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第13回IT戦略本部 議事録


1.日 時:平成14年6月18日(火) 17:30〜18:30

2.場 所:内閣総理大臣官邸小ホール

3.出席者:[別紙]

4.会議の模様


(1) 竹中IT担当大臣から以下のとおり挨拶。

  • 総理は少し遅れていらっしゃるが、時間を過ぎているのでIT戦略本部第13回の会合を開催する。本日は、お忙しいところお集まりいただき感謝する。
  • 本日の議題は、「e-Japan 重点計画−2002」についてである。前回の第12回本部会合において「e-Japan 重点計画−2002」の案について諮り御意見をいただいた。これらの御意見を踏まえて修正を行い、その上で5月13日から6月3日までパブリックコメントに付して国民の皆さんの御意見をいただいたところである。その結果について後程事務局から説明をさせる。
  • 議題に入る前に、今月1日、ソウルでアジアIT閣僚サミットに出席したので簡単に御報告する。アジアIT閣僚サミットにおいてはアジアの23の国、地域のIT担当大臣が集まり、この地域における経済発展においてITが果たすべき役割、IT政策における協力関係の在り方等について意見交換を行った。私も基調講演を行い、日本の状況、日本の果たすべき役割、更にはアジア・ブロードバンド計画の話等をさせていただき、各国、各地域から理解と賛同を得ることができたと考えている。このような会合を通じて日本経済の再活性化への取り組みへの期待が改めて強いことを認識し、ITの推進に取り組む決意を新たにした次第である。

(2)「e-Japan 重点計画2002」について事務局から以下のとおり説明、本部決定。

【事務局】「e-Japan 重点計画−2002」については、5月13日から6月3日まで、約3週間パブリックコメントに付したところである。全体で318のコメントが提出され、一つ一つ精査を行い、コメントに関する考え方を整理した。そのポイントについて御説明する。
 全体を通じて、IT革命をしっかりやるべしという意見が多く、私どもはこの318件の意見に対して、できるだけ出されたパブリックコメントを取り入れるという形で修正をしようと考えている。詳細は今から御説明するが、新規施策の追加が1か所、施策の明確化が16か所で、17か所の修文を加えたところである。
 コメント別に簡単に御説明をさせていただく。まずネットワークの形成の関係では、電波の再配分ついては今から取り組むことが非常に重要だという御指摘があった。オークション方式に慎重論もあった。そういう中で、外国におけるオークションなどの実施状況等の問題点も十分調査をしながら検討を行うということは既に明確に書いているところである。
 また、電力線搬送通信設備、要は電力のコンセントのところからインターネットも一緒にできるようにするというものであるが、これについては周波数帯域を拡大するとアマチュア無線等への悪影響が出てくるから反対だという意見が109件出てきた。実は、この318件の中で一番多いコメントであったが、こういう点についてももちろん放送その他の無線業務への影響について十分調査を行って検討をしようということを既に明確に示しているところである。
 また、電気通信事業法上の一種、二種の事業区分を含め、規制は最小限にせよという意見があった。これに関しても、電気通信事業法の一種、二種の事業区分を廃止する等、競争の枠組みについて見直すということで方向性を明確に示したところである。
 また、教育・学習の関係については、コンテンツクリエーターのモラル教育が必要だという御指摘があった。そういうことも明確に書き入れるという形にしてある。
 電子商取引の関係については、映像コンテンツの安全性確保策という御指摘があった。これは皆さんも覚えておられると思うが、1997年に光過敏症、いわゆるポケモンショックがあった。つまりポケモンショックに対する子どもたちへの安全性の問題、生体に与える影響というものが問題ではないかという御指摘であった。この視点が欠けていた。そこで映像の生体影響に係る安全面の施策を追加し1項目追加した。本年度中に総務省、経済産業省でいろいろ検討をしてもらうということを新たな柱として立てたところである。
 行政の情報化の関係については、電子政府、電子自治体の具体的利便性がよくわからないという御指摘があり、これをわかりやすく示すように修文した。また、そういう方向でいろいろな施策を展開していきたいということを明示した。
 情報セキュリティの関係については、普及啓発も大事との御指摘があり、これもおっしゃるとおりであり、これに努めたいと考えている。
 こういった論点について、先ほどのポケモンショック、光過敏症の対策の点を含めて1項目の施策の追加、16項目の明確化ということで新重点計画を修正し、ちょっと分厚くなったが、今日御審議をいただいた上でこの計画に基づき一つ一つの項目を着実に実施していきたいと考えているところである。

【竹中IT担当大臣】お手元に、パブリックコメントの結果とその後の調整を踏まえた「e-Japan 重点計画−2002」の最終案をお示ししている。本案のとおり本部決定したいと考えるが、御異議はあるか。

(「異議なし」と声あり)
 それでは、これを「e-Japan 重点計画−2002」として本部決定したいと思う。
(「e-Japan 重点計画−2002」を本部決定)

【竹中IT担当大臣】今、決定していただいたものについては、戦略的かつ重点的で迅速に行うべき318の施策を盛り込んであり、このうち今年度中にその4割強に当たる132の施策を実施することとしている。これらを着実に実施して、当初の目的どおり5年以内に世界最先端のIT国家となるということを目指していきたいと思う。皆さまの御指導、御協力を賜りたい。
 ここで、片山大臣と平沼大臣から御発言がある。

【片山総務大臣】ただいま決定いただいた重点計画に盛り込まれている318政策は、いずれも世界最先端のIT国家の実現に向け、不可欠なものである。これまでも電気通信分野の規制改革や全国ブロードバンド構想、電子政府・電子自治体推進プログラムの策定・推進など重点計画の実施に取り組んでいるが、IT戦略本部の副本部長として引き続き重点計画の実行に全力を尽くしていく。
 また、規制改革については情報通信審議会から6月4日に答申の草案が提示されたので、その検討を踏まえて競争の枠組みを抜本的に見直し、所要の措置を講じていく所存である。
 電子政府、電子自治体の推進については去る6月7日に行政手続オンライン化関係三法案を国会に提出したところであり、まだ御審議いただいていないが、その成立に向けて今後とも鋭意取り組んでいく所存である。
また、現在申請・届出等に限らず行政手続全般にわたりオンライン化を着実に推進するため、全府省においてアクション・プランの拡充・見直しを行っている。さらに地方公共団体の情報システムの共同運営については、都道府県、市町村が一体となって都道府県単位程度で共同でシステム整備をやってもらう。そして、できればアウトソーシングしたいというようなことを考えており、必要な支援を今後とも行ってまいりたいと考えている。これらの枠組みにより、電子政府、電子自治体の早期実現を図っていきたいと考えている。
 この1年の間に、料金や加入者数などネットワーク面の環境は飛躍的に改善されたにもかかわらず、実際の利用者数が十分に伸びていない状況である。こうした状況を真摯に受け止め、今後はコンテンツ流通の促進、電子政府、電子自治体の促進など、ネットワーク利用の促進策に重点を置いて検討を進めることが重要と考えているので、本部員の皆様の御支援、御協力をお願い申し上げる。

【平沼経済産業大臣】副本部長として私からも一言発言させていただく。我が国は現在第2ステージとして本格的なIT時代を迎える踊り場にあると思う。内外のIT武装に成功した企業の事例に見られるように、我が国産業の国際競争力を強化し経済を活性化させるためには、いかに戦略的にITを活用するかが極めて重要だと思う。先ほど総務大臣からお話があったように、ネットワークに係る規制改革などさらなる環境整備が進められていく中で、ユーザーにとってITを活用する環境は着実に向上しつつあり、これを積極的に生かしていくことが期待されている。こうした官と民の取り組みが車の両輪のように相まって、初めて世界最先端のIT国家が達成できると考えている。
 本日決定した重点計画については、更に前倒しするくらいの心構えで官民挙げて取り組んでいくべきであると考えているので、皆様方の御協力をお願い申し上げる次第である。


(3)総務省大野政策統括官から、行政手続オンライン化関係三法案について以下のとおり報告。

先ほど片山総務大臣からもお話があったとおり、去る6月7日に三法案について閣議決定の上、国会に提出をさせていただいた。
 まず「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案」の概要であるが、この法律案は原則的にすべての行政手続について、従来の書面による手続に加えてオンラインによる手続も可能とするための必要な法整備である。
 なお、手続の性質からしてオンライン化になじまない、つまり、現物を要するとか、あるいは出頭、対面を要するといった手続について適用除外としている。本案では、いわゆるネガティブリスト方式で法律の別表に規定し、34法律について適用除外を設けた。
 この「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案」に関連して他の71法律について改正をする必要があり、これを「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」でまとめている。この法律案では、既にオンライン化が先行している法律もあることから、この適用関係の整備であるとか、あるいは印紙納付をしているものについて、電子的な方法による納付も認める、あるいは手続の簡素化を図るための必要な規定整備、さらには国税・地方税の電子納税のための必要な規定の整備などを行うこととしている。
 次に、申請・届出等の行政手続のオンライン化の実現に際して、いわゆる書面における署名捺印に相当する電子署名が必要であるため、「電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律案」において、この電子署名を行う場合の電子証明書の発行事務等について、都道府県と市町村が連携した形で高度な個人認証サービスを行うということであり、全国どこに住んでいる方に対しても安い費用で提供するためのサービス制度を創設するということである。


(4)事務局から、2002年サッカーワールドカップ大会におけるIT関連の取組について以下のとおり報告。

 4つの項目がある。第1は、空港などにおける高速インターネット接続環境の整備である。我が国へ到着次第、すぐに高速インターネットを利用できるよう、成田空港には持参したパソコンを無線LANに接続できるエリアなどの整備を行っている。さらに成田エクスプレスのほか、東京駅など主要駅でも移動しながら高速インターネットが利用できる無線LAN環境を整備したところである。
 第2は、新たな携帯電話サービスの提供である。我が国は世界に先駆けて第3世代携帯電話のサービスを開始している。高速性を生かし、動画でワールドカップ関連情報を提供するとともに、国内主要会場には体験利用できるコーナーを設けている。また、1台で日本でも韓国でも利用可能な携帯電話端末の販売、貸出しも開始したところである。
 続いて、第3は広いサッカースタジアムを一望できるような超大画面、高精細映像による試合実況のデモンストレーションである。映像技術としては我が国が世界に先駆けて開発した高精細テレビジョン方式であるハイビジョンを用い、かつ特殊なカメラを開発し3面の高精細映像をゆがみやつなぎ目がないような形で、横11メートルの巨大画面に再現している。通信技術としては、衛星を利用して高精細映像の大量情報を、超高速で安定的にかつ効率的に伝送するための技術が用いられている。
 これは独立行政法人通信総合研究所と、韓国電子通信研究院の共同研究の成果である。目下、総務省などのほか、横浜会場のメディアセンターで内外のジャーナリストに御紹介しているところである。
 最後に、第4は多機能型ICカードの実証実験である。ICカードは御案内のとおり機械の中を通す接触型と、機械にかざして無線で情報を読み取る非接触型がある。今回、1枚のカードに両方の機能を持たせ、日本の円でもウォンでも交通機関でも売店での支払いにも多様な利用ができるICカードを開発し、実証実験を展開しているところである。


(5) 自由討議

【竹中IT担当大臣】自由討議に移りたいと思う。御承知のように、昨年の1月にこのIT戦略本部が発足し、今日御決定いただいた「e-Japan 重点計画−2002」をもって、いわば第2段階に入ったということが言えると思う。今後IT革命がさらに加速するために今後のこの戦略本部の進め方、さらにはIT政策の方向性等について、自由に御発言をいただきたい。

【出井会長】IT戦略本部、そして「e-Japan戦略」 ができてから、いろいろな取り組みが目に見える形になってきて進んでいることは、IT戦略会議の議長を務めさせていただいた者としても大変うれしく思う。その間、インフラの利用、その他などがすさまじい勢いで広がってきており、競争促進により接続料金も下がった。その間アメリカの接続料金が値上がりしたことに比べれば、日本は非常にいい環境になってきた。日本に比べアメリカは国土が広く、ほとんどADSL普及の可能性はない。そのため、このところ日本はADSLを含め広帯域常時接続という意味では世界でも目覚ましい普及率を示していると思う。
 今、竹中大臣がおっしゃったように、IT戦略本部も今後次の段階に入ってくると思うが、私はこの件に関して2点強調したいことがある。第一にIT戦略本部は戦略本部というからには、本来戦略というものを常に見直していかなければいけない立場にある。「e-Japan重点計画」をベースにもう一度戦略というものをどのようにしていくか考えることは有効だと思う。
 その一つとして、コンテンツの権利を安全に、かつ著作権を保護したままで流通するということに関して、いろいろ言われているが、なかなか技術的な解というものがない。特にワイヤレス環境において、ファイルのトランスファーみたいなものが自由に送られた場合、これに関してコンテンツを渡すのと鍵を開けるのとを分けてやるということは、技術的には分かっているわけであるが、よいスタンダードがない。これは日本にとって、イニシアチブをとっていくチャンスであると考える。
 現在、アメリカはコンテンツを持っているところからヒアリングを行っているが、国内にコンテンツ産業があるだけに非常に防衛的になっている。技術の変化というものがコンテンツをリードするということに関しては、我々のところにもコンテンツ事業があるが、コンテンツ側というのはどちらかと言えば技術の変化を望まない方である。それでも、技術の変化というものがコンテンツをリードするということに関しては、日本がどんどんやれるエリアではないかと考える。
 それから、アメリカが知的戦略・知的財産を武器にするという戦略に出ていることは確実であり、いろいろな意味で日本の企業は知的な財産の戦略について対応に追われている。即ち、今までインテルとマイクロソフトの組合せにより、かなりの部分でマイクロソフトとライセンスを結ばなければならず、この組合せに挑戦するような戦略がないといわれている。知的財産のネットワークの流通に関する戦略について、インフラの整備状況を反映した「e-Japan重点計画」ができたことから、もう一度考え直しておく時期ではないか。
第二に規制改革については、宮内会長が議長である総合規制改革会議と密接な連携をとって、両者で無駄がないように、加速するような方向での緊密な連携が望ましいと考えている。この2点は既に御配慮いただいていると思うが、是非加速していただきたいというお願いである。

【村井教授】新しいフェーズに移ってきている中で、全体の状況を見た場合、施策が非常にうまくいっている、成果が上がっている箇所もある。それだけに目標値がある程度達成できているという部分には、かなり戦略的・集中的にターゲットを定めて進めてきたという背景がある。そういうなかで、現在はいろいろ内外の状況が急激に変わっており、この幾つかの報告の中にも含まれているが、特に海外での、このIT戦略本部でやってきたようなIT戦略、あるいはそれを下敷きにしたような戦略が非常にきちんと立てられており、アメリカの方でも中期的な戦略というのが新たに9月に発表されている。そういったなかで、先程、出井会長がおっしゃったが、戦略的観点から、どこに焦点を当てるかとか、取り組むべき課題というものを具体的にもう一度考えて、進めていくことが必要である。「e-Japan 重点計画−2002」に書いてあることは全部大事であるが、そのなかで、どういう戦略でこれに取り組んでいくかという考え方も大変重要だと思う。
 もう一つは国際性について。先程ワールドカップの件の御報告があったが、こういったワイヤレスのインターネットのジャンルについて日本は非常に先進的な効果、つまり商用のサービスの導入であるとか、あるいはそのデバイスであるとか、そういったところで大変先進的な動きがあるかと思う。
 さらに、2005年に世界一になるということは、2006年に2番目になっていいということではない。そうすると、本当に2005年から世界一をキープしながら、あるいは世界をリードしていけるかという体制をつくることはとても大事だと思う。そのためには、少し中期的に2005年から先へ向けた、特に人材関係、研究開発関係について、このことに対してかなりのピクチャーが見えてきたと思うので、これらをIT戦略本部としてしっかりとらえていくというのも大変重要かと思う。例えばアジア・ブロードバンド戦略、こういったことを一つ取っても大変重要な領域であるが、これはやはり国全体の各セグメントの取り組みが必要になるので、この戦略を立てられるのはやはりここしかないと思う。したがって、そういった取り組みをしていくべきだと私は思う。

【宮津社長】「e-Japan重点計画−2002」に掲げられた事項を実行することが大事だと思っている。具体的な内容がどんどん出てきており、大変このIT戦略本部で進めてきてよかったと実感している。特に政府側の方で、最近総務省は非常に明確に物を言い、考え方をはっきりさせながら手を打ってきている。IT戦略に関する議論を始めたころは、何だか抽象的なものが多かったが、随分変わってきたなという感じがする。非常に頼もしい。私も本部員なので政府の方のことばかり言うことはできないが、でも随分変わったなと思っている。基本的には規制は外していくという方向で着実に進めていただいていると思っているので、今後ともよろしくお願いしたいと思う。

【梶原知事】お手元に「e−LG戦略」というのをお届けしている。これはeローカルガバメントという意味で、全国知事会の情報化推進特別委員会、私が委員長をさせていただいているが、そこで全国の知事から意見をまとめて、住民の視点に立った戦略を進めようというものである。
 重点計画はいろいろ自治体とかユーザー、住民の立場で御配慮いただき大変感謝している。
住民サイドから考えた場合、国県市町村のネットの構築を進めていくと、一体それは市町村のネットなのか、県のネットか、国のネットか、余り意味がなくなってしまうということになる。つまり、ネットが広がっていくと国県市町村の垣根を壊していくということになろうかと思う。
 そういう意味で、先ほどより、第2ステージというお話が出ているが、この地域レベルで本格的にこの住民視点に立った電子自治体戦略を進めなければいけない。そういう覚悟を決めなければいけないのではないかということである。
 まず、eガバメントをさらに発展さるとデジタルガバメントというようなコンセプトになっていくのではないかと考えている。今、日米の有志の知事会議を開こうとしているが、アメリカとの関係でもそういうことを話しており、行政そのものを全体性、統合性、創造性を持ったシステムに持っていかなければいけないと思っている。あくまでも住民の視点に立つということが基本であるということである。
 そこで、今お話申し上げたように、全体性という観点から、ポリシーを全国的、国際的に共有をしていこうということで有志の国内の知事会議を行っており、今、申し上げたように日米の知事会議でポリシーの共有を図っていこうということをやっている。
 それから、総務大臣が今おっしゃったが、これから共同化というものは非常に重要であり、アプリケーション開発を個々にやるのではなくて共同でやっていかなければいけない。それには、民間の力を借りなければいけない。それを通じて、IT関連産業を大いに育てるという新しい需要の創設ということを念頭にやっていきたいと思う。
 一方、インフラの方はやはり市場原理で賄えないという面もあり、御配慮いただいているが、公共政策でインフラ整備をしていくということも続けてお願いしたいと思う。
 公共政策ということになるとやはり弱者対策、これも継続してやっていきたいし、御配慮もお願いしたいと思う。
 それから、「分担と連携」というのがある。これも総務大臣がおっしゃったように、これからは自治体の連携でアプリケーション開発等をしていかなければいけないということである。
 そして、公共モデルの開発、つまり従来の民間レベルのビジネスモデルに対応した公共モデルの開発が緊急の課題である。特に自治体の行政改革、これをやらないで電子化しても全く意味がない。むしろ害あって益なしということであり、業務改革、行政改革をやりながら電子化していく、これを進めていくための公共モデルが必要である。
 これから学校教育用のコンテンツ、先ほど知的所有権の問題もあったが、これについては、インフラ整備に目途がついたので最重要課題ではないかと考えている。
 それから、やはり人材養成というものが大きな課題である。第2ステージとして岐阜県の例を申し上げると、シリコンバレーのインドの方と提携し、その受入れをしたいと思っている。向こうでも800人の方が来たいと言っておられるが、いつも言っているようにビザが非常にうまくいかなくて何か月もかかる。これは是非改革して、外国人技術者、研究者との連携を取れるようにしていただきたい。こういうことが第2ステージで非常に重要なことでないかと思う。
 また、先ほど申し上げたように業務改革というのが非常に重要である。それで、アウトソーシングをどんどんこれからやっていくべきではないかというのが共通の意見であり、是非民間サイドでもその受入れ体制、協調体制というものを強化していただきたい。特に県レベルはともかく、市町村レベルは全く専門家というのが現場にいないので、これは本当に真剣に考えないと自治体レベルの電子化は進まないと思う。
 次に、IT特区の制度の創設を是非お願いしたいと思う。ただし、中身は地域によって事情が全く違ってくる。例えば、沖縄と岐阜県では全く事情が違う。そういう意味で、中身は自主的に決められるようにしていただきたい。そして、全国でIT特区を配置することによって画期的に日本列島全体の力が出てくると思う。  お手元に、ソフトウェアをお届けしている。これは、私どものソフトピアジャパンにいる天才的な若者の作で、どんなパソコンもこれを入れれば簡単パソコンになり、キーボードを使わなくてもマウスで画面を見ながらクリックしてEメールとインターネットが本当に簡単にできるものである。これは、50代の家庭の主婦を念頭に開発をお願いし1年弱で開発した。世界でもまれな取り組みであるが、これを今、県内に配布し、パソコン・アレルギーのある方にこれを使っていただくこととしている。これを使えば、もう本当に何も練習がなくてインターネットを使うことができるようになる。
今日はこの宣伝に来ているわけではなく、いかに地方・地域にすばらしい人材があるかということを一つ話ししたいということで持ってきたわけである。
 それから電子自治体、先ほど申し上げたように国内では有志のIT戦略を考える会があり、これには竹中大臣にも御出席をいただいた。それから、来年1月には日米電子自治体会議を開催するということで総務省の御支援もいただいている。第2ステージでは、いよいよ自治体の出番であり、自治体が主体であるという責任感を持ちながら、地域性、住民ニーズに応じたIT政策を展開するということをやっていきたい。今までは何でも国に依存するというような意識の知事とか市町村長が多かったが、これからは頭の切り替えをして自己責任でやっていかなければいけないということであり、アンケート調査をやった結果も手元に提出してあるが、こういう気持ちでがんばってまいるので、よろしくお願いしたいと思う。

【秋草社長】1年やって、非常に着実に進んでいると思っている。これは国だけでなく地方自治体、あるいは民間にも「e-Japan」 という方向が示されたということであり、非常にそういう感触を得ている。今度は次のステージに入ってくるわけであるが、利用者の立場からどうしたらいいかということが非常に重要だと思う。
 そのときに、国民の立場から見て、今後、例えば年金だとかパスポートとか自動車免許、今度8月から始まる住民基本台帳など、いろいろなITの効果が生活に入ってくると思う。そうなるとさまざまな難しい問題も出てくる。やはり2005年に世界一ということを目指すとなると、そういう難しい問題についてこそ避けて通らず、検討する必要があるのではないかと感じている。

【鈴木社長】政策レベルで行政府、政府が率先して、こういったIT化に備える、制度を改革するのは非常に立派なことだと考えており、大きな意味があるのではないかと考えている。
 ここで、いくつか配慮していただきたいのだが、現状の2005年にトップになるということであるが、通信機器、インフラ両方、あるいはアプリケーションのサービス開発といった面で、トータルで日本の通信業全体が本当にトップなのかというようなところを考えながらやっていただきたい。
私どもはインターネット事業をやっているが、残念ながら、通信機器はほとんど海外のものを使っており、アプリケーションもほとんど海外のものである。このような状況の中で、日本の通信機器はいまだに世界で最も品質はいいと思うが、世界的にも新しい考え方をするということであるならば、次の世紀を担う、あるいは次の世代を担うような新しいコンセプトの機器が出てこないというのは非常に残念である。
 一方でこのような通信を支えるのはいいインフラである。この観点からも、民間と政府が協力し、日本が世界で最も新しい利用法をつくれる機器やアプリケーションを独自に創り出せるような国になったらいいと考えている。

【宮内会長】ただいま決定されたこの重点計画の内容について、1年半ぐらいの間でここまで動いたと、そういう意味では大変大きな進歩があって、ここまで持ってこられた関係者に対して、この御努力は本当に多としたいと思う。恐らくこれはIT戦略会議というもので大きな方針が出て、それの勢いでここまで出てきたという感じがするわけであるが、この戦略本部ということになってここの場で更に戦略ということが果たして議論されたかということをちょっと省みると、余りできなかった。結果として、今日まで非常に進歩したけれども、担当各省の検討結果が組み合わされたものが出てきたというようなものであり、戦略的な今後ということについてこのIT戦略本部としてもっと役割があるのではないかと思う。
 そういう意味で、2つ今後の議論の進め方ということでお考えいただければと思う。
 第1は、これまで具体的にやってきたことが、例えば戦略でなく各省の対応ということであったすると、今後はそういうことでなく、もっと総合的な観点から施策を打ち出すということでないと、この本部の役割というのが低くなってしまうので、本当のテーマは何かということを是非御検討いただきたい。
 1つの例であるが、昨年来、競争政策ということで競争監視体制と産業振興というようなものがIT分野では1つになっている。こういうことをどう考えたらいいか。この大きなテーマを専門調査会ということで問題を提起したわけですけれども、実際はそのままになっている。そういう幾つかの戦略的なテーマを検討する必要がある。
 第2は先ほどちょっと出井会長が触れられたが、総合規制改革会議との関連である。総合規制改革会議はこの夏から文字どおり総合的に全分野にわたる本年度の規制改革を検討しようということになっているが、以前申し上げたようにIT分野についてはこの本部にお任せしている。連携してやろうということでお任せしているから、総合規制改革会議から出るのは、IT分野が外れた、IT分野を除いた全分野についてである。
 それで、実は昨年来、先述の専門調査会の問題提起等について、総合規制改革会議との連携がその後行われていないという現状である。したがって、私は総合規制改革会議の立場から言うと、引き続きITを外して議論していっていいのか。本当にこの本部の専門調査会との連携が行われ、IT分野についての規制改革について他の分野と全く違わない歩み、あるいはそれを超えた歩みができるのかどうか。そうでないと、このITの戦略というのはできてこないと思う。そこのところが一つ欠けている。その部分について是非、今後の進め方について方針を決めていただくことが必要ではないかと思う。

【岸会長】重点計画が決まって第2ステージに入るわけであるが、この重点計画については高く評価できるものであろうと思う。
 これからの問題であるが、ITは所詮ツールであるから、これからIT化によって経済社会がどういうふうに変わるのかということがますます問われる段階に入るのだろうと思う。
一つ目は、行政手続オンライン化、これはこれで一つの大きな成果であるけれども、それでもって効率的で質の高い政府が実現するということが重要なことであるから、今後第2ステージではその辺りを意識してフォローアップをする必要があろうかと思う。
 もう一つは今、宮内会長がおっしゃった規制改革の問題であるが、総合規制改革会議の方で全体的な規制改革問題を議論される場合に、いつまでもITの分野を外しておくというのがいいのかという感じがする。IT戦略本部と総合規制改革会議が連携をしてこの規制改革の問題というものを進めていくのがいいのではないかと思う。要は、IT戦略本部と総合規制改革会議の間にボールが落っこちてしまって置いていかれるということが一番困るわけであり、どちらかがやるということではなくてIT戦略本部と連携を十分とって、ある意味では共振させ、増幅して規制改革問題を進めていってはどうかと思う。

【奥山副会長】皆様の御努力でここまで立派な新しい重点計画が今日承認されたことについて、私も敬意を表したいと思う。そもそもIT戦略本部がスタートしたときの幾つかの重要な視点の一つに適正な競争条件の整備というのが大きな項目であったと思うが、その議題についてはこの場でも随分何回も議論されており、またパブリックコメントを踏まえて一部を更に強調するような文言も織り込まれているものの、文章を読む限りにおいては抽象的な表現にとどまっている。これはとどまらざるを得ないと思うが、あとはそれを着実に、適正な競争条件の整備の確保ということを常に念頭に置いて、実際の施策を進めていただくことが何よりも肝要だということを特に強調しておきたい。
 それに関連して、このIT戦略本部が発足し、重点計画を最初につくってから、今日までの1、2年の間に、インターネットのサービスを行う基盤である末端のインフラと、その上に構築されるサービスの提供を行う民間の業者自体、事業者の間の合従連衡を含めた形態自体が随分変わっている。恐らくあと1年の間にさらに変わるだろうと思う。
 そういうことを考えると、IT戦略本部で決められた重点計画を推進するに当たっても、そういう実態的な動きを踏まえてこのIT戦略というものは進めなくてはいけないと思う。その際、ラストマイルの問題がインターネットの世界においても最後の最後までつきまとうことになるので、その点の視点だけは欠落しないように御配慮をお願いしたいということである。

【総務大臣】何点か申し上げる。コンテンツの流通環境のお話が出井会長からあったが、我々も大変それが重要だという問題意識を持っている。今年度の予算でいろいろなシミュレーションを行うこととしている。技術的な問題、法制的な問題あるいはシステムの問題に、どうお金をかけて、どういうふうに配分するかというようなことを含めて関係各省で行うということである。なお、実験は始めているので、またいろいろ御指導賜れば大変ありがたいと思っている。
 それから、これも出井会長、村井教授がおっしゃったことであるが、我が国は今後ハードウェアだけではなく、ソフトウェアでもオープンなソフトウェアの研究開発が必要であり、今はそういう方向にだんだんなってきていると考える。現在、ソフトウェアはマイクロソフトのウインドウズが圧倒的だが、オープンソフトウェアではないため、いろいろな議論がある。特に月尾総務審議官が中心になっていろいろな研究を行いたいということであるので、是非御指導賜れればありがたいと思っている。
 それから、梶原知事がおっしゃったが、地方が表に出てきて大いにやっていただくことは結構である。特に共同化とアウトソーシング化をやって地方にITの関連業種、そういうビジネスを増やしていく、そういうことで地域経済の活性化を図るということを考えているので、是非知事会を中心に連携してやらせていただければありがたいと思っている。
 宮内会長と意見が違うが、IT戦略本部というのは大きな方針を決めて各省が実施することの調整を行っており、実施するのは各省である。本部で全部するかというと、それはとてもできるわけはない。そこで、総合規制改革会議とIT戦略本部の関係であるが、決めるのはIT戦略本部と以前からなっているので、議論は総合規制改革会議でも行っていただくのは一向に構わないのではないかと思う。連携をするということは大いに結構であると思っているので、またいろいろな御議論をさせていただければありがたいと思っている。
 また、電気通信事業者の一種、二種の規制は、情報通信審議会から廃止する旨の草案をいただいているので、今パブリックコメントにかけている。次の機会にはこの情報通信審議会の答申を受け、法律を出すこととしている。通常国会なのか臨時国会なのかは検討させていただくが、規制改革は着実に行っているので、御信用賜るよう、よろしくお願いする。

【村井教授】皆さんのお話を伺っていると大変安心感に満ちているような気がする。私はとても心配なので一言だけ申し上げたいのだが、本当に2005年に世界一になるのならば、相当目標値も変わることになる。また、一方で世界も着実にがんばってきている。したがって、本当に1番になるのであれば、私はそのつもりでおこなっているが、ITというのは先ほども話があったようにすべての分野が乗ってくる基盤だと思うので、ここを見直すことが必要。余り楽観的な雰囲気が流れたので私はとても心配している。

【出井会長】半導体産業で日本が遅れをとってしまったらIT産業でトップになるということはありえない。そういう産業との連携などの意味で私は戦略と申し上げたが、ただ単に半導体のチップでメモリーをつくるのではなくて、もっと中に知的財産の入った半導体、付加価値の高いものでやっていかないとIT戦略とはいえないのではないかと思う。

【竹中IT担当大臣】一番最初に出井会長がおっしゃったように、やはり技術の進歩というのは予想以上に早いというのが一つの重要なポイントだと思う。我々は2年前にIT戦略会議で、2年前に想定される技術の進歩、想定される世界の競争状況を前提に非常に野心的な計画を立てたわけであるが、その後の状況変化というのは非常に大きなものがあるということは認識しなければいけないと思う。宮内会長がおっしゃったように、IT戦略本部になってからいろいろアクションプログラムは着実に進んだけれども、戦略そのものを果たして議論したかということは大変大きな問いかけであると思っている。本日の議論を踏まえて、次回会合において今後のIT戦略本部の進め方について資料を提出して是非御議論をいただきたいと思う。


(6) 小泉内閣総理大臣から以下のとおり挨拶。

  • 大変建設的な御議論を毎回いただき、心から御礼を申し上げる。
  • 本日、新しい重点計画である「e-Japan 重点計画−2002」を御決定いただいたが、昨年からIT戦略本部が発足して以来、IT革命は着実に進んでいるという評価を各本部員からいただき大変心強く思う。余り安心せず、確実に世界最先端にいくよう今後努力しなければいけないと思う。
  • 今後とも、この政策を政府を挙げて関係各省庁と連携をとりながら取り組んでいきたいと思うので、格段の御指導、御協力をお願いしたい。ありがとうございました。


(7) 竹中IT 担当大臣から以下のとおり閉会の辞。

  • 次回の会合については日程、議題を含めて別途事務局から御連絡を申し上げる。


(別紙)

第13回IT戦略本部メンバー一覧

 小泉 純一郎内閣総理大臣
竹中 平蔵情報通信技術(IT)担当大臣
・経済財政政策担当大臣
(欠)福田 康夫内閣官房長官・男女共同参画担当大臣
 片山 虎之助総務大臣
平沼 赳夫経済産業大臣
森山 眞弓法務大臣
(欠)川口 順子外務大臣
(※水野賢一 外務大臣政務官 代理出席)
(欠)塩川 正十郎財務大臣
(※砂田圭佑 財務大臣政務官 代理出席)
(欠)遠山 敦子文部科学大臣
(※池坊保子 文部科学大臣政務官 代理出席)
(欠)坂口  力厚生労働大臣
武部  勤農林水産大臣
(欠)扇  千景国土交通大臣
(※佐藤静夫 国土交通副大臣 代理出席)
(欠)大木 浩環境大臣
(※奥谷 通 環境大臣政務官 代理出席)
 村井  仁国家公安委員会委員長・防災担当大臣
中谷  元防衛庁長官
尾身 幸次沖縄及び北方対策・科学技術政策担当大臣
(欠)柳澤 伯夫金融担当大臣
(※村田吉隆 内閣府副大臣 代理出席)
(欠)石原 伸晃行政改革・規制改革担当大臣
(※熊代昭彦 内閣府副大臣 代理出席)

 秋草 直之富士通株式会社社長
 出井 伸之ソニー株式会社会長兼CEO
 奥山 雄材ケーディーディーアイ株式会社副会長
 梶原  拓岐阜県知事
 岸  暁株式会社東京三菱銀行会長
 鈴木 幸一株式会社インターネットイニシアティブ社長
(欠)松永 真理エディター
 村井  純慶應義塾大学環境情報学部教授

上記の他、以下が出席。
 安倍 晋三内閣官房副長官(政務、衆)
上野 公成内閣官房副長官(政務、参)
 古川 貞二郎内閣官房副長官(事務)
根來 泰周公正取引委員会委員長
宮内 義彦総合規制改革会議議長