第8回IT戦略本部 議事録
1.日 時:平成13年12月6日(木) 17:45〜18:30
2.場 所:内閣総理大臣官邸大食堂
3.出席者:[別紙]
4.会議の模様
(1) 竹中IT担当大臣から以下のとおり挨拶。
- ただいまからIT戦略本部第8回の会合を開催する。本日は、お忙しいところお集まりをいただき、誠にありがとうございます。
- 本日の議題は「IT関連規制改革専門調査会報告について」であるが、総理が都合で遅れて御出席になる。したがって、資料の順序は前後するが、先に報告事項をまとめて御説明して、総理がお見えになった後で議題に関して宮内座長から報告をお願いし、更にその後、自由討議とさせていただきたいと思う。御協力をよろしくお願いする。
- それでは、議事に入る。まず報告事項として電子政府の実現のために必要な「行政手続のオンライン化のための法整備の立案方針」の骨子案について、総務省の坂野行政管理局長から御報告をお願いする。
(2) 総務省坂野行政管理局長から、「行政手続のオンライン化のための法整備の立案方針」の骨子案について以下のとおり報告。
経過を若干、復習のために御説明申し上げる。「e-Japan重点計画」において行政手続のオンライン化を進めるに当たり、法令の見直しを行う方針が定められ、これに基づいて6月に基本方針を定めたところである。この基本方針において、総務省において法律の整備の立案方針を作成するということになっており、これについて御報告をするものである。
今回の法整備の位置付けは、今申し上げた経過を踏まえて法整備を行うものであり、「申請、届出等に限らず法令に基づく行政機関等の手続について、原則としてすべて書面による手続に加えオンラインによる手続も可能となるよう、所要の法整備を行いたい」ということである。
それから、これに合わせて行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資することを目的とする事項も盛り込みたいと考えている。
次に、「法整備の考え方」であるが、この対象になる法律については、書面を意味する用語がある法律を対象にするわけである。この場合にあっては書面とともにオンラインによる手続も可能になるようにしたい。また、これに当たって単にオンラインの手続に関する規定のほか、例えば到達時期等の定めについても必要なものを盛り込みたいと考えている。
なお、いわゆる通則法的な法律にしたいと考えており、これに合わせて個別の法律も整備法として必要な整備を行うということにしたいと考えている。
「法整備の対象範囲」であるが、先ほど申し上げた行政機関に係る手続全般を対象にするということをここに書くものである。
「立案作業の進め方」では、提出時期であるが、平成14年の通常国会に関係法案を提出するということにさせていただきたいと考えている。
(3) 平成13年度第1次補正予算のうちIT関連部分の概要について、事務局から以下のとおり説明。
第1次補正予算案の中で改革先行プログラム関係として雇用対策の5,500億、中小企業対策の2,500億等を含め、1兆円の改革先行プログラム関連の予算を決定したが、その中で構造改革を加速するために特に緊急性の高い施策ということで1,989億円の予算を確保している。その中で、IT関係で840億の予算を確保している。電子政府の実現で500億、学校の情報化で300億弱といった予算を確保したところである。
(4) 今臨時国会で審議された法案の進捗状況について、事務局から以下のとおり説明。
今臨時国会でIT関係の法案を5本出させていただいた。
1番目と2番目は、商法の一部改正法と、商法の関係の整備の法律である。会社関係の書類の電子化であるとか、株主総会における議決権行使の電子化といった項目を盛り込んだ法案である。これは、いずれも11月の末に可決成立をしている。
3番目は、長い名前であるが、通称ISP法案と言っている。インターネットサービスプロバイダーの法的責任の法律であり、これも11月の末に成立をしている。
4番目は、電磁記録投票法である。地方選挙における電磁的記録式の投票を可能とするという法律であり、これも11月の末に成立をしたところである。
最後の個人情報保護の法案であるが、現在まだ審議入りをしていない。早期に審議入りしていただくよう今、各方面にお願いをしているところである。
(5) 宮内会長から、IT関連規制改革専門調査会報告について、以下のとおり報告。
【竹中IT担当大臣】総理がお見えになったので、本日の主要議題であるIT関連規制改革専門調査会の報告についてお願いしたいと思う。前回の第7回の会合において、ITに関連する規制改革を専門に調査するための専門調査会の設置が本部決定されている。
それ以来、座長に選出された宮内会長を始め、委員の皆様によりこの1か月間で集中的な議論が行われ、去る4日に報告書が取りまとまったと伺っている。ついては、宮内座長から10分程度で御報告をお願いしたいと思う。
【宮内会長】この専門調査会のメンバーは、当本部のメンバーと総合規制改革会議のメンバーとの合同である。この1か月で休日を含めて6回会合を開いてお手元のような報告にまとめさせていただいた。これから御説明するが、内容的には具体的な方向性を示させていただいたということであるので、今後は肉付けというか、本当の具体案というものにしていく作業が残るのではないかと考えている。
今回、IT分野での規制改革を検討するに当たって一番の問題意識として持っていたのは、現行の通信放送制度がアナログ技術を前提としていて、デジタル技術とインターネットが中心となりつつある現実にふさわしくないということ。これに対して総務省は、制度が現実に適合するようさまざまな制度改革を行ってきたが、例えば放送法は昭和25年につくられた法律であるなど、やはり根本の制度はアナログ技術を前提としているということはいかんともし難い。したがって、制度改正を積み重ねた結果、かえって規制体系が複雑になってきたという問題意識を持っている。
こうした規制体系の下で、「e-Japan戦略」に掲げられた目標である2005年までに1,000万世帯を超高速インターネットで、3,000万世帯を高速インターネットでつなぐという野心的な目標が達成困難ではないかという危惧を持っている。
デジタル技術とインターネットの普及により、制度が、予定していた現実とは次の3つの点で大きく変わりつつあるのではないかと思う。
第1に、現在は規制体系に合わせてネットワークが縦割りに細分化されている。しかしながら、今やあらゆるネットワークをインターネットに統合することが可能になっているということ。
第2に、現在は通信と放送が別々の法律で規制されているが、この2つのものは今後一層融合する。実際に双方向テレビ、インターネット放送などの融合ビジネスが既に数多く登場している。
第3に、これまでの通信、放送事業は同一企業がインフラからサービスまでいわゆる一気通貫に適用するという垂直統合型の構造であったが、ネットワーク、コンテンツなどの機能ごとに現実には水平分離され、別々の企業がそれぞれの機能を提供することが可能な構造になっている。
こうした変化の結果、現在は通信、放送別々に縦割りで垂直統合的なビジネスが行われているが、今後はインフラ、コンテンツといった機能毎に競争が進み、通信、放送共通のインフラの上でさまざまな情報通信サービスを提供できるようになる。これは例えばコンピュータ産業の歴史を顧みると、かつてはIBMがハードも売り、ソフトも全部提供していたという状況だったわけであるが、それがハードとソフトがアンバンドルというか、水平分離された。そして、それぞれの市場に多数の企業が参入して競争が激化した結果、現在の隆盛を迎えるという歴史がある。今や通信、放送の分野でも同様な変化が起きているのではないかという認識を持っている。
このようにデジタル化、インターネットの普及により、現実はどんどん進んでおり、そうした変化を後押ししてこそITが日本経済再生のいわゆる牽引者になるということではないかと思う。アナログ技術を前提とした通信、放送の規制体系がそうした変革を阻害しないようにするということが今、必要であろうかと思う。したがって、私どもは、政府は以下の3点の規制改革をできるだけ早く実施すべきではないかと考えている。
第1点は通信、放送の制度をアナログ技術を前提とした事業毎の縦割りの規制体系からデジタル技術、インターネットを前提としたレイヤー毎、機能毎の横割りの競争促進体系へと抜本的に転換する。それにより、通信・放送分野における競争の促進と通信・放送の融合の促進を図るべきではないかということである。
こうしたコンテンツというものとインフラの分離、それから通信、放送の融合という抜本的な制度改革は、例えばEU内でも既に提案はされている。しかしながら、「e-Japan戦略」で「世界最先端のIT国家を実現する」としている以上、世界に先駆けて抜本的な制度改革を行うべきではないかということが第1点である。
第2点は情報通信インフラの部分についてである。公正競争の一層の促進、光ファイバ網の整備、電波の効率的利用等を通じてブロードバンドインターネット網の整備を進めるべきであるということである。ここで言っている公正競争の促進のためには、特に独占度の高い加入者網における公衆網再販の制度化、卸・小売の分離などが必要であり、例えばNTTのあり方についても議論を深めることが必要ではないかと考えている。
また、光ファイバ網の整備のためには未利用の光ファイバの開放の促進が必要であり、また電話の効率的利用の促進のためには電波割当制度の改革を通じて既得権と化している周波数の再配分を可能とすることが必要ではないかと考えている。
なお、情報通信インフラに関しては、規制改革ではないが、いわゆるIPv6というものの普及の促進あるいはセキュリティの強化というものに取り組むことも別途必要だと考えている。
3番目であるが、コンテンツ等のサービスの部分については経済的な規制は原則として撤廃すべきであるが、公正競争を促進するなど、コンテンツの充実に向けて例えば簡便な著作権許諾システムの確立、こういうものに取り組むことが必要だと考えている。
最後に、規制機関のあり方を考えさせていただいた。通信放送分野での縦割りの競争を促進するためには公正取引委員会の機能強化、総務省からの移管あるいは情報通信に関する独立競争監視機関の設置が必要であるということも付言させていただきたいと思う。
最後に、最優先で取り組んでいただきたいという点は、通信、放送の事業毎の縦割りの規制体系を機能毎の横割りの競争促進体系に抜本的に転換する。繰り返して申し上げるが、こういうことではなかろうかと思う。ITというものは新規産業の創出、既存産業の効率化、こういうものを通じて日本経済再生の非常に大きな力になれるという確信がある。したがって、こういう施策に早急に取り組んでいただくということを、私どもの調査会としては提言させていただいたわけである。
(6) 自由討議。
【竹中IT担当大臣】短期間に精力的に作業をしていただき、感謝する。それでは、残された時間で自由討議に移る。
【片山総務大臣】今の宮内座長の御報告の前に、総務省の坂野行政管理局長が御報告申し上げたが、行政手続のオンライン化のための法案を次期通常国会に出すように、現在各省の協力を得ながら立案作業を進めているが、これは是非そういたしたい。これが1点である。
それからまた、情報システムに係る政府調達制度の見直しについては、この本部における御指摘もかつてあったので、本日午後総務省、経済産業省、財務省の3省を事務局として各省の会計部門、情報システム部門から成る検討体制を発足させたので、そのことを御報告申し上げる。
今、宮内座長は本当に短い期間に何回もおやりになって大変問題意識にあふれた御提言をいただいた。敬意を表するし、できるだけ尊重して対応いたしたいと思うが、同感するところと同感しないところといろいろあるので、それを仕分けして今後ともこの本部で議論させていただければ大変ありがたいと思っている。
そこで、通信と放送の融合だとか、卸と小売の分離だとか、あるいは電波のいろいろな割当制度なり情報公開の問題など、当方でも十分検討しており、宮内座長から見るとやや微温的かもしれないが、それぞれ法律改正で対応しているので、今みたいに放送と通信を全部横割りにしてしまえとか、あるいはインフラとサービスを全部分けてしまえとか、一つの御意見であるが、現実の対応としてそういうことが可能かどうか、私は十分に検証がいると思っている。それを制度にするのであるから、最も革新的なことをまず制度でやってしまって、あとはついて来いということが可能かどうか。この辺は十分検討させていただきたいと思っているが、貴重なる御提言であるからできるものはできるように対応させていただきたいと思う。
また、公正取引委員会の話が国会でもよく出るが、これは大議論をして今の仕組みになっている。私は別に総務省でなければいけないとは思わないが、いろいろな議論の結果、一応総務省についている。公正取引委員会というのは準司法的機能を営む完全な独立機関であり、職務については全く総務省とは関係ない。決めたばかりでまだ1年もたたないのにこれをどこかに持っていくとすると、どこにつけるのがベターかということであるが、恐らく内閣府しかない。「何でも内閣府」ということがいいのかどうか。国会でも「その辺はよく検討したい」と答弁しているし、総理も中長期の課題と言われているので、是非検討させていただきたいと思う。
それから、独立規制機関についてはFCCが念頭にあるが、私は前から言っているが、アメリカは大統領制だから行政委員会を多用している。そこでFCCが振興や規制も全部やっている。そういう意味では、今の総務省の仕組みと変わらない。ただ、向こうは行政委員会である。こちらは議院内閣制度の専任大臣制である。その辺を含めて検討させていただきたいと思うし、特に紛争処理については、国会は電気通信事業法の改正で紛争処理委員会というものもつくった。これは発足したところであるが、どのくらい機能を発揮するかを踏まえて引き続いての議論にさせていただきたいと思っている。
【平沼経済産業大臣】IT関連規制改革専門調査会の皆様方は、短期間に精力的に報告を取りまとめていただき、心から敬意を表させていただきたいと思う。我が国が5年以内に世界最高水準のIT国家となるためには、IT関連の規制改革等により低廉かつ高品質なネットワークサービスを実現することが重要であると認識している。先日開かれた産業構造審議会情報経済分科会においても、規制改革等による情報通信市場における競争環境整備について提言がされており、今回の専門調査会の御報告の内容と基本的に方向を一にするものだと思う。
経済産業省としては、こうした認識の下で今回の専門調査会の報告に示された方向性に沿って規制改革の具体化に向けて議論が更に深められ、着実に実施されていくことを期待申し上げる。本当に短期間に御苦労様である。
【村井教授】私もこの調査会の中で議論に参加させてもらったが、今のお話の中で議論の経過も含めて繰り返しになる部分もあるが、大事な点をお話させていただきたいと思う。
今の御説明の中で、今までデジタルとアナログという視点で考えてきた部分が非常に新しいと思う。それで、これは実際には技術的に言うとインターネットというのはデジタルテクノロジーを使いやすく広げていく一つの方法であり、それが広がっていくときにIPv6というのがあるという位置付けだと思う。
しかしながら、デジタルテクノロジーとアナログテクノロジーの根本的な効率の違い、こういったところが前提であると宮内座長はお話になったが、そこでいろいろな方向が変わってくるというところが、デジタルテクノロジーのいわばデジタル革命という部分だと思う。したがって、この報告書の中では方向性ということでデジタルテクノロジーを基盤としたコミュニケーション、これがIT環境としての非常に大きな意味を持つという、この方向性として整理をされたという点が大変重要な点だと思う。
そうだとすると、先ほど片山大臣もおっしゃったような具体的なことをこれからそういった方向性に沿って見直したり考えていくというのが、改革に関して、とても効率のいいプロセスになるのではないかというのが1点である。
それからもう一つは、規制機関のことは私は余り専門ではないが、これも議論の中でおっしゃるようにFCCということから出発していくことについての問題である。実は私もアメリカでのFCCの位置付けと、それのいいところと悪いところというか、結果として私どもの技術や、そういうものの発展に対してプラスになった部分、マイナスになった部分があると思う。これはほかの国の組織であるから、やはりFCCということで持ってくるという話ではないと思う。
しかしながら、この公正取引委員会の部分でもそうだが、先ほどの方向性にかんがみて、1つはデジタルテクノロジーで移っていく世界というのはアナログテクノロジーに比べて非常に変化が激しい。これは未来もいろいろな状況が変わってくると思う。そうだとすると、やはりそれを念頭に置いてこういった機能を果たすということで、この一番重要なポイントは非常に高い専門性だと思う。そうすると、この非常に高い専門性の体制でこういった組織をつくらなければいけないというところが一番の本質だと思う。
そうでないと、デジタルテクノロジーの中では、やはり非常にルーティンワークとしてそれを継続していくという体制には行きにくい。したがって、高い専門性を持ったこのような規制機関というものの存在が一番のポイントになるのではないか。これがどうやってつくられるかというのを考えるのが大切ではないかと思う。
【宮津社長】3点申し上げる。この調査会に私もヒアリングで呼ばれて、相当お話をさせていただいたので、それは省略する。結論的に言うと、今大変な国難であり、我々もNTT版構造改革をやっており、これからどうやって食べていくかという人の問題なども抱えている。これは日本の産業全体が共通に困っていることで、努力しなければいけないところである。この問題は民間でも一生懸命自分たちで努力しなくては仕様がないと思う。
そういう面から見たときに、1点目は、まず何しろいろいろな努力をしなければいけないと思っているので、基本的に規制をかけないでいただきたい。できるだけ規制は外していただきたいというのが一番お願いしたいことである。抽象的に言えばそういうことであるが、今日専門調査会でご検討された内容をいろいろ具体的に出してこられているが、必ずしもストンと落ちているというわけではない。
それから2点目であるが、仮に規制をかけるのであれば、具体的に我々が納得できる議論をした上でということにしていただきたい。というのは、この問題で言えば、相当議論をした上で国策として「e-Japan戦略」を決定し、今、それに沿って重点計画を推進している。具体的に目標を決めてやろうとしているのであるから、それに照らしてみて本当にそれを進めていくために規制がどうしてもいるのであるならば、こういう部分で規制がいるというようにするべきである。規制の形もいろいろとあると思う。チェック機関についてもそうである。そういう意味で、具体的にはっきりとした議論を尽くしてもらいたいと思っている。
3点目は、今度の調査会で大変一生懸命取り組まれているのは十分承知しているが、逆に言うと時間が足りていないなという感じを持っている。今日こちらに出されるために急いで結論を整理されてこられたということであるが、もう少し時間をかけてじっくり議論した方がいいのではないかなと思っている。以上3点、よろしくお願いする。
【竹中IT担当大臣】今の3点目に関し、「問題の重要性にかんがみ、まだまだ審議は十分とは言えない。これは重要な戦略であり、具体的な方向に向けて継続的に審議していきたい。」というようなことが、今日御欠席の出井本部員のメモとしてあるので、参考までに申し上げる。
【梶原知事】11月23日に竹中大臣にも御出席いただいて、IT戦略を考える知事の会議を開催して、その際にアピールをまとめた。これを全国知事会の情報化推進対策特別委員会でも取り上げて、かつ追加の意見も頂戴した。
1点だけ御提案したいと思うが、国に対する提言として、情報通信インフラというものは情報社会においても公共事業として位置づけるべきだ。今の公共事業の枠組み等の大幅な変更を行って強力に情報通信インフラの整備を進めていただきたい。これが我々の大きな要望である。
そこで提言申し上げたいのは、現在の各種公共施設の整備について、公共施設の概念をもっと広げていただきたい。今までの考え方は狭いのではないか。例えば道路について言えば、自動車が動くオフィスになるというようなことになってくる。そうすると、いろいろな情報が自動車で受信できる、あるいは対話できる。こういう情報環境の整備は非常に重要である。そういう情報環境の整備のために、例えば道路特定財源を使ってもユーザーは文句を言わないと思う。ただ、関係省庁の中で公共施設に対する概念が非常に狭過ぎる。まだまだトンカチ中心だと私は思う。そのため、本来の目的をもう一回点検して幅広い公共施設の概念でこの予算等を進めていただいたらどうか。河川事業については、例えば洪水情報あるいは土地区画整理あるいは土地改良事業、それぞれの都市、農山村の住民のサービス向上ということが重要なのに、どうもトンカチにこだわっているのではないかという感じがする。
同時に、そういうことをやろうとすると私の経験では縦割りが弊害になって縄張りが障害になっているので、総理の強力なリーダーシップでまさに構造改革として公共施設の概念というものを幅広くして情報を装備することが常識だと、こういうように転換をしていただきたい。総務大臣が大変御熱心に地域公共ネットワーク事業もやっていただいており、こういう発想で是非お願いしたいと思う。
【石原国務大臣(行政改革・規制改革担当)】規制に関係するので一言お話を申し上げたいと思う。
私も12年前まで放送関係に従事する者として、やはり放送と通信というのは12年前、当然に縦割りだった。しかし、今は政治家になり、情報を受ける側になると、この縦割りであることの意味というのはほとんど感じていない。すなわち、インターネットを通じた動画のスピードなどというものもかなり早くなって、このスピードというものは本当に早い、技術進歩の速さに驚かされると思っている。
そして、この短期間の中で宮内座長を中心にお取りまとめいただき、また宮津社長が深掘りが足りないという点ももっともだと思う。当IT戦略本部でこの分野においては積極的に議論を進めて具体的な案を作成するということが重要なのではないか。そこでは規制緩和もあるし、議論になっている規制当局である規制を強化する分野、ここも合わせてやっていかなければならない。その分野については総合規制改革会議の宮内議長を中心にこのIT戦略本部に御協力をさせていただきたいと思うし、竹中大臣と協力してこの分野で規制改革を進めていかなければ自由な競争にもならないのではないかというような感想を持った。
【平沼経済産業大臣】専門調査会の御報告においても、公正な市場競争が行われる情報通信市場の整備を図る点の一方策として、公正取引委員会の総務省からの移管の検討の必要性に加えて、独立競争監視機関の設置について検討すべきと、このように書かれていることは認識しているが、我が国において新たな独立機関の設置が必要かどうか。公正取引委員会の機能強化等、他の方策を含めて私どもさらなる検討をする必要があると思っている。
それから、「行政手続のオンライン化のための法整備の立案方針」の中で、政府調達というものが書かれているが、この情報システムに係る政府調達の問題についてはかねてから安値入札、落札という問題を始めさまざまな問題が指摘されている。質の高い電子政府の実現はもとより、ソフトウェア産業の健全な発展という観点からもそういったことは望ましいとは思っていない。最近、地方自治体で極端な安値入札があったので、私はこれに対して制度見直しに向けた改革メニュー案を提示した。それで、総務省を始め関係省庁と協議会を設置して本問題について検討を行ってきたが、やはり片山大臣がお触れになった、総務省、経済産業省、財務省を中心に全省庁をメンバーとした、一元的な検討の場が設置されたので、ここでメニュー案のたたき台として制度の見直しのための検討を集中的に行っていく必要があるのではないか。
本件については年内に方向性を打ち出し、年度内に結論を出すということで、平成14年度の初頭から実行に移していくべきだと考えているので、そのためにも関係省庁の御協力を私どもはお願いをしたいと思っている。
【尾身国務大臣(沖縄及び北方対策・科学技術政策担当)】規制問題についてのレポートを拝見させていただいた。放送と通信の融合とか、あるいはデジタル化とかというようなことでいろいろな技術的な変化が生じていて、全体として考え方として縦割りから横割りにいくということは、私はよく理解できるし、そのとおりだと思っている。
ただ、しかし、例えばアメリカのマイクロソフトなどはパソコンソフトから電子機器とか、あるいはネットワークまで全部引っくるめてIT総合企業として発展をしていこうという戦略を持っていろいろなことをやっている。そういう中で、私は放送の会社が通信やソフトに進出したり、あるいはコンテンツの方に進出したり、通信関係の会社が機器とかコンテンツとか放送に出たり、総合的に全体のIT関係の事業経営をやるという企業が出てくると思っている。
そういう中で、事業分野としては縦割り、横割りになるかもしれないが、企業が立体的、総合的にITの全体の中で競争していくことが、実は経済の活性化というか、社会の発展のために大変大事だ。余り規格にはめたような規制をして、立体的、総合的な企業活動を阻害するような規制を先にかけるということは、実は日本社会だけがその規制によって手足を縛られることになり、アメリカやその他の国において世界戦略をいろいろな企業が展開している中で非常に問題がある。独占の弊害とか、そういうものについては必要な事後的チェックはやるという体制をとりながらも、まだ未知の分野が非常に多いわけなので、できるだけ企業活動を自由にしていく。例えば放送法とか電気通信事業法とか、そういうものの規制をむしろ取り払ってある程度弾力的に総合企業としてやれるような、全体としての競争が活発になって、経済全体がそれによって活性化するような、ややアメリカ方式みたいなことを考えていかないと、先に規制ありきというのはどうも問題があるなと考えている。そういう意味でこの規制改革専門調査会にも私は大変期待をしているので、そういう方向をひとつ是非お考えをいただいて、これからの在り方というものを御検討いただきたいと思う。
【奥山副会長】簡単に申し上げる。私もヒアリングにお招きいただき感謝する。大変多様な意見が噴出した中で、宮内座長のお陰で非常に示唆に富んだ、かつ含蓄のある報告書を出していただき感謝申し上げる。
ただ、まだ今日の時点では先ほど来お話があったように方向性にとどまっており、基本的には私はこの方向を是非堅持していただきたいと思うので、それをベースにして詳細な御検討を引き続きやっていただきたいという意味で、出井本部員のお考えと基本的には考えを同じくしている。
それだけで「That's all.」であるが、先ほど来FCCの問題が出ているので一言だけ申し上げる。村井本部員がおっしゃったように、FCCというのも我が国に適用する場合にはいろいろ問題があると思うし、FCCのように立法、司法、行政3権を持ったような強大な機関が出ると、日本の現憲法下ではいかがかなという問題もあるかと思う。それに、FCCの場合は法律はほとんどざっくりしたもので、議会がざっくりしたものを出してFCCがルールもレギュレーションも決めるし、いろいろなディテールに至るまで全部決めてしまう。それにレターがあり、ポリシーステートメントがあり、それからドケット(覚書)まで入れると年間に何百というようなものが来る。そういったこともFCCということであるとかえって私ども民間は怖いなという感じもする。そこは恐らく宮内会長の真意はそうではなくて、日本にアダプトしたものをという意味であろうから、そこは今後の議論の中で更にやっていただければ結構かと思う。
いずれにしても、これはつい数日前に紛争処理委員会が発足したばかりであるし、その女性委員として1人参画された富沢さんにちょうどそこで先ほどお会いした。そうしたら非常に張り切っておられて、私どもがやることを見ていてくださいとおっしゃっていたので、順序的には宮内会長が最初におっしゃったように先にやるものを先にやっていただくような方法でスケジュールをお立ていただいたら結構ではないかと考える。
【片山総務大臣】放送と通信の融合法というのを前の通常国会でつくり、相互乗り入れをかなり可能にした。
ただ、今まで通信の方に日が当たって、通信の方のいろいろな法体系を整備してきたことは確かである。放送が遅れているということは事実である。ただし、放送というのは大変社会的影響力があるものなので、先だってブロードバンド時代における放送の在り方について、NHKの在り方を含めて、大勢の委員に入っていただいた研究会を発足させた。そこではできるだけ早く結論を出そうということにしているので、念のため申し上げる。
それから、公正取引委員会の委員長などと話すと、委員長の懸念は、例えば公正取引委員会だけで人を採って育てていくのが本当に日本の適正、健全な競争政策のためにいいのかどうかということである。私は、それは凝り固まった専門的な職員はできると思う。それはそれで一つの在り方かもしれないが、私はもっといろいろなところと人事交流をしながら人を育てていく。公正取引委員会の機能というものを見直していくということが必要なので、IT関連だけではないので、公正取引委員会は全部競争政策をやるので、もう少し幅広の検討がいるのではなかろうかと思っている。
それから、規制緩和については着々とやっている。規制改革推進3か年計画をつくらせていただき、それを今、実行している。あるいは「e-Japan戦略」も、あるいはアクション・プランも、宮津社長はおられるが、NTTの在り方を含めて規制緩和はいっぱい入っている。それもここで決まった計画であるし、これで我々は粛々着々とやらせていただきたいと思っている。スピードの問題はあるいはあるかもしれないが、それは我々が前後左右を見ながら、御相談しながらやらせていただきたいと思う。
【宮内会長】貴重な御意見をくださり感謝する。先ほど尾身大臣のおっしゃったことは非常に重要であり、私はおっしゃったとおりだと思う。したがって、現在は放送と通信が別の法律なので、横へ行けないということになっているものを、例えば横へはどうでも行けるようにして、なおかつ縦に行けないか。これはまさに自由であるので、行くというのは当然である。行けるというのが前提である。
ただ、例えばインフラの強さをもって上を支配していくということになると、これは新たな独占というものが出てくるので、そういうものについてはまたチェックを入れていかないといけない。だから、縦に動く。上から下へ来る、下から上へ来るということについては何らここを止めようというような考えは持っていないので、おっしゃるとおりのようなことを考えさせていただいたということである。
それから、総務省は今まで数々の規制改革をおやりになったということに対して敬意を表しているわけであるが、やはり「e-Japan」という世界の最先端のものをやるということについては、規制というものを新しい時代に合ったものに前広に広げて、どうぞこの中で自由にやってくれとするということによって、初めてその中で民間企業が自由に動く。それに対して独占の弊害はきっちりとチェックするということでないといけない。現実に応じて後追いにいくと、その現実の中で動かし難い独占のようなものができてしまう。独占ができてから、少し改良していくというようなことになると、結局のところ世界に大変遅れた形になる。そういうことが、私ども議論したときに懸念した点である。その辺は、スピードとどれだけ前広にやるかという、言うならば政策的判断の領域だと思う。
今日お出ししたのは、極めて抽象論であるので、これからこれをどういう形に肉付けして御議論していただくかということが非常に重要である。そういう意味で、早急に具体論に入るということが必要ではないかというのが、我々議論していた者の一致した意見である。
【竹中IT担当大臣】私たちは非常に野心的な目標を一方で持っていて、しかしこのネットワークの経済性が働く分野での競争政策というのは、世界的に見てもまだそんなに完璧な答えのない大変難しい問題であるということだと思う。今日は大変いい御議論をいただいたので、今日の報告書を元に、また、その他の課題についても更に議論を深めていきたいと考えている。基本的には5月に「e-Japan 重点計画」の改訂を行うということになっているので、それに向けて議論を深めていくということではないかと思う。
それでは、予定の時間であるので本日の会合を終了したいと思う。ここで小泉総理から御発言があるが、その前にプレスが入室するのでお待ちいただきたい。
(7) 小泉内閣総理大臣から以下のとおり挨拶。
- 宮内議長を始め皆さん、本当に熱心に議論をいただきまして、本報告書をまとめていただきました。更に議論を深めて、5年以内にIT最先端国家になるという目標に向けて私も努力していきます。
- 実は、私も郵政大臣のときにアナログとデジタルの違いというのがなかなかわからなくていろいろ説明を受けました。本当のところを言いますと、今でもよくわからないです。ということは、私はアナログ人間ではないかと思いました。デジタルのすごい変化に追いついていけないほどです。政治家も本当に理解している人は何人いるのかと私は疑問を持っているけれども、こうして専門家の皆さんが熱心に議論していただくということは大変ありがたいことだと思います。
- 政治家としては、世界の最先端国家になる、IT革命を推進していくという方向に向けて何とか専門家の皆さんのお知恵を借りてこれを具体的に進めていく。その先頭に立つのが私の役割ではないか。余りわからないところには口を出しませんから、知恵のある方々の意見、議論を深めて、その結論が出たらその結論に向かって政治の面で精一杯力を注いでいくというのが我々の役目ではないかと思います。
- 今後ともよろしく御指導御鞭撻をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
(8) 竹中IT担当大臣から以下のとおり閉会の辞。
- 本年のIT戦略本部の会合は本日が最後である。この1年の御協力に感謝申し上げる。
- 次回については、来年1月下旬の開催を目途に事務局において調整をさせていただく。
- いつもどおり記者会見等々はこちらの方で行わせていただく。
- 本日はありがとうございました。
(別紙)
第8回IT戦略本部メンバー一覧
| | 小泉 純一郎 | 内閣総理大臣 |
| 竹中 平蔵 | 情報通信技術(IT)担当大臣・経済財政政策担当大臣 |
| 福田 康夫 | 内閣官房長官・男女共同参画担当大臣 |
| 片山 虎之助 | 総務大臣 |
| 平沼 赳夫 | 経済産業大臣 |
| 森山 眞弓 | 法務大臣 |
| (欠) | 田中 真紀子 | 外務大臣 (※丸谷佳織外務大臣政務官 代理出席) |
| (欠) | 塩川 正十郎 | 財務大臣 (※中野清財務大臣政務官 代理出席) |
| (欠) | 遠山 敦子 | 文部科学大臣 (※池坊保子文部科学大臣政務官 代理出席) |
| 坂口 力 | 厚生労働大臣 |
| 武部 勤 | 農林水産大臣 |
| (欠) | 扇 千景 | 国土交通大臣 (※佐藤静雄国土交通副大臣代理出席) |
| 川口 順子 | 環境大臣 |
| 村井 仁 | 国家公安委員会委員長・防災担当大臣 |
| 中谷 元 | 防衛庁長官 |
| 尾身 幸次 | 沖縄及び北方対策・科学技術政策担当大臣 |
| 柳澤 伯夫 | 金融担当大臣 |
| 石原 伸晃 | 行政改革・規制改革担当大臣 |
| | 秋草 直之 | 富士通株式会社社長 |
| (欠) | 出井 伸之 | ソニー株式会社会長兼CEO |
| 奥山 雄材 | ケーディーディーアイ株式会社副会長 |
| 梶原 拓 | 岐阜県知事 |
| 岸 暁 | 株式会社東京三菱銀行会長 |
| 鈴木 幸一 | 株式会社インターネットイニシアティブ社長 |
| (欠) | 松永 真理 | エディター |
| 宮津 純一郎 | 日本電信電話株式会社社長 |
| 村井 純 | 慶應義塾大学環境情報学部教授 |
| 上記の他、以下が出席。 |
| | 安倍晋三 | 内閣官房副長官(政務、衆) |
| 上野公成 | 内閣官房副長官(政務、参) |
| 古川貞二郎 | 内閣官房副長官(事務) |
| 根來泰周 | 公正取引委員会委員長 |
| 宮内義彦 | 総合規制改革会議議長 |
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