを網羅した安心という問題。この両方の面を達成する上で,このバイオテクノロジーというのは,キーテクノロジーではないかと思います。
 しかし,我が国におけるバイオの産業化,実用化という観点から見ますと,強い危機感を覚えざるを得ないのでございます。まず1つは,バイオというのは,今,お話がありましたように,関係する省庁も,我々業界から見ましても,また学会も非常に幅が広うございます。もう一面では,市民の理解,支持というものがなくては,社会への導入が果たせないという領域でございます。現状のままで健全な産業発展が望めるだろうかということを感じざるを得ません。
 バイオ産業化,実用化に関しまして,欧米は我が国をはるかに凌駕しているということてございます。アメリカは20年前から国を挙げてバイオに力を入れておりますし,欧州も今年1月にバイオ戦略というものを作成をいたしまして,世界最強のバイオ・ベース経済の構築を目指すとしております。
 ポスト・ゲノム・シーケンス時代という第2段階にこれから入ってきつつあるわけでありますが,実用化,産業化のスピードは急速に加速されておりまして,スタート時点のわずかな対応の遅れというのが致命的な大差となる。こういうツケが後々国民への大きな負担と失望になっては大変だと見ております。
 そこで次のページでございますが,井村先生からもお話がありましたサイエンス,テクノロジー,こういう領域では総合科学技術会議が中心になって,国家としての戦略的な展開が進めつつあるということで私どもも大いに期待をしております。しかしながら,産業化,実用化という観点からは,研究開発以外に非常に多くの課題が存在しておるということでございまして,こうした課題への備え,対応が今必要であるということです。
 次のページにまいりまして,少し細かくなりますけれども,これでご説明したいと思います。まず医療・医薬品分野でございますが,これもここにたくさん書いてございますが,これは後ほど藤山委員からお話しがあると思いますので,そちらにお任せしたいと思います。
 次に食品の安全性という問題でございますが,これは今,政府でも検討中ということで,この仕組みをより信頼性の高いものに是非していただきたい。そのためには,欧米頼みではなくて,自らの科学的安全性の推進というものが必要だと思います。安全性の研究はもちろん必要でありますが,それで国民がどうして安心感を持つかという面を大事にすべきだと思います。
 次の食品による国民の健康維持とか生活習慣病の一次予防の観点から,保健機能食品,こういうものがこれから非常に拡充されてくると存じますが,このコンセプトの確立ということ,あるいは審査体制の充実,その普及活動,こういうものを検討すべきだと考えます。
 次の農業バイオという面で申し上げますと,イネゲノムとか,その他動植物ゲノム研究成果の応用,実用化の促進。今,研究はどんどん進んでおりますけれども,その応用,実用化の促進ということを,これから大いに考えていただかねばならないと思います。それから,新品種の知的財産権の保護のための機関の設置,民間企業による農地の取得,利用の促進,この制限についての緩和を是非お願いしたい。また,民間育成品種の流通促進策が必要であります。それから,バイオの原料となります澱粉とかブドウ糖の関税の問題,こういう面も検討する必要がございます。これらは我が国の農業の活性化にもつながるものだと見ております。
 ITとの融合領域としての高度健康情報ネットワークの構築ということでございますが,健康産業,サービス産業などの新産業を創出するための資格制度が必要でありますし,また個人遺伝情報を保護しつつ,片方ではプライバシー等を保護しつつ,一方では人類共通の財産として活用する。この両方を尊重するための取扱いルールの策定が必要だと存じます。また,電子カルテとか,レセプト等の医療情報標準化政策,これも今,厚生労働省さんでグランド・デザインを昨年末に公表されておるようでございますけれども,これを強力に進める必要があるのではないかと思います。
 次に環境バイオでございますが,生分解性廃棄物のリサイクルシステムを確立するために,市民,国,自治体,企業が一体となった取組が必要でございます。これは二酸化炭素の削減にも大きく貢献することと存じます。また,自然界の環境浄化能力を活用したバイオレメディエーションの実施を可能にする指針の見直しが必要です。さらに,生分解性プラスチックの利用推進策を図っていただくことも重要と考えます。
 次にバイオベンチャー・バイオクラスターの育成でございますが,これは井村先生が今おっしゃったとおりでございますので簡単にいたしますが,2010年には1,000 社計画というのが前に掲げられておりますが,今はまだ300 社程度でございまして,これから大いに推進をしなくてはいけない。そのためにはバイオ特区とか,こういう面もお考えいただいた方がいいのではないかと思います。これはベンチャーだけに限りませんけれども,民間の先端バイオ研究に関する特別優遇税制,いろいろお考えいただいておりますが,これもお願いしたい。
 それから,知的財産関連,これも遺伝子関連特許の流通の円滑化,生物多様性条約関連の問題も重要課題ということでございます。
 あと,バイオインフォマティックス,ベンチャー人材,審査人材,いろんな人材の育成も必要でございます。  もう一つ,次のページでございますが「国民のBT理解・合意形成」。これが非常に大きな問題でございます。
 研究開発にいくらつぎ込んでも,これが達成しないと成果が上がらないということでございまして,こういう面についてここにいろいろ書いてございますけれども,産学官一体で努力する必要がございます。特にELSI予算化ということも,アメリカと同じようにやっていただきたいと思います。
 次のページにまたがりますが,産業化,実用化に関する課題への対応,戦略的,早急に実行することによってはじめてこの図のような高度健康・安心社会,それから次のページにありますような新産業,新製品のイメージ,こういうことは持続可能な社会における競争力確保のために不可欠だと存じます。
 最後に,本会議の進め方に関する提案をお願いしたいと思います。
 最初に書いてあります起草委員会設置をお願いしようと思ったら,先ほど岸本座長からお話がありまして,是非お願いしたいと思います。2点目は,単なる作文に終わるということのないように,課題ごとに担当省と達成年次を含むアクションプランを作成して,実行するということを是非お願いしたい。3点目は,フォローアップ,リバイス,チェックができるようにしていただきたいということでございます。
 あとのページ以降は,先ほどのご説明した課題を詳細に書いたものでございます。ともかく本会議においては,抽象論だけでなくて,具体的な実のある議論をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

○岸本座長 どうもありがとうございました。産業活性化,産業につないでいくための戦略について詳しくお話しいただきまして,単なる紙の上の話ではなく,実効性のあるものになっていけばいいと思います。引き続きまして,藤山委員から,薬の立場からお願いします。

○藤山委員 日本製薬団体連合会の会長をいたしております藤山でございます。医薬品とバイオテクノロジーということで,資料6をお配りさせていただいておりますが,私の話のレジュメとしては,2ページから5ページがレジュメになっております。それ以降は参考資料ということです。
 第1点は,先ほどの井村先生のお話とちょっと重複いたしますが,バイオテクノロジーと医薬品産業とどの範囲を取るかということでございます。一部の医薬品を特別にバイオ医薬品と呼ぶことがあるわけでございますが,それは先ほどお話がありましたように,バイオテクノロジーを使わないとつくれない,生産手段としてバイオテクノロジーを使う医薬品のみをバイオ医薬品と呼んでいることが多いわけでございます。これが狭義のバイオ医薬品でございます。しかし,医薬品産業の競争力を規定するものは第1に,研究開発力でございます。今後の日本経済を支えるのは,研究開発における国際競争力と,そしてその産業化であると考えます。
 現在,医薬品をつくります創薬研究には必ず広い意味でのバイオテクノロジー,ゲノムでありますとか,セルバイオロジーでありますとか,蛋白質の機能構造解析など,そういったものを多く使ってやっていまして,更にこれにITとの融合によりますバイオインフォマティックス,これも非常に重要になってきております。その結果としての,製品となるべき化合物を選ぶときには,我々は可能であれば,低分子の合成でできる有機化合物を選択いたしておりますので,その場合には,製造段階では合成製品ということになりますが,この意味におきまして基盤はバイオテクノロジーに置いています。そういった意味で,少なくとも研究開発型の医薬品産業は全体としてバイオテクノロジーを基盤に置いた産業である,そういう理解で私はお話を申し上げたいと思います。
 第2点目「わが国医薬品産業の国際競争力」につきましても,先ほど井村先生からも若干お話がございました。
 欧米の医薬品企業の再編が急速に進んだこともございまして,我が国の医薬品企業は規模におきましては,欧米大手から大きく引き離されていることは厳然たる事実でございます。他方,我が国の医薬品企業が創出開発しました医薬品が海外で高く評価され,販売されることも次第に増加しているというのは,8ページに具体的な品名を入れてお示しをいたしております。
 このように我が国の医薬品産業の国際競争力は,決して欧米に十分にキャッチアップはまだできていないというのは誠に事実でして,残念ですが,さりとて過去に比べて後退したということでは決してございません。9ページを見ていただきますと,技術輸出につきまして,いくつかの産業を比較しておりますが,技術輸出は自動車産業に次いで医薬品工業は第2位でございまして,これは年次推移が出ておりませんが,年々増加をいたしております。
 我が国の医薬品企業につきまして,現在,最も遅れておりますのは,自社の力での国際展開ということでございまして,医薬品一品目当たりの研究開発費がますます高騰しております。これは10ページに,1企業当たりの研究開発費の年次推移を示しておりますが,このように急速に伸びておりますけれども,研究開発費が伸びても残念ながら出てくる製品の数が増えていない,つまり一品目当たりの研究開発費がそれだけ伸びているわけでございます。
 したがいまして,日本市場からだけでは研究開発費を十分に回収することはできないということは明らかでございます。また,こういった研究開発の成果は,当然世界の人々の健康に貢献するものでなければならないということも当然のことであります。企業にとりましては,こういった研究開発の成果を効率的に収益と再投資に結び付けるための世界市場における開発,販売網の整備,これが遅れているということでございまして,これは企業がやらなければならないことでございます。勿論,そのために一定の規模も必要だということは決して否定するものではございません。したがいまして,こういったことを達成するために,研究開発面を中心とした課題につきまして,若干あげさせていただいておりますが,医薬品産業の研究開発力を強化するために特に大きな課題といたしまして,7点あげさせていただいております。
 第1点は,政府によるバイオテクノロジー基盤技術への投資ということでございますが,先ほどのお話にもありましたように,ミレニアム・プロジェクトということで,投資を大幅に増加していただいておることは高く評価し,感謝しているところでございます。実施の段階におきまして,是非,これは省庁縦割にならないように政府としての一貫した施策を持ちまして,実施をしていただくよう更なるご努力をお願いしたいと思います。
 第2に,基盤研究からの技術移転ということをあげておりますが,大学等の基盤研究からの技術移転,ベンチャーの立ち上げ,これは最近非常にやかましく言われてだんだん進んできてはおります。これを更に一層促進する必要がございますが,それとともにライフサイエンスの分野におきましては,産業化に結び付けるためには,技術だけではなくて,物の移転を伴う必要がございます。現在の国立大学,国立研究所ということでは,こういったことの制約が大きい。この辺も解決をしていただく必要がある課題でございます。
 第3に,臨床研究環境ということでございますが,トランスレーショナル・リサーチにつきましては,新井先生からもお話が出ようかと思いますが,これを推進するための法整備が極めて不十分である。それから,諸外国に比べて治験のスピードが非常に遅い。こういった2点が特に大きな我々にとりましての問題でございます。
 第4に,審査体制の強化・充実ですが,これは昨年12月に既に閣議決定をしていただいておりますとおり,新しいコンセプトの医薬品でありますとか,医療材料にも対応できるような世界水準の審査体制を構築していただく必要があると考えております。
 第5に,研究開発税制でございます。是非,試験研究費の総額の一定割合を控除対象となるような税制の導入によりまして,研究開発の一層の促進を図っていただきたいとお願いをしたいと思います。
 第6に,薬価制度でございますが,特に現在の制度におきましては,我が国で創出された画期的医薬品に,その価値に見合った薬価をなかなか期待し難い仕組みになっております。こういったことでは,研究開発の促進につながらないので,研究開発にインセンティブが働くような薬価制度が是非必要でございます。
 第7に,生命倫理指針でございますが,これは生命倫理全体を包括できるような指針の整備が,今後の研究の推進に必要であろうかと思います。
 その他の資料につきましては,時間の関係で後ほど必要があれば,また説明させていただきます。

(7)意見交換
○岸本座長 どうもありがとうございました。有名な移植の拒絶を抑える世界をリードする薬を作られた藤山委員のご発言ですが,やはり日本から世界をリードする革新的な医薬品というのが圧倒的に少ない,その理由とか,どうすればいいかということをまた議論していただきたいと思います。
 それでは,本日は初会合でございますので,各委員からご意見をお伺いしたいと思います。時間が非常に押しておりますので,お1人につき1分以内で簡潔に,雄弁な方がたくさんおられますけれども,言いたいことは書面で後でお送りいただくということで,一言ずつ簡単にお願いしたいと思います。まず新井委員からどうぞ。

○新井委員 1分間ということですので2点申し上げます。認識としましては,アメリカを中心に1950年代に生化学と分子遺伝子が融合して分子生物学が成立した。これが今日のBTのもとを築いた。ここはBT戦略会議ですけれども,現在,21世紀は,実際にはIT,NT,みんな縦割で別々に立っていますが,これが融合して新しい学問分野と産業分野をつくる可能性がある。重点領域としてアメリカが果たした学融合と産業化の役割を,今,日本が同じように21世紀に進める可能性がある。これを申し上げたいということが1つです。
 そのためには,大学の改革が必須であると同時に,もう一つは,産業化に際して,今,ご報告がありましたけれども,2つの異なるレベルの産業化について検討する必要がある。これは医薬品や製造業を含めた現在の産業をいかに活性化するかという問題が一つ。もう一つは,未来型の,まだ売る物がない知識の段階のものをいかに産業にしていくか。これは互いに随分関連しますが,全く別の次元の問題でございます。日本では,現在の産業が困難に陥っていますが,それに対する対策だけではなくて,新しい知識に基づく産業をいかに生み出すか,ここが大事だと思います。
 1分になりましたので,これに関してはまた時間があれば発言をいたします。以上です。

○岸本座長 続きまして,伊丹委員。

○伊丹委員 2点申し上げたいと思います。1点は,この会議は戦略会議でございますので,非常に細かい制度改正の問題等をくどくどと書くのではなくて,極めて骨太な方針を10年単位をにらんでさっと出す,それを是非やっていただきたい。
 もう一つは,このバイオテクノジー産業は,非常に科学技術と産業の距離がものすごく近い産業です。私,いろいろな産業を分析いたしましたが,こんなに科学技術と産業の距離が近い産業はない。その点を着目いたしますと,日本はおそらく科学技術基盤の形成のための基礎投資,これは研究開発投資と思っていただければいいのですが,国がやるもの,あるいは大学があるもの,企業がやるもの全部含めまして,おそらく0を1つ増やす必要がある。それくらいのことをやらないと,とても追い付かない。
 2番目は,科学技術と産業の距離が近いものですから,それを受け止めた産業側の構造を,徹底的にそれが受け入れられるような構造に大改革をしないと,おそらくせっかくつくった技術は生きない。したがって,化学とか医薬品の産業構造を大改革する必要が多分ある。それだけを申し上げたいと思います。

○岸本座長 大石委員,どうぞ。

○大石委員 ヒトのゲノムが昨年ほぼわかったわけでございますけれども,最初は3万という遺伝子の数だったのですが,現在は4万くらいになっています。おそらくこれからの我々の健康にとって中心となる医薬品の基になるわけでございます。その点において,日本はこれから私の考えるところでは,必ずしもそれが現在の情勢はかなり厳しいと認識しております。
 確かに,日本は,今一生懸命やっていますけれども,私が一番心配するのは,例えば普通特許というのは,数が問題ではなくて,新しい人間の知的活動が続く限り永久に続くわけですが,人の遺伝子に限りましては,もう限られた数,3万8,000 とか4万2,000 とか言われていますけれども,それをもしその機能がわかって,外国の製薬会社がそれに特許の網を掛けたときに,果たして日本のこれからの将来の医療費が非常に高いお金で外国から買わなきゃならない。そういうことを私は非常に懸念しておりますし,よほどきちっとしていかないとうまくいかない。
 もう一つ,バイオは基礎的なことと,それに伴う産業的なものの距離が非常に近いわけでございますけれども,その場合に,逆に非常に分野が広いとか,研究体制の問題が非常に重要だとか,社会性を持っているとか,情報処理の必要があるとか,今までの産業とは全く別の構造を持っているということを是非理解していただいて,今までのような日本のような産業政策がおそらくはこれにはあてはまらないのではないか,おそらくここで非常に新しい一つの政策が必要になるのではないか。その2点だけ申します。

○庄山委員 日本経団連では,バイオの国家戦略ということにつきまして,その必要性を提言してまいりました。本日,こういう形で総理の開催により,この戦略会議を設置いただきましたことを非常にうれしく思っておりまして,誠にありがとうございました。是非,産業界としても,一体となってこの推進を図ってまいりたいと思っております。
 3点申し上げますと,1つは,バイオテクノロジーを用いて様々な我が国の産業の活性化や,あるいは新しい産業の育成を図っていく必要があるということであります。単に医療と申しましても,医薬も医療機器も,IT関連,ヘルスケアのシステムであるとか,非常に幅広いものですので,是非そのようにしたいというのが第1点。
 第2点は,先ほどお話もございましたけれども,バイオテクノロジーというのはITでありますとか,あるいはナノテクノロジー,こういう他の分野の技術革新と融合していろいろな形の競争力強化ができるということでありまして,そういう意味におきまして,是非連携を強めてまいりたいと思っております。
 3点目は,既にお話が出ておりますが,国家戦略につきましては,期限と担当官庁というものを明確にして,アクションプランの形で,きちっとしたフォローアップ体制でやっていただきたいという3点でございます。

○岸本座長 どうもありがとうございました。杉山委員。

○杉山委員 2点ほどお願いしたいと思います。  一つは,しばしば大きな科学技術というのは大学等の基礎研究に端を発することがあると思います。そういったものは産業界との距離が非常にありまして,多分発掘することが非常に困難だと思います。したがって,1つは橋渡し体制を強化する,整備するということが,私の関わっております植物バイテクの領域では非常に重要な点だと思います。
 もう一つは,これは植物バイテクを中心に申し上げますけれども,活力をなくしているということで,従前のアグリー産業というだけではなくて,例えば自動車産業ですとかエネルギー産業,こういったものが新しく既に活動を始めておられますので,異種業界参入を奨励することによって植物バイテク産業というのが生まれ変わる必要があるのだろうということをお話し申し上げたいと思います。以上です。

○岸本座長 寺田委員。

○寺田委員 3点申し上げます。重要なところは,やはりバイオ産業の育成の場合は安全が第1でして,第2にその評価をどうするか,3番目は国民の理解だと思っております。
 安全というのは,国がパブリック・ドメインで守る必要がある。アメリカでもFDAとかCDCとかで健康を軍隊として守っているわけでして,CDCとあわせて1万8,000 人くらいで国家公務員が守っているわけです。数は別にしてそういうシステムが必要で,それがあってはじめてバイオ産業が市場原理で動くものだと思っております。
 先ほどからトランス・リレーショナルとか治験の問題がありましたが,評価の方も大きなインフラを作らなくてはいけないということです。国民の理解,要するにステークホルダーである国民と一緒,人を扱う場合には必ず国民が一緒にならないといけませんから,国民の理解に大きな努力をしないとやっていけないと考えています。その3つです。

○岸本座長 どうもありがとうございました。平田委員どうぞ。

○平田委員 私はバイオ産業情報化コンソーシアムの会長をしているということもありまして,特に医療,医薬領域において,国際競争力で勝とうという国家戦略ということに鑑みて,何が日本の勝てる領域なのか,日本の強みを特に強調する中で,現在のBTの努力が産業化につながる道をいろいろ提言していきたいと思っております。
 更に,先ほどもございましたように,確かにゲノム解析では後塵を拝しましたけれども,いわゆる完全長cDNAの解析とかSNPs,それから糖鎖技術では一歩リードしているわけですので,この辺を戦略的に加速する施策,資源配分とかプライオリティー,そういうことをやっていきたい。まだまだ,社会にこれらを完全にする体制が整っておりませんので,そういうことを整備していく必要があろうかと思います。
 最後にBT関係の産業化には多大な投資リスクといいますか,非常にロングランのインキュベーション期間を要し,また,なかなか成果に対する不確実性のリスクも大きいということがございます。是非,そういう努力にインセンティブを与えるような,成果物に対する,例えば新薬ですと保険薬価の十分な配慮とか,それから知的財産権での適切な保護,これが不可欠だと思います。

○岸本座長 どうもありがとうございました。三保谷委員。

○三保谷委員 私は2つ申し上げたいのですが,バイオテクノジーの振興にあたってはまず国民の理解に対して力を入れていただきたいと思います。いずれにしても,国民が自分の病気の治療や何かの選択時に,自分は何を選んでどう行動するか責任を持って選べるような手段というか予備知識が必要だと思うのです。
 この国の現状ですけれども,今,話題になっている海外のやせ薬を飲んで,あふれるほど食糧がある日本で生命を落としてしまう現実があるわけです。「人間は周囲の動植物を食べて生きている」という命の感覚というか,生命の営みを理解しようとする科学の目が大人にも子どもにも備わっていないと,これから先の科学技術の発達について,正しい選択ができないのではないかと心配しております。
 ですから,社会教育の場や小中高の子どもたちの教育の現場で,是非一貫した「生命科学をどう自分たちの暮らしに生かしていくか」という考え方を伝える努力をしていただきたいと思います。
 もう一つ,今,医療費が増大して,生活習慣病の予防や治療の問題がかなり大きくなっていますが,薬の開発は勿論いいのですが,まずできることはあると思うのです。生活習慣を改めるとか,一つは食事の改善とかですが,是非病気になる前の第一次予防ということも踏まえた上での開発に取り組んでいただきたいと思っております。

○岸本座長 どうもありがとうございました。
 あと10分くらいになりましたのが,尾身大臣,遠山大臣,武部大臣,平沼大臣からご説明をお願いいたします。

○尾身科学技術政策担当大臣 本日,BT戦略会議が開始されまして,アメリカ,あるいはヨーロッパで国家戦略があると言われていたわけでございますが,日本におきましても,いろんな総合的な戦略をつくっていただけるということで,私ども大変期待をしているところでございます。
 2010年にはバイオの市場規模は25兆円と言われておりますが,大体ITの半分くらいの規模でございまして,非常に大きなウェートを占めてくることになると思っております。先ほどからのお話のとおり,ゲノムの解読が一応終了して,ポスト・ゲノムという時代に入って,バイオの関係は新しい時代に入ってきたと考えております。そのような中で,このバイオテクノジーとIT,あるいはナノテクノロジーという分野が,相互に関連をしながら進んでいくという時代に入ってきたと思っておりまして,これを立体的,総合的に進めていくことが今後大変大事だと思っております。
 バイオの分野は基礎研究では日本は大変すぐれていると言われておりますけれども,応用技術,あるいは産業化という分野に弱いと言われております。そういう中で日本の強み,先ほどからのお話のとおり完全長cDNAとかSNPsとか,発酵技術とか,そういうものを生かしてこれから全力で勘張っていきたいと考えております。
 総合科学技術会議の中に,バイオに関する技術開発のところを扱いますBT研究開発プロジェクトチームというのを設けて,純粋技術の分野についての検討をしっかりやった上で,この戦略会議の方にもその内容についてお話をさせていただき,是非これを取り上げていただきたい。そういう体制をつくってやってまいりたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,遠山大臣お願いします。

○遠山文部科学大臣 バイオテクノロジー分野で日本全体を俯瞰をして,研究開発から実用化まで,一貫した方針で施策を進めていくことは大変大事だと考えておりまして,この会議の意義は大変大きいと思います。この分野は国際的な競争も大変激しいわけでございまして,時間軸を頭に入れた戦略的な施策運営が大事だと考えます。
 我が省は科学技術面,それから教育面を担当いたしますが,1つは,質の高い研究の推進をすることと,その成果の特許化について力を注ぎたいと思います。既にお話が出ておりますが,例えば蛋白の3,000 プロジェクトが既に走り出しておりまして,日本の研究者が世界で1万くらいあるという基本的な蛋白質の構造,機能の解析にしのぎを削っております。これは将来の産業に大いに結び付くところでございますが,そういう非常に優れたところを大いに推進していきたいと思います。
 それから,世界をリードする先進技術,機器の開発,あるいはゲノム情報などの統合化と積極的活用,更には人材育成,あるいは今お話にありましたような国民への理解を求める作業も行っていきたいと思っております。  我が省といたしましては,今申し上げたようなことについて,アクションプランを今後この会議に示してまいりたいと思います。それと同時に,既に我が省では,このバイオテクノロジー関係の研究開発の推進方策を策定いたしておりますので,既存のきちっとした積み上げもご参考にしていただいた上で,今後の戦略を出していただきたいと思います。以上でございます。

○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,武部大臣。

○武部農林水産大臣 バイオテクノロジーは何と言っても関係府省が足並みをそろえて,産学官の連携の下に進めるということが大変重要だと思います。農林水産省といたしましては,先般,農林水産政策の大胆な見直しを進めるために,『「食」と「農」の再生プラン』というものを工程表とともに策定し,発表したところでございますが,この中では,食の安全,安心に関する技術開発,それからいろいろお話がありましたポスト・ゲノム研究の加速化,更には機能性食品の開発,環境技術の開発等に積極的に取り組む方針にいたしております。
 特に資源の少ない我が国が,循環型社会の構築を目指す上で不可欠なバイオマスの利活用について,お手元に資料7として配布させていただいておりますが,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」を踏まえまして,農林水産省が関係府省の協力を得ながら,「バイオマス・ニッポン総合戦略」の年内策定に向けまして,現在,民間の有識者等からなりますアドバイザリーグループの意見を伺いながら,今月中に戦略骨子をとりまとめるべく,作業を進めているわけでございます。
 このため,BT戦略会議といたしましても,本趣旨をご理解の上に,是非ご支援を賜りたいと思います。
 以上,農林水産省としては,国民生活の向上と産業競争力強化という観点から,バイオテクノロジーの推進に全力を尽くしてまいりたいと存じておりますので,よろしくお願いいたしたいと思います。

○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,平沼大臣。

○平沼経済産業大臣 経済産業省としまして,昨年の11月から産業競争力戦略会議というのを各界の方に入っていただいて,6か月に渡っていろいろ議論をしてきました。その中で,行動的な戦略を作らなければいけないと,こういう提言をさせていただいてきたところですけれども,早速このBT戦略会議,これを立ち上げていただいたということは,非常に私は画期的であり,意義のあることだと思っています。経済産業省といたしましては,このBT戦略会議ができたからには,それを産業化戦略に結び付けて,産業化の中で閉塞している経済状況,こういったものを切り開いていく。こういう視点で大いに皆様方にお力を出していただければと思っておりまして,私どもとしては,日本の強みがバイオ分析デバイス,バイオインフォマティクスなどの分野でもありますから,それを生かしながら,私ども経済産業省といたしましても,全面的な協力をしたいと思っております。以上です。

○坂口厚生労働大臣 番外でございますけれども,申し訳ありません。私の方の分野は,将来これはバイオづけになると言ってもいいほどの分野でございますので,何とか早くやらなきゃいけないという気がいたしますが,先ほど大石委員がご指摘になりましたように,特許で外国にすべて抑えられてしまいますと,非常に高齢化社会,大変将来の医療費がかかるわけでございますので,大変なことになるというように私も危機感を持っておる一人でございます。
 そうした意味で,井村委員がご指摘になりました中で,遅れた理由というのを書いていただいてございますが,こうしたところをできるだけチェックをしていくのが大事であるし,我が省として障害になっているところがあればそれは一番早く直さなければならないわけでありますから,そうしたことで努力をしたいと思っております。

○奥谷環境大臣政務官 さきほど農林水産大臣から発言がありましたように,環境省としても,バイオマスを資源やエネルギーとして利用することは,地球温暖化対策と循環型社会の形成に貢献する取組として,極めて重要な課題と認識しております。このため,農林水産省をはじめとする関係府省と協力して,「バイオマス・ニッポン総合戦略」を策定するとともに,バイオマス利用技術の開発・普及の促進策に積極的に取り組んでいきたいと考えております。また,他にも,微生物等による水質浄化技術など,環境保全のためのバイオテクノロジーの開発・普及に取り組んでいきたいと考えております。
 さらに,環境省では,関係する省と連携し,バイオテクノロジーの利用に伴う環境影響の防止という観点からの取組を行っております。具体的には,遺伝子組換え生物による生物多様性への悪影響を防止するため,次期通常国会において生物多様性条約に基づくカルタヘナ議定書の国内担保法を制定することを期して,農林水産省,経済産業省,文部科学省とともに検討を行っております。
 以上のように,環境省としては,関係府省とも協力し,バイオテクノロジーの環境保全分野への積極的な活用を促進するとともに,バイオテクノロジーの利用に伴う生態影響を適切に防止し,バイオテクノロジーの健全な発展のために取り組んでまいりたいと考えております。

○岸本座長 どうもありがとうございました。
 本日は,皆様方から非常に貴重なご意見をいろいろお伺いいたしました。時間が非常に押しておりましたので,十分意見を言っていただくことが出来ませんでしたけれども,是非,大綱に盛り込むべき問題につきまして,書面でお送りいただけたらありがたいと存じます。また,必要に応じ外部の有識者の意見もお聞きし,起草委員会でたたき台をつくらせていただきまして,検討したいと思っております。

(8)閉会
 それでは,ちょうど予定の時刻がまいりましたので,これで閉会をさせていただきますが,本日の会合の内容につきましては,会合終了後に私から記者発表をさせていただきたいと思っております。  次回の会合につきましては,今のところ8月30日の午後1時30分から2時30分を目途に調整をいたしたいと考えております。
 本日はご多忙のところご参集いただきまして,誠にありがとうございました。これでちょうど時間になりましたので,終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。



第1回BT戦略会議 出席者

(政府側)
小泉純一郎内閣総理大臣
福田 康夫内閣官房長官
尾身 幸次科学技術政策担当大臣
遠山 敦子文部科学大臣
坂口 力厚生労働大臣
武部 勤農林水産大臣
平沼 赳夫経済産業大臣
大木 浩環境大臣(奥谷 通 環境大臣政務官が代理出席)
安倍 晋三内閣官房副長官(政務・衆)
上野 公成内閣官房副長官(政務・参)
古川貞二郎内閣官房副長官(事務)

(委員)
岸本 忠三座長・大阪大学総長
新井 賢一東京大学医科学研究所所長
伊丹 敬之一橋大学大学院商学研究科教授
井村 裕夫総合科学技術会議議員
歌田 勝弘日本バイオ産業人会議世話人代表・味の素株式会社相談役
大石 道夫財団法人かずさディー・エヌ・エー研究所所長
庄山 悦彦(社)日本経済団体連合会産業技術委員会委員長・(株)日立製作所代表取締役社長
杉山 達夫理化学研究所植物科学研究センター長
寺田 雅昭国立がんセンター名誉総長
平田  正協和発酵工業株式会社代表取締役社長
藤山 朗日本製薬団体連合会会長・藤沢薬品工業株式会社代表取締役会長
三保谷智子女子栄養大学出版部「栄養と料理」編集長