第12回IT戦略本部 議事録
1.日時:平成14年5月9日(木) 17:30〜18:30
2.場 所:内閣総理大臣官邸小ホール
3.出席者:[別紙]
4.会議の模様
(1) 竹中IT担当大臣から以下のとおり挨拶。
- 総理と官房長官は少し遅れられるが、ただいまからIT戦略本部第12回会合を開催する。今回は新官邸における最初のIT戦略本部ということになる。
- 本日の議題は、「『e-Japan重点計画−2002(案)』について」である。
(2) 事務局から、「e-Japan重点計画−2002(案)」について以下のとおり説明。
○竹中IT担当大臣 これまでIT戦略本部では昨年3月に本部決定した「e-Japan重点計画」の見直しに向けて議論を重ねてきたが、今般現行の「e-Japan重点計画」等の推進状況、ベンチマークの改定状況並びにこれまでの議論を踏まえ、新重点計画案とし
て、「e-Japan重点計画−2002(案)」を策定したので、その内容について御議論をいただきたい。本日議論をいただき、その後、できればこの案をパブリックコメントに
付し、6月18日に予定されている次回の会合で本部決定といたしたいと考えている。
それでは、まず事務局から「e-Japan重点計画−2002(案)」等について、概要を説明させる。
○事務局 昨年の3月に「e-Japan重点計画」を策定し、220の具体的施策を決定した。そのうち103の施策は昨年度中に実施をすることが予定されており、そのすべてを実施した。その残りの117と、それから新しく200の項目を追加し、今回の317の具体的な施策を「e-Japan重点計画-2002(案)」として取りまとめたところである。これまでの重点計画のほかに「e-Japan2002プログラム」や「e-Japan加速・前倒し」を実施してきたが、それぞれの成果を評価し、国際比較をしながらつくったものである。先ほど竹中大臣からお話があったように、これからパブリックコメントで意見を聴取するので、この317の具体的施策は若干増える可能性がある。
重点施策の構成としては、インフラ、教育・人材、電子商取引、電子政府、セキュリティといった5つの分野を柱に、この5つの分野に共通の課題として研究開発であるとか国際的な協調、デジタルディバイド問題、雇用問題等、更には国民に理解を求める措置を盛り込んでいる。そのような縦糸と横糸を織り成して全体の織物を織り上げていきたいと考えている。
今どういう状況にあるかということを簡単に説明させていただく。インターネットの利用環境の整備ということで、2005年までに高速で3,000万世帯、超高速で1,000万世帯ということを従前から申し上げてきたが、この目標は実は既に達成した。高速では3,400万世帯、超高速で1,400万世帯の方々が加入可能な状況になっている。ただ、そのような意味では、この目標は達成できたのではあるが、実加入の数字は高速で380万、超高速で3万ということであり、まだまだ現実が伴っていないという現状である。また、低廉な料金を設定していくという点については、高速常時接続で月2,500円というものが出てきており、世界で最も安い水準になっている。高速、超高速の実数がどうなっていくかという予測であるが、2005年度末までに超高速で770万、高速で1,200万、合わせて約2,000万加入となるようにしていこうと、今努力をしているところである。
教育・学習の振興と人材についてであるが、この中では、例えば公立学校のインターネットの接続率を100%にするという目標を掲げてきたところ、昨年度末でその目標を達成した。一方、学校へのインターネットの接続はできたが、教室までは、まだできていないという現状がある。例えば、韓国では教室まで100%いっているが、日本は教室まではまだ8%というのが現状である。そういった観点から、教室まで100%に持っていくというのを2005年度の目標として掲げており、こういったものを重点計画の中に盛り込んでいる。
電子商取引の関係では、目標としてビジネス間のやりとりで70兆円、ビジネスと消費者との間で3兆円という目標を立てているが、今はその半ばぐらい、34兆と1.5兆というところまできている。昨年来、民法特例法の制定や商法の改正等、電子商取引に関わる制度整備をいろいろやってきたが、70兆、3兆のレベルまで持っていくため、さらに各種施策を行っていきたいと考えている。
電子政府の関係であるが、近々にも今回のこの通常国会に国、地方の行政手続全般についてオンラインを可能とするための法案を提出させていただきたいと思っており、是非この国会で成立させていただき、2003年度中に電子政府をつくるというお約束を達成したい。
セキュリティの関係では、政府緊急対応支援チーム(NIRT)の創設を今年の4月に行った。また、昨年の11月からサイバーフォースを整備し、セキュリティの向上に努力している。
イメージであるが、我が国は山の頂上を目指して今、努力をして、山のかなりいいところまできたという状況である。ただ、世界の各国のIT化は一層早く進んでおり、そういった意味で山がどんどん高くなってきている。5年後に世界最高峰にいく、世界の最先端を目指すという目標であるので、我々も世界の最も高い山の頂上を目指して相当のスピート感と施策の厚みで実施をしていきたいと思っている。
国際比較を簡単にお話をすると、インターネットの普及率が1999年の9月には2割であったところ、2000年の12月、わずか1年の間に37%であるから約4割、倍近く伸びたことになる。しかしながら、国際ランキングは13位から14位に落ちており、世界も相当なスピードで動いている。我が国としてもこれまで以上の努力をしていかなければいけないと思っている。
高速インターネットの加入率であるが、人口当たりの加入率を比較すると我が国もアメリカやヨーロッパの国々には決して負けていない。ただ、韓国と比べるとまだ大分差がある。また、教室のインターネット接続については、先ほど申し上げたようにすべての学校までというところはやったが、すべての教室までにはまだなっていない。そういった意味で、韓国やアメリカのレベルまでいかないと世界最先端にならないので努力をしていきたいと思っている。
国際比較の電子商取引についても、例えばBtoCのところではアメリカに比べて日本は非常に小さいシェアになっている。こういったところを相当伸ばしていかなければならない。
また、電子政府の関係でもこれはアクセンチュアの調査であるが、23か国中日本は17位ということであり、今回の国会での御審議もいただきながら電子政府をつくるための法律を通していただき、これを1位、2位、3位の辺りに持っていきたい。
ファイアウォールの設置率については、2000年から2002年にかけてアメリカは8割から9割に伸びている。日本も伸びてはいるが、まだ7割ということであり、こういった面での対応もさらに進めていかなければいけないと思っている。
このような現状の中でいろいろな施策を実施してきた。例えば電柱・管路開放のガイドラインをつくり、集合住宅のインターネットアクセスの円滑化を進め、未利用の光ファイバーの民間への開放等をやってきた。非対称規制を導入し、電気通信事業紛争処理委員会を創設した。こうしたいろいろな施策により、かなりの進展が見られている。先ほどのインターネット接続可能数の3,000万、1,000万達成といったところもできたわけだが、まだこれで十分ではない。今後の施策としては、周波数の再配分の方策について2003年度中に結論を得る、自由かつ公正な競争環境の整備のため電気通信事業者の事業区分を含む競争の枠組みの見直しに関し2002年度中に一定の結論を得る、更にはIPv6の問題、アジアブローバンド計画等、多岐にわたっているが、これらの施策を実施していきたいと思っている。
公立学校のインターネット接続については、そこそこ成果が上がってきた。また、ITの基礎技能講習等もやってきた。ただ、それでは十分ではないので、今後全教室のネット接続の実現ということで2005年を目標に進めていき、学校の先生の指導力も向上させる。また、地域のITリーダーを育成し、IT専門家を研修し、天才的プログラマーの育成といったことも進めていく。
電子商取引であるが、商法の改正等で株主総会の招集通知の電子化や、ノーアクションレター制度の導入を昨年からやってきた。相当進んではきたが、まだまだ進めていかなければいけないものがある。今年中に事業活動の電子化を妨げる規制の総点検といったことを進めていき、電子商取引の準則の普及も進めてまいりたい。
国、地方の行政手続全般のオンライン化を可能とするための法案については、この国会で審議、御了解をいただきたいと思っている。そういったことをやりながら、今後の施策として、国としてのいろいろなアクションプランを策定し、推進していく。電子入札等もどんどんやっていく。更に電子政府と合わせて電子自治体も実施をしていく。こういったことを一緒に進めていきたい。そういう形で2003年度中に電子政府を樹立したいと思っている。
セキュリティであるが、先ほど申し上げたようにNIRTやサイバーフォースといったものを強化し、セキュリティの質の向上をさせていきたいと思っている。
横断的な課題については、その中でも、国民の理解を深めるための「e!プロジェクト」の推進といったものも含めて施策を取りまとめたところである。
今、申し上げた317の施策が、それぞれの項目でそれぞれの年度に展開している。いつまでにだれが何をやるというのをはっきりと明示的に打ち出している。そういった施策を展開することで、2005年に先ほどの世界的にも最も高い山の頂上を目指して施策を進めていきたい。
(3) 自由討議。
○片山総務大臣 国際的な協調及び貢献の推進等に関連して、世界情報社会サミットの説明をさせていただく。
参加対象としては、各国政府首脳レベル、国連専門機関、民間部門、市民社会、NGOと広範な分野にわたっており国連行事としてやる。ジュネーブにある国際電気通信連合(ITU)が事務的な中心となり、情報社会についての共通ビジョンの確立及び理解の促進を図り、この実現に向けて協調的に発展を遂げるための宣伝及び戦略的な行動計画を策定する。中身はこれからであるが、目的はこういうことである。
日程及び場所は、今のところほぼ合意を得ているのが2003年12月ジュネーブでやり、2005年にチュニスでやる。なぜ2か所でやるのかというと、この2か所が争って結論が出なかったことから、2か所でやるということになったようだ。
今後の主な予定であるが、今年の7月に第1回の準備会合をジュネーブでやり、来年の春に2回目、秋に3回目、ブロックとしてアジア・太平洋地域の準備会合を来年の第1・四半期中に日本でやりたいと思っている。それから、本会議は先ほど言ったように第1フェーズがジェネーブ、第2フェーズがチュニスということであり、私は先週ITUに訪問して理事会でいろいろなことを言ったが、是非これも成功させようと、日本政府による財政支援ということで今まで2,900万円拠出しているが、新たに3,200万円を拠出することを表明した。特にアジア・太平洋地域においては日本が中心であるということで、準備会合についても是非成功させたいと思っているので、今後ともIT戦略本部の皆様の御指導、御支援を賜わりたい。いろいろ御意見等があればお寄せいただきたい。
○梶原知事 本県で中学生が学校のパソコンを持ち出し、そして亡くなってしまったという不幸な事件が発生した。この事件を通じて考えると、児童、生徒のITに対する関心とか能力が非常に高まってきているにもかかわらず、学校の方の能力、環境が十分でない、あるいは、家庭における対応が十分でないという構造的な問題が潜んでいるのではないかと思う。
岐阜県は学校教育の情報化はいろいろな面でトップを目指してがんばっている。インターネット接続率の話が出たが、教室のインターネット接続率はがんばっているにもかかわらず、まだアメリカに及ばないというような状況であり、こういった点は是非今度の計画で十分御配慮をお願いしたい。
従来パソコンの普及率はデスクトップという計算でやっているが、去年ビル・ゲイツ会長と話をする機会を設けていただき、ラップトップスクールというのが非常にIT化に有効であるという話があったことから、岐阜県も高校でモデル的にスタートした。先ほどの不幸な事件も契機に、大幅にラップトップスクールというものを普及していきたい。イギリスでは500を超える学校がラップトップスクールになって、すべての児童、生徒がラップトップパソコンを持って家にも持って帰れる、学校でも使えるという状況になってきている。したがって、学校におけるIT化もラップトップパソコンも十分念頭に入れてこれから考えていただくと、先ほどのような不幸な事件もなくなっていくのではないかと思う。
それから、岐阜県は小中高全部ブロードバンドで結ぶ授業をやっている。小学生が高校の授業を受けられる。それからオーストラリアと時差がほとんどないので、提携して向こうの生の授業、こちらの生の授業を交換できるということも進めている。こうしてインフラが整備され、端末が整備されてくると、その次に何をやるかということになるが、当然ネットワークを活用するということで、学校間だとか、あるいは小中高間という垣根がなくなっていく、あるいは国境の垣根すらなくなるということで、次なる展望を是非開いていただきたい。岐阜県の小中高ではあたかも一つの学校であるというバーチャルスクール構想で進めている。どの学校に入っても、ほかのどの学校の授業も受けられるということで、たまたまある学校に入ったために、その学校の能力によってハンディキャップを負わないようにするというような発想で進めている。そういった点を是非御配慮いただきたい。
それから、端末の問題として、メーカーの方が多いので恐縮だが、どうも利用者のことをよく考えてもらっていないのではないか。使いやすいパソコンがない。それで、2年がかりで岐阜県のソフトピアというところの天才的な男性にお願いしてCD-ROM1枚差し込むだけで簡単パソコンに変身するというアイ・スマートというものを開発した。キーボードも使わずに操作ができる。マウスだけで文字入力できる。これを1枚2,000円ぐらいで売ろうとしている。こういうことはまず世界初だと思う。次は、彼と相談してハードそのものの簡単パソコンをつくってしまおう、日本国内でつくってもらえなければ台湾、韓国、中国とつくってもらおうということも考えており、是非これも御検討をお願いしたい。
外国人の導入ということであるが、岐阜県ソフトピアというところで13人のインド人の技術者に入ってもらった。そのうち2人が日本語でJAVAのプログラマーの資格認定を取るようなすばらしい能力を持っている。そこで、年内に100人導入するということである。それから、シリコンバレーからも大々的に導入しようということで私も行き、約束をしてきた。ただ、受入体制が、ビザの発給条件だとか、現場でいろいろ問題がある。中身は省略するが、是非御配慮をお願いしたい。
なお、全国知事会の情報化の特別委員長を私は務めさせていただいているが、現在、全国の知事から「e-Japan計画」についての意見をまとめている。できたら提出させていただいて、是非取り上げていただきたい。
○鈴木社長 ここ1、2年、特に通信インフラが荒れているというか、品質、信頼性が落ちてきている。この現象は日本だけではないが、電話事業のスキームが崩壊する過程で、通信インフラに対する投資意欲がなくならざる得ない、あるいは人員の削減によって、特にここ1年かなり深刻な状況が生じてきている。
それで、この会議でもいつも疑問に思っていることの一つに、安いことを競うという発想は本当に日本にとっていいのかどうか。つまり、日本の産業も高品質、高信頼性ということが売り物だとしたら、インフラ部分で現状で起こっている品質や信頼性の劣化という現象は、深刻なのではないか。インフラ投資へのインセンティブがない状況でのIT化の進行は将来に禍根を残すと考えられる。その意味で、通信業についてインセンティブがわくようなビジョンを作ることができないことは大きな問題である。
1つには、経済効率性というのをどこかに置き忘れているようなことがあるのではないか。もちろん技術革新が起きて、新しい技術の利用によって価格破壊が起こるということなら納得できるが、突然国土交通省が河川と道路管理用光ファイバをメーター16円で貸すと言い出した。私どもは道路内の情報ボックスを借りて線をつくらせていただいているが、どう考えてもそんな価格に対抗できない。しかも、ファイバは旧態依然たるもので、単に安いということを謳う。余り安さを競うというようなことをやっていると極めて我が国の産業に対してマイナス要素になるのではないか。
もちろん料金を安くするという目標を否定するわけではないが、今起こっている技術革新によるものではなく、国の低価格での貸し出しといった安易な対策は通信インフラをつくる者にとっては極めて深刻な状況である。
また、一方でベストエフォート型というような形でブロードバンド化が進んでいるが、このままで良いのか。日本の製造業は今後、信頼性とか品質といった日本が誇るような新しいブロードバンドインフラを使って再生していく可能性があると思っているが、そういった面で、信頼性や品質を含め、今後のビジョンが若干欠けているのではないか。繰り返しになるが、政府が突然16円で貸し出すというが、一般に今100円以上しているわけで、そうすると私どもが幾ら高品質だといっても使わなくなる。その意味で、皆が「安い」ということを目指すのもいいが、やはりITを支えるのは通信インフラだ。日本がここまでこられたのも、私たちが世界一のインターネットのサービスをできたのも通信インフラがよかったからである。そういう意味で、世界一のインターネットを支えるべき品質とか信頼性といったものにもう少し力点を置いていただけないか。
もう1つは、v6もいいが、v4も死蔵しているアドレス空間があり、例えば多くの大学がほとんど使っていないアドレス空間を死蔵している。だから誰もv4が枯渇するなんて思っていない。だが、v6は確かにやらなければいけない。ただ、大学は面倒臭いからというだけでアドレス空間を使えなくしている。目を足下に据えて、その先にv6がある。あるいは、そういった地道な思考法が必要なのではないか。
日本が目指すべきトップの形というのは、やはり世界で最も高い信頼性があってクォリティの高い通信インフラを今後維持しつくっていくということでビジョンをどこかに入れていただきたい。やはり通信とか電力というのはどこの国でも本質的には百年の大計というような事業ではないかと思うので、若干そこら辺が気になっている。
○佐藤国土交通副大臣 道路・河川管理用光ファイバの利用方法については、今後も打ち合わせを行い、5月中に一つの方向を出したいと思っている。
○松永エディター こうやって1年半で随分本当に着々と進んでいるなというのをお聞きして感じた。中でも気になったのは、学校までは100%届いたけれども、教室までは8%ということ。生徒はやはり教室にいるわけで、学校のどこかにあったとしても使えない。今回の重点計画すべての基本になるのが教育だと思うが、ここは、何が何でも世界最高を目指す、クォリティを目指すと言っている割には低過ぎるというのを実感として感じた。
それから、これまでの議論の中でまだ私は足りないと思うのは、地上放送のデジタル化で、これは当然進んでいく方向にあると思うが、実際に英国やアメリカでは普及がまだ低い。あれだけ7割ぐらい環境が整っている先進国においても低い。その辺りも含めて、もう少し議論があってもいいのではないか。
○片山総務大臣 デジタル化は、まず前提のアナログ周波数変更対策に去年からかかろうというのが、ちょっと見込み違いがあり、全体のデザインが出るのが今年の7月ぐらいになる。それから大急ぎでやるが、来年から始めるというのは必ずやる。12月からは、3大都市圏でデジタルの実用化放送のスタートをやってもらう。それが2003年で、2006年に残りの地域で開始するということで、民放、NHK、私どもの方で全国的な協議会とブロック、地方の協議会をつくり準備を進めている。今後はずっと作業が進んでくると思う。
ただ、2011年から切り替わりアナログがなくなるわけなので、それが大丈夫かという意見は国会でも質問が相当ある。これは少し様子を見ながらと思うが、私は10年あれば、できるのではなかろうかと思っている。なおいろいろ御指導を賜われればと思う。
○宮内会長 重点計画は大変大部なものであり、ここまでよくまとめていただいた。その努力に大変感謝申し上げたいと思うが、この中で本当の重点的なものはどこかということ、何が何でもそれをやらなければならない部分ということをもう少しはっきりできたら、という感じがする。そういった意味で焦点がぼけないように実施状況等には配慮をしていただきたい。
それから、いつも同じことを申し上げるが、5年後に世界最先端のIT国家を目指すという大きな意気込みでこのIT戦略本部ができたときの非常に大きなテーマの一つは、競争政策、規制改革というような、本当にそういう市場で自然にそういう方向へ動いていくようなシステムづくり、仕掛けをつくるということが非常に重点だったという気がする。それをこのIT戦略本部が戦略的に、あるいは政策的に引っ張っていくということが初めにあったような気がするが、この報告書の中を見るとそういう競争政策、規制改革については、戦略的なことでなく、今まで決められたことがそのとおりになっているかどうか、それを担当セクションが見ていくという形になっている。切磋琢磨して戦略的な方向に持っていくというグラウンドづくりとしての規制改革、戦略としての競争政策というのはやはりこのIT戦略本部で考えていかないといけないという思いを持っている。
そういう意味で、この横串の中に、規制改革、競争政策が含まれていないということは、少しそういう配慮がなかったのではないか。特に戦略本部の中で昨年専門調査会がつくられ、報告を出させていただいたわけであるが、この中にそれがすべて盛り込まれているということでもない。そういう意味で、規制改革という面では、我田引水ではないが総合規制改革会議において、これは総理のバックアップを受けてIT分野以外では相当これまでのハードなところへ切り込んでいきつつあるというような状況であるが、ITというのはより重要だからIT戦略本部にこの規制改革についても考えていただこうとして移したわけであるが、実態はそうはならずにITの部分だけが遅れてしまっているというふうに見られなくもない。
もしそうであるとすれば、これは大変問題であろうと思う。私は戦略的にそういう規制改革のあるべき方向性、競争政策のあるべき方向性をこの戦略本部で引き続き重点項目として背負っていくということをしていただかない限り、この分野だけの規制改革は遅れてしまう。そこのところは読ませていただきながら非常に懸念している。
○岸会長 前回4月9日の会合で新しい重点計画に盛り込むべき施策について私から説明をさせていただいたが、今回、新しい重点計画に反映していただいたものがたくさんある反面で、まだ改善の余地があるように思う。
宮内会長の今おっしゃられたことと非常に重複するが、やはり世界最先端のIT国家を目指すには規制改革と、それから競争政策、これを重点的にスピード感をもって推進することが不可欠だろう。それで、総合規制改革会議との関係であるが、この会議と連携をとっていくのはもちろんであるが、IT分野については総合規制改革会議の答申や規制改革推進3ヶ年計画以上にもっと踏み込んだ施策をIT戦略本部として打ち出す必要があるのではないかと思う。そのため、必要であればこの重点計画も適宜見直ししてしかるべきではないか。
それから今、申し上げたことと関連するが、これも宮内会長がおっしゃったことだが、今回の具体的な施策について担当府省が明記されている。責任の所在を明確にするという意味ではこれは重要なことであるが、ややもすればそのために担当府省にその部分についてはすべて任せ切りということになっては困る。そうならないようにするためには、IT戦略本部が従来以上に前面に出て規制改革の推進や効率的で質の高い電子政府の実現などをリードすべきだろう。重点計画の基本方針にはIT戦略本部の役割が明記されているが、必要に応じて専門家の協力を得るなどして、この本部がまさに戦略の中枢として機能するようにすべきだろう。
○秋草社長 今ハードウェアの技術というのはものすごい勢いで進んでいて、多分2005年まで止まらないだろうと思っている。そういうCPUのスピード、あるいはファイルの容量、通信のスピードあるいは容量ということを現在私どもが使い切っていない。そういうのをふんだんに使う、もっと高度なアプリケーションを創出しないと、ハードウェアはそろったけれども使い方が未熟だという大きなギャップが生まれる可能性があるということを提言して、そういう高度なIT利用を含めた施策が必要だということを前回書面にて申し上げた。今回、かなりそういうことが盛られているので、非常によろしいのではないかと思っている。
もう一つは、今回、IT投資促進のための税制措置を始めとした支援策を検討するとある。特に今やハードもさることながらソフトに対する投資が非常に大きくなってくる。こういうことが是非とも中小企業に対しても有効だと思っており、ひいては我々業界としても間接的によくなると思っているので、よろしくお願いしたい。
あとは、今回の中に入っていないが、最近思うのは、企業におけるIT活用の促進というのがどちらかというと「電子商取引等の促進」ということになっている。それも非常に重要だと思う。しかしながら、現在、例えば製造業がつくる車だとか産業機械、あるいは医療機器、電話器等は、ソフトウェアの塊である。決してハードウェアだけではなくて、ロボットにしても本当にソフトウェアの塊であり、電話でも携帯電話は今100万ステップのソフトウェアが入っているということで、ソフトウェアでもって競争力をつける時代になっている。これから日本が製造業の競争力をもっと高めて、中国に負けないためには、箱だけではなくソフトウェアでもって製品の価値をつけるという時代をつくらなければいけないと思う。そういう意味で、ここのテーマをもっと広めて、特にIT活用推進策ということでそういう意味での投資に対するいろいろなインセンティブ、また関連技術の開発などで、製造業の機械の中に入るソフトウェアに対してももっと活性化させるということが必要だと思う。これも広い意味でのIT戦略だと思っているのでよろしくお願いしたい。
○宮津社長 IT戦略本部が創設され、「e-Japan重点計画」などをつくったときも、国としてITを中心に社会経済の活性化を図るという趣旨で、くさびを打ち込むような形で、始まったと理解している。昨年3月の時点でいろいろな議論もし、さっき御報告があったようにかなり成果も出たが、現にIT革命を担っていかなければいけない企業側の立場から言うと、あのときの議論と今とでは全く環境が変わった。値段も下げ、加入者も増えるなどいろいろな成果を出す努力を現にやっているが、それに伴い企業側は、今の不況もあり、収益面で非常に苦しい状況になってきている。
でも、これはひるむわけにはいかず、更にこの目標を達成するために努力しなければいけない。しかし、最初のときに思っていたことに比べると今は非常にきつい。特に各メーカーなどもいろいろやっているが、私どももそうだが、広く言えば構造改革的なところまでどうしても踏み込まなければいけないことになってきていて、それに今取り組んでいる。だから、ある意味ではこのIT戦略というのが企業改革を進める引き金にもなったのではないかと思っている。それで、現に今そこにきているので、どうしてもこれはきついのだが、まさに今胸突き八丁にきている。
苦しいからといって、別に国から援助してくれとは言わない。規制も結構だが、いい意味の規制だけにしていただきたい。今は収益面で非常に苦しくなって、他方、雇用も確保しなくてはいけないという状況の中で努力しているわけなので、とにかく民間でやろうとしているその意欲というものの足は引っ張らないよう是非よろしくお願いしたい。奥歯に物が挟まったような言い方だが、考え方としてはそういうことである。よろしくお願いしたい。
○奥山副会長 今日の案を拝見し、随分いろいろ書き込んでいただいたところも多いと思っており、その点は私としては非常に評価をし、また感謝を申し上げたい。例えば、岸会長が毎回のようにおっしゃっていた1種・2種の事業区分の問題等も盛り込んでいただいており、2002年度中に結論を得るとはっきり明記してあることから、そういう意味で競争政策についても一歩踏み込んだ形は大変評価できる。
ただ、やはり電話からインターネット時代へネットワークの構造そのものが抜本的、根本的に変わっていく中で、まだ不透明な部分があるからだろうと思うが、ちょっと歯切れが悪い。かねてこの場でも、先ほど宮内会長もおっしゃったような規制改革専門調査会でわざわざ御提言いただいたような競争の促進というようなことについては、まだ不透明ということかもしれないが、具体的には書いていない。競争政策については今後具体化していかなければいけない問題は多々残っているということで、これらについては引き続き是非ともできるだけ早い時期に具体的な方向性を出していただければと考えている。
もう一点は鈴木社長がおっしゃったことで、ちょっとわかりにくかったのではないかと思うが、今のインターネット社会に向かってのインフラの構築は先ほど事務局の報告にもあったように世界で一番安くなったというようなところばかり非常に評価されてそれが前面に出る。世界で一番安くなったことは非常に評価されるが、鈴木社長がおっしゃったのは、そういういわゆるベストエフォート、最大限のエフォートはするけれども、それでだめだった場合、お客様はそれで泣き寝入りでしようがないというところまで恐らく国民は割り切っていないと思う。やはりベストエフォート型というものの意味を恐らく利用者は完全にはわかっていないと思うので、そこで鈴木社長が信頼性、安全性といったようなものについて十分配慮が必要であるということを力説されたと思う。私どもネットワークを構築する立場からもまさにそう思うので、安いことについては世界で一番安くなったという目標が達成された以上、次の大きな目標の安全性、信頼性についてもある一定の基準を満たすような形で、この担保だけは是非とも必要だろうということを私からも申し添えさせていただきたい。
○村井国務大臣 1つ目は、災害が起きたときにどういう状態であるかということを一挙に把握するというのは非常に重要なことであり、防災関係情報化のグランドデザインをしっかり進めたい。これは防災担当大臣としての立場である。
もう1点は、全く今お話を伺っていて感じたことであるが、日本でいろいろITの普及ということを考える場合に一番大きな問題は、やはりキーボードアレルギーのように、マンマシンインターフェイスという一番難しいところでないか。先ほど梶原知事からアイ・スマートの御紹介があったが、恐らく非常に単機能的な機械にならざるを得ない。広がりがない。何でそんなことを言い出したかというと、要するにデジタルディバイドの問題がある意味では一番深刻な問題なんじゃないかと思う。
実は、今の日本のコンピュータあるいはタイプライターのキーボードのレイアウトというのは、キーの数が少なかった時代に「あいうえお」を配分したものを、後になってそのキーの数が増えてからその分を追加して今のような形にしたという、ある意味で妥協の産物である。特に仮名打ちをするとそうで、本当はこの辺りを変えていかないとどうしようもないのではないだろうかという感じがする。若い人たちは覚えてしまえばよいが、私自身はと言えばかつて英文タイプをある程度打てるようになったことで別に不自由はしていないが、実際に私よりも少し年齢が上の人々にパソコンの便利さ、あるいはインターネットの楽しさという話をすると、やはり一番引っ掛かるのはそこの部分になる。これはメーカーの問題というよりは、私はある意味では標準の問題ではないかという感じがしている。
ただ、それを変えているうちに、口でしゃべればパソコンが自然に動いてしまうという時代になるのかもしれないが、音声入力が容易な時代になるのかどうか知らないが、ちょっとそれでは済まない。まだまだキーボードで入れていく時代が続くのではないか。そこを何か飛び越える方法はないかという問題意識だけ申し上げる。
○尾身国務大臣 研究開発の推進については、全体の概要、社会的あるいは経済的な枠組みのようなところについてはかなり書いていると思う。技術開発、研究開発の面で、実はIT関係の水準、ハード、ソフトとも10年前に比べて日本の競争力が落ちているという非常に深刻な状況になっているので、私ども総合科学技術会議では、ハード、ソフトとも研究開発、ITは最重点分野としてこれから相当力を入れていかなければ、日本という国が世界の中で一流国として残れないという感じがあり、これを総力でやっていこうということになっている。
そういうわけで、全体の経済の底力という意味で、研究開発についてやはりもうちょっと重点的にここに力を入れるという国の姿勢をIT戦略本部の方でも出していただきたいと思う。総合科学技術会議の方でも具体的な詰めをどんどんやっていくが、こちらの方でも是非そういう視点も重点として入れていただきたいと思うので、どうぞよろしくお願いしたい。
○片山総務大臣 このアクションプランは作り直しである。「e-Japan戦略」が去年1月の終わりで3月にアクションプランができた。それから言うと約1年。それで、次のアクションプランである。
私は、評価はいろいろあるし、お考えはいろいろあると思うが、1年で着実に進んできたなと思っている。規制改革や競争政策という御意見はあるが、私はかなり進んできていると思う。急がば回れというところはある。短兵急にばたばたといってもなかなか具合が悪いところがある。そういう意味では私はなだらかに進んできているので、この勢いで、このペースでなおやっていきたい。いろいろな企業の状況も考え、経済のこれからの動向も考え、それからそれぞれ担当の調和もしながら進めていくのが良い。もう少ししっかりとやれという御議論はあるかもしれないが、しかるべき努力はこれから2001年度中、2002年度中にやって行くべきであると考えている。専門調査会というのがあったが、御意見は御意見として承りながら必要なことは取り入れているつもりであるから、そこはひとつ長い目で見ていただくということではないか。毎回私も同じことを言い、逆のことを言われる方も同じことを言っているが、締めくくりであるので言わせていただきたい。
(4) 「e-Japan重点計画−2002(案)」の修正について竹中大臣に一任の上、パブリックコメントに付すことについて、本部了承。
○竹中IT担当大臣 貴重な御意見を感謝。今日の話を通じて、今の片山大臣のお話も含めてであるが、事務局が説明した資料でインターネット比率はこの1年間に画期的に高まった。これは評価すべきである。しかし、世界の中での順位は1つ下がった。その辺に一つの重要な示唆があるのかもしれない。非常に変わったということも事実で、皆さんがおっしゃったように、実はIT戦略会議というのは私が学者のときに提案して、それでこのような形になったいきさつもあるが、当時と本当に変わったと思う。しかし、世界全体が動いている中で意外に相対的には変わっていないと見える部分もある。これは両方本当だと思う。変わった部分となかなか変われない部分があるから、その矛盾がむしろ顕在化して、特に企業経営の立場から言うと、技術はものすごい早さで進歩して、価格はものすごい早さで下がっているが、雇用の制度というのはなかなか変わらないので経営上は大変苦しいというような矛盾も出てきている。
しかし、ここまでインフラが高まってインターネット人口が増えたということになると、いよいよITの成果を取り入れるという現実味を非常に帯びてきた段階だと思う。小泉構造改革自体が改革の具体的な姿を見せる段階と言われているが、ITについても同じことが言えるのではないか。その意味では、小泉内閣の2年目に当たって、このITの姿を具体的にもっと見せていく仕組み、そのためにはやはり人間が変わらなければいけないと思うし、「e!プロジェクト」のようなものを非常に活用していくということも必要であろうし、経済財政諮問会議及び総合規制改革会議等々で議論されている特区のやり方をITにも適用するというようなことも積極的に取り組まなければいけない。要するに、IT革命が目に見えるようにしていかなければいけないということであろうかと思う。
本日いただいた御意見を踏まえ、この重点計画に必要な加筆等々を施した後、速やかにパブリックコメントに付したいと思うが、文案については、御一任いただければありがたい。[異議なし]
それでは、そのように取り運ばせていただく。
(5) 小泉内閣総理大臣から以下のとおり挨拶。
- 新官邸で初めての会議であるが、今日もいろいろと感謝申し上げたい。
- 私が本部長になって約1年、220施策のうち昨年度中に実施すべき103施策をすべて順調に実施することができたのも皆さんの御指導の賜物だと思う。
- 世界の頂点を目指すには一層の充実とスピードアップが必要であるし、新重点計画案では公立学校4万校の全普通教室45万でインターネット利用環境を整備することを新たに盛り込むなど、300を超える意欲的な施策を内容としたところである。
- 今後世界最先端のIT国家の実現に向け、引き続き皆様の御指導、御協力を得てIT施策を強力に推進してまいりたいと思うので、よろしくお願いしたい。ありがとうございました。
(6) 竹中IT 担当大臣から以下のとおり閉会の辞。
- 次回は、「『e-Japan重点計画−2002』の決定」等を議題として6月18日の開催の方向で調整させていただきたい。
- 会合後の記者会見は、私の方からさせていただく。本日はありがとうございました。
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