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IT政策パッケージ−2005
―世界最先端のIT国家の実現に向けて―


平成17年2月24日
IT戦略本部決定


 「我が国が5年以内(2005年)に世界最先端のIT国家となる」(「e-Japan戦略」、2001年1月) ―― この目標を掲げて以来、4年余、IT戦略本部を中心とし官民の総力を挙げ、通信インフラや電子商取引市場の整備など、さまざまな取組を実施してきた。その結果、我が国のIT化は大いに進展した。今や我が国のインターネットは世界で最も速く、安くなり、また電子商取引市場は米国に次いで世界第2位の規模となるなど、目覚ましい成果を上げた。その一方で、電子政府、医療、教育分野などITの利用面においては、国民が安心して真にITの利便性を実感できるための課題が残されている。
 目標の年を迎えた今、取組を緩めることなく、利用者の視点でラストスパートをかけるとともに、引き続き世界最先端であり続けるための取組を行ってゆく必要がある。このため、ここに「IT政策パッケージ-2005」を策定し、行政サービス、医療、教育など国民に身近な分野を中心として取組をさらに強化するとともに、ITがもたらす問題点を克服する。「e-Japan重点計画-2004」の確実な実施に加え、この政策パッケージを早急に実行することにより、IT利用・活用を一層進め、国民がITによる変化と恩恵を実感できる社会の実現に向けて取り組んでゆく。


1.行政サービス
(1)電子政府の推進
1)年間申請件数の多い(年間申請件数10 万件以上)手続、企業が行う頻度の高い手続、オンライン利用に関する企業ニーズの高い手続等のオンライン利用促進に向けた取組(関係府省)
ア)添付書類のオンライン化(法務省、財務省)
 年間申請件数の多い(年間申請件数10 万件以上)手続のうち、特に、国民及び企業に身近な手続である登記については2005年8月末までに、国税については2005年度末までに、手続ごとに添付書類のオンライン化、省略及び撤廃について検討し対応方針を定める。添付書類をオンライン化するにあたって、特に法令改正を伴わない添付書類については、2005年末までにオンライン化を可能とするための所要の措置を講ずる。
イ)オンライン利用の処理期間の短縮及び手数料の低減等(全府省)
 オンライン利用による処理期間の短縮等の国民・企業の利用を促進するための方策について、2005年度末までのできるだけ早期に結論を得る。これにより、オンライン申請に係る行政経費の低減を図り、適正に手数料に反映することにより、オンライン利用でない場合の手数料より安価な手数料を手続ごとに設定するとともに、既にオンライン利用でない場合の手数料よりも安価なオンライン利用の手数料を設定している手続についても、更に安価にすることについて検討を行うこととし、上記方策の実施にあわせて適用する。(対象手続は、下記エで定める手続とする。)
ウ)24時間365日ノンストップサービスへ向けた取組(法務省、財務省)
 申請者の利便性を高めるため、登記、国税及び供託については、システムの安定的な稼動に留意しつつ、その運用状況、利用者ニーズ及びその運用コストを十分に踏まえ、24時間365日受け付けるノンストップサービス化の推進を図る方策について検討を行い、2005年中に結論を得る。
エ)行動計画の策定(全府省)
 年間申請件数の多い(年間申請件数10 万件以上)手続、企業が行う頻度の高い手続及びオンライン利用に関する企業ニーズの高い手続等を、2005年7月末までにオンライン利用促進対象手続として定め、「今後の行政改革の方針」(2004年12月24日 閣議決定)に基づき、利用促進のための行動計画を2005年度末までのできる限り早期に策定し、公表する。
2)上記1)に加え下記手続については、オンライン利用促進を加速するための、 取り組みを行うこととする。
ア)登記(法務省)
商業・法人登記のオンライン申請については、需要の多い登記所を中心にシステム導入を行い、2005年度末までに申請件数にして約60%以上をカバーする登記所において開始する。不動産登記のオンライン申請についても、同様に需要の多い登記所を中心に順次導入を図ることとし、商業・法人登記及び不動産登記の双方について、円滑なシステムの移行に努めるとともに、2008年度の出来るだけ早期に、全国の登記所のオンライン化を実現する。
不動産登記のオンライン化に伴い、新たに登記申請における本人確認手段として導入される登記識別情報の有効性確認請求システムについて、利便性の向上を図るため、複数の登記識別情報の有効性確認の一括請求を可能にするためのシステム改修を2005年度末までに実施する。
イ)国税(財務省)
国税の電子申請・納税については、2004年2月以降利用可能手続の拡大(同年9月)及び運用時間の拡大(同年11月)が図られてきているe-Taxについて、さらなる対象手続の拡大を検討し、2005年中に結論を得て、2006年4月までにオンライン申請を可能とする。
内訳書や別表等の添付書類についてオンラインによる送信が可能となっているところであるが、2005年度末までに、手続ごとに添付書類のオンライン化、省略及び撤廃について検討し対応方針を定める。
e-Taxを利用するために必要な開始届出書の提出から、実際に電子申請開始までの期間について、利用者のニーズや運用コスト等を十分に踏まえ、2005年末までに期間短縮について、検討を行い、結論を得る。
ウ)自動車保有関係手続(国土交通省、警察庁及び総務省)
2005年12月から、オンライン申請が開始される新車新規登録については、2007年中を目標に全国において開始できるよう電子化によるワンストップサービス化を推進する。
中古車の新規登録、移転登録、変更登録、抹消登録及び継続検査については、2008年末までのできるだけ早期を目標に全国に拡大する。
エ)供託(法務省)
供託のオンライン申請については、2005年度末までに全ての供託所において開始する。
オ)旅券(外務省)
旅券のオンライン申請を開始する都道府県に対しては、2005年度以降においても、利用者促進のための周知・広報等に取組み、早期に全都道府県でオンライン申請が可能となるよう必要な支援を行う。    
3)電子政府構築に向けた府省共通システム整備等の推進(内閣官房、財務省、総務省)
 平成18年度から本格化する府省共通システムの開発や運用を効率的に実行するために必要な予算上の措置について18年度予算要求時を目途に検討を行う。
4)FAL条約の締結など輸出入・港湾関連手続の最適化に向けた取組(財務省、 法務省、外務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省)
ア)FAL条約(1965年の国際海上交通の簡易化に関する条約(仮称))の締結
 輸出入・港湾関連団体等から強い要望のあったFAL条約(1965年の国際海上交通の簡易化に関する条約(仮称))の締結については、関係各省の手続の簡素化や申請書類の統一化を図ることにより、条約で規定された標準規定項目との相違数を先進国並に引き下げ、第162回通常国会に条約を提出し、2005年末までに締結を行う。
イ)各省統一申請書のオンライン化
 輸出入・港湾関連手続の最適化に向けた取組として、各官庁統一申請様式を作成し、港湾関連手続については、2005年11月にオンライン受付を開始する。また、輸出入関連手続については、企業の自社システムから直接データとして送ること等を可能とする新たなインターフェースシステムを2004年度中に導入する。
ウ)輸出入・港湾関連手続の最適化に向けた取組
 輸出入・港湾関係手続の最適化に向けた取組については、FAL条約の対象から外れる手続を含め、昨年11月16日の政務官会議にて了承された工程表(FAL条約など港湾関連手続の簡素化等に関する今後の進め方)に基づき、着実に推進するとともに、最適化計画を2005年度末までのできる限り早期に策定する。
5)政府におけるオープンソースソフトウェアの活用促進(総務省、経済産業省)
 オープンソースソフトウェアについては、政府における活用促進を図るため、CIO連絡会議の下、総務省及び経済産業省が中心となって、2005年度早期に「オープンソースソフトウェアに係る政府調達の基本的な考え方(指針)」(仮称)を策定する。
6)独立行政法人の業務・システム最適化(関係府省)
 独立行政法人の運用する情報システムの最適化を実施するため、システムに要するコストの削減等業務運営の効率化を目的に、所管府省は、国の取組に準じて、主要業務・システムに係る監査の実施、刷新可能性調査の実施、最適化計画の策定と実施を中期目標に盛り込む等の措置を講ずる。また、最適化に当たっては、情報システム等に関する専門的知見を有する外部専門家の積極的な活用を図るよう要請する。
7)法令等の行政情報の官報等による電子的提供の充実(内閣府及び全府省)
 行政機関の諸活動に関する透明性を高め、開かれた行政の実現を一層推進するため、特に、法令の公布など国の機関紙として重要な役割を果たす官報については、独立行政法人国立印刷局におけるインターネットによる情報提供機能の更なる充実(印刷機能の付与等)を2005年4月1日に実施する。また、各府省ホームページにおいても、所管する法令一覧や新規制定又は改正した法令の全文、概要その他分かりやすい資料など基礎的な情報提供を引続き推進するとともに、2005年度早期に策定する行政情報の電子的提供業務に係る業務・システムの最適化計画に基づき、行政情報の充実・効率的な提供等を図る。


(2)電子自治体の推進
1)住民生活に密着した行政サービスのオンライン利用促進(総務省)
 公共施設の案内予約や粗大ゴミの収集申込等住民生活に密着した行政サービスについて、地方公共団体のポータルサイトからワンストップでアクセス・手続きを行うことができる等、住民の利便性の向上を図る取組について、2005年末までのできる限り早期に検討を行い、その取組を一層促進する。
 ITを活用して住民の利便性向上を図っている先進的な地方公共団体を公表するとともに、その成功事例を広く情報提供することにより、各地方公共団体においてオンライン利用に関する住民のニーズの高い行政サービスのオンライン利用を促進する。
2)地方公共団体の業務・システムの標準化・共同化(総務省)
 電子自治体業務の標準化・共同化により、業務・システム全体を最適化する観点から、ITを活用した業務改革を推進するとともに、電子自治体業務の共同処理センターの運用を民間に委託する「共同アウトソーシング」を推進し、低廉なコストで高い水準の運用を実現する。
 2005年度のできる限り早期にすべての都道府県において共同化の取組に向けた体制を構築するとともに、各地方公共団体においては共同アウトソーシングの推進等による効率的な電子自治体の構築を推進する。
3)地方公共団体等公共分野におけるアクセシビリティ確保支援(総務省)
 地方公共団体等のホームページや電子申請サービス等について、アクセシビリティ対応状況等の実態を把握するとともに、アクセシビリティ確保のための評価手法・評価体制のモデル等を検討し、2005年中に結論を得て、地方公共団体等に提示する。
4)ITを活用した地方行政への住民参画の促進(総務省)
 ITの活用により地方行政への広範な住民参画を促進していくために、ITを活用した住民参画のあり方に関する検討を行うとともに、2005年度の早期に電子会議室等のモデルシステムの開発に着手する。


(3)電子政府・電子自治体の共通基盤の利用・活用の推進
1)公的個人認証サービス・住民基本台帳ネットワークの利用・活用の推進(総務省)
ア)代理による行政手続等のオンライン化を促進するため、行政手続等の代理を行う行政書士、司法書士等の資格者が顧客の電子証明書の有効性確認を行うことができるよう、2005年度末までに制度面の整備を図る。
イ)公的個人認証サービスが場所を問わず、手軽に利用できるよう、2005年度中に携帯電話端末等による利用を想定したモデルシステムを開発・実証するなど、新たな活用方策を提示する。
2)利用しやすいシステム整備の推進(総務省)
 電子申請システムについては、高齢者や障害者を含めて誰もが利用しやすいよう、2005年度中に、e-Govに整備する窓口システムについて、ウェブコンテンツに関する日本工業規格(JIS)に対応させるなどシステムの使いやすさ、分かりやすさ等に留意したシステム整備を行う。また、地方公共団体に対し、同様の取組を要請する。
3)霞が関WAN、LGWANの積極的活用(総務省及び全府省)
 電子行政推進国・地方公共団体協議会における議論をさらに活性化させるとともに、国の行政機関と地方公共団体との間のネットワークについては、原則として霞が関WAN・総合行政ネットワーク(LGWAN)を活用することとし、各府省は2005年度末までのできる限り早期に策定する府省内ネットワーク最適化計画に具体的な移行計画を盛り込み、国・地方を通じた行政情報の共有化、業務の効率化を推進する。
4)地上デジタルテレビ放送の積極的活用(総務省)
 簡易なインタフェースを持つデジタル放送端末を活用し、電子政府・電子自治体サービスを提供するための基盤となるシステムについて、実証実験等の成果を踏まえつつ、2005年中を目処に、モデル的な仕様書を策定公表するとともに、その普及推進方策について検討し、結論を得る。


2.医療
(1)診療報酬制度による医療のIT化の一層の促進(厚生労働省)
 保険医療機関における医療のIT化(電子カルテ、遠隔医療、オーダリングシステム等)に係る診療報酬体系における評価の在り方について、2005年度末までに決定する。


(2)医療機関から審査支払機関に提出されるレセプトの電算化及びオンライン化の推進
1)レセプト電算化の導入コストの低減
ア)レセプト電算処理システムの普及のため、レセプトコンピュータ導入済みの病院に対応した、レセプト電算コードへの変換ツールを開発し、2005年度末までに提供を開始する。(厚生労働省)
イ)2005年末までに、レセプトコンピュータのオープン化を図り、標準マスタの搭載を促進するとともに、他の院内システムとのマルチベンダー化を進めるため、基幹的な共通データベースフォーマットを構築する。(厚生労働省、経済産業省)
2)レセプト電算化の導入インセンティブの付与(厚生労働省)
 レセプト電算化に対応した医療機関に対するインセンティブについて検討を行い、2005年末までに結論を得る。
3)オンライン化の普及推進(厚生労働省)
 医療機関及び審査支払機関におけるセキュリティ等を十分確保した上で、オンライン請求を2004年度末までに開始し、オンライン化のメリット等を周知するなどして、その普及推進を図る。


(3)審査支払機関から保険者に提出されるレセプトの電算化の実現(厚生労働省)
1)審査支払機関から保険者に提出されるレセプトの電算化
 保険者等における個人情報保護の適正な取扱いを確保した上で、保険者の求めに応じ、審査支払機関から保険者への電子データによるレセプトの提出を2005年末までに開始する。
2)保険者におけるレセプト電算化への対応に係る負担の軽減
ア)保険者における電子レセプトの閲覧等の利用を容易にするための環境整備を2005年末までに図る。
イ)保険者が審査支払機関に支払う手数料について、審査支払機関から保険者に対するレセプトの受け渡し形式に応じた経費を適切に反映した上で、受け渡し形式ごとに定めることについて検討するよう審査支払機関及び保険者を指導することを2005年中に行う。


(4)レセプトデータ等の有効活用による医療の質の向上(厚生労働省)
 保険者等における個人情報保護の適正な取扱いを確保した上で、個人情報を除くレセプトの医療データについては、医療の質の向上を図る観点から、レセプト情報の電子化を前提として、簡易かつ有効に活用できる方法を研究・検討し、2005年度末までに結論を得る。


(5)電子カルテの普及促進
1)電子カルテの標準化の推進(厚生労働省、経済産業省)
 標準的電子カルテに求められる情報項目、機能等の基本要件、用語・コードの標準化及びメンテナンス体制のあり方、標準的電子カルテが導入された場合の医療に対する効果や経済的な効果の評価方法等を2005年5月までに明示するとともに、標準的電子カルテの基本要件を踏まえた基幹的なインターフェースの構築等、互換性確保のための措置を2005年末までに実施する。
2)電子カルテの導入及び運用に係る負担の軽減(厚生労働省)
 地域中核病院等にWeb型電子カルテを導入することにより、診療所等の電子カルテ利用を支援する新規事業を2005年度に実施する。


(6)遠隔医療の推進
1)遠隔医療に詳しい人材の育成(経済産業省)
 管理者層に対し、遠隔医療等の知識を習得させるための人材育成プログラムを2005年末までに作成する。
2)遠隔医療システムの基盤整備(経済産業省)
 診断医の不足している病理診断に関し、コンサルテーションが行えるような技術基盤の整備及び普及方策の策定を2005年3月までに行い、普及を推進する。
3)公立病院等における遠隔医療システム導入の推進(総務省、厚生労働省)
 僻地等における高度先進医療の充実を図るため、公立病院等が遠隔画像診断・遠隔病理診断を地域公共ネットワーク上で展開するシステム構築の推進をめざし、そのための体制と方策を2005年中に確立する。


(7)ITを利用した医療情報の連携活用の促進(厚生労働省)
1)医療における公開鍵基盤の早期整備
 医療分野におけるPKI(Public Key Infrastructure:公開鍵基盤)認証局、医師免許に関する電子台帳等を2005年度末までに整備する。
2)医療に係る文書の電子化の早期実現
ア)医療分野で運用される文書の実効性のある電子化を図るため、2005年5月にとりまとめる標準的電子カルテのあり方の検討結果を踏まえて、医療文書の標準化を推進するための方策等について、2005年度から早期に検討を開始する。
イ)患者等の要望と個人情報保護を前提とし、処方せんに記載されている情報の電子的共有等、関係機関が医療安全推進の観点から適切なネットワーク連携を行うための具体方策等に係る研究を2005年度に実施する。
3)保険医療機関受診時における保険証の有効性検証の実現
 被保険者が保険医療機関で受診した際に、保険医療機関が保険証の有効性を検証できるような環境整備について推進方策を検討し、2005年度に結論を得る。


(8)ユビキタス健康医療の実現(総務省)
 電子タグ、センサーネットワーク技術等によるユビキタス医療技術を活用した医療事故の防止や医療材料等の管理のためのシステムの開発並びに利用環境整備に関する研究開発計画を2005年中に作成し、早期に実施する。


(9)医療機関における管理者層に対するIT教育の促進(経済産業省)
 管理者層に対し、医療情報技術の利用と病院経営の関係を把握させるためのモデルプログラムを2005年末までに開発して試行するとともに、試行を踏まえ、CIOの役割、位置付け等について検討を行う。


3.教育・人材
(1)学校教育の情報化の推進
1)学校のIT環境の整備の推進(内閣官房、文部科学省、総務省、経済産業省)
 2005年度中に、ITを活用した効果的な教育の実現に不可欠な学校のIT環境の整備を加速するため、地方自治体、民間企業・団体、ボランティア等の連携による「教室のネットワーク化運動(ネットデイ)」に対する支援や、普通教室のネットワーク化に活用可能な各種技術の開発・普及の促進のほか、活用可能な様々な制度・事業を利用するなど、校内LANの整備等学校の情報化を積極的に推進する。
2)情報モラル教育の推進(文部科学省)
 子どもたちが情報社会に主体的に対応できるよう、2005年度中に、情報モラルやマナーについての効果的な指導手法を検討し、その指導手法を実際にモデル校で実施するとともに、教員向けの指導資料の作成・配布等により指導手法の普及を図る。
3)教育用コンテンツの整備と活用(文部科学省)
 教育情報ナショナルセンターにおける各種の教育用コンテンツや教育支援情報について、2005年度においても、その情報数を2万件増加するとともに、利用者の利便性向上のため、その機能の高度化と、運用の強化を図る。また、教育用コンテンツ活用の推進に向けた実践研究を実施する。
4)教員の評価に関しIT活用能力の観点の導入(文部科学省)
 情報に関する指導の充実を図るため、公立学校の教員の評価に関しIT活用能力を観点としてとり入れる工夫をすることについて、地方公共団体の検討を促す。
5)大学入試試験における情報科目の導入促進(文部科学省)
 各大学の入学者選抜において、それぞれの特性に応じ、「情報」科目を導入することを促進するとともに、センター試験への「情報」科目の導入について、2005年度中に高等学校の履修状況や各大学の入試の実態等を踏まえつつ、その導入条件の明確化について検討する。


(2)高度なIT人材の育成
1)産学官連携による高度IT人材育成の推進と体制整備(内閣官房、総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省)
 我が国産業の国際競争力を強化するため、産業界で必要とする高度IT人材が質・量ともに確実に育成できるよう、2005年度末までに、産学官連携による体制を整備し、達成すべき政策目標、スケジュール等のロードマップ等を検討し、基本的な方向性を明らかにするとともに、以下の施策を推進する。
ア)産学連携による大学での教育訓練の拡大と成果の活用(経済産業省)
 産業界が教育の充実の検討・実践に協力する産学協同実践的IT教育支援事業による大学の教育訓練を20件以上とするとともに、この経験を踏まえたスキルやカリキュラム等の育成手法の開発を推進し、大学等の自主的な取組に資する。
イ)高度IT人材の育成手法の検討・開発(総務省、経済産業省)
 戦略的情報化を担える人材育成のため、そのカリキュラム等の育成手法の検討を行うとともに、モデル教材を開発する。
ウ)スキルの標準化(経済産業省)
 ITを調達する側における調達能力の強化を図るため、ITスキル標準を基盤とした調達のためのスキルを体系化した「調達スキル標準」(仮称)を2005年度中に策定する。
エ)高度なIT社会構築をリードする人材育成のための職業訓練の展開(厚生労働省)
 ITとものづくりを融合した分野における高度な技術・技能者、高度な情報通信技術者やeビジネスに従事するホワイトカラー等の高度な人材育成を図る先導的な職業訓練を2005年度も引き続き展開する。
オ)産学連携による人材育成モデルの構築とその成果の活用(文部科学省)
 大学間、産学間の組織的な枠を超えて連携する、高度な人材育成を行うための大学を核とした有用な人材育成モデルの構築を検討する。
2)オープンソースソフトウェアを活用したIT人材の育成(内閣官房、文部科学省、総務省、経済産業省)
 オープンソースソフトウェアの教育効果に鑑み、各大学等において、オープンソースソフトウェアを積極的に活用することを推進し、IT人材の育成を図る。


(3)生涯学習の推進
1)誰でもいつでも能力向上を行う機会の提供(経済産業省、文部科学省、厚生労働省)
 2005年度中に、フリーター等が、いつでもどこでも手軽に職業能力の向上ができるeラーニングを活用した学習支援システムの仕組みの構築を目指し、実証的なモデル事業を行うとともに、eラーニングに関する情報を提供する仕組みの整備等を通じ、eラーニング活用促進のための環境整備を図る。
2)地域の情報拠点としての図書館機能の検討(文部科学省)
 住民に身近な地域の情報拠点として、医療・法律・ビジネスに関する情報提供等の多様な図書館サービスの促進を図るため、2005年度中に今後の図書館の在り方についての検討を行うとともに、引き続き図書館司書の能力の向上を図る。


4.生活
(1)安全・安心の確保
1)偽造カード、フィッシング等ITがもたらす社会問題の克服
ア)IT化の進展に伴う新たな社会問題に適切に対応するための各府省連携体制の強化(内閣官房及び関係府省)
 IT化の進展に伴い、インターネット上の違法・有害情報やフィッシング等の新たな社会問題が発生していることに鑑み、これらの課題に迅速かつ適切に対応するため、政府部内で国内外の情報を収集・共有するとともに、対応策を検討し、その対策を広く国民に周知することにより安全、安心なIT社会の実現を目指す。
イ)フィッシング対策の推進(警察庁、総務省、経済産業省)
 2005年中に、ネット上で個人情報を詐取する「フィッシング」について、効果的な対応策を検討するとともに、国民への注意喚起の仕組みを構築する。また「フィッシング」の取締りの一層の強化を図る。
ウ)迷惑メール対策の推進(総務省、経済産業省、警察庁)
 2005年早期に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」の一部改正案を国会に提出するとともに、同法及び「特定商取引に関する法律」に基づく取組等を推進することにより、巧妙化、悪質化する迷惑メールの対策を一層強化する。
2)災害時におけるITの活用促進
ア)大規模災害時対応体制の整備(総務省、警察庁)
 被災地域等の住民に警報等を伝達するために有効な防災行政無線の整備を促進するとともに、被災地域で必要とされる、デジタル防災無線およびヘリコプターテレビ受信装置を2005年3月までに緊急性が高い地域において整備し、かつヘリコプターテレビ電送システムの整備を促進する。また、夜間における被災情報の収集に必要となる赤外線暗視装置付ヘリコプターテレビシステム、交通や通信が途絶した地域においても情報収集と現地対策本部等への報告等を可能とするための災害情報収集・伝達システム、災害時に派遣された職員等が自らの位置を確認するためのGPS位置表示装置等の早急な整備を図る。
 さらに、複数の大規模災害が同時期に発生した場合にも、円滑に広域応援に係るオペレーションが可能となるよう、消防防災・危機管理センターの設備を整備拡充するとともに、消防庁保有の衛星車載局車のデジタル化を図る。
イ)大規模災害発生時の政府の応急対策支援活動の円滑化(内閣府)
 大規模災害発生地域に対する支援体制を政府が迅速に構築するため、現地対応者と災害に関する情報交換を、直接かつ、より円滑に実施できるよう、ITを効果的に利用した衛星通信システムを2005年早期に導入する。さらに、各地域との災害に関する情報交換体制を強化するため、同システムの全国9地域への早期配備を推進する。
ウ)地震防災対策に係る地域における携帯電話サービスエリアの拡大(総務省)
 災害時に貴重な役割を果たす携帯電話のサービスエリアについて、特に、原則として2004年度中に国が地震防災対策に係る地域として指定している地域における移動通信用鉄塔施設の整備を支援する。
3)ユビキタスネットワーク技術を活用した先進的な食の安全・安心システムの確立(農林水産省、総務省及び経済産業省)
 トレーサビリティによる取組が進んでいる中で、幅広い食品を対象とした先進的な食の安全・安心システムを確立するため、生産流通過程におけるリスク管理の強化や消費者への充実した食品情報提供を行うためのシステムに係る研究開発を進め、2005年度から順次普及を図る。
4)生体認証技術を活用した出入国管理等の強化(内閣官房、警察庁、法務省、外務省及び関係府省)
 日本人を対象にICAO標準に準拠したIC旅券を2005年度中に導入するとともに、引き続き、更なる出入国審査・空港手続きの迅速化・厳格化のため、自動化ゲートシステムの検証等生体認証技術の活用を図る。また、テロリストの入国阻止等を目的として、入国審査時に外国人の指紋採取及び写真撮影を行うことを内容とする出入国管理及び難民認定法の改正案を、2006年の国会に提出すべく、2005年においては、制度導入に当たっての課題について、諸外国の動向や個人情報の保護にも留意しつつ検討する。


(2)移動・交通の利便性と安全性の向上
1)ITSの高度化に向けた取り組み(警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省)
ア)交通事故防止のための運転支援システムの推進(警察庁、総務省、国土交通省)
 ITSの高度化により交通の安全を高めるため、自動車の安全性向上を引き続き推進するとともに、自動車単体では対応できない事故への対策として、車車間及び路車間通信等の通信技術を活用した運転支援システムの実現に向けて、産学官が連携し2005年度中に安全運転支援システム及び走行支援システムの社会実験に加え、研究開発等を行う。更に海外の動向を踏まえる等国際間の情報交換も行いつつ、強力な体制で推進する。
イ)狭域通信(DSRC)システムの推進(総務省、経済産業省、国土交通省)
 ETCで導入されている狭域通信(DSRC)システムを利用した駐車場やガソリンスタンド等における料金決済など多様なITSサービスの早期実現に向け、2005年度中に、官民連携の下、基本的なサービスメニューの策定等の検討を行うとともに、共同研究を推進し規格・仕様を策定する。
ウ)高精度な道路交通情報提供の推進(警察庁、総務省、国土交通省)
 より高精度な道路交通情報提供のため、道路交通情報の収集インフラの整備を推進するとともに、インフラからの情報を補完するものとして、VICS車載機を活用した自動車からの情報(プローブ情報)の収集等について産学官が連携を図り、2005年度中に規格・仕様を策定する。
エ)ETCの推進(国土交通省)
 ETC利用者に特化した多様な料金施策やスマートインターチェンジ(ETC専用インターチェンジ)の導入等により、ETCの利用を促進し、2005年春までにETC利用率を有料道路利用者の50%程度まで引き上げる。
2)障害者や高齢者等の安全で円滑な移動支援(警察庁、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)
 すべての人々が安心して快適に移動できる環境づくりを目指し、視覚障害者等の利用の多い信号交差点等を中心に歩行者等支援情報通信システムの整備を引き続き推進するとともに、道路上の案内板や誘導ブロックに設置した電子タグ等と携帯端末との通信により、移動に関する情報を利用者のニーズに応じて提供、交換できるシステムについて、2005年度に実証実験を行う。
3)e-Passportの推進(内閣官房、警察庁、法務省、外務省、財務省、経済産業省、国土交通省)
 パスポートのIC化を引き続き進めるとともに、国際互換性の高いシステムの構築に向けて、パスポートの認証基盤、読取り装置等の仕様の作成・検証を行う。また、出入国審査、チェックイン、その他の空港手続について、安全性・厳格性を確保しつつ、迅速・便利な手続きを実現するとの観点から、空港手続き全般の中でのICカード等の活用について、必要機能の抽出、制度上の課題の検討、技術的な検証等を行う。
4)安全かつ効率的な国際海上コンテナ物流の実現(国土交通省及び関係府省)
 電子タグ等のITを活用することにより、国際物流のセキュリティ強化と効率化の両立を実現するため、貨物情報の的確な把握及びその流れの円滑化を推進する。このため、施策の基本的方向及び具体的対策等を取りまとめるとともに、その有効性検証のための実証実験を2005年度に行う。


(3)家庭内の電力線の高速通信への活用(総務省)
 電力線搬送通信設備からの漏えい電波が無線通信や放送等へ及ぼす影響について、漏えい電波低減技術に関する実験の実施を促進するとともに、実用上の問題の有無を2005年中に明らかにできるよう、関係者を交えた技術的な検討を進める。


5.電子商取引
(1)事業活動においてITの利用を阻害する残された課題への取組(内閣官房及び関係府省)
 事業活動におけるITの利用を推進するために以下の事項に取り組むとともに、事業活動のIT化に係る規制の見直し状況等を2005年3月末までに総点検し、民間におけるニーズを踏まえ、2005年末までに残された課題の解決に取り組む。
民法・中間法人及びNPO法人の総会議決権行使等を電子的方法でも可能とするため、2005年度末までに法制上の措置を講じる(内閣府及び法務省)。
信用金庫において電子的方法による総会議決権行使を可能とするため、2005年度末までに法制上の措置を講じる(金融庁)。
銀行の決算公告、信託業務に係る公告及び保険会社が行う公告を電子的方法でも可能とするため、2005年度末までに法制上の措置を講じる(金融庁)。


(2)ITの利用・活用による中小企業の活性化
1)中小企業の連携支援(経済産業省)
 異なった分野の経営資源を有する中小企業同士がIT等を活用し、強みを相互補完しながら高付加価値の製品等を創出する新たな連携を推進するため、中小企業新事業活動促進法(仮称)の認定を受けた異分野連携新事業分野開拓計画に参加する中小企業に対して支援を行うとともに、2005年春までに各地域に新連携支援地域戦略会議(仮称)を設置し、支援体制を整備する。
2)中小企業の経営革新支援(経済産業省)
 IT利用・活用の促進によって中小企業の経営革新を進めるため、2005年末までの参加者2万人を目指してIT経営応援隊による普及啓発等を実施するほか、2005年度から、中小企業において必要となるCIO機能の明確化及びその育成に必要な教育プログラムの整備を行う。
3)中小企業の資金調達環境の整備(法務省、経済産業省、金融庁及び関係府省)
 電子的手段による債権譲渡の推進によって中小企業等の資金調達環境を整備するため、中小企業のニーズを踏まえながら、電子債権を活用したビジネスモデルについて検討するとともに、電子債権法(仮称)の制定に向けた検討を進め、2005年中に制度の骨格を明らかにする。


6.情報セキュリティ・個人情報保護
(1)情報セキュリティ問題に取り組む政府の役割・機能の見直し(内閣官房)
 「情報セキュリティ問題に取り組む政府の役割・機能の見直しに向けて」(平成16年12月7日)にて決定した「情報セキュリティ政策会議(仮称)」及び「国家情報セキュリティセンター(仮称)」を中心とした体制整備を早急に進め、政府統一的・横断的な体制での活動を開始する。また、情報セキュリティ基本問題委員会において、残された課題の検討を加速化させる。


(2)個人情報保護の推進(内閣府、金融庁、警察庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省及び関係府省)
 個人情報保護法の全面施行(平成17年4月1日)を円滑に行うため、「個人情報の保護に関する基本方針」(平成16年4月2日閣議決定)に基づき、法制度の周知徹底、苦情の円滑な処理の推進等を図る。
 また、民間部門における個人情報の漏えい、いわゆる情報横領、情報窃盗に関する処罰のあり方について、政府全体として論点の整理・検討を行う。


(3)地方公共団体の個人情報保護・情報セキュリティ対策の推進(総務省)
 すべての地方公共団体において個人情報保護条例を制定し、情報セキュリティポリシーを策定するとともに、情報セキュリティ監査の実施を推進する。 
 また、2005年度中に地方公共団体の情報セキュリティレベルを評価する仕組み等について検討を行い、当該検討結果を踏まえた必要な支援を行うこと等により、地方公共団体における個人情報保護・情報セキュリティ対策の取組を一層促進する。


7.国際政策
(1)アジアを中心としたIT国際政策における対象分野・対象国の重点化(内閣官房及び関係府省)
 「アジアを中心としたIT国際政策の基本的考え方」(平成16年9月10日IT戦略本部決定)に基づき、我が国のアジアを中心としたIT国際政策について、各国のITの熟度、IT連携のポテンシャル等を踏まえつつ、2005年度に重点的に取り組む対象分野・対象国を定める。我が国は、IT国際協力を関係府省の連携の下で総合的に推進し、アジア発の国際標準、IT利用・活用モデルの構築等を図りつつ、アジア全域での高度情報通信ネットワーク社会構築に積極的に貢献する。(別添)
 また、インド洋地域における津波早期警戒メカニズム構築に向け、積極的に貢献する。


8.研究開発
 2006年度以降、世界最先端の地位を維持するためには、さらなる先端的研究開発への取り組みを強化する必要がある。先端的な研究開発の取り組みにより、新たな市場の創出、生活の質的向上、環境負荷の低減等を目指すとともに、我が国は、IT研究の世界の中心の一つとして世界最高レベルの研究者、エンジニアが活躍する場を提供していくことが重要である。
 このため、モバイル、無線、光、デバイス、ソフトウェアエンジニアリング、電子タグ、セキュリティ等のITを支える基盤的技術やIT応用分野でのたゆまぬ研究開発を進めるとともに、日本発の標準化を推進することなどにより、グローバルなIT社会構築に積極的に貢献する。


以上の施策のほか、重点的に取り組むべき施策を別紙に取りまとめた。



別紙


1.行政サービス
(1)電子政府の推進
1)各府省情報化統括責任者(CIO)補佐官の機能強化(内閣官房、総務省及び全府省)
 情報システム等に関する専門的知見を有する各府省のCIO補佐官について、更に積極的な活用を図っていくため、CIO連絡会議の下、内閣官房及び総務省が中心となって、これまでの各府省における活用実績等を把握・分析し、CIO補佐官の機能強化のための方策について検討を行い、2005年度早期に結論を得て、各府省において順次実施に移す。
2)一般事務業務へのオープンソースソフトウェアの導入(経済産業省)
 経済産業省において、職員の一般事務業務に係るIT利用環境をオープンソフトウェアベースで構築し、具体的な業務に活用することにより、一般事務業務にオープンソースソフトウェアを導入した場合の課題を抽出し、その対応策を2005年末までにとりまとめる。
3)物品調達等の業務・システムの外部委託化に係る条件及び手法の確定(経済産業省)
 物品調達、物品管理、謝金・諸手当、補助金及び旅費の各業務・システムについて、最適化計画に基づき、各府省が各業務・システムの外部委託化を行うことができるようにするため、経済産業省は外部委託に向けた取組を行い、その成果を外部委託化を進める場合の条件及び手法として、2005年度末までにとりまとめる。
4)プロジェクト・マネジメント・オフィス等の導入(経済産業省)
 最適化実施に関する指針、最適化実施の評価に関する指針等の策定に資するため、経済産業省は、1)最適化計画策定から、システム調達の実施、システム開発、システム運用までの工程管理を行う「プロジェクト・マネジメント・オフィス」、2)民間企業の成功事例も参考にして、情報システム投資に係る計測可能な指標を設定することを主な内容とする「業績参照モデル」、3)民間企業等の成功事例等を広く収集・分析し、データ、ソフトウェアコンポーネント及び技術に関する3種類の「参照モデル」を試行的に導入し、その成果をガイドラインとして2005年11月末までにとりまとめる。
5)年金情報のオンラインによる提供の推進(厚生労働省)
 国民年金及び厚生年金の年金加入状況や年金見込額に関する照会について、厳格な本人確認を行いつつ、インターネットによる回答を行うサービスの提供を推進する。
 なお、本人確認については、公的個人認証サービスを活用することとし、所要の検討を行う。


(2)電子自治体の推進
1)地方公共団体のオンライン利用促進に向けた取組(総務省及び関係府省)
 地方公共団体が取扱う手続のうち主要な申請・届出等手続についてのオンライン化をすべての地方公共団体においてできる限り早期に実現できるよう引き続き必要な支援を行う等、行政手続のオンライン化に係る地方公共団体の取組を一層促進する。
2)次世代地域情報プラットフォームの技術開発(総務省)
 ワンストップサービスや官民ポータルの構築、自治体におけるレガシー改革等に資するシステム連携基盤「次世代地域情報プラットフォーム」について、2005年中に技術開発に着手し、システム・インタフェイス、システム連携技術等の標準化を図る。
3)地域公共ネットワークの整備推進及び全国的な接続(総務省)
 学校、図書館、公民館、市役所などを高速・超高速で接続する地域公共ネットワークの全国的な普及について、2005年度までの実現を目指し、地方公共団体等への支援を行うとともに、地域公共ネットワークと都道府県情報ハイウェイの接続等による全国的な公共ブロードバンド・ネットワーク構築を推進するため、接続に関する標準仕様の策定など、必要な施策について2005年末までに結論を得る。
4)公共的なアプリケーションの共同構築・運用(総務省及び関係府省)
 防災・有事・テロ等の危機管理、教育、医療などの公共的なアプリケーションについて、2005年中に着手する防災アプリケーションをはじめ、全国展開すべき標準的なアプリケーションを順次構築するとともに、国及び地方公共団体は、こうしたアプリケーションを公共ネットワーク上で共同運用し、利用・活用を図る。
5)地域情報化ナレッジベースの構築(総務省)
 地域情報化に関する先進的な取組事例をデータベースとして集約し、情報共有化を図るため、2005年中に共通の知識基盤であるナレッジマネジメントシステムを構築し、運用を開始する。
6)自治体CIOの育成(総務省)
 電子自治体、レガシー改革、業務改革(BPR)、地域情報化などに総合的に対応できる自治体CIOを育成するため、自治体におけるシステム設計、プロジェクトマネジメント等に関する研修教材を開発し、2005年中に研修を開始する。
7)地域情報化総合支援の推進(総務省)
 住民視点に立った地域課題解決の促進を図るため、ハード・ソフト一体となった情報化計画の採択及び同計画に位置づけられた事業に対する支援を2005年度早期より実施することにより、地域の提案に基づくIT利用・活用及び情報通信基盤の整備を推進する。


(3)電子政府・電子自治体の共通基盤の利用・活用の推進
1)公的個人認証サービス・住民基本台帳ネットワークの利用・活用の推進
ア)公的個人認証サービスの利用・活用を推進するため、e-Govに整備する窓口システムにおいて、2005年度中に公的個人認証サービスの利用を可能とする機能を実現する。また、同窓口システムの利用に伴う各府省の電子申請システムの見直しについては、原則として2006年度末までに対応する。さらに、地方公共団体に対しても必要な支援を行う等その取組を促進する。(総務省及び全府省)
イ)特定認証業務を行う金融機関等による口座開設時等の本人確認資料としての公的個人認証サービスによる電子証明書の導入等について2005年度末までのできる限り早期に結論を得る。(総務省、金融庁及び関係府省)
ウ)市区町村に対して、住民基本台帳カードの多目的利用の推進を要請する。また、健康保険証等との連携など、さらなる利用・活用方法について検討を加速化する。(総務省及び関係府省)
エ)個人事業主等の利用促進に資するよう、電子入札システムにおける公的個人認証サービスの利用を可能とするための方策について検討を行い、2005年度末までのできる限り早期に結論を得る。(総務省、国土交通省及び関係府省)
オ)国民年金・厚生年金の受給権者の現況確認や不動産登記の申請手続への利用をはじめ、法令に基づいて、住民基本台帳ネットワークシステムの利用・活用を促進する。(総務省及び全府省)
2)霞が関WAN、LGWANの積極的活用
ア)国と地方公共団体間の文書交換は、原則として電子的に行うこととし、各府省における地方公共団体との電子文書交換の利用状況を2005年4月以降、定期的に調査・公表するとともに、当該調査結果を活用すること等により、霞が関WAN、総合行政ネットワーク(LGWAN)の利用・活用を一層推進する。(総務省及び全府省)
イ)国と地方公共団体間の情報交換を円滑に進めるためのデータ交換の手法の検討を行い、国・地方公共団体間におけるデータ共有システムを2005年末までに開発し、霞が関WAN、総合行政ネットワーク(LGWAN)を活用した国・地方公共団体を通じた業務の効率化を推進する。(総務省)
3)文字コード標準化の推進とデータベースの運用(経済産業省及び関係府省)
 住基ネット統一文字、戸籍統一文字の重複関係を整理、体系化したデータベースを2005年末までに開発する。また、現在構築中の登記統一文字について、2006年度末までに、このデータベースとの整合性を図ることとする。さらに、データベースの具体的な運用方法について関係府省で検討を行い、2005年末までのできる限り早期に結論を得る。
4)住民向けワンストップサービス実証に向けた官民連携ポータルサイトの構築支援(総務省、経済産業省)
 地方自治体、重要インフラ等の民間企業が連携し、官民の生活関連サービスに係る申請、申込み、問い合わせ等を一元的に取り扱い、処理するため、2005年度に、個人情報保護、個人認証の適切なあり方、各主体のデータの整合性の検討結果をふまえ、現行の技術を活用した官民連携ポータルの実証試験を行い、ワンストップサービスの今後の展開のための技術面等の対応策を2005年度末までにとりまとめる。


(4)政府のデジタルコンテンツのアーカイブ化の推進(内閣官房及び全府省)
国立国会図書館におけるネットワーク系電子出版物の収集やデジタルアーカイブの統合ポータルサイトの構築等の取り組みを活用し、国等の有するデジタルコンテンツのアーカイブ化を一層強化するため、デジタルアーカイブの推進に関する関係省庁連絡会議において、政府等のデジタルアーカイブ構築・運用に関する基本方針を2005年中に策定する。


2.医療
(1)多面的かつ信頼性の高い情報の提供の促進(厚生労働省)
1)治癒率等の成果(アウトカム)情報の公開に向けた環境整備の推進
 国民に対して信頼性の高い各種情報が提供され、患者の選択の支援に資するよう、治癒率等の成果指標の研究等を2005年に重点的に行う。
2)国民に対する医療情報提供の推進
 EBM(Evidence Based Medicine:根拠に基づいた医療)を推進するため、学会等が整備した優先20疾患(急性心筋梗塞、胃がん、高血圧症など)の診療ガイドラインや関連する文献等に関する情報を提供する事業については、2005年度には医療提供者向けの情報に加え一般国民向けの情報の充実を図る。


(2)ITを利用した医療情報の連携活用の促進
1)医療に係る文書の電子保存の早期実現(厚生労働省)
 診療録等の電子保存及び外部保存、個人情報保護法を踏まえた医療情報システムの安全管理措置に関連したセキュリティガイドラインについて、2005年6月までに作成し、公表する。
2)医療情報のセキュリティを確保する高度なネットワーク基盤の実現(総務省)
 医療情報の安全・円滑な流通を実現するため、医療機関がインターネット上で、診療情報等の重要な個人情報を保護しながら、柔軟・自在・容易に多地点間で通信を行うことを可能とするネットワークを構築するための技術の研究開発を2005年度に重点的に推進し、実証実験を行う。


3.教育・人材
(1)学校教育の情報化の推進
1)学校における校務処理のIT化の推進(経済産業省、文部科学省)
 2005年度末までに校務処理におけるIT化の効果を明らかにするとともに、教員のIT環境整備について検討を行う。
2)学校でのIT活用高度化のための外部人材の登用拡大(文部科学省)
 IT環境および教育用コンテンツの高度化と、それらを活用し教育効果を向上させるため、学校における外部人材の登用拡大について、2005年度中にその促進を図る。
3)初等中等教育へのオープンソースソフトウェアの導入(経済産業省)
 初等中等教育におけるIT環境の選択肢の拡大を図るため、2005年度において、初等中等教育の現場へのオープンソースソフトウェアの適応性及び有効性を検証し、1,000名以上の児童・生徒が利用した成果をもとに、オープンソースソフトウェアベースのITの利用・活用環境の更なる改善を図る。


(2)高度なIT人材の育成
1)「プロフェッショナル・コミュニティ」の設置(経済産業省)
 プロジェクトマネージャー、ITアーキテクトなどの分野で卓越したスキルを有する人材が業界横断的に後進の指導育成を行う「プロフェッショナル・コミュニティ」を、 2005年度末までに5つの職種について設置する。
2)高度IT人材の早期育成(経済産業省)
 ソフトウェアの仕組み等を深く理解した高度なIT人材を育成するため、2005年度中において、主として20歳未満の若手人材を対象に、オープンソースをベースとした高度IT教育を行うとともに、実践的な情報セキュリティ教育を実施する。
3)高度専門職の継続的な知識向上のための環境整備の促進(関係府省)
 弁護士、公認会計士、弁理士、医師、司法書士、税理士等の高度で専門な知識を必要とする職業において継続的に知識の向上を図れるよう、ITを活用した遠隔教育等の環境整備の促進を図る。


4.生活
(1)安全・安心の確保
1)地方公共団体等の公共ネットワークを活用した防災アプリケーションの展開(総務省)
 地域公共ネットワークと都道府県情報ハイウェイの接続等に係る実証実験により、全国的な公共ブロードバンド・ネットワークを形成する技術の確立を図り、このネットワークを有効に活用できる動画像を活用した標準的な防災アプリケーションを2005年中に試験導入する。
2)防災等公共分野における地上デジタル放送の利用・活用の推進(総務省)
 防災等公共分野における地上デジタル放送の高度な利用・活用を推進し、2005年度末頃までの携帯端末向け放送の実用化を図る。


(2)移動・交通の利便性と安全性の向上
1)愛・地球博における世界最先端のITS社会の提示
 ITSの普及と更なる発展を目指すため、2005年の愛・地球博において下記施策を含めた世界最先端のITS社会を提示する。
ア)狭域通信(DSRC)技術を活用した多様なサービスの提供(総務省、経済産業省、国土交通省)
イ)狭域通信(DSRC)技術の多目的利用推進を図るため、DSRCによる情報提供、駐車場入出庫管理、料金決済等のサービスに関する実証実験を行う。また、車両のナンバープレートにICチップを導入したスマートプレートを利用したシャトルバスの個車識別のデモンストレーションを行う。
 観客輸送バスの優先信号制御や運行管理の支援およびリアルタイムの位置情報の提供(警察庁、国土交通省)
 観客輸送バスへの優先信号制御や運行管理の支援により交通流の円滑化を図るとともに、バス利用者に対し経路選択の支援やリアルタイムに位置情報の提供を行う。
ウ)障害者・高齢者・外国人旅行者等の安全で円滑な移動支援(経済産業省、国土交通省)
 障害者、高齢者、外国人旅行者等に対するIT機器を用いた誘導等のシステムの実証実験を行う。
エ)ITSにおける高速インターネットの実現(総務省、経済産業省)
 ITS関連情報を有機的に統合するとともに、最先端の高速無線インターネット環境と連携し、インターネットITSサービスを提供する。
2)様々な通信メディアを用いて自動車から情報を収集するプローブのあり方についての検討(警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省)
 携帯電話等の様々な通信メディアを用いて自動車から情報を収集するプローブのあり方について、産学官の連携を視野に、2005年度中に検討を開始する。


6.情報セキュリティ・個人情報保護
(1)情報セキュリティ
1)サイバー犯罪・サイバーテロ対策の推進 (警察庁)
 サイバー犯罪及びサイバーテロ対策を一層強化するため、2005年度において、ボットネット(攻撃者の命令に基づき動作するプログラム(ボット)に感染したコンピュータ群及び攻撃者の命令を送信する指令サーバからなるネットワーク)をはじめとする新たな技術的脅威への対応の推進及び国際捜査協力等の体制強化を実施するとともに、インターネット観測システムの高度化等、必要な装備資機材の充実・強化を図る。また、関係者向けのセミナーを開催し、事案対処に必要となる情報の共有及び人材の育成に努める。
2)サイバー犯罪及びサイバーテロの未然防止、被害拡大防止を適切に行い得る人材の育成推進(警察庁)
 サイバー犯罪及びサイバーテロ対策に関する対処を的確に実施できる人材を育成するため、関係者向けに、これらの未然防止、被害拡大防止に係る技術・知識の習得を目的とした情報セキュリティセミナーや対処訓練等を積極的に実施する。
3)情報セキュリティ人材の育成推進(総務省)
 コンピュータウイルスやサイバー攻撃による被害の拡大や不正アクセスによる情報漏洩等を防ぐ情報セキュリティ人材の育成に向け、2005年度中において、実機を使用した実践的な研修を推進する。
4)企業における情報セキュリティ対策の推進(経済産業省)
 企業における情報セキュリティ対策を底上げするため、適正な対策水準を提示する情報セキュリティ対策ベンチマーク、企業の情報開示に資する情報セキュリティ報告書モデル、事業継続計画策定のためのガイドラインを策定し、2005年度中に広く普及を図る。



別添


2005年度アジアを中心としたIT国際政策に係る重点施策について


 「アジアを中心としたIT国際政策の基本的考え方」(平成16年9月10日IT戦略本部決定)に基づき、我が国のIT国際政策について以下の通り重点的に取り組むこととし、こうした分野・対象国に対するプロジェクトについては、公的資金の活用等の政府の支援において重点化を図る等、十分配慮することとする。


1. 基本的考え方

 アジア全体のIT化を促進する観点から、安全で低廉なネットワークインフラや経済、産業、社会、生活等の改善に資するシステムの整備とともに、IT分野のアジアの共通基盤としての人材育成を重視する。また、アジアの人・物・金・サービス・情報の流れを円滑にし、域内の経済連携の強化に資するシステムの構築を重視する。
 協力の相手国については、我が国との経済交流の度合い、地理的要素、ITの熟度、IT連携のポテンシャル等各国の状況を踏まえ、施策の目的に応じ、対象国の重点化を図ることとし、次のような取組を行う。

  • ITインフラ整備、IT利用・活用が進んでいる国や高度なIT人材・技術を有する、いわゆるIT先進国との間では、アジア発の高度なIT社会構築に資するため、IT分野での様々な国際標準化の推進、研究開発協力、アプリケーションの共同開発等、高次元の協力を進める。
  • 地方部におけるITインフラ整備等に課題を残しつつも、都市部等においてはIT先進国に準じる整備が進むとともにITの利用・活用を積極的に推進しようとしている国との間では、ITの恩典が広く国民に行き渡るためのIT基盤整備や電子政府、防災、遠隔教育等、公共分野のITシステム構築を中心に協力を進める。
  • 国内基幹網等のITインフラ整備、IT利用・活用が進んでいない国との間では、ネットワークインフラ、IT人材といったIT基盤の整備に重点をおいた協力を進める。さらには、ITを巡る政策・制度等についても協力を進める。
 こうしたIT国際政策の重点化、先導的・積極的取組を進めることにより、我が国は、アジア全域での高度情報通信ネットワーク社会構築に積極的貢献を行う。


2.対象分野・対象国の重点化

 アジアITイニシアティブ、アジア・ブロードバンド計画等、中期的IT国際政策を引き続き推進するとともに、2005年度に優先的に推進すべき重点分野及び対象国を下記の通りとする。また、ODAの制度及び運用の改善を踏まえ、IT分野の発展途上国における円滑なプロジェクト形成を図ることとする。
 また、プロジェクトの形成・実施については、府省間の連携促進、政府と実施機関との連携促進、相手国政府との対話の促進等を図りつつ、総合的に推進することにより、IT国際政策の効果の最大化を図る。

(1)中国・韓国
 中国は国内にデジタルデバイド問題を抱えながらも、IT産業の成功等、IT化において既に高度な段階に達している。また、韓国はハードウェアやブロードバンド利用の面において世界のIT先進国である。こうしたことから、中国や韓国との間で高次元のIT協力を進めることにより、アジア発の高度なIT社会構築に向けた取組を進める。
 このため、日中韓の協力によって、高度で高速なネットワークの構築のための共同実験や国際標準化を推進する。具体的には、IPv6関連機器の実証研究や利用促進のための協力、次世代移動通信や電子タグに関する研究開発・国際標準化、デジタル放送に関する協力、情報ネットワークセキュリティに関する協力、オープンソースソフトウェア(OSS)の研究開発・利用促進・国際標準化について、国際的に先導的な取組を連携して進める。
 IT化の進展の一方で、両国は海賊版をはじめとするデジタルコンテンツの知的財産権の取り扱いや、サイバー犯罪への取組が喫緊の課題となっている。海賊版等による我が国等の知的財産権の侵害やサイバー犯罪の防止等の観点から、日中韓の著作権関係協議を通じた情報交換、著作権に関する研修・啓発活動への協力等を進めるとともに、サイバー犯罪の捜査技術協力・情報交換等を進める。

(2)東南アジア地域
 東南アジア地域は、我が国との政治的・経済的及び社会的側面で深い関わりを持っており、域内での人・物・金・サービス・情報の円滑な交流は、日本とASEANのみならず、アジアの経済・社会発展に大きく寄与することから、我が国として二国間、多国間の国際協力を進めることとする。

 シンガポールは特に利用・活用の面を中心に世界のIT先進国となっているとともに、ITの先進的な取組における実験場としても活躍している。このため、シンガポールとの協力においては我が国の高度なIT技術とシンガポールの機動性が共鳴するような先進的なIT領域、例えばICカードの国際標準化、電子タグ、無線通信技術、さらには遠隔教育、遠隔医療、電子商取引といったアプリケーション開発での協力を進め、アジア発のIT利用・活用モデルの構築を進める。

 マレーシアは地方のインフラ整備に課題を残すものの、都市部においては、国際的に遜色のないIT基盤が整備され、また、国際的なIT企業の進出も進んでいる。こうしたことからマレーシアとの間では、教育や公共分野のIT利用・活用モデル、国際標準化、IT人材育成の推進に協力する。

 インドネシア、フィリピン、タイ等に対しては、我が国の持つIT技術やシステムの積極的な提供を推進する。特に、遠隔教育、遠隔医療、災害監視システム、農業支援、電子政府・電子自治体等、社会経済生活の安全や高度化に資する公共分野のシステム構築について、高度なIT人材育成や地方におけるIT基盤の整備と合わせ協力することとし、そのための官民対話を進め、具体的プロジェクト形成を図る。
 これらの国々においては、交通分野、国境通行証、eパスポート等でICカードの利用が始まっている。ICカードの利用・活用分野に協力することにより、域内での円滑な人の移動を促進するとともに、こうした分野での国際標準化の推進に貢献する。

 カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムにおいてはデジタルデバイド解消が喫緊の課題となっており、ASEANにおけるIT社会構築の取組を我が国として積極的に支援するため、人材育成、デジタルデバイド解消に向けた協力を進めることとし、ネットワークインフラ整備やIT研修施設等を通じたIT人材の育成について協力を進める。また、こうした国々においては、IT基盤整備のための政策担当者が十分ではないことから、各国のIT社会構築の育成のリーダーとなる政策担当者の育成支援に取り組むことが必要であり、我が国への招聘研修等を通じた人材育成を進める。
 このうち、ベトナムについては、ITの発展が相当程度進んできていることから、ベトナムのIT産業自立に向けた高度なIT人材育成、中核的IT教育施設への協力を進める。具体的には、我が国の産学官及びベトナムの高等教育機関が協力する高度IT人材育成プロジェクトを推進することとし、留学を通じた我が国学位の授与を含む総合的な人材育成を推進する。また、ネットワークアクセスの改善を図るとともに、電子政府や遠隔教育等、公共分野でのシステム構築のための支援に取り組む。さらには、カンボジア、ラオスのIT人材育成のための日越協力を進める。
 カンボジア、ラオス等については、ネットワーク基幹インフラ構築、特に大都市間を接続する基幹網及び海外との回線接続を中心に支援を行うこととする。この際、こうしたインフラの当該国における主体的・自立的な運用可能性について十分検討を行う。

 上述のカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムといった国々は、メコン地域に存在している。この地域のデジタルデバイドを解消し、経済成長・発展に向けた基盤づくりを進めることがアジアの発展に重要であるが、このためには、各国に対する個別の取組を行うことに加え、日ASEAN特別首脳会議(2003年12月)において提唱されたメコン地域開発をも踏まえつつ、メコン地域において経済発展が最も進んでいるタイとも協力してこの地域のIT発展に取り組むことが効率的である。具体的には、OSS分野での協力、現地語化・自然言語処理に関する協力等を進める。

(3)その他の地域
 インドは世界のソフトウェア市場において重要な位置を占めるものの、日本とのソフトウェア貿易は低い状態にとどまっている。これを改善し、日印間のIT協力を推進するために、両国政府間の定期的な政策対話・情報交換を行うとともに、両国のIT産業の交流のための情報提供や交流事業を推進する。また、IT分野の研究開発や国際標準化の推進に協力する。

 パキスタン、バングラデシュ、モンゴルその他のアジア地域の多くでは、国内基幹網のITインフラ整備、IT利用・活用が進んでいないことから、主としてインフラ、人材等のIT基盤についての協力に重点をおく。また、こうした国々においては、IT基盤の整備のための政策担当者が十分ではないことから、各国のIT社会構築の育成のリーダーとなる政策担当者の育成支援に取り組むことが必要であり、我が国への招聘研修等を通じた人材育成を進める。

(4)多国間協力
 アジア域内さらには他地域との情報流通を拡大するための環境構築に向け、アジア域内での多国間協力を進めることが必要である。このため、ネットワークインフラやIT人材といったIT基盤整備、国際標準化・相互運用性確保、遠隔教育・遠隔医療等のアプリケーション開発、OSSの利用促進、知的財産権保護、サイバー犯罪対策の強化等、広範な分野で国際機関の枠組みも活用しつつ多国間協力を進めることとする。2005年度はこのうち喫緊の課題として、下記の領域に重点的に取り組む。

 1) IT人材育成促進
 IT技術者のスキル標準について引き続きアジアにおける協力を進め、IT人材の相互交流の基盤を形成する。この際、先進国との間では、相互のITスキル標準の交換を進め、また、ベトナム等の途上国との間では、これを基礎とした人材育成への協力を進める。また、国際共同研究等を通じた高度なIT人材育成に取り組む。

 2) オープンソースソフトウェア(OSS)の推進
 デジタルデバイドの解消、人材育成及び特定技術への依存の回避等の観点からOSS等のアジアにおける振興を図る。この際、IT先進国との関係では、民間等における共同した技術開発環境の整備、国際標準化の推進を図るとともに、途上国等における利用を促進する観点から、人材育成、現地語化の支援等を行う。またアジア各国が参加するOSSに関する国際会議を定期的に開催する等、OSS振興の環境整備に努める。

 3) eパスポートの展開
 2005年から本格的に導入される我が国のIC旅券に連携して、我が国の連携実証実験の成果等を踏まえ、我が国のeパスポート技術のアジアへの展開を図り、アジアにおける人の移動の効率化に資する。

 4) 研究開発における協力
 IPv6、多言語翻訳・多言語処理技術、遠隔教育・遠隔医療分野等において研究開発・実証実験を推進するとともに、研究開発分野における情報交流・人材交流を進める。

 5) 知的財産権保護の協力推進
 国内外のソフトウェア産業やコンテンツ産業の健全な成長・発展に資する環境整備のため、セミナーの開催等を通じた知的財産権の保護に関する啓発、教育等に関する協力を進める。この際、世界貿易機関(WTO)、世界知的所有権機関(WIPO)等の国際機関との連携を進める。

 6) 情報セキュリティ・サイバー犯罪対策の協力推進
 国境を越えて問題となる情報セキュリティやサイバー犯罪対策について情報交換を進めるとともに、その技術者育成について検討を進める。

 7) 災害情報ネットワーク、警戒システムの構築推進
 アジア地域における災害発生の情報を迅速に伝達するためのネットワークの構築を支援する。また、地震、津波等についての我が国のノウハウを活用した警戒システムの構築を支援する。特に、インド洋地域における津波早期警戒メカニズム構築に向け、各国内における情報伝達ネットワーク構築への支援を含め、積極的に貢献する。

(5)その他

 1) IT指標の共通化
 アジアさらには世界におけるIT社会構築のためには、その成熟度の物差しとなる指標の共通化が必要であるが、現在アジアにおいては必ずしも共通の指標が存在せず、国際機関、調査企業等のデータを利用している状況にある。アジア各国のIT政策を踏まえたアジア共通の「e-Asia戦略」の検討の前段階として、アジアにおけるIT指標の共通化について検討する場の醸成に努める。

 2) 我が国のIT戦略の取組と成果、得られたノウハウの提供
 e-Japan戦略を軸として我が国が推進してきたその取組と達成した成果等について広く各国に提供する等、紹介活動を推進する。また、必要に応じて我が国より人材の派遣等を行い、アジア各国のIT政策立案に資する。

 3) 愛知万博でのプレゼンテーション
 2005年に我が国において開催される愛知万博を活用し、我が国の最先端技術についてアジア各国等の理解を深める。