ふるさとづくり実践活動チームin長浜

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ふるさとづくり実践活動チーム in 長浜 平成28年12月5日〜6日

 ふるさとづくり実践活動の第1弾として、平成28年12月5日〜6日、「ふるさとづくり実践活動 in 長浜」が開催されました。折しも、長浜曳山祭がユネスコの無形文化遺産に登録された直後に開催された本活動は、実践活動チーム、地元の参加者により、積極的な意見交換がされました。

ふるさとづくりの取組の研鑽と進化 河井 克行 内閣総理大臣補佐官

 豊かで明るく元気な地方を創生するためには、実践に主眼を置いたふるさとづくりの推進に取り組むことが重要です。
 今回、1回目の実践活動を長浜市で実施することができました。ユネスコの無形文化遺産である長浜曳山祭、黒壁のまちなみなど、新旧の文化が交差するまちづくりを進めてこられた長浜市において、本活動が何らかの後押しになることを期待したいと思います。

河井克行内閣総理大臣補佐

長浜まちづくり株式会社 吉井 茂人 コーディネーター

吉井 茂人 コーディネーター

 地方都市では、商業のみでの繁栄は難しく、都市全体が活性化することが重要です。
 長浜市はまず、工業を誘致して働く場を設け、次にホテル誘致を行い、通過型から滞在型の観光地への展開を図り、安心して投資ができる環境整備を行いました。そして市街地や商店街の活性化に取り組み、伝統的な町屋を修復、再生しながらアクションを起こしてきたことが地域資源となったのです。

田根地区・地域づくり協議会 川西 章則 代表理事

 田根地域は、少子高齢化・過疎化の波を受けて、空き家・獣害問題など全国の農山村地域に共通する課題に悩まされています。そんな課題をエネルギーに変えるため、毎年、地域と大学で共同ワークショップを開催しています。
 慶應義塾大学が設計管理し、地元の大工さんなどが施工に関わった福祉施設の開設や、古民家の学生研修所への改修など、ものづくりを通して地域活性化を図る活動を展開しています。

田根地区・地域づくり協議会 川西 章則 代表理事

子育て応援カフェLOCO 宮本 麻里 代表 桐畑 裕子 副代表

子育て応援カフェLOCO 宮本 麻里 代表 桐畑 裕子 副代表

 長浜に住む“お母さん”100人のアンケート結果から、母親目線で生まれた子育て応援カフェを運営しています。専門家による子育ての悩み相談や、母親の社会復帰支援事業など、毎月多くの教室やワークショップを開催し、市の子育てバリアフリー施設にも認定されました。
 今では、長浜市に限らず近隣の都市からも妊婦さんや未就園児をもつお母さんが来ています。この事業を通して、育児の不安を少しでも解消し、子育てを楽しめるようになる人が増えることを願っています。

長浜文化芸術ユース会議 磯ア 真一 会長

 長浜市を中心に活動する若手のアーティスト、文化芸術団体が参加する会議を開始しました。若手芸術家との交流を通して、人材育成・新しい文化の企画を考え、地域を文化芸術で盛り上げようと考えています。
 町なかの古民家や廃校になった小学校などを利用し、演劇や芸術を地域や教育現場の中に根づかせて、表現力・コミュニケーション力を育てる活動を進めていきたいと思います。

長浜文化芸術ユース会議 磯ア 真一 会長

「今あるもの」の価値に光を当てる 今若 明 委員

今若 明 委員

 長浜には、中心市街地のにぎわいの光だけではなく、街並み、町屋、路地といった小さな光が街じゅうにあふれていると感じました。これは、町屋や空き家をまちの「負債」ではなく「資産」として捉え、未来につなごうという長浜の意思・努力の賜だと思います。
 これからは、大きな建物1つでまちづくりが完結する時代ではありません。いくつもの小さな輝きを丁寧につなげて、国内外にシェアすることが重要だと考えます。

吉田 聡子 委員

吉田 聡子 委員

 私は札幌でテレビ番組制作・企業のプロモーションを行っています。
 プロモーションで大切なことは、小さなものでもその価値を徹底的に掘り下げ、そこで見つかったキーワードを共感型に変えることだと考えています。何より重要なことは、人の心が動くかどうかです。心を動かす長浜のプロモーションがあってこそ、人は観光に訪れ、物産の購買意欲も高まります。
 長浜で暮らす方のストーリーを発信し、人々に長浜のくらしを想像させる「共感型」の発信を行えば、もっと長浜ファンが増えると思います。

発展を支える3つのポイント 鯉渕 美穂 委員

鯉渕 美穂 委員

 まちづくりの発展を支えるポイントは3つあります。
 1つ目は、継続して自走できる仕組みとすることです。地域を巻き込んで経済的にも回る仕組みを作ることが重要です。2つ目は、新たな投資を行わず、既存の仕組みを活用すること。3つ目は、地域の方と長期のビジョンを共有することです。
 今回の視察を通じて、長浜は、これらのポイントを30年間の地道な活動を通じて積み上げてこられたからこそ、今の姿があるのだと感じました。

セーラ・マリ・カミングス 委員

セーラ・マリ・カミングス 委員

 地域で大切にされてきた観音像の話を聞きました。この祈りの文化を、日本語と英語の絵本にして子どもたちに読んでもらうのはどうでしょうか。次の世代に、未来に、その思いをつなぐプロモーションのストーリーになるのではないでしょうか。
 また、これからの観光は、長期滞在・濃い交流を求めるケースが増えると思います。単なる観光客ではなく仲間になって、一緒に何かするということができる楽しさがあるとよいと思います。

原 範子 委員

 私は農業の現場から、命の大切さを伝える食農教育の活動をしています。地産地消などを通して、地域を愛する心を、子どものころから育てることが大切だと思っています。
 ふるさとづくりとは、「命」をもった資源を生かすことが基本なのではないかと考えています。

原 範子 委員

コラボレーションとオールインワン 殿村 美樹 委員

殿村 美樹 委員

 価値観は時代とともに変化していきます。まちづくりでも、同じ顔ばかりを見せていてはいけません。
 長い歴史を持つ長浜には、光る「お宝」がたくさんあります。黒壁スクエア、大河ドラマでも取り上げられた「出世の文化」、観音の里としての「祈りの文化」、そして曳山祭。これらを時代の価値観とコラボレーションさせ、長浜はひとつであるというオールインワンの意識を育て、発信すれば、日本でも有数の、常に発展し輝く都市になると確信しています。

武田 道仁 委員

武田 道仁 委員

 旅行会社で、地域へお客様を呼び込むため、地域の方と一緒に地域資源を磨き上げ、プロモーションを行っています。
 私がモットーにしていることは、「あるもの磨き」、「全員参加」、そして「継続」です。全員参加とは、観光業だけではなく、農業や商業、すべての業種の地域の方が参加することです。長浜はその3つのモットーと非常に重なるところがあり、勉強になりました。
 長浜は来るたびに魅力が高まっています。さまざまな先進的な取組も目を見張るものがありました。これまでどのような課題が生じ、どのように解決してきたか、それを知ることが、今後のふるさとづくりにおいて大切なポイントになると思います。

「観音文化」におけるふるさとづくり 藤井 勇治 市長

 委員のお話を聞いて、改めて、長浜市には多くの資産があるなと感じました。住民が「当たり前」と感じている資産に囲まれて暮らすことがなんと幸せなことかと、改めて認識する機会となりました。
 長浜には、観音様を守り、祈る「観音文化」が根付いています。各地域の暮らしや風土としっかり結びついた独自の観音文化は全国でも珍しく、東京でも評価をいただいています。今後は、この「観音文化」を、長浜におけるふるさとづくりの大きな柱にしたいと考えています。

藤井 勇治 市長