第30回IT戦略本部 議事録
1.日 時:平成17年5月30日(月)17時30分〜18時30分
2.場 所:内閣総理大臣官邸大会議室
3.出席者:[別紙]
4.会議の模様
(1)開会
【棚橋IT担当大臣】
ただいまからIT戦略本部第30回会合を開催いたします。本日は御多忙のところ、御参集いただき、誠にありがとうございます。
お手元に配布してございますとおり、本日から新たに本部員に任命された有識者の皆様に御参加をいただいております。本来ならば、まず新本部員の皆様方からご挨拶をお願いするところではございますが、時間の関係上、後ほどの自由討議の中で自己紹介もかねて御発言いただくこととさせていただきたいと思います。
(2)IT戦略の今後の進め方について
【棚橋IT担当大臣】 本日の議題に移りたいと存じます。本日の案件は「IT戦略の今後の進め方について」及び「情報セキュリティ政策について」の2件でございます。
最初の議題は、「IT戦略の今後の進め方について」でございますが、IT戦略につきましては、2001年のIT戦略本部設置以降、e−Japan戦略及びe−Japan戦略IIなどを策定し、官民一体となって世界最先端のIT国家の実現に取り組んできたところでございます。
その結果、インフラ整備、利用・活用などの面から多くの成果を上げてきたと認識しております。
現在、本年2月に策定した「IT政策パッケージ-2005 」に基づき、本年を目標年とする世界最先端のIT国家に向けたラストスパートへの取組みを推進しているところでありますが、これまでの成果を踏まえて、今後IT戦略をどのように進めていくのか、この本部において御議論いただきたいと考えています。
それでは、まず今後のIT戦略の進め方につきまして、簡単に私の方から御説明をさせていただきたいと思います。
恐縮でございますが、お手元の資料2をご覧いただければと思います。「IT戦略の今後の進め方について」でございます。
1ページめくっていただければと思います。IT戦略本部におきまして、今年検討すべき大きな柱といたしまして、新たなIT戦略とe−Japan戦略等の評価の2つがございます。
まず新たなIT戦略について、どのような観点に立って検討を進めていくかでございますが、1ページ目、特に下段でございます。e−Japan戦略やe−Japan戦略II等に基づき、さまざまな施策を実施してまいりましたが、新たなIT戦略の検討に当たっては、まずこれまでの戦略やそれに基づく施策についての評価や課題を抽出し、次のビジョンに的確につなげていくことが重要でございます。この点に関して、民間の視点からのチェックが重要と考え、これまでの取組みの総括や課題、問題点の指摘を評価専門調査会にお願いしているところでございます。
同じ1ページの上段でございますが、それらを踏まえた上で、新たなIT戦略の検討にあたっては、利用者・国民の視点でのIT戦略として、どのようにものが求められているのかを常に意識して行うことが重要であると考えております。
そのため、その検討に当たっては、一例でございますが、「全ての国民が安心してITの恩恵を享受できる社会を実現するためには、どのようなことに取り組んでいくべきなのか、構造改革、国際競争力、少子高齢化、地球温暖化問題等に代表される我が国の有する課題を解決するためにITをどのように活用するのか、利用者・国民の視点で、どのように評価し、その結果を活用していくのか、といった点について、具体的な検討を進めていくことが必要ではないかと考えております。
次に2ページ目でございます。IT戦略本部の今後の進め方でございますが、基本的にはおおむね2か月に1回程度開催させていただきたいと考えております。後ほど自由討議がございますけれども、本日いただきました御意見も踏まえた上で、7月頃に新戦略についての論点整理を行い、9月頃に新戦略の基本的な方針についてとりまとめを行い、その後、1〜2回程度、本部の開催を経て、年内もしくは年明けに新戦略を決定していただきたいと考えております。発表の時期につきましては、改めて御相談させていただきます。
次に、2005年世界最先端のIT国家の実現という目標を掲げたe−Japan戦略に対する評価につきまして、9月に評価専門調査会から中間報告を受け、その後、年末頃に提出されます評価専門調査会からの最終的な御報告を踏まえた上で、IT戦略本部としての評価を決定していただきたいと考えています。
以上が2ページ、今後の進め方でございまして、この二本柱のほかにも今年2月に策定いたしましたIT政策パッケージ-2005等、ラストスパートへの取り組み状況や情報セキュリティ政策等についても検討をお願いしたいと考えております。
それでは、以上を踏まえた上で、自由討議に移りたいと思います。大変恐縮ですが、活発な議論が予想されますので、お一人3分程度でお願いできれば、ありがとうございます。 本日は、まず7名の新任の有識者の皆様から、自己紹介もかねて御発言をいただきたいと思いますが、新任の有識者の皆様方の御参加する最初の本部でございますので、私の方から御指名をさせていただきたいと思います。
まずはレディーファーストということで、清原本部員から、お願いいたします。
【清原市長】 皆様、こんにちは。三鷹市長の清原慶子でございます。御指名ありがとうございます。
私は市長に就任しまして3年目に入ったばかりでございますが、その以前はメディア学の研究者でございましたので、かつて専門委員として「IT戦略II」の目標である、「元気・安心・感動・便利」のコンセプトを提案させていただきました。
また、現在まで庄山座長の下、評価専門調査会委員を務めておりましたので、このたび、本部員を拝命し、大変光栄に思っております。
今後、市長として第一に、自治の視点、自治体経営の視点から意見を申し上げるとともに、第二に、国民・市民に最も近い基礎自治体の現場で感じ取っております、国民・市民の生活の実態に即して、ICTの社会への活用の在り方について、広く意見を申していきたいと思っております。
そこで、本日はこの観点から、今後日本がIT戦略として重視すべきと考える2つの点につきまして、問題提起をさせていただきたいと思います。
1つ目の点は、ICTを生かした課題発見・課題解決の具体化に際しての「国民・市民」、そして「教育研究機関」、「産業界」、そして、国や自治体といった「公」の分野の「協働(コラボレーション)」の推進の必要性と、それに果たす国の役割についてです。
第2点目には、特に「ICTの普及がもたらす病理とも言うべき課題」に対する解決の方向性を示すことが、日本による世界への貢献になるということについてです。
まず第1の点について申し上げます。具体的には、例えば、4月21日に公表されました、『日本21世紀ビジョン』とも関連させながら、望ましい日本社会の在り方に向けて、ICTの生かし方を検討することが有用かと思います。ビジョンとして掲げられている中で特に注目したいのは、「魅力と存在感のある国」、「豊かな公・小さな官」、「健康寿命80歳」、「人が躍動する社会」、そして「地域主権の実現」などです。
いずれにしましても、日本は多元的に世界に向けて、IT社会の望ましいビジョンを示して、それを実行していくことで意義ある日本の存在感を示すことができると思います。 そこで強調したいのが、社会の多元的セクターの「協働(コラボレーション)」の舞台づくりに果たすICTの活用とそのための国のコーディネーター役割の発揮についてです。
その意義を申します根拠として、具体的な三鷹市の事例を一つだけ申し上げます。1970年代から、私が学生時代から「市民参加のまちづくり」を進めてきた三鷹市は、ICTについては1990年代、「SOHO CITYみたか構想」の推進ですとか、あるいは三鷹の森ジブリ美術館の誘致ですとか、新しいコンテンツ産業、コンテンツ文化振興の取組みなどをしてまいりました。
そこで本年1月、WTA(世界テレポート連合)のインテリジェント・コミュニティーフォーラムがICTを活用して、優れたまちづくりを実践している地域として、三鷹市を世界のトップ7の一つに選びました。これは前回受賞した横須賀市さんに続いて、日本では2例目ということになりますが、特に「協働(コラボレーション)」を評価されたということに今後の取組みへのヒントがあるように思います。
三鷹市も「民学産公」と呼んでおりますが、市民、大学研究機関、産業界、そして市役所の協働の取組みをしている中で、「e!プロジェクト」とか、あるいは電子自治体推進の国の先進的な先導的な実証実験のモデル地域としても取り組んでまいりました。
今後、「ポスト2005年」は、そうした先導的、先進的なものの評価を踏まえながら、いかに、よりすそ野を広げていくかということだと思います。特に大企業だけではなくて中小企業の皆様が登場人物になるためのコーディネーター役は、やはり産業界、大学研究機関、地域と連動した「国」の出番が大いにあるのではないかなと思います。そうした舞台づくりが重要だと思います。
大きな2点目では、ICTがもたらす病理、社会問題への対応について、3点だけ具体的な例を申し上げます。今般「情報セキュリティ政策会議」が設置されるとのことで、これは大変時宜に合った適切な取組みだと思います。残念なことですが、いわゆるネット社会、携帯電話社会が私たちのコミュニケーションに与える負の影響が多く、市民の皆さん、あるいは都道府県民の皆さんを対象にしたアンケート調査でも、最近では治安の問題、安全・安心の問題が第1位に上がるようになりました。
したがいまして、個人情報保護法の施行も踏まえ、「情報セキュリティ」面での課題解決が一層重要でございますので、この点について対応を提案することは、全世界的に意義があることだと思います。
2点目には、「アクセシビリティー、情報バリアフリーの実現」です。ユビキタス社会を目指すのであれば、ますますアクセシビリティーが大切ですので、日本はこの観点からのアプリケーションのモデルを示すことができると思います。
3点目は、暮らしの現場の声をいかに企業の皆様のお知恵を借りながら、国あるいは自治体が反映できるかという面においてのモデルがつくっていけたらありがたいと思っております。
早口で申し上げましたけれども、以上、大きな2点について「IT戦略本部」が「ポスト2005年」に向けて、重点的に取り組むことが願いでございます。
どうも御清聴ありがとうございました。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
続きまして、鈴木本部員から、お願いいたします。
【鈴木会長】 私はイトーヨーカ堂グループの代表を務めております、鈴木でございます。よろしくお願いいたします。 流通業界では今どこでもPOSシステムを活用しているわけですけれども、このPOSシステムというのは御存じのように、80年代当初より日本での本格的な導入が始まったわけですけれども、このときに先駆的に取り組んだのは、私どもでございまして、当時、通産省の外郭団体である流通システム開発センターと一緒に各業界を回りながら、バーコードを入れていただくための説得に歩いたわけです。
一番遅れたのが出版業界でした。というのはバーコードを雑誌の一番後ろのページ。表4と言いますけれども、あの表4は広告スペースでして、そこにバーコードを入れると、広告が取れなくなるというようなことを言われた時代でして、今から考えると何ぞやというふうに思われると思いますけれども、そういう時代からITに取り組んでまいりました。
長い間、POSを始めとする様々なシステム化に取り組んでまいりましたが、日本人が陥り易い大きな間違いの一つは、システムにおいてはあらゆることがアメリカが一番進んでいるんだという捉え方です。勿論進んでいると思われる部分もたくさんありますけれども、やはりシステムの開発や設計においては、その国の文化や民度によって、利用の仕方や使い方というものは全部違っていくるんだ思います。言い換えればアメリカのシステムを日本へ持ってきても、そのまま通用するものではないということです。御専門にやっていらっしゃる皆さん方はよくおわかりだと思いますが、この辺のことを理解しながら議論を進めるべきではないかというのが第1点でございます。
第2点には、やはり利用者の立場に立つということ。当たり前のことですけれども、これが案外できておりません。例えば、我々の流通業で言いますと、アメリカの流通はメーカー側から小売側に商品を押し出す在庫補充型のプッシュシステムですね。一方、日本では小売側から販売予測を立てて発注を入れるプルシステムで行かないと、顧客ニーズに対応出来ません。そして、発注の際の仮説が無ければ、販売結果として出てくる数値データも意味はないわけでして、ただ数字の羅列に過ぎないのです。
これではマーケッティングには役立たないわけです。何を売ろうと思って、それがいわゆる仮説を立てたことに対して、結果として何が売れたかということが初めてデータとして役立つことでして、今のような、やはり商品の飽和状態にある日本においては、本当にいわゆる消費者の立場に立った仕組みを作り上げなければ、どんな立派なシステムも役割を果せないということ。この点を私は重視していきたいと考えているわけです。
もう一つ、どんどん世の中が進んでまいりますと、それに合わせてシステム構築においても第1次、2次、3次、4次というふうにどんどんバージョンをアップさせてくるわけです。例えば、私どもの会社の例で言いますと、今第6次のシステムを稼動させようとしているところです。ここで気を付けなくてはいけないことは、うっかりするとその担当者たちが自分たちだけの理想や嗜好によって利用者のことを考えずどんどんどんどん先に走っていってしまうということで、結果として、利用者側にとってはそれは非常に使いにくいものになる。
例えば、今、私はアメリカと日本両国でセブン‐イレブンを展開しているわけですけれども、日本の場合には1万店。アメリカの場合には約六千店の店があるわけです。そして、日本のシステムをアメリカへ持っていっても、これは通用しないんです。店のスタッフが使いこなせないんですね。
ですから、アメリカでは今、日本でいえば第4次のバージョンを持っていって、やっとそれが使えるかどうかというレベルなんです。ですから、システムというものは単純に機能やスピードが進んでいればいいんだということではなくて、利活用の視点で最適であるかどうかということを考えないといけないということ。そういう意味ではハードあるいはソフトが常に使用者の側のレベルにマッチしていなくてはいけないということが言えると思います。
それから、私が一番大切なことは、高齢化社会を迎えている訳ですから、むしろ年配の人たちがITを使うということになりますと、勿論、今は研究もされておりますけれども、実際には例えば音声で使えるというようなところまで行かないと、真の意味で生活に浸透するものにならないのではないかと。隣にいる中村さんのところなどでは、盛んにそれを研究していただいているというふうに思いますけれども、そこまでやはり進めていくということは重要だと 思います。
もう一つ加えますが、システムの統合ということになりますと、部分部分でバラバラにやるということではなくて、例えば、今、清原市長さんがおっしゃられた例で言うならば、各市町村個々の取り組みに加え、各都道府県や国家といった視点を組み入れることによって、無駄や重複の問題が顕在化し全体の最適化を通してコストが下がるということです。そういうところまで、やはり入っていかなくてはいけないというふうに思っております。ちょっと時間を取りました。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
続きまして、中村邦夫本部員、お願いいたします。
【中村邦夫社長】 松下電器の中村でございます。
このたび、第3次IT戦略本部員に任命をいただきまして、これから自分自身も研さんを積み重ねて、お役に立ちたいと思っております。今日は2点、御提案をさせていただきたいと思います。
1点目ですが、2001年より政府が推進してこられましたe−Japan戦略によりまして、我が国のITのインフラは、驚異的なスピードで拡充強化されました。今後はこの成果を国民にわかりやすく利活用面で示していただくことであります。
また、今回のIT戦略本部での活動を通じまして、私は生活密着のIT、そして、デジタル・ディバイドのない社会、そういったものをつくるための提言をしていきたいと思います。特にブロードバンド、3G携帯、地上デジタル放送、BS放送などのインフラを活用した国民生活の安全保障ということは、最重要のテーマであると考えております。 今、国民が切に求めておりますことは、災害や犯罪、事故から守られた日々の安心・安全、すなわち生活の安全保障ではないかと思います。ITが活用できる分野は多岐にわたりますけれども、こうしたことが満たされて、初めてITが広く行き渡ったと言えるのではないかと思います。
例えば、先般の中越地震では多くの方が被災後、車を住まいとして、本当に情報が取れないということで、不安で不自由な生活をされたようでありますし、また昨年、台風や豪雨によって新潟や福井等、各地で洪水が発生した際も情報伝達の即時性という面で課題を残したのではないかと思います。地震や台風の被害が及ばない、例えば、衛星などを介してタイムリーに情報のやりとりを行える、そういった情報通信の在り方も1つの方法ではないかと思っております。
2点目の提案は、国家戦略として、高度な、あるいは高級な情報通信人材の育成が今、不可欠であるということです。企業から見ましても、ITに精通した大学新卒の即戦力、人材は極めて稀少であり薄いものがあります。その結果、特にソフトウェアに関しましては、海外に大きく依存をしなければならないということになっております。
このままでは基幹のシステムまで海外に頼らざるを得ないという危機感を持っておりまして、国家安全保障や情報セキュリティの観点からも大きな問題となってくると危惧いたしております。したがいまして、これまで以上に産官学が連携して、ITと企業をつなぐ大きな構想力を持った高度な情報通信人材を育てていく必要があります。そういう点でこれからも提言をさせていただきたいと思います。
以上、2点提案をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
続きまして、上野本部員、お願いいたします。
【上野社長】 中小企業の経営者でございます。私の会社はレーザー光線を使った最先端の加工技術を事業にしている会社でございます。これは小泉総理のホームページから、デジタルの映像をそのままレーザーでこのように印刷ができるのです。すばらしい、このような技術を私どもは国際宇宙ステーションのところにも、加工技術は搭載されております。このサンプルは参考までに。
私は民間のIT戦略本部の本部員として任命されまして、本当に大変光栄に存じております。こういう機会に中小企業の立場から、ITは今、大変大きな課題を抱えておりますので、ものづくりの現場から建設的な提言をたくさんしてまいりたいなと思っております。
私はまず中小企業のものづくりの現場でどんなことが起きているかという、大きな変化が起きているということをまず第1点に申し上げたいと思っているのです。これは大企業中心の縦型のものづくりから中小企業はメインプレーヤーとなるような、そういう大きな水平構造への変化ということが起きていると思っています。このような受注構造の転換に伴って、事業の形態は大きく変化しているというふうに認識しています。それは一括受注を依頼するということができてきまして、そうしますと私ども中小企業とすれば、他の中小企業と連携しないといけないというようなことが起きてきております。
そこで発注側からの一括受注に対応する、それには中小企業同士の新しい連携が大変重要になってきているのです。
弊社は今50社と連携をつくっておりまして、今度新しく4月に公布されました新連携へ提案をするということで、今準備をしている最中でございます。このような中小業の連携には、情報伝達、技術データの交換、受注とか発注においてITの活用がものすごく重要なテーマになるわけです。
しかし、現状のシステムはさきに申し上げましたように、縦型の受注構造になっているものですから、このことが実は大きな問題になっているわけです。発注元との受発注のシステムはそれぞれの業界が、会社がそれぞればらばらにつくっておられるのです。一方では、技術力を持つ中小企業は数多くの大企業や中堅企業とお取引をするということがどんどん増えてきております。
弊社では取引会社は2,500 社あります。取引会社とお取引するときに、それぞれ端末を用意してほしいとかソフトを買ってほしいとかいうようなことになってきますと、中小企業には大変大きな問題が起きてきます。ものづくりを担う中小企業はノウハウの蓄積、技能や技術の伝承を続けてまいりましたし、ものづくり力では世界一になったと私どもは自負しております。
しかし、中小企業のITの遅れは日本全体から言うと、競争力のアキレス腱になってしまう可能性が非常に強いと私は思っているのです。発注側は各業界、そして、各社が独自にシステム化しているという状況から、中小企業のIT化は大変難しいところがあるのですけれども、是非メーカーやベンダーの方々はレベルアップをして中小企業対策を是非お願いしたいと思っています。
その場合、プラットフォームをつくりながら、発注側も受注側もそれに乗っかるということをする必要があり、そのことが大事だと思っていまして、中小企業が参加できるようなシステムづくりが是非必要だと考えています。
IT投資には高額の負担が必要となりますので、中小企業が参加できるような、いわゆる安価なシステムが必要だと思いますし、そのようなパッケージはどうしても必要だと思います。これはインフラの整備として国が行う戦略として、非常に重要なテーマとして推進をしていただきたいと考えています。
2001年からe−Japanとしてスタートしまして、基盤整備から多くの成果が私は出ていると感じています。私はこれからIT戦略について、個人の立場、それから企業経営者としてのサイドから、あるいは行政への関わり、それから社会の問題などに強い関心を持っていますので、IT戦略2005の目標に向かって、企業ユーザーの立場から建設的な提言をたくさんしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
続きまして、伊丹本部員、お願いいたします。
【伊丹教授】 一橋大学の伊丹でございます。経済産業省関係の企業の方が3人続いた後で、私が話すことになりまして、どういう発言順の意図かよくわかりませんが、私はたまたま総務省が今回とりまとめました、u−Japan政策のICT産業ワーキンググループの座長をさせていただきました。私自身は、経済産業省と非常に付き合いの長い人間でございますので、そういう人を総務省が座長を依頼したということは、総務省と経産省のこの問題に関する共同歩調の1つのあかしかと、それでちょうど私はサンドイッチのような発言順を納得した次第でございますが、そういうことも踏まえまして、2つの視点からこの本部では新しい戦略の方向について、私は提言をさせていただこうと思っています。
1つは、ITあるいはICTの利用・活用ということを、本格的に社会の中に浸透させることが大切だと。これはもうだれでも認めることです。インフラ整備はできたと。その際に、実は邪魔になっているのが既存の人間系のさまざまな仕組みではないかと。社会の慣習であったり、組織の間のしがらみであったり、人間関係のしがらみであったり、あるいは規制の慣行規制等もあるのかもしれません。そういう既成の秩序を破壊して、新しく人間系の仕組みそのものを再構成するツールとしてのICT戦略の在り方、そんな観点を是非つくりたいというふうに思っております。
例えば、例で申しますと、短く話すためにわかりやすい例で申しますと、日本というのは人間系の情報システムが実によくできた国でございまして、典型例が焼鳥屋のノミュニケーションでございます。焼鳥屋のノミュニケーションだけでやっていたら、アメリカの人とは飲みノミュニケーションできないとか、いろんなことが起きるわけですが、そこにICTを使いまして、ノミュニケーションの場の内容を一気に高度化することができないかとか。今までは焼鳥屋に来なかったような面子と親しい話ができるようにならないかとか、さまざまなことを考えると政府ができそうな政策がたくさんあるような感じがいたしております。ITの持っておりますパワーに対する信頼がまだある現状で、是非ともそういう戦略を打ち出すべきだと思います。
もう一つの私の視点は、今日のお話でもICTの利用、ITの利用ということが主なテーマになって、国民の視点、利用者の視点ということを強調されるわけですが、私は是非産業の視点を強調していただきたいと思います。是非2本柱でやるべきだと思います。利用者の視点が第一であることは言うまでもございませんが、これだけの世界最高のインフラ基盤がそろった国で、その基盤を使った大市場が1億3,000 万人の国民がいる、その国で大きな需要が生まれ得るポテンシャルが、そのときにそれを使ってICTのソフトやハードを供給する産業が、一気に国際競争力をジャンプさせる、そのジャンプ台になれないかという発想でICT戦略を考えるべきだと、あくまで2本柱ですが2本柱の1つとしてはきっちり受け止めるべきだろうと思っております。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
続きまして、中村維夫本部員、お願いいたします。
【中村維夫社長】 NTTドコモの中村でございます。よろしくお願いいたします。今年は、当初の2005年は世界最先端のIT国家にという目標の年でございますし、また今後情報通信技術において世界をリードしていくための布石を打つ重要な年だろうというふうに考えてございます。
皆様御存じのとおり携帯電話は、電話としての通信インフラに加えまして、iモードなどのインターネットとの接続を実現したということから、ITインフラとして国民生活にかなり幅広く利用されています。この分野では世界で一番進んでいると思っております。
そして、国民にそのITの恩恵を享受していただくための最も身近なツールではないかと考えてございます。
私ども、現在、携帯電話を更にITインフラから国民生活を豊かにするための生活ビジネスに役立つ携帯を提供する、生活インフラへ発展させたいというふうに思い、取り組んでいるところでございます。
生活インフラによるサービスの方向性としまして、やはり2つございまして、先進と安心ということを2つの柱にしていきたいと思っております。便利で楽しく、そして安全かつ信頼できるサービスを提供し、ユビキタス社会を実現することが私どもの今の使命だというふうに考えております。
昨年より弊社が発売いたしました。非接触ICチップを使いました、お財布携帯というものがございますが、まさにそれが1つの例ではないか、これから先いろいろ出てくるかもしれませんが、最初の例ではないだろうかと思っております。これが、携帯がこれからお財布代わりになる、それから定期券の代わりになる、これは2006年1月を目途にJR東日本さんと共同で改札を携帯電話で通ろうということをやろうとしております。
また、マンションなどのかぎの代わりということで、更に利用者の生活を便利にしていきたいと考えております。このときの大切なことでございますけれども、利用者の視点に立って利便性が実感できるということだと思っています。これは逆に通信事業者だけではとてもできない。金融や流通や交通や不動産など、さまざまな業種の皆様と自治体や政府との連携により実現できるものだと考えております。
それから、更に重要なこと、IT政策パッケージ2005にもございますよう、ITがもたらす問題の克服、先ほど清原市長さんがおっしゃっていらっしゃいましたけれども、私どもの携帯普及に伴うマイナスの部分、ある意味で言いますと携帯の成長が余りに急激だったために、なかなかカルチャーが付いて来れない部分といったものがあり、これをどう克服していくか、どう対処していくかということも重要な問題だと認識しております。
来たるべきユビキタス社会におきまして、国民生活に身近な携帯を更に、ITの利用を一層促進するためのツールとして実感してもらうために、生活の中での利用機会、ないしは生活動線の中での利用できる機会を増やすなどの施策を検討するとともに、また災害時の果たすべき役割といった問題についても、皆様と議論を深めていきたいと思っております。今度ともよろしくお願いいたしたいと思います。
1つだけ、今日はお財布携帯がドアのかぎの代わりになるということで模型を準備いたしました。金庫のように見えますが、これはドアでございます。かぎ穴はございません。今、ロックされております。この状態でこちらからボタンを押しまして、登録している携帯を押すとロックが開かれるということでございます。閉めるときも同じでございます。これは、かぎ穴がないので、今はやっておりますピッキングの被害が全く防げると。逆に言いますと、かぎをかけたかどうか不安なときは、携帯には当然ながらディスプレイが付いておりますので、その状態確認が画面でできる。それから、いつ開いたり、閉まったりしたかという履歴も全部出るということでございます。お子さんが帰ったときなどには、今度は解錠を知らせるメールを親の方に届けるというようなことができます。現在始まったばかりでございますが、福岡地区の5つのマンション、140 世帯がお使いいただいて、東京の方にも出てくるかと思います。ITで利用者に安心を実感していただく、1つの例ということでございます。
デモンストレーションは以上でございます。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
続きまして、大山本部員、お願いいたします。
【大山教授】 まずは、本部員を務めさせていただくことに関して、御礼を申し上げたいと思います。
既に、ほかの先生方がお話しになられていることに対しては、私も全く同じ思いです。今後、議論を深める中で結論が出ると思いますが、今日は3つほどお話を申し上げたいと思います。
最初に、電子政府の進展に関することです。現状は構築から実運用へという状況に入ってきたと言えますが、思い返してみますと、この目標は1994年頃からの課題だったものが、よくぞここまで来たという感想を持ちます。
ただ、御案内のとおり、ITは既に経営の武器になっているということを考えると、やはりいかに効率よく経費を下げて、なおかつ行政コストを下げていくかが重要な観点であると思います。
この意味では、中央政府に関しては、御案内のとおりCIOの設置、CIO補佐官の採用、EAの導入ということが行われているわけで、私もCIO補佐官等連絡会の主査を務めています。これまで1年半ほど経ちまして、全府省の情報システムを横断的に見られる専門家が育ってきたことを非常にうれしく思っています。
ただ、この中でわかってきたことがあります。すなわち現在は、各府省におけるそれぞれのシステムの個別の最適化を行っています。個別の最適化は、例えば、レガシーのシステムをオープン系に変えるということで行われていますが、横の連携についてはまだ余り配慮されていないということです。
言うまでもなくネットワーク化するということは、個別のシステムが連携して大きな情報システムになることを意味するので、必然的に全体最適化が次の課題になってきます。
期せずして、細田官房長官の下で社会保険庁のシステムの刷新に関する仕事を現在進めていますが、社会保険庁の例を見てみると、社会保険情報システムのみならず厚生労働省の中には旧労働省、旧厚生省が担当する、さまざまな情報システムがあります。
これらの情報システムの状態を1年ほどかけてわかったことは、厚生労働省全体としてのITガバナンスが不足しているということです。ITガバナンスと言うと、何となく言葉でごまかされることもあるので、簡単に言い換えると、まずは各省の中でどこの部署が何をしているのか、情報システムを使って何をやっているのかを明らかにすることです。それから、どんなシステムを使っているのかも調べることです。これらを基にして、業務の連携の可能性はないのかというような、非常に単純なところからスタートするのがITガバナンスの確立に向けた取り組みです。現状では、各府省にある全ての情報システムを理解している人は余りいないというのが現実であると思います。
この問題を解決するには、各府省の中にプロジェクト・マネージメント・オフィス、PMOと呼んでいますが、それを設置し長期にわたり、少なくとも6年、あるいは8年という期間にわたって、ITガバナンスを向上させるための人材を育成することが有効です。そのためにPMOを設置し、CIOの下で各府省の部分最適をまず行うべきではないかと考えます。
そして、この部分最適を各府省レベルで行った後に、今度は国レベルで全体最適を実行することが必要であると思います。政府全体の最適化を考えると、多分IT担当大臣が一番ふさわしいお役になるのではないかと思いますが、これらの一連の作業をしっかり考えていくことが重要と思います。
更に申し上げれば、戦略的な調達という考えがあって、セキュリティ技術はその良い例になります。政府が自ら必要とするものは、枯れた技術を使うということだけでなく、挑戦的な、例えば、5年後に必要となるような機能を先に要求し、技術開発の支援を通して調達するということを考えるべき時期に来たのではないかと思います。これが1点目です。
2点目は、やはり医療の情報化に関することです。医療の情報化の進展については、電子政府の構築が3つのステップでつくられてきていることに対比すると現状が明確になります。すなわち第1ステップは、かつての役所のOA化です。第2ステップは、役所間のネットワーク化です。第3ステップが、一般国民とのインターネット等を介した情報のやりとりです。こういうステップで電子政府が構築されてきましたが、現在の医療の情報化にこの手順を当てはめると、電子カルテやレセプトのコンピュータの導入などが行われている現状は、先ほどの第1ステップであることが分かります。したがって今後は、現在行われている社会保障全体の検討結果を実現するためにも、第2ステップへ入っていくべきであると考えます。レセプトのオンライン化はこの第2ステップの一つの応用例です。
第3ステップになりますと、個人個人の病歴等を管理し、より適切な高度な医療をリーズナブルな費用で提供できるような仕掛けができてくると期待されます。どちらにしろ、この3つのステップを踏むと思うわけです。
今日は、この2つについて申し上げましたが、最後に私が1994年から国全体の情報化に関与させていただいたことからずっと思ってきたことを1つ提案させていただきます。議論は次回以降にでもさせていただければありがたいと思います。現在、評価専門調査会の方で、情報化の進展等の調査いただいていると思いますが、一方では各省の縦割の状況がまだ残っていることを考えますと、この戦略本部の我我本部員としては、それぞれが次の戦略ができたときに、担当を決めて状況をウォッチすることが必要ではないかということです。
その主たる役目は、勿論、推進役を務めるということですが、評価専門調査会の方と両輪のような形で進むのが大切では無いかと思います。情報化を実際に推進すれば、さまざまな問題を明らかにすることができます。IT担当室の方と連携しながら、このような問題を明らかにし、解決を図ることがきわめて重要です。更に、一方ではセキュリティのような分かり難い問題があります。先日も金融関係でキャッシュカードのスキミングなどの問題が出ました。この件については、我々ITを専門としている者から見ると、随分前から予測できていた話です。警告はできても問題を未然に解決することはできませんでした。今後さらに進展するICTを使った社会の情報化では、同じような問題がかならず出てくると思います。そのため、やはり本部員である我々がそれぞれ知っていることについて指摘するのも、重要な役目ではないかと思います。
以上、今日は3つ申し上げさせていただきました。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
次に、村井本部員、お願いいたします。
【村井教授】 教室に入ってくると、自分以外はみんな新しい人だというのは、大学を落第したとき以来の気分ですけれども、以前から務めさせていただいているという立場から、手短にIT戦略本部がこれからどうするべきかというやり方論も含めてお話をさせていただきたいと思います。
1つ目は、先程も日本21世紀ビジョンの話がありましたけれども、私も少し関わらせていただいたのですが、やはり2030年にむけて日本にはたくさんの課題があります。まず、少子・高齢化という課題が出てまいります。問題は、それらの課題を解くときに、このIT基盤はとても大事だという結び付きが希薄過ぎることです。つまり、生涯教育であるとか、社会参画であるとか、高齢者の介護の問題であるとか、そういう課題があったらそれを解くために貢献をしていくのが、遠隔教育などのIT基盤だと思いますので、課題をITで解決するという結び付きをどう考えるかが重要です、これが、応用の面から考えるという大臣のお考えに結び付いてくることかなということで、方法論としてはそういうことが大事かと思います。
それから、日本には世界最先端の基盤があることです。これはもう間違いないと思いますが、やはりとても大事なこの意味は、日本は世界一のマーケットだということだということです。利用者がいて、産業も使って、新しいものを生み出すという力を持っているという意味で、世界最先端だということだと思います。そうだとすると今のこの期間で重要なのはアンワイヤードでしょう。ワイヤードというのはひもで結びネットワーク化することを言うのですけれども、最近はアンワイヤードという無線を使った技術が日本は進んでいるわけです。携帯電話もアンワイヤードですし、デジタル放送もアンワイヤードです。こういうものが現在持っている光ファイバーだとか、ADSLの基盤に対して、どうつながるかというところがとても強いところになると思います。
だから、放送と通信というのは、この期間のIT戦略本部でしっかりとらえなければならないことだと思うのですが、これまであまり良い意味でとらえられたことはないので、これからのIT戦略本部は是非、放送と通信のハーモニーというような非常にポジティブな意味での、デジタル化をチャンスにした最先端の環境作りというとらえ方をしていただければと思います。また、日本は光技術とコンピュータのような分野はすごく強いと思います。ですから、そういう技術的に強いところをどう伸ばしていくかということを含めて、この基盤を発展させることを考えるべきだと思います。
それから、国際戦略についてもIT戦略でこれからもきちんと考えていきたいと思います。国際戦略を具体的にしていくということはとても大事だと思います。今、世界中の先端企業の多くが日本のマーケットに注目している。韓国も見ています。そうだとすると、韓国と日本の関係もとても大事で、今後さらに変わってくるべきでしょう。国連もICT(情報通信技術)を軸に新しい動きをしようとしています。こういう動きに対してどうするかというのも、IT戦略本部の中で考えていかなければいけないことではないでしょうか。
あと、私はよく日本が世界の最先端になったということはもうお手本になるものが前にいないのだから、パイオニア・開拓者としての役割を果たしていくことが重要だと申してきました。開拓者というのはイバラの道を切り開いていくのだから、ときどき傷が付くんです。そういう意味では、このイバラ感がちょっと多過ぎる。インターネットで何か悪いことが起こったとか、そういうイバラ感が多過ぎて過剰になってしまうところには、やはりIT戦略本部として関わる必要があるのかと思います。
例えば、今の知的財産戦略本部ではインターネットオークションが海賊版などのマーケットになっているという心配から、これに対する法律をつくるという提案があるかと思うのですけれども、これもやはりIT戦略本部としての議論の関わりを考えていかなければならないと思います。インターネットオークションの日本での発展はアメリカとやはり違いまして、地方が強くなるとか、個人が参画できるとか、そういった部分での問題解決の1つの方法になっているわけですし、そういう意味ではIT戦略本部としての関わりを強く考えていく必要があると思います。
それから、最後になりますけれども、今日のお話を伺っていると、やはり本部員の新しい方たちから、大変頼もしいいろいろな御意見をいただいているようですから、この本部員の意見を集めるチャンスを増やすための努力をしていくことがとても大事かと思います。
以上でございます。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
最後に、評価専門調査会座長の庄山座長からお願いいたします。
【庄山社長】 日立製作所の庄山でございます。一言、評価専門調査会の座長として、今まで進めてまいりました話につきまして、お手元に資料をお配りしてございますが、これで御説明したいと思います。
既に、2003年12月からほぼ月1回ずつ会合を開いてございまして、e−Japan戦略、あるいはこのe−Japan戦略IIへの政府の取組みへの状況について、評価を実施してまいりました。今まで、3回にわたりまして中間報告という形で報告書を出してございまして、結果につきましては重点計画でございますとか、政策パッケージに適宜反映いただいたというふうに思っております。
今日は2点ほどこの中で感じたことを申し上げますと、1点目は、いわゆるPDCA、プラン・ドゥー・チェック・アクトということの確立が重要だということでございます。戦略策定と施策の実施が連動して、的確な評価と提言を踏まえた次の一手が打たれていくという、このPDCAサイクルを定着させまして、かつ絶え間なく回し続けていくことが大事だということでございます。
2点目は、今までもいろいろ出ておりましたけれども、やはり利用者視点での成果主義に立脚した評価が大切だということでございます。ややもしますと供給者、あるいは施策の実施者の視点になりがちでありますが、あくまでもこの評価専門調査会というのは、利用者である国民、あるいは住民、企業の視点に立った評価を民間の立場から行うということに意味があるということで、継続して続けてやってまいりたいということでございます。
民間企業の立場では、お客様の視点が重要であることは言うまでもないのでありますが、我々としてはこうした利用者の視点というところにはこだわっていきたいというふうに考えております。
既に、第4次の報告書もまとめたところでございまして、次回機会がありましたら、その御報告をさせていただきたいと思っております。やはりこの評価、提言を行う立場から、次期IT戦略への的確な情報を御提供することとしておりまして、年末に向けまして、世界最先端のIT国家の判断に資する報告をまとめてまいりたいと思っております。
いずれにしましても、この評価専門調査会といたしましては、ITのお陰でこんなに便利になったということを、国民一人ひとりが肌で感じてもらえるようなことができるように役立ちたいものだと思っておりまして、皆様方の御協力をよろしくお願いいたしたいと思います。
以上でございます。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
それでは、以上を受けて御自由に御発言いただければと思います。御発言はございませんでしょうか。
村田大臣、どうぞ。
【国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災)】 防災担当大臣として、まず申し上げたいと思いますが、先ほど中村本部員からもお話がありましたけれども、新たなIT戦略では、自然災害から国民の生命・財産を効果的に守っていくという視点が非常に重要でありまして、今日配られた第2次提言「我が国の重要インフラにおける情報セキュリティ対策の強化に向けて」という中にも、想定する脅威を自然災害まで拡大するとされたわけでございまして、防災担当大臣としても歓迎をいたしたいと思います。
中央防災会議では、現在首都直下地震対策として、首都中枢機能の継続性確保の観点から、電気、通信の維持、早期復旧などについて検討しているところでございまして、第2次提言の内容も参考にしつつ、更に検討を進めてまいりたいと考えております。
それから、国家公安委員会委員長としても申し上げたいと思いますが、新しいIT戦略を進めるに当たりまして、国民が安全・安心なIT社会を実感できるようにすることが必要であると思います。そのためには、サイバー犯罪やサイバーテロといったIT国家の礎を揺るがしかねない脅威に対しまして、十分な対策を取ることが必要であると思います。警察は、これまでも内閣官房や関係省庁等と連携いたしまして、安全・安心なIT国家の実現に向けた取組みを推進しておりまして、今後も治安の維持、危機管理の視点から政府の総合的な取組みを支えていきたいと考えております。
セキュリティからちょっと外れるわけでございますが、すべての国民が安心してITの恩恵を享受する社会という観点から、特に未来を担う青少年を守るために、インターネットや携帯電話の利用に関する有害な情報への対策が必要ではないかと考えております。その際に、事業者にも積極的な御協力をいただくような対策も、今回のIT戦略の進め方の中で検討していただいたら大変ありがたいと思っております。この安心・安全という課題をコンテンツも含めまして、次期のIT戦略ではきちんと取り上げることが望ましいのではないかと私は考える次第でございます。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
総務大臣、お願いします。
【総務大臣】 e−Japanの定着によって、いわゆるインフラの整備は確かに進んだと思っているんですが、ただICTの利用面に関しては不十分ということで、いわゆる戦略のパートIIを今、実行中なんですが、利用面を更に上げていくと、本人負担を上げずに、高度な遠隔医療サービスが受けられる等々が1つの例なんだと思いますが、加えてこれは安心なものなんですよとか、安全なものなんですよという意識が、御年配の方々に肌で感じてもらうのは、結構手間暇かかる話なので、そういったものを含めてデジタルディバイドということになるのかもしれませんけれども、そういったものをやっていかなければいけなくて、今後の論議で是非をこれをやっていかなければいかぬと思っております。
いずれにしても、このネットワークの整備というのは結構時間がかかる話でもありますので、総務省としては約一年かけて昨年の12月に 2010年に向けたネットワークの政策として、u−Japan、ユビキタスという言葉を何人かの方が使われましたけれども、とりまとめたところなんですけれども、新戦略がこのIT戦略本部でつくられていくんですが、是非参考にしていただきたいと思っておりますので、次回のIT戦略本部の場で報告させていただければと思っております。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。他に御発言はございませんでしょうか。
ございませんようでしたら、議論をここで一度閉じさせていただきたいと思います。大変活発な御発言をいただきまして、ありがとうございました。ただいまの御意見を踏まえた上で、更に御意見の中にもございましたが、今後有識者会合なども適宜開催した上で、皆様方からいただいた御意見・御議論を踏まえた上で、更に議論を深めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
(3)情報セキュリティ政策について
【棚橋IT担当大臣】 それでは、次の議題でございます。情報セキュリティ政策について移らせていただきたいと思います。情報セキュリティにつきましては、昨年12月のIT戦略本部において、政府の情報セキュリティ体制等の見直し・拡充に関する決定を行いました。本日は、この決定に基づく情報セキュリティ政策会議及び内閣官房情報セキュリティセンターの設置について、細田官房長官から御説明をお願いいたします。
【内閣官房長官・内閣府特命担当大臣(男女共同参画)】 まず、4月25日に、内閣官房情報セキュリティセンターを設置したことを御報告申し上げます。これは、最初は18名ですが、7月中には35名、来年度には60名体制を実現して、我が国のナショナル・センターとしての本格的な活動を開始したいと考えております。各閣僚、そして有識者本部員におかれましては、優秀な人材の派遣体制の整備について、引き続き御協力いただきたいと存じます。
続きまして、情報セキュリティ政策会議の設置についてのお願いであります。情報セキュリティに関する基本戦略の策定など、情報セキュリティの問題に関する根幹となる事項を決定する母体といたしまして、この戦略本部の下に情報セキュリティ政策会議を設置することを本部長決定させていただくことを了承いただきたいと考えております。資料3、4でメンバー等が書いてありますが、時間の関係で省略をいたします。
そして、従来は情報セキュリティ専門調査会でやっておりましたが、これは廃止をして新しい組織に移行するということでございます。重ねて申しますと、この根幹事項を政策会議にて決定をいたしまして、内閣官房情報セキュリティセンターが実働部隊として政府の統一的、横断的な政策の推進を行うと、車の両輪がそろうということになりますので、よろしくお願い申し上げます。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
続きまして、情報セキュリティ基本問題委員会において検討していただいてまいりました、我が国の社会経済活動と国民生活を支える重要インフラにおける情報セキュリティ対策の強化について、第2次提言がとりまとめられましたので、金杉委員長から御報告をいただきます。
【金杉社長】 情報セキュリティ基本問題委員会で委員長を務めさせていただきました、NEC社長の金杉でございます。資料6に基づいて御説明申し上げます。
まず、1ページ目でございますが、先ほど官房長官から御説明がございましたように、昨年11月に第1次提言として、情報セキュリティ政策全般の実行体制として情報セキュリティ政策会議と国家情報セキュリティセンターの設置を提言させていただきました。今般は、引き続きまして、我が国の社会経済活動並びに国民生活を支える重要インフラにおける情報セキュリティ対策の在り方を提言させていただく。ちょうどこの図の真ん中に位置づけられる提言をさせていただいておるわけでございます。
2ページ目に移りまして、御案内のように航空管制や大手銀行システムの障害を中心に、いろいろな重要インフラにおける情報障害の事例を委員会においてもいろいろ調査させていただきました。かつては単なるコンピュータのトラブルで済んでいたITの機能不全が、今日では一瞬にして大規模な社会活動の停滞を引き起こしてしまうおそれが増大しておるのは、御存じのとおりでございます。
特に重要インフラのサービス提供を行う中枢システムにおいても、ICTが多用されておりまして、今、申し上げたおそれは日増しに増大しておるわけでございます。
また、停電や自然災害の影響が情報通信に行く、更にその影響が金融など、他の重要インフラに障害を引き起こすという、情報インフラ間の連関、言うならばドミノ現象的な障害に発展する事例も懸念されておるわけでございます。
3ページに移りまして、こうした変化の中で、真に国民や社会が信頼して依存できる重要インフラを維持していくためには、既に政府が取り組んでおられますサイバー攻撃対策だけでは不十分であり、先ほどもございましたように、人為的ミス等の非意図的要因や、更には自然災害まで広く網羅したIT障害という視点から情報セキュリティ対策の充実が必須課題だというふうに認識しております。
3ページにも具体的に第2次提言の内容をまとめておりますが、まず第1に電力、航空、鉄道、情報通信といった、従来の重要インフラ7分野に加えまして、新たに医療、水道、物量を加えた10の分野に対象の重要インフラ領域を拡大しまして、想定する脅威もサイバー攻撃に加えて、システムトラブルや自然災害にどう備えるかというふうに拡大しております。
第2に具体的な対策として、3つの柱を提示させていただいております。すなわち重要インフラの横断的機能の強化、情報共有、連携体制の強化、そして総合的演習を実施することによりまして、重要インフラのドミノ倒し的障害を防ぐとともに、万が一障害が起きたときの迅速なる復旧の確保ということに備えていきたいということでございます。
政府におかれましては、今後本提言の内容を十分に踏まえていただき、早期に重要インフラの情報セキュリティ対策強化に着手していただくことを切望し、総理始め戦略本部員各位の御助言と御協力をお願いする次第でございます。
以上でございます。
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。
それでは、先ほど細田官房長官から御説明がございましたとおり、情報セキュリティ政策会議の設置に関する本部長決定を了承するとともに、情報セキュリティ専門調査会の廃止につきまして、本部決定とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。それでは、異議なしと認めます。
今後も国民が安心してITを利用できる環境を整備するために、情報セキュリティ政策をより強力に推進してまいりたいと思いますので、さらなる御協力をお願い申し上げます。
それでは、予定の時間も過ぎておりますので、そろそろ本日の会合を閉会いたしたいと思いますが、ここで小泉総理より締めくくりの御発言がございます。その前にプレスが入室いたしますので、しばらくお待ちをいただければありがたいと思います。
(報道関係者入室)
(4)内閣総理大臣挨拶
【内閣総理大臣】 中村社長、一昨日はありがとうございました。最先端の技術を実際に見学させていただきました。今日は初めてのメンバーとの会合ですけれども、お陰様で皆さんの御協力で目標どおり世界最先端のIT国家になったと、それも可能になったと、今後はあり続けなければならないと、難しい壁もたくさんあると思いますけれども、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
また、金杉委員長には、御提言をまとめていただきまして、ありがとうございます。この提言を踏まえて政府一体で取り組んでいきたいと思います。これはもう驚くほど進歩しておりますし、最先端であり続けるというのは大変難しいと思いますけれども、今後の我我の生活にも、また経済の発展にも極めて重要な会議でありますので、よろしく御協力お願いしたいと思います。
ありがとうございました。
(5)閉会
【棚橋IT担当大臣】 ありがとうございました。それでは、以上で本日のIT戦略本部を閉会したいと思います。
本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
| (別紙) |
《 出席者名簿 》 |
| | 小 泉 純一郎 | 内閣総理大臣 |
| | 棚 橋 泰 文 | 情報通信技術(IT)担当大臣 内閣府特命担当大臣(科学技術政策・食品安全) |
| | 細 田 博 之 | 内閣官房長官・内閣府特命担当大臣(男女共同参画) |
| | 麻 生 太 郎 | 総務大臣 |
| | 中 川 昭 一 | 経済産業大臣 |
| | 南 野 知惠子 | 法務大臣・内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策) |
| (欠) | 町 村 信 孝 | 外務大臣 (※福島 啓史郎 外務大臣政務官 代理出席) |
| (欠) | 谷 垣 禎 一 | 財務大臣 (※段本 幸男 財務大臣政務官 代理出席) |
| (欠) | 中 山 成 彬 | 文部科学大臣 (※小島 敏男 文部科学副大臣 代理出席) |
| | 尾 辻 秀 久 | 厚生労働大臣 |
| (欠) | 島 村 宜 伸 | 農林水産大臣 (※常田 享詳 農林水産副大臣 代理出席) |
| (欠) | 北 側 一 雄 | 国土交通大臣 (※岩崎 忠夫 国土交通大臣政務官 代理出席) |
| (欠) | 小 池 百合子 | 環境大臣・内閣府特命担当大臣 (沖縄及び北方対策) (※七条 明 内閣府副大臣 代理出席) (※能勢 和子 環境大臣政務官 代理出席) |
| | 村 田 吉 隆 | 国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災・有事法制) |
| (欠) | 大 野 功 統 | 防衛庁長官 (※北村 誠吾 防衛庁長官政務官 代理出席) |
| 伊 藤 達 也 | 内閣府特命担当大臣(金融) |
| (欠) | 竹 中 平 蔵 | 内閣府特命担当大臣(経済財政政策) (※木村 勉 内閣府大臣政務官 代理出席) |
| (欠) | 村 上 誠一郎 | 内閣府特命担当大臣(規制改革・産業再生機構) |
| | 伊 丹 敬 之 | 国立大学法人一橋大学大学院商学研究科教授 |
| | 上 野 保 | 東成エレクトロビーム株式会社 代表取締役社長 |
| | 大 山 永 昭 | 国立大学法人東京工業大学大学院理工学研究科教授 |
| | 清 原 慶 子 | 三鷹市長 |
| | 鈴 木 敏 文 | 株式会社イトーヨーカ堂 代表取締役会長 |
| | 中 村 邦 夫 | 松下電器産業株式会社 代表取締役社長 |
| | 中 村 維 夫 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 代表取締役社長 |
| | 村 井 純 | 慶應義塾大学環境情報学部教授 |
| 上記の他、以下が出席。 |
| | 二 橋 正 弘 | 内閣官房副長官(事務) |
| | 竹 島 一 彦 | 公正取引委員会委員長 |
| | 庄 山 悦 彦 | 評価専門調査会座長 |
| | 金 杉 明 信 | 情報セキュリティ基本問題委員会委員長 |
|