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第39回IT戦略本部 議事録


1.日 時:平成18年12月18日(月)17時30分〜18時41分

2.場 所:内閣総理大臣官邸大会議室

3.出席者:[別紙]

4.会議の模様



(1)開会

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 それでは、皆様、こんばんは。安倍総理が若干遅れられるということで、先に始めておいてほしいということでございますので、ただいまから第39回IT戦略本部会合を開催いたします。本日はお忙しい中御参集いただきまして、本当にありがとうございます。
 本日は、安倍内閣が発足いたしましてから最初の本部会合となります。IT戦略本部の副本部長の一人といたしまして、本会合の議事進行を務めさせていただきます、高市でございます。よろしくお願い申し上げます。
 本日の議題は、まず「IT新改革戦略評価専門調査会の取組について」。
 2番目に「今後のIT政策の進め方について」でございます。
 なお、情報セキュリティ政策会議の設置につきましては、議長代理の規定の変更等に伴い、本部長決定を一部改正する必要がございますので、お手元の資料1のとおり改正をさせていただきたいと存じます。

(2)IT新改革戦略評価専門調査会の取組について

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 それでは、早速ですが、本日の議題に移りたいと思います。最初の議題は「IT新改革戦略評価専門調査会の取組について」でございます。IT新改革戦略評価専門調査会につきましては、本年6月に設置されまして、「IT新改革戦略」に関する政府の取組状況に関して、民間の視点から評価などを行っていただいております。
 本日は、この調査会の取組みにつきまして、渡辺会長から御報告をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【渡辺IT新改革戦略評価専門調査会会長】
 トヨタ自動車の渡辺でございます。それでは、評価専門調査会の活動報告をさせていただきます。資料2をごらんいただきたいと思います。
 まず1ページ目、これまでの経緯でございます。評価専門調査会は、「IT新改革戦略」に関しまして、政府の取組状況を評価する目的で設置されたものでございます。
 構成委員は記載のとおりでございますが、私が会長を拝命いたしまして、慶應義塾大学の國領先生に会長代理をお願いして進めております。重点分野の医療と電子政府につきましては、分科会を設置いたしまして、より専門的な立場から評価活動を行っております。
 2ページ目、評価の基本的な考え方でございます。私どもが最も重視しているのは、国民や利用者の視点に立った評価を行うことでございます。そのために、見える化やIT化の周辺にある施策や制度慣習にまで踏み込んだ評価、あるいは利用者や国民が実感できる論点や指標の設定などに取り組んでおります。指標に関しましては、特にこれまでの評価指標に加え、サービスを受ける側、利用する側の実感を評価する実感評価を追加いたしまして、定量的な評価とともに満足度のような定性的な部分も数量化できるように考えたいと存じております。今年度はまず、医療と電子行政の2分野について実感指標設定のための調査を行っておりまして、その結果を踏まえして、適切な指標を設定してまいります。
 次のページをごらんいただきたいと思います。医療分野の主要な検討課題でございます。BPR、つまりビジネス・プロセス・リエンジニアリングの徹底、全体最適の実現、あるいは利用者視点の重視などについて検討を進めております。
 4ページ目、電子行政分野でございます。医療分野と似通った視点でございますが、利用者の重視、府省間や国と地方の連携、あるいは制度や業務を超えた全体最適の実現などが検討課題として挙がっております。いずれの資料にも、少々過激な表現でございますが、たこつぼ化を排することが必要との表現がございます。これは、それぞれの部局が整合性のない取組みを行えば、重複投資を招き、国民負担が増すのみで効果は見込めないところもございます。全体最適に関する責任部局を明確にしていただき、綿密に連携した取組みを行うことが不可欠だと存じております。
 最後の5ページ「今後の進め方とスケジュール」でございます。次のIT戦略本部への御報告は、来年の3月を予定いたしております。今後も継続的に評価を行いまして、毎年度末に定期的に報告をさせていただくことで、PDCAがしっかりと回るようにしたいと考えております。また、ITが本当に国民の皆様に役立つものになるように、積極的な提言を行ってまいりたいと存じます。関係各位の御理解、御協力をお願いするところでございます。
 以上で評価専門調査会からの報告を終わります。ありがとうございました。

(3)今後のIT政策の進め方について

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題でございますが「今後のIT政策の進め方について」でございます。本日は、まず副本部長省庁でおられます、総務省、経済産業省から今後のIT政策の重点的な取組みについて御説明をいただきまして、その後に私から「今後のIT政策の進め方について」ということで御説明申し上げます。そして最後に自由討議を行う予定にいたしております。
 最初に、菅総務大臣からお願いを申し上げます。

【菅総務大臣】
 総務大臣の菅であります。総務省の取組みについて御説明を申し上げたいと存じます。
 1ページをごらんいただきたいと思います。総務省では、いつでも、どこでも、何でも、だれでもネットワークにつながるユビキタスネット社会の実現を目指し、政策を推進いたしております。
 平成19年度に向けましては、1つは「成長力・競争力・ソフトパワーの強化」、もう1つは「安心・安全なユビキタスネット社会の実現」、この2つを政策の中心に取り組んでいくことになっております。
 まず「成長力・競争力・ソフトパワーの強化」の関係につきましては、ICT国際競争力懇談会というものを設置いたしました。そして、ICTの地域の活性化を図るために、国民にICTの恩恵を実感してもらうために、地域ICT利活用モデルなどを推進していきたいと考えております。
 また、ソフトパワーの強化では、国際放送の強化を推進していきたいと思います。
 次に「安心・安全なユビキタスネット社会の実現」では、ボット対策などの情報セキュリティ対策や、電子タグによる見守りシステムの普及などに取り組んでいきたいと思います。
 以上の課題に加えまして、通信放送の融合、連携の推進につきましては、政府・与党の合意に基づきまして、この工程プログラムというものを作成しておりますが、NHK改革や競争政策の推進と同時に、電子政府、電子自治体の推進や技術戦略や国際戦略の推進等に取り組んでいきたいと思います。
 こうした総合的な取組みを行うことによって、世界を先導するユビキタスネット社会構築の実現を目指してまいりたいと考えております。
 2ページ目、我が国では、ブロードバンドは世界で最も速くて安い環境を整備したいと思っておりますけれども、特徴としましては、光ファイバーの加入者が急増いたしておりまして、世界でも最も普及が進んでいると思っております。
 次にPLC、いわゆる電力線搬送装置などを含めて、新たな電波利用システム等の実現による世界最先端の無線ブロードバンドの環境整備に努めるとともに、FMCや電子タグなど、先進的なシステムの導入・促進に取り組んでまいりたいと思っております。
 しかし、こうしたネットワークの高度化が急速に進む一方で、デジタル・ディバイドの是正が非常に大きな問題になっております。総務省では、2011年の完全デジタル化に向け、2010年度のブロードバンド・ゼロ地域解消や、2011年7月の地上放送の完全デジタル化を実現すべく取り組んでおりますし、このことを目標どおり実現をしたいと思います。
 3ページ目、国際競争力であります。情報通信産業の実質GDP成長に対する寄与率というのは40%でありまして、我が国経済成長の原動力であります。我が国の経済の生産性向上の点からも、この競争力強化というものは、極めて重要な問題であると思っております。
 これだけ携帯電話の高度化、多様化等が進んでおりますけれども、しかし、グローバル市場におけるネットワーク管理機器やソフトウェアなどの我が国のシェアというのは、必ずしも高くありません。海外事業の展開、あるいは標準化、知的財産の獲得、人材育成などが大きな課題になっていると思っております。
 我が国の優れた技術を生かしつつ、これらの課題を解決し、今後積極的な国際展開などを通じて競争力の強化を図ることが、私どもの大きな役割であると思います。そのために、学識経験者や関連企業・団体のトップの皆さんを構成員とする、ICT国際競争力懇談会を10月に設置をし御議論をいただいておるところであります。来年1月には中間報告をまとめ、4月には最終とりまとめを行う予定であります。そうした結果を踏まえまして、ICT国際競争力強化プログラムを策定をし、発会式で私があいさつをしましたけれども、まさにICT産業が自動車産業と並ぶように、我が国を代表する産業に育てていきたい。そんな思いで取り組んでおります。
 以上であります。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 ありがとうございます。続きまして、経済産業省の渡辺副大臣からお願いいたします。

【渡辺経済産業副大臣】
 経済産業省の渡辺でございます。資料4をごらんいただきたいと思います。
 1ページ目「ITによるものづくり・サービスの生産性向上」という問題について、現状を御説明させていただきます。ものづくり、そしてサービスと両方を記載してございますが、例えば現状においては金型をきめ細かに迅速に仕上げたり、鉄鋼の生産、省エネの管理を効率化したり、または消費者のニーズに合ったサービスを提供するなど、ものづくりとサービス全般にわたって経営者の創意工夫の中で生産性の向上に貢献していると考えております。
 しかし、資料の「課題」のところをごらんいただきたいと思います。現在、我が国では3つの低迷を指摘することができると思います。
 まず第1点に、大企業であります。ITの活用につきましては、部門内が中心でありまして、70%以上の企業が部門の壁を超えることができないという現状がございます。また、中小企業につきましては、ITの導入が大変遅れているということでございまして、IT投資の水準は過去5年間でほぼ横ばい、基幹業務の情報システムの未整備の企業の割合が大変高いわけであります。調達部門では74%、生産部門では66%という状況でございます。
 また、非製造業でございますが、IT投資と生産性向上の相関関係が特に顕著に低いわけであります。したがいまして、その部分のIT化が大変必要だと思っているわけであります。
 勿論、我が国でも経営者の積極的なITの活用によりまして、イノベーションを実践しているケースは多々見られるわけであります。具体的な例を申し上げます。2ページ目であります。これは、Webシステムの導入によって、かなり効率が上がったという例で、大阪の中小企業、業務用の送風機の製造・卸売事業者のケースであります。ITの導入によりまして、納期を7日から3日に、在庫を30日以上から1日以下に短縮してコストを下げることができました。
 また、社内に「やさしいこいさん」チームを導入しまして、「やさしいこいさん」チームというのは、大阪で言いますと商家の娘さんが、次女、三女の場合は、大変やさくしく気配りがある女性の象徴であるようでございまして、一度確保したらそれを離さないということで、お客さんをしっかりと確保する仕組みだと言っております。そのように、さまざまなチームを立ち上げることによって、サービスの向上、収益の拡大を図っているところであります。
 特にITを使って、顧客からの問い合わせに対して、回答時間がかつては1日余りかかったわけでありますが、この「やさしいこいさん」チームができることによって10分以内に短縮して、相手のお客さんに情報を伝えることができるようになり、効率化とサービス向上で、大変収益を伸ばしたという例でございます。
 3ページ目、電子タグの活用によって事業を伸ばしたというケースであります。これは養豚事業者のケースでありますが、脱サラした経営者が養豚場の管理の高度化をITによって進めたわけであります。従来でありますと、1養豚場当たり300 頭が限界でありましたが、1,500 頭まで管理できるようなったわけであります。
 したがいまして、かつては補助金頼みでありましたが、導入後は飼育豚担保2億円相当の融資枠を設定することができたという事例でございます。
 このように、豚の耳に電子タグを付けまして、生まれたときから餌の与え方などの飼育状況を1頭ずつ管理し、その情報を消費者にもオープンにしているという例であります。品質や安全性を消費者にアピールしながら、「ももぶた」というブランド名で単価の高いブランド展開しております。養豚事業としては、全国ベスト10にまで急成長している事業であります。
 4ページ目、これはソフトウェアなどの普及拡大、ものづくりを中心にIT化が進展し、製品やサービスの機能が向上して便利になっている携帯、自動車、金融・証券システムといったケースであります。
 携帯については、2001年ですと1機種当たり100 万行でありましたけれども、ITを導入することによって500 万行まで、かなりの情報量を収めることができるようになりました。例えばテレビとかカメラなどが、もう既に導入されております。
 自動車関係につきましては、現在500 万行〜1,000 万行まで大変高まっております。これは、特にエンジン周り等であります。
 金融・証券システムにつきましても、カードの共用化を始めとしまして、現在1億行〜2億行まで進めることができました。
 ただ、このように進めたわけでありますが、特に携帯の場合、1機種当たり研究開発投資として100 億円近くかかっておりまして、これを共通化することによって、この研究開発投資の低減が図れるのではないかと思うわけであります。
 このために、政府としてもIT活用と経営革新に取組みやすいように、環境づくりや後押しを進めていく必要があると思います。
 5ページ目、今後の取組みでございますが、「IT新改革戦略」の深化、加速化を図っていくことが大事だと思います。例えば医療の情報化や行政の電子化に力を入れることが重要であると考えております。
 特に3つの重点的取組みということで、第1に電子商取引や電子タグ、効率化の観点にとどまらず、省エネや環境対策などの観点からも新たに活用していくための連携の指針づくりなどの方策について検討してまいりたいと思います。
 第2は、中小企業を中心とする「IT経営」であります。「IT経営応援隊」事業による支援や、「IT経営百選」、「IT経営国勢調査」などの実施によって、中小企業の経営判断を促していくための環境づくりについて検討してまいりたいと思います。
 第3は、ソフトウェアやシステムの進展と産業競争力の強化でございます。ものづくりやサービスにおけるソフトウェアやシステムの進展を産業の国際競争力に活かしていくための方策について検討してまいりたいと思います。
 これらの3つの取組みに重点に置き、経済産業省としましては甘利大臣の下、本日の御議論を踏まえながら、ITを活用した生産性の向上、経済成長の実現を目指して検討を深め、次回のIT戦略本部に御報告を申し上げることとしております。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、資料5をお手元に出していただきまして、私の方から今後のIT政策の進め方について説明をさせていただきます。
 まず1ページ目です。本年1月に決定いたしました、「IT新改革戦略」に基づきまして、2010年に「いつでも、どこでも、誰でも ITの恩恵を実感できる社会の実現」という目標に向けまして、構造改革による飛躍、利用者・生活者重視、国際貢献・国際競争力強化という理念の下に「重点計画-2006」の策定などの取組みを進めてまいりました。
 今後のIT政策の進め方を議論する上で、まず一番目に、IT戦略を一層推進するためには、どのような点に政策の重点を置くべきか、また新たに取り組むべき分野はあるのかということ。二番目に安倍内閣では、活力に満ちたオープンな経済社会の構築、健全で安心できる社会の実現等を目標に掲げていますが、IT戦略本部としては、こうした目標を達成するために、どのように対応して政府における役割を担っていくべきかというような視点がございます。
 2ページ目、こうした視点に基づきまして、有識者本部員から御意見をいただきまして、2010年を目指したITによる経済発展の推進、国民が質的な豊かさを実感できる「健全で安心できる社会」の実現、更には将来のための創造的発展基盤の整備などが重要であるということで集約をさせていただいております。
 そのように、構造改革の推進を超えて、社会経済における新たな価値の創出等など、さらなる発展・飛躍を目指してIT戦略の重点化あるいは加速等を図るために、政策のパッケージを平成18年度末、来年の3月を目途に策定することを考えております。
 3ページ目、そのとりまとめに当たりまして、このページにありますように、有識者本部員からいただきました御意見で、国民にわかりやすいインパクトのある、それから、国民がITの恩恵を実感できる重点的な取組みを選んで、IT戦略本部が主導して強力に推進することが非常に重要だという御意見をいただきました。まさに、安倍内閣で具体的にこういうことが明確に変わったということでございます。ですから、このマル1(@)、マル2(A)、マル3(B)と分野候補を挙げさせていただいているんですが、あえてイメージしていただくために、今回例示も入れてございます。
 まずは、@「効率性・生産性向上、新価値の創出等の推進」を図るために、電子行政、企業の生産性向上などです。
 Aは、「健全で安心できる社会の実現」を図るために、ここでは医療の分野でレセプトのオンライン化、生涯ずっと自分の健康情報を管理できるような体制、それから今、年金問題がいろいろ議論を呼んでおりますが、年金情報なども迅速かつ確実に自分で確認できる、管理できるような仕組みを構築するのはどうだろうかということ。それから、安心してITを使える環境の整備、セキュリティの問題でございます。それから、ITの力で安全な社会、安心に暮らせる社会、こういったものを構築するということ。今、男女共同参画ですとか、少子化対策でも出てまいります、働き方の問題で、テレワークの推進、こういった例示をさせていただいております。
 Bは、「創造的発展基盤の整備」を図るということで、我が国の競争力の強化につながるインフラ制度の整備などが考えられますので、今後、有識者会合等を適宜開催しながら、早急に重点的な取組みを特定して政策のパッケージをとりまとめていきたいと考えております。
 最後に4ページ目、今後の検討スケジュールの案を示しております。3月のIT戦略本部におきまして、評価専門調査会からいただきます年度評価報告も踏まえまして、この政策のパッケージをとりまとめます。更に「重点計画-2007」の策定に反映させることで、PDCAサイクルを確実に回していきたいと思っております。
 参考1ということで、有識者本部員の方々からいただいた御意見をまとめておりますので、御参照いただけたらと思います。
 私からの説明は以上でございます。

(4)自由討議

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 それでは、ただいまから自由討議に移りたいと思うんですが、本日、時間が非常に限られておりますので、私の方から指名をさせていただきます。大変申し訳ありません。お一人3分以内でお願いを申し上げます。
 まず、伊丹本部員にお願いを申し上げます。

【伊丹有識者本部員】
 たまには「あいうえお」順の逆でもって指名していただけないかと思いますが、いつも冒頭に話させていただきます。
 実はちょっと危機感を持って今日の意見を述べさせていただきます。「IT新改革戦略」がモメンタムをどうも失いつつあるのではないか。IT戦略本部での議論が、行政の現場に伝わる速度、そういった点で何かもやもやしたものをかなり感じております。
 その1つの大きな理由は、「IT新改革戦略」という戦略の内容で、国民にどういうふうに変化が起きるのかということについての目に見える材料がないことだと思います。ひょっとすると戦略の名前自体が余りよくなかったのかもしれません。新改革というと、どうも改革という言葉は付いているけれども、一体何をやるのかがわからない。実は、前回の本部の会議でも議論になったことでございますが、戦略にもうちょっとニックネームを付けて、わかりやすい戦略の名前にしたらどうかと思いますが、しかし、そういうことを言っているよりは内容的な話を2点にわたって申し上げたいと思います。
 1つは、見やすいプロジェクトとして、先ほど高市大臣からお話があったような言葉よりも、もっと具体的なプロジェクトのアイデアを、既に有識者の意見交換会でも私が申し上げておりますけれども、改めて申し上げたいと思います。
 もう一つは、IT戦略本部そのものの位置づけを考えるべき時期に来たのではないかという観点からの発言でございます。
 まず第1点の見えやすいプロジェクトについてです。5つの重要だと思われる分野について、例えばこんなプロジェクトはどうかということを簡単に申し上げます。
 まず、一番大切な電子政府・電子行政、これは後で大山先生がお話しになる。既に私が前回有識者の意見交換会でお聞きしました話が、大変いい話だと思いますので、これは大山先生に譲ります。
 2番目に医療、これはレセプトのオンライン化という困難な課題を、簡単にただオンラインにすればいいという話ではなくて、象徴的にこのプロジェクトをどうやって大規模に進めるかということが非常に大切なことのように思います。医療の電子化といいますと、いろんなトピックが出てきてしまいますが、それを全部やろうとするととても見えなくなってしまいます。レセプトのオンライン化というのは、小泉総理大臣がこの本部の席で、すぐやれと指示された数少ない例だったと思いますので、是非やったらいいと思います。
 3番目は、菅大臣が御提出になりましたが、総務省で始めました国際競争力懇談会のような大きなプロジェクトでございます。これは、ICTのユーザーの側に立った戦略というだけでなく、それを供給する人間が世界の中できちっと競争力を持たなければ、日本の経済成長に貢献しないという観点から是非とも、例えば端末機器のハードとソフトでもって、世界を席巻するようなプロジェクトを何かつくれないか。そんなことを、実は私も国際競争力懇談会のメンバーでございますので、そちらでも発言するつもりでございますが、そういったことを是非考えたらどうか。
 4番目は通信とかインフラの分野を非常に象徴するプロジェクトとして、インテリジェント・トランスポテンション・システムを代表するような、安全交通システムのプロジェクト、これも国民に即わかりやすいプロジェクトだと思います。
 5番目は、教育の分野で、是非大規模な専門の大学院を政府主導で、産業界の協力も得てつくるべきだろうと思います。既にある大学のどこかの拠点に資源投入するというレベルをはるかに超えた大きな取組みが必要とされているように思います。
 最後に、IT戦略本部の位置づけでございますが、先ほどの菅大臣の御報告にありました競争力の懇談会というのは、一昔前であれば経済産業省が主宰するかのごとき懇談会でございました。融合が進んでいるんだと思います。したがって、情報通信省構想をも含めて、IT戦略本部の位置づけ、IT戦略の今後の推進の体制の在り方について真剣な検討を開始すべき時期に来ていると思います。
 以上です。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 ありがとうございます。続きまして、上野本部員からお願いいたします。

【上野有識者本部員】
 私は、中小企業の立場から提言したいと思っております。
 元気なものづくり中小企業300 社を経済産業省から選定されました。また、今年度、18年度に中小ものづくり高度化法が国会で制定されました。これは、大変評判のいい政策でございまして、全国から399 も案件が出てまいりました。こういういい政策というのは、やはり国民に広く受け入れられると思いますので、このことが基本的にはトヨタさんとか、松下さんのように、世界に誇れる製品を世に出している。そういう中で中小企業がサポーティングインダストリーとしての試作や部品づくりに大変貢献している。要するに、パートナーシップとしての役割が大変重要な位置づけになったというふうに理解しております。
 その場合に、日本のものづくりの強さというのは、IT経営を推進することによってより強くすることができると思っているわけです。その時に、大企業と中小企業等の受注側とが、うまく受発注のところでつながってないという重大な問題がございます。ものづくりを更に強くするということで、ITというのは非常に重要な役割を担うわけですので、是非これを業界ごと、あるいは企業別にウェブサイトでやっているものを、早くに共通の基盤としてネットワークをつくることが大変だと思っております。その意味で、IT戦略本部が司令塔となって、財務省さんの予算化も含めて、是非強力に推進する。このためには、やはり指針あるいはガイドラインみたいなものをつくって、民間でやることではなくて、やはり国がしっかりやっていく重要な施策だと思っていますので、是非このようなことを推進することを提言してまいりたいと思っております。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 ありがとうございます。それでは、大山本部員、お願いいたします。

【大山有識者本部員】
 東工大の大山です。医療と電子政府の課題について意見を述べさせていただきます。
 「IT新改革戦略」にあるように、真に我々国民がICTの利便性を実感できることを目的として、1つのジャストアイデアですが、いわゆるしみ出し的に資料6を作ってみました。A3縦長の資料をごらんいただきたいと思います。この資料の上段は現状を示しています。そして下段は、目指すべき姿を示しています。現状では、我々の情報はそれぞれの組織で保管、管理されています。そのため、定年退職や転職、引っ越し、年金受給の開始などがあると、保険証や年金手帳などの必要な書類等を持って、それぞれの窓口に出向いていきます。
 電子政府ではワンストップ化するための取組みも進んでいますが、医療などの社会保障分野では、本格的にオンライン化する取組みが開始されたばかりです。現状では、分野あるいは業務ごとに情報化を推進しているため、国民から見ると本人確認、情報の入手先、手続を行う場所がばらばらです。結果として、資料にあるように、どこで、どうすればいいのか、次はどことどこへ行くのかということが起きています。
 この状況を改善し、まさしくICTを使ってでありますが、電子政府の利便性と社会保障の透明性等を飛躍的に向上することを目的とした目指すべき姿の一案を下段に示しています。目指すべき姿の基本理念は、自分の情報を手元で管理できるようにすることです。勿論、原本管理を既存組織が行っている場合には、本人が手にするのは写しになります。これにより1枚のカードでの本人確認、自分にとって大切な情報の参照、確認、更に年金については、例えば将来の生活設計のシミュレーションなどが電子データにより可能になります。更に健診結果の一元化による、生涯を通じた健康情報管理なども可能になると思われます。
 資料には、希望する国民が電子的な私書箱を保有する案が示されています。この電子私書箱が、電子的な郵便物を受け取るだけでなく、関連機関に向けた複数の申請や届出等を一括して行う機能を持てば、更に便利になります。双方向でやりとりをすることになります。まさに、いつでも、どこでも、情報のやりとりが安全、かつ確実に行えるようになります。特に結果が出るまでに時間を要する行政手続や健康診断等では、依然として紙を用いて結果を通知しています。これは、すぐに回答できないからですが、そのため多くの手間と費用を要しています。この電子私書箱があれば、安全、かつ確実に電子データを本人に提供できることになります。多くの手間と費用が削減できると期待されます。
 この案では、十分なセキュリティを確保するために、すべての私書箱にはかぎをかけ、本人しか開封することができない電子的な親展機能を付加しています。電子署名と同じ技術を使うことで十分な安全性を確保します。
 また、資料では、スペースの関係でパソコンの利用画面のみが書いてありますが、実際にはパソコンを使わない人もいるので、その人たちのためには郵便局やコンビニなどに専用端末や多機能のコピー機器などを設置することが必要です。更に将来的には地上デジタルテレビを使って、家庭からも参照できるようにすると良いのではないかと思います。
 以上が自分の情報を手元で管理できる仕組みとその実現案としての電子私書箱(うちの秘書さんは、いつでも、どこでも取れるクンはどうですかと言っていました)の考え方です。
 現状を見ると、年金、政管健保などを含めた電子政府機能、いわゆるeガブの機能拡張から開始するのも一案と考えられます。ほかのサービスは準備ができ次第入っていただくことが可能です。「IT新改革戦略」に記されているITの恩恵を、電子政府・医療等の分野で実感できるようにするために、IT戦略本部、実質的には内閣官房になるでしょうが、そこで実現策とその具体化に関する検討を早急に開始すべきと考えます。
 以上です。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 ありがとうございます。それでは、清原本部員、お願いします。

【清原有識者本部員】
 こんにちは、三鷹市長の清原でございます。安倍総理が就任されてから、初めてのIT戦略本部の開催を大変うれしく思っております。特にイノベーション担当大臣が誕生して、いよいよ「IT」から「ICT」へ、つまり通信としてのコミュニケーションだけではなくて、双方向性、あるいは国民がより有効性の実感を増すという部分が強調されていくことを、大変うれしく思います。
 先ほどの高市大臣の御説明によりますと、政策パッケージを来年3月ぐらいまでにまとめていこうということでございますので、「IT新改革戦略」の理念であります、国民本位でICTの有効性を実感できる、そうした取組みをするためには、やはり何よりも重点化を鮮明に出していくことが必要だと思います。
 そこで1点目ですが、先ほどお隣の大山本部員の方から、社会保障、そして年金、医療機関等を含めた個人アカウントのアイデアの御紹介がありました。これは有識者の意見交換会でも御提案があって、自治体としても非常に興味深い取組みだと受け止めました。
 特に市民の皆様にとって、最も身近な政府である三鷹市でも、医療保険制度、国民健康保険の改正、更には介護保険の改正などは、市民の皆様にとりましては、制度が煩雑になるかのように見えるわけです。しかし、必要なのは御自身に関する情報ですから、それが一元化されて理解しやすくなる。あるいは自らが情報をコントロールすることができるようになるということは、かねてから強い要望が私たちのところに届いておりました。したがいまして、政府がこのような一元化を図っていただき、ユーザーである国民お一人おひとりが利便性を感じるようにするということが、重点的な取組みとして有用だと思います。
 2点目に、先ほど渡辺会長の方から、評価専門調査会の取組みについて御報告をいただきました、特に医療と電子行政について。まず今年度は検証してくださるということなんですが、医療の重点的な取組みにつきましても、これは大変有用だと思います。三鷹市でも、医師会の絶大なる御協力を得まして、このたび小児初期救急平日準夜間診療を始めたのですが、そういう取組みをしていただかないと、もう救急医療がかなり深刻になっております。更には、女性の乳がんのマンモグラフィの検診もしているのですが、つい最近も検診で早期にがんが発見されて、大変小さな傷で手術が成功したという方が、病院から市長あてに御礼状を書いてくださいました。私は自治体におりますと、もう命そのものに関わる仕事をさせていただいているので、そうしたときに医療の効果が実感できるように、いろいろな医療にかかる経費などの処理とか、保険の処理などは、もう本当に合理的で簡素である必要があるということを感じております。そこで、医療分野のIT化について、厚生労働省も熱心に取り組んでいただいているというふうに承知しておりますので、是非、厚生労働省のIT担当の方が自信を持っていただきたいと思います。こうした効果が必ず国民から評価として戻ってきますので、是非取り組んでいただければありがたいと思います。
 最後に3点目、御報告です。私、11月の下旬に昨年三鷹市が世界テレポート連合のインテリジェントコミュニティーの世界トップワンに選ばれたということがございまして、フランスの全国市長会から是非三鷹市の取組みを報告してほしいということでお招きをいただき、分科会で報告をしてまいりました。そのときに、やはりフランスでも電子行政、つまり国の電子政府の取組みと、電子自治体の取組みが、どうもなかなかフィットしていない。ですから、電子行政として国の政府がそれなりに進んでも、電子自治体がなかなかうまくいかないので、そこで国民に効果の実感がないということから、三鷹市ではどうかと言われたのです。それは私たちにとっても共通の課題です。特に政府だけが頑張るのではなくて、民間の御協力、あるいは大学、研究機関の御協力がなければ、それはできないわけですので、私たちはそうした民学産公の取組みをしているというふうに御報告いたしました。その効果が、例えば「ユビキタス・コミュニティ」という形で、政府の御努力が私たち自治体の具体的な、例えば交通行政であるとか、先ほどの福祉、医療の取組みであるとか、教育であるとか、身近な図書館であるとか、更には電子決済であるとか、そういうところに目に見える形で進捗がなければ、政府の取組みも国民の皆様には実感が得られないということです。
 したがいまして、「ユビキタス・コミュニティ」というキーワードを申し上げましたが、自治体と国の電子政府の取組みの接点をより特化して、先ほどの医療、福祉のようなことを例示しながら発信していくことが、重点化の中では有効ではないかと考えました。
 以上でございます。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 ありがとうございます。それでは、中村邦夫本部員からお願いいたします。

【中村(邦)有識者本部員】
 2点、提言を申し上げたいと思います。
 先ほど渡辺副大臣からも御指摘がありましたが、企業の生産性をITの活用によって、飛躍的に向上させる問題であります。社会経済生産性本部の調査によりますと、最近8年間の平均で見て、日本の生産性は年率1.5%の伸び率であるそうです。一方、世界のトップであります中国は7.1%です。また、韓国は3.4%、米国でも2.1%です。これは伸び率でありますから、生産性そのものは、日本は高い。しかし、伸び率に大きな開きがあり、非常に危機感を持っております。将来、日本の労働力減少は避けられませんが、日本があらゆる分野で活力ある社会へ成長を遂げるという点では、更に生産性向上に向けたITの徹底活用が不可欠であります。
 こうした観点から、今後のIT政策で重視すべき1つとして、「ITによる企業の生産性向上」が挙げられると思います。企業経営にITを活用すれば、経営のスピードアップやお客様へのサービス向上などを図ることができますが、こうした動きは一企業で取り組んでもあまり効果は期待できません。この動きを日本全体に広げ、そして、SCMやJIT、VMI等をグループで導入することによって、日本の競争力を強化していくことが必要です。そういう全体最適の視点から、大企業はもとより特に中堅、中小企業のIT投資を拡充することが肝要であります。そのためには、中小企業が経営に無理なくIT投資を進められるよう、財政的な支援措置等もお考えいただきたいと思います。
 2点目は、「働き方の問題」であります。例えば、光ファイバーを通すことによって、在宅勤務が非常に簡単になり、容易になる仕事が、実はホワイトカラーの分野で多くあります。そういう点で、ITを駆使したテレワーク・在宅勤務などの就労形態実現を官民一体となって加速することが必要であると思います。
 特に出産・育児、あるいは男性であっても介護・育児等に、在宅でありながら効果を上げられるという点で、ITを使った在宅勤務を是非提言しておきたいと思います。
 以上でございます。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 ありがとうございます。それでは、中村維夫本部員、よろしくお願いいたします。

【中村(維)有識者本部員】
 NTTドコモの中村でございます。
 これまでの「IT新改革戦略」とか「重点計画-2006」の中で、私どもが申し上げてきたように、国際競争力とか標準化、ICTの陰の部分、セキュリティも含めてですが、こういったことを織り込んでいただきました。その課題達成のために、体制という意味でいいますと、IT戦略本部が強力なリーダーシップを発揮して、府省の縦割りを廃してやっていくことも明記されております。私は今まで議論したことを推し進めていくことが重要だと思っております。
 ただ、新たな視点として、これまでICTは十分とは申しませんし、今までいろいろ議論が出ていますように、決して十分とは申しませんけれども、そうは言いましても、最終需要の付加価値創出とか、雇用創出といった経済全体の成長ポテンシャルは随分高めてきた。それから、積極的な研究開発投資によりまして、周辺事業、周辺産業のR&D活動を刺激して、産業競争力を高めてきたとか、高度なネットワークの端末によって新たな新市場が出てきたとか、そういったような光としての部分というのも、大きく出てきたと思います。
 ただ、国民の生活スタイルに大きな影響を与えてきたんですけれども、ICTの推進を国が後押ししている、国が後ろにいるということが余り国民には伝わっていないような気がいたします。今後でいいますと、情報機器などを使える、使えないにかかわらず、やはり国民の皆さんがICTの恩恵を実感することが非常に重要ではないかと思います。
 そういった意味で、ずっと議論してまいりましたけれども、国民生活に近い医療、介護、社会福祉といった分野、それから、電子政府の問題について、非常に難しい問題だということはよくわかっているんですけれども、これを何としてもやり抜く。今、具体的に大山先生の方からもいろいろな提言がございましたが、そういったものを含めながら、国民に変わったという実感を持たせることが是非是非必要ではないか。そんなふうに考えております。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 ありがとうございます。それでは、村井本部員、お願いいたします。

【村井有識者本部員】
 これまでに、有識者意見交換会などでもお話しをさせていただきましたので、本日は2つだけ申し上げたいことがございます。
 今、国際競争力というお話がありましたが、IT、情報通信の分野で日本のインフラが非常に成長したということ世界中の誰もが認めることですけれども、通信と放送とデジタルコンテンツ、デジタル知財について、先端的な議論が続けられているということで、世界中から日本の動向が大変注目されています。
 これらは全て制度に関わる議論ですので、基盤としての陸海空のような、つまり電波も含めた新しい制度作りに取り組むことが、行政全体あるいはこの本部としても、直接的に一番大きな責任のあることだと思います。この取り組みがしっかりとした成果に結実するということは非常に大事です。
 もう一つ、私の考える日本における最大の心配事について申し上げます。太平洋のケーブルはたくさんありますが、地図の左側、つまり、ヨーロッパと日本を結ぶケーブルは全くないという問題があります。今、中国とヨーロッパを結ぶケーブルができました。韓国も中国と大陸つながりということで、中国からヨーロッパとつながります。そうすると、日本だけが西側へのケーブルを持っていない状態になり、このことを私は大変懸念しております。
 5年間言い続けてきたことですけれども、12月12日に発表されましたように、直江津とナホトカの間に640Gbpsのケーブルができることになり、それが完成するのは来年の暮れです。日本とロシアとヨーロッパの間に高速の回線ができますので、これがうまく使えて、日本が地球の中でいい位置にある、ということを来年は世界にアピールしていくべき年だと思います。
 一方、南に下りてシンガポール・インドネシア経由のオーストラリア、シンガポールからインドのケーブルも非常に効果がありますので、今度はインドと日本との関係に着目して、日本の位置がどうなるか、是非計画を立てていきたいと思います。
 そして、今後2年ぐらいのうちには、このように地球の中で日本がどういう位置にあるかということ、そしてオープンな情報化と世界への貢献ということを日本が実現することができるかと思います。優秀な人材を有するということにおいても、日本は世界一にならなければいけないという御指摘がありましたので、大学も研究者も頑張りますけれども、今、申し上げたことは、民官学が連携して取り組む必要がありますので、この場で共有させていただきます。よろしくお願いいたします。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 ありがとうございます。それでは、草刈議長、お願いいたします。

【草刈規制改革・民間開放推進会議議長】
 先ごろ規制改革・民間開放推進会議の議長を拝命いたしました草刈でございます。
 当会議は初めての参加でございますので、今日は規制改革におけるIT分野への基本的なスタンスに沿って、若干コメントをさせていただきます。
 まずITは、すべての分野に関連する重要なツールであるという認識でございます。これは今後の社会において、距離や時間という概念を打破する重要なツール。遠隔医療あるいは遠隔教育等、地域格差や学力格差などを解消して、国民生活を豊かにし得るものだという意味があります。ただし、あくまでもツールでございますので、IT技術を使って何を実現するかというのが重要なポイントでございます。IT化を目的とせず、何かを実現するためにITを利用する。それが最適であるということであれば、既存の法あるいは制度にとらわれず、IT化を実現させるために、抜本的な制度整備をすべきであると思っております。
 IT化を実現させるための制度整備は、まさに規制改革そのものでございまして、IT化の果実を最大化するためには必須であります。「IT新改革戦略」あるいは「重点計画-2006」といったものに定められる政策をできるだけ早く実現をして、その効果を最大化するためには、横断的視野あるいはアクションが重要であります。したがいまして、その実現の際には、我が国の方向性の議論、その実現のためにITが担う役割、その効果を最大限にするための規制改革等の制度設計という意味で、当本部と経済財政諮問会議、あるいは我々の規制改革・民間開放推進会議が密に連携をしていく必要があると思っております。
 去年の当本部における総理の御指示がきっかけとなりまして、いわゆる膠着がありましたレセプトのオンライン化が一挙に進展をみたわけでございます。当本部におかれましては、総理、IT担当大臣等々のリーダーの方々にリーダーシップを発揮していただきまして、実現すべき政策あるいはあるべき姿を定めていっていただきたい。その実現のための方法や手順については、我々の会議としても、大いに御協力をさせていただくつもりでございます。
 とりあえず、以上です。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 ありがとうございます。最後に、渡辺会長、お願いいたします。

【渡辺IT新改革戦略評価専門調査会会長】
 先ほど評価専門調査会の活動状況の中でも触れさせていただきましたけれども、IT政策の推進に当たりましては、国民とか利用者の視点を大事にするということと同時に、非IT部門、今、草刈さんもおっしゃいましたけれども、ビジネスプロセスの改革が大変重要ではないかと思っております。つもり、目的と手段という関係を明確にしてやっていく必要があるのではないか。
 そういう観点から、特に医療分野の情報化とかあるいは電子政府の推進につきましては、是非IT戦略本部が指導していただきたいと思います。国民とか医療従事者、あるいは保険者等の利用者がその恩恵を十分に得られるような医療サービスの質の向上、あるいはコスト低減、電子政府におきましては、最終利用者であります国民あるいは企業、そして行政間がそのメリットを実感できる行政サービスの利便性向上策と行政の簡素化、あるいは効率化の推進、こうした方向に資するようなIT政策を打ち出していくべきではないかと思っております。
 評価専門調査会でも、この2つの分野につきましては、徹底的に議論をしていきたいと思っておりますので、その結果につきましては、IT戦略本部にお伝えをさせていただきたいと思います。
 また、分野横断的で、組織の垣根を越えた取組みを進めていくことも大変重要だと思っております。
 先ほども少し申し上げましたけれども、たこつぼ化ということをブレークスルーするようなプロジェクトを是非IT戦略本部の強いリーダーシップで進めていただければ、私ども評価専門調査会での議論と呼応するのではないかと思っております。是非皆様方の積極的な御検討をお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 皆様どうもありがとうございました。
 とにかく見えやすいプロジェクトを重点的に、きちっと選択して、IT戦略本部の強力なリーダーシップで進めていくということで頑張ってまいります。ありがとうございます。
 今日は溝手国家公安委員長にも御提言いただきたかったんですけれども、時間の関係で申し訳ありません。次回お願いいたします。

(5)中村邦夫有識者本部員によるデモンストレーション 〜コンセントでどこでも 機器リンク 〜

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 それでは、マスコミに入室していただきまして、本日は生活密着ITの実現ということで、電源コンセントに差すだけで簡単に機器がつながる電力線通信技術について、中村邦夫本部員から御紹介いただきます。デモンストレーションでございます。

(報道陣入室)

【中村邦夫有識者本部員】
 先ほど総務大臣が触れられましたが、本日はコンセントを使って家中どこでも簡単に機器をつなぐ技術、PLCについて御紹介をいたします。
 リビングルームを中心にあるテレビは、今後エアコンなどの家電機器ともつながり、リビングにいながらテレビを通して操作するなど、家庭内機器の中心としての役割を果たしていくと思います。
 このとき、さまざまな機器をだれでも簡単にテレビにつなぐことが重要になります。現在、ご家庭のAV機器は音や映像を出すために、さまざまなケーブルをつなぐ必要があります。しかし、本日説明いたします電力線通信技術を用いますと、ごらんの1本の電灯線に電気だけでなく、音や映像も流れるようになり、今お使いのコンセントに差すだけで、音や映像がテレビに出るようになります。コンセントに差すだけですので、だれでも簡単に、また家中のコンセントのどこからでも機器を使うことができます。また、この技術は、既にあるコンセントや電灯線を使いますので、新たな出費は必要ありません。
 本日のデモでは、最初に「コンセントに差すだけで、だれでも、どこでも簡単に接続」を総理と高市大臣に御体験いただきます。続いて、この技術を使ったくらしの安心・安全における応用例を紹介いたします。
 では、まず最初に、「だれでも、どこでも簡単接続」のデモを行います。安倍総理と高市大臣の前にカメラとコンセントを置かせていただきました。通常カメラの映像をテレビに出すには、コンセントに差す以外に、ごらんの専用ケーブルをテレビにつながなければなりません。今回使用します試作カメラは、今お使いのコンセントに差すだけで、電源が入るとともに、映像をテレビに出すことができます。
 総理、恐れ入りますが、お手元の試作カメラをコンセントに差してみてください。

(安倍内閣総理大臣がコンセントに試作カメラを差し込む)
(安倍内閣総理大臣の顔がテレビに映る)

【中村邦夫有識者本部員】
 総理が映りました。この技術を用いますと、簡単にカメラの映像をテレビに出すことができます。また、最大20本までの映像を同時に1本の電灯線で送ることができます。
 高市大臣、お手元のコンセントにカメラを差し込んでください。

(高市内閣府特命担当大臣がコンセントに試作カメラを差し込む)
(高市内閣府特命担当大臣の顔がテレビに映る)

【中村邦夫有識者本部員】
 大臣も映りました。
 他のカメラもつないでみましょう。4台のカメラの映像が同時に1本の電灯線を通じて、テレビに出ています。また、映像を送るだけでなく、カメラを操作することもできます。こちらの画面もごらんください。カメラを操作してみます。

(安倍内閣総理大臣の前に置かれた試作カメラが動き、
塩崎内閣官房長官の顔がテレビに映る)

塩崎官房長官が映りました。このような操作も電灯線を通して行うことができます。
 総理、高市大臣ありがとうございました。
 コンセントを通して簡単に機器をつなぐこの技術を用いることで、さまざまな機器をテレビにつなぐことができます。今回はインターホンやモニターカメラをテレビにつないで、くらしを見守る安心・安全の応用例を紹介いたします。まずインターホンの応用例を紹介し、続いて、モニターカメラの応用例を御紹介いたします。
 リビングルームでテレビを見ていると想定いたします。

(ピンポーンとチャイムの音が鳴る)

 今どなたかが来られました。テレビのリモコンで画面を切り替え、インターホンの映像を見ることで、来訪者の確認もすることができます。今、右側にインターホンの映像が出ております。
 次に、モニターカメラの応用例を御紹介いたします。一戸建てには、平均18個のコンセントがあるという調査結果が出ております。これら設置済みのコンセントにカメラを差すだけで、玄関などの見守りたい場所の映像を簡単にテレビに出すことができます。また、赤ちゃんやお子さんのいらっしゃる部屋も映すことができますので、在宅勤務中の女性が別室の子どもさんを見守ることもできます。更にインターネットを介せば、家の外から携帯電話で確認できます。
 以上は試作実験機でありますので、不完全な部分もありますが、電力線通信技術の御紹介とモニターカメラを使った一例をデモさせていただきました。
 10月に電力線通信に関する制度整備を行っていただきましたおかげで、日本でもこの技術を使った商品が急速に広がっていくと考えております。日本全国でつながった機器が連携して、人々のくらしをサポートすることで、生活密着のITが実現するのではないかと考えております。
 御清聴ありがとうございました。

(拍手)


(6)内閣総理大臣挨拶

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 ありがとうございました。それでは、予定の時間もまいりましたので、安倍総理から御発言がございます。

【安倍内閣総理大臣】
 ただいまインターネットがどれだけ私たちの生活を便利にするかという、大変わかりやすいデモンストレーションを見せていただきました。
 森政権のときに、日本を世界最高水準のインターネット先進国にするという目標を掲げまして、今から6年前でありますが、この戦略本部が立ち上がったわけであります。当時は、果たして本当にできるのかと思っていた方々もおられたのではないかと思いますが、今や高速インターネットの基盤においては、また接続料においても、世界最高水準を見事に達成したわけでありまして、政府が本気になって、そして、みんなで力を合わせれば、目標を達成できるということを示したのではないかと思いますが、せっかくあるインフラを戦略的に利用している、活用しているとは言い切れない状況であります。
 日本の人口が減少していく中においては、やはり生産性を上げていく。そのためにはイノベーションが必要である。特にITはまさにイノベーションと生産性を向上していくための大きなかぎとなっていくと思うわけでございます。また、この分野が未開拓であるということは、日本はまだまだ生産性を上げていく余地があるということにもなるのではないかと思うわけであります。
 今日御報告をいただきました評価についてでありますが、やはり国民の皆さんにとって、どれぐらい進捗をしているのか。あるいはどこにどういう問題があるかということをわかりやすく評価していくことが必要ではないかと思います。
 また、何といっても、国民の皆さんがITの恩恵を実感できるということが、このITを更に政策的にも進めていく、力を入れていく上においても、重要ではないかと思います。この評価におきましては、国民の視点に立った評価を徹底するとともに、その結果を踏まえて、政策を推進していく体制を早期に整備をしていただきたいと思います。
 また、本部員の皆様からいろいろ御指摘があった、まだまだこれから進めていかなければいけない分野、そして、それは国民にとっても身近な分野である電子行政や医療等、そうした分野においては、是非IT政策の重点にしていただきまして、取り組んでいただきたいと思います。
 私は総裁選のときから、テレワークを進めていくことが、生産性の向上にもつながっていくわけでありますし、働き方を大きく変えていく上においても、例えば少子化においても、大きな鍵ではないかと申し上げてまいりましたので、推進策についても、是非とりまとめていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 どうもありがとうございました。

(報道陣退室)


(7)閉会

【高市内閣府特命担当大臣(イノベーション)】
 それでは、本日の「IT戦略本部」を閉会させていただきます。なお、本日の会議の議事でございますが、この後、内閣官房の事務方から報告をさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。


(別紙)

《出席者名簿》

 
 安 倍  晋 三内閣総理大臣
 高 市  早 苗内閣府特命担当大臣(イノベーション)
※ 内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、科学技術政策、少子化・男女共同参画、食品安全)を併任
 塩 崎  恭 久内閣官房長官
 菅   義 偉総務大臣
(欠)甘 利   明経済産業大臣
(※渡辺 博道 経済産業副大臣 代理出席)
(欠)長 勢  甚 遠法務大臣
(※水野 賢一 法務副大臣 代理出席)
(欠)麻 生  太 郎外務大臣
(※岩屋 毅 外務副大臣 代理出席)
 尾 身  幸 次財務大臣
(欠)伊 吹  文 明文部科学大臣
(※池坊 保子 文部科学副大臣 代理出席)
 柳 澤  伯 夫厚生労働大臣
(欠)松 岡  利 勝農林水産大臣
(※山本  拓 農林水産副大臣 代理出席)
(欠)冬 柴  鐵 三国土交通大臣、観光立国担当
(欠)若 林  正 俊環境大臣、地球環境問題担当
(※北川 知克 環境大臣政務官 代理出席)
 溝 手  顕 正国家公安委員会委員長、内閣府特命担当大臣(防災)
(欠)久 間  章 生防衛庁長官
(※大前 繁雄 防衛庁長官政務官 代理出席)
(欠)山 本  有 二内閣府特命担当大臣(金融)、再チャレンジ担当
(※田村 耕太郎 内閣府大臣政務官 代理出席)
 大 田  弘 子内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
 佐 田  玄一郎内閣府特命担当大臣(規制改革)、国・地方行政改革担当、公務員制度改革担当、地域活性化担当、道州制担当
 
 伊 丹  敬 之国立大学法人一橋大学大学院商学研究科教授
 上 野   保東成エレクトロビーム株式会社 代表取締役社長
 大 山  永 昭国立大学法人東京工業大学大学院理工学研究科教授
 清 原  慶 子三鷹市長
(欠)鈴 木  敏 文株式会社セブン&アイ・ホールディングス 代表取締役会長
 中 村  邦 夫松下電器産業株式会社 代表取締役会長
 中 村  維 夫株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 代表取締役社長
 村 井   純学校法人慶應義塾常任理事 慶應義塾大学環境情報学部教授
 
上記の他、以下が出席。
 下 村  博 文内閣官房副長官(衆)
 鈴 木  政 二内閣官房副長官(参)
 的 場  順 三内閣官房副長官(事務)
 世 耕  弘 成内閣総理大臣補佐官(広報担当)
 草 刈  隆 郎規制改革・民間開放推進会議議長
 竹 島  一 彦公正取引委員会委員長
 渡 辺  捷 昭IT新改革戦略評価専門調査会会長