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第21回IT戦略本部 議事録


 

1.日 時:平成15年11月27日(木) 17:30〜18:15

2.場 所:内閣総理大臣官邸小ホール

3.出席者:[別紙]

4.会議の模様


(1)茂木IT担当大臣から開会の辞

 【茂木IT担当大臣】
 ただいまからIT戦略本部の第21回会合を開催いたします。
 本日は御多忙の中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 先般の内閣改造に伴い、IT担当大臣を拝命した茂木敏充です。議事進行を務めさせていただきます。
 前回、8月8日が持ち回りで、その前は7月にお台場の日本科学未来館でやらせていた。官邸での会合は今年の5月15日以来になる。
 本日の議題は、今後のIT政策の進め方についてである。なお、報告事項として、平成16年度IT関連予算概算要求及び「情報家電・ブロードバンド・IT」産業発掘戦略のフォローアップの資料を配布しているが、時間の関係上、説明は省略をさせていただく。
 それでは、早速本日の議題に入りたいと思う。先週、今後のIT政策の進め方につき有識者会合を開催した。そこでいただいた論点を含め、今後のIT政策の進め方につき、まず事務局の方から簡単に説明させる。


(2)「今後のIT政策の進め方について」事務局より説明

 【事務局】
   「IT政策の今後の進め方」を御検討いただく視点として、まず7月に御決定いただいたe-Japan 戦略Uの一層の推進を図るため、7月以降のコンピュータウイルスによる被害の報告等、これらの新たな状況も踏まえ、今後の政策の重点をどのような分野に置くべきかについて。次に、IT基本法の見直し期限が来年1月であるが、これについてどのように考えていくか。また、新たに設置される評価専門調査会はどのように検討を進めるべきかなどである。
 次に、先日20日に開催したIT戦略本部有識者会合において、情報セキュリティ対策をより強化すべきではないか。それから、アジア地域を視野に入れた国際的な取り組みを強化すべきではないか。民間保存文書の電子的保存を容認するなど、ITの利用を促進するための規制改革を進めるべきではないか。また、電子政府、電子自治体構築への取り組みを強化すべきではないか。更に、ITベンチャー企業育成への取り組みを強化すべきではないかなどの論点が提出されている。
 本日の会合においては、これらの論点を含めて、今後のIT政策の進め方につき御審議のほどをよろしくお願いしたい。

 【茂木IT担当大臣】
 今年はもう一回、12月に22回の本部会合を開催する予定である。
 それでは、早速自由討論に入る。
 多くの皆さんが発言できるように、できるだけ1回の発言を簡潔にお願いする。できたら、先に有識者委員の皆さんの方から御発言をいただき、続いて各府省大臣等からもお願いしたい。

(3)自由討議

 【出井会長】
 IT戦略本部の会合も今回で21回を重ねたということで大変感慨深いものがある。IT分野ほど成果が目に見えて出たものもないと私は確信している。私も最初に3,000万世帯ぐらいにブロードバンドの環境を整備すると言ったときは、ほとんどそんなことは自分でも信じていなかったぐらいのことをやろうと言ったが、実際それが大変な勢いで実施されていった。そういう面では、非常によかったと思っている。茂木大臣は細田大臣に続いて大変御熱心にやっていただけるということで心強く思っている。
 この件に関して、ITと小泉内閣総理大臣が進めていらっしゃる構造改革との統合ということを是非考えていただき、日本経済活性化というものと、一層直結していただきたいということが1点目である。
 2点目は、先ほど、お話が出た電子的な政府や取り決めなど、いろいろな意味で電子的なものが、外交と非常に密接になっている。各国ともこれから二国間の話も多くなるので、是非電子的な外交というものを、伝統的な外交とか経済援助に加えてやっていただけると非常にいいと思う。特に企画その他ということに関して、非常に重要な点があると思う。
 3点目は、以前に発生したインターネットのセキュリティの面が不安であるとか、それから外来からの攻撃に弱いのではないかとか、いろいろな面があった。それで弊社でもいろいろ会議を行ったが、インターネットの信頼性と安全性の強化という意味で、官民を挙げてライフラインインターネットというものをつくってみたらどうかと考えている。これは災害があったときだとか、セキュリティが破られて攻撃を受けた際に、絶対これならば大丈夫というものであり、このようなものを持っている国はほとんどない。以前、アメリカで世界貿易センターが攻撃された時には、すぐ側にインターネットエクスチェンジがあったが、ほとんど止まりかけたというような例もあるので、いろいろな面で非常に安全なものというのは重要だと思う。代表的なライフラインである水道や電気と同じように、インターネットをライフラインに完全に設定している国というのは、ほとんどないと思う。
 この件では村井教授が一番詳しいと思うが、こういう面を強化し、新しく官民挙げて実施していくことは、政府の明確な基本方針になると思う。日本が各国に比して範となることができると思う。詳しい説明は省略させていただくが、ライフラインのインターネットという、電源、暗号、セキュリティ等すべての面で強いというものを日本でやったらどうかという御提案を申し上げる。

【茂木IT担当大臣】
 ありがとうございます。出井会長から大きく3点ほど、ITと構造改革を連動していくこと。恐らくその中では規制緩和の話も出てくると思う。それから電子外交の話、そしてセキュリティと、こういう話が出たが、村井教授のご意見を伺いたい。

【村井教授】
 私も、今お話があったそれぞれの点は大変重要だと思うが、私から申し上げたいのは、先端技術が発展をするということは、技術だけではなく、それを使う人や、社会等が、一緒に発展するものであるということであると思う。そうような意味で、このIT戦略に取り組んできたことが本当にいろいろ評価されていいと考えている。特に、利用料金の面では、世界で一番が高かったインターネットが世界で一番安いインターネットになった。この間のプロセスについては、ものすごくたくさんの様々な改革や、IT戦略として取り組んできた多くのことの成果である。これが正しく評価される必要がある。
 今、私の周りでは日本の進んだ技術を、マーケットや皆が使いこなしている。ある意味で今の社会では、次のステージに人間、人類が移る段階にあると考えている。このことはテクノロジーの大変大きな力である。そういった意味での先端的なマーケットと人の力の面で、日本はすごいということは正しく評価すべきで、それがIT戦略の成果だということも評価すべきだと思う。
 それに対して私が感じているのは、世界中の目が今、例えば研究機構のアンテナなどであるが、日本のマーケットと日本の技術を見るために日本に進出してきている。これは大変いいことで、ある意味で誇らしいことだと思うが、今度マーケットをやったら全部ハイテクの分野はグローバルになってくるのだから、このグローバルに展開することに対して日本がなしうる貢献というのは何なのかということを考えていく必要があると思う。
 私はアジアでインターネットを使った遠隔教育というものに取り組んでおり、この間のIT戦略本部のときにはごらんになっていただいた。このような分野については、以前に、ITに関しそれぞれの国でいろいろな約束をしていたり、日本政府によるいろいろなコミットメントがあったりすることに大変大きな期待が出てきている。そして、その期待が、先ほど申し上げたような状況を踏まえ、ますます大きくなっている。そうすると、今度は戦略としてITなどを基盤にしつつ、それがすべての分野に生きてくるというのが、このIT戦略本部で考えてきた戦略である。それが今、国際的な関係、特にアジアとの関係の中で大変大きな期待を持って今、受け止められているという事実があると思う。
 このアジアの中でのネットワークづくりであるとか、各省庁それぞれのアジアとの関係のオペレーションとかを戦略として統合的に考えることができたらすばらしいと思う。
 最後にセキュリティについて述べさせていただく。私は日本のインターネットのセキュリティに関して、インターネットが高度に利用されてきていることを踏まえると、いい見本を日本でつくるチャンスがあると思う。大変大きな関心があるのでこれに是非取り組んでいく姿勢が必要だと思う。
 1つは政府として力強く、どこにも負けないように取り組んでいただきたい。しかしながら、民間で実は本当はもっとさらに強い力もなければいけないと思う。これはどちらも弱い部分と思うので、この両方がきちんとセキュリティと安全に関しての組織づくりなり、取り組みができるようなことを目指すことが大事であると考えている。

【茂木IT担当大臣】
 ありがとうございます。

【南場代表取締役】
 平成16年度の概算要求を拝見して感じたことを申し上げたい。
 まず、先導的取り組みによるITの利活用の促進に関して、要求額が4,720億円となっているが、その中で行政サービスが4,500億円程度、その中の95%ぐらいを占めている。その必要性はわかるが、ここで7分野と言ってずっと議論していた辺りのバランスから言うとちょっとどうなのかなという気がする。もちろん国でやることと民間でやるべきことで、国が主体となってやることで比重が高まるというのはよくわかるのだが、どういうプロセスでこういうふうになっているのか。
 同様に、重点5分野は7,744億円だか、その中で高度情報通信ネットワークの形成の促進で2,800億円という要求額となっているが、内訳を見ると公共施設管理用光ファイバーというところで1,800億円となっている。その中身はよくわからないが、相当大きな金額であるので、それがこれほどかかるものなのかということと、こちらで議論されていることの重要性とその比重のバランスが全体的によく理解できないところがある。
 一方で、戦略本部でも再三意見が出ているセキュリティの問題は、安全性の確保等というところで250億円という非常に小さい金額になっているところ等が、こういった会議で行われている議論の重要性と金額は比例しなくてもいいが、相関関係はあってもいいという気がするので、そこはどういう形で決められたのかというところが知りたい。
 それから、もう一点は、かねてから申し上げている次世代のITリーダーをつくっていこうというベンチャー育成のことである。政府調達のベンチャー枠制度ということを提案し、重点計画において今年度中に一定の方向性を出すということがうたわれているが、その後、実際にどのような検討をされているのかが私から見てもブラックボックスになっているところが気になる。関係省庁の連絡会とか、あるいはベンチャーの有識者を呼んで議論が行われているのかどうか、途中経過をつまびらかにしていただきたいと思うし、是非とも議論の内容を官公需法とすり替えないでいただきたい。中小企業とベンチャーは違うということと、やはりITというのが重要な分野であるということでやっているわけだから、業種区分別にベンチャーからどれだけ調達しているのかという目標数値を掲げて取り組むべきであるということを最後に強調したいと思う。

【茂木IT担当大臣】
 南場代表取締役からは、常々ベンチャー振興や、政府調達でもベンチャーからの調達などをしっかりという御意見を伺っている。予算についてはまさにこれから詰めていく段階であるので、今日の会議の議論も参考にしながら、最終的にはいい予算ができるようにと思う。御質問いただいた点は、ここでその説明をしているとそれだけで時間が終わってしまうので、改めて詳しく御説明を申し上げたいと思う。

【南場代表取締役】
 よろしくお願いします。

【大歳社長】
 戦略そのものはすごく具体的で焦点を絞って、しかも期限を設定してよくで きているので、あとは実行であると思う。今までお話が出ているが、戦略は素晴らしいので、例えば、書類の電子保存あるいはレセプトの伝達の方法とか、確実に規制を改革していくよう実行を是非お願いしたいことが第一点である。特に、医療とか介護の制度改革は大きいと思う。
 それから自治体の電子化であるが、自治体の方からは、ワンストップにしたいが、中央から自治体に同期しないでいろいろな話が下りてくるため、現場でまとめるのが大変という話をいまだに聞いている。中央でも何らかの調整や統一の工夫がされるともっと現場で実行しやすいと思う。
 あと二点は人材に絡むことである。セキュリティの問題は、当然ではあるが、非常に重要だと思う。やはり国を守ることにつながることで、私の理解している範囲では予算額も非常に限られており、人材の確保、スキルの育成にもっと力を入れていただくことをお願いしたい。
 それから、ITの基本的な技術を習得する学生、卒業生の数は、圧倒的に中国、インドが今、大きい。これにはアメリカも非常に危惧を持っている。日本も当然国内で育成することも必要であるが、合わせて企業は競争力を高めるためにインド、中国の技術者を何万人も何千人も雇用することになると思う。このように多数を雇用することは、経済という面ではモノやサービスを購入するのと同様に資金が流れていくと考えられるので、逆にリターンで日本のモノやサービスをそのような国に買ってくださいという経済政策がもっとあってよいのではないかと思う。

【茂木IT担当大臣】
 ありがとうございます。今、戦略の実効性の関連で規制緩和の話が出たが、先ほど来、石原社長と宮内議長の方から手が挙がっていますので、順次お願いする。

【石原社長】
 規制緩和の話に入る前に、今の大歳社長からのお話に関する点も含め、ITの企業ユーザーの立場から申し上げたい。
 先ほどお話があったように、新しい戦略には7つの項目が盛り込まれており、これらの着実な実行ということが何よりも大事である。そのときに今回、新しく設置される評価専門調査会に期待するところは非常に大きく、是非その施策の進捗状況を、特に費用対効果という点も踏まえてきちんと評価していただきたい。その評価の結果というものを更に本部としてフィードバックすることにより、戦略の練り直し、あるいは前倒しするものも出てくると思う。いわゆるプラン・ドゥー・チェック・アクトという、このようなサイクルをきちんと回すことが何よりも大事であると思う。
 ここで専門調査会の評価にあたっては、評価の重点は予算であるとか、あるいは制度に関わる政府の行動に置いていただき、民間の部分については基本的には市場原理にゆだねるという観点が必要と思う。
 2番目は電子政府、電子自治体の問題である。これについては先ほど来、出ているように、ばらばらではなく、1つの電子政府、電子自治体と言うべきものであろうが、それを実現することが無駄や重複を排除する意味で大事であると思う。特にワンストップサービスについては、いろいろな形で進められているが、住民や企業の利便性、ニーズに合致した電子行政をどんどん展開していただきたい。
 そういった観点から申しあげれば、国連ランキングで我が国はまだ18位ということのようであるが、この評価を引き上げていくためにもこういった2つの点と内外への広報活動がより重要と思う。特に電子政府、電子自治体を考える場合には情報セキュリティ、やはり国と地方とが共通の情報セキュリティポリシーを持つということが大事と思う。  3番目が本日のポイントであるが、特に産業競争力の強化につながるようなITの利活用促進という観点から申しあげると、まだまだIT化を妨げる規制が残っていると思う。その中で本日、申し上げたいのは、文書の電子保存の問題である。この点については、かねてより私ども産業界として、特に税務関係書類の電子保存の実現について要望している次第である。
 現在、各企業に対しては、紙による7年間の保存が義務付けられている。領収書とか契約書とか、極めて広範囲の書類があるが、こういったものを紙で保存するのではなくてスキャナーで読み込んで電子データで保存するということになると、保管費用等の点でコスト削減にもつながり、全体的な経済効果も大きい。
 例えば弊社、一社でも、保管関連費用としては、年10億円程度かかっていると試算している。そういった点でいえば、日本全体では非常に大きな金額になると思う。本件については、新戦略においても本年度中に方向を定めることとされている。現在、日本経団連でも検討を行っているが、是非IT担当の茂木大臣並びに税務担当の財務大臣のリーダーシップの下に、いろいろな関係府省はあろうかと思うが、御尽力願い、実現に向けて推進していただきたい。

【宮内会長】
 この3年近くの間でこれだけ成功した政策というのは本当に珍しいというか、世界に誇っていい出来事だったと思う。したがって、この見直し期限が来年1月に迫っているが、この機会に更にIT戦略推進のために政府が果たすべき一番基本的な役割は何か、そういう方向で再度見直しができると、この成功を更に大成功に持っていけるのではないかと思う。
 そういう中で規制の話が出ているが、やはり重要なことは公正で自由な競争が行われるような市場を整備することである。そういう意味で、ITという意味では自由にやれるとなっても今度は縦割りの法律があり、それとの整合性が取れないというようなことがある。そういう点で今、大歳社長、または石原社長の両本部員からお話があったような点につき、短い時間しか残っていないが、総合規制改革会議でできるだけ取り組んでまいりたい。
 それと同時に、競争を担保する機関として独立したIT市場の監視機関というようなものの設立、このことに関して、私は何度も何度も申し上げているが、更にITを発展させるためにはどうしても必要ではないかと思う。
 もう一点は、現在この3年間の成功の中で何が起こったかというと、技術がものすごく変わり、ビジネスも変わってきたということである。特に現在DSLというものが非常に普及してきており、花盛りになっていているが、次の展開を考えると、やはり昔から言われている光ファイバーというものが主流になってくると思う。そうすると、この光ファイバーという社会インフラは一体だれが敷設するのだろうかというのが問題となってくる。これまでは公益法人、公益企業に近いところがやっていたわけであるが、今後それを本当に全国に張りめぐらせるとか、更に利便性を高める形に持っていく主体として頼れるのだろうかと思う。
 もし光ファイバーが日本に普及すると、例えばメディアで使用している電波の多くが光ファイバーに頼ることができ、それにより電波が余ってくる。その余った電波を例えばモバイルなどに振り向けると、更に日本の利用者にとって飛躍的な新しい技術、新しい利用法が生まれるということが想定できる。
 そう考えると、やはりこの光ファイバーの敷設主体をだれがするかということを国家戦略として考えていくことが非常に重要であると思う。

【茂木IT担当大臣】
 ありがとうございます。それでは、次に和田社長からお願いする。

【和田社長】
 インフラネットワークを担当している立場から、現状と問題意識というものについて少し述べたい。
 実は先ほどから、御指摘のとおり、アクセスのブロードバンド化というのは非常に進んできている。そこからブロードバンドとかユビキタスとかというものが花咲いていくということに対して非常に期待感を持っているのであるが、逆に危機感も抱いている。
 その危機感の1つは、インターネットにおけるルーターやスイッチに関係した技術が、そのような大容量の情報を処理することに、本当に耐えられるところまで開発されているのかという問題がある。これは、日本も含めて世界の問題である。
 もう一つは、セキュリティである。これは3つ種類があり、1つは盛んにこのごろ揺れているが、地震というものに対して、それが起きたときにどうそのライフラインを確保するのかという問題である。これは、昔であれば電電公社と国際電電が2社でネットワークをつくり、オペレーティングをしていたからある程度ハンドリングが可能だったのだが、今は複数の事業者が電話というネットワークを持っている。これはコントロールできるものの、インターネットというのはだれもコントロールできないネットワークである。こういうものがあるときに、地震に対してどうするかという問題が1つである。
 それから、サイバーテロとかウイルスとか、要するにネットワークを攻撃して破壊しようとするものに対してどう対応するのか。電話のネットワークは非常に堅固にできているのでこれは大丈夫であるが、インターネットはこれに対抗するのは非常に難しい。できないことはないが、経費が非常に高額となり難しいのではないかと思う。
 それからもう一つは、ネットワークを悪用して商売をすることに対してどう防御していくかというような問題である。
 このところ世界の、特に欧米の同業者あるいはベンダーの方が弊社によく見えるが、日本の動向というのを非常に注目している。それは2つの理由があり、1つはビジネスチャンスという意味で見ている。もう一つは、下手に日本を走らせると自分たちが困るからである。つまり、国際水準というか、技術のグローバルレベルというものをどうするかという問題がそこにある。
 IT戦略本部の中においても、国際的な解決の手段として、アジアを足場にしたいという取り組みがあると思うが、是非その辺を重視していただきたい。

【茂木IT担当大臣】
 それでは鈴木社長から、時間の関係で若干短目にお願いする。

【鈴木社長】
 ネットワークを運用している立場から言うと、先ほど、和田社長がおっしゃったように、弊社がインターネット事業を開始して、トラフィックが10年で1,000倍ぐらいになっており、今後もこの伸び率が続くと想定すると、ネットワークを運用する機器、アプリケーション、インフラといったそれぞれのレイヤーでの将来の対応が難しくなっている。このように個人のトラフィックが爆発的に増加している国は世界でも多分日本だけだろうと思う。
 ITを進める上で、現在の推移だと、例えば通信インフラだけでも今後10年で100兆円ぐらいのインフラ投資がないと多分トラフィックの処理がうまくいかないのではないかと思う。一方、10年後には、消費電力にしても、現在東京電力の供給している総電力の10%以上をITだけで消費してしまうことになるのではないか。
 インターネットというのは非常に無限の可能性があるという一方で、利用の仕方次第で、短期間に巨大なインフラを要求すると同時に、エネルギー多消費産業であるといった面を視野に入れておかないと、大変なことになる。
 そういう意味で、将来の通信インフラ投資をどう推進していくかということを是非考えていただきたい。現状の日本はトラフィック急増の実験場といった事態を将来に生かせる対策を生み出すべきである。
 多分これからは道路予算より通信インフラの方がかかるのではないか。またそこには電力という問題もある。非常にIT推進は成功していると思うが、繰り返しになるが将来を考え、インフラ整備というものをどういう形でやっていくのかということを是非、考えていただきたいと思う。

【茂木IT担当大臣】
 ありがとうございます。先ほど来、情報通信インフラの話、それから電子自治体の話が出ておりますので沢田市長にお話いただき、その後で麻生総務大臣からお願いしたい。

【沢田市長】
 先ほど来、国、地方についての関係で、ばらばらの投資を極力排除するというお話があった。受け手の自治体としてはまさにその影響を受けているので、是非個々の省庁が個々の手続に関してそれを所管する省庁のリーダーシップを期待している。
 自治体ではお互いに共同して同一のシステムでコストを低下しようという努力をしているし、県によっては県のリーダーシップによってそれをやろうとしつつある。これからその方向が進むと思うので、国の省庁においてもできるだけ、例えばLGWANを使っていただいて自治体側の需要を考慮していただきたい。
 それから、自治体間で非常に情報化について格差があるので、それを第三者機関の評価によって明らかにして、自治体間の競争に関するインセンティブを強化するというようなことが必要ではないかと思う。
 それからもう一つ、セキュリティについてだが、国民の意識をもっと高める必要があると思う。小さい子どもに、知らない人について行ってはいけないよと教えるのと同じように、情報セキュリティについてもわかりやすい言葉で理解してもらうように働きかける必要がある。

【茂木IT担当大臣】
 ありがとうございます。それでは、麻生総務大臣お願いする。

【麻生総務大臣】
 出井本部委員が言われましたように、3年前にIT戦略本部において、IT担当大臣として参画していたときの、あの時代にITという言葉を使った。大体国際的にはICTだと思うが、Cを飛ばしてITという言葉にして、これはイットではなくITと言うことを広めるのに成功した。
 それから3年後にここへ戻ってきたことになる。その間、たまたま自民党において、e-Japan重点計画特命委員会という委員会の委員長をしていた。その期間中、行政手続オンライン化法などという52,100にも上る手続をたった1本の法律で全部変えることについて政府に申し入れたりした。確かに、アイデアを出したときはとてもできるとは思えなかったけれども成功した。それから、ADSLなどを使って、日本は以前、料金が世界で一番高かったが、世界で一番安いものにするところまでいった。いずれも大変な経過であることは間違いないと思う。今から考えると、あれは当たり前と思っておられるかもしれないが、なかなかたいしたものだったと思う。
 世の中、当たり前になってしまうと感じにくいが、例を挙げると、7年前に「三井銀行と住友銀行が合併することになりますよ、それが、ビッグバンですよ」と言った際に、全財界の方がお笑いになった。それが実際にそうなった。ものすごい変化がこの数年で起きていることについては、我々は中にいるので余り自覚できないが、外に出るとそういう感じがするものである。今、総務省というたまたま電波を担当する役所の大臣となり、つくづく感じているところである。
 沢田市長が言われたのと同様に、地方自治体の対応も進んでいるところはかなり進みつつある。これは地方自治体により格差がいろいろ出るため、電子自治体と電子政府の方と推進を調整しなければならない。このため、行政における協議会、いわば、地方公共団体との協議会というものをスタートさせた。もう既に第1回目の会合を10月24日に開催するなど、いろいろスタートしている。それがまず第1点である。
 2つ目は、セキュリティの話である。3年前にセキュリティの話などはほとんど出たことはなかったが、今は普通の人がセキュリティを言うようになった。これも市長が言われたように意識は最も少ない方だと思う。日本では、かつて、諜報とか情報とかセキュリティというものの評価が低かった。イギリスではMI6やMI5というのがあり、あれは皆、サーがつく立場となるが、日本では、もともと歴史的にこの種の評価は低い。情報やセキュリティについてよほど首長さん辺りが、おまえのやっていることはすごく大事であるとして動機付けないといけない。少なくとも日本は自衛隊ですら情報将校が将官になったのは一昨年からである。それまで情報将校で、将官になった者はいない。そういった意味で頭に入れておいていただかないと、先ほどどなたかが言われたように、政府全体でセキュリティに取り組むという気構えで行かない限りは、とても困難ではないかというのが私の感じである。
 それから、ITの利用に関する規制の緩和という話がよく出ており、中には電子保存の話も出ていたが、この件については、役所が変えると随分変わるということである。一番はっきりしているのはファックスがいい例だと思う。ファックスがなぜ日本でこれだけ発達したかと言えば、何と言っても領収書をファックスで送付していいということを大蔵省主税局が認めたことである。これが、ファックスというものが普及した一番大きな理由だと思う。これからはアーカイブを含めていろいろな話が出てくると思うが、利用の改善の観点からも、是非電子による保存というのは積極的に考えてしかるべき問題だと思う。

【茂木IT担当大臣】
 ありがとうございます。
 時間の方が迫ってきているので、あと1名程度でお願いしたい。

【中川経済産業大臣】
 今、経済界の本部員の皆さんを始め、いろいろお伺いした。とにかくインフラ整備、コンテンツ、これをこれからも、より一層頑張っていくというお話を聞き、経済産業省としても全面的にバックアップをさせていただきたいと思う。
 そして、知的財産立国は小泉総理の大きな柱の一つであるので、知的財産権の問題と、いわゆるセキュリティの問題を、競争促進的な観点を前提として、本部員の皆さん方の御意見をバックアップさせていただきたいと思う。

【茂木IT担当大臣】
 ありがとうございます。日本のITは相当この2、3年で進んできたということだが、具体的なイメージがあると皆さんにもそういうことがおわかりいただけると思い、今日は出井本部員の方にお願いをしている。もしよろしければお願いしたい。

【出井会長】
 まず1つは電子ブックである。これは講談社、新潮社、大日本印刷、凸版、ソニー等15社が実施している電子出版のコンテンツの配信サービスでセキュリティがかかったものである。非常に読みやすいディスプレイで、太陽の下でも読めるという本である。これは1か月に幾らということで、数冊の本がレンタルできる仕組みになっている。今まで世界中でこの電子ブックというものが成功したところは1社もない。したがって、これは成功するかどうかはわからないが、かなり新しいテクノロジーが進歩したという観点では、結構いけるのではないかと我々は思っている。

【小泉内閣総理大臣】
 これは本であるか。

【出井会長】
 そのとおり。これは、要するにコンピュータでダウンロードするか、メモリースティックで入れていく。現在はパソコンに本1冊のデータが数秒でダウンロードできるので、それを1か月幾らという料金で、会員制のコンテンツを実施していこうというものである。

【小泉内閣総理大臣】
 これは、字も大きくなるのか。そうすると眼鏡が要らない。また、小さくもなるのか。

【出井会長】
 本は紙で読むものと決まっていたが、これができれば出版業界としては一つの本が2回も3回も売れるものである。

【小泉内閣総理大臣】
 本屋はどうなるのか。

【出井会長】
 本屋とどう共存するかという課題とともに、この15社の方式以外にも、別のグループの方式がある。私は当方が読みやすいのではないかと思っているが。しかし、これは健康な競争であり、いいことであると思う。

【小泉内閣総理大臣】
 これは幾らぐらいか。

【出井会長】
 出来るだけ安くしたいと考えている。ハードウエアは出版業界から見ればほとんどただにしてくれみたいなところがあるが、実際はそれを作るためにはお金が必要となっているため、弊社では出来るだけ安くハードウエアを売り、そのコンテンツを売る会社が儲かるということである。パブリッシング・リンクという会社をつくり、2004年の春から端末とともに発売する予定である。これはeペーパーということで、紙に迫る読みやすさだと思う。
 2つ目は最新機種の携帯電話で、音楽をダウンロードすることができる着うたというサービスにより、これが既に音楽業界としては非常な収入源となっている。

【小泉内閣総理大臣】
 いい音である。

【出井会長】
 これはauの端末である。今までダウンロードされて音楽業界はもうからない、もうからないと言っていたが、この着うたは、収入をもたらしているという意味で、今までとはちがう。

【井上防災担当大臣】
 著作権の方は余り問題ないのか。

【出井会長】
 大丈夫である。それはちゃんとクリアしていただいている。
 もう一つがドコモの端末であるが、これはテレビの画面を持って歩けるということで、テレビから撮った野球などを普通の画面のように見られる。

【小泉内閣総理大臣】
 テレビの実況中継か。

【出井会長】
 自宅で録画したものを持って見られるということである。

【小泉内閣総理大臣】
 昔、こんな携帯テレビを持って食事をしている人がいた。

【出井会長】
 こういうものをアメリカ人が見ると腰を抜かすぐらい驚く。カメラもあり、音楽も聞けるし、絵も見られるということで、セキュリティも全部ちゃんとしているので、これは日本が突出したサービスをやっている国だと思うが、これが世界的に普及するかどうかというのは規格その他で別問題である。

【和田社長】
 今、そのFOMAの画面とパーソナルコンピュータとの間でテレビ電話ができるようになった。

【茂木IT担当大臣】
 まだまだデモンストレーションは続くかと思うが、時間の関係もあるので、今日は大変示唆に富んだ御議論、それからデモンストレーションまでありがとうございました。
 日本のIT政策はかなり成果が出てきていて、世界から見ても注目を集める段階に入っている。12月に次回の会合を開くということであるが、本日の議論を踏まえ、アジアとのIT分野での協力の問題、それから民間の保存文書の電子的保存等々の規制緩和の問題、更には情報セキュリティ対策等々、政策パッケージの素案を12月の段階では御議論いただきたい。提示をさせていただきたいと思う。
 それでは、総理の方からお願いする。

(報道関係者入室)

(4)小泉内閣総理大臣より挨拶

【小泉内閣総理大臣】
 今日の話を聞いていると、国会の野党の諸君の話とは全然違うと思う。日本も改革が進んで今、ITは最先端に行っている。これを、国民がITの恩恵を受けるようにしていくためにはまだまだ課題が多いと感じると同時に、自信と希望を持っていいという感じも受けた。本当に皆さんがいい知恵を出して協力してくれるお陰である。
 今日の御意見を参考にして、真に世界最先端のIT国家になるよう、今後政府としても一体となって取り組んでいきたいと思うのでよろしくお願いしたい。ありがとうございました。

【茂木IT担当大臣】
 ありがとうございました。
 それでは、次回の会合につきましては12月18日の方向で調整をさせていただきたいと思う。
 本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。

(会合終了)


(別紙)

《 出席者名簿 》

 小 泉 純一郎内閣総理大臣
 茂 木 敏 充情報通信技術(IT)担当大臣
内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、個人情報保護、科学技術政策)
 福 田 康 夫内閣官房長官、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
 麻 生 太 郎総務大臣
 中 川 昭 一経済産業大臣
 野 沢 太 三法務大臣
(欠)川 口 順 子外務大臣
(※荒井 正吾 外務大臣政務官 代理出席)
(欠)谷 垣 禎 一財務大臣
(※七条  明 財務大臣政務官 代理出席)
 河 村 建 夫文部科学大臣
(欠)坂 口  力厚生労働大臣
(※谷畑  孝 厚生労働副大臣 代理出席)
 亀 井 善 之農林水産大臣
(欠)石 原 伸 晃国土交通大臣
(※林  幹雄 国土交通副大臣 代理出席)
(欠)小 池 百合子環境大臣
(※砂田 圭祐 環境大臣政務官 代理出席)
 小 野 清 子国家公安委員会委員長
内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策、食品安全)
(欠)石 破  茂防衛庁長官
(※浜田 靖一 防衛庁副長官 代理出席)
 竹 中 平 蔵内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)
 金 子 一 義内閣府特命担当大臣(規制改革、産業再生機構)
 井 上 喜 一内閣府特命担当大臣(防災)
   
 石 原 邦 夫東京海上火災保険会社代表取締役社長
 出 井 伸 之ソニー株式会社会長兼CEO
 大 歳 卓 麻日本アイ・ビー・エム株式会社代表取締役社長
 沢 田 秀 男横須賀市長
 鈴 木 幸 一株式会社インターネットイニシアティブ社長
 南 場 智 子株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役
 村 井  純慶應義塾大学環境情報学部教授
 和 田 紀 夫日本電信電話株式会社代表取締役社長
   
上記の他、以下が出席。
 細 田 博 之内閣官房副長官(政務、衆)
 山 崎 正 昭内閣官房副長官(政務、参)
 二 橋 正 弘内閣官房副長官(事務)
 宮 内 義 彦総合規制改革会議議長
 竹 島 一 彦公正取引委員会委員長