首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸 カテゴリーなし
 トップ会議等一覧IT戦略本部開催状況印刷用(PDF)

第3回IT戦略本部 議事録



1.日 時:平成13年3月29日(木) 8:30〜9:15

2.場 所:内閣総理大臣官邸大食堂

3.出席者:[別紙]

4.会議の模様

(1) 麻生IT担当大臣から以下のとおり挨拶。

  • おはようございます。定刻になりましたので、始めさせいただきます。 本日は、大変早朝からお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
  • 本日の議題はお手元の議事次第にございますとおり、「e−Japan重点計画」と「IT戦略本部の今後の進め方」の2つについてであります。まず「e−Japan重点計画」を御決定いただきまして、次に「IT戦略本部の今後の進め方」の案について事務局から説明をさせますので、その後、皆様方に御議論をいただく時間を取らせていただければと思っております。誠に限られた時間でございますが、効率的に議論を進めてまいりますために、是非皆様方の御協力のほどをよろしくお願いを申し上げます。

(2)「e-Japan重点計画」について麻生IT担当大臣から説明。

去る2日、前回であるが、第2回本部会合において「e−Japan重点計画」案についてお諮りをし、いろいろ御意見を頂戴した。これらの御意見を踏まえ、第2次案を作成し、9日から20日までパブリックコメントに付して国民の多くの皆様から五百何十通の御意見をいただいたところである。その結果について、事務局の方から説明をさせる。

(3) パブリックコメントの結果概要について事務局から説明。


 「e−Japan重点計画」のパブリックコメントでは、総数591件の意見が寄せられている。ただし、この中で白紙や重複があったので、それを除いた有効な御意見の数は486件であった。
 意見の提出者であるが、企業から19件、団体14件のほか、外国政府、これはアメリカ、イギリス、EUであるが、3件ある。また、個人の方々からは450件という多くの意見が述べられた。
 意見がすべての項目についてさまざまな形で出てきたわけであるが、その中で最も多くの意見が寄せられたのは世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成の部分で369件である。
 これらの意見を踏まえ、10ヶ所の修文を行う案を作成している。10ヶ所の修正を簡単に御説明申し上げる。
 まず第1点であるが、「5年間で世界最高水準に」というが、いつからなのか、という御質問もあった。そこで、そこを明示するために「2001年からの5年間に」という形にさせていただいた。
 第2点であるが、公正競争条件の整備の中で修文を行った。まず非対称規制の導入のところである。市場支配力は市場シェアだけではなくボトルネック設備の存在等を含め総合的に判断すべきものである。市場シェアのみで判断するとの誤解を持たれることのないよう、適切な表現に修正した。
 それから2つ目は、NTTに対するインセンティブ活用型競争促進方策の導入の箇所である。パブリックコメントにおいてさまざまな御指摘、御意見があった。これを受けて、NTTの競争促進措置は自主的取組を期待するものであって、業務範囲拡大の認可とは法的にリンクしないこと、NTTの在り方等を見直すことに関しては通信主権の確保の観点も十分に考慮すること、競争が進展しない場合にはNTTの在り方だけではなく電気通信に係る制度についても見直しを行うことを明確にするために必要な表現の修正をさせていただいた。
 3点目である。電力線を利用した高速データ通信を実用化するために利用できる周波数帯域を拡大すべきというパブリックコメントがあり、この項目を新たに追加させていただいた。
 4点目である。高速インターネットがいわば次世代のユニバーサルサービスとも言うべき重要なサービスであるということを明確にすることとして「次世代ユニバーサルサービスと言われている」という言葉を挿入した。
 5点目である。「中小企業の関係の施策をよりきめ細かく記述をしたらどうか」という御指摘もある。それを受けて、研修・セミナーの実施やアドバイザーの育成・派遣、更には中小企業のネットワーク形成といった点についても触れさせていただいた。
 6点目である。国が2003年までに電子政府をつくるわけであるが、地方の方も一緒にやっていかなければいけない。もともとは国の動向を踏まえて検討を進めると書いたのであるが、「国の実施スケジュールに合わせて」ということでもう一歩踏み出すという形にさせていただいた。
 7点目である。セキュリティの議論であるが、特に重要インフラ等についてはテロ行為として妨害電波といったものがあり得る。したがって、重要インフラに関する情報のセキュリティの観点から光ファイバの方が優れているという指摘があって、「光ファイバ等を用いるなど」という表現を入れさせていただいた。
 8点目である。情報セキュリティの刑事基本法制の整備である。この点について刑罰が甘いのではないかといった議論がある。適正な刑罰について検討をするということで、「適切な処罰を確保するため」という文言の挿入をさせていただいた。
 9点目である。研究開発の中で我が国が特に得意な情報家電や情報端末について、世界標準を戦略的に獲得をしていくべきだという御指摘があったので、これを挿入した。
 10点目、最後の点である。雇用問題であるが、ITの進展とともに雇用のミスマッチの議論がかねてからある。そこは既に書いてあるが、そのほかにそのミスマッチに対応するためにも新規産業の創出が必要であるという指摘があった。ベンチャー企業創出の支援を推進しようということで、その関係の文言を挿入したところである。

(4) 電子政府の実現に向けた取組状況について事務局から説明。


 2003年度までに電子政府を実現するという目標に向かい、現在施策を展開しているところである。例えば、いろいろな申請を行うに当たり、大量データの送信や添付資料の電子化、手数料の納付方法など多くの問題点があるが、その解決を図りつつ、電子政府の関係の手続、それから地方公共団体の事務の関係、いずれについても6月までにそれぞれアクション・プランをつくり、この本部に御報告をしていきたいと考えている。

(5) 「e−Japan重点計画」の本部決定。

【麻生IT担当大臣】お手元のパブリックコメントの結果など、その後の調整を踏まえて「e−Japan重点計画」の最終案をお示ししている。本案のとおり、本部決定とさせていただきたいと考えているが、よろしいか。 
 特に異議がないようなので、この案で決定させていただく。
 皆さんそれぞれ、いろいろ御不満なところはあると思っているので、これはなかなか完璧にはいかないということは私どもよく存じているが、新しい試みであるし、今後ともいろいろ修正をして、是非この案について今後ともいろいろフォローさせていただき、実効のあるものにさせていただきたいと思っている。
 なお、電子政府の実現に関してはただいま御説明申し上げたスケジュールなどにより、今後2003年までの申請届出手続のオンライン化の早期実現を強力に進めてまいりたい。

(6) 片山総務大臣から以下のとおり発言。

  • ただいま決定された「e−Japan重点計画」は、各施策について具体的な目標とその達成時期を明確に示している点で、より具体性及び実効性の高いものである。総務省としても、今後とも本計画の着実な推進を図っていきたいと考えている。
  • 情報通信分野は今、大きな状況の変化があり、新たな局面に差し掛かっていると思うので、このような流れを加速させるためにも超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策に積極的に取り組むとともに、電子商取引の普及や電子政府の実現など、情報通信の利用の促進に向けて先導的な役割を果たす所存である。
  • なお、競争政策の重要な柱である「電気通信事業法等の一部を改正する法律案」については現在最終的な調整中であるが、4月10日過ぎまでには国会に提出できるものと考えている。また、先ほど電子政府についていろいろ御発言があったが、IT担当大臣と連携し、各省大臣の御協力も得ながら国、地方を通じた電子政府の早期実現に向けて強力に取り組んでまいりたいと考えている。特に国の場合、国の行政機関等の手続については昨年アクション・プランを策定しており、平成15年度にオンライン化するものの大半だと決めているが、これらを少しでも多く前倒しをして実施できるよう、昨年決めたアクション・プランの見直しをしたい。地方公共団体については、自治事務等にかかる申請届出手続のオンライン化に関する平成15年度までのアクション・プランを新たにつくりたいと考えており、その結果を6月に取りまとめ、この本部に御報告申し上げたいと考えている。
  • 更に、重点計画の中でも横断的な課題と位置付けられているデジタルディバイドの是正については、総務省にIT推進有識者会議を設置しているが、これを引き続き開催し、本年7月の取りまとめを目指して現在検討を行っている。地域イントラネットなどの地方公共団体等のネットワーク整備に関する支援策の充実や高齢者、障害者の方でも使いやすいIT機器サービスの開発・普及の促進など、総務省としても取り組むべき重要課題だという検討を進めているところである。
  • 今後とも本計画の更なる充実強化に向け、必要な制度の見直しやIT関連予算の確立等を図ってまいりたいと考えているのでよろしくお願いしたいと思う。

(7) 平沼経済産業大臣から以下のとおり発言。

  • ただいま決定された重点計画は、今後の政府のIT革命の具体化の施策を提示するものであり、IT基本法に魂を入れるものだと思っている。本部員の皆様方の御尽力により、満足のいく内容が盛り込まれたものと承知をしている。
  • いよいよこれからこの重点計画の実行の段階に入るが、IT革命は日進月歩で進んでいるので、政府の対応についても、その見直しを不断に行うことが必要であると思っている。そうしたプロセスの中で、IT分野の規制改革を更に進めてベンチャー企業や新規産業の創出など、IT市場全体の活性化を促進することが重要であると考えている。経済産業省としては、重点計画の実行の第一歩として、一昨日「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案」と、「不正競争防止法の一部を改正する法律案」を閣議決定して直ちに国会に提出した。今後とも本重点計画の着実な実施に、当本部の担当副本部長として最大限努力をしてまいりたいと思っている。

(8) IT戦略本部の今後の進め方について事務局から説明。


 従前からIT戦略本部において毎年春に重点計画の見直しをすること、それから春と秋に施策の進捗状況の調査を行うこととしているが、そのほかに本日2つの御提示をしたいと思っている。
 まず、IT分野の平成14年度における施策の在り方に関し、「e−Japan戦略」及び「e−Japan重点計画」を各府省の施策に反映するため、「平成14年度IT重点施策に関する基本方針」を6月を目途に取りまとめたいというのが第1点である。
 第2点目である。今後IT戦略本部で検討すべき課題について整理をし、それに基づいて順次検討を行う。その2点である。
 具体的に申し上げる。「平成14年度IT重点施策に関する基本方針」についてであるが、平成14年度の施策の具体化に向けて「平成14年度IT重点施策に関する基本方針」を今年の6月を目途に本部において決定をさせていただきたいと思う。基本方針の策定に当たっては、経済財政諮問会議との連携を図り、この方針が出たところで各府省はこれを平成14年度の施策に反映させるという形を考えている。
 また、今後本部において検討すべき課題ということで各本部員の意見を集約させていただく。これに基づいて順次検討を行っていただければと思う次第である。検討に当たっては、必要に応じ各本部員又は本部員以外の方によるプレゼンテーション、それに対する質疑、ディスカッション等を実施したいと考えている。
 具体的なスケジュールの案であるが、次回の会合を5月中旬を目途に開催させていただき、「平成14年度IT重点施策に関する基本方針」についての御審議をいただく。そして、それを第6回で決定をしていただくということを考えている。また、今後本部において検討すべき課題について御議論いただき、これも第5回にどういう課題を議論するかを決めていただいた上で検討を始めるということを考えている。また、先ほど簡単に御説明したアクション・プランを6月を目途に取りまとめたいと思っており、その点についても合わせて御報告をさせていただきたい。

(9) 意見交換。

【麻生IT担当大臣】最初に、本日御欠席である岸本部員から御意見をいただいているので、事務局の方から紹介をお願いする。

【事務局】岸本部員は本日御欠席である。本来ならば今日御発言を読み上げさせていただくところであるが、時間の都合があるのでポイントのみ申し上げて全文は配布をさせていただく。
 ポイントであるが、「e−Japan重点計画」は評価できるという前提である。この上で、「e−Japan戦略」の具現化に向けて取り組むべき課題が残されていること、利用者利益の最大化の観点から自由な競争を促進するためには1種、2種の事業区分の撤廃など、事前規制の抜本的見直しが喫緊の課題であること、このような問題についてはIT戦略本部として主体的に検討し、改革の方向性を打ち出すべきであり、政治のリーダーシップを期待すること、こういったことが記述されている。
 御意見については、議事録には全文を掲載させていただきたいのでよろしくお願い申し上げる。

(以下、岸会長の発言は、岸会長用意の発言用原稿による。)

【岸会長】重点計画が200を超える施策について、いつまでに、どの省庁が、何をやるのかを明示したことは、評価できるものと存じる。
 しかし、IT推進の上で重要な施策であっても、所管官庁が実施時期を明示できていないもの等については、残念ながら重点計画には盛り込まれていない。このため、民間活力の最大限の発揮により日本を世界最先端のIT国家とするe−Japan戦略を具現化する上で、課題が残されているものと存じる。
 例えば、超高速ネットワークインフラ整備については、e−Japan戦略では、「通信事業の展開に係る各種の規制を競争を促進する方向で大幅な見直しを進めるとともに、『利用者利益の最大化』と『公正な競争の促進』を基本理念とし、事前規制を透明なルールに基づく事後チェック型行政に改める」とされている。この観点から、回線調達方法などを制約している1種・2種の事業区分の見直しや機動的な新サービスの提供を妨げている規制の廃止など、事前規制の抜本的見直しを早急に行う必要があると存じる。
 このため重点計画決定後も、日本を世界最先端のIT国家とする上で重要な事項については、総理を本部長とするIT戦略本部が主体的に検討し、改革の方向性を明確に打ち出すべきと存じる。総理、IT担当大臣をはじめとする政治のリーダーシップによって、日本の改革とIT革命を加速していただくよう、お願い申し上げる。

【竹中教授】前回、前々回と欠席させていただいて大変申し訳ありません。今回、昨年の経済戦略会議からの成果がこのような形になったことを大変うれしく思っている。同時に、今後の課題として3点あると考える。基本的にはここまでの作業で私たちのやるべきいわゆる遂行責任が明確化されたが、結果に対して責任が負えるようにするためには3つぐらい必要かと思う。
 第1は、インフラ整備の中心になる競争促進政策の具体化である。これはいろいろなところで議論されているが、その具体化の中身は大変難しい問題を含んでいる。同時に大変重要であるので、この競争政策の具体化の話だと思う。
 第2は、IT戦略会議等々でも十分議論し切れなかった国民の情報リテラシーをどのように高めるかという問題であるが、これについては更に多くのアイデア、知恵が必要ではないかと思う。
 第3は、技術革新が早い中でどんどん出てくる新しい問題をどのようにインコーポレート、取り組んでいけるようにするかという問題ではないかと思う。まだ議論されていない問題としては、例えばピア・ツー・ピアの問題をどのように我々は考えていくのか。犯罪の問題、ディバイドの問題もあるが、統計の問題等、そういう3つの点についてはかなり踏み込んだ議論が今後必要なのではないかと思う。

【梶原知事】地方自治体の立場から御礼申し上げるが、いろいろな意見を取り上げていただき大変ありがたく思っている。ITの需要供給両サイドで実行上も地方あるいは中小企業について十分御配慮をお願いしたいと思う。
 それからユーザーとして高齢者、障害者あるいは過疎地域の人々、公共的な配慮をこういう方たちに是非実行上もお願いしたい。民間活力はもちろん大切であるが、市場原理では強い者が勝ち残る。これは企業もそうだが、政治は弱い人のためにあると思っている。そういう点で、政治の上で弱い人に対して格別の御配慮、公共的な配慮をお願いしたいと思う。
 市町村合併との関連でいろいろやっていると、電子政府の問題が絡んでくる。是非合併の問題と電子政府の問題を絡めていただき、弱小市町村も結構あるので、その点の御配慮をいただくと合併の促進にもなるのではないかと思うので、是非御配慮をお願いしたいと思う。
 それからもう一つは家庭の主婦の問題であるが、地方紙、地元の新聞などではITと主婦というのは特集を組んだりしており、事務局にもお届けしている。事務局は、家庭の主婦を特別に取り上げるわけにはいかないということでなかなか取り上げていただけないが、私はいかがなものかと思う。育児、家事、介護あるいは環境問題、こういうものは主婦が非常に関心が高く、それとITとどう関連するのか、明確に提示した方がいいのではないか。地方の選挙でもそうだが、家庭の主婦の共感を得なければ落選する。本当に肌で感じているが、どうも中央政府のお役人は現場感覚に欠けるのではないか。家庭の主婦の共感を得て初めてIT戦略も国民のものになると私は思う。だから、政治的な御配慮で実行上、PR等で十分その点を御配慮いただきたい。これはお願いである。

【出井会長】このIT戦略をここまでまとめていただいたことは大変高く評価させていただきたいと思う。ただ、この目的、手段をもう少し整理しないと、何のために日本が高速インターネットをやるかということをややもすると忘れがちになると思う。今、日本はアメリカに関して絶好なチャンスにあると思う。アメリカは1995年からPCとインターネットというナローバンドのインターネットとPCをつないだだけであれだけの事業が出てきた。これは高速のインターネットを引いて、しかもワイヤレスが発達してくる中で、これを母体にいかに経済が発展するか、または日本がものすごい勢いで経済活力を取り戻すかというのがこのIT戦略の基本的な問題である。この95年から2000年までの間に日本はPCとインターネットの組合せにおける事業を活性化するということを逃してしまったので、このブロードバントとワイヤレスの組合せによって新しい事業を推進することが非常に必要だと思う。
 この間、アメリカはかなり通信政策のリフォームや、州のタックスを例えばeコマースでは取らないとか、いろいろなインターネットに関する事業の推進をやってきた。それから、我々音楽業界を持っている者にとっては大変ショックなことであるが、インターネットにおける権利著作物の頒布などに関しても、不合理だとわかっていてもこれに目をつぶってインターネットを促進させる方が先だということでやってきた。日本はやはり今回の目的が日本が新しい事業をつくるというところに一番あるという視点を外すと、ややもするとNTTのドミナントの問題だとか、そういうことになるが、そういう問題ではなく、電話は垂直だから水平な産業基盤を提供するというところが一番ポイントだと思う。これで新しい事業がどんどん出てきて、2000年代は日本が一人勝ちにもう一遍なるというぐらいのパワーがここには必要だと思うので、IT戦略本部が、PCをいかに使うかとか、そういうレベルでもって論じられるということに関してはちょっと遺憾かなと思う。そのあたりを志高く麻生大臣には頑張っていただきたいと思うのでよろしくお願いする。

【鈴木社長】今の関連であるが、制度の見直し政策立案において、何となくアメリカにキャッチアップする、追いかけるという発想がどこかにまだ残っているのではないか。今、出井さんが指摘されているが、PCフリーのネットワーク社会が構築され始めると日本は強いのではないかと私は期待している。従来、アメリカが先導してつくってきたPCをベースにしたインターネットによる情報社会とは違った社会が形成されるのではないか。全く違ったベースの情報社会が、ブロードバンド化ということと、家電メーカーの非常に強い日本だからこそできていくのではないか。アメリカという先例にとらわれずに自分たちで考えて自分たちのインダストリーをつくるために何ができるかということが重要ではないか。
 それと同時に、いろいろな制度は各国で変わるが、国際的な制度や、いろいろな政策は基本的に国益に準じている。国益に準じている限り、その都度その都度それぞれの国にとって一番いい制度をつくっていく。特に、通信という基幹産業の場合、ディフェンスリー・インダストリーという面が通信にはある。その上で日本としてのITのインフラ部分の政策が、どこまで日本独自のインダストリーをつくりながら日本を持っていくかというような視点を入れていかないと、アメリカがこうした、あるいはドイツがこうしたということになる。我が国の国益として何をやっていくのかというところを基本精神にしないと、将来的に難しい面がでてくるのではないかという危惧を持っている。

【村井教授】3点ある。1点目は何人かの方がおっしゃったが、グローバル・ネットワーク社会というのはグローバルな空間であるということを繰り返し申し上げているが、そのことでだいぶ国際協調とか、そういうことの方向は今回のものでも入ってきたが、やはりそのグローバル社会をつくっていくということを戦略的に考えることに関してかなり積極的に進めていく必要があると思う。それで、これは超高速インターネット、ネットワークというのは基本的には人、個人当たりのビット数がものすごく大きくなるということと、もう一つはさっき出井さんがおっしゃったようにコンピュータ以外がつながってくるということと、だれでもつなげるという、こういった辺りにIPバージョン6であるとか新しい技術が必要になる。基本的にはトラヒック、ビットの量というのが増えてくると、圧倒的に新しい世界ができ上がるというのがこのデジタルコミュニケーションの世界であり、それを目指しているということは、国際戦略の中でも基本的で具体的なことが考えられていけると思う。
 私がちょっと心配しているのは、例えば環境の問題でデジタル・テクノロジーがどうやって使われるのか、あるいはインターネットの基盤がどう使われるのか、あるいは農業の分野でどう使われるのか、人材の分野でどう使われるのか。こういったことを総合的に見ていくとしたら、何かそういうアクションが必要になって、それはIT戦略本部がやるしかないと思う。そういった意味で、あるいはトラヒックが基本的に、もっと具体的に言うと日本発のビットの量、トラヒックの量がいかに増えるかというようなところが国際的な戦略には直接的には結び付いてくるところだと思う。そういったことも含めた国際的な戦略、グローバルネットワーク社会への貢献ということの裏は、これは非常に大きな国益へのテーマだと思うが、ここのところをきちんとやらなければいけないというのが1点目である。
 2点目は、それを進めていくに当たって、やはりこれは民間が進めていくということ、それぞれの分野の専門家が進めていくということはとても大事であるので、国としてやるべきことの中にやはりこのレポジトリーというか、つまりその状態を全体的に総合的に把握をするという機能が必要だと思う。このことで特に私は必要だと思うのは、実は暗号化のテクノロジーだと思うが、これは知的所有権の問題であるとか、そういったことに関わってくると思う。そういった意味で、分野を横断して必要なことを有機的に具体的に把握するというレポジトリーをつくっていくというのが国としては是非やらなければいけないことだと思う。
 3点目、これは多分他の方がおっしゃっていただけないのではないかと思って付け加えるが、グローバルな空間の中で日本が頑張っていくためには英語が必要だという議論が何度もあるが、逆に日本語をどのように世界に対して使いやすくするという教育を進め、日本語の利用を促進していくかという責任は日本しか持てない。これはインターネットが始まってコンピュータの上で日本語が自由に使えるようになったということで、世界中で日本語を勉強している人は、今までは全部漢字の書き方を覚えなければならなかったのがキーボードから入れられるようになったので、日本語の使い方はものすごく促進された。
 一方で、今ドメイン名に多国語を入れようということがある。今コンピュータサイエンスは御存知のように、漢字をデジタル表現するのに我が国では4種類が混在している。このことがいろいろな混乱を生んでいるが、これを統一すればいいということではない。日本語がシンボルとして世界で通用していくためにどういうことをやっていけばいいかということを考えていく責任はあるが、問題はこのことを考えている主体がないということだと思う。そういった意味で、グローバルなデジタル社会の中での日本語の問題というのは、やはり日本が考えなければ他の人は考えてくれないので、今、中国などは相当このことを意識して動き始めて、中国と台湾がこのことはコラボレーションして進んでいるが、そういったところもこの国際的な社会の中で、あるいは人材を得ていくためにも必要なことではないかと思う。

【宮内会長】非常にいろいろなお考えがある中でこのようにまとめられた御努力に対して、まず敬意を表したいと思う。今後のことについて、気になる点を2点申し上げたいと思う。
 1つ目は、やはり今まで御発言があった競争政策の問題であって、ドミナント規制あるいはインセンティブ活用型の規制という形は本当の意味の競争政策、市場経済という意味から言うと非常に中間的というか、これは一時のやり方ということではなかろうかと思う。こういう競争政策が正しいか正しくないかというのはユーザーの立場から見ると、安くて速くてと、世界で最も安く、世界で最も速いというものが実現できればこういう競争政策も正しかったということになろうかと思うし、それが実現しないということであればここのところをもう一度真剣に考えていく必要がある。中でも、国際競争力や通信主権という考えが入っているが、実はそういうことでなく、これはやはりユーザーの視点から見る。日本の国民が世界で最も便利で安くてスピードのあるものを使えるかどうかという観点が一番重要ではなかろうか。そういう面から、競争政策について今後もよくこれをウォッチしていくということは一番重要ではないかと思う。
 2つ目は、今後更に積み残した重要な問題を取り上げていくというシステムは非常に結構だと思う。その中で、今日まで持ってこられたスピード感と熱意を引き続き是非御担当の大臣始め皆様方にお持ちいただくということは本当に日本を変えていくことになる。熱意をどう示すのかと言われると困るが、今までのスピード感は大変評価できるのではないかと思うので、引き続きお持ちいただくということをお願いしたいと思う。
 それから、意見として、先ほど岸さんのお出しになったペーパーは、私はお書きになられたことは全面的に賛成だということを付け加えさせていただく。

【秋草社長 まず、この「e−Japan重点計画」をつくっていただいた関係者の皆様に本当に敬意を表する。よくできていると思う。
 これを実行するときのフォローアップが必要だということであるが、やはり最大の受益者、カスタマーというのは国民であり、先ほど梶原本部員からもあったように、家庭から見て便利であるか、あるいは安いかどうか、安全かどうかというアセスメントが必要だろうと思っている。全般に国がやる、企業がやるということであるが、やはり受益者は一般国民だと思う。その視点で絶えずアセスメントが必要だろうと思っている。場合によってはモニターを入れて、そこから家庭から見て便利であるかどうか、どのぐらい行政のサービスが受けられるかというコメントをいただくという仕組みも必要だと思っている。どちらかというとITフロム・ザ・ホームという、家庭からの評価ということが一番重要だと思っている。
 もう一つの問題は、だんだん進むとセキュリティの問題が非常に重要になってくる。これはサイバーテロというレベルから、あるいは個人のいろいろなセキュリティ保護のレベルまでも含めてである。国としては、やはり国を守るためのセキュリティという認識が必要だと思っている。そのときに防衛庁との関わりも必要だと思っており、非常に重要な課題だと認識している。

【松永エディター】この「e−Japan重点計画」は、いかに浸透させていくかということが重要だと思っており、最大の受益者は一般国民だと思う。最初にも申し上げたが、世界最高水準と言っても、なかなか私たち個人に届いてこないので、それを本当にうまく浸透させるための方法として、一時政府の方でコマーシャルをやっていたと思うが、そのコマーシャルはどう見ても余りセンスがよくないと思った。だから、その辺りも新しいことがいかに自分たちにとってわくわくして快適であるかということがきちんと伝わるような、そういうソフトに是非知恵とセンスを結集させていただければと思う。

【宮津社長】森総理が1年くらい前にIT革命、IT戦略と言われ、本当に動くようになったなあと思っている。IT戦略会議から今度のIT戦略本部までの一連の流れの中で私は生産者側の立場で物を言ってきているが、日本は変わり目にきているわけであり、関連する会社や国民全体がITを取り入れていかなければいけないというようなことが相当浸透してきていると思っている。
 政府側は相当やることはやっており、ここまでくればあとは国民、生産者、各企業のそれぞれが自主的に努力することが非常に大事だというポイントにきており、私どもとしても、自主的に将来の計画を立てて、こういうものを取り入れて、またむしろこれを軸にして進めるようにしたいと思っている。そういうことが全国民的に広がっていくところまできたのではないかと思っており、大変力強い気がする。

【奥山社長】もう皆さんから出ているので繰り返さないが、やはり競争政策の貫徹性が非常に大きなテーマだろうと思う。具体的には検討すべき項目が非常に多岐にわたるので、5月の次回の際に改めて整理をして申し上げたいと思う。
 今回まとめていただいたのは皆様方の御尽力の賜物と厚く御礼申し上げるが、先ほどから出ているように、技術論や方法論に終始しているので、何をねらうのかということをもう一度次回以降の最初に確定する必要があると思う。先ほど宮内委員長も、例えば通信主権ということでなくとおっしゃったが、まさにそうであり、通信主権という言葉が今回入ったが、それはそれとして私はそれを削除してくれというつもりは毛頭なく、そもそも通信主権というのは釈迦に説法であるが、もう半世紀以上も前もITU条約の前文に一言あるだけであり、今時アメリカがATTを論じ、あるいはイギリスがBTを論ずる際に通信主権という言葉を持ち出すことは皆無であるので、通信主権というものがNTTを含む今後の競争政策の議論をする際の伝家の宝刀として掲げられることについてはいかがかと思っている。
 つまり、通信ももちろん安全保障に関わる問題であるし、これは国の行政すべてがそうなので、通信だけに主権を振りかざすことは今の世界の風潮からすると余り賢明ではないのではないかという気がする。恐らくこれは英語に訳したら外国から問題提起がされた場合に一々釈明しなければならないという気もするので、言うならば主権は在民であるので通信主権ということは、通信は国民のものと読めばいいのかと私は思ってそのように解釈した。この辺は次回以降もう少し検討させていただきたいと思っている。

【麻生IT担当大臣】それでは、時間の関係もあるので御異存がなければ当面先ほど事務局から御説明を申し上げたとおり、このIT戦略本部を今、申し上げた線で今後進めさせていただきたいと思う。

(「IT戦略本部の今後の進め方」について承認)

【橋本行革・沖縄北方担当大臣】私はここまで加えていただいてまだ2度目なので、この内容についてどうこう申し上げる資格はない。そして、私が知る限りにおいていい計画をつくってきていただいていると思う。
 ただ、その上で、私は閣僚側の本部員の皆さんにひとつ確認をしたいことがある。これが進めば、まず1つに流通は大きく変わるが、同時に今、非常に地方で悩みが出てきている。中心市街地の再活性化には苦労をしているが、地方における中小零細の商店街はこれによって非常に大きなダメージを受ける。恐らく今までの形での中小都市における、あるいは町村における商店街は確実に衰微するであろう。その責任はお互いに取る覚悟はあるか。これだけは私は確認しておきたいと思う。

【麻生IT担当大臣】どなたもお答えにならないと思うので、私の方からそれでは申し上げる。
 間違いなく影響は出る。影響は出るが、それはそれなりにまたそういった時代に合った商店街のつくり方が出てくるのであって、例を申し上げさせていただければ、フランスは日本の商店街というものを見てすべての商店街の3階以上は老人ホームに変えた。結果として、老人ホームができているがゆえに商店街に毎日毎日降りてくるから商店街は活性化し、そこには全部エレベータを付け、老人ホームは全部中心市街地に移したといった形で対応していった等々、そういった知恵もいろいろ出てきたということがある。確かに一時期そういった時期があることもこの種のことが起きれば確実におきてくることは事実である。かつて石炭革命をやったときには私どもの選挙区からほぼ40万人の人口が移動して、疲弊したことは事実である。それからまた立ち直ってくるまでに時間を要したことは確かであるが、いろいろな政策もやったので、選挙区に商店街をお持ちの方々はある程度覚悟していただかなければならない。失業を含め、この種の問題は必ず出るということだけは間違いないと思っている。

【平沼経済産業大臣】確かに中心市街地というのは影響を受ける、そういう観点から経済産業省としてもやはりIT講習会を開いて習熟度を増して、そしてその中でそれぞれの商店街が団結をしながらこの商売が拡大をしていくような、そういうインセンティブを与えるようなことも我々は取り組んでいるわけである。また地方の中心市街地に対してはコーディネーターを設定して、こういう時代の変革に対応することも今、取り組んでいる。確かに、御指摘の点があると思うので、更にそういう点を考慮しながら、関係閣僚のお力をいただきながら、その辺は遺漏なきように頑張っていきたいと思っている。

【片山総務大臣】今、何人かの本部員の先生方から競争政策促進についての御意見をいただいた。これは御承知のように年末に電気通信審議会、今、形が変わったが、その答申をいただき、基本的にはその答申を尊重してきているが、パブリックコメントの意見もあるし、またこの本部で何回か御議論も賜り、更に与党、自民党の中にいろいろな意見があり、昨日も一日かけてこの案文に入れたということでまとめたわけである。具体的には電気通信事業法の一部改正の中でしっかり対応したいと思っているが、いろいろな要請、いろいろな御意見があるのでなかなか大変である。
 しかし、一生懸命やるので、その点はひとつお任せというわけにはいかないが、推移を十分ウォッチしていただければ大変ありがたいと思う。

(10) IT関連統計について麻生IT担当大臣から説明。


 IT関連の資料、統計についてはリンク集を作成させていただき、官邸のホームページ上に公開するので御活用いただきたい。

(11) 森内閣総理大臣から以下のとおり挨拶。

  • 先ほど麻生担当大臣から申し上げましたが、お忙しい中、早朝からお運びをいただき、また御熱心な御議論をいただきましてありがとうございました。
  • 私は、この1年の間、「日本新生の最も重要な柱はIT戦略である」との認識から、昨年7月にIT戦略本部、IT戦略会議を立ち上げ、IT革命推進のための体制作りを行うとともに、昨年秋の臨時国会において、IT基本法を制定いたしました。予算面においても、平成12年度補正予算はもとより、平成13年度予算においても、「日本新生特別枠」でIT革命の推進を重要4分野の1つとする等、IT分野の予算の拡充も図ってまいりました。さらに、今国会においては、既に10本のIT関連の法律案を提出するなど、皆様方の御支援をいただきながら、IT革命の推進に向けて、着実に施策を展開しているところでございます。
  • こうした中、本日のIT戦略本部において、「e−Japan重点計画」が皆様の御協力によって決定されました。この「e−Japan重点計画」は、「5年以内に世界最先端のIT国家を目指す」という「e−Japan戦略」に掲げた目標を実現していくための具体的な行動計画となるものであり、今後これに基づいて、政府として、迅速かつ重点的に施策を講じていく所存であります。
  • もとより、「e−Japan戦略」の実現には、官民が総力を挙げて取り組む必要があり、この機会に改めて民間分野における果敢な挑戦を期待するものであります。
     IT戦略本部には、引き続き、我が国のIT戦略推進の司令塔として「平成14年度IT重点施策に関する基本方針」を御審議いただくなど、こうした歩みをひとときも停滞させることなく、さらに一層加速させるべく、御尽力をお願いしたいと存じます。
  • 今後、こうした官民を挙げての努力により、IT革命が真に我が国経済発展の起爆剤となり、我が国にとって21世紀が「希望の世紀」となる原動力となるよう念願し、政府として、そのために全力を尽くすことをお約束申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(12) 次回会合については、5月中旬を目途に開催する予定であることを麻生IT担当大臣から説明。


(別紙)

第3回IT戦略本部メンバー一覧
 森    喜 朗内閣総理大臣
麻 生  太 郎情報通信技術(IT)担当大臣・経済財政政策担当大臣
福 田  康 夫内閣官房長官・男女共同参画担当大臣
片 山  虎之助総務大臣
平 沼  赳 夫経済産業大臣
高 村  正 彦法務大臣
(欠)河 野  洋 平外務大臣
(※櫻田義孝 外務大臣政務官 代理出席)
(欠)宮 澤  喜 一財務大臣
(※砂田圭祐 財務大臣政務官 代理出席)
 町 村  信 孝文部科学大臣
坂 口   力厚生労働大臣
谷 津  義 男農林水産大臣
(欠)扇 千 景国土交通大臣
(※今村雅弘 国土交通大臣政務官 代理出席)
 川 口  順 子環境大臣
伊 吹  文 明国家公安委員会委員長・防災担当大臣
斉 藤  斗志ニ防衛庁長官
橋 本  龍太郎行政改革・沖縄及び北方対策担当大臣
柳 澤  伯 夫金融担当大臣
笹 川   尭科学技術政策担当大臣

 秋 草  直 之富士通株式会社社長
出 井  伸 之ソニー株式会社会長兼CEO
奥 山  雄 材株式会社ディーディーアイ社長
梶 原   拓岐阜県知事
(欠)岸     暁株式会社東京三菱銀行会長
 鈴 木  幸 一株式会社インターネットイニシアティブ社長
竹 中  平 蔵慶應義塾大学総合政策学部教授
松 永  真 理エディター
宮 津  純一郎日本電信電話株式会社社長
村 井   純慶應義塾大学環境情報学部教授

上記の他、以下が出席。
 安 倍 晋 三内閣官房副長官(政務、衆)
(欠)上 野 公 成内閣官房副長官(政務、参)
 古 川 貞二郎内閣官房副長官(事務)
根 來  泰 周公正取引委員会委員長
宮 内  義 彦規制改革委員会委員長