第33回IT戦略本部 議事録
1.日 時:平成17年10月25日(火)17時00分〜18時00分
2.場 所:内閣総理大臣官邸大会議室
3.出席者:[別紙]
4.会議の模様
(1)開会
【棚橋IT担当大臣】
それでは、ただいまからIT戦略本部の第33回会合を開催いたします。本日は、御多忙のところ御参集いただきまして本当にありがとうございます。
(2)新戦略における重点検討課題について
【棚橋IT担当大臣】
本日の議題に入りたいと存じます。本日の議題は、「新戦略における重点検討課題について」でございます。2006年以降の新たなIT戦略については、前回のIT戦略本部において新戦略の基本的な方針を御議論いただき、基本的に了承いただくとともに、今回の本部では有識者本部員の皆様から重点検討課題について積極的な提案をいただけるということになりました。その後、この決定を踏まえ、新戦略の具体的な内容について、有識者本部員を中心に議論をしていただいており、今回の本部では有識者本部員の皆様からの御提言をいただきたいと存じます。
まずは有識者本部員を代表し、伊丹本部員に概要を御説明いただき、次に各本部員の皆様からそれぞれの御提案の趣旨について御説明をいただきたいと思います。その後、自由討議を行う予定としております。
それでは、まず伊丹本部員どうぞよろしくお願いいたします。
【伊丹有識者本部員】
それでは、私が皆様を代表して大変僣越ではございますけれども、前回の本部の会議以降、有識者本部員の間で交わしましたさまざまな議論の結果としてある程度の集約ができたと思われる「新戦略における重点検討課題について」、冒頭に報告をさせていただきます。
お手元の資料1という紙に9つのポイントが書いてある紙がございます。これがその内容でございまして、主な重点課題として9つあるであろうということです。それに付け加えられるものについてはそれぞれの課題ごとに2010年までの到達目標として書いたという趣旨の紙がございます。前回議論し、決定をいたしました新戦略の基本方針に従いまして議論をしたものでございます。
第1の重点課題としましては、「世界一の電子行政の実現」ということを挙げたい。申し遅れましたが、この種の議論をいたしますときに私は最終的な取りまとめで困りましたのは、国全体の戦略としてほどのいいレベルの高さ、粗さといいましょうか。それからもう一つは政府の戦略として意味のあるものということに限定したいと思いまして、そういう趣旨で書いたつもりでございますが、その第1が政府の行政そのものでございまして、世界一の電子行政の実現。
目標の例示としては、電子申請等の利用率50%以上を達成したい。これは2010年まででございますが、現在汎用システムのオンライン利用率はわずか0.7%でございます。
もう一つ掲げます例示的目標は、今後導入するすべての政府関係のIT関連の機器、ソフト等にIPv6対応するようなものにすべきである。現在はそういった導入はごく一部だと推定されます。
2番目の重点課題は、国民生活に大変影響のございます医療の構造改革のためのIT利用の促進でございます。例示的な目標として我々が議論いたしましたのは、電子レセプトの申請の処理等について100%オンライン化を2010年までに目指すということをしたらどうであろうかと考えております。この問題につきましては、既に昨年度からこういった動きが活発化される予定であるというふうに前回のe-JapanUで決まっていたのでございますが、なかなか進捗状況がはかばかしくございません。韓国は既に93%のオンライン率になっていると聞いております。医療の問題はさまざまな構造改革を必要とする典型例だと思いますが、その構造改革のある意味で風穴を空けるためにIT利用を促進すべきだという意見でございます。
一方、そうしたレセプトの100%オンライン化に伴いまして、電子カルテ等のシステムを導入することによって個々の一人ひとりの健康管理の情報システムが整備されることによって国民の医療の改善が行われ、ひいては医療費の削減につながる。そんなことも議論をいたしました。
3番目の主な重点課題として議論いたしましたのはIT人材の育成及び教育のIT化という教育関連の重点課題でございます。挙げるべき目標の例示といたしましては、小中学校、高校のすべての教員にパソコンを100%配置。すべての教員がそういったITを使えるリテラシーを定着するという目標でございます。現在のところ、推定ではございますが、小中高の教員へのパソコン配置率は28%程度と推定されますので、かなり高い目標ということになります。
もう一つの目標は産学官の連携によります高度IT人材の戦略的育成でございまして、専門機関をつくったらいかがかという目標を掲げたいと思います。
4番目は国民の安全及び防犯・防災の目標でございまして「世界一安全な防犯・防災社会の実現」という重点課題を掲げ、その中には防災情報・災害情報システムの整備、あるいはより具体的な交通事故の半減という目標を掲げたらどうか。あるいは、食品トレーサビリティの確立等をICタグの利用等で目指すべきであるという意見がたくさん出ました。
5番目の重点課題は「デジタルデバイドのないインフラ整備」ということでございまして、これからあと3つほどインフラ整備関係の課題が続きます。まずその最初の目標の例示としてわかりやすいかと思われますのは、超高速のブロードバンドの光ファイバーなどでございますが、それを100%の家庭に付設可能にする。現在のところ、超高速ではない普通のブロードバンドサービスが相当程度の家庭に加入可能になっておりまして、93%程度とお聞きしておりますが、これを超高速にし、かつ100%にする。
2番目は、通信と放送のハーモナイゼーション、あるいは連携ということを強化する。2011年に日本のテレビ放送はアナログ放送が終了となり、完全に地上波デジタルの時代になります。こういう社会は世界にも余り例がございません。その特徴を利用して、通信と放送のハーモナイゼーションをインターネット時代に進めるべきだという目標でございます。
3番目は移動体高速通信についての目標でございまして、現在の100倍のめどを目標としてそういった速さの通信網の整備をすべきだ。これが例示の一つでございます。
6番目は、「世界最先端のテストベッド・マーケットの整備・利用」でございまして、こういうITインフラがそろい、なおかつ非常にレベルの高い利用者がいる日本こそ、世界最先端のさまざまなテストのできる、しかもマーケットがある。それを更に整備し、あるいはそれを利用していくことをさまざまなところで行うべきです。
それが6番目の重点課題でございまして、例を挙げますとユニバーサルデザインの、しかもユビキタスの端末の開発の推進に国が大きな力を注ぐべきであろう。もう一つは、これからさまざまな機器が出てまいります。さまざまな通信網が出てまいります。その間のインターフェイスの設定等をきちんとやっておきませんと国全体が混乱をする。そのための役割を国が果たすべきであろうといった問題がございます。
7番目は「国際的通信ネットワークのアジアのハブとしての機能整備」ということで、実際に回線網が世界じゅうに物理的に張りめぐらされている。そのうちの多くの部分を現在、米国が担っている。米国一辺倒というのは望ましくない。世界のトラフィックの25%くらいを日本の回線網が担えるようなことを政府として努力すべきではないかということでございまして、現在このトラフィック25%という数字は、日本が担っているのは恐らく6%から10%の間くらいであろうと推定されます。
こういった7つの重点課題の横ぐしとしてすべての課題に共通する問題として、情報セキュリティ対策をきちんと強化するという課題は決して忘れてはならない。インターネット時代の影の問題を考えるという意味で大切なことだと思います。
最後に、この本部の役割でございまして、司令塔としての政府部内での役割を強化した方がいい。電子政府調達の評価と決定権限をもっと強化するとか、あるいはプール予算を多くするとか、そういったようなことが挙げられるのではないかと思います。
以上が有識者の方々の代表としての伊丹の発言でございますが、お手元の資料2に個々の方々の御意見のメモがございます。これに基づきまして個々の方がこれから御発言なさるはずでございますが、その冒頭に私から一言だけ付け加えたい点がございます。
それは、既にこの書き物自体は取りまとめを若干意識しておりますので先ほど御報告したものとかなり同じでございますので内容は御説明いたしませんが、「めざすべき姿」のところだけを御説明したいと思います。
私は今、取りまとめとして重点課題を書きましたが、一体そういう重点課題で何を実現するんだという姿については、関係者がある程度の共通の理解をきちんと持っていた方がいい。 第1の点は、世界最先端のIT国家を実現して世界のIT革命を先導するんだ。そういう姿を実現したい。
2番目の姿は、そういった最先端の技術とマーケットを生かして、我が国で「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」使えるユビキタスなネットワーク社会を実現するという姿を描くべきではないか。そういう姿は、私はこのお手元のメモは「新しいIT戦略の重点戦略」と書きましたが、新しいIT戦略というのは一般には通用しにくい名前でございます。この新しいIT戦略の名前を考えるときにも、是非こういう姿を考えた上での命名にした方がいいということです。以上です。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。続きまして、上野本部員から御発言をお願いいたします。
【上野有識者本部員】
上野でございます。それでは、私が「新戦略における重点検討課題に対する提案」ということで取りまとめたものを簡潔に御説明申し上げます。
9月2日に新戦略の基本的な方針という中で重点課題として、21世紀型の社会経済活動を進めるということを掲げたわけですけれども、その中に柱として具体的な目標を設定するということを御提案しているわけでございます。その中で、私は「IT経営」ということで高度の産業競争力を実現するということを柱に立ててはどうかというようなことを提案しております。
「具体的目標設定」でございますが、その中では「共通EDIプラットホーム構築」ということを掲げてございます。これは大企業が業界別に、あるいは企業別に縦割りのEDIのシステムをおつくりになっておられて、基幹業務で我々中小企業がそこにアクセスしようとしますと専用の端末を要するとか、ソフト代をお支払いするというようなことが起きますので、共通のプラットホームを構築することは非常に重要ではないかということでございます。
それから、中小企業全体では約450万社あると言われているわけですが、その中でも中規模の中小企業というのは30万社くらいあると言われているわけです。そこの人たちが基幹業務として適用しているというのは今、大変少なくて10%以下くらいしかまだ使えていないということでございますので、ものづくりの上では生産管理とか新製品の開発、あるいは企業間の取引をEDIでしていかないと、ものづくりをより強化するという意味でITというのは非常に重要だと私は認識しているわけです。
そういう面でいうと、中小企業の場合にはなかなか新しい設備を導入して、それからもっとものづくりを強くしていくという思想があると思いますけれども、IT設備投資が高額なためまだ十分ではないので、そこのところに力を入れていく必要があるのではないかと思っています。 その場合に業界と業種共通のソフト、それからパッケージのソフトですね。それから、カスタマイズしていかないと同じように皆、使えないわけでございますので、そのことの政策支援が必要ではないかということを考えております。
それからITのメリットを理解する普及啓蒙活動、これも非常に私は重要だと思っています。ものづくりのことについての重要性というのはそれぞれ認識しておりますけれども、ものづくりをより強化するということについての知識がまだ十分ではないと思っていますので、この広報活動に力を入れていきたいと思っております。
それから、中小企業というのは中小企業の経営者自体が重要な役割を担います。経営者がしっかりとした経営方針、それからビジョンをしっかり掲げていないと中小企業自体はよくならないということでございますので、この経営者を支援していく。そしてITの重要性と、それからITの担当あるいはそれをどういうふうに推進するかというところをしっかりと支援していきたいと思っています。
あとは、ものづくりでいきますと技能をどういうふうにして伝承していくかということが大変重要でございまして、その場合にやはりデータベース化をしていくということが不可欠だと思っておりますので、この辺のところも完全データベース化ということを掲げていきたいと思っております。
それから、それぞれ内閣府が司令塔となってIT化を推進するわけですけれども、その場合にモデルとなるような成功事例というものはどんどん出てまいりますので、目標として年間1,000件くらいのモデルの成功事例というものを公表して、そこに普及活動を促していくというようなことを是非やっていきたいということを提案しているわけでございます。以上でございます。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。続きまして、大山本部員お願いいたします。
【大山有識者本部員】
東工大の大山でございます。私の資料は3ページ目に集約されていて、医療関係がその後の4、5ページの2ページにわたって、電子政府関係が6、7ページに、ディバイドの関係が8ページに書いてあります。時間の関係と私が今日申し上げたいことを集約することから、医療分野と電子行政サービスについて説明いたします。
既に、構造改革を始めさまざまな形でわが国はよりよい方向に動き始めていると思いますが、将来を考えますと国全体の最適化を考える必要があります。特に公的な資金を使っている行政サービスや制度を国がつくり、官及び民が実際にサービスを提供している公的な分野、その代表格が医療分野ですが、これらについては少なくとも国民を中心としたよりよいサービスを、よりリーズナブルなコストで提供することが不可欠と考えます。この全体最適を実施することを前提に置いた上で、まずは具体的に医療分野について述べます。
医療分野については、既にe-Japan 戦略Uに書かれていますが、前回のこの本部の会合で意見を述べたように、残念ながら余り進展していません。したがって、この部分については引き続き努力をするのが原則です。これらを含めて4つ示しています。
最初に「レセプトのオンライン化による事務経費の削減と予防医療への活用」です。そもそも医療の分野においては、財源の余裕と国民の満足があれば決して医療費そのものを下げろという話ではないと思います。
しかしながら、現状の医療費およびその増大予測を考えると、少なくとも事務経費については大幅に削減すべきであると考えます。レセプトは現在年間16億件、枚数にすると30億枚以上の紙が使われている状況を見ると、金融機関の例で容易に理解されるようにそのオンライン化を行えば、かなりの事務経費の削減になると予想されます。予測では年に2,000億以上の削減効果があると思われることからも、レセプトのオンライン化はすぐにやるべきではないかと考えます。
加えて、これからの個人、国民の生涯を通じての健康情報を利活用し、国民一人ひとりが生涯どれぐらいの医療費を使っているかということなどを理解するため、順次になると思いますが、はじめにレセプト、次にカルテの本人情報の開示原則を徹底すべきと考えます。これによって国民一人ひとりが自らの健康状況を的確に理解し、そしてうまく生活習慣などをコントロールする努力につながると考えます。
3つ目は「医療におけるより効果的なコミュニケーションの実現」で、これには2つの場合があります。一つは医師対医師で、わかりやすい例としては山間僻地や離島、さらには最先端医療における遠隔医療サービスの実現です。次は医師対患者さん、あるいは医師対国民で、例えば地上デジタルテレビ等の双方向通信を使った受診前の医療提供サービスがあります。具体的には4ページに書いてあるように、救急車による救急搬送の依頼時に応急処置ができるように依頼している方にお伝えすることが考えられます。これによって救急車の出動回数も減りますし、例えばのどに何かを詰まらせた場合にも、適切に対応できる可能性があると期待されます。
2つ目は、小児救急における受診相談窓口の開設で、これは突然子供が熱を出した場合など、若いお母さんたちが非常に心配になっているところに対応するものです。これらはまさしくITを使うことで可能になるものです。
4つ目は、以上申し上げたレセプトのオンライン化、生涯を通じた健康情報の利活用、効果的なコミュニケーションの実現の3つを支えるインフラの整備です。最初は、国民および患者さんを確認するためのICカードの利用です。次は、医師を含めた医療従事者の方々の資格を確認するためのヘルスケアのPKIです。3つ目は個人情報の秘匿を実現するためのセキュアなネット基盤の構築です。
また、以前からの課題であった電子カルテについては、より実質的な効果を持つ統合系のホスピタル・インフォメーション・システムの導入促進を図るべきと考えます。
次に電子行政サービスについて述べます。まずは「オンライン利用に向けた取組を徹底」すべきと考えます。先ほど伊丹先生からもお話がありましたが、私は2010年までに申請の50%、これ以上を目指すということが必要と思います。
次は全体最適化で、最初に申し上げました国全体の最適化の一つになりますが、電子行政サービスに特化すると、中央政府が自ら構築・運用する電子政府の最適化になります。これができなければ、国の最適化と言ってもなかなか難しいかなと思います。具体的には、各府省にCIO及びCIO補佐官を中心としたプログラム・マネジメント・オフィス、すなわちPMOを設置し、まずは各府省が持っているすべてのコンピュータシステムの店卸しを行います。これにより重複した情報やシステムを簡素化することができます。この作業により、現在約1兆円毎年かかっている費用が、既にCIO補佐官及びCIOを中心として行われてきた業務・システムの最適化で1,000億以上の削減効果があると言われていますが、更に1,000億円以上の削減効果が見込まれます。
また、このプロジェクトをうまく推進することで、競争的な市場を育成し、結果的にわが国のITベンダーの国際競争力を強化することも可能と期待されます。
さらにIT戦略本部の下に電子政府評価委員会のようなものを設けて、国全体の最適化をするときの調整を図ることが重要です。場合によっては、今つくろうとしているシステムの構築を止める必要もあります。今の制度では、難しいのはわかるのですが、こういったさまざまなことを進めていくことが最適化に向かう必要条件と考えます。
3つ目は「電子行政サービス推進に利用する技術の戦略的調達」です。例えば既に電子署名は重要な技術になっていますが、現在実用化している電子署名の技術は国産ではありません。国産の技術はあるのですが、残念ながら実用になっていません。このような暗号技術は電子政府をつくる中で極めて重要な基盤で、うまく政府調達につなぐことで、日本の力にしていくことが重要と思います。
4つ目は、公共分野におけるICカードの利活用です。これは繰り返し申し上げますが、個人を特定し、その情報が正しいことを認証し、更に電子書名を用いて本人の意思を確認する3つの機能が必要で、これは電子政府の高度化に不可欠なものです。
この目的に合致する候補としては、既存の住民基本台帳カードがあります。現状のカードは、安全面では十分ですが、利便性については不十分です。したがって、このカードの改訂版を出し、更には個人認証サービスとセットにすべきというのが私の意見です。細かいことは添付した資料に書いてありますので、今日は時間の関係で以上とさせていただきます。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。続きまして、清原本部員お願いいたします。
【清原有識者本部員】
三鷹市長の清原でございます。今日は9ページと10ページの2枚を用意させていただきましたが、最初に9ページの内容につきましてポイントのみお話をさせていただきます。この項目の大方は資料1で伊丹本部員が反映をして御紹介くださいましたので、私としては自治体の利用者の立場から特に幾つかの点について申し上げます。
まず第1点目は、この日本が誇れる日本の国づくりという形でITの新しい形を示していくときに、何よりも民学産公の協働を密接に行うための体制を示していくことが有効と考えます。2005年までは評価専門調査会が中心となってPDCAのサイクルがきちんと実行されたなど、準備的な活動があっての今後の展望でございますが、私は日本の国民が利便性、先進性を実感できるモデルをつくり、それを国際的に示していくこと、先端から先導へということが今後大きな総合的な重点を置くべきポイントだと思います。
それでは、それを具体的に示していくときに何が有効かということですが、電子政府はかなり進展しておりますが、電子自治体につきましてはやはり国民の利便性の実感が乏しいので、電子申請等が利用率50%以上を達成するような在り方が求められるでしょうし、細かいことで恐縮なのですが、「2010年までに文字コードの統一を」と、このようなことは是非有効な利用の基礎として、推進していただければと思います。
なお、3の「高齢者・障がい者等の自律的移動・活動への支援の展開を」や、あるいは5で示しました「便利な子育て支援サービス」や「地域ケアネットワーク」というところで具体的なITの利用が見えることは、国内的にも、より実感を込めてITの利便性を享受できることにつながるのみならず、国際的にもテストベッドとして有効な在り方を示すことになるのではないかと思います。
そして、特に4と6の共通の「安全・安心」というところは、安全・安心を重視してきた日本が国際的にも発信できる分野であり、特に情報セキュリティについては先導を示していく意義ある部分だと思います。
なお、8のところでございますが、伊丹本部員のところで「すべての教員にパソコンを配置」ということが明確にうたわれました。私ども三鷹市でも、児童・生徒のパソコンの配置はほぼ行き届いているのですが、教員までとなりますと自治体ではなかなか限界があり、そこがネックになっておりますので、この辺につきましては国としての方針の明確化が大いなる支援になると思います。
続きまして、10ページのことにつきまして簡単に申し上げます。私は、新たなIT戦略につきましては国民の皆さん、そして国際的にもより一層注目をいただいて一緒に担っていただくことが大事かと思います。そこで、重点検討課題を支えるキーコンセプトを考えてみました。
まず何よりも基礎は下にあります「協働、コラボレーション」でございますが、「安心」というところでは「セーフ・セキュリティ・サティスファクション」、「感動」というところでは「コンテンツ・コミュニケーション・カルチャー」、「便利」というところでは「ユニバーサル・ユビキタス・ユニーク」、「向上・改善」というところでは「エデュケーション・エバリュエーション・エンパワーメント」です。頭の「3S」とか、「3C」とか、「3U」とか、「3E」とか、そういうようなところで、国内のみならず国際的にも発信することで私たちが重点検討課題を置いて目指すべき方向を世界に示していくべきではないか。そのことによって重点検討課題を整理することが訴求力としてパワーがあるのではないかということで、自治体で日々国民、市民の皆様に共有すべき方向性をわかっていただく努力をしている立場からの御提案でございます。以上です。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。続きまして、鈴木本部員お願いいたします。
【鈴木有識者本部員】
鈴木でございます。11ページにございます私が提出した資料では、特に事業者サイドの視点に立って重要と考えられる課題を幾つか挙げてみました。なぜならば、実際のビジネスを通して日々感じていることですが、世の中を変化させる主体者は常に利用者サイド、つまり生活者、消費者であり、供給者サイドの視点からだけでは実効が上がらないからです。
例えば、ユニバーサルデザインのユビキタス端末開発というようなテーマでは、携帯電話に代表されるパーソナルな端末なもちろんですが、家庭、学校、役所、病院等はもちろんスーパーやコンビニエンスストア等、国民が普段の生活の中で利用している文字どおり生活拠点の端末などの連携を含め、設計していくべきと考えております。
また、利活用のスピーディかつ健全な促進には、機器間のインターフェイスとともに人間系のインターフェイスも同時に整備されるべきだと考えております。安全あるいは安心な生活を支える食品のトレーサビリティ、つまりその食品がいつ、どこで、だれによって、どのような環境の下で、どのように生産されているか等々について、ITの活用によって携帯電話やパソコンを通して手軽に情報を入手できる仕組みづくりの重要性も課題として挙げさせていただきましたが、これにつきましては後ほど本会議の最後にプレゼンテーションの時間をいただき、具体的に説明をさせていただきます。以上でございます。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。続きまして、中村邦夫本部員お願いいたします。
【中村(邦)有識者本部員】
松下電器の中村でございます。私は、新戦略におきまして利用者視点あるいは産業力強化という視点から重点取り組みと成果目標を設定して、PDCAサイクルによるフォローを行うことが重要であると思っております。こうした視点から、本日は4点述べさせていただきます。 まず1点目は、「ITユニバーサルデザイン」についてであります。このITユニバーサルデザインにつきましては、デジタルデバイドを解消して全ての国民がITを活用するための基本コンセプトであり、利用者視点で基準づくりを行って公共スペースなどから導入することが有効であると考えております。
2点目は、IT経営をリードする大きな構想力を持った「高度情報通信人材の育成」であります。これは将来の日本の産業力を担うものであり、産官学の連携によって専門の教育機関を設置すると同時に、大学院生などの資金援助を行うファンドの設立や、高度で実践的なプロジェクトを通じて収入を得られるようにすべきであると考えております。
3点目は、「国民生活の安全保障」です。これにつきまして、今後は防犯、防災と災害対策、交通事故削減といった具体的な形で落とし込む必要があると思います。一例だけ挙げますと、交通事故削減の取り組みでは、自動車側の安全走行について極めて大幅な技術革新が進行中でありますけれども、最近の交通事故では歩行者が犠牲になることが際立って顕著になってきております。そういう点からしますと、歩行者優先の観点に立ったIT技術開発が必要であります。よろしくお願いいたします。
4点目は「インフラ整備」であります。国民生活の安全保障はもとより、全ての面でニーズに対応していくためにも有線と無線による超高速インフラを再整備していかねばなりません。携帯電話、テレビ、カーナビなど、様々な端末を介して最適方法で情報を伝えることが重要であります。
少し話は変わりますが、在宅勤務について申し述べてみたいと思います。今、小さなお子さんを持つ女性や、介護を必要とする方々の家庭の約75%の方が在宅勤務を希望しておられるという調査結果があります。在宅勤務につきましては、総務省を始め関連省庁が連携して取り組んでおられますが、インフラの高度化が進めばさらに在宅勤務が拡大し、少子高齢化といった社会的課題の解決、或いは女性の活躍や産業力強化にもつながると思っております。光ファイバーや4G携帯電話網の整備については、目標と時期を定めて進めていくことが重要かと思います。
同時に、このような高度ITインフラの利活用を国民生活に密着した形で進めるために、また産業力強化の観点からも、IT投資の拡充強化を継続的にしていただきたいと考えております。以上です。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。続きまして、中村維夫本部員お願いいたします。
【中村(維)有識者本部員】
ドコモの中村でございます。私のペーパーは13ページでございますが、「新戦略全体のテーマ」といたしましては2010年に国民は意識せずに当たり前の存在としてユビキタスネットワークの恩恵を享受できる。そして、目標としては安全で快適なユビキタスネットワーク社会を実現して、世界に先駆けたライフスタイル先進国といったものを目指したいというのが大きなテーマでございます。
「具体的な取組み」でございますけれども、ラストワンアクションと書いてございますが、ラストワンマイルに引っ掛けて、ここで言いますと教育、障害のある方、働きやすい環境、介護医療、行政手続き、こういった最後のところでもうひと行動起こして、実現にITの課題解決力を生かすといった意味でそういった各分野について書いてございます。
それから、「IT基盤の整備」でございます。私の方は2010年に3,000万以上の光ネットワークを利用できる環境の整備ということで、伊丹先生のまとめていただきました超高速ブロードバンド100%ということはデジタルデバイドをなくすという意味での目標設定でございますが、実現に向けてはかなり不採算地域等がございますので、そういった意味での政府の政策が前提だというふうには考えてございます。
それから、移動体通信につきましても現在も100倍のデータ通信速度を実用化する。そして、情報基盤を整備していくということはやらなければならないと思っております。
それから、3番目に書いてございますが、「日本発のビジネスモデルでITによる課題解決力・新しいライフスタイルを世界に発信」、そして日本の存在意義というものを世界に示していきたいというようなことで、大体伊丹先生に書いていただきましたまとめの中に取り込まれております。そういったことが私の意見です。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。続きまして、村井本部員お願いいたします。
【村井有識者本部員】
IT基本法ができ、IT戦略を考える際、デジタル情報を使って国民全体で知識や情報の共有と交換ができるような国にするというのが理念としてあり、その理念の下、IT戦略をここまでやってきたわけですが、おそらく最先端になったという意味では富士山の頂上が雲の上に見えているという状況だと思います。我々の社会がそこをうまく利用して進めば進むほど、ここに参加していない人がいるということが深刻な問題になってくると思います。そういう意味では、富士山の裾野が日本全体のすべての国民をカバーするということと、それから雲の上であり続ける先端性、この両方を同時にやっていかなければならないということがあります。
2010年という目標は2011年がアナログテレビの停波の年であり、テレビ放送にアナログがなくなってしまうという背景があります。国全体に降っているアナログがデジタルに変わるということは、お祭りと言ったら怒られると思いますけれども、やはりこれはかなりショッキングなできごとで、その前に何を準備しておくのかということが2010年の目標です。2011年にデジタルテレビはすべての国民が見られる、つまり、すべての国民がデジタル情報の恩恵を享受できるという目標年として、私はここでは「e-Japan 完成年」と言っておりますけれども、そのくらいの目標意識を持って2010年を迎えたいというのが一つの考え方です。
それからもう一つ国際戦略で申し上げておきたいのは、日本は極東・ファーイーストと言って東の一番端にある国とよく言われてきました。しかし、インターネットは海底の光ファイバーが非常に安いため、現在はアメリカを中心に大西洋と太平洋にしかケーブルがない状況です。そこでどんどんトラフィックが流れていますから、今や日本は西の最果・ファーウエストなわけです。日本と日本の左側には殆どトラフィックはありません。全部右側です。そうすると、ヨーロッパとの通信は全部右側経由、アメリカ経由で通信をしております。
そろそろこの状況は問題なのではないか。これを考えていくのはまさにIT戦略だと思います。この問題はリアルタイムのトランザクションでインターネット、情報通信が使われるようになったために技術的かつ政策的に非常に深刻です。日本とヨーロッパ間の通信はアメリカ経由なのでとても遅く、日本とアメリカは直結なので早い。日本の左側を見ると国際的な通信インフラがほとんどできていない。この状況は国際戦略として考えなければならないことだと思います。
それから、2010年までの目標という話に対して経済財政諮問会議などでは2030年までを考えていますけれども、この2030年に対する戦略というものを考えるとき、重要なのは子どもと研究だと思います。つまり、2030年を担う子どもたちの教育がきちんとできているかが課題です。小学校の環境については先ほどのお話のように先生に1人1台等いろいろ目標を設定できると思いますけれども、気になるのは小学校の先生の現状です。現場で見ていますと、コンピュータのサーバーが落ちると算数の授業をやめて走っていき、コンピュータの電源を入れ直すといったことがありますので、私はやはり大山先生などのお話にCIOというのがあるときに、これが一番必要なのは小中高の学校なのではないかという気がいたします。また、大学の研究というのも2030年という25年後を見たときには大変ポテンシャルとして大事になるだろうと考えております。
最後に、電子政府やセキュリティ、こういうものはコミットメントですから、調達のガイドライン等といった約束事の中で動かしていくということがとても重要な領域だと思います。IPv6もアメリカ政府が政府調達の中に日本より先に入れてしまったのは驚きですけれども、そういった約束と毅然とした方針も同様です。
また、意見書に書いた公開企業のすべてがセキュリティのガイドラインをきちんと守るというようなことをコミットしていくことが、やはり電子政府のセキュリティ絡みでは大事になるのではないかと考えております。以上です。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。次に、庄山座長から御発言をお願いいたします。
【庄山評価専門調査会座長】
評価専門調査会としては、前回のIT戦略本部で第五次中間報告書の御説明を申し上げました。今回はそれを整理いたしまして資料2の21ページ、22ページに述べさせていただいております。今回の重点検討課題の案にかなりの部分を入れていただいておりまして、その点は感謝申し上げる次第でございます。以下、3点ほど申し上げたいと思います。
1点目は、目標や指標の設定についてということでございます。例えば普及率や利用率の向上を目標に掲げる場合には、得てして数値の向上のみにとらわれがちでございまして、この普及が図られることはもちろん大事なことなのでありますが、利用者である国民や企業に具体的な喜びが提供されるということが本来は大切だろうと思います。利用者の観点からの評価の基準を設定した方がよろしいのではないかということでございます。これにつきましては、第四次の中間報告で民間の改善手法を利用して、戦略目標、取り組むべき課題、施策とかというものの体系化について御提言いたしましたし、第四次の中間報告では指標についての考え方に言及してございますので、参考にしていただければと思う次第でございます。
2点目は、PDCAの観点が今後とも引き続き重要だということでございます。これは、常に成果に対する自己評価を踏まえて新たな取り組みが措置される、こうしたサイクルを回していくことが重要だということでございます。弊社でも、こういうことを申し上げたからには頑張れということで、最近PDCAを盛んに言っているようなところでございまして、是非このPDCA的観点の取り組みというものを継続してお願いをしたいと思います。
3点目は、やはりITの効果というものによりましてかなりすばらしい成果があがってきているということでございまして、引き続きその利活用を進めていくことが重要だという認識でございます。ITの恩恵を国民がより享受できるように、そして国際競争力強化のためにも、民間をあげてのIT投資の促進がより一層必要ではないかと思っている次第でございます。
以上、3点ほど気が付いたところを申し上げました。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。最後に、宮内議長から御発言をお願いいたします。
【宮内規制改革・民間開放推進会議議長】
規制改革の観点からお話をさせていただきたいと思います。
先ほど伊丹本部員からお話がございました9つの重点検討課題を拝見しながらでございますけれども、これをどのように実行していくかということが今後の一番大きな課題ではないか、そのためにIT戦略本部の在り方ということ、本部の司令塔としての役割ということは非常に大事になるのではないかと思います。
先ほどの9点の中で申し上げましても、例えば超高速ブロードバンドを100%家庭に敷設するということがもしできたといたしますと、頭の中ではいつの間にか放送と通信というのが一緒になってしまった世界が考えられるわけでございますけれども、実のところ、そうはならないのだろうと思います。そこにはやはり通信、放送という2つの法体系があって、現在のままではそこは混じることのできない制度になっている。そういう制度を動かさない限り実現ができないということだろうと思います。
また、電子政府というようなことで非常に力を入れておりますが、実は省庁間の壁というものを崩さない限り、本当の意味の電子政府はできない。例えば、各省庁が独特のやり方、システムを持っているということでございますと、ワンストップサービスというようなことは実現できないわけでございます。そういう意味で、例えば港湾のワンストップサービスというのは昔から話が出ておりますけれども、なかなか諸外国のように実現できない。それは制度的な壁があるということだろうと思います。
また、医療の分野で2番目に出ておりますレセプトの100%オンライン化というのは何年も言い続けてきたわけでございますけれども、現在のところ目標未達でございます。韓国の100%近いというところに比べますと、余りにも実態がついてこない。そういうことで、これはどのように実行していくのか。この実行の司令塔として、当本部は省庁間の壁を壊していく。省庁横断的、分野横断的な問題に、例えば政治のリーダーシップを含めてやっていくということがなければ実現しないのではないかと思います。そういう意味で、本部の在り方について再度お考えを強めていただくということをお願いしたいと思います。
また、その際、民間の経済活動を活発化するということが最終的に一番重要だということになりますと、民間の考えているいろいろな要望ですね。あるいは提案ということを受け付けまして、それを取り入れながら実行していく。実際上、経済効果ということをもたらすにはそれになしには動かないんだろうという観点を是非、本部の中でお持ちいただければと思います。以上でございます。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。
それでは、自由討議に移りたいと思います。御自由に御発言をいただければと思います。まだ少し時間がございますので、閣僚側の皆様もどうぞ御自由に御発言をいただければと思います。
【小泉内閣総理大臣】
レセプトの電子化はどうして遅れているんですか。
【尾辻厚生労働大臣】
この最大の障害というのは、まず電算化に対してコンピュータソフトのファイルが必要でありまして、病院において経費がかかる。要するに、病院が自分で金を払わなければいかぬものですから、どうしてもそこがネックになるわけでございます。金を払ってやってくれと言わざるを得ない。
【小泉内閣総理大臣】
そんなにお金がかかるんですか。
【尾辻厚生労働大臣】
やはり結構かかりますね。ですから、その金がかかるというところでどうしても二の足を踏むということでございます。
【大山有識者本部員】
お金がかかることは事実ですが、市場を競争的な環境に変えていくのが本来の姿です。すなわち、レセプトだけではありませんが、特定の企業のものしか使わないような状況では、なかなかうまく値段が下がっていきません。また、コンピュータ機器をカスタマイズしても費用が余計にかかります。特にソフトウェアは共通化されていないため、必然的に経費が増大します。更に、現状では保険点数の改正が決まると保険点数などに関するテーブルを直ぐに入れ替えるための人手の作業を要するため、結果としてこれらの費用がすべて積み上がって、費用がかさんでいると言えるのではないかと思います。
このような問題を解決するためのやり方には、いろいろな方法があると思いますので、方針を決めていただければ、進め方はあるのではないかと考えます。
【小泉内閣総理大臣】
奨励策はないですか。こういうものを進めていけば何かよくなるという策はないんですか。
【宮内規制改革・民間開放推進会議議長】
過去に、インセンティブ、ディスインセンティブなどについて何度か提案をしておりますが、それはなかなか受け入れていただけなかったという格好でございます。
それから、お金がかかるということは確かにかかるのでございますけれども、今お話がございましたように安価でできる方法というのは十分考えられると思います。やはり競争を持ち込むということは一番重要なことではなかろうかと思います。
【小泉内閣総理大臣】
インセンティブについてはどういうことですか。
【宮内規制改革・民間開放推進会議議長】
現在も、導入時の補助制度があり、むしろ、電子レセプトでやらなければ、紙の処理にかかる費用を保険の点数などで負担させるとか、そういう仕掛けというのは幾らでも考えられるわけです。そういう御提案もさせていただきました。
【大山有識者本部員】
もう一つ申し上げておいた方が良いことがあります。患者さんが幾つかの医療機関を渡りで診療を受けるという例があって、この場合には2番目、3番目の病院は、前の病院で何の薬をもらったが分からない限り、その場では例えば3割の本人負担分で確かに薬をもらえるのですが、医療機関が後でレセプト請求を行うと保険者からは切られることがあり、結果としてその分は医療機関の負担になっています。
すなわち決済が遅いと、患者さんには服用過多となる薬の無駄があり、医療機関にとっても損をするというようなことが起きています。ここにITを導入してリアルタイムで患者さんの状況が分かるような仕掛けができていれば、患者さんに対しても同じ薬を必要以上に提供しないような方向へ持っていけば、医療費も下がりと予想されます。このようなことは麻生大臣が一番御存じかもしれませんが。
【麻生総務大臣】
全くそのとおりです。医者は、前の病院との関係を知られたくない。自分のところの手当ての内容も全部ばれてしまう。医者の方は怖いですね。そこは恐ろしく嫌がるかと思いますが、でもこれはやった方がいいです。
【伊丹有識者本部員】
一般論としてこういう日本ではゼロ%、韓国で93%というような甚だしい差が出てくる場合には、決してそれは技術的、あるいは単純的な経済計算の理由ではなくて、背景に社会慣習や制度や既存の利害のものすごく大きなうごめいている障壁があるというふうに考えるのが常識だろうと思います。
この場合も、私は医療の分野の専門ではございませんので具体的な事実を非常に細かく知っているわけではございませんが、わざわざこの取りまとめの項目を「医療の構造改革としてのIT利用の促進」といたしましたのは、医療の分野でさまざまな改革が進まない。その本丸のところにITを無理やりにでも導入し、そこでいろいろなことが見える形にしてしまうことによって大きな構造改革が進むのではないかと思って書いた項目でございます。
【尾辻厚生労働大臣】
私どもがこの度、出しました医療制度は、まさに構造改革の試案の中でこのことはしっかり盛り込んでおりますので、いよいよ年末に向けて具体的な検討もし、施策もまた入れていきたいと思っておりますので、皆様方の御指導をお願い申し上げたいと思います。いずれにいたしましても、年末までにきっちりとこの案はつくりたいと考えております。
【小泉内閣総理大臣】
これを患者が嫌がることはありますか。
【大山有識者本部員】
患者さんの中には、自分の病気がこうだと思っていて、そう言ってくれるまでお医者さんを渡り歩く人がいるという話を時々聞きますが、一般的にはどこでどのような薬をもらっているかを医師に知られることより、適切に服用できるほうが重要と考えているのではないかと思います。特に、重複した検査や複合作用を持つ投薬を避けたいというのが本音ではないかと思います。だからこそ、次の医療機関に患者さんの状況を伝えることが重要であり、そのために開業医さんと中核病院、更に高度先端病院などの連携が必要になっていると思います。したがって、患者さんにとっての問題はないと思います。
【清原有識者本部員】
自治体は医療保険の国民健康保険の保険者であるわけなのですが、そういう立場から考えましても、やはり医療補助とか、そういう手続きを国民、市民の皆様がされる際に客観性のあるデータができれば、それについては国民、市民の利便性も上がりますが、自治体の事務の手続きの簡素化とか、その部分の人員を相談に向けられるとか、そうしたプラス面もあるかと思っています。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。では、文部科学副大臣どうぞ。
【塩谷文部科学副大臣】
別の点でございますが、文部科学省としても前回の2010年までの新しい戦略に対して省内でもIT戦略本部において正式に決定したところでございますが、本日それぞれ有識者の皆様方で政府の新戦略をいろいろ議論していただいておりますが、特に最近急激に進展する情報化社会の中で我々が心配するのは、情報のモラル教育とか、それから有害情報対策、これに対して何らかの有効的な自主規制なり、規制なりを合わせて考えていただくことが大事かと思っておりますので、我々学校あるいは家庭、地域と連携してそういう体制をとろうと思っておりますが、特にこの分野においても是非有識者の皆様方にも有効な考え方を出していただければと思っているところでございます。
【麻生総務大臣】
村井先生、やはり昔に比べてブロードバンドが通用するようになって、ベルトの広いのではないんだということで普通に通用するようになったから、2年前にWSISでブロードバンドと言って通じた国家元首は本当に数名です。それが今は全員使えますから、多分今年になったらユビキタスは全部通じるようになります。私はそう思っています。
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。
大変活発な御議論をいただきましたので、本日の皆様方からの御提案を踏まえた上で、次回本部において新戦略の原案を御議論いただきたいと思います。引き続き御協力をお願い申し上げます。
(3)鈴木有識者本部員によるデモンストレーション 〜顔が見える食品〜
【棚橋IT担当大臣】
本日はデモンストレーションといたしまして、「顔が見える食品」として、携帯電話等により野菜、肉等の食品の生産・品質に関わる情報公開について、鈴木本部員から御紹介いたします。
(報道陣入室)
【鈴木有識者本部員】
本日は、弊社が開発いたしましたプライベート・ブランド商品、顔が見える食品について御紹介をいたしたいと思います。
皆様御承知のとおり、BSE問題や残留農薬の問題など、ここ数年、食の安全性に関わる問題が数多く発生して、お客様の間に安全な食品に対するニーズが急速に高まっております。このニーズに対しまして、私どもイトーヨーカドーでは生産から流通までの履歴管理と情報公開を可能にした商品として、2002年5月から5店舗で「顔が見える野菜」から販売を開始いたしました。「顔が見える野菜」はお客様に御評価いただき、現在はイトーヨーカドー全店で販売をいたしております。生産者の数も1,500人を超える規模になっており、野菜以外にも果物、肉、魚、卵等も取り扱っております。
「顔が見える野菜」は、商品のシールに二次元のバーコードやID番号によって携帯やパソコンから生産履歴を参照して安心・安全を確認できるシステムになっております。また、安心・安全を確実なものにするためには、生産や流通が正確かつ決められた手順で行われているか、第三者によって評価・検証を行っています。顔が見える野菜の売り場と商品の例でございますが、商品の表には二次元のバーコードとID番号の記載されたシールが張られております。
それでは、デモに移らせていただきます。
(デモンストレーション開始)
【鈴木有識者本部員】
今、総理に見ていただいているのがこちらの方に映っているものでございます。実際に店へ携帯を持ってきて、こういうものを見ているお客様もおります。
【小泉内閣総理大臣】
この人がつくっているというわけですね。
【鈴木有識者本部員】
そうです。それで、こちらの方に生産者の方の御住所があります。
それから、このボタンを押しますと、このトマトを使っておいしくいただけるメニューも出ます。
【小泉内閣総理大臣】
料理方法。こうやってつくるとおいしいということですか。調理時間やコレステロールまで書いてある。
これは1食品ごとにこうなっているんですか。
【鈴木有識者本部員】
はい。当社の青果の約1割の商品がこうなっております。
【小泉内閣総理大臣】
ここまで見て皆、買っているんでしょうかね。
【鈴木有識者本部員】
1日当たり1,000件くらいあるそうです。
【小泉内閣総理大臣】
これは普通のより高いんですか。
【鈴木有識者本部員】
10%くらいかと思います。
【鈴木有識者本部員】
これは早急に普及するだろうと思います。それから、持ち帰って家でパソコンを通して見ているお客様もいます。
【小泉内閣総理大臣】
これで和牛か輸入牛かがわかるし、どこでつくっているかもわかるんですね。
【鈴木有識者本部員】
今、肉についてはBSEの問題がございますので、肉の場合の画面をちょっと映してみます。
【小泉内閣総理大臣】
これは、農家と店と直約しているんですね。
【鈴木有識者本部員】
そうです。例えば東京近辺で言いますと、昔はレタスならば群馬のどこどこが産地だったというのが、逆に顔が見えるということで東京の近郊の農家のものの方がよく売れるようになってきているんです。だから、そういう意味でも流通の大きな革命と言ってもいいくらいの変化が出てきている。
先ほど見ていただきましたお客さんの意識の変化というところでも、いかに安全性ということについて皆が気を配ってきているか。実際に商品を扱っている我々以上にお客さんがそういうことにものすごい関心を持ってきているということが言えるので、今後大きな変化をしていくのではないかと思います。
【小泉内閣総理大臣】
ほかのコンビニでもやっていますか。
【鈴木委有識者本部員】
これはイトーヨーカドー独自のものでございます。いずれはこういうこともどんどん普及していくようになるのではないかと思っております。
【小泉内閣総理大臣】
日本以外に、世界でどこかやっているところはありますか。
【鈴木有識者本部員】
まだないですね。むしろこういうことは今、日本が一番進んでいると思います。
【小泉内閣総理大臣】
日本人独特のこだわりですか。これは世界でまた感心されますね。このうるささがいいんでしょうね。技術の向上、安全性の向上、おいしさの向上。
【棚橋IT担当大臣】
どうもありがとうございました。それでは、予定の時間も過ぎてまいりましたので本日の会合を閉会したいと存じますが、ここで小泉総理より締めくくりの御発言がございます。
【小泉内閣総理大臣】
お陰様で最先端のIT国家になったんですから、これからも上げ続けるということですが、先ほどの遅れているレセプトの電子化は何とか奨励して進めるように具体策を考えていただきたいと思います。またよろしくお願いいたします。
(報道陣退室)
(4)閉会
【棚橋IT担当大臣】
ありがとうございました。
以上で本日のIT戦略本部を閉会したいと存じます。大変お忙しい中、どうもありがとうございました。
| (別紙) |
《出席者名簿》 |
| | 小 泉 純一郎 | 内閣総理大臣 |
| | 棚 橋 泰 文 | 情報通信技術(IT)担当大臣 |
| | 内閣府特命担当大臣(科学技術政策・食品安全・食育) |
| (欠) | 細 田 博 之 | 内閣官房長官・内閣府特命担当大臣(男女共同参画) |
| | 麻 生 太 郎 | 総務大臣 |
| (欠) | 中 川 昭 一 | 経済産業大臣 |
| | (※小此木 八郎 経済産業副大臣 代理出席) |
| (欠) | 南 野 知惠子 | 法務大臣・内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策) |
| (欠) | 町 村 信 孝 | 外務大臣 |
| | (※小野寺 五典 外務大臣政務官 代理出席) |
| (欠) | 谷 垣 禎 一 | 財務大臣 |
| | (※上田 勇 財務副大臣 代理出席) |
| (欠) | 中 山 成 彬 | 文部科学大臣 |
| | (※塩谷 立 文部科学副大臣 代理出席) |
| | 尾 辻 秀 久 | 厚生労働大臣 |
| (欠) | 岩 永 峯 一 | 農林水産大臣 |
| | (※宮腰 光寛 農林水産副大臣 代理出席) |
| (欠) | 北 側 一 雄 | 国土交通大臣 |
| | (※石田 真敏 国土交通大臣政務官 代理出席) |
| (欠) | 小 池 百合子 | 環境大臣・内閣府特命担当大臣 (沖縄及び北方対策) |
| | (※竹下 亘 環境大臣政務官 代理出席) |
| (欠) | 村 田 吉 隆 | 国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災・有事法制) |
| (欠) | 大 野 功 統 | 防衛庁長官 |
| | (※北村 誠吾 防衛庁長官政務官代理出席) |
| (欠) | 伊 藤 達 也 | 内閣府特命担当大臣(金融) |
| (欠) | 竹 中 平 蔵 | 内閣府特命担当大臣(経済財政政策) |
| | (※木村 勉 内閣府大臣政務官 代理出席) |
| (欠) | 村 上 誠一郎 | 内閣府特命担当大臣(規制改革・産業再生機構) |
| | 伊 丹 敬 之 | 国立大学法人一橋大学大学院商学研究科教授 |
| | 上 野 保 | 東成エレクトロビーム株式会社 代表取締役社長 |
| | 大 山 永 昭 | 国立大学法人東京工業大学大学院理工学研究科教授 |
| | 清 原 慶 子 | 三鷹市長 |
| | 鈴 木 敏 文 | 株式会社セブン&アイ・ホールディングス 会長兼CEO |
| | 中 村 邦 夫 | 松下電器産業株式会社 代表取締役社長 |
| | 中 村 維 夫 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 代表取締役社長 |
| | 村 井 純 | 慶應義塾大学環境情報学部教授 |
| 上記の他、以下が出席。 |
| | 杉 浦 正 健 | 内閣官房副長官(衆) |
| | 竹 島 一 彦 | 公正取引委員会委員長 |
| | 庄 山 悦 彦 | 評価専門調査会座長 |
| | 宮 内 義 彦 | 規制改革・民間開放推進会議議長 |
|