ふるさとづくり実践活動チームin帯広・大樹

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ふるさとづくり実践活動チーム in 帯広・大樹 平成29年6月13日〜14日

 全国各地の「ふるさとづくり」を推進する「ふるさと活動実践チーム」は、3回目の今回、北海道の十勝地方を訪れました。「食」と「農業」を生かしたまちづくりに取り組む帯広市と、漁業・酪農に加え、宇宙産業の集積地を目指す大樹町で、2日にわたりパネルディスカッションが開催され、地域愛にあふれた熱い議論が交わされました。

食・農・観光、北海道の魅力の進化に期待 河井 克行 内閣総理大臣補佐官

 帯広市・大樹町は、美しい景観、豊かな地域資源を生かし、独自のふるさとづくりに取り組んでいることを実感しました。十勝全域で取り組む「十勝型フードシステム」をはじめ農業を成長産業に位置づけて取り組んでおられることに大変感銘を受けました。また、大樹町の航空宇宙産業も、大きな可能性を秘めた地域資源であることを再確認しました。

河井克行内閣総理大臣補佐

ソーゴー印刷株式会社代表取締役社長 高原 淳 様

ソーゴー印刷株式会社代表取締役社長 高原 淳

 17年前にUターンした際、十勝には、広告やマスメディアに掲載されない魅力が実にたくさんあることに気づきました。一方で、地元が発信する地元の情報がほとんどない ことに危機感を抱きました。現在、十勝の価値を自ら発掘して丹念な取材を行い、年4回『スロウ』という雑誌を発行しています。
 自分たちの土地の素晴らしさに目を向けて出版を続けることで、10年、20年後には、本当に世界一の場所になるのではないかと思っています。

十勝バス株式会社代表取締役社長 野村 文吾 様

 経営危機の時期、一対一で市民のみなさまと話をするため、時刻表と路線図の戸別配布を行いました。お客様の真のニーズを聞き取り、「移・食・住」を総合的に支えるというバス会社の使命を見出し、目的別時刻表を作るなど工夫を重ねた結果、利用者数を増やすことができました。
 現在は、地域の流動人口を増やすため、バス会社以外の交通事業者との連携を進めています。すべての原点は、あの「戸別訪問」にあると考えています。

十勝バス株式会社代表取締役社長 野村 文吾

今若 明 委員

今若 明 委員

 地域のまちづくりの担い手として、3つの人口が考えられます。1つはそこに住む「定住人口」、2つめは観光による「交流人口」、そしてもう1つが「関係人口」です。「関係人口」とは、その町の出身者、生産物の取引先会社、ふるさと納税者など、まちに縁のある人です。
 この「関係人口」の方々が、まちづくりにおいては大変重要な支え手、担い手になります。

株式会社山本忠信商店代表取締役 山本 英明 様

 私は、「『つくる』を『食べる』のもっと近くに」をスローガンに、これまでの不特定多数間での商売をやめ、農業者と商品を一対一でつなぐこととしました。これにより、農業従事者が農業に誇りを取り戻し、さらに、十勝ブランドを生かすことにつながりました。十勝の住民は、市町村単位ではなく「十勝」という範囲でまちづくりを考えているという大きな特徴があると思います。
 今日のお話を聞いて、今後は十勝の関係人口も意識しながら事業を進めたいと思いました。

株式会社山本忠信商店代表取締役 山本 英明

ふるさとづくりの3 つのキーワード 吉田 聡子 委員

吉田 聡子 委員

 ふるさとづくりのキーワードは3つあります。第1は「危機から発想する視点」です。一度ふるさとを離れて戻ったときに初めて、地域や業界の危機に気付くことができる。第2は「火の玉人材」。ふるさとづくりとは、結局、ふるさとを支える「人づくり」です。第3は「持続性」。
 家族や地域が豊かに暮らしていくためには、事業が収益を上げ、ビジネスとして成立することが重要です。

インターステラテクノロジズ株式会社代表取締役 稲川 貴大 様

インターステラテクノロジズ株式会社代表取締役 稲川 貴大

 ロケットベンチャー企業で小型人工衛星の格安打ち上げサービスをめざしています。今年打ち上げる観測ロケットの後も、次々にロケットを発射予定です。その経済波及効果は、北海道新幹線の道内効果を上回ると言われています。
 実現に向けて、受け入れ体制づくりなど課題は多いですが、これからも挑戦を続けたいと思います。

鯉渕 美穂 委員

 地域づくりの基本はコミュニケーションです。日頃から自分が考えていること、希望、課題を周囲の方に伝えていくことが重要です。熱意と行動力を持った帯広の「火の玉人材」のみなさんが、自分の思いを人に伝え、人を巻き込むことで、人が育ち、地域が育っていくと思います。

鯉渕 美穂 委員

農業で地域や子どもを元気に 原 範子 委員

原 範子 委員

 食材には育った場所があり、栽培や加工を行った人の存在を忘れてはなりません。また、地域で収穫したものを好きになってもらうことは、ふるさとを愛することにつながります。未来を担う子どもたちに対して、帯広の素晴らしい食材を使った「食育」を進めていただきたいと思います。

武田 道仁 委員

武田 道仁 委員

 JTBでは、地域の魅力を引き出し、魅力を磨き、発信する事業に取り組んでいます。ふるさとづくりに必要なのは、「地域資源の徹底的な掘り起こし」、「継続のためのしくみづくり」「いろんな人を巻き込む」ことだと考えています。
 まちのブランド化には戦略が必要です。「宇宙のまち大樹」のために、何をやるべきか。例えばチケット1枚のデザインまで凝って、みなさんで徹底的に考えると成果が上がりやすいのではないかと思います。

大樹チーズ&サーモングルメ地域活性化協議会会長 一戸 勉 様

 食による観光町づくりを掲げ、地元食材を使った「大樹チーズサーモン丼」を開発しました。昨年、大樹町に誘致した「新・ご当地グルメグランプリ北海道」では、300人のスタッフで1万3,000人の集客に成功し、大きな自信になりました。
 これからも地域ブランドのPR 活動に全力を傾けます。

大樹チーズ&サーモングルメ地域活性化協議会会長 一戸 勉

天井も壁もない大樹町にわくわく 矢島 里佳 委員

矢島 里佳 委員

 大学時代に「和える」という会社を作り、伝統産業の職人さんと一緒にものづくりをしています。混ぜるのではなく和えることで、それぞれの個性を生かしたいのです。大樹町は大地だけでなく、 上(空)にも広いことを実感しました。
 都会の子にも、天井も壁もない場所に自分を置く体験、自分の可能性を広げられる体験をさせてあげたいと思いました。

株式会社坂根牧場取締役 坂根 遼太 様

株式会社坂根牧場取締役 坂根 遼太

 昔ながらの放牧酪農をしています。私たち酪農家は、食を通じて人の笑顔をつくっているエンターテイナーだと思っています。酪農のイメージは様々ですが、豊かな酪農の暮らしなど、見せ方も非常に重要だと思っています。

『ソラユメ』編集長 神宮司 亜沙美 様

 母校の廃校を聞き、自分にできることは?と考え、Uターンしました。フリーペーパー『ソラユメ』を発刊。夜中にスケートリンクを作ってくれる方、猟友会の方など、町を支える人、行動する人に目を向けて特集しています。

『ソラユメ』編集長 神宮司 亜沙美

大樹元気まちづくり実行委員会実行委員長 中神 美佳 様

大樹元気まちづくり実行委員会実行委員長 中神 美佳

 「自分のまちが好き」という人を増やすことが、まちづくりの基本です。大樹町出身者も実行委員になる音楽イベントや、空き店舗を活用した移住促進など、ソフト面重視の取組で若い人を巻き込んでいます。

限界を越えれば無限 セーラ・マリ・カミングス 委員

セーラ・マリ・カミングス 委員

 最近、長野の限界集落に移住しました。限界を超えれば無限、むしろ持続可能な暮らしがそこにあると感じています。大樹には、少しの工夫で、住民や観光客がわくわくできることがたくさんあると思います。
 雪の標識(下向きの矢印)を宇宙と関連づけた印にしたり、広大な景色を生かしてクロスカントリーの聖地にしたり、アイデアは無限です。