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第7回BT戦略会議 議事録


1 日 時 : 平成17年3月15日(火)17:30〜18:30

2 場 所 : 内閣総理大臣官邸 大会議室

3 出 席 者 : 【別紙】

4 議事内容 :


(1)開会

○岸本座長 それでは、ただいまから「BT戦略会議」第7回会合を開催いたします。御多忙のところ、御参集いただきましてありがとうございます。
 バイオテクノロジー戦略大綱が皆様の御尽力によりとりまとめられましてから2年、前回第6回「BT戦略会議」で最初のフォローアップを行ってから1年が経過いたしました。 本日は前回のBT会議以降の大綱の進捗状況について御報告をいただきたいと思っております。
 その後にその報告を踏まえまして、委員の皆様から大綱の実施状況につきまして、御意見を伺いたいと思います。
 また、その後で最後にバイオテクノロジーに関する最近の研究の進展について理解を深めていただくために、研究者御自身から研究成果を紹介していただくことになっております。
 それでは、まずバイオテクノロジー戦略大綱の実施状況につきまして、各府省全体をまとめて、棚橋大臣から御報告をお願いいたします。


(2)「バイオテクノロジー戦略大綱」の実施状況について

○科学技術政策担当大臣 それでは、バイオテクノロジー戦略大綱の実施状況について御報告をいたします。
 資料1−1「バイオテクノロジー戦略大綱詳細行動計画への取組」をごらんをいただければと思います。
 平成14年12月にバイオテクノロジー戦略大綱が策定されましてから、現在に至る約2年の間、ヒトゲノム配列の解読完了を始めとして、急速な発展を続けておりますが、私どもといたしましても、刻々と変化する新しい情勢を見極めつつ、大綱の戦略に沿った行動計画の推進に努力してまいりました。
 1ページがバイオテクノロジー戦略大綱の詳細行動計画実施状況でございます。昨年1月20日の第6回「BT戦略会議」におけるフォローアップ以降、ヒト胚の取扱いに関する基本的な考え方のとりまとめや、あるいは優先順位付けのすべてチェックなどの実施など幾つか大きな動きがございました。
 今回は前回以降の「BT戦略大綱」の進捗状況を御報告いたします。
 委員の先生方には活発な御議論をいただければと思いますと同時に、第3期科学技術基本計画の策定に向けた御意見もございましたら、参考にさせていただきたいと思っております。
 2ページ「進捗状況評価の深化」でございます。
 昨年の第6回「BT戦略会議」では、進捗状況の評価が3段階でございました。より深化すべきという御指摘を賜りましたので、そこで今回は5段階評価といたしまして、より進捗状況がわかりやすいやり方を採用いたしました。「具体例」をごらんいただければと思います。2ページの下の方でございます。
 昨年は実施に着手したばかり印象のものが、今年は具体的に成果を上げつつあることがおわかりいただけると思います。
 3ページ「詳細行動計画の進捗状況」でございます。
 全体としては「200 の詳細行動計画」の中、昨年と比べ、完了が3つ増えまして15。実施中が2つ減って185 、未実施が1から0となりました。また、深掘りいたしました実施中の185 の内訳は、終盤32、中盤142 、序盤11となっておりまして、全体的に詳細行動計画は着実に推進していると考えています。
 4ページ、各戦略ごとに見ていただければと思いまして、「戦略1」でございます。「研究開発の圧倒的充実」というところでございますが、BT関係の研究予算は増加しております。中盤では世界の最先端を行くポストゲノム研究の成果として、本日プレゼンテーションのあるSARSに対する薬の候補の発見。
 たけが低く倒れにくいコシヒカリの開発などがなされております。
 5ページ「詳細行動計画の進捗状況(戦略2)−産業化プロセスの抜本的強化−」ということで、3つの戦略のうち、最も完了が多くございまして、完了と終盤を合わせると38%を占めております。これら完了と終盤の内訳を見ていただきますと、税制。知財関連規定。ベンチャー企業の創業支援のための、いわゆるエンジェル税制の実施などの制度面の整備が多く、産業化に向けた制度面の整備が着実に推進されていることが示されています。 6ページ「詳細行動計画の進捗状況(戦略3)−国民理解の徹底的浸透−」という観点から、「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」の意見具申など、終盤のものが多いのですが、これらの内訳は体制整備のようなものが多く、国民理解に向けた詳細行動計画の下では、遺伝子組換え作物に関する情報発信など、終盤に位置するものが多く、実際の国民理解には達成感いまひとつの部分がございます。
 7ページ、前回の「BT戦略会議」で委員の先生方から、総合科学技術会議の司令塔機能を強化すべきとの御意見を賜りましたが、平成17年度より科学技術連携施策群というものをスタートさせていただきましたが、これは各府省の縦割施策に横串を通すという観点から、国家的・社会的に重要であり、関係府省の連携の下に推進すべきテーマを定めて積極的に推進していくものでございます。全部で8テーマございますが、BT分野といたしましては、ここにございますように、ポストゲノム、新興・再興感染症、バイオマス利活用、ナノバイオの4テーマが選ばれております。
 8ページ、BT戦略大綱詳細行動計画が順調に進捗している中で、どのようなことが実現されるのか。20世紀型の技術では解決が不可能であった制約を、BTの技術で打ち破って、よりよく生きる、よりよく食べる、よりよく暮らす、この3つの目標。
 さらには世界への貢献、国際競争力の向上の実現に向けて一層努力してまいりたいと思っております。
 以上でございます。

○岸本座長 ありがとうございました。
 続きまして、以上のようなBT戦略大綱の推進による最近の成果を3つ、インフルエンザウイルスを抑える糖タンパク質、先般総合科学技術会議でも御紹介いたしました花粉症緩和米、そして「愛・地球博」で使われます生分解性プラスチックについて、手短に御紹介をお願いいたしたいと思います。
 それでは、中川経済産業大臣お願いいたします。

○経済産業大臣 うまく説明できるかどうかわかりませんが、これがインフルエンザウイルスでございます。今年は大流行いたしましたが、何型がはやるかよくわからなかったのですが、結果的にB型だったということで、B型に対応するワクチンが非常に足りなかったということがアメリカもそうでしたけれども、日本でも今、インフルエンザ大流行ということでございます。
 ワクチンをつくるには、半年から1年かかる。しかも、A型ならA型、B型ならB型、香港、スペイン、ソ連、それぞれのワクチンをつくらないと効かないということでございます。このインフルエンザは資料1−2の経済産業省の5ページを見ていただきたいと思います。30分前に勉強したのですが、インフルエンザウイルスというものが細胞に感染をして、感染するときに糖タンパクという、糖鎖というものでございますけれども、糖タンパクとつながって、ヒトの細胞にくっ付いて、感染をして、次々と食べていくということが、インフルエンザウイルスが人間の中で高熱を出したり、場合によっては命まで落とすということにつながります。この糖タンパクという分子が無限につながっていくというものを、前のページでございますけれども、産業技術総合研究所並びに北海道大学の西村先生という糖鎖工学の第一人者の方がいらっしゃいますが、島津製作所、日立グループ等で共同開発をいたしまして、人工的に糖鎖をつくって、インフルエンザウイルスの、さきほど聞いた説明では口というたとえでありましたが、人間の細胞にくっ付くところに「ぺったりと」とくっ付けると、口をふさいでしまうので、細胞にくっ付かない。それによってインフルエンザに移らない。
 しかも、この機械を使うと、1、2週間でできる。これはあくまでもインフルエンザでございますが、がん、リウマチ、アレルギー、水虫、何でもウイルスの口のところに合うようなものを、この糖鎖の形でつくることができますから、ぺたっとくっつくものをつくると水虫にもならないし、リウマチも治るし、インフルエンザウイルスも退治できるということが、今日のメインは実はこれではなくて、この糖鎖自動合成装置というものを初めて産学官連携でできたということでございます。
 以上であります。

○岸本座長 どうもありがございました。30分前にしては非常にわかりやすく御説明いただきまして、どうもありがとうございました。水虫やリウマチまできくかどうかわかりませんけれども、インフルエンザには非常に効くのではないかと思います。
 それでは、次に常田農林水産副大臣、お願いいたします。

○農林水産副大臣 昨年12月、我が国主導の10の国と地域で構成した国際コンソーシアムが、イネゲノム塩基配列を完全解読いたしましたことは、御案内のとおりであります。そのうち日本が55%解読したということであります。
 本日、こうしたイネゲノム研究の成果の1つとして、遺伝子組換え技術を用いて開発したスギ花粉症緩和米を総理の目の前に置かしていただいております。お盆の中にお米の入ったシャーレが2つあると思います。
 1つは、スギ花粉症緩和米。
 もう一つは、遺伝子組換えを行う前の米であります。このいずれも北海道のキタアケという種類でありますけれども、遺伝子組換えを行ったものにはコシヒカリも日本晴も既にございます。
 スギ花粉症緩和米でありますけれども、スギ花粉症の原因物質の一部を導入していることから、一定期間食べ続けることにより、スギ花粉を食物と認識して、アレルギー反応を抑えることが期待されております。現在、実用化に向けて必要な研究データの収集を進めているところであります。
 資料2−1の5ページ左側に「スギ花粉症緩和米」という項がありますけれども、マウスを用いた研究の結果、くしゃみの回数が約3分の1から4分の1に減っているということであります。
 この技術はスギ花粉症だけではなくて、いろいろ応用できるということで、今後ともこの技術を生かしてまいりたいと思っております。積極的に推進してまいりたいと思っております。
 以上でございます。


(3)意見交換

○岸本座長 ありがとうございました。この前も本会議で遺伝子組換え作物に対してアレルギーがあるけれども、アレルギーでアレルギーを治すと申し上げたんですけれども、それでは、次にバイオ産業人会議の歌田世話人代表からお願いします。

○歌田委員 お手元にありますプラスチックでございますけれども、これは今月25日から開かれます愛知万博、愛と地球環境博で使用されるわけでございます。これは生分解性プラスチックということでございまして、こういう食器、皿とかいろんなものがつくれますが、それが万博に12レストランができるらしいですが、そこでみんな使うということで、役2,000 万点ほど用意してございます。
 これは経済産業省さんから委託を受けて、我々の協会がつくっておるようでございますけれども、あちこちで今、化学会社、あるいはトヨタ自動車などもやっておりますが、そこで再生可能な資源ということで、もともとこれは植物、特にでん粉などの原料でつくるわけですが、簡単に自然に戻すことができるということで、地球環境にもやさしいわけでございます。
 こういうことでこれを大いに使っていただくことによって、国民の理解が深まるということも期待したいと思いますので、是非政府のグリーン調達にも使っていただきたいと思っております。
 以上です。

○岸本座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの実施状況の御報告を踏まえまして、BT戦略推進のこれまでの成果を委員の先生方はどのようにとらえておれるか。今後さらに推進すべき点は何かといったようなことにつきまして、有識者委員の皆様からの御意見、御感想をお願いいたしたいと思います。
 時間の関係がございますので、誠に恐縮ではございますけれども、1人2分以内くらいで手短にお願いし、できますれば後の方で議論をいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず新井委員から御発言をお願いいたします。

○新井委員 私は行動計画が成果を上げているという認識に立って、さらに6つの課題を指摘したいと思います。
 内容については、別紙に述べましたので細かくは見ていただければと思います。
 第1点は、統合的・融合的研究体制を推進するということであります。実施状況一覧では、全体が向かっている方向が見えにくいので、計画実施の今後の中盤から後期に当たっては、魚を切り身にするのではなくて、新たな産業と医療を育てるという明確な出口に向けて計画を横につなぐ仕組みが不可欠であろうと考えます。これが第1点。
 第2点は、個人を評価するボトムアップの研究体制を充実することです。すぐれた個人研究のシーズによりトップダウン型の戦略プロジェクトも活きてきます。本来、個人責任のボトムアップの研究と表裏一体であるべき、競争的資金が増加したことは前進です。しかし、日本ではボトムアップの研究が未成熟であるので、競争的資金の大部分がニーズに基づくトップダウン型プロジェクトに投入されております。
 このままではトップダウンだけのボトムレスな仕組みに陥る危険があると感じております。
 第3点目は、アジアに開かれた国際ネットワークの推進であります。欧米では日本人の研究リーダーが非常に減少しておりますが、国内では外国人と女性研究者が先進国に比べて圧倒的に少ないという現実があります。こうした内弁慶な日本の研究者の姿勢というものは、急速に発展しつつある中国やシンガポールなど、アジアの国々とも際立つ相違であります。 シンガポールのBioPolisには約30近い国々の研究者が集積し、中国は北米の膨大な中国人研究者プールを活用し、頭脳還流のウミガメ政策を推進しています。
 多国間ネットワークにより、アジア太平洋など、世界でライフサイエンスとバイオ産業のリーダーシップを取れる人材の育成が急務であると思います。
 第4点目は、効率的な創薬プラットホームですがこれと並んで、第5点目は、個人医療に応える医療の推進です。これらはゲノム科学を始めとする生命科学の進展により、医薬品開発と先端医療をめぐる環境が大量生産の規格医療だけではなく、オーダーメイドの個人医療に変化しつつあることに対応しています。
 規格医療の最終的な製品化の担い手は製薬企業でございましたが、遺伝子治療、細胞治療などは従来の製薬企業とは異なる事業形態が必要です。そのためにも臨床開発ベンチャー、製薬企業、CRO、研究者、医師、クリニック等の協力により個人ニーズに基づく新規医療のためのトランスレーショナル・リサーチのプラットホームを構築することが必要だと思います。これらについては、図に示しておきました。
 最後の第6点目は、研究のリサーチのRという段階を担うベンチャーとともに、開発のDという段階に担うベンチャーを支援することであります。
 一連の施策により、大学シーズの実用化に向けた初期研究、Rを担う多くのベンチャーが誕生しましたが、公的資金やベンチャー・キャピタルの資金に支えられるベンチャーは創設から3、4年を経過しまして、Rから開発、D段階への移行に伴う資金調達で多くの障害に直面しております。
 創薬分野では、製薬企業との提携の困難、多くのベンチャー・キャピタルが後期臨床開発のみを投資対象とするなど、ベンチャーの成功例が輩出したシリコンバレーでの25年前とは環境が激変しております。
 このままでは資金枯渇により、門出した多くのベンチャーがR段階で息切れする可能性が高いと思われます。RからDを担うベンチャーを支援し、新産業を興す上で、BT戦略大綱にまとめられた行動計画と国家資金投入は必要条件であっても、十分条件ではないと思います。
 国家投資によるインフラ整備を基盤にして、内外から民間資金が集まるマーケットインの環境をつくることが重要であろうと考えております。
 以上でございます。

○岸本座長 ありがとうございました。
 次に井村委員お願いします。

○井村委員 BT戦略大綱により、私はバイオテクノロジーの入口の研究は大変進んだと思っております。このあとタンパクの話がありますし、先ほどからインフルエンザウイルスへの薬、あるいは新しい米の話がありました。しかし、それらは最終的に出口として健常人や患者を対象として、その効果を証明しないと生きてこないわけであります。 この基礎研究の成果を実際臨床にいかす研究、これを橋渡し研究と呼んでおりますが、それはどうしてかと言いますと、基礎研究と臨床研究の間には、なかなか超え難いいろんな障害がある。それを魔の川とよく言うわけですが、その魔の川に橋を架けないと、なかなか臨床へ行かない。そこのところが実は大変で、日本では遅れているというのは大きな問題です。これは薬にしても、医療機器にしても、すべてそのとおりであります。
 この橋渡し研究、英語ではトランスレーショナル・リサーチと言いますが、これを進めるために幾つかの提言をしたいと思います。
 1つは、出口の実際に人間に応用するところの研究費はまだまだ少ない状態であります。ここをこれから増やしていかないと、せっかくのいい研究がいきてこないと思います。  2番目には、人材が不足しております。特に生物統計が臨床研究では非常に必要になりますが、生物統計家は日本では大変数が少ない。
 データ・マネージャーも必要です。臨床のデータを全部コンピュータで処理していくということが必要でありますが、そういう人材も不足しております。
 3番目に、規制緩和、これはかなり進んでおりますが、まだ一層これを進めていくことは重要でありまして、是非厚生労働大臣にお願いをしたいと思います。
 例えば臨床研究をするときの特定療養費制度の条件の緩和。
 高度先進医療の要件緩和はまだまだ現場から見ると不十分であるという声が強うございます。
 それから、大学病院の経営がこれから大変心配であります。日本の大学病院は医師も看護婦も欧米に比べて数が少ないわけです。その上に実は高度医療の点数は決していいとは言えません。そのためにどの大学病院も赤字の危機に直面しております。これ以上大学病院の経営が困難になりますと、いろんな臨床研究をすることが難しくなると思っておりますので、この辺は是非調査をしていただいて、適切な対策を考えていくことが重要ではないかと思います。
 以上です。

○岸本座長 ありがとうございました。それでは歌田委員お願いします。

○歌田委員 産業人会議の歌田でございますが、バイオ戦略大綱を策定されまして、2年余りになりますが、その間、政府各省において非常に積極的におやりいただいていることについては、まず感謝を申し上げたいと思います。
 今日は私から2点、お願いを申し上げたいと思います。
 1つは、国民理解への国としての総合的取組みという問題でございます。戦略大綱には3本の柱があるわけであります、研究開発と、それから産業化プロセス、3番目に国民理解。この国民理解という3番目のが一番進み方が悪いのではないかと思っております。
 点ではあるんでありますけれども、それを線にし、面にするという点が必要でございます。具体的な内容につきましは、お手元に資料としてお配りしてございますが、教育問題を含めまして、国の総合計画の下に目標をしっかり定めて中長期、短期の対策を産官学が連携して取り組むということが重要だと思います。
 そういう意味で、たとえばBT戦略会議の下に専門組織を設置して、国全体として推進したらよいと思っております。
 ちなみに今北海道におきましては、道議会で遺伝子組換え農産物の栽培について規制をしよう。犯した場合には懲罰規定もつくろうという条例案が今、議会にかかっております。これなども、いろいろ御説明を受けておりますけれども、道民の不安感というものが、安全というのはわかっているけれども、不安というものがあるということで、それに対しての対応策だと考えておりますが、この辺を是非風評被害ということについても善処する必要があると思います。
 2番目には、BTを第3期の科学技術基本計画の重点と位置づけていただきたいということでございます。
 今、ちょうど政府におかれましては、この点を検討なされておると伺っておりますが、BTについては、高齢者社会に対応した国民の健康向上、それから先月発効されまた地球温暖化京都議定書の国際公約達成、その両方から不可欠な国民生活基本技術であると存じております。
 そういうことが第2期に続きまして、この重点分野に是非推進をしていただきたいということでございます。
 その内容を一部申し上げますと、1つは、健康に関して、予防に関連する研究にもっと力を入れていただきたいということでございます。健康寿命の延伸、あるいは国民医療費増加の抑制とか、バイオ産業創造という一石三鳥ということもあるわけでございます。
 2番目で、京都議定書に対しましては、既存の省エネ技術の延長だけでは対応には限界があるというふうに思いますので、我々はグリーンバイオ戦略と呼んでおりますけれども、産業構造自体を変換して、原料からプロセスから、そして製品、3つのバイオ転換を推進することが必要だと思います。
 3つ目にはイノベーション政策であります。科学技術を実用化して、産業競争力に結び付ける研究と、そのためのインフラ整備、生物資源とか医食連携、バイオ特許、標準と、そのためのインフラ整備をしていただきたいということでございます。
 以上でございます。

○岸本座長 もう時間が超過してきておりますので、大石委員。

○大石委員 では簡単に申します。
 2年少し前からこのバイオテクノロジー戦略大綱ができまして、日本も非常にバイオテクノロジーがいい形で進んできたということは結構だと思うんですけれども、私が懸念することは、2つございます。
 簡単に申しますと、例えば中国、あるいはアジアの諸国、私は中国にも何回も行っているんですけれども、日本以上にバイオテクノロジーに力を入れているということで、現在のところ我々の方が少しは進んでいますけれども、数年後には必ずしも楽観を許さないというのは現状でございます。
 中国だけではございません。韓国、シンガポール。シンガポールは非常に国の国是としてバイオ戦略を打ち立てている。台湾とか、最近はインドとか、今まではそういうことがなかったところでも、バイオテクノロジーを国の戦略の中心に持ってきているということは、非常に私は気になるところでございます。
 1つ日本の違いは、例えば中国などは、日本は科学に興味を持たすとか、そういう形で教育をしているんですけれども、向こうはどうやって優秀な人を育てるかと。国の将来を支えるためには、優秀なバイオテクノロジーの科学者をどうやって育てているかということが中心でございます。
 日本はどっちかというと、興味を持たせて中から出てくればいいと言うんですけれども、向こうは全く違った方向でございまして、例えば中国などは外国から出ていった人を非常に高給を持って呼び戻している。我々もその点はすこし戦略的にこれからのやり方を考えなければ、いろいろこれからのアジア諸国の追撃と言いますか、我々の分野ではかなり競争していますので、そういう面では非常に厳しいところがあるのではないかと。そのことを一言申し上げておきます。

○岸本座長 どうもありがとうございました。庄山委員お願いします。

○庄山委員 日本経団連の庄山でございます。お手元に3項書いてございますが、1番を省略しまして、2番の研究開発投資の成果を国民に還元していくということにおきましては、この目指すべき政策目標をきちんと立てて、その実現のために必要な重要技術に対しまし、集中的に投資を行うべきだという考えでございます。
 ここにありますような環境保護と経済発展の両立を可能とするために、環境適合、経済性、安定供給の3つの観点から、優先度の高いバイオ技術をクリティカル・テクノロジーとして認定して、集中投資を行うべきではないかということであります。
 3番目は、政府の研究開発投資の一定割合は必ず国民の理解増進、あるいは科学技術の社会に与える影響の研究などに使うべきということでありまして、そのためには、数値目標を設定して、進めていくべきではないかという考え方でございます。
 以上でございます。

○岸本座長 どうもありがとうございました。杉山委員、お願いします。

○杉山委員 2分以内ということですので、私はピンポイントでお話をさせていただきます。
 先ほども担当大臣の方から御説明がありましたように、遺伝子組換えの植物について、私の考えではおおむねこの大綱というのは順調に進みつつあると思いますけれども、先ほど歌田委員が指摘されましたように、国民的な理解というのが一番課題を抱えていることだと思います。
 ピンポイント的に申し上げますと、今いろんな施策が計画されておりますけれども、研究者と府省横断的な形で、いわゆる官というものが、それぞれ何をこの問題に対して対処すべきかという基本線をできるだけ早くディスカスできる場を具体的に図っていただきたいと思います。
 ちょうどタイムリーでありまして、研究者側にはこの機運が熟していきていると思います。
 ごく最近ですけれども、日本の主要な植物関連学会、6学会がこういったスタンスで国に協力をしたいということでアピールを出しております。
 そういった形でバイオテクノロジー、技術開発としてここまで進んできております。これの先を考えると、リミテーションはそこにあると思いますので、是非これは実現させていただきたいと思います。
 以上でございます。

○岸本座長 ありがとうございました。寺田委員、お願いします。

○寺田委員 戦略大綱はスムーズに進んでいると思います。1つ気になるのは、ヒトゲノムの解析の話は終わったということで、これからいよいよ地図ができたところで、これから実際に役に立つものが出てくるときですから、研究推進を緩めないように是非お願いしたい。
 それから、生命科学推進には国民の支持が必要です。例えば、BSEとか鳥インフルエンザの問題、非常に国民が脅威に感じています。リスク自身はそれほど大きくないんだけれども皆さん心配されています。そこのコミュニケーションがどうもうまくいかない。私共の食品安全委員会で47都道府県、50か所を2か月くらいで回ってきましたけれども、どうもぴんと来ないです。
 そこは皆さんと同じで、リスクをどうわかっていただくか。ゼロリスクはなくて、現代の科学のベストでこんなものだということを何とかして、一生懸命私どもも努力いたしますけれども、いろんな方がいろんな立場でやっていただきたいと思っております。
 以上です。

○岸本座長 ありがとうございました。平田委員、お願いします。

○平田委員 これまで進めてきたプロジェクトから、一番の成果の1つとして、情報というものがあると思うんです。今回、私は3つほど提言したわけですけれども、その中でバイオ情報産業化コンソーシアムの会長もしていますので、バイオ情報のナショナル・センター化ということ1点に絞ってお話させていただきたいと思います。
 御案内のように、ミレニアムプロジェクトを始め、いろんなプロジェクトからさまざまな、しかも非常に膨大な情報が出てまいっております。この中には、日本が本当に世界に誇るべき情報のデータベースがございます。
 例えば昨年H-invitational というものを発表したわけですけれども、これは皆様方もゲノム解析では日本はたった6%しか貢献していないということで、敗北感を味わっているわけですけれども、実は本当に意味のある遺伝子情報というのは、タンパクをつくる遺伝子でして、これの完全長cDNAについて日本は、60%という非常な貢献をしているわけです。この強みを生かして、実は昨年世界にイニシアチブを取ってこういうヒト遺伝子の非常に網羅的で有用なデータベースをつくったわけです。ですから、今、データベースというのをアメリカのNCBIとか、ヨーロッパのEBIに一方的に、どっちかと言うとただ乗り的に依存している状態なわけです。ここには、いろいろなリスクがあるわけでそれを避けるためにも、是非我が国が誇るべきデータヘースを元にしたナショナル・センターをつくっていただきたい。ちょうど棚橋大臣が先ほど連携施策群ということを申されたので、私は非常にいいテーマではないかと思います。是非総合科学技術会議の中で推進のためのプロジェクトを具体的につくられて、是非世界に誇るべきデータベースのナショナル・センター化というものを是非考えていただきたいと思います。
 以上でございます。

○岸本座長 非常に重要な点だと思います。
 藤山委員、お願いします。

○藤山委員 現行の科学技術基本計画におきましても、ライフサイエンスというものを最重点分野として取り上げていただいてでおるわけでございますが、このBT戦略会議におきましても、よく生きるということで、健康ということを重点に取り上げていただいておりますし、引き続き次の科学技術基本計画におきましても、ライフサイエンスは重点分野として取り上げていただきたい。
 私どもの意見書に書きました具体的な3項目を挙げましたけれども、第1項目と第2項目につきましては、先ほど井村先生の方からも具体的にお話をいただいたこととほとんど重複いたしますので、この点につきましては、井村先生にカバーしていただいたということで省かせていただきます。
 第3項目に人材育成の問題のちょっと具体的な問題を取り挙げましたので、これについてだけ説明をさせていただきますが、この人材育成の強化に取り組むべきことは既に大綱でも大きく取り上げていただいているわけですが、医薬品産業の立場から申しますと、私どもの産業の国際競争力を決めるのは研究開発力であります。医薬品産業の研究開発を支えている人材の最大の供給源は薬学の大学院なんでありますが、今回、薬学教育の6年制移行ということが決定をいたしました。大きな変化でございます。
 ただ、今回の改正におきましては、専ら薬剤師教育の充実というところだけに議論が集中しているという感じを強く持っておりまして、薬学教育のもう一つの重要な役割でありますところの医薬品、あるいはバイオテクノロジーの研究者、技術者の養成という側面がどうも議論から飛んでしまっているのではないかという懸念を持っております。
 薬学部の大学院修了者の最大の就職先というのは現に製薬産業の研究開発部門でございまして、最近のバイオサイエンスの進歩によりまして、我々はますます多様な人材を必要としているわけでございますので、研究者の人材育成という面もさらに一層の御配慮をお願いしたいとお願いしておきます。

○岸本座長 ありがとうございました。
 三保谷委員、お願いいたします。

○三保谷委員 研究成果を臨床と日常生活にいかすには、何よりも国民の理解が整っていないために受け入れらにくいというのが皆様が懸念されることだと思います。
 例えば、BSEとか鳥インフルエンザに関しては、かなりセンセーショナルなニュースで、確率にしてはかなり低いのにこれほどみんなが話題にするのは、やはりメディアの取り上げ方とか、説明者の誠意とか、足りない部分がたくさんあるのだと思います。 一方国民にしてみれば、今は困っていません。多くの人は食べることも教育も、子育てですら人任せにしてしまような、人任せにする考え方がとても多いと思います。そこを根本からどうにかしなくてはというところに国民理解の徹底的浸透の解決策があると思います。
 例えば各府省のインターネットの情報発信やセミナー、講習会はありますが、本当に限られた関心のある人しアクセスしませんし、行きもしません。
 ですから、内容は優れていてもわかりやすく継続的に伝える方法は何かを考えなければいけません。それは一つに、良識あるメディアを味方に付けて、継続的に行うということです。とっかかりとしては、先ほどの花粉症緩和米の話題はビッグニュースだと思います。そして日常生活に取り入れられるように是非人間でのデータはどうかという研究を進めていただきたいと思います。
 以上でございます。

○岸本座長 ありがとうございました。
 それぞれの先生方から、それぞれ非常に重要な点に関しまして、非常にコンパクトにわかりやすく御意見をお述べいただきました。お陰様で時間が少し余裕ができてきておりますので、どなたからでも結構ですから、御意見をお伺いできればと思います。

○文部科学副大臣 文部科学省の関係について発言させてもらいます。
 文部科学省ではヒトゲノムの完全解読や病気に関連する遺伝子の研究といったバイオテクノロジーの基盤となる重要な研究開発、鳥インフルエンザなどの新たな脅威に関する研究といった社会のニーズに対応した研究開発に現在積極的に取り組んでいるところであります。本日紹介する世界最高水準のタンパク質の構造、機能解析研究もその1つでありまして、多くの国民が苦しんでいる花粉症についても、新たなワクチン開発などを進めているという状況であります。
 ライフサイエンスに関しましては、我が国が世界をリードしている研究も多いわけですが、その有意性をいかすとともに、貴重な成果の実用化を進め、国民に還元していくため、本分野への研究開発をより一層強化することが必要と考えております。
 以上でございます。

○岸本座長 ありがとうございます。

○厚生労働大臣 厚生労働省でございますが、今日、資料も出してございますが、そのことについては御説明は申し上げません。一言申し上げしますと、ライフサイエンス分野については、特に国民の期待が高く、また、有識者の評価が高い分野でございまして、バイオテクノロジー等を活用して、科学技術の推進を図ることが重要だと考えております。
 例えば再生医療の分野でございますけれども、人間の角膜だとか皮膚とか骨、歯などを再生するといったことが既に行われておりますし、将来的にはヒトの臓器を再生させて、移植するということも決して夢物語ではございません。
 また、近年、バイオテクノロジーを活用した医薬品等も出てきておりまして、短時間で測定できますSARSの検査キットや、C型肝炎の治療薬であるインターフェロンなどがバイオテクノロジーを活用して開発されたところでございます。
 しかしながら、再生医療に限らずこうした成果を実現させるためには、今一歩の支援を必要としておるものも数多くございます。このため、例えば医薬品、医療機器の研究開発等につきましては、この4月から新たに独立行政法人医薬基盤研究所を設置して、創薬を加速する基盤的技術の開発と実用化に向けた研究支援等を行うこととしておりまして、引き続き国民が科学技術の進歩の成果を享受し、実感できるようにライフサイエンスのさらなる推進に努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○岸本座長 どうもありがとうございました。

○環境副大臣 環境省ですが、簡単に意見を述べたいと思います。
 環境というのが経済社会の1つの座標軸になってきているということでありまして、どなたからお話がありましたように、環境の保全と経済発展の両立を図るという好循環をつくっていくことが非常に重要であり、そのためのバイオテクノロジーの開発が重要であろうと思います。
 もう一つは、京都議定書の発効に伴いまして、温暖化社会と循環型社会を構築するという中で、例えばバイオマス、これは商品に高い付加価値を与えますし、GDPの経済指標を押し上げる効果もあると思います。
 1つ懸念されるのは、遺伝子組換え生物等が生物多様性に悪影響を与えないかどうかということが我々の若干の懸念でもあります。

○岸本座長 ありがとうございました。
 それでは、時間が来ております。今日は非常にいろいろ有意義な御意見をお伺いいたしました。総理の御配慮もありまして、バイオテクノロジー、ライフサイエンスの分野の予算も順調に伸びておりまして、先ほど紹介のありましたような、日本が世界に誇るような研究も次々と出てきております。
 一番重要なことの1つは、このバイオテクノロジーというのは、国民に理解をしていただかなければ、なかなかうまく進まないという点は今、御意見をお伺いしたところでありまして、そういうことに関しての努力をしていかなければならないと思います。
 それから、デーダベースをさらに充実していくとか、トランスレーショナル・リサーチを進めるために規制のあり方であるとかいうことも重要なものであろうと思います。
 この前の本会議でも総理が申されましたけれども、環境の保全と産業の活性化の両立という面では、このバイオというのは非常に重要な部分を占めているものでもありまして、今日お伺いいたしましたいろいろな御意見を踏まえて、第3期科学技術基本計画などにもつなげていけるようにしたいと考えております。
 最後に2つほど最近の進歩について、研究者の方々から御紹介をお願いいたしたいと思います。
 その前にプレスにも入室をお願いしたいと思います。

(報道関係者入室)

○内閣総理大臣 生ごみが消えるというのもバイオですか。

○文部科学副大臣 はい バイオテクノロジーを利用して発酵してメタンにすることができます。

○内閣総理大臣 花粉症緩和米を食べると、本当に花粉症は治るのですか。

○岸本座長 マウスではくしゃみが減ったということで、これからヒトでやっていただくということになると思います。そうすると、問題はこれは食品なのか薬なのかという問題が厚生労働省の方から問題提起されるということになります。

○内閣総理大臣 花粉症については、今は、いい薬があるので、地道に花粉症緩和米を毎日食べるよりも、面倒がすくないし、すぐに症状が改善する薬を飲む方が楽なのではないですか。

○岸本座長 今の薬は、対症療法的に症状を抑えているのです、一方、花粉症緩和米は、アレルギー反応そのものを弱くしていこうという、試みなのです。
 対症療法薬は瞬間的な反応は抑えるけれども、アレルギーの根治にはつながらないのです。

○内閣総理大臣 毎日長い間食べると、どうしも、何か副作用があるのではないかと心配になる。たとえ症状を抑えるだけでも、食べ続けるよりいいのではないかと私なんかは考えるけど。

○井村委員 今、総理がおっしゃったように、安全性はきちんと評価しないといけないが、なかなか難しい。今のところ残念ながら1回でぽんと治すことはできず、連続的に食べないと恐らく効果はないだろうと思います。

○岸本座長 今、使っておられる抗アレルギー剤、これは平田委員のところのもありますけれども、これはそのときの症状を抑えるのには非常に効果的ですが、病気を治す根本的なということは、少しずつアレルギー原に体を慣らしてゆく、こういう体質改善といった地道な取り組みも必要になってくると思います。
 それでは、まず理化学研究所ゲノム化学総合研究センターの横山茂之さんにお願いします。
 (資料5−1 1ページ目をスクリーンに投射)


(4)研究者による研究成果発表

○横山氏(説明者) 横山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日は私たちのプロジェクトの成果のお話しをさせていただく機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
 (資料5−1 2ページ目をスクリーンに投射)
 このプロジェクトはタンパク3000プロジェクトと申しまして、平成14年度に開始して、全国に9センターを設置して、オール・ジャパンで研究を進めているものです。
 タンパク質の形を見て、働きを知るというプロジェクトでございます。
 (資料5−1 3ページ目をスクリーンに投射)
 タンパク質の形というのは、コンピュータで描いたものですが、上の方の右側が、言ってみれば皮が付いた表面の形をしております。左側が骨の部分、骨格を書いたものですが、手で言えば、手の骨格と手の表面というふうになります。
 人の手の働きが、手、特有の形によってもたらされているように、タンパク質の働きというためにも、タンパク質の形が最も大事になります。
 (資料5−1 3ページ目をスクリーンに投射)
 タンパク質は非常に小さいものですので、見るためには特別の仕組みが必要で、世界に先駆けて、世界最大、最強のシステムを日本は備えております。これは西播磨のSPring−8、それと理化学研究所横浜研究所のNMRという施設は、世界で一番強力な施設になっております。こういう先見の明を持って、こういう施設を整備する。これは一朝一夕にはできませんが、それを十分に用意してきたことで、ポストゲノムのいろんな開発の中で非常にいい成果を上げております。
 (資料5−1 4ページ目をスクリーンに投射)
 現在まで2年半ほどの間に1,600 を超える構造を決めました。これはその1例なんですけれども、この一番右側にあります丸いものが、お手元にある小さなカードの表面に印刷してあります。タンパク質は中に非常に美しいものもありまして、この形が働きと対応している。このタンパク質はヒトの遺伝子に付いた傷を治す働きをしております。
 このタンパク質の数は1,600 と言いましたが、アメリカの同様のプロジェクトは5年間に八百数十と報告されています。今、アメリカを大きく引き離して日本が世界一になっています。
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 タンパク質は非常にたくさんの働きがあります。ありとあらゆる生命現象の主役と言っても間違っていないと思うのですが、例えば酸素を運ぶとか、鉄をためる、そういういろんな機能をしています。それが集まって体ができているわけですけれども、その正常な機能が損なわれると病気になるということがしばしばあります。正常な細胞を車にたとえますと、その正常な細胞ではアクセル役とかブレーキ役のタンパク質が幾つもいまして、細胞が増え過ぎたりしない。
 ところが、それらのタンパク質の中に暴走するもの、働きをしないものがありますと、細胞は車が暴走するようにがんになる。
 このタンパク質の研究というのは、このように形を見ることができるようになりましたので、今後はライフサイエンスのいろいろなところで基本的な仕組みを明らかするばかりではなくて、病気を治療する薬の開発をする、そういうところにも非常に役に立っていくということが期待できます。
 (資料5−1 6ページ目をスクリーンに投射)
 パワーポイントから離れて、ムービーでお示ししますが、今日タンパク3000の成果として、例えばSARSを引き起こすウイルスを止める薬の開発というものを御説明いたします。
 ここに示しましたタンパク質は、ウイルスの増殖に必須のものでありまして、ウイルスの体をつくるときの部品を切り離して、使えるようにするというのが役割です。このタンパク質の形が、言ってみれば、はさみのように働くんですが、はさみの歯に当たる部分がここであります。この黄色い○で囲んだところでちょんと切るわけですが、ちょうどそこにぴったりはまる化合物を見つけますと、はさみに挟まれて切れなくなります。そのためにウイルスの部品は未完成のままでウイルスは増殖することができなくなります。
 こういう化合物をどうやって見つけるかということですが、私たちはコンピュータによる高速のスクリーニングによってこの化合物を見つけます。100 万件を含むデータベースから化合物を取り出します。ここにぴったりはまるかどうかを見ますと、ここに示しましたように、ぴったりはまるものがあります。それを全部調べて見つけ出しまして、約百三十の化合物がここにぴったりはまる可能性があるということを推定しました。
 実際にこれらの化合物をウイルスに効くかどうか見つけなくてはいけないので、細胞を使いまして、ウイルスに効くかどうか、これは医科歯科大学と感染症研究所の山本先生、森川先生と共同研究でそれを調べました。実際にここに示しました化合物が今までのものよりもずっとよく効いて、毒性が低いということを発見しました。
 (資料5−1 7ページ目をスクリーンに投射)
 今は化合物の探索ということですけれども、さらにタンパク質の構造を用いまして、もっといいものにできるか。そういう研究を進め、動物を使った実験を進めております。 今後は医学の研究者、あるいは製薬企業との連携をますます強めまして、研究を進めていきたい。これによってさまざまな新興・再興の感染症やがん、糖尿病、アレルギー、そういうようなものにも役に立っていきたいと考えております。
 以上です。

○岸本座長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、株式会社植物ゲノムセンター、美濃部侑三社長にお願いいたします。
 (資料5−2 1ページ目をスクリーンに投射)

○美濃部氏(説明者) 植物ゲノムセンターの美濃部侑三と申します。
 本日はイネゲノム解析技術の成果を利用しまして、開発したイネの品種と、その開発技術につきまして、御説明したいと思います。
 ここにお持ちましたイネは、遺伝子組換えで作成したものではなくて、従来の方法に基づきまして、外来イネとコシヒカリをかけ合わせまして、効率的な選抜方法を用いて、わずか2、3年の間にここまで持ってきたものでございます。
 (資料5−2 1ページ目をスクリーンに投射)
 1991年に第1期のイネゲノム解析プログラムが国家プロジェクトとして開始されたときに、私は初代のチームリーダーとしてその指揮に当たりましたが、その後退官いたしまして、2000年に株式会社植物ゲノムセンターを設立いたしました。この会社はゲノム解析の成果を企業化することを目的にしておりまして、2002年に小泉総理によりまして、イネゲノムの解読の終了宣言が行われましたけれども、その成果を利用し、活用しまして、2年後にこのような品種をつくることに成功いたしました。
 向こう側にありますのが、短稈のイネでして、昨年、暴風や台風が日本国土を襲いましたけれども、その中で倒れにくいということで注目を浴びている品種です。
 (資料5−2 3ページ目をスクリーンに投射)
 ゲノムとは生物固有の全DNAのことを言うわけですけれども、私たちが開発したゲノム育種法というのは、ゲノムの全域にマーカーを設置いたしまして、そのマーカーを目標にして選抜していくという方法です。
 葉から抽出したDNAを直ちに解析しまして、苗の段階で優良な品種を選抜することができますので、温室の中で促成栽培することで年3回の交配することと組み合わせて、これまで10年以上かかってきた育種を2、3年くらいの短期間で完成できるようになりました。
 これは今までの勘と経験に頼る育種法を科学的な手法に一変させまして、新しいニーズに直ちに応えられるような状態にしたわけです。
 (資料5−2 4ページ目をスクリーンに投射)
 これは選抜のほとんど後期です。4期目ということですから、ほとんど1年後にもうこういう状態になっております。グリーンで示しているところは、既にコシヒカリに置き換わっておりまして、赤い部分が外来イネからもたらされた、倒れにくい、背の低い形質の遺伝子です。
 このような方法によりまして、北海道の気候に対応した早生の品種である北海道型のイネの作出も進めておりまして、こちらに示すのがそのサンプルです。
 (資料5−2 5ページ目をスクリーンに投射)
 この写真は、一昨年、弊社の圃場におきまして、栽培試験をしました。背の低いコシヒカリ、短稈コシヒカリとコシヒカリの間が10cmほど違う。風にも倒れにくいということで、しかも食味の点におきましても、すぐれているということがわかりました。
 この食味検定は外部にお願いしましたところ、魚沼のコシヒカリに匹敵する良食味という評価を得ておりまして、今年から市場に登場することになっております。
 ゲノム解析の成果から開発された世界最初の商品です。
 簡単に植物の方を御説明いたしたいと思います。
 稈長というのは根元から首のところまでの長さですけれども、見ていただければ明らかですけれども、背が低くなっております。
 今日のためにちょうどいいころ合いになるように育ててきました。
 こちらはまだ開発途上のものではありますけれども、北海道型のコシヒカリを目指しております。北海道は気候のせいで早く開花しないと収量が確保できないため、通常のコシヒカリよりも1か月から20日くらいは早く開花することが望ましいのです。
 そのような性質をもつ、北海道のイネに関する遺伝子の解析をして、その部分を組み込む形を取りました。これもやはり外来イネとの交配によってつくられたものですけれども、ここに見られますように、これは北海道型の稲は既に開花しております。こちらのコシヒカリは全く花芽もできておりませんので、恐らく1か月近く後れて開花するものと思います。
 どうもありがとうございました。

○岸本座長 非常に興味あるイネをお示しいただきました。

○内閣総理大臣 こうして実物をみると、10cm位では大して高さは違わないと思うけれども、効果は違うのですか。

○美濃部氏 これだけで倒れません。

○内閣総理大臣 がんに関する説明もあったが、ほかのいい細胞を殺さないでがん細胞だけに効くという薬がもうできたのですか。

○岸本座長 抗ガン剤に関する研究は今、非常に進んでいます。

○内閣総理大臣 いい細胞を壊さないで、本当の悪いがん細胞だけを壊すのですか。

○岸本座長 そうです。
 それでは、どうもいろいろ興味ある研究結果をお示しいただきまして、ありがとうございました。
 最後に小泉総理から御発言をいただきたいと思います。


(5)内閣総理大臣ご挨拶

○内閣総理大臣 専門家の方から、科学的な最先端の話を聞きました。難しい話なので完全に理解できたか自信がありませんが、何かよさそうだとことはよくわかりました。科学技術は、医学のみならず、環境保護と経済再生、発展、両立できるような大きな鍵を握っているものですのでどんどん進めて頂きたい。先生方におかれては、これからもよろしく御指導、御鞭撻をお願いしたいと思います。政府としても一生懸命取り組んでいきたいと思います。
 ありがとうございました。

○岸本座長 どうもありがとうございました。
それでは、プレスは退室してください。

(報道関係者退室)


(6)閉会

○岸本座長 予定の時間がまいりましたので、本日の会合をこれで閉会いたしたいと思います。
 なお、今後の予定でありますけれども、引き続きこの会議を適時開催いたしまして、戦略大綱の実施状況を確認し、BT戦略の積極的推進を図ってまいりたいと思います。
 会議開催の時期等につきましては、私と事務局で相談の上、皆様に御連絡させていただきたいと思います。委員の皆様には今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
 本日の会合の内容につきましては、前回までと同様、会合終了後に私から記者発表をさせていただきます。
 本日は御多忙のところ誠にありがとうございました。





第7回BT戦略会議 出席者

(政府側)
小泉純一郎内閣総理大臣
細田 博之内閣官房長官
棚橋 泰文科学技術政策担当大臣
中山 成彬文部科学大臣
(小島 敏男 文部科学副大臣が代理出席)
尾辻 秀久厚生労働大臣
島村 宜伸農林水産大臣
(常田 享詳 農林水産副大臣が代理出席)
中川 昭一経済産業大臣
小池百合子環境大臣
(高野 博師 環境副大臣が代理出席)
杉浦 正健 内閣官房副長官(政務・衆)
山崎 正昭内閣官房副長官(政務・参)
二橋 正弘内閣官房副長官(事務)

(委員)
岸本 忠三座長・総合科学技術会議議員
新井 賢一東京大学医科学研究所教授 研究顧問
伊丹 敬之一橋大学大学院商学研究科教授
井村 裕夫科学技術振興機構顧問
歌田 勝弘味の素株式会社特別顧問
大石 道夫財団法人かずさディー・エヌ・エー研究所所長
庄山 悦彦(株)日立製作所代表取締役社長
杉山 達夫理化学研究所植物科学研究センター長
寺田 雅昭内閣府食品安全委員会委員長
平田  正協和発酵工業株式会社代表取締役会長
藤山  朗藤沢薬品工業株式会社代表取締役会長
三保谷智子女子栄養大学出版部「栄養と料理」編集長