首相官邸 首相官邸 トップページ
首相官邸 カテゴリーなし
トップ会議一覧IT戦略本部開催状況 印刷用(PDF)

 

第37回IT戦略本部 議事録


1.日 時:平成18年6月1日(木)17時30分〜18時30分

2.場 所:内閣総理大臣官邸大会議室

3.出席者:[別紙]

4.会議の模様



(1)開会

【松田IT担当大臣】
 ただいまから第37回IT戦略本部会合を開催いたします。本日は、お忙しい中、皆さんありがとうございました。

(2)情報セキュリティ政策について

【松田IT担当大臣】
 本日の議題は3つございます。最初の議題は「情報セキュリティ政策について」であります。本日は情報セキュリティ政策会議の活動状況につきまして、議長の安倍内閣官房長官から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【安倍内閣官房長官】
 資料1をごらんください。情報セキュリティ対策の強化は昨今の政府機関からの重要情報の漏洩の例に代表されるように、我が国の安全保障、危機管理の観点からも最優先課題の一つであり、また災害等による重要インフラの大規模な機能不全の防止という観点からも重要な課題であります。
 こうした中、昨年7月に内閣官房に情報セキュリティセンターを設置し、5月に情報セキュリティ政策会議を設置してから約1年がたちました。この間、対策を推進するための道具となる基本計画、政府機関が守るべき統一基準、重要インフラに関する指針などを決定してまいりました。
 そして、4月には本年2月に決定した第1次情報セキュリティ基本計画を着実に実行するための実施プログラムとしての「セキュア・ジャパン2006」の案をまとめ、去る5月26日までパブリックコメントを募集いたしました。現在いただいた意見の内容を事務局で精査しており、今月中旬をめどに最終決定をする予定であります。
 この「セキュア・ジャパン2006」の案に盛り込まれた施策については、本日の議題でもある重点計画−2006の案においてもすべて反映していただいており、IT新改革戦略を推進する上での一環として強力に取り組みを進めていく所存です。
 本年度は、官民における情報セキュリティ対策の体制の構築を着実に進め、国民の皆さんのネットワーク利用に対する不満を解消すべく、これらの対策を本格的に実行する年になります。政府機関において統一基準に従った対策の徹底と、PDCAサイクルの構築を図っていただくこと、また重要インフラ分野についても各省庁の一層の協力を得て対策を進めていくことが重要と考えております。
 各閣僚及び有識者本部員におかれましては、引き続き御協力いただきますようにお願いを申し上げます。以上であります。

(3)IT新改革戦略評価専門調査会について

【松田IT担当大臣】
 それでは次の議題、「IT新改革戦略評価専門調査会について」に移ります。評価専門調査会につきましては、「e-Japan 戦略U」に関する政府の取り組み状況の評価等を行うため、平成15年8月に設置され、中間報告書を5回にわたって取りまとめていただきました。昨年末にはこれまでの活動を総括した報告書を取りまとめていただきました。本当にありがとうございました。
 今般、「IT新改革戦略」が策定されたことに対応するため、新たに「IT新改革戦略評価専門調査会」を設置することといたしたいということで、今日はその案をお諮りいたします。資料2でございます。新たな評価専門調査会について主なポイントを御説明いたします。 資料2の第1項にありますように、新調査会の所掌事務は「IT新改革戦略」に関する政府の取り組み状況の評価等を行うことになります。名称は「IT新改革戦略評価専門調査会」といたしたいと存じます。
 また、「IT新改革戦略」では重点政策課題について評価専門調査会の下に課題ごとの分科会を設置し、継続的な評価を、より強力に推進するために必要な調査等を行う体制の整備を図るとなっております。これを踏まえまして第4項では、分科会として「医療評価委員会」と「電子政府評価委員会」を設置することとしております。こうした案の新調査会の設置について、今日この本部で決定したいと存じますが、よろしゅうございましょうか。

               (「異議なし」と声あり)

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございます。それでは、そのように決定させていただきます。

(4)「重点計画−2006」(案)について

【松田IT担当大臣】
 3つ目の議題、「重点計画−2006」に移ります。「重点計画−2006」につきましては、前回のIT戦略本部におきまして御了解をいただいた基本方針に沿いまして、関係府省とも調整しつつ、現在まで精力的に取りまとめてまいりました。それでは、資料3に基づきまして重点計画の案について御説明いたします。
 1ページ目でございます。今回の重点計画は本年1月に御決定いただきました「IT新改革戦略」に基づく最初の重点計画となります。「IT新改革戦略」に掲げられました目標を確実に達成するため、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策を取りまとめ、そしてまたそうした政策の達成状況に関する評価体制、今、申し上げたようなことでございますが、充実等を盛り込んでおります。
 時間の関係もありますので、以下、分野ごとに代表的な施策を若干御紹介させていただくことで説明に代えさせていただきます。
 2ページ目でございます。ITの構造改革力を追求して日本の社会が抱えるさまざまな課題解決をITによって実現していこうということでございますが、まずITによる医療の構造改革への取り組みでございます。2006年夏までに医療・健康分野における情報化のグランドデザインについて中間整理を終えていただき、かつ年度末までに介護・福祉分野を含めた分野横断的な全体の情報化のグランドデザインを策定していただきます。
 次に、ITを駆使した環境配慮型社会への取り組みでございますが、2008年度までに電子化された廃棄物管理票である電子マニフェストの30%以上の普及を目指していただきます。
 次に、世界に誇れる安全で安心な社会への取り組みですが、国、地方を通じた防災情報の共有を可能とする総合的なシステムを構築すべく、2006年度に国の情報共有のための「情報共有プラットフォーム」の実運用を開始していただきます。
 3ページ目に移りまして、世界一安全な道路交通社会への取り組みでございますが、安全運転支援システムについて2006年度に光・電波等を利用するメディアや車載器についての技術を確立し、2007年度までに総合的なシステム検証を実施していただきます。
 次に、世界一便利で効率的な電子行政への取り組みですが、オンライン申請率50%を目指すため「オンライン利用促進のための行動計画」に基づき、添附書類の削減や利用しやすいシステム開発等の利用促進策を強力に推進します。また、これを進めるために効果的なインセンティブ措置につきまして検討していただきまして、本年中に結論を出していただきます。
 次に、IT経営の確立による企業の競争力強化への取り組みですが、2006年度にITの利用・活用のベストプラクティスを体系化・具体化し、「ITの戦略的導入のための行動指針」を策定していただきます。
 次に、生涯を通じた豊かな生活への取り組みでございますが、産学官からなるフレームワーク推進フォーラムと連携していただいて、2006年度に高齢者・女性・障害者等の多様な就労環境を整備するため、さまざまな事業者等が利用可能な共同利用型システムを検討していただきます。
 4ページに移りまして、こうしたITの構造改革力を支えるためのIT基盤の整備を行う政策でございます。
 まずユニバーサルデザイン化されたIT社会への取り組みでございますが、電子タグを活用し、すべての人の自律的な移動に必要な情報を提供する自律移動支援システムについて、2006年度に試験的展開を実施していただきます。
 次にデジタル・ディバイドのないインフラ整備への取り組みですが、2006年に近距離大容量通信を可能とするウルトラワイドバンドを実現し、2007年までに第3世代携帯電話を上回る伝送速度の広帯域移動無線アクセスシステムを実現するなど、新たな電波利用システムを実現していただきます。
 次に、世界一安心できるIT社会への取り組みですが、インターネット上の違法有害情報に関する情報を受け付け、警察やプロバイダーへの通報等を行うホットライン業務を2006年度に開始していただきます。
 次に、世界に通用する高度IT人材の育成への取り組みですが、大学院等の高度IT人材育成拠点整備を進めるとともに、これらを含め、高度IT人材を一層推進するための政府一体となった効果的な政策等を本年8月までに取りまとめていただきます。
 5ページに移りまして、次世代のIT社会の基盤となる研究開発の推進でございますが、2007年度内の政府内での実証実験に向け、2006年度に高セキュリティ機能を実現する次世代OS環境を開発します。
 最後は、こうした構造改革力の世界への発信と国際貢献のための施策です。まず国際競争社会における日本のプレゼンスの向上への取り組みですが、映像等を含めたあらゆる情報を簡便、的確かつ安心に検索可能とする次世代の高度情報検索技術の研究開発を推進するため、2006年度に産学官の推進体制を整備します。
 次に、課題解決モデルの提供による国際貢献への取り組みですが、アジアのデジタル・ディバイド解消に向け、母国語による情報の円滑な流通を図るための多言語処理に関する研究協力について、オープンソースソフトウェアを活用し、推進していただきます。
 施策の全体概要は、簡単でございますが、以上のとおりでございます。今後IT戦略本部のリーダーシップの下、政府が一丸となってこの重点計画を迅速かつ確実に実施してまいりますとともに、その達成状況を継続的に評価し、状況に応じて施策の加速や見直しを行うことによりまして、いつでもどこでもだれでもITの恩恵を実感できる社会の実現を目指してまいりたいと思います。私からの説明は以上でございます。

(5)自由討議

【松田IT担当大臣】
 それでは、自由討議に移りたいと思います。いつものことでございますが、本日は時間が限られておりますので、すみませんが、私の方から指名させていただきます。お1人3分以内で、今日は重点計画に関しますこと、あるいはまた先ほどの新調査会の今後の活動に関しますことをいろいろ御意見いただけたらと存じます。
 なお、本日御欠席でございますが、資料6のとおり鈴木本部員からの資料の提出がございましてお配りしてございます。
 それでは、伊丹本部員からお願いいたします。

【伊丹有識者本部員】
 100ページ近い重点計画の文書をいただきまして、これをプリントアウトすると地球環境にいいか悪いかと、つい考える、それぐらい厚いものができましたが、内容はそれだけ豊富だということだと思いますし、予算措置へのつながりということを考えると、さまざまな省庁でさまざまなことをおっしゃるのを全部入れるとこういうことになるのかと思いますが、ちょっと重点計画という名前から外れ気味な文書にもなりかねないということで、なおかつこれからこういう計画が実施されるに従いまして、国民への浸透とか、ユーザーである国民の理解だとか、あるいは世界のさまざまな国への発信だとか、そういうことがきちんとできるようにならないと、100ページにわたる文章を英文に直すから読んでくれということではちょっと具合が悪いように思いますので、これを更に有効たらしめるための提案を3つしたいと思います。もちろんこの重点計画そのものはこれで大変有効なものができたと思います。
 まず第1が一体、全体としてどういう方向に日本の計画は動いているのかということを端的に示す言葉とかキャッチフレーズというものを是非考えるという作業をこれから重点的にやっていただく必要があるのではないか。確かに、国民の利用者が利便性を感じられるような計画にするんだとか、ITの構造改革力を使うんだということは書いてあるのですが、それが全体としてどちらの方向にいくのか。何をするからそういうことができるようになるのか。何を整備するからそういうことができるようになるのか。それの網羅的ではない何か中心になるコンセプトというものをきちんと発信するという作業がまず必要なのではないかと思います。
 第2点は、これもまた重点計画全体の方向性を示すための何か工夫という意味の提案でございますが、幾つかのシンボルプロジェクトのようなものをつくるという計画を更に付け加える方がいいのではないか。新しい計画という意味ではございません。ここに載っているものの中から非常にわかりやすく、皆が、こういうことが起きるのかということがわかるようなものです。典型的な例は、この会議で小泉総理がレセプトのオンライン化の問題について直ちに反応なさってそれを支持された。例えば、ああいうものを幾つかそれぞれの分野一つずつでも結構ですので、こういうことをやる、ああいうことをやる。これが内容を示すシンボルのプロジェクトだということを決めるという作業があってもいいのではないかと思います。
 3番目の提案はこの計画の中にも入っているのですが、しかし、具体的な規模とか取り組みの努力の大きさとかということについて必ずしも具体的な記述がないものですから、それについて申し上げたい。私が最重要と考えているものがございます。それは、人材の問題であります。いろいろなことをやる。これもやる、あれもやると書いたんだけれども、10年後に向かって一体だれがやるのか。人材の育成というのはもちろん大きな項目として入っているわけでございますが、こんなお話をするとどれぐらい人材の問題が大切かということがおわかりいただけるかもわかりません。ここに松下電器の中村社長さんも、NTTドコモの中村社長がおられますが、ああいうふうに日本のエレクトロニクス産業がものすごく大きく発展した陰に、日本の大学セクターを中心にして膨大な数のエレクトロニクス技術者が日本の社会全体の中で生まれてきた。そういうふうに日本の国全体が資源を投入してきたという歴史が、1950年代の後半から60年代にかけてございました。
 はなはだしいときには、エレクトロニクスエンジニアの毎年毎年の卒業生の数は国民1人当たりに直しますとアメリカの4倍でございました。現在、IT関連の人材がアメリカの国民1人当たり何倍というような数字になっているとはとても思えません。むしろ何分の1でございます。ゼロが1つか2つ足らないというふうに思って、人材育成のための資源投入に内閣を挙げて確保すべきではないか。そうでないと、この計画は画餅に終わるのではないかと思います。
 以上です。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。それでは、上野本部員お願いします。

【上野有識者本部員】
 私は、中小企業のものづくりの現場から2点提言したいと思います。
 1つは、「IT経営」という大きな視点。キーワードでつくっていただいたということは大変重要な視点だと思うのです。その中で副題として「世界トップクラスのIT経営」ということが出ておりますので、私どもものづくり中小企業とすれば世界一のレベルに立っているというふうに自負しているわけです。
 先般も経済産業省で「元気なモノ作り中小企業300社」を選んでいただいて、その中でいかに富の創出の上で中小企業が大きな役割を担っているかということをはっきりと出していただいたと認識しております。
 その中で、今回打ち出した企業経営の最適化というような視点で、「ITの戦略的導入のための行動指針」をおつくりになるということは非常に重要なことだと思っているのです。ここには重要な関わりを持つ委員を選んで、しっかりとした国としての方向づけをしていくことも大事だろうというのが1点でございます。
 第2点は、汎用的な共通基盤の整備というところでは流通業というのはかなり進んでおりまして、これはITを使って非常にうまくいっているということの先進事例だと思うのです。しかし、ものづくりの分野ではまだまだ遅れているのです。大手と中小企業のしっかりとした共通基盤がまだ十分できていないのです。これがしっかりつながりますと、ものづくりの強さがより強くなるということにつながると思いますので、ここに書いてある汎用的な共通基盤の整備というのは流通を特に重点としてまとめてございますけれども、製造業と、それから中小企業の関連のところもひとつ重点としてとらえていく必要があるのではないかということが提言でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。大山本部員、お願いいたします。

【大山有識者本部員】
 東工大の大山でございます。新戦略、計画案ができてきたということで、いよいよ実施に移ると思っています。それに当たりまして幾つか意見を申し上げたいと思います。
 最初に、御案内のとおり民間における通常のIT投資というのは、真水を使うのではなく、一生懸命経営努力をして経費を削減した分の一部をシステム関係に回したりしています。そうでなければ、なかなかうまく回らないということがあったかと思います。今回の重点計画を見ましても、電子政府、医療という私も関与してきたこれらの分野の情報化には、どうしても多額の費用を要すると言わざるを得ないと思います。
 しかしながら、先ほど触れたように、真水を使うことが難しいのは、我が国の財政状況等を考えれば、よくわかります。
 現状のシステムをもう少し突っ込んで見てみると、電子政府については、これが一つの大きな問題ですが、実は制度別にシステムがつくられています。そのため、新しい制度ができると新しいシステムができるということになります。それぞれに国民の情報があるので結果としては、何十系にも重複して持っています。この状況で災害に強いシステムを作ろうとするとそれぞれのバックアップを作ることになります。これでは、最終的に一体幾つのシステムになるのか予想もできません。
 言うまでもなく、国民中心のシステムに変更することが必要です。そのためには、システムの統廃合を通して、システムを再構築するわけで、結果として経費の総額は下がると予測されます。しかし、そこへ動き出すためには、どうしても一時的により多くの費用がかかってしまいます。先ほどのお話のとおり、全体最適を進めるためのインセンティブの付与という観点からも、事務経費やシステム経費等から削減された分の一部を次のシステム投資に回せるような予算運用を考えることが必要であると強く思います。そうでなければ、計画を書いても、その次の実際の動きがなかなかできないということに成りかねません。
 このような全体最適を進めるために、戦略には各府省にPMOを設置すると書いてあるのですが、まだ立ち上がっていません。早急に設置し、作業に着手すべきであると考えます。
 また、CIO補佐官等連絡会にワーキングを作って、電子政府、地方自治体の情報システムのセキュリティ強化等について検討しています。是非この点については、セキュリティセンターの考え方とうまく連携をさせていただきたいと思います。
 最後に、医療について一言だけ申し上げます。医療についてはレセプトのオンライン化の話を始め、生涯を通じた健康管理、病診連携等、いろいろなアプリケーションが書かれています。これらの着実な実施を求めるところですが、それに際しては、レセプトのオンライン化のためのネットワークや、病診連携のためのネットワークというような個別の専用ネットをつくることは避けるべきであると考えます。
 全体を見た上で、これはグランドデサインになりますが、やはり安全なネットワークの基盤整備が必要であると思います。
 以上でございます。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。それでは、清原本部員お願いいたします。

【清原有識者本部員】
 最初に、御報告と御礼を申し上げます。本年度の情報通信月間に当たりまして、本日の午前中、私ども三鷹市が竹中総務大臣より表彰していただきました。引き続き、市民に役立つ情報化の推進を市民の皆さん、そして教育研究機関、企業や国の各府省と連携協働して進めてまいりたいと思います。どうぞ引き続き御指導、御支援をよろしくお願いします。
 さて、第1点でございますが、本日官房長官から「セキュア・ジャパン2006」について御報告をいただきました。私は、この「セキュア・ジャパン」という表現が大変重要だと思っております。何よりもICTが重要な社会においては「セキュリティ」が大事であるということは言うまでもないことなのですが、これを日本がしっかりと国際的に発信していくことが肝要です。そのために今日、資料1の5ページに明確に示されておりますように、「横断的な情報セキュリティ基盤の形成」でありますとか、あるいは「政策の推進体制」につきましても内閣官房の情報セキュリティセンターを強化するだけではなくて、「省庁横断的な取り組みを実施する」と、明確に示されております。こうした「セキュア・ジャパン」というキーワードの国際的な表明とともに、体制として全府省を挙げた取り組みであるということが大変重要なメッセージだと思います。
 2点目でございますが、今回、前回の会議で決定されました重点計画の方針に基づきまして、しっかりとした内容の重点計画がまとまったと思います。この間、事務局の皆さんから意見照会もございまして、私たちは自治体の立場から何点か御意見を申し上げました。極めて短期間の作業の中できちんと取り上げていただきまして大変感謝をしております。
 それでは、今後この内容をどのように着実に実施していくかということが課題でございます。自治体としてもその責任を十分果たしていきたいと思いますが、合わせて先ほど申し上げましたように国民、市民の皆さん、そして各府省、教育研究機関、企業等との連携をどのように実効性を上げながら進めていくかということが重要です。
 先ほど伊丹本部員からも御指摘がありましたが、やはり一般の国民の皆様にはこの計画書というのは大変大部に映ります。けれども、私たちがICTを生かしていくときには、是非何よりも幅広い分野に着目するということが重要でございます。
 そこで、どういう基準で選択と集中をしていくかというときに、やはり内閣官房の取り組みと推進体制が重要だと考えます。特に分野横断的な取り組みにつきましては、内閣官房が先導して取り組んでいただくことが重要であると思います。
 例えば個別施策では、「安全運転システムの実用化に向けた総合的な取り組み」ですとか、あるいは電子政府、自治体の関係で「公共分野におけるICカードの導入の在り方」等の検討については各府省に加えて内閣官房がしっかり入っておりまして、こうしたことが明記されているということが重要だとは思います。
 ただ、そのほか、先ほど大臣が御紹介されましたITの世界に誇れる安全で安心な社会の項で、「子どもの安全に関する情報の効果的な共有、提言」といった項目ですとか、あるいは「ユビキタス・コミュニティ先進モデル構想」などの施策も、広く国民全体の関心が高いところでございますので、こうした分野横断的な取り組みには内閣官房が入っていただくということが重要だというふうに考えます。
 3点目に、そういうところから今回「IT新改革戦略評価専門調査会」の御提案があり、特に「医療評価委員会」と「電子政府評価委員会」を置くとされました。これは、重点的なところを更に評価として重点化していくことによって、その成果を検証し、実質的な効果を上げていくという意味で不可欠な取り組みだと思います。こうした評価の場合に、この委員会以外にどういう分野に集中していくかというところでも、内閣官房のマクロな視点とリーダーシップが重要だと考えます。
 以上、申し上げましたように、「セキュア・ジャパン」という「IT新改革戦略」と一緒に歩んでいただく取り組みがあることの強みを、内閣官房が更にリーダーシップを取っていただくことによって明確にできたらありがたいと思います。
 以上でございます。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。それでは、中村邦夫本部員お願いします。

【中村(邦)有識者本部員】
 今回の「重点計画−2006」には、意欲的な施策が数多く盛り込まれ、大きな第一歩を踏み出したと言えると思いますが、私は、その中でも「IT新改革戦略」の柱として注目しておりますことが3点ございます。
 まず何と言いましても、1点目は、利用者・生活者重視の視点で施策を推進していくことが肝要であると思います。
 特に、安心・安全な社会づくり・災害対策・子供の安全確保・防犯・交通事故削減などに、ITを駆使していく、そして、その必要性や効果を国民の皆様に、発信していくことが大事ではないかと思います。
 2点目は、機器やサービスが誰にでも使えるという「ITユニバーサルデザイン」が、もっともっと進化していかねばならないと思っております。
 3点目は、テレワークです。これは企業などでも非常に大事なことで、会社に来なくてもネットワークを通じて在宅勤務でできる仕事というのは大変多くあります。技術の分野でも同様です。
 国民的運動としてテレワークをもっともっと推進していく。そうしたことが、少子高齢化の社会の中で日本企業の生産性を上げるという面からも、大変重要であると痛感しております。
 最後に、日本企業の国際競争力強化という観点では、IT投資の拡充が大変重要と考えています。そういう点で、この「重点計画-2006」を打ち出されたことを契機として、より加速をしていかねばならないと考えております。
 以上でございます。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。中村維夫本部員、お願いいたします。

【中村(維)有識者本部員】
 短期間でまとめていただきまして、本当にありがとうございました。3つほど大事なことだろうと思うことがございます。
 1つ目は、我々も携帯事業者でございますので、いろいろと新しいサービスを出せば必ず陰の部分が出てくる。こういったイタチごっこをやっているわけでございますけれども、そういうICTの陰の部分への対応が重点施策に入っていることに対して、大変ありがたいと思っております。そして、この重点計画は目標通過点が非常に明確になっておりますので、そういった意味でPDCAを回すことがものすごく重要だと感じております。
 2つ目でございますけれども、ICTはあくまでもシステムやアプリケーションや運用まで含めて一つのツールではありますが、人や文化やアナログ的なところ、こういったところとの融合を図っていかなければいけないのではないかと思います。そういった意味で、これを本当に実効的にやっていくための自治体との連携とか、国民に直接働きかけるとか、そういったところはやはり重要ではないかと思っております。
 最後でございますが、我々は通信事業者でございますので、この重点計画のベーシックなところに対して大変大きな責任があると思っております。政府の御指導、御支援を得ながらITの基盤整備というものに最大限努力していきたいと思っております。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。それでは、村井本部員お願いいたします。

【村井有識者本部員】
 私も3点申し上げます。
 1点目は、「重点計画-2006」が「IT新改革戦略」に基づく最初の重点計画ですので、やはりメッセージ性が大変重要だということです。思い起こすとIT戦略本部の開始から2005年までの政策には非常に強いメッセージ性があったと思います。これは内閣を中心としたIT戦略本部が将来の具体的なイメージを発信することにより、2005年にはこういう世界がくるんだな、インターネットは誰でも使える国になるんだなということを国民が信じていろいろな投資も活発になったし、勇気づけられた。そういうメッセージ性を具体的に出していく重点計画にするということはとても大事だと思います。伊丹先生がさき程おっしゃったことに通じると思いますけれども、非常にわかりやすいメッセージを出すことで、皆を勇気づける力がここにはあると思いますので、是非具体的なわかりやすいメッセージをつくっていただきたいと思いました。
 2点目は技術的な視点でございます。先日中国に行った際に、多くの人がモバイルのカードを使っておりましたが、実はこれはPHSなのです。PHSの普及は非常に長い間、国際戦略として取り組んできたことであり、中国に対する技術政策を進めるということは難しいことなのですが、うまくいっている例もあるということです。iモードもヨーロッパでは大分人気が出るようになってきた。
 つまり、最初にこの戦略をつくったときに民主導という言葉を使いました。民主導というのは民任せとは違い、産官が一緒になって取り組むということであり、世界一ということを我々が意識するならば、縦割りではなく、世界に貢献するために力を合わせる体制が必要かと思います。
 3点目は、人材に関する視点です。私も今朝、竹中大臣から表彰していただきました。私個人がいただいたのではなくて、LinuxというオープンソースのOSの中の新しいインターネットIPv6プロトコルスタックの開発を評価されたということです。実は私どもにとって2つ目の受賞でして、1つ目はBSDというUnixのOSでやはりインターネットのプロトコルスタックの開発でした。これは、御存じのようにアップルで使われているものが日本製でございまして、現在Linuxの世界で標準的に使われているインターネットの新しいプロトコルスタックは日本製でございます。
 そういう意味で、人材のことが何度も書いてありますし、セキュリティについても人材が大事だと書いてありますが、これらはとても控え目な表現がされています。そうではなくて、世界一の環境で世界一のマーケットがあるのならば、世界一の人材が、ITの分野だけはとは言いませんが、少なくともITの分野では育ち、集まってくるはずです。そのようなことが私は現実に起こってきているのではないかと思いますけれども、世界一の環境ならば世界一の人材が集まるべきだと、大学人としては自分の首を締めていることにもなりますが、そういう志を持って私も含めて取り組んでいきたいと思います。
 以上でございます。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。宮内規制改革・民間開放推進会議議長、お願いいたします。

【宮内規制改革・民間開放推進会議議長】
 新しい戦略と、それに基づく本日の重点計画、これが達成されましたら5年先といいますか、2011年も日本は世界最先端のIT技術・インフラを持つ国家であり続けていくことができます。そういう意味で、非常に重要な施策だと思っております。
 ただ、世界最先端のIT国家にしようという場合には、本日主に論じられたインフラとともに、コンテンツとかサービスというものが車の両輪になっていくと思います。そういう意味で、このコンテンツ・サービスという部門にもっと注意を払う必要があるのではなかろうか、この部分は、日本経済を飛躍的に発展させるだけのポテンシャルを持っている分野ではなかろうかと思います。このコンテンツ・サービスとインフラのIT技術をどういうふうに生かすかを、やはり日本は問われているような気がいたします。
 そういう中で一つの鍵を握りますのは現在、縦割りの弊害というようなことが指摘されております放送と通信関連の法制度、これはやはり抜本的に改正する。早くしないと、例えばコンテンツ・サービス産業というのは今日やれと言っても明日できるわけではございませんので、抜本的な改正を早くすることによって、将来本当のIT国家になるのではないかと思っております。
 そういう意味で、私どもの規制改革・民間開放推進会議で一昨日でございますが、会議としての見解を公表いたしました。その中で通信と放送につきまして主な点だけ申し上げさせていただきますと、通信につきましては例えば光ファイバーが普及したことによりましてNTTの重要度といいますか、独占度というものが高まってきている。それと同時に、NTTは現在さまざまな規制を受けてなかなかポテンシャルが発揮できていない。そういう矛盾に陥っております。そういう意味で、サービスの多様化・低廉化を進めるためには、例えば東西のアクセス網の機能分離、あるいは持ち株会社の廃止とか、東西の業務範囲の規制、こういうものを廃止していくということは通信分野では非常に大事ではないかという見解を出させていただきました。
 また、放送につきましては、特にNHKにつきまして公共放送に対する国民の信頼を回復させるためには経営のガバナンス強化と組織のスリム化を徹底することが必要である。この2点を公表いたしまして、この件につきましては与党内部でも現在検討されていると聞いておりますが、是非前向きに大きな産業に育てるのだという意味で改革に御理解をいただくということが非常に重要だと思っております。総務省、総務大臣の有識者懇談会の役割も、そういう意味では私は極めて重要だと存じております。
 通信・放送は成長産業である。そういう意味で、2011年に向かって5年後の日本経済の飛躍のためにこの成長産業を伸ばす。それがやはりグローバル化、人口減少、少子高齢化に直面する日本の新たな原動力になる。そういう意識を持って現在の制度をコンテンツ、サービスが伸びるような制度に変えていただくということをお願いできればと思っております。
 以上でございます。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。
 それでは、次に閣僚の方から御発言をいただきます。私の方に御申告がありますので御指名させていただきます。竹中総務大臣、どうぞ。

【竹中総務大臣】
 ありがとうございます。今日、6月1日は電波の日でございます。放送・通信にとって大変重要な電波、その電波の日に今日のような重点計画がしっかりと議論されているのは大変象徴的であり、また意味があることかと思っております。今日の重点計画の中には総務省関連のものがたくさんあります。それは着実に実行していくということを私としてもお約束をしたいと思います。
 実は今、宮内議長からそれに関連してまさに大変重要な御提起をいただいたと思っています。2010年度にブロードバンドゼロ地域を解消する。これは「IT新改革戦略」で示された最も重要なポイントの一つだと思います。それが2010年です。そして、翌年の2011年には地上放送がデジタル化することが完了するわけでございます。
 その意味で私は2011年、今から5年後というのは世界最先端の通信・放送インフラが完成する、別な言い方をすると、完全デジタル元年なんだと思います。この完全デジタル元年がもう目の前にやってくるんだということを踏まえて、もう一回原点に返って戦略的に国家戦略を考えるという姿勢が今、本当に求められていると思います。
 そういう観点から言いますと今、宮内議長が放送・通信のことを御言及くださいましたが、ここのところ経済成長は順調になってきたわけでありますけれども、最近の日本の経済成長のうちの実は4割が通信・放送の関連から生まれています。経済成長に対する貢献度が約4割であります。
 にもかかわらずコンテンツについて見ますと、日本のコンテンツ市場はアメリカの5分の1しかまだありません。つまり、大変な成長の余力がここには隠されているということを意味しています。完全デジタル元年に向けてしっかりやっていくということは、まずもって国民の利便性をもちろん高めるわけですが、国民の利便性を高めるということは同時に経済成長に対して非常に大きな貢献をなし得るということをも意味しているんだと思います。そういう意味で、通信・放送の制度を全面的に完全デジタル元年を意識しながら見直すということが今、非常に強く求められていると思っております。
 しかし、放送・通信は今、古い法律がパッチワークのようになっていまして、9つの法律があります。これを簡素化していく。そのための融合法制を議論するということが1つだと思います。通信関連の規制がまだたくさんあります。NTTの在り方を含む競争ルールをこの時期に確立していくということが必要です。そして、放送にもいろいろな規制があります。マスメディア集中排除の原則の緩和を含めて、ここはしっかりと取り組まなければいけないと思います。
 何より重要なプレイヤーの一つでありますNHKに関しては、不祥事の問題等々重要な問題が起きております。委員会の改革を中心としたガバナンスの強化をしなければいけません。そして、必要なスリム化を行わなければいけません。
 一方で、これは総理からも御指示をいただいておりますが、国際放送の強化とか、ブロードバンドの活用をしたNHKアーカイブの活用等々、戦略的にやれる余地が非常に多くあると思っております。
 こういうことを今、懇談会の中で議論していただいておりまして、来週ぐらいには何とか最終的な結論を得たいと思っておりますが、しかし、改革の常でありまして、こういう議論をするだけで非常に大きなプレッシャーがあるということも事実だと思います。ここはしかし改革の縮図だと思っておりますので、是非しっかりと取り組みたいと思います。今、与党の中でも併せて協議をしてもらっておりますので、合意が得られるものについては重点計画に反映していただけるものがあればそれもまたお願いするといたしまして、是非ここはしっかりと前に進みたいと思っております。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。それでは、松経済産業副大臣お願いいたします。

【松経済産業副大臣】
 先生方が非常に御努力をしていただきまして、充実した重点計画をまとめていただきまして本当にありがとうございます。前回出させていただきました時は生意気にも、「社会全体が実感できるIT、IT社会でなければならない」などということを申し上げましたけれども、まさにそういう視点で作っていただいたと思います。
 それから、宮内議長がおっしゃいましたコンテンツ産業です。私はついこの間、「アジアコンテンツ産業セミナー」というものがフィリピンで第2回目が開かれまして出席させていただきました。日本はもちろん1歩も2歩も先を行っておりますけれども、そのコンテンツという範囲が非常に広うございまして、この間のセミナーでは主に映画、あるいはテレビ、アニメなどというところでございましたが、放送あるいは通信について「日本は先に進んでいるのに何でこれを一生懸命やるのか」と聞かれました。
 でも、「それはアジア経済全体の牽引役がまさにコンテンツ産業であるから、これをしっかりと成長産業として日本が引っ張っていきたい。それはつまり、アジアがよくなれば日本もよくなるんだ」というようなことを申し上げました。
 それから、上野本部員が先ほどおっしゃいました「IT経営」でございますけれども、特に大企業はもちろんでございますが、中小企業は非常に大事だと私どもも思っております。実は、ITを活用して非常にうまくいったという中小企業がありまして、今まで大量の材料の在庫を持っていましてどんな発注にも対応できるということが強みだと思っていたのですけれども、損はしないがもうからない。
 これは発想を変えなければいけないということで、ウェブサイトでプロモーション活動をスタートさせました。これまでタブーとしていました生産ノウハウあるいは納入事例をホームページ上で公開したんです。そうしましたら、世界中から注文が来た。それに、材料の在庫がなくても世界中にすぐウェブサイトで発信すると材料が手に入るということで、瞬時につくって渡せるということになりまして、今や言い値で買ってもらえる。これは中小企業の一つの例でございます。
 このように、ITを活用した経営というものは非常に大事であるということで、私どももここに力を入れてまいりたいと思っております。
 以上でございます。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。時間の関係がございますので、恐縮ですが、取り急ぎお願いできたらと思います。沓掛公安委員長お願いいたします。

【沓掛国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災)】
 防災担当大臣にウェートを置いて、また国家公安委員長としても一言、言わせていただきたいと思います。
 議事の2番目の情報セキュリティ政策に関連して一言申し上げさせていただきます。我が国は大規模な地震や水害等、自然災害の発生しやすい国土となっており、これまで中央防災会議においてさまざまな対策を検討してまいりました。その中で、本日の説明にもありました災害による重要インフラのIT障害に対する方策の確立は政府の重要な課題となっており、今後とも都市部が地震、水害に脆弱であることを踏まえつつ、内閣官房の情報セキュリティ部局と緊密な連絡を取りながら政府としての取り組みに貢献してまいりたいと考えております。
 また、近年、サイバー攻撃に起因するサイバーテロの脅威も高まっております。警察におきましては所要の体制整備等を推進するとともに、関係省庁や重要インフラとの連携強化を図り、政府及び重要インフラにおける情報セキュリティ対策の強化に取り組んでまいりたいと思います。
 また、議事の4番目の「重点計画−2006」に関連しましても、災害時における防災情報の共有化を始めとして防災対策、治安対策に資する情報基盤の高度化、堅牢化を図るなど、安全・安心な社会の構築に向けて関係省庁と連携して政府としての取り組みを推進いたしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。猪口大臣、お願いいたします。

【猪口内閣特命担当大臣(少子化・男女共同参画)】
 ありがとうございます。手短にですけれども、私は本当に頭が痛いことが多いのですが、昨年の出生数と合計特殊出生率が発表になりまして、いずれも過去最低です。そして、その落ち込み幅も近年になく大きいものです。
 それで、内閣の重要政策分野、IT戦略もそうですし、少子化対策もそうなんですけれども、それが相互に連携していくことが今後非常に重要ではないかと思います。政府としても努力しますし、先生方におかれましてもそのようにいろいろと御指導、アドバイスをいただけたらありがたいと思います。
 例えば「セキュア・ジャパン2006」の1ページ目を開きますと、この4つの主体が書いてあるんですね。政府、重要インフラ、企業、個人とありますが、ふと思うのは、家族や家庭というのはどこにいってしまうのだろう。個人というところに家族、家庭、子ども、そういうことももう少し書き込んでくれたらいいのではないか。こういうセマティックなプレゼンテーションというのは、そういうふうに人の認識に作用するんですね。政府のいろいろな資料に、家族や家庭というものがほとんど見当たらないわけです。個人と言っても、ITは個人でパソコンで人間一人で生きていかれるというようなイメージと実際には非常に違うものを政府としては作ろうとしているのではないですか。
 ですから、少子化対策の観点からITの分野もどうやったら役立っていただけるのかというふうに、資料一つ作るときでもよく考えていただきたいということをお願いして、すみません。私も政府の中で十分にチェックしておりませんで、こういう場で申し上げるのは本当に無責任とも思っているのですが、今後私としても努力していきたい。
 それから、医療につきましてもう一つのセマティックな紙があります。重点計画の概要というものですが、例えば一番上に情報化のグランドデザインの策定と、それで2006年度末までに介護・福祉分野を含めた分野横断的ですね。こういうところにも今、一番私に寄せられる意見の一つに、例えば妊娠・出産、それから乳幼児期の医療アクセスがとても難しいんだ。緊急事態が起こったとき、結局は自治体によって差があるんですけれども、清原先生にも非常にアドバイスいただいたと思いますが、そういう自治体もあるし、たらい回しになって手遅れになってしまうような自治体もある。
 子どもが生まれるときに本当に大事なのは、安心した医療アクセスが確実にこの社会であるか。それに対して、例えば職場からお風呂がわくとか、そういう便利な生活はいいけれども、でももっと先にやってもらわなければならないことがある。そういうことのめり張りといいますか、もっとちゃんとつけて、こういう文書にも是非介護・福祉というふうな古典的なパターンではなくて、介護、子育て、福祉とか、その本体の方も少し見たのですけれども、なかなかなんです。
 9ページ辺りは介護・福祉という高齢者関連のことで、46ページから女性の継続支援でありますとか子どものことが少し出ているのですけれども、安全確保のところは書いていただいて大変ありがたいと思います。それから、在宅勤務がこれで可能になると、中村邦夫先生のおっしゃるとおりで今後検証していただきたいのです。ちゃんと本当にそういうふうになっていくか。家で子育てをしながら職場参加して身分を失わない女性がこういうIT戦略を導入したことによって本当に拡大していくのか。それで、家族と過ごす時間ですね。就労者が特に乳幼児期の子どもと過ごす時間を飛躍的に増やすことができるのかどうか。こういう観点から見直していただかないと、というふうに思っております。よろしくお願いします。

【松田IT担当大臣】
 ひとつ一緒に頑張っていきましょう。担当大臣として、各省を本当に督励していきましょう。
 では、嘉数副大臣お願いします。

【嘉数内閣特命担当副大臣(沖縄及び北方対策)】
 沖縄県はさまざまな形で企業誘致に努力してまいりましたけれども、なかなかうまくいきませんでした。そのために失業率がものすごく高い状態が続いていまして、特に若年層は12%以上の失業率になっています。
 そのために平成8年度に情報関連産業を中心に企業を入れ込んで、100社以上の企業を誘致をいたしました。そのために1万人以上の雇用の創出ができたということを考えますと、今後とも情報関連通信産業が沖縄振興に大きな力となり、それで牽引をしていきたいと思っていますので、皆さんの御協力をお願いいたしたいと思っております。 

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。ほかに御発言ございますか。よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございました。いろいろ今の御発言で、また他に御発言もあろうかと思いますが、とりあえずここで先へ進ませていただきます。皆さんからいろいろ貴重な御意見、御提案をいただきました。これらを踏まえまして、いい案にいたしましてパブリックコメントを求めさせていただきますが、よろしゅうございますか。
 その際、加筆・修正いろいろございますが、もちろん連絡が取れる限り連絡を取らさせていただきますが、最終的にはひとつ担当にお任せをいただくということでこの場で御了解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

               (「異議なし」と声あり)

【松田IT担当大臣】
 それでは、以上のように取り運ぶことで、この重点計画につきましてはここで次の議題へと移らせていただきます

(6)大山有識者本部員によるデモンストレーション 〜ナチュラルビジョン 〜

【松田IT担当大臣】
 今日は新しい映像技術でございます「ナチュラルビジョン」について、大山本部員から御紹介をいただくことになっております。
 プレスの入室をお願いいたします。

               (報道陣入室)

【大山有識者本部員】
 それでは、本日は被写体の色や質感を正確に再現するナチュラルビジョンをごらんいただきたいと思います。先ほどお話がございましたコンテンツの価値の向上あるいは自宅からお医者さんに相談をするための手段として開発してきているものでございます。
 電気屋さんに行ったとき、同じ番組を映しているにもかかわらず、表示されている画面の色が違うな、あるいはどれが本当の色だろうと疑念をお持ちになったことがあるかと思います。ナチュラルビジョンは、この疑念に対する答えを作っています。色を科学し、工学的な手段で実現しております。
 原理を簡単に説明します。従来のカラー映像技術と異なり、ナチュラルビジョンでは重さや長さと同じように標準化された尺度で色を計測しています。そして、照明光や機器の特性、更には人の目の感度特性を考慮しています。
 技術的な新規性を具体的に示します。色を物理量で表現するには物体のスペクトルを計測することが必要になります。そして、このスペクトルの計測には従来の赤、緑、青の3バンドを超えるマルチバンドのカメラを用いることが有効でございます。バンド数が増えると計測がより正確になり、結果としてより正確な色再現が実現いたします。今日のデモには6バンドのカメラを用いてございます。
 更に、ナチュラルビジョンは色をスペクトルで表現し、新しく開発されたスペクトル処理技術を用いることで実現しています。この処理を行うにも、照明光の状態や機器の特性を計測しています。今日のこの部屋の照明の状態も計測してございます。
 正確な色再現が望まれる応用分野を例示いたします。左上が遠隔医療、右上が貴重な美術品等をデジタル化するデジタルアーカイブ、左下が近年急速に成長しています電子商取引、右下がオーロラなどを見せるデジタルシアターでございます。
 それでは、実例をごらんいただきます。すみませんが、照明を余り強く当てると照明の状態が変わるので、こちら側には当てないようにお願いします。
 初めは、男性用のワイシャツと女性用のセーターです。皆様方から見て左側の映像、官邸の方のこの部屋のスクリーンに映っていますが、これが市販の3バンドのカメラにより撮影したものです。
 一方、右側の液晶テレビに表示されているものはナチュラルビジョンの映像でございます。こちらは6バンドのカメラで撮影しています。衣類の色が正しく再現されているのがわかると思われます。左が従来のもので、右側が新しいものです。

【小泉内閣総理大臣】
 全然色が違うじゃない。あれは、真ん中は本物でしょう。

【大山有識者本部員】
 あれが本物です。あれを映していますので。

【小泉内閣総理大臣】
 それをこちらで映したのと、向こうで映したのと違うということですね。

【大山有識者本部員】
 ここにあるカメラで映して右に出しているのがナチュラルビジョン、左のカメラが普通の従来のものです。

【松田IT担当大臣】
 実物に近いですね。違った色を見せられているようですね。

【大山有識者本部員】
 では、進めてもよろしいでしょうか。
 電子商取引では、注文した商品の色が違うというクレームから返品になることがよくあります。パソコンなどの表示にナチュラルビジョンの技術を組み込めば、このような問題はなくなります。
 次は、医療応用です。2011年には我が国の全家庭に地上波デジタル放送の受像機が入ると予想されます。この受像機を使ってお医者さんに相談できるようになれば、どんなに便利になるでしょうか。例えばこのスライドにあるように、赤ちゃんの急な発熱時にも適切なアドバイスがもらえます。このような遠隔医療相談では顔色の再現が重要と言われています。
 それでは、患者さんに入っていただきます。先ほどと同様に比較していただければと思います。顔色などの再現がナチュラルビジョンでは極めて自然に出ているのがおわかりいただけるのではないかと思います。既存技術との差が明確だと思います。
 この後も順次、鮮やかな布地などを映しますので、実物と比較してごらんください。
 最後に、まとめをさせていただきます。今日のデモは市販の液晶テレビ、これは地上波デジタルに対応するものでありますが、これに急きょナチュラルビジョンの技術を組み込んだものでございます。そのため、ナチュラルビジョンの本来の能力は出し切れていません。最近では4原色のテレビというものも出ておりまして、これらのテレビにナチュラルビジョンの技術を入れれば、より鮮やかな色、もっときれいな赤とか緑まで含めて、色を正確に表示することができます。
 もう一度画面をごらんください。布地の緑と金色の模様に注目していただきたいと思います。色だけではなく、光沢もリアルに再現されているのがわかると思います。金の色が全く違うのがおわかりいただけると思います。
 放送はモノクロ、カラー、ハイデフィニッション、デジタルと進化してきています。今後は飛躍的に臨場感を高める映像、音響技術が必要ですが、ナチュラルビジョンはその一翼を担うものです。次世代の映像技術を日本がリードするためにも、有望なものと言えます。
 以上でございます。ありがとうございました。

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。以上でデモンストレーションは終了でございます。
 それでは、予定の時間もまいりましたので、ここで小泉総理より……。

【小泉内閣総理大臣】
 カラーテレビもいろいろ違うんですね。

【大山有識者本部員】
 違います。おっしゃるとおりです。

【小泉内閣総理大臣】
 カラーテレビの色が違っちゃうんですね。それを今ちゃんとナチュラルにするように努力しているんですね。

【大山有識者本部員】
 そういうことです。その技術の開発がほぼ終わったということです。

【小泉内閣総理大臣】
 それで、日本は最先端をいっているんですか。

【大山有識者本部員】
 はい。これは私の本職でございまして。

【小泉内閣総理大臣】
 医療は顔色によって違ってくるし、服も全然買いたいものと買いたくないものと違ってくる。全部どんなテレビでもナチュラルビジョンだと……。

【大山有識者本部員】
 ナチュラルビジョンの技術を入れると、そのモードにしたとき、すなわち自然に出すモードになればきれいに出てきます。もちろん撮る側がしっかりできていないとだめだということはありますが、その撮影の技術もここにあるカメラのように可能になっておりますので、これは世界の次の放送の規格あるいはアーカイブも含めていろいろなものに適用できると考えています。

【松田IT担当大臣】
 一層頑張ってください。

【小泉内閣総理大臣】
 テレビによって顔色が全部違うから、クールビズでもそうですが、こんな色を着ていたのかと思うときもある。テレビが悪いのか、カメラが悪いのか、どちらかはわからないけれども。

(7)内閣総理大臣挨拶

【小泉内閣総理大臣】
 ありがとうございました。今まで着実に進展してきましたけれども、これからも今日の計画が一層進むように各府省一丸となって努力していきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

               (報道陣退室)

(8)閉会

【松田IT担当大臣】
 ありがとうございました。
 以上で、本日のIT戦略本部を閉会したいと存じます。いろいろ貴重な御意見、重ねて厚く御礼申し上げます。
 なお、本日の会議につきましては、この後、私からブリーフを行うこととしております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(別紙)

《出席者名簿》

 小 泉  純一郎内閣総理大臣
 松 田  岩 夫情報通信技術(IT)担当大臣
内閣府特命担当大臣(科学技術政策・食品安全)
 安 倍  晋 三内閣官房長官
 竹 中  平 蔵総務大臣
(欠)二 階  俊 博経済産業大臣
(※松 あきら 経済産業副大臣 代理出席)
(欠)杉 浦  正 健法務大臣
(※三ツ林 隆志 法務大臣政務官 代理出席)
(欠)麻 生  太 郎外務大臣
(欠)谷 垣  禎 一財務大臣
(※竹本 直一 財務副大臣 代理出席)
 小 坂  憲 次文部科学大臣
(欠)川 崎  二 郎厚生労働大臣
(※岡田 広 厚生労働大臣政務官 代理出席)
(欠)中 川  昭 一農林水産大臣
(※金子 恭之 農林水産大臣政務官 代理出席)
(欠)北 側  一 雄国土交通大臣
(※松村 龍二 国土交通副大臣 代理出席)
(欠)小 池  百合子環境大臣・内閣府特命担当大臣 (沖縄及び北方対策)
(※嘉数 知賢 内閣府副大臣 代理出席)
(※竹下 亘 環境大臣政務官 代理出席)
 沓 掛  哲 男国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災)
(欠)額 賀  nu郎防衛庁長官
(※高木 毅 防衛庁長官政務官 代理出席)
(欠)与謝野  馨内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策)
(※櫻田 義孝 内閣府副大臣 代理出席)
 中 馬  弘 毅内閣府特命担当大臣(規制改革・産業再生機構)
 猪 口  邦 子内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)
 伊 丹  敬 之国立大学法人一橋大学大学院商学研究科教授
 上 野   保 東成エレクトロビーム株式会社 代表取締役社長
 大 山  永 昭国立大学法人東京工業大学大学院理工学研究科教授
 清 原  慶 子三鷹市長
(欠)鈴 木  敏 文株式会社セブン&アイ・ホールディングス 代表取締役会長
 中 村  邦 夫松下電器産業株式会社 代表取締役社長
 中 村  維 夫株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 代表取締役社長
 村 井   純 学校法人慶應義塾常任理事 慶應義塾大学環境情報学部教授
上記の他、以下が出席。
 長 勢  甚 遠内閣官房副長官(衆)
 鈴 木  政 二内閣官房副長官(参)
 二 橋  正 弘内閣官房副長官(事務)
 宮 内  義 彦規制改革・民間開放推進会議議長
 竹 島  一 彦公正取引委員会委員長