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第31回IT戦略本部 議事録


 

1.日 時:平成17年8月1日(月)17時30分〜18時30分

2.場 所:内閣総理大臣官邸大会議室

3.出席者:[別紙]

4.会議の模様



(1)開会

【棚橋IT担当大臣】
 ただいまからIT戦略本部の第31回会合を開催いたします。御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。
 本日の議題に移りたいと存じます。本日の案件は、「評価専門調査会の第四次中間報告書について」、「2006年以降の新たなIT戦略について」の2件でございます。
  
(2)評価専門調査会の第四次中間報告書について

【棚橋IT担当大臣】
 最初の議題でございます「評価専門調査会の第四次中間報告書について」でございますが、評価専門調査会におかれましてはe-Japan 戦略やe-Japan 戦略Uにつきまして、民間の視点からこれまでの取り組みの総括や課題、問題点の指摘をお願いしているところでございます。4月に、利用者の視点に立ち、かつ計測可能な評価手法の枠組みを示す第四次中間報告書が取りまとめられております。
 本日は、これにつきまして評価専門調査会の庄山座長から御報告をいただきたいと存じます。それでは、お願いいたします。

【庄山評価専門調査会座長】
 日立製作所の庄山でございます。お手元の資料1、2につきまして御報告させていただきます。説明は、資料1に従いまして第四次の中間報告を行いたいと思います。 今回のポイントといたしましては、1ページ目でございますが2点ございます。
 1点目は、2種類の評価指標の原案を提示しているということでございます。e-Japan 戦略の重点5分野に関しましては、ITの利用環境整備とその利用状況という観点からIT利用環境指標を、またe-Japan 戦略Uの先導的7分野に関しましては、利用者が求める便益の実現状況という観点から、成果指標を抽出いたしてございます。
 もう一点のポイントといたしましては、教育・人材に関する重点評価を行ったということでございます。
 それでは、まず1点目のポイントであります評価指標につきまして2ページ目で御説明をいたします。
 e-Japan 戦略のIT利用環境指標につきましては、国際比較を行うことを前提といたしまして、物理環境の整備状況など5つのカテゴリーに基づきまして、環境整備から利用状況まで網羅的に把握する枠組みを提案しております。
 3ページでございますが、この枠組みに沿いまして合計202の指標を提示しまして、現在は網羅的にデータ収集に着手しているところでございます。
 次の4ページでございますが、e-Japan 戦略Uのいわゆる成果指標につきましては、国民の便益向上という観点から経年比較が可能である指標を抽出しておりまして、利用者視点での成果の計測を第一に目指しつつ、補助的なものといたしまして利用状況を見るものも参考指標として扱う枠組みを提案しております。
 次の5ページでございますが、この枠組みに沿いまして合計109の指標を提示しまして、こちらもただいま網羅的にデータ収集に着手している状況でございます。IT利用環境指標同様、収集できるデータには限りがあると思いますけれども、定性的な事項も考慮しつつ、評価の作業を進めていくつもりでございます。
 次に、今回のポイントの2点目でございます教育・人材の重点評価に移りたいと思います。6ページでございますが、4つのテーマについて踏み込んだ評価を行っております。 まず学校の情報化というテーマでございますが、子どもがITを用いた犯罪の被害者にも加害者にもなり得る危険性が高まっていると思われまして、こうした点についてやはりITの技法とその利用に関する作法のバランスある教育を推進していくことが大切であろうと考えております。
 情報アクセス向上とIT利活用促進につきましては、住民にとって身近な存在である公共図書館の情報提供機能の一層の促進でありますとか、そういうものを提言して盛り込んでおります。
 次に7ページでございますが、国際競争力向上につながるIT人材高度化の欄でございます。例えば、産業界と教育機関での人材ミスマッチを解消するためには、統一したスキル項目を整備したり、あるいは長期のインターンシップの実施を促進することが有効ではないかと考えております。
 それから、遠隔教育による個に応じた学びの実現につきましては、遠隔教育による単位、学位、資格の取得を促進しまして、またアジア地域を含む広範囲な人々への学習環境を整備していくことも重要であろうと考えております。総じて申しますと、教育・人材にはITだけではなかなか解決できない課題も多くありますが、非常に重要なテーマでございますので、ITを手段としてうまく活用しながら、引き続き民・官を含めた取り組みが必要であろうと感じておる次第でございます。
 最後に8ページ目ですが、今後の進め方についてでございます。これまで同様、PDCAサイクルの確立と利用者視点の成果主義に立脚した評価ということを基本方針として活動を進めていきたいと考えております。評価活動に当たりましては、今回御紹介いたしました指標の枠組みに沿って、ただいまこのデータでありますとか、あるいは定性情報の収集に努めているところでございまして、次回本部ではこうした評価活動を通じて、主として次期IT戦略立案と遂行のために的確な情報を御提供するという趣旨で御報告の予定でございます。最終報告ではこれまでの取り組みの総括、あるいは2006年以降に向けての課題などを盛り込んで報告させていただく予定でございます。
 いずれにしましても、評価専門調査会はこのIT戦略本部と連携して今後も活動を進めてまいりたいと考えております。引き続き御協力をお願いしたいと思っております。
 以上で、評価専門調査会の第四次中間報告とさせていただきます。ありがとうございました。
  
(3)2006年以降の新たなIT戦略について

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。議論は最後に一括して行いたいと思いますので、引き続き次の議題の「2006年以降の新たなIT戦略」に移りたいと思います。
 本年末または来年初めに取りまとめる予定の「新戦略について」でございますが、前回のIT戦略本部において活発に御議論いただきました。また、7月6日には有識者会合を開催し、議論を深めていただいたところでございます。
 本日は、まず麻生総務大臣、小此木経済産業副大臣、蓮実国土交通副大臣から、それぞれの省庁におけるIT政策の取り組み状況について御報告をいただき、これに続いてこれまでIT戦略本部や有識者会合で御議論いただいた論点について、有識者本部員を代表して伊丹本部員に御説明をいただきたいと思います。その後、自由討議を行う予定でございます。
 麻生大臣は少し遅れてお見えになりますので、早速ではございますが、小此木経済副大臣から情報経済産業ビジョンについて御報告をいただきます。よろしくお願いいたします。

【小此木経済産業副大臣】
 小此木でございます。資料4−1をごらんいただきたいと思いますが、「「新しいe-Japan 戦略」の方向性について」と題する資料をごらんいただきたいと思います。
 まず左側にe-Japan 戦略、e-Japan 戦略Uの取り組みによってインフラの整備、機器の普及は世界最高水準に到達しつつある。今後は、我が国がフロントランナーとして世界をリードしてITを使いこなしていくことが課題であると考えています。
 その横に示しましたとおり、本年4月に策定された日本21世紀ビジョンにおいては、この資料の中にも示しているように壁のない国、世界の中の架け橋国家、魅力と存在感のある国といった今後の我が国の目指すべき将来像が提言されており、こうした目標の下でITをいかに使いこなしていくかという視点が重要であると考えます。
 その右側でありますけれども、経済産業省といたしまして我が国の産業がイノベーションと需要の好循環を形成し、世界で勝ち抜く高付加価値を創出していくため、新産業創造戦略を展開するとともに、IT分野の取り組みの深化を図った情報経済・産業ビジョンを本年4月に策定いたしました。この情報経済・産業ビジョンにおいては、日本21世紀ビジョンを踏まえ、国民生活、企業ビジネス、行政サービス、社会的課題という4つの分野における課題を解決していくことの必要性を打ち出したところであります。
 1枚おめくりをいただきまして具体的に申し上げますと、例えば国民生活においては情報家電のネットワーク化等を通じた日常生活の安全・安心を実現したり、企業ビジネスにおいては在庫削減、開発リードタイム短縮、経営判断の迅速化をもたらしたり、行政サービスにおいては24時間週末対応やワンストップ処理による迅速化を図ったり、社会的課題においては環境問題、少子高齢化、学力低下等への対応が可能となるなどの例を挙げることができます。
 このように新しいe-Japan 戦略の策定に当たっては、利用者視点に立ったITの活用による課題の解決力の向上、競争力の強化を目標にしていただくとありがたいと考えております。以上でございます。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。
 続きまして、蓮実国土交通副大臣から「自律移動支援プロジェクト」について御報告をいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【蓮実国土交通副大臣】
 国土交通副大臣の蓮実でございます。資料5をごらんになっていただきたいと思います。
 まず1ページをごらんいただきたいと思いますが、国土交通省は、これまで高齢者や身体障害者が建築物や公共交通を円滑に利用できるようバリアフリー化を進めてまいりましたが、いつでもだれでも自由に使いやすくというユニバーサルデザインの考え方から見ると、外国人への対応を始め、まだ十分とは言えない状況にあるのが現状であります。
 また、我が国は急速に高齢化と少子化が進行し、人口減少社会を迎えようとしておりますので、これからはすべての人々が年齢、性別、国籍等にかかわらず、自由に社会に参画し、安全で豊かに暮らせることが重要であると思っております。国土交通省では、こうした考え方に従って生活や移動の環境をハード・ソフト両面から整備、改善するために、本年7月ユニバーサルデザイン政策大綱を策定いたしました。その中で、IT等の新技術を活用してだれでも安心して利用できる根幹的なインフラとして自律移動支援プロジェクトを進めております。
 2ページをごらんになっていただきたいと思います。本プロジェクトでは、最新のユビキタス技術を活用いたしまして、さまざまな場所の情報を利用者に提供するシステムの構築を目指しております。
 システムの基本的な仕組みでありますが、それぞれの場所に設置するICタグ等に位置情報を書き込んでおき、それを携帯端末で読み取りまして、その位置情報に対応した情報をネットワークを介して受信するというものであります。これによりまして、すべての人々が今、自分がいる場所の情報を入手することが可能となります。例えば、資料にありますように、目の不自由な方は音声で経路を誘導してもらうことができます。また、耳の不自由な方は振動や文字で緊急情報を知ることができます。外国人観光客は、その国の言語で観光案内を受けることができます。また、こうした方々だけではなく、一般の方々も店舗の情報とか地域の情報を入手することが可能となるわけであります。
 3ページをごらんいただきたいと思います。このシステムを支える技術の詳細を記載しておりますが、時間の関係で説明は省略させていただきますので、後ほど御参照いただきたいと思います。
 4ページをごらんいただきたいと思います。本プロジェクトには民間企業を始め関係省庁、地方自治体、地域の方々など、その趣旨に御賛同いただきまして参画をしていただいております。平成16年、17年度は実証実験を行っており、特に本年の6月から神戸で本格的な実証実験を開始しております。また、現在行われております愛知万博でも実証実験を行っているほか、北海道や青森など積雪寒冷地での実験、上野公園での実験など、さまざまな場面を想定して実証実験を行っております。これらの結果を踏まえまして、今年度中に標準的な技術仕様書を策定いたしまして、来年度以降は更に各地へ展開してまいりたいと考えております。
 5ページをごらんになっていただきたいと思います。このような実証実験を行うことで、技術の研鑽とコストの低廉化を図ることができると考えております。また、多くの方々に体験していただき、さまざまな御意見を伺うことで利用者の視点に立ったシステムを構築してまいりたいと考えております。また、本プロジェクトは世界初のシステムであり、産学官民の連携の下、国が先導役となりまして、我が国の技術を総結集して進めてまいります。その技術内容は公開をし、一般に利用いただくことで国際的な標準として確立をさせ、世界に貢献していきたいと思っております。
 引き続き、国家的プロジェクトとして自律移動支援プロジェクトを推進してまいりますので、御支援、御協力をお願いをいたしたいと思います。以上であります。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。
 続きまして、新戦略の検討における論点について、伊丹本部員から御説明いただきます。それでは、よろしくお願いいたします。

【伊丹有識者本部員】
 前回の5月のIT戦略本部以降、7月6日には有識者会合を我々の間で開催するなど、いろいろな意見交換を行ってまいりました。そこで、新戦略を検討する際にどのような論点があるのかということを議論してまいりましたが、今日はその議論を踏まえまして主要な論点について有識者本部員を代表いたしまして御報告いたしたいと思います。 お手元に配付しました資料は6−1と6−2でございまして、ちょっとお開きいただきたいと思いますが、6−1は基本理念の主要な論点を抽出したものでございまして、これを本日の説明では主に使いたいと思います。資料6−2は、その議論に至るまでの、より詳しい論点を整理したものでございます。
 資料6−2の方を初めにごらんいただきますと、全体にどういう構成になっているかと申しますと、最初に基本理念、基本戦略についてさまざまな論点が出されたものが紹介され、それがまとめられた視点をこれから御紹介いたします。
 それから、5ページ目にいっていただきますと、そういう基本理念の下で今後取り進むべき課題の例だと思われる意見がさまざまに本部員の方々から出ました。それをまとめたものが5ページ、6ページでございます。
 それでは、6−1に戻らせていただきまして、資料6−2の基本理念、基本戦略の部分について概要を御説明いたします。ここでは4つの視点から本部員の方々の意見がまとめられていると考えております。
 まず第1の視点は「改革の視点」と書いてございますが、これはこれまでのIT戦略がITあるいはe-Japan の普及という観点が強かったものを、ここからはITをてこにした日本社会の改革という視点へ大きく踏み出したらどうであろうかというまとめができるような御意見が数々ございました。つまりは、今度の新戦略の基本スタンスの問題でございます。
 例を挙げますと、1つはITによる21世紀の日本社会の構造改革を推進するためにITをてことして使ったらどうか。あるいは、2番目に先ほども御紹介がございましたが、経済諮問会議の日本21世紀ビジョンにございますように、日本が解決しなければならない課題がいろいろ書いてございます。そういう解決方法の対応としてITを大きく利用したらどうか。それによって、高齢化でコストがかかって困るとか、環境問題に対応するにはコストがかかって困るというさまざまな社会的ジレンマに今、日本は直面しているわけでございますが、その社会的ジレンマをITによって解決するという視点でございます。具体的な例は、資料6−2の改革の視点の以降の項目をごらんください。
 次の視点は非常に大切でございまして、「国民・利用者の視点」に立って新戦略も考えるべきである。代表的な視点、あるいはまとめの視点を2つ御紹介いたしますと、1つは「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ITが活用できるような社会を実現するという基本的なスタンスを持つべきであろう。もう一つは、世界最先端のブロードバンド環境ができたわけでございますので、それを利用してさまざまな新しい知的価値、文化的価値が創出されるような視点を持つべきであろう。これが「国民・利用者の視点」のまとめでございます。
 3番目は、国際競争力・国際貢献という国際関連の視点でございます。そのうち第1のまとめになります視点の例は、日本が最先端のインフラを整備することに成功したということをてこに利用いたしまして、IT産業の国際競争力を飛躍的に発展させ、ITの利活用のパイオニアとしての道を切り開き、それによって国際競争力をつけて、ひいては国民生活を豊かにするという循環を回すという視点でございます。
 もう一つの問題は、国際的にどこの国も直面している地球環境問題だとか高齢化社会というような問題に、ITを活用した解決策を積極的に試み、それを世界に提案していくことによって国際貢献を実現するという視点でございまして、世界が注目する国づくりというような視点になろうかと思います。この点におきましては、アジアとの協調とかアジアへの貢献ということが非常に大きなポイントになろうかと思います。
 第4の視点は「推進体制」に関する視点でございまして、これはe-Japan 及びe-Japan Uがかなり目覚ましい成果を上げた理由をよくよく考えてみますと、推進体制としては2つ非常に重要なまとめの視点があるのではないでしょうか。
 1つは、極めて具体的で極めて明確な目標設定をすることです。もう一つは、利用者・国民視点での成果主義に立脚したPDCAサイクルの実現、先ほど庄山委員から専門調査会の御報告にもございましたが、これを実現していくという推進体制を今後も維持するということでございます。
 以上、我々民間の有識者本部員の間で議論をいたしました主な視点を御説明させていただきましたが、最後にほんの少し時間をいただきまして、6−2に戻っていただきまして具体的な今後取り組むべき課題例としてはどんなことがあるか。2ページにわたって書いてございますが、その中でも特に重要かと思われる点を2、3御紹介いたします。
 例えば、一番上に書いてございます「IT技術+生活ソリューション+規制改革」の三位一体の取り組み、これが具体的な課題でありましょう。あるいは、そのページの一番下に書いてございます「教育」のIT化、更にページをめくっていただきますと次にございます「医療」のIT化、あるいはそのページの下から3番目にございます政府自ら先頭に立って世界一の電子政府をつくるという方向性、こういったようなことが課題であろうということでございますが、具体的な点についてはこの資料をよくごらんいただければと思います。
 それでは、以上のようなことの議論をまとめとさせていただきましたが、今後更に有識者本部員の間で議論を深め、国民にわかりやすく世界各国のIT戦略を先導するような新政策の策定にこの本部がチャレンジすることを望みたいと思いますし、私どももその努力をしたいと思います。更には、各省の積極的な協力を大いに期待するところであります。以上です。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。
 麻生大臣が御到着でございますので、麻生総務大臣からu-Japan 政策について御報告をいただきます。よろしくお願いいたします。

【麻生総務大臣】
 それでは、お手元の資料3を御参考にしてください。画面も出ると思いますが、昨年私どもで取りまとめた骨太方針2005に盛り込まれましたu-Japan 政策を御紹介させていただきたいと存じます。
 1ページ目で、ICTの方向性というものはユビキタスということになったと思っております。この資料3の参考資料8ページ目をおめくりいただきますと、松下電器、日立製作所、名だたる日本企業こぞって各社の経営戦略の中でユビキタスという言葉が既に盛り込まれております。その例を引いております。
 u-Japan 政策を取りまとめた問題意識というのは、私どもの立場は少子高齢化の進展という状態であります。ユビキタスの技術というものを使うことが高齢化社会のさまざまな問題を克服する切り札になると思ったからであります。
 2ページ目をおめくりください。国家の戦略としても世界の趨勢というものはこの絵で見ていただいてわかりますように、ブロードバンド化からその次の段階、つまりユビキタスに進みつつあります。
 3ページをお開きください。u-Japan の「u」は、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」、いわゆるユビキタス、神はどこにでも普遍的に存在するというラテン語ですが、ポイントは白い矢印の方向にあります。
 1のブロードバンドネットワークを超えて有線・無線が透き間なくつながる。いわゆるシームレスにつながるという意味でユビキタスネットワーク社会への移行。そして、次が医療や教育など、社会の問題解決への積極的介入。そして、3番目が安心・安全というものに抜本的な強化、いわゆる影への対応というものを柱といたしております。
 4ページ目をおめくりください。施策の柱は4ページに示しておりますが、具体的には100以上からなる施策のパッケージを取りまとめた工程表というものを既に公表いたしております。この工程表に従いまして着実に具体的施策を推進しているところですが、例えば去る7月29日に行われました情報通信審議会からも答申を既にいただき、通信、放送の融合という当然の流れの中でIPや衛星などの手段を使いまして。2011年までにいわゆるデジタル全面移行を確実に達成し、今後の研究開発についてはユビキタスネットワークソサエティ戦略プログラムとして3つの重点領域を設定といった方針を明確に打ち出しております。
 5ページ目をおめくりください。新戦略決定へ向けて重要なポイントは5点と思っております。
 1点目は、「ユビキタス」を志向した明確なメッセージ、例えばu-Japan といったわかりやすいワードというものを新戦略の中で掲げて国民に発信することが重要です。
 2点目は、だれでもネットワークに簡単につながる社会を実現するために、地方におけるICTのインフラ整備というものの支援策の充実が必要でありまして、情報格差の解消を早急に進めることが必要です。
 3点目は.少子高齢化の社会課題の解決にICTを積極的に活用する考え方を強く打ち出すということであろうと思っております。
 4点目は.最近大きな社会問題となっております情報漏洩などに対する「安心・安全」対策を抜本的に強化して盛り込むことが重要です。
 5点目は.NPOや市民を巻き込んだ「民産官学」の協働の実現というものをより一層取り上げることだと思っております。
 6ページ目をおめくりください。新戦略の策定には今日の内容を可能な限り反映していただきたいということをお願い申し上げ、この戦略本部の取りまとめに心から感謝を申し上げる次第です。以上です。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。
 それでは自由討議に移りたいと思います。なお、本日御欠席でございますが、資料10及び11のとおり村井本部員と宮内規制改革・民間開放推進会議議長から資料の提出がございます。
 それでは、まず有識者の先生方から御自由に御発言をいただき、その後、閣僚の皆様方に御発言をいただければと思います。それでは、どうぞ有識者の先生方、御自由に御発言をいただければと思います。
 では、清原先生どうぞ。

【清原有識者本部員】
 清原でございます。まず、私は客観的にも、また評価専門調査会の委員という当事者としての経験を通しましても、e-Japan 戦略Uの段階で評価専門調査会を設置したことの意義は大きいと思います。特に、PDCAサイクルを意識した現状分析における利用環境指標及び成果指標策定の試みと、主要テーマ別に行われた省庁、府省の連携協力による実際の評価活動、そしてその過程でなされてきた課題解決の方向に向けての議論の喚起は大変有意義であると思います。
 そこで、まずは今後の新戦略検討の際にも、こうした評価活動を推進体制の中に明確に位置付け続けていただくことを提案します。その上で、次の主要論点についての概要案、6−1に基づきまして新戦略の主要論点を検討する際に特に重視する必要があると考える点につきまして申し上げたいと思います。
 まず第1点は、概要案では基本理念、基本戦略として「改革の視点」、「国民・利用者の視点」、「国際競争力、国際貢献の視点」が掲げられておりますことは、国民、市民の皆様に一番身近な自治体の仕事をしております立場から大変適切な視点であると思いますので、是非これらを基軸にしていただきたいと思います。
 2点目ですが、しかしながらこの3つの視点を具体的に展開していく際には、2の今後取り組むべき課題例の中から、特に国民、市民がよりそのことを実感できる分野を優先的に選択して積極的に取り組んでいただき、早い段階で成果を示すことが必要と考えます。特に先ほど各省の問題提起をいただきますと、「安全・安心」は重要なテーマの一つと考えます。一方で、具体的には防災、防犯やテロ等への対応、心身の健康・長寿、食の安全、交通安全など、社会全体の安全・安心を高める分野でのITを活用した取り組み、そして他方ではITを活用する中で生まれる犯罪や、社会の脆弱性を克服するためのIT化そのものの安全セキュリティ確保の両面をめぐる課題解決の取り組みは、国内のみならず国際的にも貢献できる極めてインパクトの強い取り組みになると確信します。
 3点目です。推進体制について意見を申し上げます。自分の自治体のことで恐縮ですが、この6月14日にニューヨーク市で開催されました世界テレポート連合の会議で、三鷹市はインテリジェント・コミュニティ・オブ・ザ・イヤー、世界一に選ばれました。16.5平方キロに17万4,000人の市民が住む世界でもほとんど無名な三鷹市がなぜ選ばれたかといいますと、それは「民学産公」の「協働(コラボレーション)」の取り組みが20年以上にわたって展開されてきたことにあります。
 そこで、今回の概要案の6−2の2ページにも、「国民・利用者の視点」の項目として「民学産公」の「協働」が記述されていることは大変ありがたいことです。これは推進体制の在り方についても有効で意義がある取り組みだと思いますので、産業界も含んだ民主導で整備する風土や機会づくりを推進体制としてお願いしたいと思います。
 また、三鷹市の場合は幸いブロードバンド環境が早い段階で整備されておりましたのでこのようなことができたわけですが、実際に日本の自治体にはまだまだブロードバンド未整備のところがございます。私は、引き続きデジタルデバイドの観点から、是非「ブロードバンドゼロ地域を解消する」ということも明確にお示しいただくことが不可欠なことだと思います。
 4点目、最後です。その他の三鷹市が選ばれた理由として、三鷹市立アニメーション美術館、三鷹の森ジブリ美術館の取り組みなど、アニメーションやコンテンツ産業誘致や振興が評価されたということもございます。日本からの文化発信あるいは新しい産業創出の観点でも、この「コンテンツ」についての着目も重要だと思います。新戦略は、よりハード面ではブロードバンドゼロ地域解消へ、そしてソフトやコンテンツも重視した明確なメッセージのある、そういう取り組みを示していくことが重要だと考えます。以上でございます。ありがとうございました。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。他の本部員の先生、御発言はいかがでございましょうか。

【小泉内閣総理大臣】
 三鷹市が世界一とは大したものですね。

【麻生総務大臣】
 その前は横須賀ですからね。

【棚橋IT担当大臣】
 では、大山本部員どうぞ。

【大山有識者本部員】
 電子政府関係について前回申し上げたので、今日は医療について意見を申し上げます。
 現在のe-Japan 戦略で書かれている医療分野の情報化に関する課題を見ると、調査専門委員会の方から出ている内容を見ても、残念ながらまだ十分進んでいないという印象を持ちます。私自身もいろいろ努力はしてきたつもりなのでありますが、まだ力及ばずと思っています。
 申し上げたいことは、改めて次の戦略につないで、医療という我々にとって身近な分野の情報化を推進すべきだろうと思うことです。この分野の情報化の推進について具体的に述べます。電子カルテやレセプト、事務会計システムというのは病院の中のシステムであります。一方、病病連携、病診連携あるいは遠隔医療を実現しようとすると、これは医療機関間の連携の話になるので、ステップとしては違うものになっています。
 言い方を変えると、行政機関の中が情報化される前に、行政機関間を電子化して結んでもあまり効果が出ないのと同じで、情報化の基本ステップを踏むべきです。電子カルテや電子レセプトの普及を図るというのはもちろん重要なのですが、一方では最近医療過誤の話が出ています。これはどういうことかというと、ある薬品等を倉庫から出したときに病室に搬送するのはいいのですが、この患者さんに対してこの薬が正しいかどうかのチェックをオンラインでやっていないために過誤を防げていません。リアルタイムにチェックしていないために、稀ではありますがどうしても人為的なミスを100%無くすことができていません。この意味では医療機関内の情報化もまだまだです。すなわち、電子カルテと言っても従来のカルテを単に電子化するだけでは不十分で、より安全性を向上する方法が必要であり、ここに対して努力をすべきであると思います。
 一方、医療機関間ですが、医療分野が関係する組織というのは御案内のとおり保険組合等も含めますと約20万あります。この中では厚生労働省が今年からヘルスケアのPKIと言われる電子署名をスタートすることが決まったようで、このことは高く評価したいと思います。HPKIと言っていますが、同時に必要なのは医療機関間の安全なネットワークです。これがなければ個人情報の保護を確実に行うことはほとんど不可能です。今の装置にセキュリティ用のソフトウエアを追加することで対応するというのも不十分な面が時々出てくることがあります。特に医療機器の場合にはソフトを追加すると薬事法によって再申請ということも起きます。したがって、外付けの暗号装置のようなものが有効と考えられます。こういったことをこれから進めるのも重要ではないかと思います。
 このような安全なネットワークとHPKIができたときに、初めてe-Japan 戦略Uに書いてあったレセプトのオンライン化なども可能になってきます。  御存じのように、現在レセプトの総数は年間約30億枚であり、ほとんどが紙の伝票のやり取りになっています。これにかかる事務経費というのは、電子政府システムで一生懸命、削減して1,000億下がるかなという予測が出ているように、医療分野においても同じような事務経費等の削減の仕方があるのでは無いかと考えます。ここは国民にとっても、あるいは国の財政にとっても重要なことなので、やはり努力をしていく必要があると思います。
 更には個人の健康管理、特に将来にわたる生活習慣病対策等に有効と期待されるエビデンス・ベースド・ヘルスケア、根拠に基づく健康管理という言い方をしていますが、この辺も更に推進し、それによって国民の意識を高めていくことが重要だろうと思います。
 そのためには、常々、厚生労働大臣に社会保険庁の件でお願いしているように、レセプトやカルテの開示が必要になってくるのではないでしょうか。これによって、自分がどういう健康状態にあるかということを国民がしっかりと認識できるようにする。これが医療サービスを提供する側及び受ける側、どちらも満足し、なおかつ費用を下げていく重要な観点ではないかと思います。以上です。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。

【中村(邦)有識者本部員】
 基本理念にあります2番目の「国民・利用者の視点」を中心に御提案申し上げたいと思います。
 平成17年版の情報通信白書によりますと、インターネットの利用人口普及率は2000年末には37%だったのが昨年末には62%まで急速に拡大しました。しかし、逆の見方をいたしますと、まだ38%の方がインターネット利用の外に置かれているということが言えると思います。そういった点から、テジタルデバイドの問題を解消しなければ、ITによる国民の貢献に関して少し格差が広がってしまうのではないかという懸念を持っております。
 ただいま伊丹本部員から御説明のありましたe-Japan Uで取り組んできたITの利活用を社会的な視点で捉え直した改革が重要であると思っております。その事例の一つとして、ITユニバーサルデザインについて少し御説明したいと思います。
 御承知のとおり、ユニバーサルデザインとは年齢や障害の有無などに関係なく、できるだけ多くの人が利用可能になるように最初からデザインをつくることです。当社でも商品開発においてユニバーサルデザインに取り組んでおりまして、まだ大きな成果は出ておりませんが、6つの視点による心配りの実践をしております。それは、@理解しやすい操作への配慮、Aわかりやすい表示と表現、B楽な姿勢の動作、C移動のしやすさなどの空間の使い方、D安心・安全、E設置や収納性などの使用環境への配慮の6つです。
 ITの利活用を加速させるためにはパソコンも携帯電話もテレビも、あるいはタッチパネルを用いた表示板なども、利用者が十分に活用できるようにすることが重要であります。例えば、様々な方が利用される駅や病院など、公共性の高い場所でITを活用する際には、特に意識しなくてもそれぞれの利用者が自然な動作で不自由なく使えるようにするという心配りが必要であります。今後はますます活用の場が広がるITに関して、道路標識や案内表示と同じように表記を統一するなど、ITユニバーサルデザインの基準づくりを官民連携で進めていくことが有効ではないでしょうか。こういう取り組みが生活密着ITの実現の第一歩であると思いますし、少子高齢化、環境問題、学力向上などの課題に対する社会的解決への活用につながると思います。以上です。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。本部員の先生、他に御発言はございませんか。上野本部員、いかがでしょうか。

【上野有識者本部員】
 先ほど民間有識者の代表といたしまして、伊丹委員の方から資料6−1で総括して説明していただきましたけれども、資料6−2のところでも非常に重要な指摘がございます。この中の6ページのところには丸の上から4番目のところに中小企業のITの利用の促進ということを非常に重要なテーマとして書いていただいております。中小企業における受発注のプラットフォームを構築する。先ほど経済産業省の小此木副大臣からの説明もありましたけれども、4−1の「強さの追求」というところにも「企業ビジネス」の欄で「中小企業の競争力の強化」ということを非常に重要なポイントとして指摘してございます。
 その2枚目の「企業ビジネス」のところで、インターネットに大手の発注業者の方々がプラットフォームに乗っていただいて、その上で中小企業のデータ交換ソフトの開発により、スムーズに中小企業のものづくりの強さをインターネットがより強化していくという面で非常に重要なポイントだということで御指摘があったと思っております。そういう面で、私どもは中小企業の活力の向上ということは非常に重要であり、戦略目標の中で重要な位置付けをお願いしたいと思っております。
 そのときに重要なのは、中小企業のプラットフォームに乗ってくれる大手の皆様が共通の標準化したシステムとして参加してもらわないとなかなかうまくいかないのです。これを是非お願いしたいと思っております。
 それからもう一つは、中小企業の場合にITを使ってかなり効果を上げている事例もたくさんございますので、今日は細かいことは申し上げませんけれども、しかし、うまくインターネットを活用して受注が増えたとか、本部と連携して物流が非常にうまく把握できるようになったとか、さまざまな事例はあるのですが、しかし、これは中小企業の場合というのは当たり前と思われるかもしれませんが、ほとんどまだできていないのです。これを強化したら本当に中小企業の強さがより鮮明になってまいりますので、共通化・標準化を是非進めていきたいと思っております。
 それから、防災という視点で、災害が起きてからの対策というとかなり大きな費用がかかるわけです。これは大変な国の予算を必要とします。中小企業とベンチャーの人たちが10社くらい集まりまして、新しいセンサーのシステムを開発いたしました。それで河川、それから山岳をセンサーすることによりまして、三次元で映像を撮り、しかも弱いところを事前にキチンとつかめます。気象庁の降雨量などのデータをインプットすることによって、そのデータを地方自治体、それから中央省庁の方へもすぐ伝達ができます。これはまさにITの活用だと思っています。
 先日も地震があったときに、ファックスでまだやり取りをしているというちょっとお粗末な状況があって、しかもそれは地方自治体によってばらばらで情報伝達をしているということがあるわけです。この10社が経済産業省の支援で新しいシステムをつくったのですけれども、まだやはり改良しなければいけないところが多々あるのです。新システムを利用すれば、間違いなく予防保全ということができると思うのです。
 私ども機械装置を使う業界では、故障してから直すなどというばかなことは今はほとんどやらないです。予防保全ということをやるのです。故障しそうなところを事前に手当てをする。故障をしますとものすごい損失を受けるのです。不良品をつくったり、お客様に大変な迷惑をかけるのです。中小企業でもこの様な工夫をやっていますので、国も予防的なことで大きな災害を未然に防ぐということ、民間はそんなことをやっていますので、そういうことを国土交通省さんには災害、防災の方で是非やっていただいたらどうかという御提案でございます。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。

【小泉内閣総理大臣】
 国会の答弁も予防できるといいですね。

【棚橋IT担当大臣】
 これは災害予知・予防でございますので、防災担当大臣もおいでですが。失礼しまた。
 では、中村本部員お願いいたします。

【中村(維)有識者本部員】
 今、伊丹先生の方から言われたとおりですけれども、1つ改革の視点だけが大変重要だと思っているのですが、国民・利用者の視点に立ったというときに、非常に課題を明確にしてかなり思い切った構造改革という視点でそれをとらえながら、そして利用者の視点を入れて、こうあるべきだというビジョンを書くことが非常に重要ではないでしょうか。それを解決、実現できるのがICT、ユビキタスというものだということで、私は皆さんと大体同じ意見なんですけれども、課題をはっきりさせて、そしてそれを思い切って構造改革的な視点を入れて、これにICTなりユビキタスが役に立つというところをしっかり押さえていくのが重要だと思っています。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございます。鈴木本部員、いかがでございましようか。

【鈴木有識者本部員】
 「国民・利用者の視点」に立ったIT利活用を進めるにあたっては、経済合理性の側面から利活用を促進するインセンティブをつけるということも課題だと思います。例えば、今年の4月から施行された国税関係書類について一定の条件を満たせばスキャナーを利用して電子化でいいという法律です。しかし、現実には、その一定の条件を満たしていながらも、従来の方法に比べて、思うようなコスト面の効果を見出すことは困難なのです。そういう意味で、我々利用者の側から見ますと、なかなか利用しにくいところがあるわけです。ですから、法律を作ったということだけで立ち止まることなく、明確にコストのメリットがでる、経済合理性を高める制度運用のあり方について、もう一歩も二歩も踏み込んでいくことで、更なる利活用を進めることができるのではないでしょうか。この点について議論を深めていくべきだと思います。
 それからもう一つは、先ほども話がございました地震などの災害に対するいわゆる防災の課題です。この7月23日に関東地方を襲った震度5の地震では、幸いにして表面的には大きな事故というのは、ほとんどありませんでしたが、交通や通信などの公共インフラの災害対策についての課題が指摘されています。その点に関しては、例えば我々セブンイレブンでは、災害対策の視点も踏まえて、既に専用のブロードバンド回線を、全店に引いておりますので、今回の地震でも、店舗への情報伝達について、全く障害は発生しませんでした。このような既存の民間サイドのインフラも、いざという時に活用できるような、官民一体となった防災協力体制の構築についても話し合っていくべきだと思います。以上、2つの点について申し上げました。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。また是非この議論を深めてまいりたいと思います。
 それでは、有識者の本部員の先生方から一通り御意見をいただきましたので、閣僚等の皆様方から御意見をいただきたいと思います。下村文部科学政務官が最初に手を挙げられましたので、下村先生お願いいたします。

【下村文部科学大臣政務官】
 文部科学大臣政務官の下村博文でございます。文部科学省の取り組みについて御報告を申し上げさせていただきたいと思います。
 情報通信技術やコンピュータ開発の進展など、近年の高度情報化社会の急速な進展を見る中で、文部科学省としては教育の情報化は引き続き国の基盤となる人づくりを支える重要な役割を果たす要素の一つとして考えております。
 このため、現在のe-Japan 戦略、または新たな戦略の中においても引き続き力を入れてまいります。特に高度情報社会を生き抜く子どもたちがパソコンやインターネット等の情報活用能力を身に付け、情報社会に適切に対応していくことは今後ますます必要不可欠であります。
 また、わかる授業の実現に向けて教員によるITを効果的・効率的に活用した授業を展開することも極めて重要であると認識しております。このため、今後はこれまで整備されてきたIT環境の利活用がまだまだ取り組み不十分でございます。一層促進するための取り組みが重要であると考えております。
 なお、最近の山口県の光高校における爆発物傷害事件等、インターネット上の有害情報を利用して生じたと報道されている大変痛ましい事件がございましたが、このことからもわかるように、情報化には影の部分もございます。青少年に悪影響を与えるような情報が含まれていること、これをどう防ぐかということの中で、我が国の将来を担う青少年が健やかに成長するための情報化の影の部分について、これも十分な取り組み、対策をすることが必要であると考えておりまして、文部科学省としても関係省庁と連携して更に教育の情報化を積極的に推進していきたいと考えております。以上でございます。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。
 環境副大臣お願いいたします。

【高野環境副大臣】
 環境副大臣の高野でございます。IT戦略の中の基本理念、基本戦略の中に地球環境問題という視点、あるいは改革の視点を入れていただきましたので、これは高く評価したいと思います。
 世界最先端のIT国家を目指すということでありますが、どういう国家、どういう社会なのかということで、環境省の立場から言いますと、それは脱温暖化社会あるいは循環型社会を構築することです。脱温暖化社会というのは、エネルギーという側面から見た社会、循環型社会は物質という観点から見たものでありまして、いずれにしても持続可能な発展をする社会を目指すということでありますが、環境と経済の両立という理念に基づいてあえて戦略を進めるというのは、例えば京都議定書の目標達成計画の中においても非常に重要な位置を占めていると認識をしております。
 身近な例としては、ITを利用して在宅勤務や、あるいはテレビ会議を行うということによって、通勤とか移動のための交通量を削減する。このテレワークを推進することによってCO2の削減につながります。あるいは、ITを利用して無人の部屋の照明を自動的に切るとか、オフィスビル等も含めてこういうシステムを導入しエネルギー管理システムを普及することによって温暖化対策に資するというふうに理解をしております。この戦略は是非強力に進めていただきたいと思っております。以上です。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。他に御発言はございますか。 では、厚生労働大臣どうぞ。

【尾辻厚生労働大臣】
 大山先生からいろいろお話をいただきましてありがとうございます。日ごろ、御自身のお話の中にもありましたけれども、社会保険庁改革につきましては御指導をいただいておりましてありがとうございます。今後ともよろしくお願いを申し上げます。また、医療のIT化についても今日もお話がございましたが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 大山先生のお話もありましたので、医療のIT化はどういう取り組みをいたしておるかということを簡単に御説明申し上げておきたいと存じます。
 この問題につきましては、レセプトの電子化と、それから電子カルテという大きな2つの課題がございます。
 まずレセプト電子化についてから申し上げますと、平成18年度全国の病院レセプトの7割以上に普及させようという目標を今、掲げております。目標は掲げておるのですが、今、実際に普及率はどれだけかといいますと、平成17年6月末現在で病院医科で19.7%、約20%でありますし、薬局で52.6%、約50%となっております。したがって、目標達成には大きく遅れております。
 なぜ遅れておるかということでございますが、現在使用しておるレセプトコンピュータシステムをレセプト電算処理システムに対応させるための経費等の費用負担が発生するということ、それから、その導入費用の負担感に比べて導入メリットが十分に認識されていないといったような課題があると私どもは考えております。
 そこで、今後でありますけれども、こうした導入につきましては個別の医療機関の判断により行うものでございますので、導入負担等を軽減しながら適切に導入活用される環境を整備することが私どもの役割であると認識をいたしておるところでございます。
 そこで、平成17年度には普及の最大の障害となっておりますシステムの移行に伴う変更経費の負担を軽減するための必要な変換ツールの開発経費を17億円計上いたしております。具体的には、レセコンにおいて紙に出力されている文字情報をレセプト電算処理システム仕様に変換するツールを開発することといたしているところでございます。
 次に電子カルテについてでございますが、これは平成18年度までに400床以上の病院及び全診療所のうち6割以上という目標を掲げておるところでございます。こちらも17年4月時点の電子カルテの導入率でございますが、これは産業界の調査によるものでありまして、400床以上の病院の約21%となっておりまして、こちらも目標に大きく遅れております。
 これも妨げる要因は、やはりシステムの導入、維持費が高額であるということ。それから、標準化やセキュリティ確保など、基盤整備が進捗中であること。更に、システムの操作性や新旧及び異なるシステム間の互換性が十分に確保されていないということ。また、情報システムの導入効果が十分理解されていないといったような課題があると考えております。これにつきましても、個別の医療機関がその規模や機能を踏まえて、システム導入に必要な資源と得られる利点を総合的に勘案して行ってもらうものでありますので、導入負担等を軽減しながら電子カルテが共通の考え方や基盤に即して適切に導入活用される環境を整備することが私どもの役割だと認識をしておるところでございます。
 そこで、平成17年度には地域中核病院等に導入されたウェブ型電子カルテを診療所等が利用することを支援する事業、これが2.3億円でございますが、更に平成17年5月に取りまとめました標準的電子カルテ推進委員会最終報告を踏まえたさらなる標準化のための基盤づくりでありますとか、平成17年3月に公表いたしました電子カルテ安全に関するための指針の実施など、取り組みを進めることにいたしております。
 以上、簡単に申し上げましたけれども、頑張ってまいりたいと存じますので、今後の御指導をよろしくお願い申し上げます。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。厚生労働大臣におかれましは、特に医療の情報化、カルテとレセプトを中心に大変御労苦が多いことと拝察いたしますが、是非指導力を発揮していただきますようお願い申し上げます。
 それでは、活発な御発言をいただきましたが、そろそろ取りまとめに入らせていただければと思います。評価専門調査会においては引き続き評価を進め、2005年世界最先端のIT国家の実現という目標を掲げたe-Japan 戦略に対する評価について、次回IT戦略本部に中間報告をいただきますようお願いを申し上げます。
 また、新戦略につきましては本日皆様方からいただきました御意見を踏まえた上で、次回本部において私の方から新戦略の基本的な方針の取りまとめ案を提示し、御議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  
(4)中村(邦)有識者本部員によるデモンストレーション 〜人に優しい病院案内システム〜

 それでは、本日は人に優しい病院案内システムとして御高齢の方にも使いやすい自動受付、あるいは診察室や検査室への道案内ガイドにつきまして、中村邦夫本部員から御紹介をいただきます。このシステムのコンセプトは、生活密着型のだれでも使えるITとして今後活用が期待されます。

                 (報道関係者入室)

【棚橋IT担当大臣】
 プレスが入室いたしましたので、中村本部員、どうぞよろしくお願いいたします。

【中村(邦)有識者本部員】
 それでは、本日はデジタルデバイドの解消とプライバシー保護に向けたITユニバーサルデザインの事例として、病院受付案内システムの試作実験機を作りましたので御紹介いたします。
 中央のスクリーンにございますように、今、病院において私どもの調査によりますと、患者さんが困っておられることが大きく4つございます。
 1つ目は、待ち時間がわからない。2つ目が、大病院などの場合は行く場所がわからない。3つ目が、名前あるいは診療を受ける科を知られたくない。4つ目は、御高齢の方などがATMタイプの受付機が難しくて使えない。こういう課題がございます。
 こうした背景から、ユニバーサルデザインと個人情報保護を特徴とした受付・案内システムを用意いたしました。電子診察券には日立さんのミューチップを使用し、患者さんの年齢、身長などの情報を識別いたしまして、その人に最適な受付案内をすることができます。また、病院にとりましても、案内や補助のための人員を削減できるというメリットが出てくるかと思います。
 それでは、まず予約のある御高齢の患者さんが来院されたということでデモをいたします。人感センサーにより、人が近付いたことを検知いたしまして、受付画面に変わりました。患者さんが診察券を読取機に当てるだけで受付ができます。
 ご覧のように、まず名前と診察番号を表示し、その後に本日の診療科、待ち時間などが表示されます。御高齢の患者さんですので、高音を強調した音声ガイドで案内をして、文字も大きくしました。また、程度の差はありますけれども、60歳代以上の約7割の方が老人性白内障であるというデータもございます。私もそうでございます。そういう方でも見やすい配色にしております。
 次の行き先がわかりにくいときは、タッチパネルのボタンを押せば行き先案内もいたします。
 2つ目に、車いすの若い患者さんが来院されたという想定でデモをしてみます。この読取機の高さは電車の自動改札機と同じ85センチで、子どもさんや車いすの方でも無理なくタッチができます。ミューチップ内蔵診察券により、患者さんの車いす利用を識別して表示位置が下に変わりました。
 また、名前は表示されず、音声カイドも働きません。これも、チップからの情報により、この患者さんが名前の表示や音声ガイドを望んでおられないことを認識しています。病院の方のお話では、御高齢の方には1か所ずつの案内がわかりやすいのですが、若い方の場合は全体を知りたいという御要望が多いということで、このように診察内容を全て表示しております。
 小泉総理、よろしければどうぞ実験機の前にお越しいただきまして、診察券の受付案内の御体験を少ししていただきたいと思います。

                 (小泉内閣総理大臣 実験機の前へ移動)

 それでは、この診察券の端の部分を持ってやっていただきたいと思います。
 次に、車いす用の診察券でございます。この下の方に出ます。
 では、少し斜め横でお待ちください。次に、プライバシーの保護に活用できる技術を紹介したいと思います。簡単な技術でございますが、端末を横から見えにくくするために特殊フィルターを張るというものでございます。斜めの角度から画面が見えなくなるかと思います。

【小泉内閣総理大臣】
 斜めからは見えないですね。真っ直ぐは見える。

【中村(邦)有識者本部員】
 これはプライバシーの保護で、斜めからは見えないわけです。患者さんにしか見えないわけで、ここにいる私からは見えません。こういった簡単な技術を御紹介させていただきました。
 もう一つ、スピーカーには特殊な技術を使っておりまして、正面に立った人以外は音が聞こえにくくしてあります。どうぞ、正面にお立ちいただきたいと思います。そして、横に立たれた場合は音が聞こえないかと思います。
 こういうような配慮もさせていただきました。小泉総理、ありがとうございました。

(小泉内閣総理大臣 席に移動)

これは試作実験機でございますので全く不完全な部分もございますが、一例として御参考に供させていただきました。どうもありがとうございました。

【棚橋IT担当大臣】
 ありがとうございました。以上でデモンストレーションを終了いたします。
  
(5)内閣総理大臣挨拶

【棚橋IT担当大臣】
 それでは、予定の時間もまいりましたので、本日の会合を閉会したいと思いますが、ここで小泉総理より締めくくりの御発言がございます。

【小泉内閣総理大臣】
 ありがとうございます。皆さんの御協力のお陰で、世界最先端のIT国家になろうという、その目標が今、実現しております。今後は、世界最先端であり続けるという大変難しいことで、三鷹市は世界大会でカナダとかシンガポールを抑えて世界一になったんでしょう。地方自治体でそういうことが出てくるというのはすばらしいと思います。
 特に今、病院の中村さんが示していただいた、あれはだれでも困りますね。大病院に行くと、何分待っていいかわからない、どこに行っていいかわからない。あれは非常に便利かと思います。
 私も機械に弱い方なんですけれども、最近コマーシャルでいいのがありますね。ツーカーですが、「難しいんだろう?」、「何だ、簡単じゃないか」と、あれにしてもらわなければ困る。だれでも使いやすくて、ITというのはこれだけ身近な生活に恩恵を与えているんだと。つくる方もできるだけ高齢者にも機械に弱い人にもわかりやすいようなIT国家にしてもらって、その便益を受ける。
 そういうために、これから是非とも精力的に検討して、いい案をどしどし出して実現に向かって努力していただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

                  (報道関係者退室)
  
(6)閉会

【棚橋IT担当大臣】
 どうもありがとうございました。総理の御指示のとおり、利用者の視点に立って、利用者本位のIT国家の実現を目指してまいりたいと思います。
 以上で、本日のIT戦略本部を閉会したいと存じます。お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。



(別紙)

《 出席者名簿 》

 小 泉  純一郎内閣総理大臣
 棚 橋  泰 文情報通信技術(IT)担当大臣 内閣府特命担当大臣(科学技術政策・食品安全・食育)
(欠)細 田  博 之内閣官房長官・内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
 麻 生  太 郎総務大臣
(欠)中 川  昭 一経済産業大臣
(※小此木 八郎 経済産業副大臣 代理出席)
 南 野  知惠子法務大臣・内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策)
(欠)町 村  信 孝外務大臣
(欠)谷 垣  禎 一財務大臣
(※倉田 雅年 財務大臣政務官 代理出席)
(欠)中 山  成 彬文部科学大臣
(※下村 博文 文部科学大臣政務官 代理出席)
 尾 辻  秀 久厚生労働大臣
(欠)島 村  宜 伸農林水産大臣
(※常田 享詳 農林水産副大臣 代理出席)
(欠)北 側  一 雄国土交通大臣
(※蓮実  進 国土交通副大臣 代理出席)
(欠)小 池  百合子環境大臣・内閣府特命担当大臣 (沖縄及び北方対策)
(※高野 博師 環境副大臣 代理出席)
(※七条 明 内閣府副大臣 代理出席)
 村 田  吉 隆国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災・有事法制)
(欠)大 野  功 統防衛庁長官
 伊 藤  達 也内閣府特命担当大臣(金融)
(欠)竹 中  平 蔵 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
(※木村 勉 内閣府大臣政務官 代理出席)
(欠)村 上  誠一郎内閣府特命担当大臣(規制改革・産業再生機構)
 伊 丹  敬 之国立大学法人一橋大学大学院商学研究科教授
 上 野   保東成エレクトロビーム株式会社 代表取締役社長
 大 山  永 昭国立大学法人東京工業大学大学院理工学研究科教授
 清 原  慶 子三鷹市長
 鈴 木  敏 文株式会社イトーヨーカ堂 代表取締役会長
 中 村  邦 夫松下電器産業株式会社 代表取締役社長
 中 村  維 夫株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 代表取締役社長
(欠)村 井   純慶應義塾大学環境情報学部教授
上記の他、以下が出席。
 杉 浦  正 健内閣官房副長官(政務、衆)
 二 橋  正 弘内閣官房副長官(事務)
 竹 島  一 彦公正取引委員会委員長
 庄 山  悦 彦評価専門調査会座長