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バイオテクノロジー
戦 略 大 綱



−三つの戦略が切り開く
「生きる」、「食べる」、「暮らす」の向上−


平成14年12月6日
BT戦略会議




目 次

第一部 総論

<序>

第一章 なぜバイオテクノロジー戦略が必要か

  1. BTは21世紀の人間の生活に巨大な変革をもたらす
  2. BTを巡る国家間競争はますます激化している
  3. BTの国民経済へのインパクトは極めて大きい
  4. いかに優れた技術であっても、安全の確保と国民からの信頼なくしては、産業化・実用化もおぼつかない

第二章 BTを巡る国際的状況はどうなっているか

  1. 研究開発状況
  2. 人材供給状況
  3. バイオベンチャー企業の現状

第三章 大きな跳躍を目指した三つの戦略

戦略1 研究開発の圧倒的充実
 −いつも世界の一歩先の研究に力を尽くす−
  1. 研究開発予算の充実・強化
  2. 研究開発促進のための体制整備
  3. 研究開発のターゲット

戦略2 産業化プロセスの抜本的強化
 −BTの成果を国民全体が享受するために産業化のプロセスを確固たるものにする−
  1. 産業化のインセンティブの抜本的改革
  2. 産業化に向けた各主体の能力の大幅強化
  3. 事業環境の整備

戦略3 国民理解の徹底的浸透
 −国民が適切に判断し、選択できるシステムを作る−
  1. 情報の開示と提供の充実
  2. 安全・倫理に対する政府の強固な姿勢を国民に提示
  3. 学校教育、社会教育等の充実

第四章 三つの戦略の実施により実現される社会

  1. 健康と長寿の達成(よりよく生きる)
  2. 食料安全性、機能性の向上(よりよく食べる)
  3. 持続可能な快適社会の実現(よりよく暮らす)
  4. BT分野において、世界に貢献する日本
  5. 我が国産業の国際競争力の向上と新産業の創出

<エピローグ>

第二部 行動計画と未来像

第一章 行動計画

「バイオ行動計画2002」
―50の行動指針、88の基本行動計画、200の詳細行動計画によるBT戦略の強力な推進―

戦略1 研究開発の圧倒的充実

T.戦略1に関する分野横断的な事項に関する行動計画

  1. 研究開発予算の充実・強化
    [質・量ともに研究開発予算の充実・強化を図ります。]

  2. 研究開発促進のための体制整備
    [BTについての予算の配分方針及びその運営の企画、立案、総合調整に努め、関係各省の予算を有効に活用します。]
    [予算の優先順位付け、評価を適正に行います。]
    [効率的・効果的な研究開発の実行体制を実現します。]
    [BT関連分野での総合的な人材育成計画を策定、その実施推進を図るなど、BTを支える人材供給の抜本的充実を図ります。]
    [研究開発の基盤となる生物遺伝資源を資源所有国とも協力しながら、戦略的に整備します。]

  3. 研究開発のターゲット
    [重点的な研究開発は、目的を定め、計画的に促進していきます。]
    [今後、世界の中で競争力を有すると思われる分野に集中的に投資を行います。]
    [BTとIT、NT等異分野との連携を進め、BTに係る総合力を確保します。]
    [すべてのBT関連研究開発や産業の基盤となるバイオツール、バイオインフォマティクスに重点投資を進め、我が国のBTの底上げを図ります。]

U.戦略1に関する各分野の行動計画

【医療・健康分野(よりよく生きる)】

[個人の体質を遺伝子レベルで突き止め、疾病の予防、治療に活かします。−テイラーメイド医療の実現]
[失われた機能の再生を図るとともに、病気を遺伝子・細胞レベルで治療し、根本から治癒します。−再生医療・遺伝子治療・細胞治療の推進]
[BTを活用した画期的な新薬の開発のため、タンパク質の解析や医薬品の標的タンパク質の効率的な抽出を行います。]
[脳機能の解明を進め、精神・神経疾患の克服やこころの健康の実現に貢献します。また、脳機能を活用した画期的なコンピュータを開発します。]
[画期的な医療機器の開発により、病気の早期診断・短期回復を実現します。]
[健康食品を科学的根拠をもって分析し、有効性を解明し、食を健康につなげます。]

【食料分野(よりよく食べる)】

[BTにより、食料の生産、加工の効率化を図り、消費者に良質の食料を提供します。]
[BTにより、食の安全・安心を高めます。偽装表示問題にも一役買います。]
[BTにより、農林水産業の高度化を図り、新たな農林水産業を生み出します。]

【環境・エネルギー分野(よりよく暮らす)】

  1. 環境・エネルギー分野(バイオプロセスを除く)
    [BTで新エネルギーを生み出します。枯渇資源(化石燃料)からの脱却を図ります。]
    [BTを活用して、環境の保全、修復を図ります。]
  2. バイオプロセス分野
    [BTを活用して、画期的な新製品の開発と工業生産の抜本的効率化を図るとともに、生産に要する環境負荷を大幅に減少させます。]

戦略2 産業化プロセスの抜本的強化

T.戦略2に関する分野横断的な事項に関する行動計画

  1. 産業化のインセンティブの抜本的改革
    [研究開発の成果が正当に評価され、その評価に見合った収益が得られる仕組みを社会全体に行きわたらせます。]
    [民間の活力を最大限に引き出すため、民間における試験研究や設備投資を支援します。また、国際的な標準化を進めます。]

  2. 産業化に向けた各主体の能力の大幅強化
    [産業構造の転換を進め、BT関連企業、BT関連部門がその能力を最大限生かすことができる環境を作ります。]
    [BTに係る技術シーズを産業に橋渡しするベンチャー企業の活性化を図ります。]
    [大学・公的研究機関が技術シーズの供給役として活躍できるよう、産学官の連携を進めるとともに、発明者へのインセンティブを高めます。]

  3. 事業環境の整備
    [産学官が連携して研究できる研究開発基盤機能を整備します。]
    [BTの成果を迅速に国民全体が享受するために産業化・実用化への橋渡し体制を確固たるものにします。]
    [知的財産の創造、保護、活用の戦略的推進を図ります。]
    [BT産業の集積する拠点を整備し、地域からBT産業の競争力の強化を図ります。]

U.戦略2に関する各分野の行動計画

【医療・健康分野(よりよく生きる)】

[BTを活用した画期的な医薬品・医療機器開発へのインセンティブを高めます。]
[BTを活用した先端医療研究の成果が、実際の医療現場で早く、広く活用されるよう、研究開発と臨床との橋渡し体制を整備します。]

【食料分野(よりよく食べる)】

[BTを活用した農業・種苗産業の活性化を図ります。]
[食品産業の競争力強化や農業との連携を推進するため民間が行う実用化研究を支援します。]
[より分かりやすい食品表示への改善や保健機能食品の普及啓発を進めます。これにより価値に見合った価格が市場で形成されることも期待されます。]

【環境・エネルギー分野(よりよく暮らす)】

  1. 環境・エネルギー分野(バイオプロセスを除く)
    [環境と調和した持続的に発展可能な社会実現のために、循環可能な資源であるバイオマスの有効活用、円滑な導入のための措置を講じます。]
    [土壌などの環境修復事業に係る環境整備を進めます。]
  2. バイオプロセス分野
    [バイオプロセスの普及のためのインセンティブの充実を図ります。]
    [生分解性プラスチック等BT関連製品普及のための環境整備を図ります。]

戦略3 国民理解の徹底的浸透

T.戦略3に関する分野横断的な事項に関する行動計画

  1. 情報の開示と提供の充実
    [BTに関する双方向のコミュニケーションを各府省連携の下で充実・強化します。]

  2. 安全・倫理に対する政府の強固な姿勢を国民に提示
    [安全や生命 倫理に関する取組に万全を期し、その取組を国民に積極的に開示・提供します。]

  3. 学校教育、社会教育等の充実
    [国民が適切に判断し、選択できる環境を整備します。]

U.戦略3に関する各分野の行動計画

【医療・健康分野(よりよく生きる)】

[医薬品・医療機器に関する安全確保対策に万全を期します。]
[生命倫理に関し、徹底的な議論を尽くします。]
[個人遺伝情報の管理・利用のルール整備を進めます。]

【食料分野(よりよく食べる)】

[消費者の健康を最優先に、食品安全委員会(仮称)を設立する等食品の安全に関する組織の大幅な拡充を図るなど、食品の安全対策を大幅に強化します。]
[食品の安全性・機能性についての国民とのコミュニケーションを進めます。]

【環境・エネルギー分野(よりよく暮らす)】

[遺伝子改変生物の生物多様性の保全や環境への悪影響を防止します。]
[バイオマスとバイオプロセスの有用性を実際に体験できる場を設定します。]

今後のバイオテクノロジー戦略の進め方

第二章 未来像

 「バイオ経済社会ビジョン2002」
 −BTの成果を最大限享受する経済社会像−

  1. 健康・医療分野(よりよく生きる)
  2. 食料分野(よりよく食べる)
  3. 環境・エネルギー分野(よりよく暮らす)
    1. 環境・エネルギー分野(バイオプロセスを除く)
    2. バイオプロセス分野

参考1:出典・用語解説等
参考2:BT戦略会議の開催について(平成14年7月5日 内閣総理大臣決裁)
参考3:BT戦略会議の開催状況
索引
注)☆が付されている事項については出典等が、※が付されている事項については用語解説が、それぞれ巻末の参考1に掲載されている。

バイオテクノロジー戦略大綱

 −三つの戦略が切り開く
「生きる」、「食べる」、「暮らす」の向上−

 バイオテクノロジーは世界を一変させると我々は確信している。今、日本は何をなすべきか。本戦略は、そのメッセージである。

第一部 総 論

<序>

 20世紀は、エレクトロニクスの世紀であった。我が国はその科学技術の革命的発展をよく理解して適切な対応を諸方面で行い、その結果エレクトロニクス技術の利用で世界をリードすることに成功して、国民生活は豊かになり、エレクトロニクス産業は日本の最大の基幹産業として育った。
 21世紀は生命科学の世紀であり、バイオテクノロジー(以下「BT」という)の世紀である。BTの進歩は、人間生活の基本である「生きる」、「食べる」、「暮らす」の三場面のあり方を抜本的に変えるインパクトを持ち得る極めて大きな技術革新である。
 その技術革新と背後にある科学的進歩は、いま爆発的な勢いで世界中で進行中である。BTは、人類にとってその基本をなす「生命」についての科学的知見の革命的進歩から生まれてくる技術的成果であるために、そこから世界の誰もが予想もしていないような新しい技術、新しい産業が創出される可能性が極めて強い。既存の産業の技術基盤も巨大な影響を受けるであろう。
 だからこそ、世界各国がBTへの取組を大幅に強化している。我が国はその中で、既に優位を確立した状況になっているとは言い難い。むしろ、かなり遅れている面が多いと言わざるを得ない。今から総力を挙げてBTへの取組を国家レベルで強化しなければ、この21世紀最大の科学技術の進歩に我が国は取り残される危険がある。国民生活の充実に後れをとり、様々な産業の基盤が大きく崩される危険がある。その危険を直視しなければ、我が国の将来に大きな禍根を残すことになろう。
 本戦略会議は、BTの発展が21世紀最大の科学的成果となることを確信し、BTが世界の人間生活と産業を大きく変えることを深く認識する。その確信と認識ゆえに、安全や倫理などのBTへの懸念に対しては正面から対処しつつ、BTのめざましい発展の成果を国民生活の向上につなげ、技術立国をめざす日本の産業の発展につなげる必要性が極めて大きいことを強く主張したい。
 BTの進歩の世界的潮流は、極めて速いスピードで動いている。だからこそ、この5年から10年の間の取組が決定的な鍵を握っている。大きな飛躍を目指した迅速な取組を我が国全体として官民を挙げて実行するために、2010年を見据えた「バイオテクノロジー戦略大綱」を策定する。

第一章 なぜバイオテクノロジー戦略が必要か

 以下の四つの理由(国民生活、国家間競争、国民経済、安全・倫理)から、本戦略会議は、BT分野で日本政府が国家としての大きな戦略をもつことが必要不可欠と考える。

  1. BTは21世紀の人間の生活に巨大な変革をもたらす

     BTは、生命そのものに関する科学の劇的な進歩に基づく巨大な技術革新であるだけに、広範な分野で飛躍的な変革をもたらす力を有しており、また、これまでの技術、産業では解決できなかった課題を解決し、われわれの社会生活を抜本から変革する力を有している。
     それは、生きる(医療・健康)、食べる(食料)、暮らす(環境、エネルギー)という人間にとって極めて基礎的な分野で大きな影響を与えるであろう。また、20世紀に起きた様々な科学技術の進歩にもかかわらず、これら三つの分野で未だ重大な課題が山積している。BTは、この現状を打破する大きな潜在的な力をもっている。

    (1) BTは、健康と長寿に変革をもたらす

     BTは、誰もが求める健康への欲求に応えて、疾病の予防と健康の維持、疾病の治療に大きな貢献をする。例えば、ゲノム※創薬等を通じた適切な治療法を副作用を軽減しつつ広く提供できる可能性がある。また、健康寿命の延伸と生活の質の向上がBT応用医療から期待できる。そうした変革は、医療に要する費用を従来の技術では可能でなかったような形で軽減することを可能にし、結果として医療資源の適正な利用につながるものである。

    (2) BTは、食料供給に変革をもたらす

     BTは、これまでの品種の改良、栽培技術の改良等の取組では限界があった低コスト、高品質・高機能、良食味な食料の生産を実現する力を有している。それによって、我が国の食料自給率の向上にも大きく貢献する力を有している。さらに、国民の関心の高い食品の品質や安全性についても、簡便・確実に判定できる技術の開発が期待できる。

    (3) BTは、環境・エネルギーに変革をもたらす

     BTは、バイオプロセス※やバイオマス※の利用技術を大きく発展させ、それによって環境負荷を大きく低減できる生産技術の確立やエネルギー源の確保が期待できる。それは、化石資源(枯渇資源)依存からの脱却の道でもある。また、山林や農地に関しても厳しい林業環境、農業環境の下、手入れが不十分な山林や遊休化する農地が増加しているが、これらをバイオマスエネルギーやバイオ製品の供給拠点として転換できる可能性がある。

  2. BTを巡る国家間競争はますます激化している

     こうした巨大な変革が期待できる技術進歩であるだけに、BTを発展させようとして国家間の競争が激化している。その競争で、決して日本はこれまで大きな優位を築いてきたわけではない。むしろ、欧米、とくにアメリカに対しては後れをとっている面がかなり多いと言わざるを得ない。

     政府のBT関連予算の投入状況を見ても、日米の予算制度・行政制度が異なるため単純には比較できないものの、米国にかなり後れを取っていると思われる。米国では、医療・健康分野を所管するNIH(国立健康研究所)だけで日本のライフサイエンス予算の7倍以上の研究開発費を政府として投入している。
     欧州でも、「欧州のための戦略」☆を既に策定するなどBTへの取組に力を入れている。また、アジアにおいても、シンガポールにおいて「バイオインダストリー21計画」に基づき、戦略的な施策展開がされるなど、各国は積極的な政策を展開している。
     また、技術進歩のための国家間競争ばかりではなく、BT技術の応用の基礎となる有用な遺伝子の囲い込み競争もまた、激化している。例えば、ヒトの遺伝子の数はもちろん有限であり、多くの植物・微生物などの遺伝子もまた有限である。そうした有限の遺伝子資源について、基本特許の網が様々な形でかけられようとしている。特許獲得で後れを取れば、その国の国民生活にも産業の国際競争力にも、将来、大きな影響が生ずることは避けられない。それを認識している各国の間で、国際的な特許獲得競争の様相を呈している。

  3. BTの国民経済へのインパクトは極めて大きい

    (1) BTは、経済活動に変革をもたらす

     BTを応用することによって、新しい産業分野が将来勃興するであろうし、また既存の産業分野も例えば医薬品産業のように、その技術的基盤が根本的影響を受ける産業も少なくないであろう。今後、BTが社会経済に与えるインパクトの大きさを考えると、それぞれのBT関連産業で日本が将来にわたり高い国際競争力を保持していくことは、我が国産業にとって極めて重要である。
     また、BTは、様々な製品の製造プロセス、生産に対する考え方を根本から変換する力を有しており、その活用の成否が国際的な産業競争力の強化に大きく影響する。
     さらに、BTにより、再生可能資源エネルギーの活用が進み、化石燃料の依存からの脱却が可能となり、持続的な経済成長と、それに伴う雇用の安定が期待される。

    (2) BTは、良質な新規産業と新規雇用を創出する

     我が国の2001年(平成13年)におけるBT関連産業の市場規模は1.3兆円と推計されている。2010年(平成22年)においては、それが25兆円程度に成長することを展望して環境整備を目指すこととされており、今後大幅な市場拡大が期待される。また、世界に目を転ずると、現在の市場規模で、米国3兆円強、欧州2兆円弱と見込まれ、2005年(平成18年)の時点で欧州は12兆円、2010年の時点で世界全体は230兆円、2025年(平成38年)の時点で米国は300兆円市場に成長するとの予測もある。☆ 
     また、BTに関連した新規雇用効果として、2010年までに100万人超が期待され(現状(平成11年実績推計)6.9万人)、さらに、非バイオ産業への雇用誘発効果として60万人超が期待される。☆ 
     BT関連産業は知識集約型かつ省資源型の産業であり、また高度な技術の集積のある国でこそ発展できる産業である。さらに、高付加価値型の産業であり、高収入の雇用も期待できる。それは、技術立国を目指す日本の将来像に実に適合した産業である。

  4. いかに優れた技術であっても、安全の確保と国民からの信頼なくしては、産業化・実用化もおぼつかない

     BT関連製品・サービスには、医薬品や食品など直接人体に摂取されるもの、植物・動物・微生物等環境に放出されるものなどがあり、人の健康や環境への影響の防止の観点で安全性の確保が不可欠である。
     BTの発展には、産業への応用技術開発とその安全確保が車の両輪であり、BTの応用が進められる際に、これに対応して安全情報の収集や科学的分析、評価などの安全確保対策とその充実のための基盤の確立に取り組んでいくことが必要である。
     一方、確たるルールの確立のないまま、研究開発が先行している側面もあり、クローン人間の生成、個人遺伝情報の取扱いなど、倫理面での課題について国民の関心も高まってきている。
     このため、国民の目線に立って、適正な対応を行うとともに、国民理解を浸透させるための取組を不断に行っていくことが必要である。

第二章 BTを巡る国際的状況はどうなっているか

 BTを巡る国際的状況をごく短く概観すれば、以下のとおりである。

  1. 研究開発状況

     米国では、大統領自らがライフサイエンス分野の重点化計画の推進役となっている。1998年以降、NIH予算の倍増計画を進め、2003会計年度で達成見込みであり、同年度に約3.3兆円(273億ドル)を投入予定である。一方、我が国のライフサイエンス予算は、4,400億円程度(平成14年度)であり、単純比較はできないが、この二つの数字の比率を見る限り、我が国の政府研究開発予算は米国の7分の1以下の比率となっている。
     また、世界で出願されたバイオ特許の国籍シェアをみると、米国52%、欧州21%、日本20%である。(出願年が平成2年〜平成10年を対象に調査したもの)。最近では、中国からの出願が急増しているとのデータもあり、我が国は厳しい状況に置かれている。☆

  2. 人材供給状況

     BTを担う人材の供給状況を見ても、我が国の状況は厳しいと思われる。大学、大学院等の制度が異なるため日米の単純な比較はできないものの、我が国のBT関係学位の取得者数を生物学・薬学に限定して見た場合、学士10,914人、修士2,607人、博士476人となっている。また、これに医学、農芸化学を加えてみた場合、学士20,987人、修士3,154人、博士3,373人となっている。一方、米国の学位(Biological science)では、学士(Bachelors) 67,112人、修士(Masters)6,368人、博士(Doctors) 5,854人となっている。(以上平成10年)。☆
     この日米の格差は大きく、例えば生物学・薬学に限定した場合の我が国における学士レベルの絶対数は米国のBiological scienceの学士数の6分の1以下となっている。米国の全人口が日本の2倍強であることを考えると、国民一人あたりで我が国は米国の3分の1以下の人材供給しか行っていないことになる。

  3. バイオベンチャー企業の現状

     バイオ産業の担い手の大きな部分がベンチャー企業だと言われる。我が国のバイオベンチャー企業数は、平成14年年春には累計で約300社まで拡大してきてはいるが、しかし米国の水準にははるかに遅れている。
     また、バイオベンチャーに投資するベンチャーキャピタルのファンド額は 平成12年から平成13年まで急増し、540億円超☆のファンド額となっているが、現状ではその投資先の多くが海外企業であり、資金は実際には海外へ流出している状況となっている。

第三章 大きな跳躍を目指した三つの戦略

 第一章で述べたBTの重要性と第二章でみた現在の我が国のBTの現状を併せ考えると、我が国のBTは大きな跳躍をすることが求められていることが明白である。その跳躍のためには、我が国の官民を挙げての取組が不可欠である。
 その大きな跳躍を目指して取るべき戦略を、次の三つの分野に分けて提案したい。第一に、科学的進歩の極めて早いBT分野での技術シーズを供給する「研究開発」、第二に、その科学技術の成果の実用化を行って国民生活と国民経済に実際のメリットをもたらすための「産業化」、第三に、安全や倫理への対応が急務である新しい技術分野として、国民がその成果を受入れ、享受するための基盤となるBTへの「国民理解」である。この三つの分野での戦略が、どの分野も欠けることなくセットとして組み合わされて実行されることが肝要である。そして、目指すべき跳躍が極めて大きなものであるだけに、それぞれの分野において、大胆な戦略が必須である。

戦略1
 研究開発の圧倒的充実
 −いつも世界の一歩先の研究に力を尽くす−

 BTは研究開発の力が、それを実用化する力と直結しており、研究開発と実用化との距離が極めて近い特徴を持っている。したがって、BTの社会的な成果を確保するためには、研究者の自由な発想に基づく基礎研究と国家的・社会的課題に対応した実用化研究の双方の研究開発の充実が極めて重要となる。BT産業の競争力のみならず、BTの成果を国民が享受するためにも、研究開発を圧倒的に充実させることが不可欠である。

  1. 研究開発予算の充実・強化

     BTに関する研究開発費は、国際的に見ても見劣りがする規模である上に、競争力の強い米国は、BTに関する研究開発費を政府としてますます増額している状況にある。
     かかる状況の中では、我が国は研究開発費の圧倒的強化を図らなければ、研究水準の向上、産業競争力の強化を行うことは極めて困難と考えられる。
     政府研究開発予算の総額については、現状の日本でのBTの遅れを踏まえ、また、米国と日本のGDP比と研究開発費の関係(GDP比は米国:日本で2:1に対し、研究開発費は7:1程度(NIH予算と我が国のライフサイエンス予算の比較))、研究者1人当たりの研究開発予算額(米国:日本で3:1)、科学技術関係経費中のライフサイエンス予算の比率(米国で24.4%、日本で12.3%)等を勘案し、その充実・強化に努めることが必要であろう。
     具体的には、これまで、ライフサイエンス研究開発予算に関しては、平成7年度から平成12年度までの5年間で約2倍の増加を実現しているが、今後とも、そのペースの一層の向上に努め、BT予算の充実・強化を図っていく必要がある。適切な対応をしなければ、国家間の競争が激化していてかつ科学の進歩の早いBTでは、日本は大きな後れをとる危険が高い。
     その際、基礎研究の成果が実用的技術開発に直結しやすいBTの特徴を踏まえ、基礎研究について一層の充実・強化を図ることが重要である。
     もとより、予算の充実に当たっては、質の充実にも努めるとともに、施策の必要性を見極め、必要な整理、合理化、削減を行わなければならない。

  2. 研究開発促進のための体制整備

    (1) 戦略的な予算編成と効率的な執行

     研究開発費の充実は、もちろん基礎研究と応用研究のバランスを適切に取った上で、効果の高い分野に戦略的に予算を配分し、効率的に執行することが前提である。
     このため、研究開発や産業化支援の場において、関係各省庁の連携、役割分担を明確にし、より効果の高い事業展開を目指すこととする。そのため、我が国として重視すべき研究開発テーマを定め、各省の役割分担を明らかにした上で、重複のない予算運用のための調整、適切な評価ができるような評価プロセスの標準化などがきちんと行える実行体制を作ることがまず必要となる。
     さらに、予算の配分方針及びその運営の一体的な企画・立案・総合調整を行うことが重要である。そのために、一体的な企画・立案・総合調整を担い、BT全体の総合的な司令塔としての役割を果たす組織を新たに設けることについての検討に早急に着手すべきである。
     その際、米国のNIH、NSF(国立科学財団)や英国のMRC(医療研究会議)等の各種研究会議を十分に参考とし、我が国としてそれらの機能を実現することが重要である。
     例えば、総合科学技術会議にそうした組織を新設することも考えられるが、その組織が現行の様々な制度との関連の中でどのように位置づけられることが全体的に考えて望ましいか、考慮すべき現実的要因は多いと思われ、こうした点を踏まえ、検討を進める必要がある。

    (2) BTを支える人材供給の抜本的充実

     国全体としてのBTの研究開発活動を飛躍的に拡大するためには、予算の充実と一体的な企画・立案・総合調整ばかりでなく、その予算を使って効果的な研究開発活動を行う人材の供給を拡大することが一方で必要となる。
     また、既に現在行われている予測でも、BT産業においては2010年の時点で、全体で110万人を超える者が従事することが予想されている。この人材を良質に供給できるかどうか、すなわち、研究者や技術者が不足しないかどうかも懸念されるところである。
     こうしたBTに係る人材供給を質・量とも抜本的に充実させるため、大学院、大学におけるBT関連分野の人材養成機能を大幅に強化する必要がある。例えば、生物学・薬学分野の卒業者数を米国のBiological scienceの学士数と同程度の水準とするためには、近年の学位取得者数の伸び(生物学では昭和55年(1980年)から平成10年(1998年)の間で学士2.3倍、博士で2.4倍)を加速させ、現状の3倍とすることが必要となる。このような比較は、BT関連分野として何を含めるか等によって大きく異なってくると考えられるものの、我が国におけるBTに係る人材供給は十分ではないと言わざるを得ない。また、BT関連分野の人材の量的確保を進めるためには、産業界を含む関係者の総力を挙げた環境づくりが必要である。
     また、教育研究体制の強化のため、理学、工学、農学など個別に行われているBT関連の教育研究を集約して分野横断的に行うことや、生命科学に特化した教育研究体制の構築など、各大学等において、今後のBT関連人材を適切に養成し得る教育研究の展開を図ることも必要である。
     しかし、我が国のBT発展のためには、国内の人材供給のみでは限界があることも事実である。このため、我が国の研究者が国際的な研究機関での経験を積める機会を拡大するとともに、海外の一流の研究者と切磋琢磨できる交流の機会を拡大し、我が国の研究者の国際的なネットワークの拡大を図ることが必要である。また、海外で活躍する優秀な研究者・産業人を導入する、あるいは既に活躍している日本人研究者・産業人の国内回帰を促すことにより、我が国をBTに関する「国際競技場」とすることを目指すべきである。
     その際、優秀な頭脳が住みやすく、かつ開かれた研究評価や人事処遇面での新制度を通じて、研究や産業に従事しやすい環境を整備することが必要である。
     以上の取組を強力に推進することを政府として明らかにするため、平成 15年を「BT人材育成元年」と位置づけ、各種施策をより強力に推進する契機とする。

    (3) 生物遺伝資源の充実

     動植物・微生物、ヒト細胞・組織、遺伝子等の生物遺伝資源は、産業利用や研究上極めて有益であり、かつ有限であるためにその充実は国際的な競争の局面で極めて重要である。産業競争力の基盤を強化し、我が国としても権利を主張することを可能とするため、遺伝子情報を含む生物遺伝資源の収集・確保・提供に関係者一体となって取り組むべきと考える。
     その際、生物多様性条約の精神に則り、資源保有国との協調・協力関係の下での収集・確保・提供を実現することも重要である。

  3. 研究開発のターゲット

    (1) 日本の強みを活かした研究開発

     研究開発のターゲットとしては、欧米をはじめとする外国との差別化が必要である。また、BTでは、我が国が高い潜在能力を有しているにもかかわらず、総じて我が国が競争力に後れをとっている状況を踏まえ、今後、世界の中で競争力を有すると思われる分野に集中的に投資を行うべきである。
     特に重点投資の対象となるべき分野としては、医療・医薬品、微生物・バイオプロセス、機能性食品・農業バイオの三つがあげられる。BTの医療・医薬品分野への応用は既に大きな注目を集めているが、微生物・バイオプロセス、機能性食品・農業バイオの分野もまた大きな重点投資の対象となるべきことを強調したい。

    (医療・医薬品の分野)

    • 国民の健康の基盤であり、その重要性が高く、基盤的な分野として期待できることに加え、BTを活用した研究開発が積極的に行われている分野である。また、世界的に見て最も研究競争の激しい分野の一つであることから、我が国としても重点に取り組むべきである。
    • また、我が国は、完全長cDNA※、SNPs※、タンパク質、糖鎖※などの研究に強みを持っており、治療や予防に関する基礎研究部門でも国際的に競争しうる力を有している。さらに、我が国の製薬の国際競争力は近年強化されて来ている。
    • また、今後、臨床研究体制の整備が進めば、BTの医療・医薬品分野への実用化が急速に進むことが期待され、医薬品や医療機器など医療全体について、国際競争力の一層の向上が期待できる。

    (微生物・バイオプロセスの分野)

    • 様々な製品の製造プロセスについて、従来プロセスから微生物や酵素触媒を活用するバイオプロセスへの転換が進められている。そのインパクトは、エネルギーや生分解性プラスチックをはじめとして様々な物質の基礎生産技術としての位置づけを大きくする可能性が大である。
    • 我が国は、発酵技術などを中心に微生物や酵素を利用する分野で従来から極めて強い競争力を有している。最近25年間の世界における微生物関連特許取得数を見ても、その半数を我が国企業が有しており、将来も十分に競争力を確保しうると考えられる。

    (機能性食品、農業バイオ)

    • 機能性食品については我が国が世界に先駆けて様々な取組を実施し、競争力を有し、またそこでもBTの利用が大きな進歩をもたらす可能性が高い。市場としても、国民の健康志向の高まりなどから、今後も大幅な需要の拡大が見込まれる。
    • また、農業バイオは、農業生産の効率化をもたらすとともに、バイオプロセスの原料確保のためにも、また世界的な食料危機への長期的対策としても、極めて大きな重要性をもっている。さらに、遺伝資源、ゲノム解析、研究蓄積等の面においても、イネや昆虫(カイコ)を中心に日本がかなりの国際優位性を持っている分野もある。
    • さらに、いわゆるトレーサビリティ(追跡可能性)技術、病気の原因となり得る有害化学物質や毒素の検出技術などにより、食の信頼性の向上、安全性の向上にBT技術が大きく貢献することが期待される。

    (2) 融合分野の研究開発の推進

     BTにおいては、研究開発の面でも産業化・実用化の面でも、生命科学の知識のみでなく、ナノ技術(NT)や情報技術(IT)等の他の研究分野との連携が不可欠である。
     このため、今後の我が国のBT産業発展の鍵は、異分野との融合による総合力の確保であるとの強い認識の下、NTやITといった新規重要技術、産業との連携を進めていくべきである。
     また、我が国産業は、従来から、異分野の融合を得意としてきており、融合分野の研究を進めることは、我が国の得意とする事項をより伸ばすきっかけとなりうるであろう。
     このため、研究開発の実施に当たっては、これまで以上に融合分野の研究開発を意識したものとすべきである。BT−IT−NTの融合はもちろん、医学研究者と工学研究者との医工連携、医学研究者と農学研究者との医農連携など、学問分野の融合も強化していく必要がある。
     さらに、21世紀における我が国社会が抱える大きな問題の一つであるこころの健康やこころの発達についての対応を進めるためにも、先端的BTを活用した脳の研究と他分野との融合による取組が重要である。

    (3) バイオツール(機器、試薬、分析チップ等)、バイオインフォマティクスへの重点投資

     バイオツール※やバイオインフォマティクス※は、BTのマザーインダストリーとして、BTに関係するあらゆる産業の基盤となるものである。それはあたかも、機械産業の発展のためのマザーインダストリーとしての工作機械産業の位置づけに似ている。この産業は、事業黒字化までの期間が比較的短期間であり、国際標準化による世界市場の獲得も比較的容易といった特色がある。さらに、それ自身の産業規模はそれほど大きくないが、その波及効果が大きいことから、投入に対する費用対効果は大きく、資源の投入を重点的に行うべき分野である。
     しかしながら、日本のBTの研究開発現場では、解析機器、試薬、分析チップ、各種データベース等、研究開発において広く利用される製品・技術について、外国の製品を買う必要が多く、多額の資金を海外へ支払っているのが現状である。それは、政府が多額の研究資金を投じても、それが外国の競争力を強めることにもつながりかねず、憂慮される事態である。
     さらにBTにおいては、当面の間は、研究開発そのものが産業化への努力の主要な部分を占めることから、研究開発で多く用いるバイオツール・インフォマティクスについての競争力を高めることが、実は最終的な研究開発の成果を生み、かつ産業化するために重要であると考えられる。
     本分野は、製造技術の正確さ、エレクトロニクスや精密技術での国際競争力の高さ、融合分野における強みなど従来からの日本の産業の強みが生かせる分野でもある。また、BTの研究・応用分野は、今後の技術の進展に応じてめまぐるしく変化していくことが想定され、新分野でのバイオツール・インフォマティクスにおいて日本が主導権を握るために、本分野への重点投資は不可欠と考えられる。
     さらに、新しいバイオツール・インフォマティクスは、従来型の産業には見られない新しい形の産業の創出につながることが期待される。例えば、遺伝情報等を活用した予防・検査サービスなどを行う「予防健康サービス」や「健康情報ネットワーク産業」などの形成も期待されるところである。
     こうした多面的な貢献を考えると、ほとんどのBT関連の国の研究開発プロジェクトにおいて、バイオツールの開発、情報の整備を行うことを推進すべきである。

戦略2
 産業化プロセスの抜本的強化
 −BTの成果を国民全体が享受するために産業化のプロセスを確固たるものにする−

 BTの成果を速やかに国民生活の向上につなげるためには、産業化のプロセスが必須である。研究開発をすれば良いだけではない。また、産業化プロセスの強化は日本のBT関連産業の国際競争力向上にもつながり、新産業の創出や国民経済の活性化につなげるために、極めて重要である。

  1. 産業化のインセンティブの抜本的改革

     BTの成果を産業化する当事者は、最終的には企業であり産業である。彼らが十分な努力を産業化へ注入するために最も効果のあることは、リスクの大きな産業化が成功した際の経済的成果の大きさが確保されていることである。そのためには、開発される製品の価格インセンティブ、あるいは重要な原材料のコストインセンティブが確保されることが極めて重要である。その際、その価格が、国内外からの市場実勢からかけ離れることのないように、適正に設定されることが必要である。
     さらには、価格やコスト面以外でも、健康保険制度などの医療・健康に係る政策、食料・環境・エネルギー政策などの制度や運用について、その政策の目的との整合性を図りつつ、BTの革新を踏まえて、適時適切に見直すことも、産業化へのインセンティブとして重要である。
     すなわち、研究開発の成果が正当に評価され、その成果に見合った収益が得られる仕組みを社会全体に行きわたらせることが必要である。

    (1) BTに係る医薬品・医療機器の価格インセンティブの付与

     医薬品、医療機器の価格制度については、現行の価格制度がBTの応用のために必要となる巨額の開発投資に見合うだけの十分なインセンティブを与えていないとの懸念が産業界から表明されている。もちろん、この制度とその運用にこれまでに累次の改正が行われている努力を多とするものであるが、BT関連製品について、新技術の導入による医療費適正化の効果を勘案しつつ、必要な価格インセンティブが確保されるように価格制度あるいはその運用をさらに見直すこととする。

    (2) 機能性食品・農業バイオの育成を目指したインセンティブの付与

     健康の維持・促進に有効性のある食品や作物については、消費者が他の食品や産品と差別化が容易にできるよう有効性について分かりやすい表示を行う等により、価値に見合った価格が市場で形成されるよう配慮する。
     農業バイオでのBTの応用は新しい品種の開発という形をとることも多いと思われるが、種苗産業でのBT応用が円滑に行われるように、様々な奨励策を検討する。具体的には、新品種開発者の知的財産権保護体制の整備も必要で、特に、権利侵害に対し、差止めや損害賠償をしやすい環境を整備するため、侵害判定を支援する体制の整備を行う。また、民間育成品種の奨励品種への採用が促進されるよう運用の見直しを行う。

    (3) バイオプロセス利用製品・バイオマスエネルギー普及のためのインセンティブの付与

     BTを利用した製品、バイオマスエネルギーについて、地球温暖化対策の推進、化石燃料依存からの脱却を進める観点から、その普及のためのインセンティブの付与を図る。例えば、バイオプロセスの導入の促進を図るための支援措置のあり方を検討する。
     バイオプロセスに投入する植物由来の原料の供給に関しては、新市場を創出するものは、その制度の運用プロセスの弾力化に向けて見直しを行う。
     バイオマス資源の収集・変換コストを低くするために効率的な収集体制を確立することについて検討する。ただし、廃棄物系のバイオマスを扱う場合には、収集・変換に伴うバイオマスの飛散や汚水・ダイオキシン等の発生、不法投棄問題等に対応した体制を確立する必要がある。

    (4) 産業化のための制度、ルール等の整備

     BTの革新に対応するためには、技術の進展を踏まえて、関連する制度やその運用の見直し、新しい制度の創設を適時適切に行うことが重要である。
     このため、審査体制の充実や新分野における関連ルールの明確化、新しい技術のリスクに対応したルール整備など、新しい技術の産業化を促進するための制度のあり方を積極的に検討し、実行に移していくべきである。

  2. 産業化に向けた各主体の能力の大幅強化

    (1) 大規模企業の創出と大企業の経営資源を活かしたバイオ関連産業の強化

     我が国の場合、BT関連に限らず様々な産業で大企業に人材、資金、技術等の経営資源が多く存在している。したがって、その大企業の経営資源を活用して、BT関連企業の育成を図ることは、日本の潜在能力を大きく伸ばすことにつながるものである。
     他方、市場のグローバル化が進む中で、産業の大規模投資(特に、最終の生産段階、世界的な販売段階)が必要な局面も多くなっており、それを実行できるだけの力を備えた世界的に競争力を有し、世界市場において活躍できる大規模企業などのリーダー企業の登場が、産業化の中心的な担い手の一翼として望まれる。特に、BT関連産業の中で過小規模の企業が多いと思われる分野では、それが産業化基盤の強化策として重要である。
     こうした産業の望ましい将来像の具体的姿は産業によって異なると思われるが、政府はBT関連産業の将来像をそれぞれの分野で、世界的な競争力や新産業、新事業の多様な発展形態を踏まえ、明確に示すべきである。併せて、大規模企業の創出を図る等産業再編を促すため、企業の合併、買収を円滑にする法制度のさらなる整備に取り組むべきである。

    (2) ベンチャー企業の活性化

     BTの場合、独自性のあるアイディアや発明により、大型の商品、ビジネスのきっかけとなる例は数多く、そのアイディアや発明は企業規模に関わりなく生まれてきている。一方、多様なベンチャーキャピタルと潤沢なベンチャー向け資金が存在する米国とは異なり、我が国では、ベンチャー企業が単独で世界市場の中で活躍することは、多額の資金を要するBT分野では極めて困難である。
     このため、我が国は、アメリカにおけるベンチャー企業のビジネスモデルを単純に模倣することなく、我が国の特性を活かしたベンチャーの起業が望まれる。具体的には、他の大企業や研究者とのネットワークの中で、実用化研究を進め、また、知的財産の獲得・活用を実践するなど、研究開発と産業化の橋渡しを行うことを我が国のベンチャー企業の主な使命、特性と考えることができる。また、我が国の場合は、(1)で述べたとおり、BT関連産業の大企業がベンチャーキャピタリストや市場における資金調達の役割を担う場合もあることに留意すべきである。このため、上記の特性を活かしたベンチャーの起業がより活性化するよう政策展開を進めるべきである。
     したがって、大企業からのバイオ関連企業の切り分けや大企業からベンチャー企業への出資の円滑化を図ることもまた、ベンチャー活性化のために必要となるであろう。

    (3) 技術シーズの供給役としての大学・公的研究機関等

     大学をはじめとする研究機関の本来の役割は科学を極め、自由な発想の創出を行うことであり、それが中心的役割となることは、科学と産業との距離が短いと言われるBT分野でも変わりはない。その科学の探求を全力を上げて行い、国際的にも高い評価を受けることを日本の大学にはまず第一に要請すべきである。それが、BTの産業化基盤の強化のために大学が果たせる最大の役割であると考える。
     他方、大学が生み出す技術シーズを産業化へと進化させるプロセスにも大学はきちんとした役割を果たすべきであり、その橋渡し機能の充実を図るべきである。そのためには、産業界のニーズを大学や公的研究機関に開陳する工夫も重要である。
     現在、大学発のベンチャーが各分野で注目を浴びているが、単に技術力が高いだけの安易な起業は、技術にとっても、産業にとっても不幸な結果をもたらす危険が大きい。BTの場合、知識のシーズとしての大学、研究者と知識を実際のビジネスに活用する経営者との連携・役割分担を今一度明確にすることが特に重要と考えられる。
     また、大学のみならず、国公立・独立行政法人の研究機関も、企業との研究交流を密にし、その技術シーズの産業への提供に努めるべきである。

  3. 事業環境の整備

    (1) 研究開発と産業を結ぶ研究開発基盤機能の整備

     様々なプレーヤーがBTの産業化をしようとする際に、多くの知識を共通利用でき、また、研究と産業化を結ぶネットワーク化の円滑化に資するよう、研究開発基盤機能を整備すべきである。
     BTの世界的研究開発競争の一つの大きな鍵は、コンピュータの活用の仕方である。また、研究や産業に利用される多種多様なデータベースに関しては、それらを統合して扱う「司令塔」の存在が重要であり、国内の統括組織の充実を早急に実現すべきである。併せて、高度コンピューティング共同利用環境の整備も重要と考えられる。

    (2) 技術と産業・実用化の現場を結ぶ橋渡し体制の整備

     BTの研究開発成果の充実も重要であるが、それを社会が十分に享受するための仕組みを構築することも極めて重要である。
     BTの場合、特に研究開発と産業応用との関係が近いとの特性を有しており、また、長期かつ多額の投資を必要とする研究開発が多いことから、基盤的研究の実施に当たっては、研究テーマの選定や評価について産業界の意見を反映するとともに、早い段階から産学官が連携する等産業化を視野に入れることが重要である。

    @ 医療・健康分野における橋渡し体制の整備

     医療・医薬品の分野での我が国の基礎研究の水準は、概して高く、大学や研究機関においても、将来の実用化や産業化に大きく貢献する技術の開発、発明が進められている。その一方、これら高い水準の技術を産業化するための体制整備が十分には進んでいない現状にある。
     このため、基礎研究成果を臨床にまでつなげるための橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)等臨床研究推進のための体制整備、あるいは医薬品・医療機器開発における治験体制の整備を図るべきである。
     また、臨床研究を促進するために、大学等の臨床研究センターの整備や、臨床に関する人材育成、臨床研究を業績として適切に評価することなどが必要である。
     さらに、新しく開発されたものについて、医療保険制度における価値の迅速かつ適正な評価の推進が不可欠である。
     また、スピードとコストにおいて国際競争力を欠く我が国の治験については、その活性化のための計画立案と改善に向けた取組が必要である。また、高度なBT医薬品・医療機器の審査に適切に対応できる審査体制の整備を図るべきである。

    A 食料分野、環境・エネルギー分野における橋渡し体制の整備

     食料分野、環境・エネルギー分野に関しても、国の研究プロジェクトや企業の研究開発が進展しつつある。その一方、研究開発の成果を実用化につなげる体制(場所の確保、ルール設定、人材育成)が課題となっている。
     特に、環境に悪影響を及ぼさないことを確保するための開放系の実証試験(開放された体系の中で行うもの。新品種の栽培や環境修復技術などが代表的な例)に関しては、科学的なリスク評価と適切な管理の技術を確立しつつルールを整備するとともに、先進的・モデル的なものについては、実証試験の場の確保や実施のための支援策を講ずることが必要である。

    (3) 戦略的な知的財産政策の強力な推進

     BT分野は、特許取得のインパクトが極めて大きい分野であり、国として知的財産の取得対象を戦略的に決定し、その分野に対して、海外出願を含めて、大学など公的研究機関やバイオベンチャーの出願支援を強力に進めるべきである。
     知的財産の創造、保護、活用については、知的財産戦略大綱に基づき推進しているところである。具体的には、知的財産戦略会議、総合科学技術会議知的財産専門調査会等において、検討が進められ、知的財産基本法の制定がされるなど具体的な施策が進められている。これらの成果を着実に実施していくことがまず重要と考える。
     例えば、国が有する知的財産を民間に効率的効果的に移転させるために、国有特許を民間に譲渡する場合の価格決定ルールを設定すべきである。
     また、国から民間への委託研究における特許権の帰属(いわゆる日本版バイ・ドール制度)について、特別の事情のあるものを除き、全ての委託研究開発予算について適用することが必要である。
     さらに、BT特有の問題(タンパク質の構造特許のあり方、医療関連技術(再生医療※など)の特許法における取扱いの明確化や遺伝子関連特許の活用円滑化等)について国際的調和を視野に入れながら検討を急ぎ、早急に結論を得るべきと考える。
     また、BTに影響の大きい裁定実施権の問題については、平成6年の日米合意の内容も踏まえつつ、競争政策上の観点から論点を検討すべきである。
     さらに、特許などの法務やTLO※の実務に関わる者についての人材育成を強力に推進すべきである。

    (4) BT産業の拠点づくりを通じた産業競争力の強化

     BTの産業競争力強化のためには、BT関連の大学、公的研究機関、企業(ベンチャーを含む)がクラスターを形成し、その連携の中で、融合分野への取組を強化することにより、地域としての総合力を増していくことが必要である。また、こうした取組は、地域を活性化させるのみでなく、地域間競争の中で日本全体の活性化につながることが期待できる。
     クラスターの形成支援のため、域内の大学、公的研究機関、企業(ベンチャーを含む)が共通に使える研究開発基盤機能を整備するとともに、域内のネットワーク化の進展が図られるよう域内の企業連携、産学官連携促進に必要な措置を講ずるべきである。

戦略3
 国民理解の徹底的浸透
 −国民が適切に判断し、選択できるシステムを作る−

 BTがどのように発展しても、それが国民に理解され、受け入れられなければ、国民生活の充実にはつながらない。BTについて、国民が適切に判断し、選択できるシステムを作り、また、新規の技術に対する懸念・不安に対応するための社会基盤の整備を図ることが重要である。

  1. 情報の開示と提供の充実

     国民に対し、政府は、BTに関する情報を積極的に提供していくことが必要である。その情報提供に当たっては、常に国としての理念を持ち、その理念の下、国民に媚びるのではなく、科学的事実を根気よく伝達することを心がけるべきである。
     情報提供は、単に科学的説明のみならず、BT技術の応用によって人々の生活がどのように改善されるかをわかりやすい形で説明することが必要である。
     一方、官からの一方的な価値観の押しつけとならないよう、NPO法人、学界、消費生活センター等の民間団体との多様な連携を積極的に図ることが肝要と考える。また、これまで各府省がそれぞれ行ってきた情報提供に関し、共通の窓口を設定することが重要である。
     国民の理解の基本は、個々の研究者、従事者が国民に適切な説明・対話を行うことである。研究機関、研究者及び企業、従事者は、研究の内容や成果を社会に対して説明することが基本的責務であることを改めて認識し、国民との双方向のコミュニケーションを充実すべきである。

  2. 安全・倫理に対する政府の強固な姿勢を国民に提示

     第一章で述べたとおり、BTの発展には、産業への応用技術開発とその安全性の確保が車の両輪であり、まず、安全情報の収集や科学的分析、評価などの安全確保対策とその充実のための基盤の確立を行うことが不可欠である。
     その上で、安全確保対策に政府として万全を期すことに加え、その強固な姿勢を国民に分かりやすく提示することにより、国民の目から見て、BT技術の応用製品についての安全性の信認が得られるよう最大限努めることが肝要である。
     その一環として、BT製品の安全審査や安全管理に関する大規模な組織を整備し、抜本的に強化することが必要である。現状では、米国FDA(食品医薬品局)などの例を見ても、この面で、我が国は大きく欧米に遅れている。安全性に関する透明な審査機構の確立は、行政の重要な役割であることを改めて認識し、対応を強化すべきである。
     また、BTに係る合理的な規制の整備が必要である。なぜなら国際的にも整合性を持つ科学的根拠に基づく合理的な規制の存在が、消費者の安全性の信認を得る大きな道だからである。そうした合理的な規制に関する科学的な研究を進めるべきである。消費者の信頼を得る規制が、結局は、研究開発や産業活動の活性化につながることを改めて認識すべきである。
     一方、BTが広く国民に受け入れられるためには、研究者・産業人の倫理の確立が不可欠である。BTの進展に合わせ国民各界各層において、倫理的・法的・社会的問題についての理解を深め、BTを適切に進めるためのルールの設定・見直しを行うことが重要である。特に、今後、BTの発展に伴い、利用・提供が進むことが想定される個人遺伝情報に関しては、個人の権利を守るとともにその公共利用に関するルールの整備を行うべきである。
     また、適正なルール設定と運用のためにも、生命倫理に関する研究と人材育成を強化すべきである。特に、生命倫理に関する社会との窓口となる大学、研究機関、病院等の生命倫理委員会の質の向上を図るべきである。

  3. 学校教育、社会教育等の充実

     国民が適切に判断し、選択できる環境を整備するため、学校教育において基礎的な知識の定着や、科学的な見方・考え方の基本を習熟する機会をより増やし、併せて、社会教育において国民が手軽に学べる場を提供することが重要である。
     また、学校教育の場で、生物教育のより一層の充実を図ることが必要である。特に、高等教育における生物履修者の拡大や、入学試験での生物を選択することができるよう大学入学試験での生物の受験機会の拡大を目指すこととする。
     さらに、総合的な学習の時間などにおける生命現象の科学的理解など教科横断的・総合的な取組の支援と同時に、生命の尊さについて子供のうちから実感することが重要である。

第四章 三つの戦略の実施により実現される社会

 第三章に掲げた三つの戦略を強力に実施すれば、社会経済への影響が大きく、国民の期待も強い医療・健康、食料、環境・エネルギーの三分野において、以下のとおり国民生活の充実が見込まれる。
 そうした生活の質の向上は、我が国社会のみにとどまるものではなく、広く世界にその向上を普及することにより、我が国がBTを通じて世界に貢献し、また、世界から尊敬される国となることが期待される。また、三つの戦略の実施により、我が国産業の国際競争力の向上が実現し、また全く新しい産業も創出され、より豊かな社会の実現が見込まれる。
 なお、より具体的な未来像については、第二部第二章「未来像」において詳述ずることとする。

1.健康と長寿の達成(よりよく生きる)

 BTを利用した画期的新薬等とBTを応用する診断・予防・治療により、健康と長寿の両立が達成される。

◎ 2010年において期待しうる効果(例)
がん患者の5年生存率(治癒率) 20ポイント改善
脳卒中、糖尿病、高血圧などの生活習慣病に対し画期的な治療を可能とする新薬等が開発される。

2.食料安全性、機能性の向上(よりよく食べる)

 BTにより、生産性の飛躍的向上や新事業の創出等農業・食品産業の競争力の強化と活性化が実現される。
 また、安心・安全で豊かな食生活の実現と食料自給率の向上の達成に資する。

◎ 2010年において期待しうる効果(例)
食料自給率40%から45%の向上にBTとしても貢献
消費者メリットの高い遺伝子組換え作物の実現

3.持続可能な快適社会の実現(よりよく暮らす)

 バイオプロセスによる物質生産系と資源利用サイクルの革命的変化が起き、持続可能な経済社会と地球温暖化問題などの環境問題への対応が実現される。
 また、化石燃料の代替としての各種バイオマスのエネルギー源としての利用やバイオマス由来プラスチックの利用の飛躍的拡大により、温室効果ガス排出削減、廃棄物削減が図られるとともに、化石資源依存の低減・エネルギー自給率向上を通じ、エネルギーセキュリティーにも資することとなる。

◎ 2010年において期待しうる効果(例)
原油代替効果約1100万キロリットル/年☆(CO2排出量換算で約2%に相当)
環境配慮型バイオマス由来プラスチックの利用が大いに進展

4.BT分野において、世界に貢献する日本

 前項までの貢献は、BTの日本の国民生活への貢献が中心であるが、しかしその貢献は日本の国境の中に止まる必要はまったくない。多くの外国での貢献も大であろう。さらに、我が国におけるBTの成果の活用により、感染症対策、地球温暖化対策、食料問題などの地球的課題への対応においても、世界的に大きな貢献が期待できる。

5.我が国産業の国際競争力の向上と新産業の創出

 上記の「よりよく生きる」、「よりよく食べる」、「よりよく暮らす」という国民生活の充実は、それらを提供する産業の発展によってはじめて実現される。
 それは、医療、医薬品産業、農業・食品産業、化学産業、環境・エネルギー産業などの既存の産業分野でのBTの積極的活用による我が国産業の国際競争力の向上と新産業の創出によってもたらされることになるであろう。BTはこうした産業の技術基盤を根本的に変革する力をもち、例えばゲノム創薬が従来の医薬品の開発プロセスと利用法を一変させ、バイオプロセスなどのBTによって農業がエネルギー資源の供給産業や動植物工場としての新たな機能を持つように、従来の産業構造をも大きく変えるであろう。
 さらに、バイオツール・インフォマティクス分野での産業の発展は、それをベースに幅広い産業の国際競争力の強化に貢献するとともに、健康情報ネットワーク産業などのまったく新しい産業の創出にも大きく寄与するであろう。
 このようなBTによる産業競争力の向上と新産業の創出を通じ、国民に良質な雇用の場が提供され、豊かな生活が実現されることとなろう。

 最後に2010年において期待される産業像を示すこととする。

◎2010年において期待されるバイオ関連産業の市場規模の見通しと産業特性

[医療分野]8.4兆円
*医薬品・医療機器等8.4兆円

BTを活用した医薬品、医療機器の実用化が大幅に拡大
高齢化の進展、健康志向の高まりから機能性食品の流通が増加
健康情報サービス業の成長とそれに伴う高収入の雇用創出

[食料分野]6.3兆円
*健康志向食品3.2兆円
*その他食料産業3.1兆円

BTの活用による我が国の農業生産の高度化、効率化
高品質・高付加価値・高収量など画期的品種の開発と種苗産業の成長

[環境・エネルギー産業]4.2兆円
*バイオプロセス3.6兆円
*バイオマス0.2兆円
*バイオレメディエーション0.4兆円

高機能化学品、紙製品、繊維製品等の高付加価値製品としての用途拡大により、様々な業種が参入
BT活用素材・原材料の活用による広範囲の産業イノベーションの進展

[バイオツール・情報産業]5.3兆円
*バイオツール3.1兆円
*バイオインフォマティクス2.2兆円

バイオツール産業において、デファクト(事実上の)標準により、世界市場を獲得する動きが活発化する。
インフォマティクスなどのソフト市場へのツール企業の参入が加速する。
BT、IT、NT等技術間の融合が進みその効果がIT産業など幅広い産業へ波及する。

市場規模の合計 24.2兆円(その他を含め約25兆円)

<エピローグ>

 100年以上も前に、一人の生命科学者がいた。
 彼は、コウジかびの研究を進め、その酵素を抽出、世界最初のかび由来の消化酵素剤(タカヂアスターゼ)を発明した。またアドレナリン(副腎髄質ホルモンの一種)の単離、結晶化も行った。

 彼の発明がきっかけとなって、その後、微生物の作る酵素を利用することが、幅広く行われ、100年以上経過した今でも、彼の発明した原理が広く工業的に実施されている。
 一方で彼は、その技術を特許化し、ベンチャービジネスを始めて経済的にも成功した。さらに彼は、民間一般に開かれた研究所を作り、独創性を発揮する人材の育成とそれによる科学的な成果を求めて、研究基盤作りに尽力した。

 先見性のある発明、ベンチャービジネス、知的財産の活用、産学官の連携、人材育成、研究成果の産業化。彼が行ってきたことは、この戦略大綱で述べてきた政策課題と不思議と符合する。そして、彼の実現した成果は、科学技術によって社会と経済が大きく変革することを実証している。

 このような偉業を成し遂げたのは、他のどの国の人でもない。日本人である。その名を高峰譲吉という。

 100年後の今、ふたたびバイオテクノロジーの力で、日本の生活を豊かにし、日本の産業を変革したい。そして何よりも、この日本に元気を出させたい。

 100年前の日本人にできて、今の日本人にできないはずはない。



第二部 行動計画と未来像

 第一部のエピローグで、「100年前の日本人にできて、今の日本人にできないはずはない」と書いた。第二部では、今の日本人がなすべき行動計画(「バイオ行動計画2002」)とそれにより実現される未来像(「バイオ経済社会ビジョン2002」)について、明らかにする。100年前の日本人に恥ずかしくないよう、官民を挙げて、BTに関する課題に積極果敢に挑戦をし、「生きる」、「食べる」、「暮らす」の向上に全力を傾注すべきである。

第一章 行動計画
「バイオ行動計画2002」
―50の行動指針、88の基本行動計画、200の詳細行動計画によるBT戦略の強力な推進―

 本章では、以下のとおり、BTを産業化、実用化するに当たって、解決すべき課題がある主な事項について、担当府省、実施予定年度を明示した行動計画を規定する。それは、行動指針、基本行動計画、詳細行動計画の三つから構成され、我が国としての戦略的行動指針を示すとともに、戦略の実施には、一つ一つの行動が必要となることから、基本、詳細の両行動計画を示すこととする。
 政府は、ここに掲載された計画について、その評価や社会情勢の変化、財政事情等を勘案しながら見直しを行いつつ、遂行に積極的に取組み、BT戦略大綱の推進に努めるものとする。



 行動計画は、原則として、各項目毎に、行動指針、基本行動計画、詳細行動計画の順に記載している。行動指針は、囲み文字で、
・・・・・・します。
の形態で記載している。

戦略1 研究開発の圧倒的充実

T.戦略1に関する分野横断的な事項に関する行動計画

1.研究開発予算の充実・強化
質・量ともに研究開発予算の充実・強化を図ります。

<基本行動計画>

○ 三つの戦略遂行に必要な予算を確保するよう努める(総合科学技術会議、関係府省)とともに、本戦略も踏まえつつ、ライフサイエンス分野の「分野別推進戦略」や「科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」の見直し等を行う(総合科学技術会議)。
○ 基礎研究の重要性に鑑み、基礎研究の一層の充実・強化を図るとともに、経済を活性化する観点からの研究開発プロジェクトを積極的に推進する。(総合科学技術会議、関係府省)
○ 競争的研究資金の効果を最大限に発揮させるための改革を進めるとともに、予算のより効率的・効果的な運用を図る。(総合科学技術会議、関係府省)

<詳細行動計画>

  • ライフサイエンス予算に関しては、平成7年度から平成12年度までの5年間で約2倍の増加を実現しているが、今後ともそのペースの一層の向上を図り、三つの戦略の遂行に必要な措置を講ずることができるよう所要の予算を確保するよう努める。[平成15年度着手]その際、第二期科学技術基本計画期間中(平成13年度〜平成17年度)においては、競争的研究資金の倍増を目指すとされており、ライフサイエンス分野においてもその実現を図る。[実施中](総合科学技術会議、関係府省)
  • 基礎研究の成果が実用的技術開発に直結しやすいBTの特徴を踏まえ、基礎研究について一層の充実・強化を図る。[平成15年度着手](総合科学技術会議、関係府省)
  • 我が国経済を活性化する観点から、比較的短期間で実用化が期待される研究や、次代の産業基盤の構築に資することが期待される研究などを対象として、産学官の協力による研究開発プロジェクトを積極的に推進する。[平成15年度着手](総合科学技術会議、関係府省)
  • ライフサイエンス分野の「分野別推進戦略」の見直しに当たっては、本戦略も踏まえつつ行い、その上で、毎年度の「科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」を策定するものとする。[平成15年度着手](総合科学技術会議)
  • 競争的研究資金の効果を最大限に発揮させるため、予算の戦略的な配分に加え、研究経歴のある研究課題管理者(プログラムオフィサー)※等の設置や評価内容の開示等公正で透明性の高い評価システムの確立、真に優秀な若手に対する資金の充実等の改革に取り組む。[実施中](総合科学技術会議、関係府省)
  • 大学等における独創的・先端的な研究推進のため、卓越した研究拠点において、世界水準の施設・設備を整備し、魅力あるBT研究開発環境を実現していくための措置を講じる。[実施中](文部科学省)
  • 実用化のシナリオを明確化し、関連施策全体を一体となって体系化したプログラム方式を推進する。また、各プログラムに含まれる各々の既存プロジェクトを、ゼロベースから徹底的に見直し、実用化のシナリオが不透明な既存プロジェクト、産業政策上の意義が薄れてきた既存プロジェクトは廃止又は大幅縮減を実施する。[平成15年度着手](経済産業省)
  • 研究開発に必然的に附随する不確実性に対応して、効率的な予算編成を確保するため、独立行政法人への運営費交付金化を実施する。[平成15年度着手](関係府省)

2.研究開発促進のための体制整備

(1) 戦略的予算の編成・効率的な執行

@ BTについての予算の配分方針及びその運営の企画、立案、総合調整に努め、関係各省の予算を有効に活用します。

<基本行動計画>

○ 省庁再編において我が国の総合的な科学技術政策推進の司令塔として創設された総合科学技術会議の機能を活用し、BTに係る科学技術に関する予算の配分方針及びその運営の一体的な、企画・立案・総合調整を行う。(総合科学技術会議、関係府省)
○ ファンディングエージェンシー※にプログラムディレクター※及びプログラムオフィサーを、各省にプログラムオフィサーを配置し、プログラムディレクター等が参加する会議等を行うとともに、配分機関のファンディング機能を強化する。(総合科学技術会議、関係府省)

<詳細行動計画>

  • 総合科学技術会議の機能を活用し、施策の企画立案、予算の調整、研究開発のフォローアップ等の充実を図るべく、BTに係る科学技術に関する予算の配分方針及びその運営の一体的な企画・立案・総合調整を行う。その際、それぞれの省庁で実施されている競争的研究資金の審査、評価に関するより適切なシステム構築のための取組や各省連携プロジェクトの企画・評価を強化することを検討する。[平成15年度着手](総合科学技術会議、関係府省)
  • ライフサイエンスに関する競争的研究資金を配分するファンディングエージェンシーにプログラムディレクター及びプログラムオフィサーを、また、各省にも少なくともプログラムオフィサーを配置するとともに、プログラムディレクター等と総合科学技術会議との会議を行い、総合調整を推進する等の対応を進める。[平成15年度着手](総合科学技術会議、関係府省)
  • 総合科学技術会議「競争的研究資金制度改革プロジェクトチーム」で検討中の改革案などを着実に実施するとともに、配分機関(各省又はファンディングエージェンシー)のファンディング機能を充実する。[平成15年度着手](総合科学技術会議、関係府省)

A 予算の優先順位付け、評価を適正に行います。

<基本行動計画>

○ 科学技術関係予算に関する優先順位付けを行う。(総合科学技術会議)

<詳細行動計画>

  • 各府省の科学技術関係の概算要求について、予算編成に反映すべく、施策毎に優先順位付けを行う。[平成14年度着手](総合科学技術会議)

B 効率的・効果的な研究開発の実行体制を実現します。

<基本行動計画>

○ 我が国BT研究開発の実行体制を抜本的に見直し、特徴ある先端BT研究を実施する研究拠点とそれらの研究活動を支える個別研究実施機関を設定し、プロジェクト研究を通じた重点的な資源配分等効率的・効果的な研究実施を進める。(文部科学省)

<詳細実行計画>

  • 21世紀COEプログラムの生命科学等の分野における世界的研究教育拠点の形成のための重点支援を行う。[平成14年度着手](文部科学省)
  • 世界水準の研究成果を創出するため、大学等におけるBT関連施設・設備の重点的な整備を進める。また、BT関連研究の効果的推進を図るため、21世紀COEプログラムにおいて選定されたBT関連拠点や世界水準の研究機関を拠点とした研究実施体制の充実強化を図る。 [実施中](文部科学省)
  • 「私立大学学術研究高度化推進事業」に選定されたBT関連プロジェクトに対する研究施設・設備・研究費の総合的、一体的な補助を行う。 [平成14年度着手](文部科学省)
  • 従来の分野にとらわれない融合的な研究開発を進める研究拠点、地域密着型産・学・官融合研究拠点を複数箇所設置し研究開発を推進する。[平成15年度着手](文部科学省)

(2) BTを支える人材供給の抜本的充実

 BT関連分野での総合的な人材育成計画を策定、その実施推進を図るなど、BTを支える人材供給の抜本的充実を図ります。

<基本行動計画>

○ 多様なBT人材の育成等を通じた人材供給の増大と質的向上を図ることを目指し、総合的な施策を推進する。特に、大学等においては、従来の学問体系にとらわれず、新たなBT関係分野や他分野との融合連携分野に柔軟に対応した機動的な組織編成などにより、社会のニーズに応えたBT関連人材の育成が可能となるよう、支援と環境整備を行う。
 このため、以下の取組などを進める。
  • 大学における取組の促進と支援
  • 産業界の取組の促進
  • 若手研究者、女性研究者等の確保と活動の支援(文部科学省)
○ 研究者の人材交流等による若手研究者等の養成を図る。(関係府省)
○ 新規創業等のための経営者支援教育を行う。(経済産業省)
○ 海外の高度人材を活用する観点からBT分野の技術者の流入を促進するための環境を整備する。(関係府省)

<詳細行動計画>

  • 主に以下を内容とするBT関連人材充実のための総合的施策を講じるための計画を作成し、実施・推進を図る。

(大学等における取組の促進と支援)

@学部・学科の設置認可を弾力化し、新分野や融合分野に対応した柔軟かつ機動的なBT関連人材育成を可能とする。
A大学等におけるBT関係教育研究環境(施設・設備等)の重点的な改善・充実を図る。
B研究に携わる者への手当てを盛り込んだ「人材養成型プロジェクト研究」を充実させ、大学におけるBT研究環境を整備し、意欲ある優れたBT人材の確保が図られるようにする。
CBT関連人材養成プログラムを充実する拠点大学等を選定し重点的な支援を行う。
D大学院生等に対し、最先端BT関連の知見・手法の修得について高度なトレーニングコースやセミナー等の設置・充実を図るほか、BT分野以外の分野の研究者・技術者に対し、BT関連分野への参入を促進するためのトレーニングコースを設け、多方面からの参加を図る。
EBT関連実用化技術開発、技術移転等における産業界等の優れた人材について、大学・研究機関等における活用を促進する。
F企業や試験研究機関等における施設・設備や人的資源を活用して、実践的・高度専門的な大学院教育を行う連携大学院の整備・充実を図る。

(産業界の取組の促進)

GBT関連人材の雇用の拡大、BT関連人材の優遇、BT関連企業におけるインターンシップの受入の促進、企業からの大学・研究機関等への寄付講座・寄付研究部門の設置等に関し、大学と産業界が協議、情報交換等を行う場を設けるとともに、産業界の積極的な取組を促す。

(若手研究者・女性研究者の確保・支援)

HBT関連を含めた若手研究者を対象とした研究支援制度、女性研究者の活躍を支援する施策を推進する。

(国際的視野に立った人材充実)

I国際的視野に立ってBT関連分野を含めた人材の養成と確保を図るため、優れた若手研究者の海外派遣や、大学院レベルの留学機会の拡大を図るとともに、海外の優秀な研究者の我が国機関への受入を促進する。

[以上平成14年度着手(一部実施中)](以上文部科学省)

  • 優れた若手研究者を国内外の研究機関へ派遣するなど人材の育成を図る。[実施中](厚生労働省)
  • 国立保健医療科学院に新たに人材育成のための研修事業を設け、生物統計の専門家を養成する。[平成15年度着手](厚生労働省)
  • 最先端の研究現場(大学・研究所等)に研究者を派遣することにより、BT分野や他の技術分野、技術移転、リエゾン、知的財産の分野への柔軟な対応力を身につけさせ、産業競争力強化に資する研究者を養成する。[実施中](経済産業省)
  • BT分野等のベンチャーを起こす起業家や経営人材の育成に必要なカリキュラム開発、ケース開発、モデル事業を、産学連携により推進する。[実施中](経済産業省)
  • 海外の高度人材を活用する観点から、戦略的分野の技術者の入国、就労、勉学、研修、居住等に係る環境を改善する。また、頭脳流入の拡大を目指した具体策を取りまとめる。[平成15年度着手](関係府省)
  • 外国人医師が医師免許を持たなくとも医療行為を行うことが可能な「臨床修練制度」の要件を緩和する。[平成14年度達成](厚生労働省)

(3) 生物遺伝資源の充実

研究開発の基盤となる生物遺伝資源を資源所有国とも協調しながら、戦略的に整備します。

<基本行動計画>

○ 関係各府省の連携と役割分担の下、研究開発や産業上有用なもの等についての生物遺伝資源を戦略的に整備するとともに、その供給体制を確立する。(関係府省)
○ 生物多様性条約を踏まえ、東南アジアを中心とする海外の国と覚え書きや共同研究などによる協調関係の下に、未開拓生物資源の開発を行う。(経済産業省)

<詳細行動計画>

  • それぞれ特徴ある生物遺伝資源の保存等を行っている機関間の一層の連携を目指したネットワークを整備する。[平成14年度着手](総合科学技術会議、関係府省)
  • 2010年を目途に世界最高水準の生物遺伝資源を整備するため、ナショナルバイオリソースプロジェクトを着実に推進し、実験動植物(マウス等)や、ヒトES細胞※、各種生物の遺伝子材料等のバイオリソースのうち、国として戦略的に整備することが重要であるものについて体系的に収集、保存し、提供するための体制を整備するとともに、疾患モデル動物の開発を行う。また、深海、地殻内等に生息する微生物の探索・研究を進め、産業上有用な成果を企業化するための研究開発を行う。[平成14年度着手](文部科学省)
  • 現在、厚生労働省の複数の機関で保有しているヒトや動物の細胞、遺伝子などの生物遺伝資源の集約、統合化を図るとともに、ヒト組織や薬用植物の遺伝子の情報も含め、生物遺伝資源の収集・管理体制、またヒューマンサイエンス研究資源バンク(HSRRB)等を通じたそれら資源の提供・供給体制の一層の整備強化と資源の充実を図る。[平成14年度着手、平成19年度達成](厚生労働省)
  • 植物、動物、微生物等の遺伝資源の収集・特性評価・保管・提供等を行う農林水産ジーンバンク事業を関係機関(独立行政法人、都道府県、大学、民間等)と協力して推進するとともに、新たに植物2万点他を収集する。また、イネの完全長cDNAやミュータントパネル※等、有用遺伝子の単離・機能解明に重要となる研究材料の保存及び民間企業等への提供体制の一層の充実を図る。[実施中](農林水産省)
  • 難培養微生物※、未知微生物等の有用な微生物及びそれらからのDNA等の探索、機能解析研究を行うとともに、その実用化開発を促進する。さらに、それらを含む有用生物遺伝資源をライブラリー化し、永続的に保存・供給していく体制を充実させる。[実施中](経済産業省)
  • 生物多様性条約を踏まえ、海外の国々と生物の移転に係る包括的な覚え書きや共同研究等により、我が国の企業や研究者が海外の生物遺伝資源を活用できる体制を順次整備する。[平成14年度着手](経済産業省)
  • 絶滅のおそれのある野生生物の細胞・遺伝子を液体窒素中で長期保存し、細胞・遺伝子レベルでの種の保存を行うとともに、遺伝情報の解析等にも活用できる環境分野の知的研究基盤の整備を行う。[平成14年度着手](環境省)

3.研究開発のターゲット

重点的な研究開発は、目的を定め、計画的に促進していきます。

<基本行動計画>

○ 研究開発の推進に当たっては、科学技術基本計画(平成13年度3月閣議決定)及び分野別推進戦略(同年9月総合科学技術会議)に基づき着実に実施する。(総合科学技術会議、関係府省)

(1) 日本の強みを活かした研究開発

今後、世界の中で競争力を有すると思われる分野に集中的に投資を行います。

<基本行動計画>

○ 特に重点投資の対象となるべき分野である医療・医薬品、微生物・バイオプロセス、機能性食品・農業バイオ分野への集中的な投資を行っていく。(関係府省)

(詳細行動計画については、「U.戦略1に関する各分野の行動計画」の中に記載)

(2) 融合分野の研究開発の推進

BTとIT、NT等異分野との連携を進め、BTに係る総合力を確保します。

<基本行動計画>

○ 今後の我が国のBT産業発展の鍵は、異分野との融合による総合力の確保であるとの強い認識の下、NTやITといった新規重要技術、産業との連携を進めていく。(関係府省)

 (融合分野の研究開発の成果は、多様な分野において活用されるため、詳細行動計画は「U.戦略1に関する各分野の行動計画」にそれぞれに関連する分野の中に記載する。)

(3) バイオツール、バイオインフォマティクスへの重点投資

すべてのBT関連研究開発や産業の基盤となるバイオツール、バイオインフォマティクスに重点投資を進め、我が国のBTの底上げを図ります。

[バイオツール分野]

<基本行動計画>

○ 計測機器、分析機器などBTに係る研究開発や産業活動の基盤となる機器やそれに伴う技術の開発を進める(関係府省)。また、バイオツール、バイオインフォマティクス両分野にわたる包括的支援策の検討を開始する(経済産業省)。

<詳細行動計画>

  • NMR(核磁気共鳴装置)、遺伝子発現解析バイオイメージング、生体内微量物質検査等について、現在の検出解析感度を1桁上回るような高度解析技術等の開発を行うとともに、実用化、市場化に向けた取組を推進する。[一部実施中、平成15年度本格的に着手](文部科学省)
  • 2010年頃に訪れると予想されるシリコン電子デバイスの微細化の限界を打破するアプリケーションの一つとして、タンパク質の自己組織化を利用し、超小型、超省電力のデバイスを世界に先駆けて開発する。[平成15年度着手、平成19年度達成](文部科学省)
  • 3万種に及ぶイネの完全長cDNA等を活用し、植物研究用DNAチップ※を開発する。また、これらを用いた品種判別等の検査・分析産業を創出する。[平成14年度着手、平成15年度達成](農林水産省)
  • ヒトゲノム解析データ等の成果をテイラーメイド医療※や在宅医療診断に活用していくためのバイオ関連分析機器の実用化を図る。[平成15年度着手](経済産業省)
  • IT・機器・ナノテクノロジー(NT)とBTとの融合により、各種解析機器を高速化・高効率化するための研究開発、より高次の生体情報を得られる各種計測機器の開発を行う。また、バイオツール、バイオインフォマティクス両分野にわたる国際標準化戦略を含む包括的支援策の検討を開始する。[平成14年度着手](経済産業省)

[バイオインフォマティクス分野]

<基本行動計画>

○ BTに係る膨大な情報を迅速、低コスト、正確に処理解析するシステムの開発を行うとともに、研究機関間の一層の連携を図る。(関係府省)
○ 統合データベースの構築を進めるとともに、標準化の検討を進める等により、利用環境や競争環境の整備を図る。(関係府省)

<詳細行動計画>

  • バイオインフォマティクス分野における研究開発や、それを支える研究情報基盤について、大学をはじめとする能力ある研究機関等において、急速に増加するDNAやタンパク質などの生命情報データベースの構築や、それらを解析、連結するソフトウェアやツールの開発等を重点的に進めるとともに、これら研究機関間の一層の連携強化を図る。[実施中](総合科学技術会議、関係府省)
  • 研究、実用化、データベース公開等ゲノム関連の全段階において民間部門の参画を確実かつ効率的に行うこととして既に設立されている民間団体を最大限活用することにより、統合データベースの構築を進めるとともに、多種多様なデータベースの相互運用性を高めるための検討を行う。[実施中](総合科学技術会議、関係府省)
  • 生物・工学・情報等の融合研究拠点の整備を行うとともに、細胞・生体機能のシミュレーション技術の開発、ゲノム、タンパク質、トランスレーショナルリサーチ等に関する各種データベースの整備充実、グリッドコンピューティング環境の構築等バイオインフォマティクス分野における先端的・基盤的な取組を進める。[平成15年度着手(一部実施中)](文部科学省)
  • イネゲノム情報、育種情報、栽培生理情報等の統合データベースの作成と解析支援システムを開発する。[実施中、平成19年度達成](農林水産省)
  • 臨床データや患者の医療情報を収集・電子化し、それらの情報と個人の遺伝情報、タンパク質発現情報等を相互にリンクさせることにより、テイラーメイド医療、予防医療等のベースとなる疾患診断システムの開発など、「臨床インフォマティクス」分野の開拓を行う。[平成15年度着手、平成19年度達成](経済産業省)
  • バイオインフォマティクスについては、DNA解析やプロテオーム解析※結果等についての交換プロトコル、データフォーマット、用語等に係る早期の国際標準化が望まれるため、その方向性、妥当性についての検討を開始する。[平成14年度着手](文部科学省、経済産業省)

U.戦略1に関する各分野の行動計画

【医療・健康分野(よりよく生きる)】

@ 個人の体質を遺伝子レベルで突き止め、疾病の予防、治療に活かします。−テイラーメイド医療の実現

<基本行動計画>

○ 遺伝情報を基にした個人個人にあった予防・治療を可能とする医療(テイラーメイド医療)の実現を目指し、研究開発を進める。このため、大規模な患者サンプルの収集を行い、SNPsとがん、生活習慣病、痴呆の発症との関係及びSNPsと薬剤反応性との関係の解明を進め、そのデータベース化を図る等の対応を進める。(文部科学省、厚生労働省、経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 遺伝情報を基にした個人個人にあった予防・治療を可能とする医療(テイラーメイド医療)の早期実現を目指す。このため、30万人規模の血液サンプルの収集を行い、SNPs(一塩基多型)と疾患・薬剤応答性(有効性と副作用)との関連データベースを構築するとともに、個人遺伝情報を臨床応用するための検査用診断機器ソフトの開発を行う。また、我が国が世界最高水準にある遺伝子多型研究を進め、疾患関連遺伝子、薬剤応答性に関連する遺伝子の研究を推進する。[平成15年度着手(一部実施中)、平成19年度達成](文部科学省)
  • がん、高血圧、糖尿病等の疾患に関する遺伝子、薬剤応答性に関する遺伝子について二次スクリーニングを進め特定するとともに、疾患関連タンパク質解析プロジェクト等から得られる大量の疾患関連タンパク質情報を基にバイオインフォマティクス技術を活用し、創薬基盤技術として確立する。[平成15年度着手](文部科学省、厚生労働省)
  • 遺伝子多型から疾患遺伝子を解明する手法についても、マイクロサテライトとSNPsを用いて多因子疾患の原因遺伝子を絞り込むアルゴリズム等を開発する。[実施中、平成17年度達成](経済産業省)

A 失われた機能の再生を図るとともに、病気を遺伝子・細胞レベルで治療し、根本から治癒します。−再生医療・遺伝子治療・細胞治療の推進

<基本行動計画>

○ 再生医療の実現に向けて、発生・再生の仕組みの解明を進め、臓器再生などの研究を進める。また、その基盤となる幹細胞※バンクを整備し、その利用技術を開発するとともに、品質管理手法・評価手法の開発等を進める。(文部科学省、厚生労働省、経済産業省)
○ 遺伝子治療※・細胞治療※の実現に向けて、増殖培養技術の開発を進めるとともに、免疫拒絶反応メカニズムの解明と、拒絶反応をなくす手法の開発を進める(文部科学省、厚生労働省)。また、知的財産の扱いについての検討を進める(総合科学技術会議、厚生労働省、経済産業省)。

<詳細行動計画>

  • 再生医療に必要な幹細胞のバンクを整備するとともに、大量増幅技術、細胞移植技術等その利用技術等を世界に先駆け確立する。特に神経幹細胞の利用技術を開発し、パーキンソン病等の治療技術を確立するとともに、再生医療技術による生活習慣病治療技術を開発し実用化を図る。また、発生・再生の仕組みの解明を進めるとともに、細胞治療を念頭においた幹細胞操作技術の開発などを推進する。[平成15年度着手(一部実施中)](文部科学省)
  • 移植用ヒト臓器の再生に関し、形態学的な再生については基礎的データの収集ができはじめているが、機能的な臓器についてはまだ開発されていないため、機能を保った臓器の再生技術の開発を進める。併せて、移植しても拒絶反応を呈しない臓器の開発を行う。[実施中](厚生労働省)
  • 神経変性疾患の再生及び内分泌系の細胞の再生に関し、臨床応用を開始する。また、少ないドナーにより対応しながら内分泌、神経等の細胞治療を実現させるため、機能を温存したまま増殖培養させる技術の開発を行う。[実施中、臨床応用は平成15年度移行順次着手、達成](厚生労働省)
  • 再生医療において、産業化を促進する基盤整備の一環として、細胞・組織・細胞外材料等の処理工程を含む品質管理手法や生体適合性等の評価手法の開発並びに標準化の検討を行う。[平成15年度以降順次着手](経済産業省)
  • 遺伝子治療に用いるベクターの研究開発を支援するとともに、その開発ベンチャーを支援する。[実施中、平成16年度達成](厚生労働省)
  • 近年進展の著しい再生医療及び遺伝子治療関連技術における技術開発の発明を更に促進するため、特許法における取扱いを明確化すべく、法改正及び審査基準改訂の必要性について検討し、結論を得る。なお、本検討に当たっては、医師による医行為等に影響を及ぼさないよう十分配慮する。[平成14年度着手、達成](総合科学技術会議、厚生労働省、経済産業省)
  • 細胞移植の際に起きる免疫拒絶反応のメカニズムの解明を行うとともに、拒絶反応をなくす手法を開発する。[実施中、平成15年度以降順次着手、達成](厚生労働省)

B BTを活用した画期的な新薬の開発のため、タンパク質の解析や医薬品の標的タンパク質の効率的な抽出を行います。

<基本行動計画>

○ タンパク質構造・機能解析、遺伝子発現解析等のポストゲノム研究を進め、その研究成果を基に創薬基盤を確立する。(文部科学省、厚生労働省、経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 世界最先端設備(NMR、大型放射光施設等)を駆使し、産学官の研究能力を結集して、約3000種(全基本構造の約1/3)以上のタンパク質基本構造及びその機能の解析を進めるとともに、微小重量環境下におけるタンパク質結晶化、糖タンパク質の結晶化や生産技術開発、糖鎖等新たな生命分子機能の解析などに取組み、我が国発のゲノム創薬の早期実現を目指す。[実施中、平成18年度達成](文部科学省)
  • 医薬品候補物質のDNAチップを用いた遺伝子発現プロファイルに関するデータをデータベースとして構築し、ゲノム創薬に活用する。更に、遺伝子発現プロファイリングから、医薬品候補物質の安全性の早期予測システムを確立する。[平成15年度着手、平成19年度達成](厚生労働省)
  • がん、高血圧等の患者とそれ以外の者におけるタンパク質の量と種類の違いを同定するための大規模な基盤整備、疾患関連タンパク質の解析プロジェクトを推進する。[平成15年着手](厚生労働省)
  • 医薬基盤技術研究所(仮称)を設立し、創薬基盤の確立のために、ゲノム科学やタンパク質科学の成果を医薬品等の開発に橋渡しする基盤技術の研究開発拠点を整備する。[実施中、平成16年度達成](厚生労働省)
  • 完全長cDNAを基盤とした有用遺伝子の収集・機能解明、タンパク質機能・構造解析等の研究開発、測定機器の高度化、加齢に関わる遺伝子解析、糖鎖構造解析・自動合成装置の開発等、治験支援関連産業創生の環境整備等を実施する。[実施中、平成17年度達成](経済産業省)

C 脳機能の解明を進め、精神・神経疾患の克服やこころの健康の実現に貢献します。また、脳機能を活用した画期的なコンピュータを開発します。

<基本行動計画>

○ 先端的な脳科学研究を推進するとともに、他分野との融合研究に取り組み、こころの健康や発達等の問題に対応した研究開発を進める。(文部科学省、厚生労働省、経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 精神・神経疾患の原因の解明等、脳機能を解明するための研究を一層強化し、新しい原理に基づく治療法や予防法の確立に向けた取組を充実する。[実施中](文部科学省、厚生労働省)
  • 脳の働きを人工的に再現することにより、現在のコンピュータとは異なる全く新しい情報処理原理に基づく脳型コンピュータの開発に取り組む。また、脳型コンピューティングの実現を目指して人間の社会行動の基盤となる高次脳機能の研究を推進し、脳科学、情報科学等の融合等を図る。[実施中](文部科学省、経済産業省)
  • 学習・言語・感情・運動発達をはじめとした、脳の高次機能の発達機構の解明についての分野融合的な研究を進めることなどを通じ、こころの健康の保持・増進や精神・神経疾患の治療実現に向けた取組を充実する。[平成15年度着手](文部科学省、厚生労働省)
  • 非侵襲的脳機能イメージング等の先端的な計測・解析技術の開発をはじめ、脳やこころの健康についての基礎的・基盤的研究開発の一層の推進を図る。[実施中](文部科学省、厚生労働省)

D 画期的な医療機器の開発により、病気の早期診断・短期回復を実現します。

<基本行動計画>

○ 人工臓器、人工感覚器の開発を行うとともに、低侵襲医療機器、身体内部機能を代替する医療機器、早期診断等のための医療機器、在宅で健康管理を行うことができる機器等の開発を行う。(文部科学省、厚生労働省、経済産業省)

<詳細行動計画>

  • ナノテクノロジー(NT)、BT及びITを融合して、ヒトの機能を代替・補助する生体適合性材料・五感センサ等を開発することを通じ、人工臓器、人工感覚器の開発を行う。[平成15年度着手、平成19年度達成](文部科学省)
  • 精密作業の可能なマニュピュレーターや画像ガイド下での手術支援を行う低侵襲医療機器等の医療機器研究を推進する。[平成15年度着手](厚生労働省)
  • 身体内部機能を代替する人工インプラント等の医療機器研究開発を研究支援策の充実等により推進する。[平成15年度着手](厚生労働省)
  • 早期診断・短期回復を可能とするための高度医療機器や再生医療を支援するための自動培養装置等の開発により、国民が自立して健康に暮らせる期間(健康寿命)の延伸及び医療機器産業の国際競争力強化を目的とした研究開発を実施する。[実施中、平成19年度達成](経済産業省)
  • 予防医療確立に向け、ITを活用した次世代生体情報計測機器や生体情報の定量的評価手法の開発等により、在宅健康管理システムの確立を図る。[平成15年度着手](経済産業省)

E 健康食品を科学的根拠をもって分析し、有効性を解明し、食を健康につなげます。

<基本行動計画>

○ いわゆる健康食品の有効性について科学的な評価を推進する。(厚生労働省)
○ BTを活用した機能性食品の評価・製造技術の開発を支援し、また、食品等の機能性物質の探索や作用についての研究開発を行う。(農林水産省) 

<詳細行動計画>

  • いわゆる健康食品の成分分析や実験・疫学データなどからその有効性の評価を推進する。[平成15年度着手、平成19年度達成](厚生労働省)
  • マーカー遺伝子等が残らない我が国独自の遺伝子組換え技術により、成人病予防等の保健・予防機能を有する遺伝子組換え農作物等を開発する。[実施中、平成19年度達成](農林水産省)
  • 水産生物、海洋微生物等が有する機能性物質を探索し、有用成分の構造と機能の発現機構を解明するとともに、分離・精製技術や利用技術の開発を行う。[実施中](文部科学省、農林水産省)
  • DNAチップ等を活用して食品の生体調節機能を解明するとともに、食品素材の組み合わせによる効果等を解明する。また、調理による機能性成分の消長・化学変化とそれに伴う機能性の変化を追求し、機能性保持に有効な調理条件の確立を図る。さらに、新たな組成のオリゴ糖等の糖質を生成する酵素利用技術の開発や、カロチノイドやリグナン物質、乳酸菌のプロバイオテック(体に良い働きをする微生物の)機能性等を利用した高品質畜産物の生産技術の開発を行う。[実施中、平成18年度達成](農林水産省)

【食料分野(よりよく食べる)】

@ BTにより、食料の生産、加工の効率化を図り、消費者に良質の食料を提供します。

<基本行動計画>

○ BTを活用し、消費者の求める環境負荷低減型や健康増進型の作物の開発等を進めるとともに、生産や加工の高度化を図る。(農林水産省)
○ 食料分野でのBT関連産業創出のため、異分野融合研究への支援や新事業創出に関する研究開発等を行う。(農林水産省)

<詳細行動計画>

  • DNAマーカー※選抜技術、微量成分分析技術等先端技術を駆使し、麦、大豆、野菜等について、消費者の求める「環境負荷低減型農作物」、「健康増進型農作物」の開発と、これら新品種を活用した新規食品等の開発を促進する。[実施中、平成17年度達成](農林水産省)
  • 産学官連携のもと食料生産、食品産業に積極的なBT技術の導入を図るための各種研究の迅速な推進を図るとともに、地域の特色を生かし、かつ地域の活性化につながる農林水産物生産、加工に係るBT技術の開発等を企画から実施まで地域で一貫して行う。[平成14年度着手](農林水産省)
  • イネの塩基配列データを基に、@画期的な新品種開発、A不良環境にも強いイネや環境修復植物の作出、B有用物質生産のための植物工場の実用化等に活用し得る有用遺伝子の機能解明研究を重点的に推進する。[実施中、平成19年度達成](農林水産省)
  • 主要農作物では、病害抵抗性、品質、ストレス耐性や高機能性、家畜では、肉質や疾病等、魚介類では、成長・耐病性等に関わるDNAマーカーを早期に探索し、これを利用した効率的育種システムを開発する。[平成14年度着手、平成19年度達成](農林水産省)
  • 組換え遺伝子技術により、不良環境に耐性のある作物や、低農薬栽培を可能とする高度病害虫抵抗性作物の開発を行うとともに、消費者メリットのある遺伝子組換え農作物を開発する。[実施中](農林水産省)
  • 受精卵移植技術、受精卵クローン等繁殖技術の高度化・安定化を図る。[実施中](農林水産省)
  • 水産生物の高成長、耐病性等に関する形質の探索を行うとともに、高成長、耐病性等を強化した養殖系品種の開発を行う。[実施中](農林水産省)
  • 農林水産・食品産業等の分野における民間の研究開発を促進するため、競争的研究資金による基礎研究、地域の産学官を結集した新事業創出に関する研究開発を行う。[平成15年度着手](農林水産省)
  • 研究開発投資が他産業に比べて少ない農林水産・食品産業分野において、バイオ等生物系先端技術により新産業の創出、企業化を促進するため、産学官の人的交流等を強化するとともに、バイオベンチャーの創出を目指した若手研究者の独創的な着想に基づく研究や民間企業、大学、独立行政法人等の研究者が参画する異分野融合研究を実施する。[平成15年度着手](農林水産省)

A BTにより、食の安全・安心を高めます。偽装表示問題にも一役買います。

<基本行動計画>

○ 食品の安全性をBTの活用により確保する技術を開発し、又は、開発を支援する(農林水産省)とともに、安全性の検査技術の標準化を図る(経済産業省)。
○ 食品に関する表示項目を科学的に検証するため、品種・産地判別技術を開発する。(農林水産省)

<詳細行動計画>

  • BSEについて、プリオンタンパク質の性状解明、診断技術の開発、環境中の異常プリオンタンパク質の動態解析・不活化技術の開発を実施する。また、重要な人獣共通感染症についても、診断技術や予防技術の開発を実施する。[実施中、平成19年度達成](文部科学省、農林水産省)
  • 食品等に含まれる抗生物質、微生物毒素を検出するための技術である免疫化学測定法は化学分析法と比較して迅速、廉価、簡便であり、食品・農産品等に対する公的分析法として確立するために、標準化を検討する。[平成14年度着手](経済産業省)
  • 表示項目を科学的に検証するため、DNA・微量成分等による品種・産地判別技術を開発する。また、抗体等を用いた有害微生物・毒素等の超高感度検出技術を開発する。[実施中、平成18年度達成](農林水産省)

B BTにより、農林水産業の高度化を図り、新たな農林水産業を生み出します。

<基本行動計画>

○ ワクチンや抗菌作用を持つ有用物質等を動植物等から生産するなど、農林水産業の新たな分野での展開を目指す。(農林水産省)

<詳細行動計画>

  • 次世代ワクチンの開発のため、多機能ワクチンを効果的に免疫系に運ぶための技術を開発するとともに、多機能・省力型次世代ワクチンの開発を行う。[実施中](農林水産省)
  • 動植物から抗菌作用等をもつ有用物質を生成する遺伝子の単離、機能解明を行うとともに、これら有用物質の大量生産システムを開発する。[実施中](農林水産省)

【環境・エネルギー分野(よりよく暮らす)】

a.環境・エネルギー分野(バイオプロセスを除く)

@ BTで新エネルギーを生み出します。枯渇資源(化石燃料)からの脱却を図ります。

<基本行動計画>

○ 廃棄物等を活用して、液体燃料(エタノール)や電気、熱等のエネルギーを産出する技術やシステムを開発する。(文部科学省、農林水産省、経済産業省、環境省)

<詳細行動計画>

  • 都市系廃棄物等の未利用バイオマスを原料とした高効率水素ガス発生技術、燃料電池技術等を最適に組み合わせて、季節需要に応じて電気、熱、有機肥料等を産出するシステムの開発を行う。[平成15年度着手](文部科学省、環境省)
  • 農林系廃棄物等からバイオマスエネルギーを効率的に生産する技術を実用化する。特に、木質系廃棄物等のバイオマス資源を糖化した上で、微生物を用いて発酵し、液体燃料(エタノール)へ変換する技術の早期実用化に取り組む。[実施中、平成19年度達成](農林水産省)
  • 経済性の制約を克服し、バイオマスエネルギーの実用化を図るため、バイオマス資源を水素、メタンなどの気体燃料、エタノールなどの液体燃料等の有用なエネルギーに高効率で転換する、二段発酵等の生物化学的変換等による技術を開発する。[実施中、平成17年度達成] (経済産業省)

A BTを活用して、環境の保全、修復を図ります。

<基本行動計画>

○ BTを活用して、廃棄物等の処理技術、土壌や水質の浄化など環境修復技術や有害物質の評価技術等の開発を進める。(文部科学省、農林水産省、経済産業省、環境省)

<詳細行動計画>

  • 植物の環境浄化・修復に関わる機構の遺伝子レベルの解明から実用植物レベルの応用研究を進め、環境浄化と有用物質生産技術の開発を図る。[実施中](文部科学省)
  • 重金属等による汚染リスクを低減するため、農用地土壌等の浄化を可能にする植物、微生物の作出とその利用技術を開発する。[平成15年度着手](農林水産省)
  • 微生物等の機能を活用した廃棄物や汚染物質の処理を実現するため、メタン発酵の高効率化や難分解性物質のバイオレメディエーション技術を確立するための技術を開発する。[実施中、平成18年度達成](経済産業省)
  • 基礎的研究のブレークスルーとなり、実用化においても経済性の向上などの効果が期待されるBTを活用した環境研究、環境技術開発について、競争的研究資金を活用し、その推進を図る。[平成15年度着手](環境省)
  • 油汚染により損傷を受けた海域の環境修復を図るために、有効なバイオレメディエーション技術の開発及び生態系影響評価手法に関する研究を行う。また、高度処理浄化槽・水生植物等を活用した水質浄化技術(バイオ・エコエンジニアリング)の開発を行う。[実施中、平成17年度達成](環境省)
  • バイオナノテクノロジーを活用して、環境中の有害物質等の健康、生態への影響を低コストで迅速・正確・多角的に評価できるDNA、細胞等を載せた「環境チップ」を開発する。[平成15年度着手、平成19年度達成](環境省)

b.バイオプロセス分野

BTを活用して、画期的な新製品の開発と工業生産の抜本的効率化を図るとともに、生産に要する環境負荷を大幅に減少させます。

<基本行動計画>

○ 昆虫や微生物等が有する機能を活用して、従来の化学プロセス等では製造が困難であった高付加価値の素材や製品を開発する。(農林水産省、経済産業省)
○ バイオプロセスによる機能性化学品の生産や化学製品生産を大幅に拡大するための研究開発を行う。(経済産業省)
○ 省資源、省エネルギー型の環境負荷の少ない生産システムを確立するための研究開発を行う。(農林水産省、経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 昆虫ゲノムの解析を進め、組換え体カイコを用いた抗菌タンパク質、動物医薬、クモ糸様高性能繊維等の生産技術や昆虫の産生物を用いて画期的な新素材を開発する。また、選択性が極めて高く、環境に優しい農薬を開発する。[実施中、平成19年度達成](農林水産省)
  • 組換え体微生物等を用いて、機能性食品や医薬品・化粧品を始めとする高付加価値なバイオマス由来工業製品の原料を生産する技術を開発する。[実施中、平成19年度達成](農林水産省)
  • 微生物機能を活用した有用物質生産プロセスの高効率化を図るため、解読されているゲノム情報を基に、不要な遺伝子の削減やシミュレーションモデルの開発等を行い、物質生産プロセス用宿主細胞(大腸菌、酵母、枯草菌、コリネ菌等)を高性能化するための技術を開発する。[実施中、平成17年度達成](経済産業省)
  • バイオプロセス導入のボトルネックとなっている高機能酵素の耐熱性、耐久性等を抜本的に向上させるための研究開発や植物工場実現のための代謝経路の解析・制御・機能改変技術等の開発を行う。[平成15年度着手](経済産業省)

戦略2.産業化プロセスの抜本的強化

T.戦略2に関する分野横断的な事項に関する行動計画

1.産業化のインセンティブの抜本的改革

研究開発の成果が正当に評価され、その評価に見合った収益が得られる仕組みを社会全体に行きわたらせます。

<基本行動計画>

○ 医薬品・医療機器、機能性食品・農業バイオ、バイオプロセス利用製品・バイオマスエネルギーに関するインセンティブの抜本的な強化を図る。(厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省)
○ BT関連産業に関するビジョンを策定又は活用する等して、産業化のインセンティブに関する施策を包括的に実施する。(関係府省)

(1) BTに係る医薬品・医療機器の価格インセンティブの付与
(行動計画は、「U.戦略2に関する各分野の行動計画」中に記載)

(2) 機能性食品・農業バイオの育成を目指したインセンティブの付与
(行動計画は、「U.戦略2に関する各分野の行動計画」中に記載)

(3) バイオプロセス利用製品・バイオマスエネルギー普及のためのインセンティブの付与
(行動計画は、「U.戦略2に関する各分野の行動計画」中に記載)

(4) 産業化のための制度、ルール等の整備

民間の活力を最大限に引き出すため、民間における試験研究や設備投資を支援します。また、国際的な標準化を進めます。

<基本行動計画>

○ 試験研究税制についての制度の変更を検討する。(文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省、関係府省)
○ バイオ分野における国際標準化戦略を策定する。(経済産業省、関係府省)

<詳細行動計画>

  • 産業活動におけるバイオ技術の取組を支援するため、試験研究費の増額分について税額控除を認めている現行制度から、研究開発支出の総額の一定割合を税額控除とする制度への変更を検討する。[平成14年度](文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省、関係府省)
  • 我が国の研究開発成果の国際的普及、バイオ産業の国際的競争力強化の観点から、バイオ分野における国際標準化戦略を策定する。[平成15年度着手](経済産業省、関係府省)

    (「産業化のための制度、ルール等の整備」は多岐に渡るため、上記以外は、それぞれの関連する行動計画中に記載)

2.産業化に向けた各主体の能力の大幅強化

(1) 大規模企業の創出と大企業の経営資源を活かしたバイオ関連産業の強化

産業構造の転換を進め、BT関連企業、BT関連部門がその能力を最大限生かすことができる環境を作ります。

<基本行動計画>

○ BTを担うに相応しい産業構造の構築を支援するため、必要な措置を講ずる。(経済産業省、関係府省)

<詳細行動計画>

  • 個々の企業やグループの枠を超えた思い切った事業再構築や産業再編を促すため、産業再生法を改正し、商法特例、税制措置、政策金融措置等の支援措置の延長・拡充を行うべく検討を進める。[改正作業中、平成15年度達成](経済産業省、関係府省)

(2) ベンチャー企業の活性化

BTに係る技術シーズを産業に橋渡しするベンチャー企業の活性化を図ります。

<基本行動計画>

○ ベンチャー創業を支援するため、創業に関する規制、手続等についての見直しを行うとともに、優れた技術を持ちながら、経営のノウハウに欠けがちな者に対する支援策を講ずる。(経済産業省、関係府省)

<詳細行動計画>

  • 創業支援に関する各種税制措置について所要の見直しを検討する。[平成15年度着手](経済産業省、関係府省)
  • 会社設立に要する時間や事務負担を大幅に削減するため、電子化・業務合理化を通じて手続の簡素化を図る。[平成14年度着手](経済産業省、関係府省)また、起業のハードルとリスクとなっている各種規制について見直しを行う[平成14年度着手、平成17年度達成](総合規制改革会議、経済産業省)
  • 大学発ベンチャー経営等支援事業において、優れた技術を有する一方で経営等のノウハウに欠けがちな研究者等に対して、経営・法務面等での助言を行うアドバイザー等の派遣を行う。[平成14年度着手、平成18年度達成](経済産業省)
  • 中小企業の研究開発から事業化までを一貫して支援する中小企業技術革新制度(SBIR)については、関係各省庁が協力して作成した統一運用方針の着実な実行や、本年度中に完成予定のSBIRに係る成果事例集による関連製品のPR等を通じて、今後とも一層の充実を図る。[平成14年度着手](経済産業省、関係府省)

(3) 技術シーズの供給役としての大学・公的研究機関等

大学・公的研究機関が技術シーズの供給役として活躍できるよう、産学官の連携を進めるとともに、発明者へのインセンティブを高めます。

<基本行動計画>

○ 研究開発の初期の段階から産業界も参加し、基礎研究から、実用化・応用化までを一体的に進める。(文部科学省)
○ 技術移転機能、産業とのコーディネート機能等の強化を行うことで、研究者は研究開発に専念しつつ、その成果の産業化、実用化を促進する。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)
○ 発明補償金制度の充実を図る等、発明者へのインセンティブを強化する。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 大学等におけるBT分野の基礎研究を強力に推進する。[実施中](文部科学省)
  • 卓越したリーダーの下で大学と産業界がプロジェクト形成段階から一体的に協力するとともに、両者のポテンシャルを最大限に活用した研究開発を行い、新しい市場創出と高い経済活性化を図る研究開発プロジェクト(リーディングプロジェクト)をテイラーメイド医療等で推進する。[平成15年度着手](文部科学省)
  • 新技術に関するシーズを素早く取り上げ、企業化に結びつける目利き人材の雇用等を企業に働きかけるとともに、企業の人材を一定期間大学等に派遣し、先端技術の知見等を習得する機会を増加させる。[平成16年度着手](文部科学省)
  • 大学・公的研究機関等の研究課題・内容、従事者、成果等に関する総合的なデータベースの整備と情報の積極的な提供を進める。[実施中](文部科学省)
  • 大学・公的機関等において、企業の参加を得て戦略的、集中的に知的財産を創造、活用するため、基礎的研究段階からその研究成果の応用、技術移転に至るまで一貫して実施する研究開発を推進する。[平成15年度着手](文部科学省、関係府省)
  • 大学やTLOの技術シーズと産業界のニーズのマッチングを強化させるための研究開発事業や情報提供事業を推進する。また、大学・公的研究機関等において、企業ニーズや社会ニーズに迅速かつ的確に対応した研究テーマの設定や評価、共同研究の推進等を行うことができるよう、民間からのコーディネート人材の登用を含め、産学官連携のためのコーディネート機能を強化する。[平成14年度着手](総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)
  • 発明補償金の上限撤廃及び増額を柱とする国立大学(大学共同利用機関を含む。以下同じ。)共通の規定を制定するとともに、法人化後の国立大学や研究開発型独立行政法人においては、各法人ごとの規程を整備する際に、発明者個人への適切な発明補償金の支払いについて規定する。また、知的財産の創造活動に係る業績に応じて優先的に研究費配分を行うなど、多様なインセンティブを設ける。[平成14年度着手、達成](総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)
  • 大学の発明委員会において、学生を含め共同研究者を明確にする旨を各大学の発明規程に明記するよう、周知徹底を図る。併せて、出願時において、各発明者の寄与度を明確化しておくよう奨励する。[平成14年度着手、平成15年度達成](総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省) 
  • 産業技術総合研究所「ベンチャー開発戦略研究センター」において、ビジネスモデル作成者、事業経営プランナーを配置し、マーケティングに裏打ちされたビジネスモデルを構築し、公的研究機関・大学の技術シーズをもとに成功率の高いベンチャーを生み出す起業化システムの実証・研究を行う。[平成14年度着手、平成18年度達成](経済産業省)

3.事業環境の整備

(1) 研究開発と産業を結ぶ研究開発基盤機能の整備

産学官が連携して研究できる研究開発基盤機能を整備します。

<基本行動計画>

○ 産学官連携による研究開発のプラットフォームを整備する。 このため、
  • 大学、研究機関間のネットワークを充実する。(文部科学省、厚生労働省)
  • 産学官共同研究施設、起業家育成設備を整備する。(経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 大学、研究機関間の知識の共有化を図るための機関間ネットワークを充実する。[平成15年度着手(一部実施中)](文部科学省、厚生労働省)
  • 産業技術総合研究所(地域センター)内に実用化技術開発のための試作設備などを有する産学官共同研究施設及び大学連携型の起業家育成施設(インキュベータ)を整備する等、必要な措置を講ずる。[平成14年度着手](経済産業省)

(2) 技術と産業・実用化の現場を結ぶ橋渡し体制の整備

BTの成果を迅速に国民全体が享受するために産業化・実用化への橋渡し体制を確固たるものにします。

(行動計画は、「U.戦略2に関する各分野の行動計画」中に記載)

(3) 戦略的な知的財産政策の強力な推進

知的財産の創造、保護、活用の戦略的推進を図ります。

<基本行動計画>

○ 大学・公的研究機関における研究開発成果の特許化を戦略的に推進するため、知的財産の管理機能を強化するとともに、特許の出願、維持、管理に関する所要の支援を行う。(総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)
○ 日本版バイ・ドール制度について、特別の事情がある場合を除き、全ての委託研究開発について適用する。(総合科学技術会議、関係府省)
○ タンパク質立体構造特許、裁定実施権等BTに特有な問題については調査研究を進める。(文部科学省、経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 知的財産の保護、活用を図るための専門知識を有する人材を大学等で養成するための制度を開始する。[平成14年度着手](総合科学技術会議、文部科学省)
  • 大学・公的研究機関やTLO等における知的財産の権利化を促進するため、今後(国立大学については法人化にあわせ)特許出願の明細書作成・弁理士費用、海外出願・国際(PCT)出願の費用、特許維持費用等について、必要十分な経費の確保に努める。また、国立大学の法人化前であっても、TLOを通じた個人帰属の特許活用を推進することとし、海外出願、国際(PCT)出願の費用確保に努める。[平成15年度着手](総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)
  • 研究開発の実施段階から知的財産の発掘・権利化を行うため、大学・公的研究機関等における弁理士や民間の専門家の活用を推進するとともに、産学官連携組織の機能の強化を図る。また、他大学に先立ち、全国数十程度の主要な国公私立大学においてTLOとも連携しつつ、企業経営者等民間の人材を活用して、知的財産の創造と活用を総合的に支援する「知的財産本部」の整備等を開始する。[平成14年度から順次着手](総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)
  • 大学、公的研究機関やTLO等におけるリサーチツールやリサーチマテリアルを含む研究開発成果物等の取扱に関して、その帰属や研究開発の場での広い利用の促進、産業利用等に関するルールを明確化し、周知徹底を図る。[平成14年度着手、実現](総合科学技術会議、文部科学省、関係府省)
  • 国・特殊法人等の委託による研究開発の成果たる知的財産権を受託者に帰属させることができる産業活力再生特別措置法第30条(いわゆる日本版バイ・ドール制度)を特別の事情があるものを除き、全ての委託研究開発予算について適用する。[平成14年度着手、達成](総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、関係府省)
  • 大学等における知的財産本部の設置とともに、大学の知的財産戦略に応じたBT関連の専門家の配備等を通じてBT関連機能の強化を図る。また、BT分野の研究プロジェクト内に知的財産担当者を置き、TLO、知的財産本部などとの連携を図る。また、大学等が進める研究開発に関し、生じた成果の特許化等に必要な経費をあらかじめ研究開発経費に盛り込むことなどにより、知的財産権の確保を支援する。[平成14年度着手](文部科学省)
  • 農林水産省所管の独立行政法人が保有する特許権等について民間企業における利活用の促進を図るため、独立行政法人の研究成果に係るTLOを新たに整備する。[実施中、平成19年度達成](農林水産省)
  • ポストゲノム研究の成果を特許権として適切に保護するため、タンパク質立体構造発明について、審査事例集の作成・公表を行い、審査基準と権利化のあり方を明確化する。また、その特許性に関する日米欧三極特許庁比較調査を行い、審査基準の三極調和を検討する。[平成14年度着手](総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省)
  • 起業家育成システム導入促進事業において、TLO等における人材育成にとって重要である技術経営(Management of Technology)教育のためのプログラム、教材開発等を行う。また、産業技術フェローシップ制度において、TLO等産学リエゾン機関への派遣による人材育成を行う。[平成14年度着手、平成18年度達成](経済産業省)
  • 各種研究開発補助金制度等の対象経費に特許取得費用も含まれるよう拡充、TLOの行う技術移転事業に係る補助金について海外出願費用を新たに補助対象項目として追加することにより、民間企業やTLOの特許取得を支援する。[平成15年度から順次着手](経済産業省)
  • BT分野における特許権について、将来の研究進展、産業展開、国民への影響を見据えつつ、適正な制度設計を検討し、裁定実施に関する日米合意が及ぼす影響を考慮して、具体的事例に則しての権利の保護と、特許の円滑な活用・流通に関して、調査・検討し、結論を得る。[平成14年度着手](経済産業省)

(4) BT産業の拠点づくりを通じた産業競争力の強化

BT産業の集積する拠点を整備し、地域からBT産業の競争力の強化を図ります。

<基本行動計画>

○ 大学、公的研究機関等を核とし、関連研究機関、研究開発企業等が集積する研究開発能力の拠点創成のため、「知的クラスター」の創成を推進する。(文部科学省)
○ 産業支援機関を助成する等により、関東、近畿、北海道等の「産業クラスター」等の産業集積形成促進を図る。また、域内の企業連携、産学官連携を促進するために必要な措置を講ずる。(経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 自治体の主体性を重視し、知的創造の拠点たる大学、公的研究機関等を核とし、関連研究機関、研究開発企業等が集積する研究開発能力の拠点(知的クラスター)の創成を目指して「知的クラスター創成事業」を全国本格実施地域12地域、試行地域6地域で推進する。具体的には、本格実施地域のうち4地域、試行地域では5地域において、BTの関連研究機関、研究開発企業等が集積した一大クラスターの形成を目指し、事業を推進する。[平成14年度着手](文部科学省)
  • 地域の比較優位性を踏まえて、地方自治体とも連携しつつ、「産業クラスター計画」を、当面、全国19のプロジェクトで推進していく。具体的には、関東、近畿、北海道等のBT分野の産業クラスターにおいて、産学官の広域的な人的ネットワーク形成を図る産業支援機関の助成、地域の特性を活かした技術開発の推進、起業家育成施設・起業環境の整備等、産業集積形成促進のために必要な措置を講ずる。[実施中](経済産業省)
  • 文部科学省の知的クラスター創成事業と経済産業省の産業クラスター計画については、地域クラスター推進協議会や合同成果発表会等の連携策を講じることにより、支援策の効果的な運用を図る。[平成14年度着手](文部科学省、経済産業省)
  • 大学等の技術シーズや知見を活用した産学官研究共同体制(コンソーシアム)による実用化技術開発を実施するとともに、中堅・中小企業による新分野進出やベンチャー企業による新規創業のためのリスクの高い技術開発を支援する等、域内の企業連携、産学官連携を促進するために必要な措置を講ずる。[平成14年度着手](経済産業省)

U.戦略2に関する各分野の行動計画

【医療・健康分野(よりよく生きる)】

@ BTを活用した画期的な医薬品・医療機器開発へのインセンティブを高めます。

<基本行動計画>

○ 本年4月に改正された薬価、医療機器に関する算定制度において、画期的・革新的な新薬に係る加算率が大幅に引き上げられるなどされており、適切な運用を図るとともに、BTによる開発のインセンティブが十分に行きわたり、技術革新に見合うように更に検討する。(厚生労働省)
○ 「医薬品産業ビジョン」(平成14年8月)中のアクショプランに基づき、医薬品産業の国際競争力強化を図る。(厚生労働省)
○ 医療機器産業の国際競争力強化のため、「医療機器産業ビジョン」(仮称)を策定する。(厚生労働省)
○ 医療機器産業の国際競争力強化のため、体内埋め込み型の医療機器等の開発・製品化を促進するための措置について検討を行う。(経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 現行の「薬価算定ルール」において、画期的・革新的新薬については、開発のインセンティブを与えるため、薬価算定の際に加算を行う仕組みとしており、平成14年4月以降は更にその加算率を大幅に引き上げ、また、医療機器についても「算定基準」において、画期的・革新的な新しい医療機器について、加算を行える仕組みとした。本制度の適切な運用を図るとともに、今後の実績等を踏まえつつ、BTによる開発のインセンティブが十分に行きわたり、技術革新に見合うように更に検討する。[実施中](厚生労働省)
  • 医薬品産業の将来ビジョンとして、本年8月に取りまとめられた「医薬品産業ビジョン」について、治験の推進や研究開発の支援など、ビジョンの中で掲げている「アクションプラン」の具体的かつ総合的な支援策を実行し、医薬品産業の国際競争力強化を図っていく。[実施中、平成18年度達成](厚生労働省)
  • 世界的に大きな成長が見込まれる医療機器産業の国際競争力強化のため、その現状及び今後の課題等を分析した上で、医療機器の研究・開発から販売、保守管理に至るまでの総合的な支援策を検討し、「医療機器産業ビジョン」(仮称)を策定する。[平成14年度達成](厚生労働省)
  • 体内埋め込み型の医療機器等の技術的、社会的にリスクの高い医療機器の国際競争力を高めるため、企業が積極的にこのような医療機器の開発・製品化に取り組むための環境整備について所要の措置の検討を行う。[平成14年度着手](経済産業省)

A BTを活用した先端医療研究の成果が、実際の医療現場で早く、広く活用されるよう、研究開発と臨床との橋渡し体制を整備します。

<基本行動計画>

○ 全国治験活性化3カ年計画を策定し、それに基づき、主に以下の施策を実施する。(文部科学省、厚生労働省)
  • 治験に関する大規模ネットワークを構築する。
  • 治験コーディネーター※の養成を図る。
  • 治験の意義や内容についての普及啓発活動を進める。
  • 医師主導で実施する治験システムを導入する。
○ 治験に関するインセンティブを高めるため、治験に関わる業績の評価や研究費の効果的な配分等を図る。(厚生労働省)
○ 高度先進医療の実施について、特定療養費制度の対象となる要件の緩和を行う。(厚生労働省)

<詳細行動計画>

  • @大規模治験ネットワークの構築、A小児用医薬品やオーファンドラック等の治験の推進、B医療機関の治験実施体制の充実、C患者の治験参加を支援する施策、D臨床研究全体の推進などを内容とする「全国治験活性化3ヵ年計画」を策定する。[平成14年度](文部科学省、厚生労働省)
  • 治験の質の向上に寄与する治験コーディネーター(CRC)養成を促進する。[平成15年度着手、平成17年度達成](文部科学省、厚生労働省)
  • 大学等における基礎的研究成果を臨床等に適切に結びつける等の臨床応用研究(トランスレーショナルリサーチ)の着実な推進を図る(トランスレーショナルリサーチプログラム)。また、大学等における体制の整備を図る。[平成14年度着手、平成18年度達成](文部科学省)
  • 疾患群ごとに、@国立高度専門医療センター、高度専門医療施設等、A特定機能病院、B臨床研修指定病院など複数の医療機関の間でネットワーク事務局を中心に治験に関する大規模なネットワークを形成し、承認に必要な症例数を速やかに確保する体制を整備する。[平成15年度着手、平成17年度達成](厚生労働省)
  • 欧米で標準的な医薬品等でありながら国内では不採算等のため導入されていない医薬品等について医師主導で実施する治験のシステムを上記大規模治験ネットワークにおいて導入する。[平成15年度着手、平成17年度達成](厚生労働省)
  • 患者が、治験の意義や内容を理解し、治験実施状況等に関する情報を容易に入手でき、安心して治験を受けることができるよう、@関係機関、関係団体等が、シンポジウムの開催など、国民に対する治験の意義や内容に関する普及啓発、広報活動を一層進め、A国内における治験の実施状況を網羅的にインターネットを通じて提供することとする。[平成14年度着手](厚生労働省)
  • 研究者のインセンティブの向上を図るため、治験に係る契約内容(症例数)の着実な実施を徹底するとともに、治験に関わる業績の評価や研究費の効果的な配分について検討する。また、患者のインセンティブの向上を図るため、費用負担の軽減などを検討する。[平成14年度着手](厚生労働省)
  • 高度先進医療の実施について、特定療養費制度の対象となる「特定承認保険医療機関」の要件の緩和を実施する。[平成15年度着手、達成](厚生労働省)

【食料分野(よりよく食べる)】

@ BTを活用した農業・種苗産業の活性化を図ります。

<基本行動計画>

○ BTを活用した農業・種苗産業の将来像について、官民一体となって検討するとともに、その実現に向けた総合的な取組を推進する。(農林水産省)
○ 植物新品種について、育成者権侵害対策のために必要な法制度の整備について検討を行う。また、品種の不法な持ち出し等による被害を防止するため、品種識別技術の向上を図る。(農林水産省)
○ 植物新品種登録について、インターネットによる出願を可能とするとともに、新品種審査期間を平均で3年に短縮する。(農林水産省)
○ 優良な稲の民間育成品種の市場への周知・PR等取組の充実を図る。 (農林水産省)
○ 構造改革特区において、農業生産法人以外の法人が農業経営目的で農地等の権利を取得できるよう規制を緩和する。(農林水産省)

<詳細行動計画>

  • BTを活用した農業・種苗産業の将来像について、官民一体となって検討するとともに、その実現に向けた総合的な取組を推進する。[平成14年度着手](農林水産省)
  • 植物新品種に関し、育成者権侵害対策のために必要な法制度の整備について検討を行う。[平成14年度着手](農林水産省)
  • 当事者等からの依頼により比較栽培を実施する体制の整備について検討する。また、DNA分析による簡便・迅速な品種識別技術についても、技術開発・精度向上、識別結果の活用促進のための環境整備を推進する。[平成14年度着手](農林水産省)
  • 植物新品種に関し、出願者の利便性向上を図るため、品種登録事務手続の電子システムの整備等により、インターネットによる出願手続を可能とする。また、栽培試験実施機関の体制整備等により新品種の育種動向に対応した審査の高度化を図りつつ、植物新品種審査期間について、その平均期間を3年に短縮する。[平成14年度着手、インターネット出願手続は平成15年度達成、審査期間短縮は平成17年度達成](農林水産省)
  • 優良な稲の民間育成品種の普及に向けて、民間育成品種の市場への周知・PR等について検討を進めるとともに、都道府県による奨励品種への採用の促進を図るための方策について検討する。[平成14年度着手](農林水産省)
  • BT産業への活用も可能となる構造改革特別区域法案における農業生産法人以外の法人に対する農業経営目的での農地等の権利取得(賃借権又は使用貸借による権利)を認める制度を創設する。[平成14年度](農林水産省)

A 食品産業の競争力強化や農業との連携を推進するため民間が行う実用化研究を支援します。

<基本行動計画>

○ 食品産業の競争力強化や農業との連携を推進するため、民間が行う食品分野の実用化研究を支援する。(農林水産省)

<詳細行動計画>

  • 食品産業の競争力強化や農業との連携を推進するため、民間が行う以下の食品分野の実用化研究を支援する。@発酵による機能性食品・成分の生産技術。Aバイオマーカー等を活用した機能性食品の評価及び製造技術。B高齢社会に対応した高付加価値食品製造技術。C地域の特色ある農産物の利用を促進するための食品製造技術。[平成15年度着手(一部実施中)、平成19年度達成](農林水産省)

Bより分かりやすい食品表示への改善や保健機能食品の普及啓発を進めます。これにより価値に見合った価格が市場で形成されることも期待されます。

<基本行動計画>

○ より分かりやすい食品表示への改善や保健機能食品についての普及啓発を進める。(厚生労働省、農林水産省)

<詳細行動計画>

  • 消費者にとってより分かりやすい食品表示へ改善する。[実施中](厚生労働省、農林水産省)
  • 相談機関やアドバイザリースタッフに係る民間における取組等を通じ、保健機能食品について消費者が正しい知識をもち、自ら選択できるように、一層の普及啓発を促進する。[実施中、平成19年度達成](厚生労働省)

【環境・エネルギー分野(よりよく暮らす)】

a.環境・エネルギー分野(バイオプロセスを除く)

@ 環境と調和した持続的に発展可能な社会実現のために、循環可能な資源であるバイオマスの有効活用、円滑な導入のための措置を講じます。

<基本行動計画>

○ バイオマス利活用促進のために、「バイオマスニッポン総合戦略」等に基づき、以下をはじめとした総合的な施策を行う。(総合科学技術会議、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)
  • バイオマスの回収・再資源化、資源利用までの一貫したバイオマス利用関連技術開発を行うとともにその技術を活用する社会システムを構築する。(文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)
  • 電力分野におけるバイオマスエネルギー利用拡大に向けた取組を行う。(経済産業省)
  • 構造改革特区において、バイオマス等の再生資源を利用して製造されたアルコールに関する規制を緩和する。(経済産業省)
  • 自治体や民間が行う、バイオマスエネルギー活用のための取組に支援措置を講ずる。(農林水産省、経済産業省、環境省)

<詳細行動計画>

  • バイオマスを循環的に最大限活用することにより、将来にわたって持続的に発展可能な社会の実現に向けた国家戦略である「バイオマス・ニッポン総合戦略」(2002年12月策定予定)に基づき、以下の施策をはじめ、バイオマス利活用促進のための諸施策の着実な推進を図る。[平成15年度着手](総合科学技術会議、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)
  • 林地残材や古紙、食品廃棄物等といったバイオマスや産業廃棄物等を効率的に収集し、これらをさまざまな変換技術により、製品やエネルギーとして利活用するといったような、回収・再資源化・資源利用までの一貫したバイオマス利用関連技術を開発するとともに、その実用化・普及が図られ、それらが最大限に活用されるような社会システムを開発する。[平成15年度着手(一部実施中)](文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)
  • 電気や自動車燃料としての利用に際する技術的な課題や制度的問題等所要の論点について整理した上で、バイオマスエネルギーを産出する技術やシステムの在り方について検討する。[平成15年度着手](経済産業省)
  • 認定構造改革特別区域において、使用済物品等又は副産物を再生資源として利用し、酒類の原料として不正に使用されるおそれがないものとして製造するアルコールについては、アルコール事業法に基づく流通管理等に係る規定を適用しないこととする。[平成15年度](経済産業省)
  • バイオマスを法律上位置づけた「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」により、電力分野におけるバイオマスエネルギーの一層の導入拡大に向けた取組を行う。[平成15年度着手](経済産業省)
  • バイオマスエネルギーを導入する自治体、事業者、NPO等に対する支援を拡充する。[実施中](農林水産省、経済産業省)
  • 下水汚泥と未利用バイオマスを共同処理し、メタン回収を行うモデル事業を実施する。[平成15年度着手](国土交通省)
  • 廃棄物からのメタン回収施設の設置に対する補助を拡充する。[平成15年度着手](環境省)
  • NPO/NGO等民間団体や企業等が連携して行う、バイオマスの利活用など循環型社会の形成に向けた取組のアイデアを公募し、実証事業として実施することにより、リデュース(排出抑制)、リユース(再使用)を中心とする循環型社会に向けた取組を推進していく。[平成15年度着手](環境省)

A 土壌などの環境修復事業に係る環境整備を進めます。

<基本行動計画>

○ バイオレメディエーションに係る現場実証試験と総合評価等を行う。(環境省)
○ バイオレメディエーションに係る安全指針について、一元化を含めてそのあり方を検討する。(経済産業省、環境省)

<詳細行動計画>

  • 低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術の検討の一つとして、植物を用いた重金属汚染土壌浄化技術等のBTを活用した対策技術について現場実証試験と総合的な評価を行い、その結果を公表する。[平成14年度](環境省)
  • 非遺伝子組換え生物(微生物等)を用いたバイオレメディエーションについては、経済産業省、環境省に並列して安全に係る指針が存在しており、一元化を含めた適切な制度の検討を行う。[平成15年度着手](経済産業省、環境省)

b.バイオプロセス分野

@ バイオプロセスの普及のためのインセンティブの充実を図ります。

<基本行動計画>

○ バイオプロセスに投入する植物由来原料に関する関税制度についてその運用の見直しを図る。(農林水産省、経済産業省)
○ バイオプロセス、バイオマスエネルギー・製品の普及のためのインセンティブについて総合的な検討を行う。(経済産業省)

<詳細行動計画>

  • バイオプロセスに投入する植物由来の原料の供給に関しては、原料需要の拡大につながる新市場を創出する用途を対象として、その大半を占めるコーンスターチ製造用とうもろこしの関税割当制度の運用の見直し等を図る。[平成15年度着手、平成16年度達成](農林水産省)
  • 製造工程へのバイオプロセスの導入、バイオマス由来のエネルギー・製品の普及のために、最終製品の価格インセンティブ、原材料のコストインセンティブを付与すべく総合的な支援措置を検討する。[平成15年度達成](経済産業省)
  • 我が国の高い技術ポテンシャルを活かし途上国等におけるバイオマス活用を推進するため、民間企業の海外におけるプロジェクトの実施を後押しする。[平成15年度着手](経済産業省)

A 生分解性プラスチック等BT関連製品普及のための環境整備を図ります。

<基本行動計画>

○ 生分解性プラスチックに関し、グリーン購入法における扱いについて検討を行う(農林水産省、経済産業省、環境省)とともに、ライフサイクルを通じて環境負荷の少ないBT関連製品については、普及促進を図る(環境省)。また、生分解性プラスチックの国際標準化への対応を行う。(経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 生分解性プラスチック及び植物原料由来プラスチックのグリーン購入法特定調達品目としての取扱いについて検討する。[平成13年度着手](農林水産省、経済産業省、環境省)併せて、BT関連製品(生分解性プラスチック等)の環境負荷について、原材料の製造から製品の廃棄にいたるライフサイクルを通じて、エネルギー使用・温暖化への影響、循環型社会システムへの影響、有害物質の排出による影響、生態系への影響等の観点から、積極的に検討を行い、環境負荷低減に資する製品については、グリーン購入の推進等により普及促進を図る。[実施中](環境省)
  • 生分解性プラスチックの国際標準化について、研究開発成果の国際的普及、国際競争力強化の観点から、国際標準の提案を行う等、より積極的に対応を進める。[平成15年度着手](経済産業省)

戦略3 国民理解の徹底的浸透

T.戦略3に関する分野横断的な事項に関する行動計画

1.情報の開示と提供の充実

BTに関する双方向のコミュニケーションを各府省連携の下で充実・強化します。

<基本行動計画>

○ BTに関する国民との双方向のコミュニケーションを関係府省連携の下で行い、各府省は共通の情報発信機能を整備する。(関係府省)
○ BTに関する国民理解増進への取組等について、総合的な取組を行う。 (関係府省)
○ 遺伝子組換え作物に関する国民理解行動計画を策定する。(農林水産省)

<詳細行動計画>

  • 国民理解増進のために、関係各府省共通の国民理解促進のための総合計画を策定する。その際、各府省で行っている国民への情報提供について共通の情報発信機能を整備する。また、関係各府省は、上記総合計画推進のための各府省ごとの政策を策定する。その際、ELSI※への取組の強化策について、それぞれの府省が行う事業の特徴を勘案しつつ、可能な限り数値的な目標を提示するものとする。[平成14年度着手](総合科学技術会議、関係府省)
  • マスメディアを通じた情報の提供、大学・研究機関の公開等を活用して、積極的な情報の開示を進めるとともに、わかり易い情報提供のための資料作成を進める。また、サイエンスチャンネル、日本科学未来館等において、BTに関する情報発信を進める。[実施中](文部科学省)
  • 生命倫理・安全対策に関する取組について、審議会等の公開とともに、電子パンフレットの作成などを通じ、積極的に情報の提供を行う。また、ELSIについての高い意識と知見をもったBT分野の研究者の養成を進める。[実施中及び平成14年度着手](文部科学省)
  • 生命倫理・安全対策に係る様々な指針において、研究成果の公開についての規定を盛り込み、機関内倫理審査委員会等における情報の公開を促す。[実施中](文部科学省)
  • 遺伝子組換え技術等BTに対する国民理解の増進を図り、国民理解のもとに研究成果の円滑かつ迅速な実用化を促進し、適切な形で社会に還元するため、BTに関する情報の提供や国民各層間のコミュニケーションの充実を図る。[実施中](農林水産省)
  • 遺伝子組換え作物について、実証試験による安全性の明確化等を含む行動計画を策定する。[平成14年度着手](農林水産省)
  • 国立試験研究機関等の有する特許や研究成果をデータベース等を活用して積極的に公開するとともに、インターネット等を通じたBTに関する情報発信を進める。[実施中、厚生労働省]
  • BTの理解と信頼を築くために、NPO法人などとの連携を行う他、インターネット等を通じ情報発信の強化に取り組む。[平成15年度着手](経済産業省)

2.安全・倫理に対する政府の強固な姿勢を国民に提示

安全や生命倫理に関する取組に万全を期し、その取組を国民に積極的に開示・提供します。

<基本行動計画>

○ 安全、倫理に対する取組に万全を期すとともに、その強固な姿勢を国民に積極的に開示・提供し、リスクコミュニケーションを進める。(関係府省)

 (詳細行動計画については、「U.戦略3に関する各分野の行動計画」中に記載)

3.学校教育・社会教育等の充実

国民が適切に判断し、選択できる環境を整備します。

<基本行動計画>

○ BTに関し、国民の理解の一層の増進を図るとともに、学校教育・社会教育等の充実を図る。また、長期的観点に立って、BT関連分野の人材育成に向けて興味や関心を呼び起こすために、初等中等教育における生物教育をはじめとした科学技術、理科教育を充実する。(文部科学省)

<詳細行動計画>

  • BTを含む科学技術、理科教育を重点的に行う高等学校を対象とした「スーパーサイエンスハイスクール」、小・中学校を対象とした「理科大好きスクール」等の「科学技術・理科大好きプラン」の充実を図るとともに、小学校教諭、中学校・高等学校の理科教諭に対するBTを含む科学技術・理科教育に関する研修について、大学、研究機関等と教育委員会が連携して実施するための支援策を講ずる。[平成14年度及び平成15年度着手](文部科学省)
  • 高等学校等における教育目的の組換えDNA実験を行う指導者の育成を目的としたセミナーを開催する。[平成14年度着手](文部科学省)
  • 大学等におけるBT関連公開講座の充実や公民館・コミュニティーセンター等を活用したBT関連の講習会の開催の促進のほか、BTを含む科学技術・理科について、興味や関心を呼び起こす情報を提供し、科学館等を活用した情報発信を行う。[平成15年度着手(一部実施中)](文部科学省)

U.戦略3に関する各分野の行動計画

【医療・健康分野(よりよく生きる)】

@ 医薬品・医療機器に関する安全確保対策に万全を期します。

<基本行動計画>

○ 独立行政法人医薬品医療機器総合機構を設置し、医薬品・医療機器等の総合的な審査と治験前段階から承認までの一貫した指導・審査を行う。その際、質の向上、効率化を図り、審査期間の短縮化、審査プロセスの透明化、優先審査体制の拡充等を行う。(厚生労働省)
○ BT応用医薬品・医療機器等を含む「生物由来製品」について、安全確保対策を行う。(厚生労働省)
○ 医薬品等のリスク管理、リスク評価手法、安全情報収集、分析体制に関する調査研究を進める。(厚生労働省)

<詳細行動計画>

  • 従来の3組織を統合した「独立行政法人医薬品医療機器総合機構」の平成16年新設に向けた取組みを着実に実施する。同機構の設立に併せ、その機能の更なる拡充を図り、BTを活用した先端医療への国民の信頼をより一層確保するための方策を検討する。具体的には、人員・組織を強化し、治験前段階から承認までの一貫した指導・審査体制を構築するとともに、質の向上、効率化を図り、以下の取組を行う。[平成14年度着手、平成16年度以降随時達成](厚生労働省)
    *審査期間の短縮化、審査プロセスの透明化
    *審査官として、医学、薬学、獣医学、統計学、工学等の専門家の採用、増員
    *「ファスト・トラック制度※」(優先的な治験相談)の導入
    *医療上有用性の高い製品に対する「優先審査体制」の拡充
    *医療機器に係る申請前相談制度の開始、事務処理機関の改善など
    *生物由来製品に関する専門審査体制の構築
  • 本年の改正薬事法の改正の趣旨に則り、審査関連業務の再編充実と併せ、承認審査から安全対策までを総合的に行う体制を構築するため、幅広く安全情報を収集し、分析する体制や、IT技術を活用したより効果的な安全情報提供システムを構築するとともに、医薬品・医療機器等の有効性、安全性等の向上に関する調査を実施し、安全情報の質的向上、効率的・効果的提供等を図る。[平成14年度着手、平成16年度以降随時達成](厚生労働省)
  • 本年の改正薬事法に則り、BT応用医薬品・医療機器等を含む「生物由来製品」について、原料採取・製造から市販後まで一貫した安全確保対策を推進する。[平成14年度着手、平成15年度以降随時達成]また、生物由来の医療機器による健康被害救済制度を創設する[創設作業中、平成16年度達成](厚生労働省)
  • BTなどを利用した医薬品等の高度なリスク評価・管理技術の高度化のための研究開発を進める。[平成15年度着手、平成19年度達成](厚生労働省)

A 生命倫理に関し、徹底的な議論を尽くします。

<基本行動計画>

○ 総合科学技術会議及び各省の審議会等において、生命倫理に関する検討を進めるとともに、その検討結果等を踏まえて、BTに関する倫理について各種ルールを策定する。また、BTに関する倫理的、法的、社会的課題についての検討を進める(関係府省)

<詳細行動計画>

  • 総合科学技術会議生命倫理専門調査会において、ヒト受精胚の人の生命の萌芽としての取扱いについての検討を進め、その結論を得る。[実施中、平成15年度達成](総合科学技術会議)
  • 総合科学技術会議生命倫理専門調査会におけるヒト胚の取扱いに関する議論を踏まえ、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」、「特定胚の取扱いに関する指針」及び「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」の見直しの検討を行う。[平成16年度達成](文部科学省)
  • 臨床研究全般を対象とする基本的な指針(ガイドライン)を策定する[平成15年度達成]。また、ヒト体性幹細胞を用いた臨床研究[平成14年度達成]、ヒト胚性幹細胞を用いた臨床研究[平成15年度達成]に関し、指針を策定する。(厚生労働省)

B 個人遺伝情報の管理・利用のルール整備を進めます。

<基本行動計画>

○ 個人遺伝情報の保護のためのルール作りについての検討を進める。(関係府省)

<詳細行動計画>

  • 大規模な試料から得られるゲノムデータや個人のデータの取扱いに関するルール作りに努める。[平成14年度着手](文部科学省)
  • OECDワークショップを開催すること等を通じて、個人遺伝情報の保護に関する議論を深めることにより、個人遺伝情報保護法のあり方等ルールの策定を目指し、インフラも含めた産業利用の基盤整備を検討する。[平成15年度着手](経済産業省)

【食料分野(よりよく食べる)】

@ 消費者の健康を最優先に、食品安全委員会(仮称)を設立する等食品の安全に関する組織の大幅な拡充を図るなど、食品の安全対策を大幅に強化します。

<基本行動計画>

○ 食品安全委員会(仮称)を新たに設置するとともに、食品安全基本法(仮称)を制定する。(食品安全委員会(仮称)設立等準備室)
○ 食品のリスク管理に関する大幅な組織再編を行う。(厚生労働省、農林水産省)
○ 遺伝子組換え体利用飼料の安全性審査を法的に義務づける。(農林水産省)

<詳細行動計画>

  • 「今後の食品安全行政のあり方について」(平成14年6月11日 食品安全行政に関する関係閣僚会議)に沿って、消費者の健康保護を最優先に、食品安全行政にリスク分析手法を導入し、食品の安全に関するリスク評価を行う食品安全委員会(仮称)を新たに設置する(リスク評価の対象から医薬品は除外されている。)。また、消費者の保護を基本とした包括的な食品の安全を確保するための法律として食品安全基本法(仮称)を制定する。[平成15年度](食品安全委員会(仮称)設立等準備室)
  • 健康影響が広範に渡る等重大な事件事故等の発生への対応や輸入食品対策をはじめとする食の安全確保体制の強化など、リスク管理を担う厚生労働省として、医薬食品局(仮称)及び食品安全部(仮称)を新設する等の大幅な組織再編を行う。[平成15年度](厚生労働省)
  • 農林水産省の組織再編として、食品のリスク管理部門を産業振興部門から分離・強化するため、食料消費行政とリスク管理を担う新局として「消費・安全局(仮称)」を新たに設置する。[平成15年度](農林水産省)
  • 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)に基づく省令を改正し、遺伝子組換え体利用飼料等の安全性審査を法的に義務化する。その後、最新の科学的知見及び国際的情勢等により、規制の内容について必要に応じ見直しを行う。[平成15年度](農林水産省)

A 食品の安全性・機能性についての国民とのコミュニケーションを進めます。

<基本行動計画>

○ BT応用技術を用いた食品やいわゆる健康食品の安全性・効果に関する情報の提供やリスクコミュニケーション・システムの構築等を行う。(食品安全委員会(仮称)設立等準備室、厚生労働省、農林水産省)

<詳細行動計画>

  • 食品安全委員会(仮称)は、自ら行う食品のリスク評価について、リスクコミュニケーションを実施する。また、リスク管理機関が行うリスクコミュニケーションも含めた、リスクコミュニケーション全体の総合的なマネージメントを実施する。加えて、総合的なリスクコミュニケーションとして、委員会を中心に、リスク管理機関、消費者、生産者等幅広い関係者を集めた意志疎通の仕組みを設ける。[平成15年度着手](食品安全委員会(仮称)設立等準備室)
  • BT応用技術を用いた食品の安全性に対する正しい理解啓発のために、新規のテクノロジーに対する国民の懸念・不安に対するための情報提供、広報担当コミュニケーター育成等を推進する。[平成15年度着手、平成19年度達成](厚生労働省)
  • 遺伝子組換え作物を含め、食品安全に対する消費者等の信頼関係構築・強化のため、食品安全委員会(仮称)との円滑な連携や消費者等とのリスクコミュニケーションの体制の整備等を図るとともに、リスクコミュニケーション・システムの構築(システム開発・分析・評価、人材育成)、情報収集及び情報提供、企画・調整を行う。[平成15年度着手、達成](厚生労働省)
  • 食品安全委員会(仮称)や厚生労働省等との連携の下、食品の安全性の問題に関わるリスク管理施策の強化、徹底した情報開示等に努めるとともに、消費者等との対話窓口として、独立行政法人農林水産消費技術センター内に「リスクコミュニケーションセンター(仮称)」を創設する。[平成15年度](農林水産省)
  • 特定保健用食品以外のいわゆる健康食品について、安全性や効果等に関する情報提供・分析データベースの構築、消費者や専門家(医師、薬剤師、管理栄養士等)向け情報提供等を実施し、安全性・効果に関する情報の収集・提供を充実する。[平成15年度着手、平成19年度達成](厚生労働省)

【環境・エネルギー分野(よりよく暮らす)】

@ 遺伝子改変生物の生物多様性の保全や環境への悪影響を防止します。

<基本行動計画>

○ 遺伝子改変生物の利用等が生物多様性の保全及びその持続可能な利用に及ぼす悪影響を防止するための国際的な枠組みである「カルタヘナ議定書」を締結するため、所要の国内法を整備する。これに併せて、遺伝子改変生物の環境への意図的な導入に係る適正な規制を行うための、リスク管理・リスク評価の手法についての研究開発を行う。また、生物多様性についての影響を調査する。(文部科学省、農林水産省、経済産業省、環境省)

<詳細行動計画>

  • 遺伝子改変生物の利用等が生物多様性の保全及びその持続可能な利用に及ぼす悪影響を防止するための国際的な枠組みである生物多様性条約カルタヘナ議定書を締結するため、所要の国内法を整備するとともに、国内実施体制を構築する。これに基づき、遺伝子改変生物の利用に先立って、生物多様性の保全及びその持続可能な利用への悪影響を審査する。[平成14年度着手](環境省を中心に文部科学省、農林水産省、経済産業省)
  • 遺伝子改変生物に関するリスク評価と管理の技術(リスク・ベネフィットの定量化手法等)を開発するため、環境への意図的な導入における事前評価・事後管理手法の検討や調査研究を行う。[平成14年度着手](文部科学省、農林水産省、経済産業省)
  • 国民に組換えDNA技術の安全性に関する情報基盤整備等を行うため、国内外の最新情報等の収集・蓄積を行い情報発信の強化に取り組む。[平成15年度着手](経済産業省)
  • 国内で利用される遺伝子組換え生物が、生物多様性に悪影響を及ぼしていないかどうかを確認するため、全国の利用地域等において調査計画を策定し、影響の有無、程度に関する調査を継続的に実施する。[平成15年度着手](環境省)

A バイオマスとバイオプロセスの有用性を実際に体験できる場を設定します。

<基本行動計画>

○ 愛知万博において、バイオマスエネルギーや生分解性プラスチックに関するモデル事業を行うなど、国民理解を促す機会を設ける。(農林水産省、経済産業省)

<詳細行動計画>

  • 「愛・地球博(愛知万博)」において、生ゴミ等の有機性廃棄物を「生分解するゴミ」として分別回収し、それらをメタン発酵させ、得られたメタンガスを発電等に使用するといったような、バイオマスのリサイクルシステムのモデル事業を行う。また、「愛・地球博」における生分解性プラスチック製品の積極的な導入を図る。[平成14年度着手、平成17年度達成](農林水産省、経済産業省)

今後のバイオテクノロジー戦略の進め方

 以上のとおり、行動計画を策定したところであるが、その計画の実施状況を確認するとともに、特に進展が早いBTの動きに合わせ、適時適切にこの行動計画の見直しを行うことがバイオテクノロジー戦略の推進に不可欠なことと考えられる。このため、今後とも本戦略会議を適宜開催し、バイオテクノロジー戦略大綱の実施状況の確認等を行うこととする。


第二章 未来像
「バイオ経済社会ビジョン2002」
―BTの成果を最大限享受する経済社会像―

 本章では、三つの戦略とそれに基づく第一章の行動計画の確実な実行により実現される社会の具体的な未来像を、国民の視点に立って分野ごとに記載した。
 また、各分野の冒頭には、各戦略の確実な実行の結果として期待できる未来像を例示した。

1.健康・医療分野(よりよく生きる)

BTの応用で、例えばこんなことが実現します。
○ 自分の遺伝子の特徴を調べれば、がんや高血圧になりやすいかどうか等の個人個人の体質がわかるため、病気に罹らないように体質に合った食生活や運動をしたりといった注意ができ、また、体質に合わせて機能性食品を利用できます。また、万が一病気になったときにも、あなたの体質に合った、効果が高く副作用の少ない治療が受けられます。
○ 再生医療が実用化され、インスリン分泌細胞を糖尿病の人の体内に移植できれば、一日数回のインスリン注射が必要なくなります。また、交通事故で重い脊髄損傷を負って車椅子を利用している人が、神経幹細胞移植を受けることで、再び歩くことができるようになります。
○ がん、高血圧等の生活習慣病、関節リウマチや免疫アレルギー疾患、アルツハイマー病を含む痴呆性疾患といった種々の病気、さらにはO−157など新たな病原体による感染症について、原因やメカニズムが明らかになるとともに、画期的な新薬やワクチン等の予防法、医療技術が開発され、死亡率が減少します。
○ 低侵襲性の機器など新たな医療機器が開発されて、身体に負担が少ない治療が受けられるとともに、より早期の診断、より早期の治療が可能になり、治療技術も高度化し、より効果的な治療が受けられます。

 BTを利用して、遺伝情報に基づき個々人に合わせて有効かつ副作用の少ない治療や予防を可能とするテイラーメイド医療が実用され始め、より有効な治療をより安全に受けることができるようになる。副作用の軽減は医療費の適正化にもつながることが期待される。さらには、遺伝子レベルでの個々人の体質の解明によって未然に発病を防止することも可能となってくる。また、幹細胞等を利用して機能障害や機能不全に陥った身体組織、臓器などの機能再生を図ることにより疾病の治療を行う再生医療関連技術によって糖尿病などの生活習慣病治療、パーキンソン病治療、運動麻痺に対する神経幹細胞移植などの細胞移植や臓器移植が拒絶反応なく行えるようになる。ゲノム科学やタンパク質科学の活用によりアルツハイマー病を含む痴呆、がん、脳卒中、糖尿病、ぜん息、高血圧などの疾病の原因治療を可能とする画期的新薬等や医療関連技術の創製が期待できる。また、これらの進歩が医療現場で活かされることにより、寝たきり期間の縮減、さらには医療費の適正化にも寄与することが期待される。
 さらに、O-157、BSEなどのプリオン病に見られるような新たな病原体による感染症や、花粉症などの免疫アレルギー疾患、自己免疫疾患に対しても、BTを利用して、感染・毒性メカニズムの解明による感染予防・治療法の開発、免疫制御の糸口となる免疫制御機構の解明がなされる。
 また、近年社会問題化しているこころの健康問題や自殺などの増加に対しても、ゲノム科学の活用による人の脳機能の理解、分子レベルでの人の行動や精神活動の解明、ストレスの脳への影響の解明等が進み、問題の予防に役立てることが可能となる。
 また、国民の高い健康志向を満たす機能性食品の有効性・安全性の科学的評価が進展し、有効で安全な機能性食品が開発され、健康の自己管理に役立てられることにより、国民の健康が大いに増進される。
 他方、技術開発と並んでBTの発展に不可欠な安全確保対策が進められることによって、新しく開発された医療関連技術、医薬品、医療機器、機能性食品等に対し、確固たる安全確保体制が敷かれる。安全性の確保とともに、安全性も含めてその成果の有用性について政府と国民あるいは研究者・企業と国民の間で双方向のコミュニケーションが図られ、国民がそのリスクとベネフィットを理解した上で、新たな技術の利用を国民自身で判断し、選択することが可能になる。

 このようなBTの進展は、健康寿命の延伸を可能にし、少子高齢社会に直面する我が国において、要介護状態の予防を図り、老若男女を問わず健康で活力に満ちた質の高い生活を確保するという課題を解決するものとなる。また、それとともに、近年国民の生活を脅かしている新興感染症、内分泌かく乱物質を含む様々な化学物質の問題、さらには国民のこころの健康問題にも対処する糸口を与えるものとなるであろう。

2.食料分野(よりよく食べる)

BTの応用で、例えばこんなことが実現します。
○ 外国産の野菜で問題になった食品中の残留農薬や、汚染物質の検出がすばやくでき、毎日食べる食品をより安全に楽しめます。
○ 高級和牛などの銘柄詐称や産地の虚偽表示に対しても、科学的な検査で見破ることができるようになるので、表示を信用して買い物できるようになります。
○ 食品の安全性に関する情報がインターネットを通じて提供されるなど、入手しやすくなるので、あなたが食品を選ぶときも、きちんとした科学的な根拠に基づいて、納得して選ぶことができるようになります。
○ 含まれるでんぷん、タンパク質の種類や量を工夫した品種を創り出すことで、よりおいしいお米や、腎臓病の人向けのお米などが作れるようになります。
○ 病害虫に強くするなどの品種の改良が加えられて、質のよい食品をいつでも変わりなく手に入れることができ、食生活が豊かになります。

 BTを利用して食品中の有害物質の迅速,廉価、簡便な検出技術が確立・標準化されるとともに、DNA・微量成分等を利用した品種・産地判別技術等の確立による表示の科学的な確認が可能になり、食品偽装表示問題にも科学的な対応手段が得られる。
 これら食の安全・安心確保技術の確立とともに、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションからなるリスク分析手法の導入による確固たる食の安全確保体制の確立、安全性情報の確かな伝達を通じて、新たにBTにより開発された食品も含め、国民自身の適切な判断による食の選択が可能となり、食の安全・安心が確保される。
 食料の開発に関しては、味がよい、栄養価が高いなどの高品質な食料、あるいはアレルゲンフリー(アレルギー誘発物質を含まない)などの付加価値の高い食料が効率的に開発される。また、これらの高付加価値の食料について病害虫や不良な環境にも強い品種が効率的に開発される。

 昨今、BSE問題や一連の食品表示偽装問題により食に対する信頼が大きく揺らいでいるが、BTの進展に向けた戦略の効果的な実施により、食の安全・安心が取り戻されるとともに、安全な高品質、高付加価値食品が、安定的に供給され、豊かな食生活を楽しめるようになる。

3.環境・エネルギー分野(よりよく暮らす)

BTの応用で、例えばこんなことが実現します。
○ 工場跡地などの土壌汚染がしばしば問題になり、汚染を除去する際の安全性も問題となっていますが、BTを利用した新しい技術で、まわりの環境を汚さず、安全に汚染除去ができるようになります。
○ 高度な水質浄化技術で、湖や川の水がきれいになり、きれいな生活環境が再生されます。
○ 今はゴミとなっている建築廃材や食べ残しを利用してエタノールやメタンガスなどを発生させ、燃料として利用できるようになります。
○ 今までの化学合成法などに代えて、カイコの高い物質生産能力など生物の機能を利用した生産方法を用いることで、従来は作れなかった質の高い素材や製品が作れるようになります。
○ 従来の化学合成などに代えて、微生物などの生物の機能を物質の生産に利用することで、エネルギー消費が抑えられ、CO2(二酸化炭素)の発生が抑制されて地球温暖化防止に役立ちます。

a.環境・エネルギー分野(バイオプロセスを除く)

 農林業廃棄物、水産廃棄物、生ゴミ、生分解性プラスチックなどを原料とした石油代替製品やバイオマスエネルギーへの変換技術の向上により、廃棄物削減のみならず、枯渇資源である化石資源への依存度が低減し、エネルギーの安定供給が可能となる。
 また、微生物などの機能を利用した廃棄物や汚染物質の浄化のためのバイオレメディエーション技術の開発、環境中の有害物質などの健康や生態への影響を廉価に正確,迅速に評価できる技術の開発により、環境の保全、修復が可能となる。

 これら技術により、従来両立が困難であった環境の保全と経済の発展が同時に達成できる持続可能な快適社会が実現する。

b.バイオプロセス分野

 生物の機能を物質生産に利用するバイオプロセス分野では、微生物・植物・昆虫(カイコ)等の組換え体の利用により、従来の化学合成などでは製造困難であった物質の生産技術が開発され、生活に利便性を与える新素材や製品が生産される。さらに、バイオプロセスに利用する酵素の改良などの研究開発により生産性向上につながる技術開発が期待され、生産に要するエネルギーが大幅に少なく、環境にやさしい製品がより安価に供給されるようになる。
 また、バイオプロセスの影響は広範囲の産業に及ぶことから、国内製造業の活性化により国民の働く場が創出される。

 このように、バイオプロセスの利用により、生活の利便性が向上するとともに、製造業の変革によって働く場も広がり、国民のくらしが豊かになる。


 BTは、世界を一変させるものであり、三つの戦略の遂行により、「生きる」、「食べる」、「暮らす」の向上が図られることが確認されたものと考える。 我々に与えられた選択肢は、この事実を踏まえ、積極果敢にバイオテクノロジー戦略の実施に取り組むか、それとも座してBTの成果が世界各国で産業化・実用化されていくのを横目で見るかである。 国民各界各層が本戦略会議のメッセージを重く受け止め、戦略の実現に参画いただくことを強く期待したい。今後、政府は、国家的視点に立って、バイオテクノロジー戦略の推進に努めるものとする。



参考1

出典・用語解説等

【出典等】

<欧州のための戦略>(p4)
 「ライフサイエンスとバイオテクノロジー:欧州のための戦略」(欧州委員会より欧州理事会、欧州議会、経済・社会委員会、地域委員会に対する通達、2002年1月)

<我が国の市場規模 2001年で1.3兆円>(p5)
 日経バイオビジネスの推計を基に事務局にて編集。

(内訳)
医薬品5,700億円
農林水産品2,545億円
化成品2,051億円
食品1,130億円
分析機器等947億円
バイオインフォマティクス290億円
サービス171億円
その他482億円

1兆3,334億円

<我が国の市場規模 2010年で25兆円>(p5)
 「バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針」(科学技術庁長官、文部大臣、厚生大臣、農林水産大臣、通商産業大臣(いずれも当時)の5大臣による「関係閣僚申し合わせ」(平成11年1月29日))による。

<欧州の市場規模 2005年で12兆円>(p5)
 欧州委員会資料による。

<世界市場 2010年で230兆円>(p5)
 欧州委員会資料による。

<米国の市場規模 2025年で300兆円>(p5)
Ernst&Young社資料による。

<新規雇用効果、非バイオ産業への雇用波及効果>(p5)
 (独)経済産業研究所調査による。

<バイオ特許の国籍シェア>(p6)
 特許庁による。

<学位取得者数>(p6)
 (独)経済産業研究所資料、文部省「学校基本調査報告書」による。

<ベンチャーキャピタルのファンド額 540億円超>(p6〜p7)
 日本経済新聞による。

<原油代替効果 約1100万キロリットル/年>(p23)
 経済産業省試算による。

<2010年において期待されるバイオ関連産業の市場規模>(p24)
医薬品・医療機器   産業構造審議会新成長政策部会報告「イノベーションと需要の好循環の形成に向けて」(平成13年12月)による。

 数値の内訳として含まれているのは、遺伝子組換え医薬品(1.0兆円)、痴呆(治療薬(0.3兆円)、がん(治療薬)(0.7兆円)、アレルギー(治療薬)(0.4兆円)、遺伝子治療(薬)(0.5兆円)、人工臓器・人工組織(0.8兆円)、スイッチOTC(0.8兆円)、医療福祉情報サービス(0.2兆円)、在宅医療機器・システム(1.8兆円)、在宅遠隔診断システム(0.7兆円)、画像診断装置(0.7兆円)、高度診療支援システム(0.3兆円)、家庭用治療器(0.2兆円)
健康志向食品産業構造審議会新成長政策部会報告「イノベーションと需要の好循環の形成に向けて」(平成13年12月)による。

その他食料産業以下の各産業 経済産業省試算による


【用語解説】

ゲノム  ゲノムとは親から子へ伝えられる遺伝情報の全てを示す。ヒトの場合、23本の染色体上にのっている。どの細胞も、例外を除いて1セットのゲノムを有しており、ゲノムが引き継がれることで、細胞の活動が維持されることから、生命の設計図と呼ばれる。「ゲノム創薬」は、ゲノム情報を基に新薬を開発すること。

バイオプロセス  生産、製造、抽出等の過程で、BTを活用すること。また、その過程。

バイオマス  生物資源(量)を表す概念で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」の総称。

cDNA  (complementary DNA 相補的DNA)遺伝情報(DNA)が読みとられて、タンパク質が作られていく逆反応を人工的に起こし、遺伝情報のうち、タンパク質に読みとられる部分(遺伝子部分)のみのDNAを作り出したもの。遺伝子は、ゲノム上に断片的に分散されているため、cDNAを取得することで初めて1つの遺伝子部分が特定される。なお、DNA(デオキシリボ核酸 deoxyribonucleic acid)とは、遺伝情報を担っている化学物質のことであり、通常、二重らせん構造をとって、A(アデニン)、G(グアニン)、T(チミン)、C(シトシン)の4種類の塩基がお互いにペアーを作っている。

SNPs  一塩基多型。遺伝子の塩基配列が一カ所だけ異なる状態及びその部位を指す。同じ種であっても個体ごとでゲノムの塩基配列が異なり、ヒトでは700塩基に1個の頻度で見つかる。

糖鎖  ガラクトースやマンノースなどの約10種類の単糖が複数個結合した物質のこと。タンパク質や脂質などと結合して、その働きを制御したり、細胞表面において細胞間の情報のやり取りに関与するなど生体内で重要な役割を果たすものがある。

バイオツール  ここでは、BTを活用した産業やBTの研究開発の基盤となる機器、試薬、分析チップなどの全般を指す。バイオツール産業は、BTの他部門を支援するものとしての性格を持つ一方、それ自身が新市場を形成していく性格も有している。

バイオインフォマティクス  生物学と情報科学が融合した学問分野。生物情報科学などと訳される。ゲノム情報のデータベース化のみならず、情報科学の手法(コンピュータによるシミュレーション等)によって、生物あるいは生命現象の基本原理を探ろうとするもの。

再生医療  失われた体の細胞、組織、器官の再生や機能の回復を目的とした医療のこと。広義には、リハビリテーション、義肢や人工関節、人工血管といった人工材料を用いた工学的アプローチ、皮膚移植や骨髄移植等の細胞・組織移植、臓器移植として用いられるが、狭義には細胞治療として用いられる。

TLO  技術移転機関(Technology Licensing Organization)のことで、大学等の研究者の研究成果(特許等の発明)を発掘・評価し、特許権化するとともに、その特許権等を企業に対して実施許諾(ライセシング)し、対価として企業から実施料収入を得て大学等や研究者(発明者)に研究費として配分することなどを事業内容とする。

バイオレメディエーション  バイオテクノロジー、特に微生物や植物などの働きを活用して、汚染された環境(土壌など)を浄化・修復する技術のこと。

研究課題管理者(プログラムオフィサー)  競争的研究資金制度の個々のプログラムや研究分野での課題の選定、評価、フォローアップ等の実務を行う研究経歴のある責任者。

ファンディングエージェンシー  研究費の配分機関のことで、本大綱においては、競争的研究資金の配分機関のうち、省庁そのものではなく、特に省庁が所管する特殊法人、独立行政法人等である配分機関を指すものとして用いている。

プログラムディレクター  競争的研究資金制度とその運用について統括する研究経歴のある高い地位の責任者。

ES細胞(胚性幹細胞)  初期胚から採取された細胞又は当該細胞の分裂により生ずる細胞であって、全能性を有し、かつ、自己複製能力を維持しているもの又はそれに類する能力を有することが推定されるものをいう。

ミュータントパネル  動植物中に広く存在する、染色体内を自由に移動することができる遺伝子を利用して、特定の機能に関与する遺伝子の発現を人為的に抑制し生じさせた突然変異体の集団のこと。いわゆる遺伝子組換え手法によらない突然変異体を作りだすことが可能になる。

難培養微生物  通常の培養方法でコロニーを形成しない微生物。通常の土壌1グラム中には1千万から10億の微生物を含んでいるが、現在の技術では0.1〜1%しか分離することができないといわれる。

DNAチップ  数ミリ四方の板の上に数千〜数万種類の遺伝子のコピーを貼り付けたもの。相補的(AとT、GとC)な一本鎖DNA同士は接合し、二本鎖構造を形成することを利用している。多くの遺伝子の発現量やSNPsを一度に検査することができる。

テイラーメイド医療  個人個人の遺伝情報の違いをSNPs解析により見出し、その情報をもとに、薬剤応答性や副作用のリスクを回避し、がん等疾患の特性などを考慮し、個人毎にもっとも適した処置を行うことができる医療。

プロテオーム解析  細胞内に存在する全タンパク質について発現量や機能などを網羅的に調べることをいう。タンパク質を二次元電気泳動等で分離・精製した後、質量分析器等を用いた配列解析によってタンパク質の機能や構造の推定を行う手法が用いられている。

幹細胞  分化が終了しておらず、色々な種類の細胞に変わる能力と、自ら増殖を続ける能力を有する細胞。通常の幹細胞は変化できる細胞の種類が限られているが、受精卵等を利用して作る胚性幹(ES)細胞は、「万能細胞」とも呼ばれ、あらゆる種類の細胞に変わる能力を持つ。幹細胞は、ほとんどの臓器や組織中から発見されている。

遺伝子治療  遺伝子または遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与することにより、疾病の治療を行うこと。

細胞治療  輸血、造血幹細胞移植、細胞免疫療法、再生医療等、ヒト細胞を輸注、移植することにより行う治療法の総称。

DNAマーカー  染色体を構成する膨大な量の塩基配列の中から特定の遺伝子を探し出す際、目印となる特徴的な配列のこと。遺伝的な機能を有する部分(遺伝子)は染色体のごく一部であり、遺伝子の近傍にあるDNAマーカーを目印として利用することで、例えば農作物の品種改良を行う際、目的となる形質の発現に関与する遺伝子が欠落していないかを容易に判別でき、品種改良の効率化につながる。

治験コーディネーター  治験実施施設において、治験業務に携わり、治験の進行を支援する役割を担う者をいう。

ELSI  Ethical,Legal and Social Issuesの略。倫理的、法的、社会的問題と訳される。アメリカはヒトゲノム計画基金のうち毎年5%を、研究に関連するELSI関連問題にとりくむために充当してきた。

ファスト・トラック制度  米国食品医薬品局(FDA)が、「重篤もしくは生命の危機に瀕する状態」を治療する可能性のある画期的新薬を、より迅速に審査・承認する方法として、1997年に発足させた制度。製薬企業はIND(新規治験薬届)申請と同時かそれ以後であれば、いつでもファスト・トラックを申請できる。

(注)用語解説については、総合科学技術会議「BT研究開発プロジェクトチーム」取りまとめ、科学技術・学術審議会等の資料を参考の上、事務局において作成。

参考2

BT戦略会議の開催について

平成14年7月5日
内閣総理大臣決裁

  1. 趣旨
     バイオテクノロジー(BT)の目覚ましい成果を実用化・産業化し、国民生活の向上と産業競争力の強化を図ることの重要性が高まっている。このため、我が国としてBT戦略を早急に樹立し、その推進を図るため、「BT戦略会議」(以下、「会議」という。)を開催する。 

  2. 構成
    (1)会議は、内閣総理大臣、内閣官房長官、科学技術政策担当大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣及び環境大臣並びに別紙に掲げる有識者により構成し、内閣総理大臣が開催する。
    (2)内閣総理大臣は、有識者の中から、会議の座長を依頼する。
    (3)会議は、必要に応じ、関係者の出席を求めることができる。

  3. その他
     会議の庶務は、内閣府の助け及び関係行政機関の協力を得て、内閣官房において処理する。



(別紙)

BT戦略会議メンバー

新井 賢一東京大学医科学研究所所長
伊丹 敬之一橋大学大学院商学研究科教授
井村 裕夫総合科学技術会議議員
歌田 勝弘日本バイオ産業人会議世話人代表・味の素株式会社相談役
大石 道夫財団法人かずさディー・エヌ・エー研究所所長
岸本 忠三大阪大学総長
庄山 悦彦(社)日本経済団体連合会産業技術委員会委員長・(株)日立製作所代表取締役社長
杉山 達夫理化学研究所植物科学研究センター長
寺田 雅昭国立がんセンター名誉総長
平田 正協和発酵工業株式会社代表取締役社長
藤山 朗日本製薬団体連合会会長・藤沢薬品工業株式会社代表取締役会長
三保谷 智子女子栄養大学出版部「栄養と料理」編集長



参考3

BT戦略会議の開催状況

【平成14年】

日  時   主 な 議 題
7月18日(木) 第1回会議 ●BTをめぐる現状と課題について
●座長に、岸本忠三委員を指名
8月30日(金) 第2回会議 ●BTをめぐる現状と課題について
●起草委員を指名
起草委員長伊丹敬之委員
起草委員井村裕夫委員
歌田勝弘委員
大石道夫委員
10月18日(金) 第3回会議 ●バイオテクノロジー戦略大綱「中間的な議論の整理」(案)について
11月26日(火) 第4回会議 ●「バイオテクノロジー戦略大綱」(素案)について
12月 6日(金) 第5回会議 ●「バイオテクノロジー戦略大綱」について

* このほかに、合計11回の起草委員会を開催した。


索  引

(数字は本文中の頁数を示す)

【ア行】

IT  12 24 34 35 39 40 65
安全  2 3 5 8 12 20 22 38 42 59 62 63 64 65 66 67 68 70 71 72 73
ES細胞  32 65
遺伝子改変生物  68
遺伝子組換え  22 40 41 59 62 63 66 67 68 
遺伝子治療  37
イネ、稲  12 32 34 35 41 56
医薬品  4 5 11 14 17 18 20 23 24 33 38 45 46 53 54 55 64 65 66 71 
医薬品医療機器総合機構  64
医療機器  11 14 17 18 24 39 40 46 53 54 64 65 70 71 
医療費  14 70 71
インセンティブ  14 15 46 48 49 53 54 55 60
SBIR  48
エタノール  43 73
NIH  4 6 8 9
NSF  9 
NT  12 24 34 35 39
FDA  20 
MRC  9
ELSI  62 

【カ行】

学位  6 10 
学校教育  20 63
カルタヘナ議定書  68
環境(自然環境の意)3 5 14 18 22 23 24 33 41 42 43 44 45 58 59 60 61 68 72 73 74
環境(事業環境、研究開発環境、人材育成環境など社会的環境の意)4 5 10 14 17 20 28 30 31 35 38 47 50 53 54 56 59 60 63
幹細胞  37 65 70 71 
関税  60
感染症  23 42 70 71
基礎研究  8 9 11 17 27 41 48
機能性食品  11 12 14 24 33 40 45 46 57 70 71
競争的研究資金  27 28 29 41 44 
競争力  4 8 10 11 12 13 15 16 18 19 22 23 31 33 40 47 52 53 54 57 61
クラスター  19 52 53
ゲノム  12 23 34 35 38 45 52 66 71 
ゲノム創薬  3 23 38 
研究開発予算  6 8 18 27 51
公的研究機関  16 18 19 48 49 50 51 52
個人遺伝情報  5 20 36 66
国民理解  5 8 19 62 69
雇用  5 23 24 31 49 
昆虫  12 44 45 73

【サ行】

再生医療  18 37 40 70 71 
細胞治療  37 
作物  14 22 40 41 62 63 67 
産学官  17 19 25 27 30 38 41 42 48 49 50 51 52 53
産業界  10 14 16 17 30 31 48 49
cDNA  11 32 34 38 
実用化研究  8 16 57
社会教育  20 63
種苗  14 24 56
消費者  14 20 22 41 57 66 67 68
食品  3 5 14 20 24 40 41 42 57 58 66 67 68 72 
食品安全委員会  66 67 
食品産業  22 23 41 42 57
食品表示  57 72
植物  4 5 15 23 32 34 41 44 45 56 59 60 73 
食料  3 12 14 18 22 23 24 41 56 66 67 72 
食料自給率  3 22
人材育成  10 17 18 19 20 25 30 31 52 63 67
人材供給  6 9 10 30
新産業  13 16 23 42
SNPs  11 36 
生活習慣病  22 36 37 70 71 
生物遺伝資源  10 32 33
生物学   6 10 
生物教育  20 63
生物多様性条約  11 32 33 68
生分解性プラスチック  11 60 61 69 73
創薬  36 38 

【タ行】

大学  6 10 16 17 18 19 20 28 29 30 31 32 35 42 48 49 50 51 52 53 55 62 63 64 
タンパク質  11 18 34 35 36 38 42 45 51 52 71 72 
治験  17 18 38 54 55 64 
治験コーディネーター  54 55 
知的財産  14 16 18 25 31 37 49 50 51
DNAチップ  34 38 40  
DNAマーカー  41 
TLO  19 49 51 52 
テイラーメイド医療  34 35 36 49 70 
糖鎖  11 38  
動植物  10 23 32 42 43
動物  5 32 45 
特許  4 6 11 18 19 25 37 50 51 52 63 
トランスレーショナルリサーチ  17 35 55
トレーサビリティ  12

【ナ行】

難培養微生物  33 
脳  12 22 39 71
農業  4 12 22 23 24 56 57
農業バイオ  11 12 14 33 46

【ハ行】

バイオインフォマティクス  12 24 34 35 36  
バイオ製品  4
バイオツール  12 13 23 24 34 35 
バイオプロセス  3 11 12 15 22 23 24 33 43 44 45 46 58 60 69 73 74 
バイオマス  3 4 15 22 23 24 43 45 46 58 59 60 69 73 
バイオマス由来プラスチック  22 23
バイオレメディエーション  24 44 59 73 
廃棄物  15 23 43 44 58 59 69 73
バイ・ドール制度  18 50 51
微生物  4 5 10 11 25 32 33 40 42 43 44 45 59 73 
標準化  9 13 35 36 37 42 46 47 60 61 72
品種  3 14 18 24 34 41 42 56 72 
ファスト・トラック制度  64 
ファンディングエージェンシー  28 29 
プログラムオフィサー(研究課題管理者)  28 29 
プログラムディレクター  28 29 
プロテオーム解析  36 
ベンチャー  6 16 18 19 25 31 37 42 47 48 49 53 
保健機能食品  57

【マ行】

ミュータントパネル  32 
メタン発酵  44 69

【ヤ行】

薬価  53 54
融合  12 13 19 24 30 33 34 35 39 41 42 

【ラ行】

ライフサイエンス予算  4 6 8 27
リスク管理  64 66 67 68 72
リスクコミュニケーション  63 67 72
リスク評価  18 64 65 66 67 68 72
臨床  11 17 32 35 36 37 54 55 65 
倫理  2 3 5 8 20 62 63 65 

【ワ行】

ワクチン  42 43 70