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第3回BT戦略会議 議事録


1 日 時 : 平成14年10月18日(金)17:00〜18:00

2 場 所 : 内閣総理大臣官邸 大会議室

3 出 席 者 : 【別紙】

4 議事内容 :

(1)開会
○岸本座長 それでは,ただいまからBT戦略会議の第3回会合を開催したいと思います。本日は,ご多忙のところご参集いただきまして,ありがとうございます。

(2)バイオテクノロジー分野の「産業発掘−技術革新」戦略の策定について
○岸本座長 それでは,議事次第に沿って進行いたしますが,まず,事務局から産業発掘戦略タスクフォースについて説明をいただきたいと思います。

○小川内閣審議官 お手元の資料1をご覧いただきたいと思います。本年6月の閣議決定におきまして,健康・バイオテクノロジーのほか環境・エネルギー,情報家電・ブロードバンド・IT,それにナノテクノロジー・材料の合計4分野におきまして産業発掘戦略を策定することになってございます。この戦略の策定にあたりましては,この資料3にございますように,産業の将来像と達成すべき目標,中核となる技術開発とその技術の実用化までの道筋などを盛り込むこととなってございます。まさに,当会議でご議論いただいておりますバイオテクノロジー戦略大綱と一体となって検討していく必要があると考えております。
 従いまして,この産業発掘戦略の起草にあたりますタスクフォースのメンバーにつきましても,2枚目にございますように,関係府省の担当者に加えまして,お忙しい中,本戦略会議の起草委員でいらっしゃいます伊丹委員,井村委員,歌田委員,大石委員にご参加をいただいているところでございます。今後,このタスクフォースにおいて取りまとめを行っていただきまして,その結果を本戦略会議でご審議いただきまして,戦略を最終策定していただきたいと考えておりますので,よろしくお願い申し上げます。以上でございます。

○岸本座長 ありがとうございました。
 ただいまの説明のように,産業発掘戦略につきましては,タスクフォースでご検討いただきまして,その結果をこの会議で審議することといたしたいと思います。起草委員をはじめタスクフォースの皆様方にはよろしくお願いいたしたいと思います。

(3)バイオテクノロジー戦略大綱「中間的な議論の整理」(案)について
○岸本座長 それでは,本日は,バイオテクノロジー戦略大綱「中間的な議論の整理」(案)について,ご議論をいただきたいと思います。この「中間的な議論の整理」(案)は,これまでに各委員からいただきましたご意見を踏まえまして,起草委員会において具体的な検討を進めていただき整理していただいたものです。
 最初に,起草委員長の伊丹委員からご説明をお願いいたしたいと思います。

○伊丹委員 それでは,お手元の資料2という色のついた4枚紙と,資料3,これは本文の方ですが,バイオテクノロジー戦略大綱「中間的な議論の整理」(案)の2つを利用して簡単にご説明させていただきます。割と詳しいことまで書いてある案ですが,この席では5分という時間が限られておりますので,効率的に骨子だけご説明します。
 まず,資料2の冒頭のページをお開きいただきますと,これがこの大綱の文章の概要です。まず,冒頭にどうして必要かということを書き,次に,その必要性に応じて大きな跳躍が必要だということがはっきりしています。従って,3つの戦略が必要だということを書いてあります。そういう戦略を取ることによって,将来どのような社会が実現されるだろうかということを予測してみたという構成になっています。
 まず,第1の,何故BT戦略が必要かという点ですが,これについては,資料3の1ページをお開きいただき,<序>をみていただくと,そこに概念的なことが書いています。一言で言えば,20世紀がエレクトロニクスの世紀だったとすれば,21世紀はおそらくバイオテクノロジーの世紀になるということです。この20世紀のエレクトロニクスの世紀に,日本は国家・民間問わず見事に対応して,資源を大規模に投入し,その結果,エレクトロニクス産業は日本の断然トップの基幹産業に育ちました。21世紀はライフサイエンスの世紀,バイオテクノロジーの世紀になるであろうとの大方の予想があります。その分野で日本も,エレクトロニクス産業で20世紀にやったようなことをどしどしやるべきであるという趣旨のことを書いています。
 さらに,そういった問題が緊急の課題になるのは,BTをめぐる国家間競争が非常に激化しております。そのために,各国が力を入れているときに日本が力を入れないということが持つ大きなインパクトがあります。それをご覧いただくために,資料3の5ページをお開きください。
 ここに非常に短くコンパクトに国際状況をまとめましたが,その中でも研究開発の資金的な状況と人材供給の状況についてだけご説明します。米国のこの分野での政府の予算投入の金額と,日本でのライフサイエンス分野の予算投入の金額を比べてみると,様々な仕分けの違いがありますので,あまり正確な比較はできないのですが,おおよその方向がわかります。ざっと7分の1しか日本は投入せずに,しかもそれで遅れています。これでいいのかと,誰でも思う数字です。
 人材供給の方をご覧いただくと,これも様々な制約のあるデータではありますが,ざっと言いますと,日本が毎年大学セクターから生み出している学士の数は,アメリカの同分野の6分の1。エレクトロニクスで日本が世界をリードしかかった頃の前の段階では,日本はアメリカの倍の人数を,毎年毎年出しておりました。それと比べると,非常にお寒い状況だということがおわかりいただけるかと思います。今のが,金と人の話です。
 そういう状況を考えると,また,資料2の1ページにお戻りいただくか,あるいは資料2の3ページ目をお開きください。「大きな跳躍を目指した三つの戦略」という3ページ目の項目がありますが,ここで戦略1は,これだけ研究開発が大切で,技術シーズと産業の距離の近い産業ですので,研究開発の圧倒的な充実が必要だということです。戦略2は,国民がそのメリットを享受するためには,産業化というプロセスが円滑におきなければいきません。だから,そこを抜本的に強化する必要があります。戦略3は,BTは人の命とか生きること,食べること,暮らすことに全部関係するので,国民の理解がものすごく必要だということです。しかも,一部で拒否感がないわけではない。従って,国民理解の徹底的な浸透が必要です。この3つの戦略をセットとして全部まとめて取らないと,おそらく成功しないだろうということが書いてある文書です。
 研究開発の圧倒的な充実については,先ほどの数字をご覧いただいたように,大幅な充実が予算についても人材の供給についても必要ですし,人や金を出せばいいというわけではないので,資料3の7ページ目をお開きいただくと,それをきちんと効率的に使わなければいけない。重複をしたり,無駄な使い方をしたり,評価が定まらないような使い方をしてはまずいということで,予算全体の一体的な企画・運営・調整等を行う新しい組織体を設けることを早急に検討すべきではないかということがはっきり書いています。
 もう一つ大切なのは,その研究開発を一体どんな分野に投入するかということです。それについては9ページ以降に書いていますが,これは具体的に日本が強い分野が書いてあるわけですが,1つだけノーベル化学賞との関連で指摘させていただきますと,10ページをお開きいただくと,ここにバイオツールとバイオインフォマティクスという分野が非常に重要だと書いています。田中耕一さんが受賞されました,あのノーベル化学賞のアイデアはバイオツールという一部です。産業規模は大きくありませんが,非常に大切な産業だと思います。
 次に,戦略2の産業化プロセスの抜本的強化です。ここでは,詳しい内容の説明は文章に譲りますが,基本的にはアイデアとしてはこういうことです。この分野は人間の生活に関連するので,様々な制度が,これまで様々な配慮でつくられていました。その制度とBTの推進がバッティングをする危険がある。従って,特に産業化のインセンティブ,価格を自由に企業がつけられるインセンティブのようなものが,医療品や農業の分野のほか,いろいろな分野で必要であろうということが書いてあるのが戦略の2です。ほかにも研究開発基盤・橋渡し体制,治験の体制等の日本の遅れを直さないことには,産業化のプロセスは成功しないであろうということとか,知的財産権のことを書いています。
 さて,戦略3です。これは,国民の理解が非常に必要な分野なので,情報の開示や政府の姿勢が非常に重要になります。そのために,ここで具体的な提案の一例だけを申し上げると,政府がこれだけ強い姿勢を持っているということを示すためにも,薬・食品等の安全審査のための大規模な機関を設けるべきだと思います。アメリカとの間の差がここも大き過ぎる。さらには,多角的に合理的な規制であれば,おそらく規制の強化ということをここでは考えるべきであろうと思います。強い規制があるから安心できるという国民の理解を得るための手段です。
 以上のような,具体的な戦略のことを書いた上で,資料2の4枚目をお開きいただきますと,「生きる」「食べる」「暮らす」のそれぞれの分野でどんな社会が実現されるか。これはまだ検討中なので青字で書いていますが,こういうことを考え,なおかつ,その分野で日本国内のみならず世界への貢献もできるし,それぞれの分野で新産業の創出,100万人規模の雇用の創出が期待できるであろうという社会像を描いています。
 以上のような話を,ある意味で象徴的にご理解いただくためにと思いまして,エピローグを設けていますので資料3の20ページをお開きください。ここに書きましたのは,100年前の日本の生命科学者,高峰譲吉博士の話です。彼が行った先見的な発明やベンチャーの実際の設立,知的財産権の利用など様々なことが,この戦略大綱に盛られた政策の課題と驚くほど一致します。100年前の日本人にできて今の日本人にできないわけがありません。特に,最後の文章を読ませていただきますと「100年後の今,ふたたびバイオテクノロジーの力で,日本の生活を豊かにし,日本の産業を変革したい。そして何よりも,この日本に元気を出させたい」という思いが,起草委員会の思いです。
 以上です。

○岸本座長 どうもありがとうございました。非常にわかりやすく簡潔にご説明いただきました。
 それでは,一緒に起草作業をしていただきました井村委員,歌田委員,大石委員から補足説明をお願いしたいと思います。恐縮ですが,時間的な関係で2分以内でお願いしたいと思います。

○井村委員 それでは,ごく簡単に申し上げます。私も起草委員として,この起草に参加いたしましたので,ただいまの伊丹委員長の報告は全面的に賛成です。従って,時間が限られていますので,資料2の表に書かれている3つの戦略を,これからどのようにして実現していくのかということに関して,若干私個人の意見を申し上げ,今後の議論の参考にしていただきたいと思います。
 この3つのうち,戦略1「研究開発の圧倒的充実」,及び戦略3「国民理解の徹底的浸透」ですが,この2つのうちかなりの部分は総合科学技術会議の役割であると考えております。しかし,産業化プロセスの抜本的評価の段階では,先ほど伊丹委員がお話したことですが,例えば産業へ展開する,あるいは医療に応用する場合の様々な制約があり,これは総合科学技術会議の枠を超えた問題です。従って,例えばこの戦略会議をさらに延長して今後フォローアップをしていくとか,何らかの措置が必要であろうと考えます。
 総合科学技術会議の役割といたしましては,資料4の1枚紙をご覧いただきたいと思います。これは,現在の法律の中で何ができるかということを考えたものでして,総合科学技術会議の中にBT研究開発戦略専門調査会,これは専門調査会しか置くことができないのでそういう名前ですが,実質的には,この戦略を実現していくための会をここに設ける。そして,BTに関する競争資金をうんと増やしていく。それから,プロジェクトについて,例えば基礎研究の臨床への応用,あるいはBT基礎研究の産業への応用といったプロジェクトについても,ここが統括をしていく。それから,安全・倫理あるいは人材育成等があるわけですが,そういうことについても発言をしていく。それで,文部科学省をはじめ各省との間で,ここにあるような連携体制を作っていく。これが現在の法律の枠の中で総合科学技術会議にできる一つの新しい組織の方向ではないかと考えております。
 それから,競争的資金を思い切って増やしなさいということが出ておりますので,今後は,諸外国,先進諸国がすべて持っているような競争的資金の配分機関を各省につくっていただく。これは,Funding Agencyと書いています。そうして,そこにはプログラム・ディレクターを置いていただいて,このディレクターはその分野を広く見ることができる人にやっていただく。来年度の概算要求で既に一部は出していただいていますが,それを今後強化していって,増えた研究費が有効に使われるようにしていく必要があるのではないだろうかと思っています。これは現在の私個人の素案ですが,今後こういった問題について,是非,ご議論をいただいて,せっかくいい案ができましても,それが実現できなければ全く意味がないので,今後実現に向けて様々なご意見をいただきたいと考えています。以上です。

○岸本座長 ありがとうございました。それでは,続きまして,歌田委員お願いいたします。

○歌田委員 私も起草委員の一人として一言申し上げたいと思います。
 全体について正直なところを申し上げますと,様々な方面から圧力も相当ありまして,起草委員会としては内部的に厳しいつばぜり合いというようなことがありましたが,抽象論にとどまることなく,具体的な政策に結びつくぎりぎりの表現でまとめることができたというふうに思います。
 特に,第4章について,国民にわかりやすい目標を示すということが非常に大事なのではないかということで,バイオテクノロジー戦略大綱の生命線であると起草委員の中で一致していまして,具体的な数値まで入れることができた。これは大変よかったのではないかと思っています。明るい将来を展望することができるのではないかと思います。
 今回の総論は,「こうすべき」という「すべき」ということを書いたものでありまして,今後,行動計画としてどうやって実現するかという面についてはこれからなので,まさにこれからが本当の勝負どころだと思います。皆様の引き続いてのご協力をお願い申し上げたいと思います。
 なお一言,今,井村先生からご提案がありました件について申し上げたいと思いますが,研究開発戦略の組織という面で,特に,この競争的資金については非常に重要なことだと思います。ただ,バイオの推進ということでは,研究開発面だけではなくて,規制緩和や制度改革などを総合的にフォローアップするBT戦略本部,名前はどうしたらいいかわかりませんが,そのような組織の設置が是非必要ではないかと。これは今後の検討すべき課題ではなかろうかと思います。以上です。

○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,大石委員,お願いいたします。

○大石委員 私は,BTの戦略会議の起草委員であると同時に,総合科学技術会議のBT研究開発プロジェクトチームの座長を仰せつかっています。ここではどういうことを議論したかと申しますと,主として第一線の研究者,日本の一流の研究者の方,それからバイオ企業の実際の経営者の方々,それから,今バイオベンチャーをいろいろ作っている方,それらの方から生の声をお聞きしました。数回にわたって会を開きまして,そのまとめが資料6と,更にそのまとめが資料5です。非常にたくさんありますので,時間もないのでここでは申しません。ただ,我々のプロジェクトチームの目的としては,具体的な政策といいますか施策の参考になる案をたくさんここに提案しました。資料5の下の方にある「重点領域の具体的な目標と課題」と,いろいろここにありますが,具体的な問題を議論いたしました。
 私自身の感想としては,非常に皆さん方,バイオについての情熱は持って,日本にとって21世紀の最高のこれからの最大のテクノロジーということについては一致しているわけですが,先ほど伊丹委員からお話がありましたが,まだいろいろな問題がそこに存在しているということです。バイオテクノロジーは非常に基礎と応用が近く,基礎研究をないがしろにすることは非常に問題があります。ですから,非常に基礎研究を重視すると同時に,やはり日本の今まで持っていたいろいろなエレクトロニクス,その他の有利な点を利用するような戦略が必要ではないかと思います。そういうことについて,我々は特に議論をしました。それから,バイオサイエンスはまだ初期ですので,今後どのようなことが起こっても,それに柔軟に対応できる体制が必要であります。
 それから,もう一つは,伊丹委員あるいは井村委員からお話がありましたように,やはりきちんとした独立したファンディング・エージェンシーを作る。これは,NSFのようなタイプやNIHなどいろいろな形が考えられますが,少なくとも研究者にきちんとした主導権を与えたファンディング・エージェンシーの確立が必要だというように議論が進みました。あとは,国民の理解,これは非常に重要ですが,科学的な事実に基づいたいろいろなパブリック・リレーションが必要なのではないかという議論がありました。
 このように,我々の具体的な提案を,是非,今後の政策に反映させていきたいと思いますし,現在も我々の意見を起草委員会において反映していただいた,あるいは反映させてきたということです。以上です。

○岸本座長 ありがとうございました。それでは,次に,事前に申し出のありました関係大臣からご発言をお願いしたいと思います。細田大臣,遠山大臣,坂口大臣,平沼大臣,鈴木大臣,北村副大臣からご発言をいただきます。時間の関係もありますので,手短にお願いいたしたいと思います。
 それでは,まず最初に,細田大臣からお願いいたします。

○細田科学技術政策担当大臣 総合科学技術会議のBT研究開発プロジェクトチームの検討についてご紹介いたします。井村先生,大石先生からお話がありましたので簡潔にいたしますが,産学官23人の先生方に出ていただきまして,本当に深掘りした議論をし,この資料6,それをまとめた資料5のような報告が出ております。やはり基礎研究とプロジェクト研究のバランス,そして,食糧問題等の地球規模の諸問題の解決への活用,あるいは生命倫理,安全性の問題など社会とのかかわりへの配慮,こういったことをさらに強調しておきたいと思います。
 また,各省からも要求をし,間もなく税制改正が行われるわけですが,試験研究費の税額控除や,あるいは創業支援税制といった平沼大臣のところで特に力を入れておられる税制等の見直しが特に重要であると感じています。
 また,総合科学技術会議においては,来年度予算の編成に反映するべく,議員の先生方が非常に細かいところまで予算要求内容を吟味していただいて,個別にS,A,B,Cというランク付けをしました。今日総理にも報告申し上げ,記者発表もしたところですが,各省ともよく連絡を取って,財務大臣にもまた説明するということで,この先生方のご高見を予算の調整等に活用させていただき,予算の無駄等を省き,最も効果のある予算をつくっていこうということで作業を終了したところです。例えば,テイラーメイド医療の実現や新薬開発に向けたタンパク質の研究,あるいはバイオマスの利用促進,食品の安全性の確保等の研究開発の優先度を高くしており,その合計は,予算要求ベースで1兆数千億円に達していまして,このような検討の結果を戦略大綱に適切に反映していくことが重要であると考えています。以上です。

○岸本座長 ありがとうございました。それでは,次に,遠山大臣お願いいたします。

○遠山文部科学大臣 今日お取りまとめいただきました「中間的な議論の整理」(案)は,よりわかりやすい社会像を描かれ,また,3つの戦略,これは大変適切なものだと思います。高く評価したいと思います。今後,最終取りまとめがなされることとなりますが,文部科学省として4つの点について申し上げたいと思います。
 1つは,基礎研究の重要性ですが,既にご議論がありましたように,質の高い研究成果を生み出すためには基礎研究が不可欠でして,特にバイオについては世界各国で先を競っていますので,その点が顕著であると思います。私どもとしては,平成13年から5か年間で競争的資金を倍増する目標を立てていますが,これは是非,実現したいと思います。そして,バイオを核とした研究拠点がいくつかありますが,これを整備して,これらを中心とした重点的な研究推進が重要だと考えます。
 2番目は,人材の量的・質的充実が重要であるということです。この本文の中にも書かれていますが,新しい発想で画期的な成果を創出していく人材は,この分野の発展の原動力だと思います。産学官の様々な場において,こういう人材が要ると思います。1つは,独創性ある研究開発を行う創造性豊かな人材であり,2つ目には,研究開発を支援する人材であり,3つ目には,研究開発を適切に評価できる人材だと思います。こうした人材の育成にあたって,大学の果たす役割は大変大きく,各大学がこのバイオ関連の分野における教育研究機能を強化していくことを強く促したいと思いますし,大学と,先ほど申しました研究拠点とのよい連携によって,実際の力を持つ人材を育成する必要があると思います。
 3つ目が,産業界の姿勢についてですが,産業界においても,高い技術力を生かして先導的な技術革新を次々に実現されるためには,大学等における研究進捗状況を常に注視されて,新しい技術の芽が生まれたときに,いち早く見つけ出していただいて大切に育てていただくという姿勢が大事だと思います。このため,いわゆる目利きの育成とこれを活用する体制を是非確立していただきたいと思います。
 4番目は,研究手法・機器の開発が重要という点です。これは既に述べられておりますし,他の委員の方からも強調されましたので詳細は省略いたしますが,そういう日本の得意のITとかナノテクノロジーのような技術も駆使して,それとバイオテクノロジーと一体化して日本の得意分野をさらにやっていくには,計測機器等の開発が強く期待されるところです。そのためには,バイオ分野とナノテクノロジー,情報技術分野の融合など,従来の学問体系を超えた新しい取組が大事ではないかと思います。以上,申し上げました4つの点について,是非ともこれからおまとめになりますBT戦略に入れていただいて,メリハリのきいた戦略を立てていただきたいと思います。私どもとしても,その作成につきまして,積極的にご協力いたしたいと思います。以上です。

○岸本座長 ありがとうございました。それでは,坂口大臣からお願いいたします。

○坂口厚生労働大臣 大変わかりやすい案をお示しいただきまして,心からお礼を申し上げたいと思っております。厚生労働省関係から申しますと,特に医療分野におきまして,早期診断,早期治療,予防的な診断,あるいはまた先ほどお話が出ましたが,テイラーメイド医療,こういった面で非常にかかわりの多い分野ですし,また,非常に競争も激烈な分野でして,それだけに是非とも集中的に研究が進むようにお願いを申し上げたいと思っております。先ほど大石委員からも,いわゆる基礎的な研究と,そして,その具体化等が比較的近いというお話がありましたが,確かに基礎的な研究は大変大事ですが,それを実用化することも併せて行っていかなければならないのではないかと思っています。
 もう一点大事なことは,研究ですから,そう簡単に一朝一夕で成果が出るものではありませんが,それが3年がいいのか5年がいいのか,やはりチェックをしていくということも大事ではないかと思います。限られた予算の中で,限られた研究をしていただくわけですから,そして,優秀なところには,さらに予算的な配分をしていくということがなければいけないのではないか。その辺が大変大事なのではないかと思っている次第です。簡単ですが,以上です。

○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,平沼大臣,お願いいたします。

○平沼経済産業大臣 お手元に資料7があります。私は3分ですから,議事進行に協力して2分でやらせていただきます。これは5枚紙でして,見ていただければわかりますが,上の段は全部共通していまして,20世紀の技術では解決不可能であった制約はどういうものか,それをどのようにブレークスルーして目標は2010年にどうなるかということで,まず「生きる」という分野の医療産業の将来像と課題。下段は,もう少し具体的に2010年の将来像と行動計画の検討の方向を示しました。
 2枚目は,バイオ食料産業,これも同様に書かせていただいています。それから,3枚目はバイオ環境・プロセス産業の将来像と課題。これも同様な観点で書かせていただきましたので,見ていただきたいと思います。それから,田中耕一さんが授賞したノーベル賞のバイオツール,先ほど起草委員の皆様方から非常にこのツールが大事だと。これも同様なコンセプトで書かせていただきましたので,見ていただきたいと思います。
 最後のページは,バイオクラスターの現状と課題をまとめて,地域産業発展のため,それぞれの特性を生かしてバイオクラスターはこういう形で展開していくということを書きました。
 最後に,起草委員の皆様方には非常にわかりやすくまとめていただいたことを心から感謝しまして,1分半で終わらせていただきます。

○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,次に,鈴木大臣からお願いいたします。

○鈴木環境大臣 環境保全の分野におきましても,バイオテクノロジーというのは極めて有望なものと思っています。また,環境産業がこれによって発展し,環境と経済の統合につながるものと期待をしているところです。有望だと申し上げたのですが,例えば,廃棄物などのバイオマスを資源やエネルギーとして適正に利用することは,循環型社会形成と地球温暖化防止に重要な役割を果たすものと認識しています。また,微生物を用いた高度な水質浄化技術やバイオテクノロジーを活用した健康影響評価技術の開発など,様々な取組を環境省としても進めていきたいと考えています。
 これはプラス面ですが,他方,バイオテクノロジーの利用にあたって,それが環境に悪影響を与えることを防止することが大切であると思っています。このため,次期通常国会において,遺伝子組換え生物による生物多様性への悪影響を防止することを目的としたカルタヘナ議定書の国内担保法を提出すべく,今,関係省庁と連携して検討しているところです。
 以上,申し上げましたように,環境省としては,バイオテクノロジーの環境保全への応用の取組の強化と,一方において環境への影響の防止が戦略大綱策定に不可欠な要素であると考えていまして,これらの点が盛り込まれた戦略大綱となることを期待しているところです。

○岸本座長 ありがとうございました。それでは,最後に北村副大臣からご発言をお願いします。

○北村農林水産副大臣 我が国が強みを発揮できる分野の技術を生かしつつ,国民生活の向上と産業競争力の強化を目指すとの基本方針が,今回のバイオテクノロジー戦略大綱「中間的な議論の整理」(案)に盛り込まれたことは,農林水産あるいは食品分野の担う役割は非常に大きなものと我が省は認識しています。
 具体的には,機能性食品の開発等の食品バイオ研究。例えば,血圧低下作用のある物質が多く含まれているギャバロン茶や,発芽玄米の開発研究をするとか,あるいは効率的な新品種開発等のための農業バイオ研究,あるいは石油代替エネルギー生産や環境修復のための環境バイオ研究。これには,例えば家畜の排泄物から発生する,あるいは食品の廃棄物から発生するメタンを使って電気を起こす,あるいはDME,ジメチルエーテル,ディーゼル車の新しい燃料,こういう開発研究等が今回の中間整理案の中に位置付けられていることは,重点的にかつ積極的に推進していこうと我が省では思っているところです。
 特に,すべての作物研究の基礎となるイネゲノムの解読については,国際コンソーシアムの下で我が国が指導的な役割を発揮して,本年12月に14部門の塩基配列の高精度解読を終了する見通しです。今後,まさに国際的な特許競争が本格化する中で,遺伝子機能解明等のポストゲノムシークエンス研究に全面的にシフトし,その成果を健康機能性,工業原料用,環境修復等多様な場面で画期的な作物の開発等につなげていくことが極めて重要です。また,環境バイオ研究の中のバイオマス技術は,現在,農林水産省と関係府省で連携して,バイオマスの生産から収集,変換あるいは利用の各段階における総合的な推進方策についての国家戦略としてのバイオマス・ニッポン総合戦略の策定を進めているところです。本日のBT戦略と相まって推進していくことが重要と考えています。
 以上の取組を通じて,農林水産省としては,「よりよく生きる」「よりよく食べる」「よりよく暮らす」社会の実現に向けて努力をしてまいりたいと,このように思っています。

○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,本案につきまして起草委員以外の有識者委員の皆様からご意見をお伺いしたいと思います。また,時間の関係で申し訳ありませんが,2分あるいは1分半でご発言をお願いします。それでは,寺田委員からお願いします。

○寺田委員 大変これはよくできていまして,私も意見をいろいろ申し上げて,特に,安全,倫理などを申し上げたのですが,素案の中に書き込んでいただきまして大変よくできていると思います。

○平田委員 私は,起草委員会に陪席させていただいて意見を述べる機会がありました。大変しっかりまとめられたと思います。中でも,BT戦略を推進するにあたって,国として一貫性のある,できるだけ重複しない施策を遂行するために,やはり総合的な司令塔といいますか,そういうものの具体的な設置についての検討が述べられております。
 それから,何と言っても,このバイオテクノロジーを高いレベルで推進するための人材の獲得が非常に重要だと思っています。特にこの2つについて,是非,具体的な施策に落とし込んで,アクションプランをできれば大綱に盛っていただきたいと考えています。

○藤山委員 今日までにまとめていただいたところについては,起草委員会にも参画させていただきまして意見も言わせていただいたので,特にここでまとめていただいたものについて,追加の意見,修正の意見は何もありません。
 ただ,この中にも書かれていますが,今後,基盤研究に対する投資を増やしていただくことについては,是非,明確な司令塔をつくっていただいて,十分な内閣としての一貫した方針でやっていただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。

○三保谷委員 BT戦術会議というキーワードから感じられる国民の意識というのは,自分と遠いところで行われるのではないかという印象でしたが,私が参加させていただいて,みんなが悩んでいる,科学技術とどう折り合いをつけてこれから生きていったらいいのだろうということの解決が,この戦略3の「国民理解の徹底的浸透」に盛り込まれたと思います。ですから,大人では社会教育の様々な場面で,子どもでは学校教育のいろいろな場面での実現がすぐに始められるのではないかと期待しています。以上です。

○新井委員 基本的なことについては,私の意見も含めまして書かれていますので,その点に対しては大変賛同します。いくつか今後進める上で,例えば,今の総合科学技術会議を通してやろうというのはいいのですが,もう一つ考えなければいけないのは,井村先生の図の中にもBT戦略と総合科学技術がありますが,1つは総合科学技術会議は行政なのか,それとも開発を進めるいわゆる開発者側なのか。そしてまた,右側に文部科学省などいろいろ省庁が書いてあります。これも行政ですから,行政と研究開発の間をどう仕切るかというあたりが更に検討課題だと思います。アメリカやイギリスでは行政としての仕組みと同時に,NIHやNSF,MRCにしても開発者側の統括機関ですので,今ファンディング・エージェンシー,プログラム・ディレクターと井村委員からも言われたのですが,これをどういう形で位置付けるか,この辺の検討が今後,制度設計が大事ではないかと考えます。これが1つです。
 2点目は,いろいろなことを進める上で諸分野を融合しなければいけない。私も全く同感なのですが,実は,融合しようとしてお金をつけても融合できない研究体制の構造があります。これは,我々の研究者の中にも,また大学の中にも,企業の中にもありますので,それをどのように変えるのかということです。これがこのBT戦略会議の課題なのか,それとも,より大きな内閣レベルまたは国レベルでの検討になるのか,この辺がどこまで踏み込めるかということが,まだ不明確であります。私たちが感じるのは,競争的資金をつけても,個人が独立しない限りはその競争的資金を生かして若手が活動する場ができないということです。その点については,よく考えていただきたいと思います。田中耕一さんも,もしも大学にいたら,その論文は指導教官の業績になり,ノーベル賞は指導教官に行ったと思います。幸い企業だったから,また企業でもあの場合は例外的なことだと思います。この辺が,今後構造的な改革の課題としてあると思います。
 時間になったと思いますが,そのほかポイントだけ言います。行政と開発者の区分と同時に,もう一つは,現在の産業を活性化する場合に現在の産業ルールを適用しますが,未来型の産業はまだ産業になっていないので,現在の規制でやるのは非常に不適当だと思います。私は,新産業の創出のために基本的には大学を中心として文部科学省,研究者の側の論理をベースに,そして,各省庁も規制官庁としてではなくて新しい仕組みを一緒に研究する研究開発側の論理でやっていくということを,明確に打ち出す必要があると思います。
 最後は,審判と開発側の分離についてはよく書かれていますが,ここに総理がおられるので,是非聞いていただきたいと思います。効率的で有効な仕組みを市場の原理に基づきつくることは大事ですが,それと同時に,その自由なルールを監視する仕組みが絶対的に不可欠です。したがって,これは小さな政府だから行政的に人員を縮小するということではなくて,国でなければできない審査機構,これは知的財産審査権ですね。それから,安全審査について,大学の教授等に審議会で手伝ってくださいではなくて,専門の審査官を国民にも世界にも納得できるようなものを是非つくっていただきたい。そのようなことはここにも書かれているとは思うのですが,より明確にしていただきたい。小さな政府ではなくて,この点で必要なものは,国としてしっかりつけていただきたい。以上です。

○岸本座長 アメリカのFDAは日本の10倍の規模を持っています。次に庄山委員,お願いいたします。

○庄山委員 今回のBT戦略大綱については,伊丹委員長をはじめ起草委員会の皆さんの大変なご努力で非常にわかりやすくまとまっていまして,高く評価したいと思っています。特に,知的財産権の件や,あるいは実用化のための環境整備について書いていまして,その辺は非常によくまとまっていると思っています。これをさらに今後,具体的な行動計画に展開されるわけですが,先ほど伊丹委員長からもありましたが,ノーベル賞の田中耕一さんの例にもありますように,バイオツールまたはバイオインフォマティスク関係については,是非強調していただきたい。
 それから,もう一点は,これはかなりわかりやすく表現されていますが,19ページにもあるような,例えば,がん患者の5年生存率が20%改善というのは,いかにも専門家の言葉のようにも思われます。是非,もう少しわかりやすく,あるいは健康で長生きとかそういうことなども入れた形で表現していただければと思っています。以上です。

○杉山委員 私も,起草委員会には数回出席させていただきました。そして,意見も述べさせていただきました。結論としては,皆さんのおっしゃるように非常によくまとめていただいたことに感謝しています。ただ,その席上でも問題になったと思いますが,特に植物についてはGMOに対し社会的な拒否反応もあります。科学技術にはリスクがあるという立場でリスクも査定して,きちっと対処するということが,国民へのこれから理解を求める上で非常に重要なことだと思いますので,一言述べさせていただきます。

○岸本座長 どうもありがとうございました。それでは,皆様方からご意見をお伺いいたしましたが,あと6〜7分ありますので,もし何か言い足りないこと,特に強調したいことがありましたら,どうぞご発言ください。

○伊丹委員 こうやってまとめ戦略も3つにつくりましたが,これは絵に描いたもちになる危険があります。資源配分,人と金と組織をきちんとつけるということをいたしませんと,圧倒的充実とか抜本的強化と言葉は書きましたが,何もしないと思いますので,是非,人材の供給の強化,予算の徹底的な拡充,それから,皆さん言っているような司令塔としての組織体をつくらないと,おそらく全体がうまく回らない,その点について,是非政府の方でお考えいただく必要があるのではないかと思います。人材につきましては,先ほど私言い忘れましたが,今年を「BT人材育成元年」と名付けて,大幅に乗り出したいということをこの中に書いていますので,是非ともよろしくお願いしたいと思います。以上です。

○岸本座長 この前も私は申し上げたのですが,高度成長時代の道路,建物をつくるという時代の人材育成の大学の定員が今でもまだそのまま持ち越されていると。だから,21世紀はもっとソフトな時代,バイオの時代に入ってくると,やはりそこの定員のバランスを変えていくということが一番大事なことだと思います。それと研究費の問題,そして,全体を統括できるような組織の問題というのが,ここによくまとめていただいていると思います。そういう面で,できるだけこれが実現されていくような,その次にこの総論を受けたアクションプランといいますか,各省庁がこういうふうにということを出していただいて,最終的に戦略大綱をまとめていければいいのではないかと思いますが,何か追加していただくことはありますか。

○井村委員 人材育成につきまして,今,岸本座長がおっしゃいましたように,日本の大学の仕組みは高度経済成長時代です。だから理学と工学を比較いたしますと,世界の先進国で圧倒的に工学部の学生が多いのは日本です。だから,非常にアンバランスになっています。それから,工学部の中でバイオに関する学科を持っているのは,国立大学ではまだ1つもありません。私学でやっと早稲田がそういう学科をつくった。そういう状況で,その分野で非常に遅れています。
 また,理学部の中で物理と生物を比較すると,物理の卒業生は日本とアメリカは余り違わないのですが,生物は30分の1です。だから,日本は生物学が極めて少なくなっているということです。勿論,人口は向こうが2倍あるので,やはりそれを考慮に入れても生物は非常に少ないという状況です。だから,これは大学の問題がかなり大きいわけですが,今日,遠山文部科学大臣もおいでになっていますので,是非いろいろな施策を考えていただいて,大学が変わっていくようにエンカレッジしないといけないのではないかと思います。
 例えば,工学部でもメディカル・エンジニアリングとかバイオ・エンジニアリングという学科が,アメリカでは30以上ぐらいあります。それから,工学部で生物学は必修になっています。だから,アメリカの工学部は新しい方向に,今,方向転換しているのですが,日本はそれができていないということが非常に大きな問題ではないかと思います。

○岸本座長 もう一つこの分野でとても大事なことは,食べることと薬と直接体にかかわる,だれもが一番関心を持つことでして,これはみんなの理解が必要です。やみくもに怖がってもいけないわけですが,そういう点での教育,高度なそういう分野の人材育成とともに中学,高校生の教育が大切です。それが,現在生物の教育が少ないので,大学の入試センター試験でも生物を受けるのが20数%しかいない。ということは,残りの人は生物を習っていないわけで,大学で試験がなければ大体勉強しませんから,ということは,7割の人が生物を知らないわけです。そうすると,狂牛病で牛がばたっと倒れるのを見たら,みんなパニックになるような恐怖感を持つということがあります。中学における理科の教育,高校における生物の教育を,できるだけみんなが最低限は受けられるような人材の教育ということも私は大事だと思います。それが,安全・倫理,そういうすべてのことにつながっていくのではないかと思います。

○遠山文部科学大臣 ちょっとよろしいですか。今の点は私も大賛成です。少し事態は変わりつつありまして,例えば,今,国立大学は統合再編を行っていますが,多くの医科系大学が工学部を持つ,この間の山梨もそうですし,それから,筑波などもそうですが,ほかにも続々と今20ぐらいの大学がエンジニアリングとメディカルと一緒になって新しい分野を開拓しようという動きが一つあります。それから,大学自体が,要するに大体使命の終わった学部・学科というところの再編力がないと思います。これは,私どもが言うよりは,本当は大学自身でやればできるのですが,それを促すために国立大学の独立行政法人化ということもありますし,私学は非常にその点自在にもっとやってもらったらいいと思っています。
 それから,理科離れ対策をすることと,入試の中に生物をかなり入れ込んでいくということで,今お話がありましたことをできるだけ施策に盛り込みたいと思います。ありがとうございました。

○大石委員 2点だけ簡単に申します。1つは,今,遠山文部科学大臣のおっしゃったこととかなり似ているわけですが,やはり生物学は非常に大事で,アメリカでは募集していますが,ハーバード,MIT,キャルテック,メジャーなところは文科系の学生も今はバイオテクノロジーが必須になっています。前は,生物学は我々自身のことですが,実際にはよくわからなかったのですが,今これだけわかってきて,こんな重要なことを,しかも自分自身の問題を知らないで大学の高等教育を行うのはおかしいというのが論理です。ですから,是非日本もこれは大学にお任せすればいいということですが,是非,文部科学省の方である程度のイニシアチブを取っていただきたいと思っています。
 もう一点,振り返って,日本のバイオはやや遅れがちですが,これから先が長いですから何とか挽回する可能性は私はあると思いますが,やはりもう一遍,私も長い間アメリカにいまして,日本に帰ってきて思い出したことは,既にそこにある分野が既得権で,これは学問の分野でも幅を利かせていまして,バイオも遅れてしまった,ITも遅れてしまったというのは,共通するのは両方とも新しいサイエンスの分野ということです。だから,私はいつも言うのですが,もう一つまた新しいものが出てきたら,それも遅れるのではないかと。ちょっと皮肉のようで申し訳ないのですが,ですから,そこにいればその分野として押さえてしまって,なかなか外から入れないと。これは何もサイエンスだけではなくて,一般的な日本のことですが,特にサイエンスの場合にはクリティカルに日本の将来に響くことですから,是非新しいものをエンカレッジしていただくと。新参者はどうこうという感覚は,サイエンスに関しては是非やめていただきませんと,日本の将来が掛かっていることだと思います。

○新井委員 この報告の中で,もう一つ今,人材ということで最後に高峰譲吉のエピローグも書いてあったのですが,基本的には明治以来,日本は和魂洋才でやってきたと思います。我々のジャパニーズ・スピリットと西洋のテクノロジーの結合であった。これは,人材は基本的には西洋など外国から入れないという政策の表現だと私は考えています。ところがアメリカは人も入れるし,知識も入れるという形で,構造が基本的に違うと思います。その辺をどうするかというのは,実はこれを進める上でも,国際競技場とは書いてあるのですが,どういう競技をするかでデザインの問題があります。
 それから,タイミングの問題で,大学院生などを一生懸命教育しても5年から7年は掛かります。平沼大臣の計画によっても,ベンチャーを1,000社つくるという場合に,最低5人のPhDは要ると思います。すなわち10年後には5,000人のPhDがベンチャーを担っていなければならないのですね。これは数としてはいいのですが,絶対に今のメンタリティとスピードでは日本人だけで担うのは無理だと思います。これはどのようにしているかというと,アメリカには,外国のすぐれた人たちが集まってきます。初めはユダヤ系,それから中国系,インド系ですね。この辺のところで,日本の大学の中に外国人を入れるのは言葉の問題がありなかなか難しい。しかし,産業界とかベンチャーの中には,条件をつくるならば優秀な人たちが集まってくると思います。ですから,この辺の人材を集める国際的な仕組みについてここに書かれていることはいいのですが,現実に進めるための施策とするには,その辺の問題もお考えくださいと申し上げたいと思います。

○岸本座長 あらゆる分野でそのことが,これから人口が減ってくる中で問題になると思います。

○小泉内閣総理大臣 今現在の人材供給はどうしているのでしょうか。どこから供給しているのですか。そして,バイオテクノロジーに対して,日本はどうやっていますか。

○新井委員 基本的に非常に少ないわけですね。

○小泉内閣総理大臣 どういうところから。

○遠山文部科学大臣 今は,既存の生物関係者,既存のメンバーでやっていますよね。

○岸本座長 医学,薬学,農学,生物学辺りから。そのパーセンテージがアメリカと比べてみると圧倒的に少ない。それは,先ほど遠山大臣が言われたように,今まであるものはそのまま守る,一旦できたものを絶対減らさない,工学系は工学系で守るということがありますから,伸縮自在ということがなかなか起こらない。1990年ぐらいからアメリカではずっと生物学の方が,マサチューセッツ工科大学とかカリフォルニア工科大学といっても生物の方が多いわけです。そういう伸縮自在というのが,なかなかいかない。それが日本の大学の体制に問題があったということだろうと思います。

○小泉内閣総理大臣 この高峰譲吉と言うけれども,納豆もバイオテクノロジーではないですか。それから,渋柿を干すと甘くなるでしょう,昔の人はすごい知恵ですよね。それから,くさや。あれはにおいをかいだら食べられないですよ。

○井村委員 高峰譲吉はコウジに非常に興味を持って,そこからタカジアスターゼをつくったわけです。

○小泉内閣総理大臣 あれもやはりバイオテクノロジーでしょう。

○伊丹委員 オールドバイオと分類されていますが。

○小泉内閣総理大臣 それは今の現代人ではできない発想と。

○新井委員 ただし,高峰は基本的にはニューヨークであれを開発したのですね。ジャパニーズ・スピリットをアメリカでやって,パーク・デービス社にライセンスをした,その一部を使って日本のライセンスで三共製薬をつくったのです。ですから,彼は,日本のスピリットですがアメリカを使っているわけです。

○大石委員 ただ,日本の発酵は非常に強いです。味噌,しょうゆを伝統としまして,抗生物質なりアミノ酸なり非常に強くて,これをやはり私は守っていかなければならないと思います。品質管理化から何から世界一だと思います。

○岸本座長 それでは,時間がなくなってきましたので,この辺で終わらせていただきまして,ご意見のございます方々は,随時書面にて事務局までご提出いただきたいと思います。本日のご意見を踏まえまして,次回会合までに起草委員会において更に検討を深めていただきまして,バイオテクノロジー戦略大綱案を作成させていただきたいと思います。
 なお,起草委員会につきましては,先日,各委員にご連絡しておりますが,起草委員以外の有識者委員にもご参加いただく機会を設けますので,ご都合のつく限りご参加いただきたいと思います。
 それでは,最後に,内閣総理大臣からごあいさつをいただきますが,その前にプレスの入室をお願いいたします。

(報道関係者入室)

(4)小泉内閣総理大臣あいさつ
 本日のバイオテクノロジー戦略大綱の取りまとめに向けた,「中間的な議論の整理」(案)を伺いまして,戦略大綱に示すべき理念・方向性が明らかになったと思います。ご努力にご礼申し上げます。
 この取りまとめの中で,BT人材育成元年との提言をいただいておりまして,政府としてもこの施策の充実に努めてまいりたいと思います。
 今後,この方向で更に検討を深め,本年12月のバイオテクノロジー戦略大綱の取りまとめに向けまして,起草委員の方々をはじめ,さらなるご尽力をお願いしたいと思います。ノーベル賞同時2人というこの契機を生かして,日本も世界に遅れを取らないようにBT戦略に努力していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

(5)閉会
○岸本座長 それでは,これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。



第3回BT戦略会議 出席者

(政府側)
小泉純一郎内閣総理大臣
福田 康夫内閣官房長官
細田 博之科学技術政策担当大臣
遠山 敦子文部科学大臣
坂口 力厚生労働大臣
大島 理森農林水産大臣(北村 直人 農林水産副大臣が代理出席)
平沼 赳夫経済産業大臣
鈴木 俊一環境大臣
安倍 晋三内閣官房副長官(政務・衆)
上野 公成内閣官房副長官(政務・参)
古川貞二郎内閣官房副長官(事務)

(委員)
岸本 忠三座長・大阪大学総長
新井 賢一東京大学医科学研究所所長
伊丹 敬之一橋大学大学院商学研究科教授
井村 裕夫総合科学技術会議議員
歌田 勝弘日本バイオ産業人会議世話人代表・味の素株式会社相談役
大石 道夫財団法人かずさディー・エヌ・エー研究所所長
庄山 悦彦(社)日本経済団体連合会産業技術委員会委員長・
(株)日立製作所代表取締役社長
杉山 達夫理化学研究所植物科学研究センター長
寺田 雅昭国立がんセンター名誉総長
平田  正協和発酵工業株式会社代表取締役社長
藤山 朗日本製薬団体連合会会長・藤沢薬品工業株式会社代表取締役会長
三保谷智子女子栄養大学出版部「栄養と料理」編集長