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第28回IT戦略本部 議事録


 

1.日 時:平成16年12月 7日(火)17時15分〜18時15分

2.場 所:内閣総理大臣官邸大会議室

3.出席者:[別紙]

4.会議の模様



(1)開会

【棚橋IT担当大臣】ただいまから、「IT戦略本部」の第28回会合を開催する。本日は、御多忙のところ御参集いただきましてありがとうございます。
 本年9月の内閣改造でIT担当大臣を拝命した、棚橋泰文でございます。IT戦略本部の副本部長の一人として、本会合の議事進行を務めさせていただくので、どうぞよろしくお願いする。
 議題に入る前に、私の方から皆様に1点御報告をさせていただく。これまで、本部において御審議をいただいていた、いわゆる「e−文書法」が、先般の第161 回臨時国会における審議を経て、11月19日に成立した。この場をお借りして、御礼申し上げる。
 来年4月1日の法施行へ向けて、現在、内閣官房においては政令を、各府省においては主務省令を、それぞれ制定する作業を進めているところである。本法律の施行については、今後とも、このIT戦略本部を中心に、政府が一体となって取り組んでまいりたいと考えており、進捗状況については、適宜御報告させていただきたいと考えている。
 それでは、本日の議題に移りたいと思う。本日の案件は3件ある。まず、報告事項として、「情報モラルの教育について」。続いて、審議事項として、「情報セキュリティ政策について」「医療の情報化について」である。
 最初の議題は、情報モラルの教育に関する報告である。文部科学省における情報モラルの教育の取組状況について、中山文部科学大臣から御報告をいただきたいと思う。それでは、中山大臣、どうぞよろしくお願いする。

(2)情報モラルの教育について

【文部科学大臣】文部科学大臣の中山成彬でございます。お手元に、資料1「情報モラルの教育について」とパンフレットが配布されていると思うが、これに従って御説明をさせていただきたいと思う。
 情報モラル教育についてであるけれども、我が国では情報化が急速に進展していて、いわゆる情報社会が到来している。この情報社会の中で、各人が情報の送り手と受け手の双方の役割を持ち、多くの情報が高度情報通信ネットワークを介してやりとりされているわけである。
 この1ページを見ていただきたいと思う。
 このため、子どもたちにも情報社会で適正な行動を行うための基となる考え方と態度を育成する必要があるわけでだが、文科省では、この育成すべき考え方と態度を情報モラルととらえて、この情報モラルの具体的な指導内容としては、まず、膨大な情報量の中から正しい情報を適切に取捨選択するなど、情報の信頼性についての意識をしっかり持つこと。
 それから、インターネット上でやりとりされる情報は日常に比べて早く、広い範囲まで伝わるため、情報を発信する際には一層の責任が伴うということ。
 3番目であるが、インターネット上のコミュニケーション時には日常と同じく、またはそれ以上に相手の気持ちや立場を考える必要があることなどを教えようということにしているわけである。
 2ページ目をあけていただきたいと思う。
 文部科学省においては、平成14年度以降施行されている学習指導要領において、各教科等の指導に当たり、コンピュータや情報通信ネットワークを活用した学習活動を充実することとしているけれども、これら情報手段の活用に当っては、今、申し上げました情報モラル等にも十分配慮するものとしているところである。また、情報モラル教育を実施するためには、教員の指導力の向上が必要であることから、独立行政法人教員研修センターが行う教員研修において、情報モラルを育成するための指導方法についても取り扱うことにしておるところである。
 3ページを見ていただきたいと思う。
 文部科学省では、教員が指導する際に参考となるように、情報モラルの指導内容等について解説した資料を提供している。中でも、一番右であるけれども、インターネット上で提供している「"情報モラル"授業サポートセンター」は、情報モラル指導が行っている授業の実践事例をわかりやすく動画で見られるようにしたものであって、この別添のリーフレットを各教育委員会、あるいは学校等に配布して、その周知を図っているところである。
 ところで、4ページをあけていただきたいと思う。
 本年6月、長崎県佐世保市で女子の児童殺害事件が発生した。文部科学省では、この事件を受けて、省内にプロジェクトチームを設置した。児童・生徒の問題行動に対する検討を進めて、本年10月に児童生徒の問題行動対策重点プログラムを公表したところであり、その中で、子どもに対する情報モラル教育の充実についても取り上げているところである。
 また、来年度の概算要求において、「情報モラル等指導サポート事業」を新規要求しているが、この事業によって情報モラル等についての効果的な指導手法を調査研究し、その成果を教員の指導に生かすとともに、指導を行う際の疑問点等に答えるヘルプデスクを開設して、情報モラル指導に当たる教員を更にサポートする体制を充実させようというような措置を講じていきたいと考えているところである。
 今後とも、情報モラルの教育の充実に努めてまいりたいと考えているところである。
 以上である。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございます。
 議論は、最後に一括して行いたいと思うので、引き続き、次の議題「情報セキュリティ政策について」に移る。
 情報セキュリティに関しては、「情報セキュリティ基本問題委員会」を設置して、7月より、政府の情報セキュリティ問題への取組について御検討いただいてきた。その検討状況については、前回のIT戦略本部にて御報告いただいたところであるが、今般、委員会の「第1次提言」がとりまとめられた。本日は、これについて伊藤泰彦委員長代理から御報告いただく。それでは、よろしくお願いする。

(3)情報セキュリティ政策について

【伊藤専務】委員長代理の伊藤でございます。それでは、御説明させていただく。
 前回のIT戦略会議において金杉委員長から報告させていただいたように、情報セキュリティは高度情報ネットワーク社会の健全な発展の基盤となるものであるが、昨今、各種の情報漏えい事件、あるいは重要インフラへのサイバー攻撃など、その対策の実態はまだまだ満足のいくものではない。
 情報セキュリティ基本問題委員会においては、情報セキュリティ政策をより実効性のあるものとするために、本年7月27日より集中的な議論を行ってきた。本日は、その第1次提言である。
 それでは、お手元の資料の第1ページをおあけください。
 今回の第1次提言のカバー範囲は、次の2点である。その図の点線の中にある。
 第1点は、政府として情報セキュリティに対する戦略策定体制の見直しを行うべきではないだろうかという点である。
 第2点としては、実行の手始めとして、政府自身の情報セキュリティ対策の強化を推進してはどうかという、この2点である。
 次に、第2ページをごらんいただきたい。このページでは、さきの考えが議論された背景が述べられている。
 第1は、右の「問題点1」と書かれた囲みにあるように、今や個別省庁では解決できない課題が出現するなど、より深い議論と省庁の壁を超えた国としての「基本戦略」立案・実行。この体制確立が求められている。
 第2は、左下の囲みの「問題点2」にあるように、政府自身を省みて、多様化する脅威に対応するため、統一的・横断的なセキュリティ対策が行われているのだろうかという点である。これは右下の表にあるように、単純な各国との人数比較からも我が国の劣勢はおわかりいただけるかと思う。
 これらの認識に基づいて、3ページ目をごらんいただきたい。3ページに、本委員会として2つの体制整備を提言している。
 1つが、情報セキュリティ戦略策定を重点的に検討する政策会議の設置である。これが実行体制である。
 もう一つが、政策・対策の実施展開を総合調整する「国家情報セキュリティセンター」の設置である。これが政府自身のセキュリティ対応組織である。このセンターは60名規模を想定している。
 そして、提言は、この2つの機能を2005年度中に早急に設置することを求めるものである。
 繰り返すと、政策会議の設置、60名程度の「国家情報セキュリティセンター」の設置。それから、これら2つを2005年度中に設置するということである。
 以上、今回の提言は有識者による提言であるが、これを踏まえ、早急にIT戦略本部としての実施・対応を強くお願いする次第である。
 以上である。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。
 ただいま御報告いただいた「第1次提言」を踏まえ情報セキュリティに関し、政府として取り組むべき施策について、細田内閣官房長官から御説明をお願いする。

【内閣官房長官】資料3という資料がある。これをごらんいただきたいと思う。
 ただいま、伊藤委員長代理から御説明のあった第1次提言を踏まえて、内閣官房で各省庁と調整を行って、政府として正式に取り組む施策について案をとりまとめたわけである。本案について御審議いただき、IT戦略本部としての決定をお願いするものである。
 本案のポイントは3つである。
 第1は、1ページ目の1であるが、「情報セキュリティ政策に関する基本戦略」を策定し推進する機能を整備するとともに、「情報セキュリティ政策会議」を可能な限り早期にIT戦略本部に設置することを検討するという点である。
 第2のポイントは、2ページ目の2であるが、政府全体としての情報セキュリティ政策の統一的・横断的な総合調整機能を強化するとともに、「国家情報セキュリティセンター」を可能な限り早期に内閣官房に設置するという点である。
 第3のポイントは、3ページ目の「3.詳細設計のための検討」というところにあるが、それぞれの具体化を行って、早期に体制を整備するため、来年早々にも内閣官房を中心にプロジェクトチームを設置して、速やかに詳細化のための検討を行うということとしている点である。
 IT社会の基盤として、情報セキュリティ問題への取り組みを強化する必要性は当然のことであるが、第1次提言にもうたわれているように、政府がその範を示すということが常に求められていると考えている。内閣官房としては、本案の決定をいただければ、この「国家情報セキュリティセンター」を中心にして、各省庁の協力をいただきながら、より協力に情報セキュリティ問題に取り組むことができるようになると考えている。
 なお、「国家情報セキュリティセンター」には官民の英知を結集し、優秀な人材を集めることが重要であると考えている。本日、本案を本部決定していただくことをお願いするとともに、各閣僚及び有識者本部員に本センターへの人員派遣などに積極的に御協力いただくよう、併せてお願い申し上げる。
 この提言の中にもあるが、この情報セキュリティ政策の中核機関の人数比較で、資料2の2ページであるが、アメリカは800 人、フランスは100 人、イギリスは70人、日本は目下18人ということで著しい格差があり、不十分な体制であるが、これを、今、山口先生をお迎えして、非常に強力な体制を進めるべく、今、やっておるわけであるが、これを少なくとも、まずは60人にして、民間からも優秀な人を出していただく。こういうことで、まず対応すべきだということで、今、案ができているので、よろしくお願い申し上げる。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。
 それでは、最後の議題、「医療の情報化について」に移る。
 医療分野は国民の関心が高いことから、評価専門調査会に、医療の情報化について更に踏み込んだ評価をしていただくようお願いしていた。この度、短期間にもかかわらず、その評価結果が第3次中間報告書としてとりまとめられたので、庄山座長から御報告いただく。よろしくお願いする。

(4)医療の情報化について

【庄山社長】日立製作所の庄山でございます。お手元の資料4(1)をベースに、資料4(2)はそれの詳細である。
 1ページ目でございます。
 前回の報告では、民間の改善手法である特性要因分析等々を利用して、目標と施策の体系化を行った。また、指標の考え方を提示して、分野別の評価としてはIT人材、電子政府あるいは電子自治体ということを取り上げてきた。
 今回の報告は、今、話があったように、IT戦略の節目である2005年に向かっての目指すべきこととして、インフラや制度の整備においては世界最先端となったか、ITを利活用して「元気・安心・感動・便利」な社会を発展させる体制ということが整っているかというのが、このIT戦略の節目に向かっての目指すべき2点であったというふうに思っている。
 今回は、こういう観点に立って、特にこの指標案について御説明をしたいと思う。特に、2ページ目である。
 「実現したいこと」の達成状況をはかるためには利用者視点の成果という観点からの成果指標と、環境整備という観点からのIT利用環境指標というのが必要となるわけである。今回の報告の中には、この望ましいと思われるものを何点か盛り込んでいるが、その妥当性、あるいは測定可能性などを考慮の上、御検討いただければというふうに思っている。
 次に、この課題と取り組むべきことについて、3ページ目である。
 この表は、医療分野の取り組みを見たものであり、課題と2005年に向けての提言というものを5つのテーマについて整理したものである。
 例えば、一番上にある「診療報酬請求業務」、いわゆるレセプトに関する事項についてですが、医療機関ではこのデータは大半が電子的に作成されている。しかし、このデータが医療機関から審査支払機関、そして保険者へと順次送付されていく過程においては紙に出力して送付、電子データとして再入力といった非効率的な作業がこの中において発生している。このため、診療報酬のIT加算などのインセンティブを検討するなどして業務全体の最適化を図っていく必要があるというふうに言えるわけである。
 4ページに、最後に「今後の進め方」についてであるが、当面、2005年3月に次回の報告書をまとめるということで考えている。次回報告に当っては、今回同様、この取り組みの体系化と成果目標の再整理が必要となる。また、指標についても最終的に確定する必要があると考えていて、こうした点を踏まえて、残された課題を取り上げて評価を行う予定である。
 評価の継続に当たっては、今後の体制を整備していくことが必要となっていて、いずれにしても、この評価専門調査会はIT戦略本部と連携して、「元気・安心・感動・便利」な社会の実現に寄与していきたいと考えているので、今後とも御協力をよろしくお願いしたいと思う。
 以上で、評価専門調査会の第3次中間報告、特に医療関係を中心とした説明を終わせていただく。どうもありがとうございました。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。
 続いて、厚生労働省における医療の情報化に関する取組状況について、衛藤厚生労働副大臣から御報告をいただく。よろしくお願いする。

【厚生労働副大臣】本日は、厚生労働省が推進している「保健医療分野の情報化に向けた施策について」、御説明申し上げる。資料5である。
 最初に、保健医療分野の情報化については平成13年12月にとりまとめた保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザインにおいて、医療の質、効率化、安全対策、患者様への情報提供といった視点に立って、情報化推進の戦略と達成目標、具体的なアクションプランを提示している。このグランドデザインと医療を先導的七分野の一つとして位置づけて、「e−Japan戦略II」「e−Japan重点計画2004」に基づき、電子カルテシステムの普及等の4つを主な柱として総合的に関連施策を推進している。資料3ページになるが、まず、電子カルテシステムの普及である。
 検査、処方、予約等の指示・確認をオンラインで行うオーダリングシステムは400 床以上の50%以上。それから、全病院の14%と、大病院を中心に世界最高水準の普及状況となっている。なお、アメリカでは普及率は5%と言われている。
 また、電子カルテシステムは400 床以上の病院の12%、診療所の3%となっている。取り分け、これらのものは、この1年に著しく進展しているので、積極的にこれらを普及させていきたいと思っている。
 医療情報の標準化、システム間の互換性の確保等が指摘されているけれども、これらの課題に対しては、病名、医薬品等の用語・コードの標準化、システム間の互換性の確保策に向けた検討、IT投資促進税制など、財政的支援を行ってきているところである。
 4ページである。
 医療情報ネットワークの推進については、平成14年度より電子カルテシステムを活用した医療情報ネットワークモデル事業を実施しており、その導入効果の検証や成功事例に関する情報提供を行っているところである。
 また、医療の質の向上や患者の利便性の向上の観点から、医療情報ネットワーク基盤の在り方について検討を行い、最終報告を本年9月にとりまとめたところであり、保健医療分野の公開鍵基盤の整備、電子署名の実施による診断書等の電子化の容認などの提言をいただいており、今後、これらを踏まえ、所要の措置を講ずることとしている。
 次に、5ページになる。
 遠隔医療については、医師法上、原則、診療は直接対面にて行うこととしているが、医師法上の位置づけを明確化するとともに、平成13年度から機器整備の補助事業などの普及支援策を実施することにしており、地域医療の必要性に応じて増加している。進行中の遠隔医療の件数は、1997年、平成9年151 件から2003年、平成15年288 件まで約二倍に増加している等の調査結果を得ており、全国的に実施されてきたところである。
 6ページである。
 次に、レセプトの電算処理の普及促進であるが、診療報酬の請求、審査支払事務の効率化を図ることを目的にして導入を進めているところである。
 現在の普及状況であるが、平成16年10月時点で導入病院数が593 、病院レセプト全体の13.2%となり、1年半前の平成15年3月時点の2.1 %から6倍強と、普及は確実に進んでいる。
 また、普及方策としては、電子カルテと一体となった導入支援、用語・コードの電子カルテとの統一、オンライン請求の実現に向けた試験事業の実施などを行っており、今後も普及に努めてまいる。
 以上である。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。
 それでは、これまでのすべての議題について、一括して自由討議に移りたいと思う。
 どうぞ。

【村井教授】2005年度は世界最先端という目標を達成するためのラストスパートの年ということであるけれども、大事なことは、我々は世界最先端に追いついたのではなく、戦略をもって世界最先端にたどり着いたことだと思う。たどり着いたということは、他の国々と同じ道を通ってきたわけではなく、日本独自の問題解決を図り、それによってここまで開拓をしてきたということにほかならない。
 そういう意味では既にフロンティアとしての役割を務めてきたわけであるけれども、2006年度からはおそらく、先頭を行くフロンティアとして、地球全体にどう貢献していくかということを考えていくプロセスに入るわけであるから、その視点から3点コメントさせていただきたいと思う。
 1点目はセキュリティの件であるが、この分野は知恵と人材が非常に不足している。それをどうやって育てたり集めていくかというのは大変重要な課題だと思うので、是非、その政府決定案に従って、その部分を力強く進めていただきたいと思う。但し、1つだけ気になるのは、私も参加させていただいた第1次提言の資料7ページ目の一番下に「来年度(2005年度)の可能な限り早期に」と書いてあるが、今の私どもの本部決定案では真ん中の下の辺りに「可能な限り早期に」とのみ書いてあり、「2005年度」というのがなくなっているが、これは何か意図したものなのか。それでは具体的にいつ頃になるのかということを確認したいと思うが、いずれにせよ、そういった知恵と人をどうやって集められるかということが鍵になってくると思うので是非できるだけ早急に進めていただければと思う。
 2点目は、評価専門調査会の医療関係のことについてであるけれども、ITの利活用のモデル領域というのはとても重要で、医療関係というのは特に重要性の高いものだと思う。ただ、領域の性格上、慎重になることもとても大事だと思う。
 アメリカの状況などを見ると、やはり産学官協同あるいは市民参加による共同実験や研究が活発に行われており、そのようなITと医療関係のハイブリッドな研究活動や実証実験を行うことが重要であると思う。さらに、日本に関して言えばそのような活動を促進する特区などといった体制も必要ではないかと思う。医療のIT化はそういう新しいことを進めるにふさわしい領域ではないか。また、このような方法でで、ITの利活用を慎重に進めていくということが実現できるのではないかと思うので、是非、検討していくべきではないか。
 最後に、先日、名古屋でITS国際会議があり、台風で中日が丸1日つぶれたにもかかわらず、はるかに主催者の予想を超える人を集め、ITSにおける日本の底力を世界に見せつける状況になったのではないかと思う。そこで、来年はITに関する成果のラストスパートという2005年にちょうど愛知万博があり、これを上手く利用できるのではないかと思っている。
 歴史を振り返ると、新しい技術というのはいつも万博からスタートしているというところがあり、今回もロボットやスーパーハイビジョン、ディスプレイの技術や光ファイバー技術、ネットワーク環境など、人々が興味を持つIT技術が数多く予定されているわけである。ようこそジャパンや情報通信政策などがあると思うので、これを機会に各省庁を挙げて、ITと絡めた盛り上げというのを計画できるのではないかと思う。
 ラストスパートというのは、できる時間に限りがあるわけだが、やはり一つの区切りとして焦点を定めた政策のパッケージ化などを通じて、しっかりとした対応を考えていくべきだと思っている。

【棚橋IT担当大臣】官房長官、どうぞ。

【内閣官房長官】今のセキュリティセンターについての御指摘ですが、来年4月から30人体制でまずスタートする。ただ、大幅な拡充、有能な人材を集めるということが必要であるので、また御支援のほどをお願いする。

【棚橋IT担当大臣】経済産業大臣、大歳本部員、鈴木本部員という順番でお願いする。

【経済産業大臣】今、村井先生の話の最後の万博は私が一応担当であるので。
 おっしゃるとおりで、マンモスから世界最先端のIT技術までということになっていて、いろいろ、例えばICチップ入りの入場券で予約するとかいろいろあるが、先生は多分、超高速のインターネットを利用していろいろとやればよりよい一つの展示であり、技術の進歩になる。御趣旨はそのとおりで、我々としてもできるだけ省庁横断でセンターに実質取り組んでいきたいと思っているので、これは財政的な裏打ちもございますが、最大限の努力をさせていただきたいと思う。

【棚橋IT担当大臣】どうぞ。

【大歳社長】まずは、提言をまとめていただいた両専門調査会の皆さんに心からお礼を申し上げたいと思う。今日は情報セキュリティ、医療の情報化、それから、2005年の目標達成に向けての3点について述べさせていただきたい。
 まず、セキュリティについては、社会の基盤として安全と信頼性は不可欠ですので、先ほどの「国家情報セキュリティセンター」の設立を始めとして、充実した体制の整備を是非お願いしたいと思う。
 前回もお願いしたが、個人情報保護法の施行を迎えるなか、個人が物を持ち出したときには罰する法律が整備をされている一方で、情報という形のない物を持ち出したときの法整備はまだ十分ではないと理解しているので、その辺の整理も是非お願いしたい。
 次に、医療のIT化については、先ほど庄山さんもおっしゃったように、診療報酬請求が各機関をまたがるたびに紙にして、また入力しているというのはどう考えてももったいないので、ブロードバンドの時代には、みんなつないでもっと効率化を図れば、国全体としての医療費の抑制にもつながり、1,300 億円ぐらいの効果があるという試算もあるようなので、是非そういった効率重視という意味での医療のIT化を推進していただきたいと思う。
 また、韓国では、例えばレセプトが7割もオンライン化されているということなので、日本は進んでいるところもあると思うけれども、やはりまだ遅れているところもきちっと認識して実行に移していただきたいと思う。
 最後に、2005年に世界最先端という目標に向けて、やはり医療、政府・自治体、教育といった公の部分は非常に国民にとっても見えやすいし、効果が大きい部分だというふうに思う。是非、政府の皆さんの努力が成果に直結するように目標をわかりやすく、先ほど村井先生がおっしゃっていたように、政策をパッケージ化するとよいと思うので、ラストスパートとして重点施策を政策パッケージにまとめて集中的に取り組んでいただいて、e−Japan戦略の総仕上げを強力に推進していただくようお願いする。
 以上である。

【鈴木社長】このセキュリティ問題の点はよく読んでいななくて申し訳ないのですが、ざっと見た感じは、セキュリティの本質論は省いて、非常に対処療法的なセキュリティ問題の対応かなと。それもすごく重要ですし、セキュリティに対する人材も枯渇していることも確かであると。
 ただ、国家レベルに始まり、各レイヤーにおいて、セキュリティをどうするかという本質論に余り触れていないのではないか。アメリカの国防省のようにクリアーにセキュリティに対して発言をまとめてくれとは言わないけれども、一体、国としてセキュリティ問題に対して本質的にここでは何をやるのか。ここはどの程度のことをやるセキュリティの対策なのかどうか。
 一方で、例えば個人情報とセキュリティというのは非常に裏腹の関係であると。ただ、こういったインターネットに代表されるような仕組みの通信ネットワークというのは本質的に脆弱性を抱えていると。それに対して、セキュリティ政策を推進していくことは賛成ですが、ある種、対処療法に終わるのかなというふうに思えてしまう。
 ブロードバンドの需要がここまで進展する国は世界的にもあまりない。一方で、セキュリティ技術もエンジニア含めてあまりないと。また、政府もアメリカの国防省がやっているような意味での明快なセキュリティに対する議論、たまたま私がそういう場にいないのでしょうけれども、そういった点で少し隔靴掻痒のような印象を受ける。
 以上である。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございます。ほかに。

【総務大臣】山口先生に聞いた方がいいのだと思うが、山口先生、この「情報セキュリティ政策会議」というものの話が出ている。このIT戦略本部のセキュリティの中に政策なんていうことができる人が日本中探して100 人いるか。私は、そんなにいるはずがないと思うぐらい、これは人がいないところだと思う。アメリカで800 人、フランスで100 人なんていうけれども、日本で18人と、よく18人も集めたなと思うぐらい。そんなにいないと私は思っている。だから、そういう認識でないといかんというのが1つ。
 それから、役所にいるのではないかとお思いかもしれないが、役所はこの種のものは自分のところの省のセキュリティのために、まず一番出したくない、これだけは確保しておかないといけないというたぐいの人だと思う。その点はよほど歩いて探されるか、何かよほどのことをしないとなかなか集まらないのではないかと思うたぐいの人なので、セキュリティセンターと違って、兼務とかいろんなことをやるのでしょうけれども、この種は最も人がいないところだというのが私の認識なので、その点が1点である。
 2つ目は、この種のものは今までと全然なかった部分を新しくやることになるので、これは官房長官のところで、私なんかがやる行政管理局のところの枠とはまた違ったところでこれをやらないと。各省、人のものを減らして出せなんて言ったら、とてもではないけれども、出しませんから、この種は全然別扱いということを決めておかれないと、予算の面もさることながら、人の面もなかなか集まりにくいのではないか。私の感想である。基本的に、こういう人にやられるのは大賛成なのだけれども、それが2点。
 もう一点は、庄山先生の言われたカルテの話であるが、これは是非、やったらいいなという話にしていただかないと。これをやろうとすると何の得にもならないから、無駄な投資ですからおやめください、これは必ず言われる話である。ですから、何となく儲からないことをともにしてやることはないと言ってやらないので、これは是非、やったらもうかるとか、やったら得するとかという、何かインセンティブという言葉を使われたけれども、そのインセンティブがないとなかなかやらんという感じがする。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。
 官房長官、何かございますか。

【内閣官房長官】 山口補佐官、ちょっと。

【セキュリティ補佐官】 セキュリティ補佐官の山口でございます。
 実際のセンターを構築していくときの人材の確保の面に関しては、今、大臣からあったように、非常に難しい問題だと思っている。
 ただ、政府関係の組織の中でも、まだ全体を見渡しているわけではなく、外郭団体等あるので、今までの人事のやり方ではない、創意工夫に富んだ形でこの部分の人を集めたいと。
 もう一つは、やはり民間の力を使っていくという形の取り組みをしていきたいということは考えているところである。
 以上である。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。他に御発言は。
 それでは、宮内会長、沢田本部員、お願いする。

【宮内会長】規制改革・民間開放推進会議の立場でITと医療について申し上げますと、本日の御報告にありましたように、ITと医療というのは国民にとって最も日々の生活に結びつくものだと思います。これを進めていく一番基礎的なものは電子レセプトとカルテから始まるわけであって、そういう意味ではレセプトは93%IT化できているものが、結局、最終的にほとんど紙になってしまっていると。今、麻生大臣がおっしゃったように、電子レセプトを導入するインセンティブがほとんどないからであろうと思う。
 したがって、このインセンティブがないために国に何が起こっているかというと、支払機関のところで数千人の人が紙と悪戦苦闘しているというようなことで、もし、これが本当に100 %電子レセプトが最後まででき上がったとすると、医療の標準化、あるいはEBMというか、エビデンス・ベースド・メディシンという投薬等の標準化ということは急速に図られていく。それによって、例えば健康保険の無駄な支払いというようなものは抑制されるということである。これはITを利用する一番基礎的なところである。しかし、厚生労働省は御自身でつくられた目標にも達していないということであるから、これを何とか工夫して先進国らしい形のものを積極的におつくりいただくということが私どもが医療の規制改革の進めていくという上での重要な基礎になるということを申し上げさせていただきたいと思う。
 2点目であるが、規制改革集中受付月間ということを年に2回やっていて、本年は10月から11月にかけて行った。現在、集計中であるけれども、IT関連の要望が非常に多いのだが、やはり内容として、まだこれからまとめないといけないが、いわゆるITの技術が進歩しても、現在の法制度の方からいくと、技術と制度というものの平仄があっていないために不自由を起こしているという点で非常に多くの要望が寄せられている。その点は私どもも努力するが、当本部においても、是非、御協力をいただいて、実際不自由なくITというものが使える社会というものをつくることが非常に重要ではないかと感じている。
 以上である。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。
 それでは、沢田本部員。

【沢田市長】3点申し上げたいところであったが、話が情報セキュリティ政策について特化しているようであるから、その点だけについて申し上げたいと思う。
 個人情報漏えい事故等が頻発している状況で、官民が連携して取り組みをすることが不可欠である。「国家情報セキュリティセンター」が発足するというのは大変望ましいことであって、是非、体制を強化していただければと望んでいる。
 その際に、個人情報を大量に管理している自治体が安全に役割を果たすために、その枠組みの中に何らかの形で入れていただくということが必要ではないかと思っているので、そのことを是非、御考慮を願えればということを1点申し上げたいと思う。

【棚橋IT担当大臣】ほかに、御発言はありませんでしょうか。
 出井本部員、どうぞ。

【出井会長】IT戦略本部も、あっという間に日本のネットワークがすごく進んだということで、村井先生もこれはキャッチアップではなくてここまでよく政策的にやってきたということをおっしゃっていたが、そろそろ次世代のネットワークのあり方を考える時期が来ているのではないか。具体的に言えば、オールIPのネットワークとか、固定と無線の融合、Fixed-Mobile-Convergenceといったものが非常に盛んになってきている。NTTさんの中期経営戦略の中でもブロードバンドとユビキタス時代における競争のあり方ということで、光ファイバーの組み合わせと規制のあり方について問題提起がなされているが、これは非常に重要な論点であると思う。
 次世代のネットワークを考えていく時に一番難しいのは、従来の電話のように、NTTさんが提供しているようなキャリアグレードのネットワークと、デファクトで発展してきたインターネットがどのように接続されて統合されていくかということで、これはなかなかビジネスモデルが見えない。また、新しい競争が出てくると、規制改革というか、新しい規制のあり方が問題になってくる。例えば、通信とテレビのようなものが融合されるようになり、IT戦略の初期の頃に宮内さんと私とで通信と放送の融合という話を出したことがあるが、その時は随分、方々から議論を呼んでしまったのだけれども、実際問題として、これは避けて通れないようなことになってきて、日本の政策のあり方をどうするか、通信施策をどうするかということに関わってくる。さらに、これだけ地震が発生してしまうと、やはりQOSのあり方みたいなことが重要であると身にしみて感じてくるわけで、もし東京で地震が起きた場合に、どのようなセキュリティが必要かなど、非常にいろいろなことが、この5年間に詰まって出てくる。
 政策論議はどこからやってもやはり難しいが、技術がどのように進歩するのか。日本がここでもう一度イニシアチブを取るチャンスというか、例えば日本のエレクトロニクス産業にとっては、やはり自分で何かしかけることが一番のオフェンスになるわけなので、いたずらに労働集約的なことに短期的な利益を狙うよりも、もう少し長期的に、どのように世の中が変わってくるかというようなものをやらないといけない。2005年に半導体のシリコンサイクルが来ていると言われるが、その次は2010年にまた来るのであろうが、これがどのようなことになるかというのは、想像がつかないぐらい技術の進歩が早い。
 国の規制というのは大体、それよりも遅れるわけなので、今後予想される技術変化に対して、国の通信政策というものと競争政策というものをどのようにやるべきか、また、研究開発をどのようにやるかという中期的な視点に、そろそろIT戦略本部の力点も移った方が、非常に国益のためにもなるのではないかと考える。
 韓国も中国も、その辺に関してはかなり熱心にリソースを割いているし、ややもすると、日本の企業は中期的な視点を失いがちなところであるが、ここでもう一度、官民一体となって新しいIT、またはコミュニケーションを含めたICTを、どのようにやるのかという議論を真剣に行なうことが重要である。これはNTTさんの問題だけではなくて、放送業界、インターネット業界にも全部関係するルールが技術的に変わってしまうという大きな問題である。
 音楽産業をやっていて、音楽の著作権というものがいともインターネットの中で簡単に盗まれるというか、侵害されるようになって、一つの産業の崩壊につながりかねないようなものを見ているものであるから、これをこのまま放置していくと、あらゆる産業がネット上の罠にはまっていくというようなことにもなりかねないので、中期的な視点に立脚した官民のあり方というものにそろそろ力点を置いていく時期ではないと考える。
 以上である。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。
 厚生労働副大臣、どうぞ。

【厚生労働副大臣】電子レセプトとカルテの問題であるけれども、何とかインセンティブをもうちょっと付けなければいけないと思っているところであるけれども、まずはその入口としての最大の障害となっているのが、やはり導入に伴う経費の問題であるので、そこのところは今年も予算要求して、今年、来年とかけてレセプトの文字データ変換ソフトにかかる調査研究、その補助についてちゃんと経費を投入してやらせていただきたいと思っている。その中で、少しでも負担を軽減しながら、電子レセプトへの導入、普及についてもっと頑張ってまいりたいと思っているところである。先ほど、麻生大臣からお話があったように、何のインセンティブもないではないかということであったたけれども、今、かかる経費についてインセンティブを何とか与えたいと思ってやっているところである。
 それから、電子カルテの問題であるけれども、これも何とか利用者の視点に立ってやろうということで今やっているところであるけれども、最終的にはやっと今年の9月に行政機関等が開設したデータセンター等へのオンラインによるところの電子カルテ保存の容認が提言されたわけであるので、これを利用して現在ある電子保存についてのガイドラインを改定して、具体的な運用の安全基準を出して、保存ができるようにという形でインセンティブを与えてまいりたいと思っているところであるので、この数年やっとその機運が盛り上がってきたところであるので、今年、来年とかけて一気にふんばって、頑張ってまいりたいと思っているところである。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。そろそろ時間も大分来てまいりましたので、最後に麻生総務大臣、お願いする。

【総務大臣】 出井本部委員からのお話いただいて、全くそのとおりだと思うので、少なくとも通信と放送、これは総務省がたまたま両方やっていることになるので、これは今、手を付けて、いろいろ故事来歴、因縁があるので、なかなか簡単な話ではないのだけれども、これは必ずやる。
 それから、IP化、当然のことだと思うので、このIP化への対応というのは、総務省としてきちんとやっていかなければいかんところで、これは和田本部員のところとも関係あるけれども、積極的に進めてまいりたいと思っている。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。なお、先ほど鈴木本部員からお話があった、情報セキュリティのグラントデザインの確立をという話は、資料2(1)の1ページにあるように第2次提言、第3次提言も踏まえてと考えているが、鈴木本部員からのお話も生かしながら進めてまいりたいと思う。
 活発な御議論をいただき、ありがとうございました。それでは、「情報セキュリティに取り組む政府の役割、機能の見直しに向けて」について、この案を本部決定とさせていただきたいと存じますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございます。それでは、決定させていただく。この本部決定に基づき、情報セキュリティ政策を推進してまいりたいと思うので、皆様のさらなる御協力をよろしくお願い申し上げる。
 また、情報セキュリティ基本問題委員会には、引き続き重要インフラの情報セキュリティ対策の強化に関する第2次提言に向けてよろしくお願いする。
 評価専門調査会の次回報告については、今回の医療の情報化に匹敵する重要な課題である教育・人材などについても評価をお願いするとともに、評価の枠組みなどについても御報告いただくようお願いする。
 本日、皆様からいただいた御意見をとりまとめさせていただくと、2005年に世界最先端のIT国家となるという目標を達成するためには、これから1年間、具体的な政策を重点的、集中的に実施し、ラストスパートをかけていく必要があると集約できると思う。次回本部において、本日いただいた医療の情報化に関する御意見や、利活用分野などに関する御議論を踏まえつつ、私から、総仕上げとして重点的に推進すべき施策をとりまとめた、「政策パッケージ」の素案を提出し御議論いただきたいと考えているので、よろしくお願いする。
 素案の検討に関して、関係各府省の御協力を是非ともよろしくお願い申し上げる。
 それでは、これまでこの本部においては、7回にわたって最新のIT技術や製品についてデモンストレーションをごらんいただいた。本日は、医療の情報化について、電子カルテを中心に大歳本部員から御紹介いただく。
 プレスが入室いたします間お待ちください。

(報道関係者入室)

【大歳社長】今日は、医療の情報化について、大変活発な御議論をいただいたけれども、中に出ていた、電子カルテ、レセプトの電子化ということに関して、実演と具体的な御説明ということで、よりイメージをいただければと思っている。
 こちらにあるのは、右側が患者さんの近所にあります医療機関、クリニックというふうに考えていただきたい。左側の方が、大病院の専門の先生がいらっしゃるところのパソコンの画面だと考えていただきたい。
 電子カルテであるが、今まで紙に書いていたものを、全部コンピュータの画面で文字、あるいは症状を選んだり、こういった絵で悪いところの部位をマークしたりという形で、最初から入れいただくわけである。
 カルテだけではなくて、レントゲンも写真、フィルムではなくて、こういった画像という形で当然保存できるわけである。
 こちらの写真の方で、患者さんがお医者さんに診てもらっているわけであるけれども、レントゲンの画像を見てちょっとこの辺がおかしいので、専門の先生に診ていただこうということで、クリニックから専門病院、永田町病院と書いてあるけれども、永田町病院の専門の先生の方に、まず先生の時間を予約する。患者さんが病院に行って待たなくていいように、先生の時間を予約して、同時にこのカルテの中身と、先ほどのレントゲンの写真を永田町病院の専門の先生の方に送ることになる。
 これでもう予約ができて、永田町病院の専門の先生の方に届いておるはずであるので、総理のそばに永田町病院のパソコンが置いているので、こちらの私が専門医でございまして、まずだれでも見るわけにいかないので、許可されている人間の指紋かどうかということで、だめですね、もう一回お願いします、ちょっと上がっておるのかもしれない。通りました、大丈夫です。ということで、見ていい先生かどうかという確認を得た上で、永田町病院の専門の先生が、こちらの診療所のカルテであるとか、あるいはレントゲンの写真というのを見るわけである。したがって、患者さんは、またその次に行った病院で同じような検査をやったり、同じようなレントゲンを撮ったりすることは要らないわけである。こちらの診療所で診られた結果が、そのままもう永田町の先生がごらんいただけるということで、患者さんの負担も減るわけである。医療の診断も早くなるということになるわけである。
 こういった形で、同じ患者さんのカルテであるとか、レントゲンの写真が複数の医療機関で共有できるということになるので、患者さんが永田町病院に入院されて、家の近くに退院されて帰られたとしても、退院後の治療、診断も同じように継続してできる。入退院を繰り返しても、同じデータに基づいて複数の先生が相談しながら診療治療ができるということになる。これは、1つの電子カルテの非常に大きな効果であろうというふうに思いう。写真もこういうふうに拡大して、特に悪いところを診るということもできるので、それで患者さんに納得していただいた上で治療にかかるという、いわゆるインフォームドコンセントという形も取りやすくなるということである。
 以上が、電子カルテの非常に簡単な御紹介であって、次にレセプト業務の電子化ということの御説明に移らせていただきたいと思うども、先ほどもいろいろとお話が出ていたように、20万の医療機関が、1万3,000 の保険者に対して診療報酬請求を行って、支払をもらって、医療機関に支払いを行うと。間に支払い基金という組織がつくられておるわけであるけれども、支払基金というのは、ちょうど私が生まれた年にできたものですから、そのときから余り変わらないようなお仕事を、多分今もなさっていると思う。ほとんどが紙で今も送り受けがなされていて、東京都の場合だと、東京都の医療機関からのそういった診療報酬請求が、月にトラック8台分紙が運ばれるということになっている。左のように、膨大な紙の量を、手作業で確認して内容のチェック、突き合わせ等が行われているというのが現状である。
 大きな病院の場合、大体A4のサイズの紙が月に1か月です、10万枚診療報酬関連で出てくるというふうに言われていて、段ボール5箱、容量で言うと200 メガということなのだけれども、最近のこういう媒体に入れると、勿論1枚に入ってしまうわけであるし、ブロードバンドのネットワークで送っても、実は瞬時に届いてしまう。そういうものを、現在は紙で運んでおられるというのが現状である。
 磁気媒体におさめるとか、あるいはネットワーク経由で送り受けをするということになりますと、今まで手作業でやっておった部分のある部分、あるいはかなりの部分がパソコンとかコンピュータで自動的に、単純な計算ミスとか記入ミスがチェックできるわけです。本当に、人間が見なければいけないところだけ画面で日本が見て修正を行っていくということでかなり、先ほど1,300 億円と申し上げましたけれども、そういった経費の節減が試算としては出ておるという世界でございます。
 以上、電子カルテによって、あるいは電子レセプトによって、まず患者さんの立場から見ると、非常に効率よく、いい先生のきちんとした診断あるいは治療を、複数の医療機関にまたがって受けることができるということが言えると思うし、医療機関、あるいは病院の立場からしても、同じような作業をあちこちでやる必要がないわけであるから、情報の共有ができるので、より効率の高い病院経営ができると、1日当たり診断、あるいは治療のできる患者さんの数が増えるということが言えると思う。あるいは、国全体、基金としても、先ほどのような紙の処理がかなり圧縮できるとすれば、そういった経費の節減にも国全体としてつながっていくというような効果が見込めると思う。
 以上、大変駆け足でしたけれども、電子カルテとレセプトの電子化の紹介を終わる。ありがとうございました。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。以上でデモンストレーションを終了する。
 それでは、ここで小泉総理より、締めくくりの御発言がございます。

(5)内閣総理大臣挨拶

【内閣総理大臣】今日はありがとうございました。いろいろ提言いただいたが、2000年に、5年後には世界最先端のIT国家実現という目標を立てて、今日お話を聞いていると、その目標は達成できそうだと。しかし、まだ情報セキュリティとか、あるいは医療分野の情報の電子化は課題が多いということである。5年というと来年であるから、まさに最先端の国家になっても、とどまることなく、ますます新しい時代に対応できるように先生方の御指導、御協力、よろしくお願いする。政府も、一丸となって取り組んでまいりますので、今後ともよろしくお願いする。
 ありがとうございました。

【棚橋IT担当大臣】ありがとうございました。

(報道関係者退室)


(6)閉会

【棚橋IT担当大臣】 以上で、本日のIT戦略本部を閉会いたしたいと存じます。次回の本部会合については、別途事務局から御連絡をさせていただく。本日は、皆様方お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございました。



(別紙)

《 出席者名簿 》

 小 泉  純一郎内閣総理大臣
 棚 橋  泰 文情報通信技術(IT)担当大臣
内閣府特命担当大臣(科学技術政策・食品安全)
 細 田  博 之内閣官房長官・内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
 麻 生  太 郎総務大臣
 中 川  昭 一経済産業大臣
 南 野  知惠子法務大臣・内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策)
(欠)町 村  信 孝外務大臣
(欠)谷 垣  禎 一財務大臣
(※倉田 雅年 財務大臣政務官 代理出席)
 中 山  成 彬文部科学大臣
(欠)尾 辻  秀 久厚生労働大臣
(※衛藤 晟一 厚生労働副大臣 代理出席)
 島 村  宜 伸農林水産大臣
(欠)北 側  一 雄国土交通大臣
(※蓮実 進 国土交通副大臣 代理出席)
(欠)小 池  百合子環境大臣・内閣府特命担当大臣 (沖縄及び北方対策)
(※能勢 和子 環境大臣政務官 代理出席)
 村 田  吉 隆国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災・有事法制)
(欠)大 野  功 統防衛庁長官
(※北村 誠吾 防衛庁長官政務官 代理出席)
(欠)伊 藤  達 也内閣府特命担当大臣(金融)
(※七条 明 副大臣 代理出席)
(欠)竹 中  平 蔵内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
(欠)村 上  誠一郎内閣府特命担当大臣(規制改革・産業再生機構)
(欠)石 原  邦 夫東京海上日動火災保険株式会社代表取締役社長
 出 井  伸 之ソニー株式会社取締役代表執行役会長兼グループCEO
 大 歳  卓 麻日本アイ・ビー・エム株式会社代表取締役社長
 沢 田  秀 男横須賀市長
 鈴 木  幸 一株式会社インターネットイニシアティブ代表取締役社長
 南 場  智 子株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役
 村 井   純 慶應義塾大学環境情報学部教授
 和 田  紀 夫日本電信電話株式会社代表取締役社長
上記の他、以下が出席。
 杉 浦  正 健内閣官房副長官(政務、衆)
 二 橋  正 弘内閣官房副長官(事務)
 宮 内  義 彦規制改革・民間開放推進会議議長
 竹 島  一 彦公正取引委員会委員長
 庄 山  悦 彦評価専門調査会座長
 伊 藤  泰 彦情報セキュリティ基本問題委員会委員長代理