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首相官邸 カテゴリー:IT戦略本部
 トップ会議等一覧IT戦略本部e-Japan重点計画-2003 印刷用(PDF形式)

V.重点政策5分野

1.世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成
<目標>
 ブロードバンド型サービスの本格的展開のため、高速・超高速インターネットを全国的に普及させると共に、無線インターネットの普及のための環境整備等によって、いつでもどこでも何でもつながるユビキタスネットワークの形成を推進し、デジタル情報が個の間で自由に交換、共有できる基盤を整備する。

 1)2005年までに、先導的取り組み(U章参照)の推進やコンテンツ・サービスの充実等により、高速インターネットアクセス 1 を3000万世帯、光ファイバによる超高速インターネットアクセスを1000万世帯が利用する。
 2)インターネット端末やインターネット家電が普及し、それらがインターネットに常時接続されることを想定し、十分なアドレス空間を備え、プライバシーとセキュリティの保護がしやすいIPv6を備えたインターネット網への移行を推進する。
 3)2005年までに、原則として全ての行政機関、地方公共団体、医療機関、学校、図書館、公民館等公共施設が、双方向高速ネットワーク(原則的に光ファイバ)でインターネットに接続し、これら業務・活動において高度にITを利活用する。
 4)無線アクセス網からのデータがインターネット網(IPv6)に効率良く接続された最先端の高速無線インターネット環境を実現する。
 ・2008年までに、高速の無線LANシステム等が全国的に利用できるような環境を整備する。
 ・2005年までに、公共用、民間用を問わず、必要に応じ自動車、電車、及び航空機においてもブロードバンド接続できる環境を確立する。
 ・高度道路交通システム(ITS)や地理情報システム(GIS)などと連携した高度な移動体通信サービスを普及・促進する。
 5)家庭におけるIT革命を支える基盤となる放送のデジタル化を推進し、通信と放送の融合や双方向サービスを本格展開する。
 ・2011年までに、地上テレビジョン放送のデジタルへの移行を完了し、全国どこでもデジタルテレビの映像が受信できるような環境を整備する。
 ・2011年までに、全国どこでもデジタルテレビ並みの動画映像が送受信できるような環境を整備する。
(1)現状と課題
 IT革命を推進し、我が国を世界最先端のIT国家とするため、引き続き、ネットワーク形成においては、通信の速度・容量だけでなく、多様性・安全性・信頼性など総合的に評価した上で、世界最先端の水準と認められるものを目指していくことが必要である。
 これまで、地域網の開放等の公正競争政策や民間の積極的な新規参入・料金引下げ努力など、官民挙げて取り組みを行ってきた結果、低廉な価格で「少なくとも3000万世帯が高速インターネットアクセス網に、また1000万世帯が超高速インターネットアクセス網に常時接続可能な環境を整備する」という目標が達成されるなど、ブロードバンド利用環境整備の点で我が国は世界最高水準に達しつつある。
 実利用面では、DSL(デジタル加入者線)に関しては、加入者が211件(2000年3月)から700万件(2003年3月)以上に普及し、月額利用料金は2,500円程度という世界で最も低い水準となっている。
 また、超高速ネットワークの中核と考えられる光ファイバ網については、2001年3月に世界に先駆けて一般家庭向けのファイバ・トゥ・ザ・ホーム(FTTH 2)サービスが開始され、都市部を中心に30万件(2003年3月)以上に普及するに至っている。
 他方、携帯電話のインターネット対応率は世界第一位となっていることに加え、無線LANによる高速インターネット接続も進んでいる。さらに、周囲のすべての機器が端末化し、いつでもどこでも何でもつながる「ユビキタスネットワーク」へと進化しつつある。
 今後は、新IT戦略が目指すIT利活用の高度化に不可欠な社会基盤整備として、引き続き世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成を推進することにより、「ユビキタスネットワーク」を実現し、デジタル情報が自由かつ安全に交換・共有できる基盤の形成を目指す。
 ユビキタスネットワークの実現に向けては、DSL、CATVインターネット 3の更なる普及に加え、光ファイバ網の整備の促進や移動体を含めた多様な無線通信システム等の普及が重要であり、既存のインフラの有効利用を更に進めるとともに、通信事業者による整備の円滑化を図るための施策や整備支援策を講じることにより、加入者網を含めた設備ベースの競争を実現していかなければならない。
 また、採算性等の問題から民間事業者による整備が期待出来ない過疎地域等の条件不利地域における情報格差の是正を図ることが必要である。
 無線LANや第4世代移動通信システム 4 、電子タグ 5 などの新たな電波ニーズに的確に対応するため、実際の電波利用状況を踏まえた電波の迅速かつ円滑な再配分を行うとともに、混信防止に配慮しつつ、電波の共同利用などの効率的利用を推進することが必要である。
 加えて、ユビキタスネットワークの進展に伴い、位置情報の重要性がますます高まっており、その高度な活用等により新たなビジネスの創出が期待される。そこで、我が国の位置情報基盤の優位性を活かし、国土空間における正確な位置を知ることができる環境の整備を推進することが必要である。
 利用者が、その多様な需要に応じた安価なサービスを享受できるように、ネットワークを提供及び利用する様々な事業者が、関連する異階層の各市場で自由かつ公正に競争できる条件整備を引き続き図っていくことが必要である。
 ネットワークの広がりや新サービスの展開に伴い、プライバシーや安全性・信頼性等に係る新たな問題の発生が危惧されることから、利用者の利益に資するような施策の展開も必要である。
 安価に大量のデジタル情報を伝送することができ、インターネット通信との親和性が高いデジタル放送については、米国では全世帯の9割超、英国では全世帯の8割程度が地上デジタル放送を視聴可能な環境が整備されており、我が国においても早急に放送のデジタル化を図るとともに、放送と通信を融合させた利便性の高いサービスを推進する必要がある。


<世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成に関する主要指標>
 FTTHDSLCATVインターネット無線(FWA 6
加入者45.8万件※1
(2003年6月末)
825.7万件
(2003年6月末)
222.4万件
(2003年6月末)
3.4万件
(2003年6月末)
加入可能数※21,680万世帯3,500万回線※3(参考)
2,300万世帯※4
料金例
(月額)※5
6,480円※6
(NTT東日本)
4,800円※7
(有線ブロードネットワークス)
(2003年4月1日)
4,600円※8
(NTT東日本)
2,448円※9
(Yahoo!BB)

(2003年4月1日)
2,500円※10
(イッツコミュニケーションズ)



(2003年4月1日)
2,450円※11
(スピードネット)



(2003年4月1日)

※1光ファイバを用いた一般利用者向けインターネット接続サービスの加入数。
※2技術的要因等によりサービスの提供が不可能な場合がある。
※3DSLサービスが提供されている東・西NTTの収容局における住宅向け回線数(光化されているものを除く。)の合計。
※4CATVインターネットを行っている事業者のケーブルテレビ視聴可能エリアの世帯数。(2001年12月末現在)
※5サービスを利用するために必要な通信料金の合計(電話基本料金除く)。
※6「Bフレッツ・ニューファミリータイプ」の料金。プロバイダー料金含む(OCN「光アクセス・Bフレッツプラン」(1,980円))。屋内配線利用料(200円/月)及び回線終端装置利用料(900円/月)別。最大100 Mbps 7
※7「Broad-Gate01 Type Eホーム」の料金。モデムレンタル料別(900円/月)。最大100Mbps。
※8「フレッツADSL・8Mプラン」(電話共用型)の料金。プロバイダー料金含む(OCN「ADSLアクセス・フレッツプラン」(1,950円))。下り最大8Mbps/上り最大1Mbps。
※9「Yahoo!BB・8M」(電話共用型)の料金。NTT東日本回線使用料(168円)を含む。モデムレンタル料別(690円/月)。下り最大8Mbps/上り最大900kbps。
※10「かっとびプラス」の料金。モデムレンタル料別(700円/月)。下り最大8Mbps/上り最大256kbps。
※11「無線アクセスプランI」の料金。回線終端装置(アンテナ、無線機及びアンテナから無線機間のケーブル等)レンタル料別(900円/月)。下り/上り最大1.5Mbps。
出典:総務省調査。加入可能数はすべて総務省推計。
(2)施策の意義
 世界最高水準の情報通信ネットワークの形成促進にあたっては、民間によるネットワーク整備を原則とし、政府は自由かつ公正な競争の促進、基礎的・基盤的な研究開発等民間の活力が十分に発揮される環境の整備に取り組んでいく。インターネットの定額接続サービスの低廉化・高速化・普及などが急速に進みつつあるところであるが、今後はその一層の推進とユビキタスネットワークを実現するため、線路敷設の円滑化、自由かつ公正な競争環境の整備、電波の有効利用の促進、研究開発の推進等の所要の施策を推進する。同時に地方公共団体においても適切な措置が講じられるよう、国は、地方公共団体に対する助言、協力要請等を行うものとする。
 また、世界最高水準の情報通信ネットワークの形成においては、ネットワークの高速・超高速化及び多様化・高度化とアプリケーション(ネットワークの利用)の多様化・高度化が相互に刺激して好循環を発生し、これらの動きすべてが加速されていくという観点が重要である。すなわち、ネットワークの利用の増大・多様化がネットワークへの新たな投資意欲を生みだし、新たなネットワークの下で先進的な利用と新たな需要が生まれていくのである。したがって、先導的取り組み(U章参照)の推進を始め、人材育成の強化、電子商取引等の促進、行政の情報化等の施策と総合的かつ一体的に推進されることが重要である。こうした取り組みにより、高速・超高速インターネット加入率・加入者数の一層の増加とその利用の高度化が期待される。
(3)具体的施策
(1)高速・超高速インターネット利用環境の整備
 高速・超高速インターネットが全国どこでも利用できる環境を整備するため、必要な規制改革や競争政策、研究開発等を推進するとともに、ビジネスとして成立しにくい地域については、特別措置を実施する。
ア)ネットワークインフラ等の形成推進
a)線路敷設の円滑化
i)公共施設管理用光ファイバ及びその収容空間の整備、開放(国土交通省、農林水産省、警察庁、総務省、経済産業省)
・公共施設管理用光ファイバ及びその収容空間の整備、開放(国土交通省、農林水産省、警察庁、総務省、経済産業省)
 2003年度中に、道路、河川、港湾等において公共施設管理用光ファイバの整備や電線共同溝の整備等による電線類地中化等にあわせて約35,000kmの収容空間等を整備し、全国ネット化を推進するとともに、民間事業者のネットワーク整備の更なる円滑化を図るため、施設管理に支障のない範囲で河川・道路施設管理用光ファイバや公共施設管理用光ファイバ収容空間の開放を順次進める。
 電線類地中化については、2004年度を初年度とする新たな「電線類地中化計画」を2003年度中に策定する。
 また、国営排水施設に敷設されている光ファイバについては、2004年度から開放を実施する。
・高速道路の高架橋脚空間の活用(国土交通省)
 高速道路の高架橋脚空間への光ファイバの敷設の方策については、道路関係四公団の民営化後の組織形態、業務内容等の検討状況を踏まえつつ、2005年度までに結論を得る。
ii)工事規制の見直し
・冬季・年度末の路上工事規制の緩和(国土交通省)
 電気通信事業者が行う光ファイバ敷設工事のうち、年度当初に想定しえず、かつ、緊急性を有すると認められるものについては、概ね四半期ごとに必要な調整を行い、冬季・年度末においても道路交通に著しい影響を与えない範囲で抑制を緩和する。当該措置は2005年度まで試行する。
iii)手続きの迅速化
・道路占用許可申請手続のワンストップ化(国土交通省)
 電子申請によるワンストップ化の導入を図るため、直轄国道と地方公共団体が管理する道路にまたがる手続や複数の地方公共団体が管理する道路にまたがる手続については、2003年度中に必要なシステムの検討を行い、2003年度以降地方公共団体に対し、導入について協力を要請する。
・道路使用許可申請の電子化(警察庁)
 道路使用許可については、概ね2003年度までに電子申請が可能となるよう、地方公共団体に要請する。
・河川占用許可申請の電子化(国土交通省)
 河川占用許可については、大臣管理区間は2003年度中に電子申請を可能とする。都道府県知事管理区間は2003年度中に実施方策の提示等により、オンライン化の推進を要請する。
iv)情報提供の充実
・橋梁の新設・架替情報の公開(国土交通省)
 民間事業者による光ファイバの橋梁への添架を容易にするため、直轄国道については2003年度も引き続き、橋梁の新設・架替の情報をホームページの更新により提供する。
b)光ファイバ網等の整備支援
・民間事業者による高速・超高速ネットワークインフラ整備支援(総務省)
 電気通信基盤充実臨時措置法に基づき、高速・超高速ネットワークインフラ整備を行う民間事業者等に対し、超低利融資、税制優遇措置、無利子・低利融資、債務保証の支援策を2003年度も継続的に講ずる。
・地域公共ネットワークの整備推進(総務省)
 学校、図書館、公民館、市役所などを高速・超高速で接続する地域公共ネットワークの全国的な普及について、2005年度までの実現を目指し、地方公共団体等への支援を行う。 また、無線等による効率的な整備手法を提示する。
c)IPv6普及促進(総務省)
 インターネット基盤全体のIPv4からIPv6への円滑な移行の実現のため、2003年度より実証実験等を実施し、技術的課題の解決、移行モデルの策定等を行う。
 また、電気通信基盤充実臨時措置法に基づき、税制優遇措置、無利子・低利子融資の支援策を2003年度も引続き実施するなど、IPv6ネットワークへの速やかな移行のため必要な措置を講ずる。
d)家庭内の電力線の高速通信への活用(総務省)
<前掲 U.3.生活 (2)1)エ)>
イ)地理的情報格差の是正
・高速・超高速インターネットの地理的格差の是正(総務省、農林水産省)
 過疎地域等の条件不利地域は、都市地域よりも情報通信基盤の整備が遅れており、次世代ユニバーサルサービスと言われている高速・超高速インターネットの普及を推進する上での課題となっている。民間によるネットワーク整備とその支援を原則としつつ、地方公共団体等の公共ネットワーク、公衆用インターネット端末等の整備を支援し、地域住民のインターネットアクセス環境を向上させる。
 加入者系アクセス網について民間事業者の光ファイバ網、DSL等の整備に対して、電気通信基盤充実臨時措置法に基づき都市地域等よりも手厚い金融措置を2003年度も継続的に講ずる。また、地方公共団体等が行う過疎地域等における加入者系光ファイバ網等のネットワーク整備に対して、2003年度も継続的に支援を行う。
・移動通信用鉄塔施設の整備(総務省)
 過疎地域等において市町村が移動通信用鉄塔施設を整備する場合に国がその設置を支援すること等を通じ、2005年度までの可能な限り早い時期に過疎地域等において新たに10万人を携帯電話が利用可能な状態とすることを目指す。
ウ)ブロードバンド時代に向けた研究開発の推進
・超高速インターネット衛星の研究開発(総務省、文部科学省)
 無線超高速の固定用国際ネットワークを構築するため、2005年までに超高速インターネット衛星を打ち上げて実証実験を行い、2010年を目途に実用化する。
エ)自由かつ公正な競争環境の整備の促進
i)自由かつ公正な競争の促進
・公正取引委員会の機能強化(公正取引委員会)
 IT分野及びITを利用した事業活動に係る競争を阻害するような独占禁止法違反事件に迅速・的確に対処すべく、2003年度に公正取引委員会の体制強化、機能の充実について、所要の措置を講ずる。
・電気通信事業紛争処理委員会の機能強化(総務省)
 電気通信事業者間の紛争解決に資するためのマニュアルを2003年度中に改定する。また、新たに生じた紛争の早期解決に取り組むとともに、電気通信事業紛争処理委員会の活動状況について毎年度公表する。さらに、2003年度においては、同委員会の紛争処理機能をより高めるために仲裁手続の充実に取り組む。
・NTTの在り方(総務省)
 公正な競争を促進するための施策によっても十分な競争の進展が見られない場合には、通信主権の確保や国際競争の動向も視野に入れ、速やかに電気通信に係る制度、NTTの在り方等の抜本的な見直しを引き続き行う。
ii)利用者利益の増進
・消費者保護対策の充実
 <後掲 V.3.電子商取引等の促進(3)3)イ)>
(2)世界最先端の無線ネットワークの整備及び高精度測位社会基盤の確立
 世界最先端の無線ネットワーク環境を整備するため、民・官に亘る電波の有効利用を推進する。また、ITSの推進による世界最先端のネットワーク環境を持つ交通システムの確立、移動体におけるインターネット利用環境の整備、高精度の測位社会基盤の確立を図る。
ア)電波の有効利用の推進
・電波の利用状況の調査・公表等(総務省)
 現在の逼迫する電波状況に適切に対応し、更なる電波の有効利用を図るための最適な周波数配分の実施に向け、2005年度までに全ての周波数帯の電波の利用状況を調査し、公表するとともに、その後おおむね3年ごとに電波の利用状況調査を実施する。
・円滑な周波数再配分実施のための制度の整備(総務省)
 2003年度中に、迅速な周波数再配分により損失を受ける既存免許人に対して適切な対応を図るための制度の整備を図る。
・新たな電波秩序の下での電波の多重利用の推進(総務省)
 電波の共用帯域において、電波秩序を維持しつつ、より簡易な規律の下で、自由な電波利用を推進するための規制改革について2003年度中に検討を行う。
・世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境の構築に必要な周波数の分配(総務省)
 世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境構築のために必要な中長期的な周波数需要に対応するため、2003年度中に電波政策ビジョンを策定し、同ビジョン及び諸外国の動向を踏まえ、無線LAN等の高度化・利用拡大のための周波数分配について2005年度までに結論を得るとともに、第4世代移動通信システムについては、2010年頃までに必要な周波数の分配を行う。また、地域の周波数需要に即した割当ての拡大についても引き続き毎年実施する。
・電子タグの高度利活用に向けた周波数の使用方法の検討(総務省)
 電子タグの高度利活用に向け、利用ニーズや技術動向を踏まえ、できる限り早期に周波数の使用方法を決定できるよう、2003年度中の早期に周波数確保に向けた推進方策(800/900MHzを含め検討。)を策定して、技術的条件を明らかにする実証実験の実施を促進する。
・UWB 8(超広帯域無線)の技術開発(総務省)
 オフィスや家庭内における様々な機器を結ぶネットワークにおいて、近距離で無線による動画像や大容量データ伝送を可能とするため、UWBの実現に向けた技術的検討を行い、国際標準化の進展に応じ、2003年度末を目途に結論を得る。
・第4世代移動通信システム実現のための研究開発(総務省)
 <後掲 W.1.研究開発の推進 (2)1)ア)a)>
イ)移動体におけるインターネット利用環境及び高精度測位社会基盤の確立
・インターネットITS(総務省、経済産業省)
 ITS関連情報を有機的に統合するとともに、最先端の高速無線ネットワーク環境と連携し、ITSにおける高速インターネットを実現する。このため、2005年度までに高速移動する自動車において様々な大容量の情報を無線ネットワークを通じて円滑に提供、享受できるための技術を産官学協力のもと実用化する。
・高速・大容量航空移動衛星通信の実現(総務省)
 2004年度までに、Ku帯航空移動衛星業務 9における周波数共用技術に関する調査検討等を実施し、所要の制度整備を行う。
・準天頂衛星 10 システムの研究開発の推進(総務省、文部科学省、経済産業省、国土交通省)
 我が国のあらゆる場所で、ビルや山陰等の影響を受けず、移動体において高速通信、高精度測位が可能となるよう天頂付近から衛星サービスを行う準天頂衛星システムについて、2008年度までを目途に実証実験に向けた研究開発を行う。
・時空標準に関する研究開発の推進(総務省)
 宇宙空間における時空の基準座標系を確立するための時間及び周波数の標準技術と宇宙測位技術を総合して時空標準座標系を構築するための基盤技術を2005年度までに実現する。
・地理情報システム(GIS)の推進
 <後掲 V.4.行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進(3)2)カ)>
(3)放送のデジタル化及びデジタル情報の自由な交換・共有のための環境整備
 放送のデジタル化を推進するとともに、超高速インターネットとデジタルテレビ放送に対応したネットワーク及び機器の普及を促進する。あわせて、デジタルコンテンツの知的処理技術の確立や文字コード規格の整備、情報バリアフリー施策の推進等により、情報の自由な交換・共有のための環境を整備する。
ア)放送のデジタル化(総務省)
 高度情報通信ネットワーク社会においては、多様な情報がネットワークを区別することなく自由に流通することが重要である。デジタル放送はインターネットと極めて親和性が高く、IPv6を備えたインターネットと組み合わせることにより、デジタルコンテンツを放送以外の多様なメディアに流通させることが一層容易になるとともに、豊富なアドレス空間その他のIPv6の高度な機能を活用するなど、放送と通信を融合させた利便性の高いサービスが実現し、すべての国民が容易かつ安全に、多様な情報を入手し、利用することができることとなる。
 このように家庭におけるIT革命を支える基盤となる放送のデジタル化を推進し、関東、近畿、中京の三大広域圏では2003年12月に、その他の地域では2006年までに地上デジタル放送を開始するため、地上放送のデジタル化に伴うアナログ周波数変更対策を講ずるとともに、デジタル放送施設の整備に対して税制・金融上の支援を行う。また、デジタル放送への円滑な移行のため、デジタル放送のメリット、スケジュール、視聴方法、アナログ放送の終了時期等について広く国民に周知を行う。
 ケーブルテレビについては、2010年までにすべてデジタル化されることを目指し、税制・金融上の支援を行う。
イ)多様なビジネスモデルへの支援
・通信・放送融合への対応(総務省)
 デジタル放送とインターネットを合わせて利用することで、国民が特別な教育を受けることなく、容易かつ安全に、公共情報を始めとする多様な情報を入手、利用できるようにするサービスなど、先導的な通信・放送融合サービスを世界に先駆けて実現するため、通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律に基づき、2003年度中に通信・放送融合技術を開発する者に対して、開発費の助成や必要となる施設を開放するなどの支援を行う。
 また、通信・放送の融合の進展に応じた制度のあり方について、社会的な役割、技術革新の状況、諸外国の動向等幅広い視点から引き続き検討する。
ウ)テレビ会議システム等の導入の検討(全府省)
 業務内容や費用対効果等を勘案し、インターネットテレビ会議システム等の導入について2003年度中に検討を行う。
エ)次世代高機能映像技術の研究開発(総務省)
 <後掲 W.1.研究開発の推進(2)6)ア)>
オ)コンテンツ流通に関する研究開発
  <前掲 U.5.知 (2)2)イ)c)>
カ)文字情報・コードの整備等(経済産業省及び関係府省)
・行政情報化の共通基盤の一環として、将来的な国際標準との整合を視野に入れ、官民が汎用的に利用できる文字情報データベースの整備を進め、2003年度までに主要部分の運用を開始し、2005年度までにデータベースを構築する。
キ)障害者・高齢者のIT利用の促進
<後掲 V.2.人材の育成並びに教育及び学習の振興 (3)2)ア)
ク)ヒューマンインターフェースの研究開発
<後掲 W.1.研究開発の推進 (2)4)エ)>

2.人材の育成並びに教育及び学習の振興
<目標>
 1)IT関連の修士、博士号取得者を増加させるなど、我が国の国際競争力向上のために必要な高度なIT人材を広範に育成する。
 2)2005年までに日本発の遠隔教育がアジア各国において受講可能な体制を整備するなど、遠隔教育等を活用して海外のIT人材の育成・確保を図り、2005年までに3万人程度の優秀な外国人IT人材を受け入れる。
 3)2005年のインターネット個人普及率予測値の60%を大幅に上回ることを目指すとともに、ITの利活用により障害者や高齢者も含めて全ての人々が知的満足の享受や新たな価値の創造を可能とする社会を形成する。
 4)小中高等学校及び大学等のIT教育体制を強化するとともに、社会人全般に対する情報生涯教育の充実を図る。
(1)現状と課題
 我が国が世界最先端のIT国家となり、国際競争力を向上させ、障害者や高齢者も含めた全ての人々がITの恩恵を享受できる社会を実現するためには、ITを実際に活用する「人」に着目し、IT人材の育成と国民全体のIT活用能力の向上を図ることが重要である。
 このため、これまで関連施策を積極的に実施してきた結果、インターネット利用人口の増加や学校教育の情報化の進展など着々と成果があがっている。
 具体的には、インターネットの利用率については、1999年には21.4%であったが、2002年には54.5%となっており、半数以上の人が利用している状況にある。また、小中学校においても2002年度から新学習指導要領が実施され、子どもたちの情報活用能力を育む教育が一層推進されている。
 しかし、我が国が世界最先端のIT国家となるために、残された課題もある。
 例えば、我が国の国際競争力を支えるIT分野の専門的な人材について、民間企業の調査において、米国と比較した場合、最上級レベルの人材が不足しているという結果も出ている。また、学校教育においても、教室へのインターネット接続率は、韓国では100%に達しているのに対して、我が国は21.1%(2001年度)である。一方で、出会い系サイトに関連した事件の検挙数が、2001年に比べ2002年は約1.9倍、そのうち、特に児童売春については、約2.1倍となるなど、社会の急速なIT化に伴う新たな課題も浮かび上がってきている。
 常時接続・低料金のブロードバンドが普及したことから、基盤の整備のみならず、利用の内容と程度が問われる状況になっていきている。今後のIT政策の立案にあたっては、このような状況を踏まえ、新たな取り組みを指向していくことが不可欠である。
 以上のような観点から、我が国の国際競争力を向上させるため、IT分野の高度で専門的な知識を持った人材を早急に育成・確保すると共に、社会の急速なIT化に伴う新たな課題にも対応しつつ、全ての人々がITを一層主体的・積極的に活用できる環境を醸成する必要がある。

<人材の育成並びに教育及び学習の振興に関する主要指標>
 ・IT関連の修士課程修了者14,808人、博士課程1,663人(2001年度)
 [修士課程修了者13,509人、博士課程1,637人(2000年度)]
 ・在留資格「技術」に係る外国人登録者数 20,717人(2002年12月現在)
 [19,439人(2001年12月現在)]
 ・インターネット人口普及率 54.5%(2002年12月現在)
 [44.0%(2001年12月現在)]
 ・インターネット接続が可能な公共施設 公民館等1,793ヶ所(1999年10月現在)
 ・公立学校におけるインターネットに接続できる普通教室
 全426,552教室中21.1%(2002年3月現在)
 [全446,358教室中8.3%(2001年3月現在)]
(2)施策の意義
 我が国の国際競争力の向上を支えるIT分野の技術者、研究者などの専門家の育成・確保を図り、また、ITの利活用により障害者・高齢者も含めた全ての人々が知的満足の享受や新たな価値の創造ができるような環境を醸成することは、活力あるIT社会を実現するための基盤として不可欠である。
 このため、IT人材の育成について
産業界のニーズを踏まえた実践的なIT人材の育成や、海外の優秀なIT人材受け入れを図ると共に、IT活用能力不足に起因する雇用のミスマッチを解消し、労働生産性を高めるための「IT分野の専門家の育成・活用及び職業能力開発」、
障害者・高齢者も含めた全ての人々がITの利活用により、経済・社会に積極的に参画し、能力を発揮できるような環境を醸成するための「国民のIT活用能力の向上」、
将来を担う子どもたちがITを活用できる能力を身につけるための「学校教育の情報化等」
 の3分野の取り組みを重点的かつ戦略的に実施することにより、我が国の国際競争力を支えるIT人材の充実を図るとともに、IT人材のすそ野を一層広げることとする。
(3)具体的施策
(1)IT分野の専門家の育成・活用及び職業能力開発
 我が国のIT国際競争力を強化するため、大学・大学院等におけるIT教育の強化や専門的なIT人材がその力を発揮するための環境整備を行い、国際的に最先端の研究開発や経営、コンテンツ開発を実践できる創造的な人材を養成し確保するとともに、外国人人材の受入れを促進する。また、積極的なIT職業能力開発やIT関連業務に携わる労働者の更なる能力向上を図る。
 なお、情報セキュリティ人材育成に係る施策はV.5 (3)6)にて後掲する。
ア)高度なIT人材の育成
a)大学・大学院等におけるIT教育の推進(文部科学省)
 大学・大学院等において、国際競争力向上に資する新興IT分野における研究者や企業の第一線で活躍するIT人材など、国際的に通用する高度な人材を戦略的に育成する。
 あわせてIT技術者・研究者の育成に資するため、大学院のIT関連専攻の入学定員増を図る。
i)新興分野における戦略的人材養成
 2005年度までに、大学・大学院等において、IT分野の人材養成を戦略的に行うことにより、基盤的ソフトウェア等の新興分野の実務者・研究者を約800人養成する。
ii)IT関連専攻修士・博士課程の入学定員の増加
 2003年度中に、国立大学の大学院のIT関連専攻(修士課程及び博士課程)の入学定員を増加する。
iii)専修学校におけるIT関連プログラムの開発・実施
 2005年度までに、専修学校において、企業の第一線で活躍する社会人を対象としたITスペシャリストを養成するための教育プログラムと新産業創出の担い手となる起業家精神を有する人材開発のための起業家育成プログラムの開発を推進し、その成果を逐次各専修学校において実施する。また必要な環境整備を行う。
iv)専門高校における情報教育の推進
 専門高校 11 に専門教科「情報」を新設し、システムの設計・管理やマルチメディアなどの情報の各分野に関する知識と技術を身につける教育を、2003年度の入学者から実施する。
b)産業界のニーズが高い分野のIT人材育成(経済産業省)
 ソフトウェアエンジニアリング 12の専門家、経営をサポートする人材及びコンテンツクリエイタ等産業界が求めるIT人材を効果的に育成し、IT分野における国際競争力の向上を図る。
i)ITスキル標準を基盤とした教育訓練モデルの開発・実証
 2005年までに、ITプロフェッショナルとして必要な実務能力を体系化したITスキル標準に準拠した30程度の教育訓練モデルの開発と実効性の評価・実証を行う。
ii)ソフトウェアエンジニアリングの専門家育成
 2003年度中に、我が国のソフトウェア産業の競争力強化とコア人材育成のため、技術移転・人材流動等の拠点となるような仕組み(ソフトウェアエンジニアリングセンター(SEC 仮称)の設立など)について検討を行い、結論を得る。
iii)ソフトウェアの開発者の技能向上支援
 2005年度までに、アプリケーションソフトウェアの開発業務に従事する者約4,000人に対して、その技能の向上を目指したソフトウェアの開発支援を行う。また、そのうち約100人については、次世代のITを担う天才的なプログラマ(スーパークリエイタ)として発掘・育成を行う。
iv)経営者をサポートするITコーディネータの育成
 経営とITの双方に通じ、経営者の立場にたって経営戦略の立案からそれを実現するシステムの構築・導入までを一貫してサポートできる人材(ITコーディネータ)を2005年度までに、約1万人育成し、認定を行う。
v)コンテンツプロデューサ及びクリエイタ人材の育成
  <前掲.U.5.知 (2)2)ア)a)>
イ)IT職業能力開発の推進及びIT技能の向上
 多様なIT職業能力開発を実施することにより、急速なIT化の進展に伴う雇用ミスマッチの解消を図るとともに、我が国の雇用の安定・労働生産性の向上を図る。また、情報通信分野の専門的・技術的な業務に従事する者の知識及び技術の向上を図る。
a)離職者及び在職者を対象とした職業能力開発(厚生労働省)
 急速なIT化の進展に伴う雇用ミスマッチの解消、高度なIT社会構築をリードする人材育成という観点から、2003年度中に約70万人の離職者及び在職者を対象に、以下のITに係る職業能力開発を推進する。
・民間教育訓練機関の機能を活用した、離職者を対象としたIT活用能力習得に資する公共職業訓練の実施
・自習用端末ソフトウェア等を活用したIT化に対応した自発的な職業能力習得の機会の提供
b)情報通信技術者の育成支援(総務省)
 2005年度までに、情報通信分野における人材不足を解消すべく、ブロードバンド時代に必要とされる電気通信システムの設計、放送番組の制作等の情報通信分野の専門的な知識または技術の向上を図るため、約1万2,000人に対する研修を支援するなど、高度な人材を含む情報通信分野の専門的な人材の育成を推進する。
ウ)外国人人材の受入れ確保
a)ITスキルの国際標準化(経済産業省)
 「アジアITスキル標準化イニシアティブ 13 」に基づき、IT人材に関するスキル標準の国際的な共通化によるIT人材の技能に関する客観的な評価指標を作成することで、アジア域内でのIT人材市場の流動化を促し、産業界がより有能な外国人IT人材の活用が可能になるための基盤を整備する。
i)IT人材のスキル標準の国際標準化
 2003年度中に、アジアの2つの国及び地域に対して、それぞれの状況に応じノウハウの移転など資格制度創設に必要な支援を実施するとともに、その国際標準化を図るため、既に類似の試験制度を持つ8ヶ国も含め、資格の基盤となるスキル標準について相互認証を行う。
ii)アジア各国の資格制度のコンピュータ化支援
 我が国の情報処理技術者試験をコンピュータ化するのに合わせて、2003年度中を目途に、アジア各国に対してもノウハウの提供、対応する研修や教材の開発など各国の資格制度のコンピュータ化に必要な支援を行う。
iii)外国人IT技術者の育成
 我が国産業界が必要とするIT人材を育成するため、アジア共通スキル標準に沿った必要な研修事業を我が国及びアジア諸国で実施し、2005年度までに我が国企業の採用が可能なレベルのIT人材約2,000人程度育成する。
b)アジアにおけるe-Learningの促進(経済産業省)
 「アジアe-Learningイニシアティブ」の一環として、e-Learningの積極的な活用によりアジアにおける効率的な人材育成を図り、我が国IT産業の市場および人材調達環境の整備により我が国の国際競争力強化を図る。そのため、e-Learningが普及するための環境整備に向け、アジア各国と協調しつつe-Learningに係る人材育成、啓発普及、標準化の推進等を実施する。
i)e-Learningコンテンツの国際標準の策定・普及
 2005年度までに、アジアにおけるe-Learning市場形成のためのシステム構築を図るとともに、アジア全体で研修の実施やコンテンツの開発を行い、e-Learningコンテンツに関するアジア発の国際標準の策定・普及を行う。
ii)アジアにおけるe-Learningシステムの相互運用性の拡大
 2006年度までにアジア5カ国において、e-Learningの相互運用性検証、品質評価、多言語対応、著作権管理、個人情報保護、試験に活用可能な認証等の技術開発および運用ガイドラインをアジア各国と連携して推進し、実証実験を実施する。
iii)e-Learningに係る人材育成
 2005年度までに、アジアにおけるe-Learning市場拡大のため、e-Learningのシステム運用、コンテンツ作成等に係る人材育成に必要となるスキルセットの策定、育成手法の確立を図り、実証実験を行う。
c)外国人受入れ関連制度の見直し(法務省)
 IT技術者などの専門的、技術的分野の業務に従事する外国人を一層積極的に受け入れていくことにより、我が国における高度な技術や知識を有する人材の確保を図る。
 このため、IT技術者に関する上陸の基準等について、a)の相互認証等の状況も踏まえつつ、引き続き外国人IT技術者受入れに係る所要の措置を2003年度中も講ずる。
d)外国人の日本語学習への支援(文部科学省)
 <後掲 V.2.人材の育成並びに教育及び学習の振興 (3)3)イ)c)@)>
(2)国民のIT活用能力の向上
 障害者や高齢者も含め全ての人々がIT活用能力の向上を図るための必要な施策を実施することにより、例えば、国民が電子政府により実現されるサービスを簡単に利用できるなど日常の生活においてITを積極的に活用できるような活力のあるIT社会の実現を目指す。
ア)障害者・高齢者のIT利用の促進
 障害者や高齢者がITを活用することにより、経済・社会へ積極的に参画し、能力を発揮することができるようにするため、年齢・身体的な条件等に起因するITの利用機会及び活用能力に格差が生じることがないよう十分配慮しつつ、情報バリアフリー政策を推進する。
a)地域における情報バリアフリーの推進(総務省)
 2005年度までに、NPO等の協力を得て、高齢者・障害者への研修やIT利活用の支援等、地域におけるIT利用を総合的にサポートする体制のモデルを検討し、障害者・高齢者のIT活用の拡大を図る。
b)パソコンボランティアの養成・派遣(厚生労働省)
 2003年度中に、障害者のIT利用を促進するため、パソコンボランティア養成・派遣事業を全国約30箇所において実施する。
c)障害者等の自立・社会参加支援(総務省)
 障害者・高齢者の自立・社会参加を支援するため、2003年度中に在宅・訪問介護支援や健康管理情報提供を可能とするシステム等の研究開発を行う。
d)障害者、高齢者等の安全で円滑な移動を支援するシステムの研究開発・導入及び標準仕様策定(警察庁、経済産業省、国土交通省)
 <後掲 W.3.デジタル・ディバイドの是正 (2)2)ア)>
イ)IT利用機会の継続性の確保及び利用環境の整備
 図書館等公共施設におけるIT環境の充実など全ての人々が自発的にITを利用したり、ITを活用した学習ができる環境を整備することを通じて、国民全体のIT活用能力の向上を図る。
a)地域住民のIT利用のサポート(総務省)
 2004年度までに、地域住民がIT基礎技能等を習得できるよう、約25万人のIT利用をサポートする指導者を養成するなど、住民サポート事業を推進する。
b)NPOと連携した地域IT学習支援(文部科学省)
 2006年度まで、IT関連NPO 14等との連携による地域におけるIT学習等のための支援を行う。
c)教育情報衛星通信ネットワークを活用した生涯学習プランニング支援(文部科学省)
 2003年度中に、各社会教育施設がITを活用し、生涯学習活動を積極的に展開できるよう、教育情報衛星通信ネットワークにより、2,000ヵ所を超える受信施設に対し、実践事例を交えたIT活用に関する解説番組等を提供する。
d)農業者等のIT活用能力の向上(農林水産省)
 <前掲 U.2.食 (2)2)ウ)>
(3)学校教育の情報化等
 必要なIT機器、ソフトウェア、コンテンツの充実を図るとともに、関連する諸施策を実施することにより、子どもたちがITの活用方法に慣れ親しみ、習熟することなどを通じて、子どもたちが情報を主体的に活用できるようにするとともに、すべての子どもたちにとって理解しやすい授業を実現する。その際、インターネット上の有害情報対策にも十分配慮する。
ア)学校のIT環境の整備
 必要なコンピュータを整備し、インターネット接続の高速化を推進するなど、すべての子どもたちのIT活用能力を向上させるため、ブロードバンド化等の時代の変化に的確に対応したIT環境を整備する。
a)公立小中高等学校等のIT環境の整備(文部科学省、総務省)
 2005年度までに、概ねすべての公立小中高等学校等が高速インターネットに常時接続できるようにするとともに、各学級の授業においてコンピュータを活用するため、必要な校内LANの整備やIT授業などに対応した「新世代型学習空間」の整備等を推進することにより、すべての教室がインターネットに接続できるようにする。あわせて、地域センター(教育センター等)を中心に各学校を結ぶ、教育用イントラネットの構築を推進する。
 また、2005年度までにコンピュータ教室における1人に1台使える環境の整備のほか、普通教室等への整備を推進し、教育用PC1台あたり児童・生徒5.4人の割合を達成する。
b)私立学校のIT環境の整備(文部科学省)
 2005年度までに、私立小中高等学校等が、公立学校と同程度の水準の整備を目指して、コンピュータの整備及びインターネットへの接続等を行えるようにする。
c)在外教育施設の教育コンピュータ整備(文部科学省)
 2006年度までに、在外教育施設の教育コンピュータの整備を行う。
イ)IT活用型教育の本格的実施の推進
a)IT教育の充実(文部科学省)
 IT教育の充実を通じ、コンピュータやインターネットを使うための技能を習得させることはもちろん、子どもたちに論理的な思考力を育み、自己を表現する能力や創造力を涵養するとともに、筋道を立てて考える能力や適切に表現する能力、問題の解決や探求活動に主体的、創造的に取り組む態度を育成する。あわせて、社会生活の中でITが果たしている役割や及ぼしている影響を理解させ、情報化の進展に主体的に対応できる能力の育成を図る。
i)高等学校における情報教育の推進
 高等学校において、2003年度の入学者から、各教科や新たに創設される「総合的な学習の時間 15 」で情報通信ネットワークを活用するとともに、普通教科「情報」を新設し必修化することにより、コンピュータ等を活用して自分の考えを表現することなどができるようにする。
ii)英語教育の一層の充実
 IT化に伴い加速するグローバル化の進展において、国際的共通語として一層重要となる英語のコミュニケーション能力の育成のため、2007年度まで「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」を着実に実施し、コンピュータやインターネットを活用し、学習活動の充実を図りながら、基礎的・実践的コミュニケーション能力の育成を図る。
iii)学校における著作権教育の支援
 ネットワーク整備の進展やネットワークコンテンツの普及にともない重要となる著作権に対する知識や意識を涵養するため、2004年度までに、子どもたちが楽しみながら著作権が学べるソフトを開発し、ネットワークにより全国に提供するなど著作権に関する総合的な教育事業を実施する。
iv)モラルへの配慮・道徳教育・体験活動等の充実
 IT教育を推進していくに当たっては、ネットワーク上の倫理やモラルについても配慮するようにし、個人の孤立化や人間関係の希薄化、自然体験・社会体験の不足、いわゆる有害情報の氾濫などにも適切に対応できるよう、2003年度においても引き続き、情報教育、道徳教育、運動部活動の充実や学校内外における自然体験や生活体験等体験活動の充実を図る。
b)先進的な実践事例の積極的な紹介・普及
 ITを活用して教育効果を上げている学校等の取り組み等の先進的実践事例を全国に紹介・普及し、効果的に全国的なレベルアップを図る。
i)高速インターネット接続校を活かした研究開発(文部科学省、総務省)
 2003年度までに、インターネットに高速接続された約3,000校のネットワークを活かして、教育方法や教育ネットワークの在り方、大規模ネットワークの運用維持手法の研究などを行い、先進的な実践事例等をホームページを通じて提供し、学校におけるインターネット活用を促進する。
ii)教育現場における先進的なIT活用事例の支援(経済産業省)
 2004年度までに、学校におけるITの有効な活用方法やIT活用能力の的確な向上を図ることを目的とした先進的な授業実践を支援するとともに、蓄積された実践事例等を広く紹介するプロジェクトを約50件実施する。
c)ITを活用した外国人の日本語学習への支援
 日本語の普及や日本文化の発信を図るため、国内外における日本語の学習環境の整備等を促進することが重要である。
i)外国人の日本語学習への支援(文部科学省)
 2005年度までに、インターネットを活用して教材用素材など日本語教育に関する情報等を国内外に提供することを通じて日本語学習の支援を図る総合的なネットワークシステムを構築し、広く日本語教育に関する情報を国内外に提供するとともに、日本語教員のIT指導力向上のための研修を実施して、日本語教育の推進を図る。
ii)インターネットを利用した海外日本語教師支援(外務省)
 海外での日本語教育を支援するため、国内外の日本語教師を対象としたインターネット・プログラムについて、2003年度中に英語及び韓国語の翻訳を付与し、海外登録者数を2005年度までに約1万人へ増大させ、教師間の情報交換機能の充実を図る。
iii)インターネットを利用した年少向け日本語試験の開発(外務省)
 海外における初等中等教育機関で日本語を学ぶ青少年の学習意欲向上に寄与するため、2003年度中にいつでもどこの国でも受験できるようなインターネットを利用した日本語試験を開発・運用する。
d)子どもたちを取り巻く有害情報への対応
 近年のインターネットの急速な普及に伴い、子どもから大人まで誰でも様々な情報にアクセスすることが可能になっているが、一方でインターネット上に氾濫している違法・有害な情報や出会い系サイト等に起因する犯罪から子どもたちを守る必要が高まっている。このため、以下の施策を実施する。
 ・2003年度中に子どもを取り巻く有害情報の問題も含めて「家庭教育手帳」等の内容の改善を行うなど、保護者に対する広報啓発を図る。また、学校教育においては、フィルタリングソフトの普及や情報モラルの育成等を推進する。(文部科学省)
 ・2003年度中にフィルタリングシステムを普及させるため、全国30地区以上で、モデル事業を実施するなどの広報啓発活動を行う。また、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」を適切かつ効果的に運用するとともに、インターネットを利用した有害環境浄化・相談等の健全育成活動の推進を図る。(警察庁)
 ・2003年度中に学識関係者、ユーザー、教育関係者、プロバイダー等による連絡協議会を設置し、国内外のレイティング、フィルタリングの調査研究やレイティングデータベースの更新やWeb上でのデータオンライン提供等を実施する。(経済産業省)
 ・インターネット上の違法・有害情報対策(総務省)
<後掲 V.5.高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保 (3)3)キ)i)>
ウ) IT指導力の向上(文部科学省)
 概ねすべての公立学校教員がITを活用して指導ができる能力を身につけられるようにするなど子どもを指導する立場にある教員のITに関する指導力の向上を図る。
 また、ITに関する企業や地域の人材の専門的知識、技術等を活用し、子どもたちの情報活用能力の向上を図るとともに、インターネット等を利用した授業の一層の充実を目指す。あわせてアジア太平洋地域の教員等の養成にも協力する。
a)公立小中高等学校等のIT環境の整備(文部科学省、総務省)
 2005年度までに、約90万人の公立の小中高等学校、盲・ろう・養護学校等の概ねすべての教員がコンピュータ等のITを用いて子どもたちを指導することができるようにする。
b)e-Learningを活用した教員のIT指導力の向上
 <前掲 U.5.知 (2)1)ウ)>
c)学校教育におけるIT専門家の活用
 2004年度までに、合計1万人程度のIT関連分野の優れた知識や技術を有する人材を子どもたちのIT教育の充実のため、学校教育において積極的に活用する。
d)IT教育信託基金に基づく教員等の研修の実施
 2005年度まで、ユネスコ 16IT教育信託基金に基づき、アジア太平洋の約35ヶ国の国や地域において、開発途上国の初等中等教育教員等を対象とするIT研修を実施する。
エ)教育用コンテンツの充実・普及
 各種教育用コンテンツの充実・普及を図ることを通じ、子どもたちがこれまでの学校の授業では接することが難しかった情報を提供することにより、子どもたちの学習意欲の向上を図るとともに学習内容の一層の理解を促す。
a)教育用コンテンツの活用・普及(文部科学省)
 2004年度までに、様々な教育用コンテンツを授業の中で適切かつ効果的に活用するため、毎年1,000件程度の教育用コンテンツの実践事例を教育情報ナショナルセンターに登録することにより、活用事例の全国への普及を図る。
b)産業界と連携したコンテンツ作成・実践(経済産業省)
 2004年度までに、産業界の協力により、産業界の知見を反映し児童・生徒の興味・関心を高める教育用コンテンツ等を約10,000件以上作成するほか、学校現場においてこれらを活用した産業界の人材が参画した授業実践を200時間程度行う。
c)各種コンテンツのデジタル・アーカイブ化及びインターネット提供(文部科学省、経済産業省)
 2005年度までに、研究機関等が有する最先端の研究成果を素材にした教育用コンテンツの研究開発を行い、これらの成果を2005年度までに全国に普及する。また、2005年度までに学校体育・スポーツ・健康教育用コンテンツ、伝統芸能や現代舞台芸術の公演等を記録した文化デジタルライブラリー、国立科学博物館の学習資源をデジタルアーカイブ化するとともに、そのデジタル素材を用いてコンテンツを作成し、インターネット等で提供するなど、その成果を全国に普及する。
d)大容量教育用コンテンツの閲覧技術等についての研究開発・実用化(総務省、文部科学省)
 2005年度までに、教育用コンテンツのインターネットを介した利用を促進するため、学校における情報セキュリティ技術や簡易型インターネットアクセス網構築のための技術、ネットワーク上の教材コンテンツを自動判別して高速・容易に検索を可能とする技術、トラブルや問い合わせへの対応を迅速化・効率化して対応の質的向上を図る次世代ヘルプデスク支援システムに関する技術、学校に配備する平均的な端末から、インターネット上で3Dコンテンツ等大容量のコンテンツの閲覧を可能とする技術等を開発し、学校教育に導入する。
e)教育情報システム等の開発・実用化(経済産業省、文部科学省)
 2004年度までに、教育・学習への活用だけでなく、学校現場のあらゆる場面における情報技術の実用化を図るため、教育現場での活用に適した情報技術の要件を調査・研究し、それに基づくソフトウェア・ハードウェア等の開発を促進する。
f)教育用ブロードバンドコンテンツ流通促進プラットフォームの開発・実証等(総務省)
 2003年度までに、学校へのブロードバンドネットワークの普及に対応し、セキュリティの確保、認証・課金、ネットワーク配信、デジタルアーカイブからのコンテンツ利活用等の機能を提供するシステムの開発・実証等を行い、2004年度までにそれまでの成果の公開・普及や、教育用コンテンツの利用形態の多様化・高度化に対応したプラットフォームの高度化の検討を行う等教育用コンテンツの流通促進を図る。
オ)教育情報提供体制の整備等
 学校教育や生涯学習に関する情報について、全国各地から有益な情報を検索・受信できるような情報提供体制を整備拡充すること等により、ITを活用した教育及び学習の振興を図る。
a)教育情報ナショナルセンター機能の整備(文部科学省、総務省、経済産業省)
 2005年度までに、各種の教育用コンテンツや教育支援情報を検索したり、ダウンロードできる教育情報ポータルサイト 17等の教育情報ナショナルセンター機能を整備し、国立教育政策研究所において運用する。なお、利用可能な情報数については、毎年約2万件を目標に整備を図る。
b)教育情報衛星通信ネットワークの全国展開(文部科学省)
 2005年度までに、衛星通信を活用して提供される学校教育・社会教育に関する情報・研修番組や学習番組等が全国で受信できるなど生涯学習の振興に資するために必要な受信設備の配置を行えるようにする。
カ)障害のある子どもたちへの対応(文部科学省)
 学校教育の情報化等を進めるにあたっては、身体的な条件により、ITの利用機会及び活用能力の格差が生じることがないよう、障害のある子どもたちに対して十分に配慮する。
 このため、2003年度においても盲・ろう・養護学校の児童・生徒、一人一人の障害に対応した最新のIT機器の整備や、インターネット対応化など、機能の充実を図ってきた盲学校点字情報ネットワークの対象を視覚障害教育全般に拡充し、名称を「視覚障害教育情報ネットワーク」と改め、より一層の充実を図る。また、盲・ろう・養護学校におけるIT教育及び外国語教育の充実については、公立小中高等学校に準じて実施する。
(4)ITを活用した遠隔教育の推進
 <前掲 U.5.知 (2)1)>
3.電子商取引等の促進
<目標>
 2003年における事業者間(B to B)及び事業者・消費者間(B to C)取引の市場規模が、それぞれ1998年の約10倍、約50倍の規模となる70兆円程度、3兆円程度を大幅に上回ることを目指す。
(1)現状と課題
 我が国の電子商取引の現状を見ると、2002年度のB to B市場規模は46.3兆円、B to C市場規模は2.7兆円と、それぞれ前年に比べて約36%増、約80%増と拡大している。また、eマーケットプレイス 18 やネットオークション市場 19、モバイルコマース市場など、これまでにない市場が形成され、新たな取引形態が生まれてきた。このように。我が国の電子商取引は着実に発展しているということができる。
 しかしながら、社会・経済全般に目を向けると、技術革新による生産性の向上に伴って社会構造が高度化しつつあり、我が国の企業は、新たな社会・経済システムに対応していかなければならない状況に置かれている。このような状況の中で、企業には、取引の電子化を促進するだけでなく、ITの活用により既存のビジネスの無駄を排除し、経営資源を有効活用することが求められている。
<電子商取引市場に関する主要指標(2002年度)>
 電子商取引市場規模電子商取引化率
B to B市場46.3兆円6.99%
B to C市場2.7兆円1.02%

(2)施策の意義
 既存のビジネスの無駄を排除し、利益の出る体質に変革するためには、ITを駆使して情報の流れの制約を取り払い、企業のビジネスプロセスを再定義する必要がある。そして、余った経営資源を新たな事業に振り向ければ、これまで想像もできなかった新しい商品やサービスを生み出すことができるだろう。このためには、政府としては、ITによる企業の経営改革・業務改革を積極的に推進するとともに、新たなビジネスの創造を促進する環境を整備しなければならない。
 また、電子商取引市場や新たに生まれた市場の活性化のためには、企業のIT化やビジネス創造を促進するだけでなく、消費者が安心して市場に参加できる環境を整備することも必要である。
 このため、1)ITによるビジネスプロセスの構造改革、2)ITを活用した新たなビジネスの創造、3)安全・安心な電子商取引環境の整備の3つの視点から総合的な施策を実施し、企業そして社会全体を「元気」にすることを目指す。
(3)具体的な施策
(1)ITによるビジネスプロセスの構造改革
 企業の経営効率をさらに向上させるためには、取引の電子化を促進するだけでなく、企業活動のあらゆる局面にITを浸透させ、利益の出る企業体質を再構築することが重要である。そのため、民間事業者の自主的な対応を基本としつつ、政府としては、(ア)企業のIT化に関する制度の充実、(イ)経営改革・業務改革の促進、(ウ)電子商取引の加速的推進の3つの視点から諸般の施策を実施し、ビジネスプロセスの構造改革を支援する。
ア)企業のIT化に関する制度の充実
a)会社公告の電子化(法務省)
 2003年中を目途として、株式会社が減資、合併、会社分割等のときに行う官報又は日刊新聞紙における公告に加え、電磁的方法による公告を行うことを可能とする内容の商法改正を行う。
b)電子署名及び認証業務に関する認定制度等の円滑な実施(総務省、法務省、経済産業省)
 2004年度まで、安全かつ信頼できる電子商取引基盤の整備及び健全な発展のために必要な電子署名・認証業務に関する最新の技術や動向についての調査研究を行うとともに、これらを利用する国民に対する普及啓発や情報提供を行う。
c)電子署名及び認証業務に関する国際的な連携の推進(総務省、法務省、経済産業省)
 2004年度まで、電子商取引の国際的な発展に資する環境整備のため、電子署名・認証業務の認定に関する国際的な相互承認等に向けた取り組みを推進する。
d)アジア域内で運用可能な公開鍵基盤(PKI) 20の整備(経済産業省)
 アジア地域の電子商取引市場の基盤整備等のため、アジア域内における公開鍵基盤(PKI)に必要な技術仕様、利用基準の明確化のための実証実験を2005年度まで8カ国において実施する。また、「アジアPKIフォーラム」と協力しつつ、アジア各国の法整備のあり方等について検討するアジア公開鍵基盤(PKI)整備事業を実施し、2005年度を目途に、アジア域内で運用可能な公開鍵基盤(PKI)の整備を行う。
e)事業活動におけるITの積極的な利用を阻害する制度の見直し(内閣官房及び関係府省)
 2003年度早期に、内閣官房は、関係府省の協力を得て、事業活動におけるITの積極的な利用を阻害する制度についての実態調査を行う。実態調査の結果を踏まえ、2003年度中に、関係府省は制度改正の要件やスケジュール等を明記したアクション・プランを作成し、内閣官房が取りまとめる。
f)民間保存文書の電子的保存の制度面・技術面の検討及び電子文書の長期保存の技術開発支援
 <前掲 U.7.行政サービス (2)4)>
イ)ITによる経営改革・業務改革の促進
a)業務・システムの最適化手法の開発(経済産業省)
 2004年度までに、業務・システムの最適化手法に関する産業界向けのガイドラインを策定する。さらに、2005年度までに、複数の業界において、上記ガイドラインに基づく情報システムの調達の普及を図る。
b)戦略的なIT利用のための投資促進(経済産業省及び関係府省)
 企業活動の抜本的な合理化や経営革新につながる戦略的IT投資に係るプロジェクトの活性化を図るため、戦略的IT投資に積極的な事業者の連携、研鑽及び情報の収集を支援する。2005年度までに先進事例となるようなプロジェクトがおおむね1万件創出されることを目標とし、このようなプロジェクトに係る投資を促進する。
c)商品トレーサビリティシステムの普及に向けた商品コードの標準化(経済産業省)
 電子タグを活用した商品のトレーサビリティシステムを普及させ、商品の追跡管理に関する多様なニーズに対応できるようにするため、関係省庁と連携を図りつつ、2004年度中に企業横断的、業種横断的な商品識別コードの標準化を行うとともに、既存の国内外の商品識別コードに関するデータベースを整備し、広く提供する。さらに、2005年度までには、商品識別コードを国際標準化する。
d)サプライチェーン 21全体最適化基盤整備事業(経済産業省)
 2005年度までに、製造・卸売・小売の各層の企業がインターネットを利用して、受発注、売上管理、物流管理、決済等のサプライチェーンの全体最適化を行うための共通プラットフォーム等の開発及び実証実験を実施する。
e)貿易金融EDI 22とアジア諸国の政府手続用システムとの連携(経済産業省)
 貿易関連手続の電子化・ワンストップ化を図るため、2003年度に、我が国で開発された貿易金融EDI(TEDI)とアジア諸国又は地域における輸出入申告、輸出入申請その他の対政府手続用システムとの連携を支援する。
f)輸出入及び国内物流EDI 23基盤の国際標準化(経済産業省、国土交通省)
 国内物流EDI標準(JTRN)を国際標準化するため、2003年度から、EDIメッセージのXMLの使用による標準化作業を進めている国際機関への積極的な提案と、国内物流EDI標準のXML化を並行して行う。また、2005年度までに、国際海上貨物輸送分野において、貿易相手国と連携しつつ、輸出入物流EDIの標準メッセージの開発を行うとともに、官公庁申請EDIとの接続を視野に入れた実証実験を行う。
ウ)商取引の電子化の加速的推進
a)電子商取引準則の普及及び見直し(経済産業省)
 2002年3月に公表した「電子商取引等に関する準則」について、2003年度以降も、その普及を図りつつ必要に応じて見直しを行う。
b)中小企業を対象としたIT共通基盤整備(経済産業省及び関係府省)
 2003年度中に、中小企業のおおむね半数程度がインターネットを活用した電子商取引等を実施できることを目標とし、人材育成や共通ソフトウェアの開発・普及等、中小企業の規模や業種・業態に応じたきめ細かな支援を着実かつ円滑に実施する。また、IT化が相対的に遅れている農林水産分野等のIT化のための施策についても充実を図る。
c)アジア地域におけるebXML 24の普及(経済産業省)
 アジア地域における事業者間電子商取引の基盤整備のために、XML言語を利用したEDIの国際標準化規格(ebXML)について、アジア地域内の普及促進を図る。そのために、2005年度までに、同規格について、アジア地域における技術的互換性の確保、取引ルールに関する合意及び普及促進のための環境整備などを図る。
(2)ITを活用した新たなビジネスの創造
 ITを活用した新たなビジネスを創造し、我が国の産業の国際的な競争力の向上を目指す。そのため、海外で高い競争力を誇る我が国のコンテンツが、ネットワーク上で大量流通するために必要な施策を実施する。また、この他にも、高い競争力を持つ様々な商品やサービスが事業化されることを目指し、新たなビジネスの創造を促進するための取り組みを積極的に講ずる。
ア)コンテンツ産業の国際競争力強化
 <前掲 U.5.知 (2)2)>
イ)ビジネス創造を促進する環境の整備
a)ITベンチャー企業等への資金助成(総務省)
 2003年度中に、情報通信技術関連のベンチャー企業や起業を目指す個人に対して、先進的・独創的な技術の研究開発費や事業化に必要な資金の一部の助成を行う。
b)中小ITベンチャー企業の事業化支援(経済産業省)
 2007年度までに、1億円以上の売上高を達成する企業を10社育成することを目標に、優れた技術を持つ中小ITベンチャー企業に対し、市場を見据えたソフトウェア製品の完成のための技術開発支援と、その事業化までの支援を行う。
c)ITビジネスモデル地区構想の推進(総務省)
 2005年度までに、ITビジネスの振興に積極的な地方公共団体を指定し、地域の情報通信基盤の整備、アプリケーション開発等の促進、IT技術者の育成等の支援措置を講ずることで、ITビジネスにとっての魅力的なビジネス環境を先行的に実現する。また、当該モデルを他地域へも展開させるため、推進計画の実施状況の分析と公表を行う。
d)オープンソースソフトウェア 25市場の拡大(経済産業省)
 オープンソースソフトウェアの開発・利用を促し、オープンソースソフトウェアに関係するビジネスを活性化させることで、ソフトウェア産業界全体の国際競争力の向上を図る。このため、2003年度中にオープンソースソフトウェアのライセンス契約の法的枠組みを明らかにするガイドラインを検討し、公表する。
e)次世代位置情報サービスの促進のための基盤整備(経済産業省)
 位置情報を活用した移動中の歩行者に対する情報提供、貨物の追跡等の様々なサービスの創造、普及を促進するため、2003年度中に、位置情報に係る各種の標準を調整する体制を整備するとともに、2005年度までに、各種位置情報サービスに横断的に活用できる位置情報共通基盤を構築するための実証実験を行う。
(3)安全・安心な電子商取引環境の整備
 電子商取引の促進に当たっては、個人情報保護対策の推進を図るとともに、取引に係る消費者トラブルの防止及び救済を図る措置を講ずるなど、消費者が安心して電子商取引を利用することができる環境を整備することが必要である。これには、民間団体等の自主的な対応が重要であるが、政府においても、消費者が自己責任のもとで、自らトラブルを回避できるように、情報提供や啓発活動を行う。
ア)個人情報
 <後掲 V.5.高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保(3)8)ア)>
イ)消費者保護対策の充実
a)電子商取引監視調査システムの運用(公正取引委員会)
 消費者向け電子商取引における不当表示の有効な規制を行うとともに、消費者取引の適正化を図り、消費者が安心して利用できる電子商取引の環境を整備するため、2003年度中に、電子商取引調査員を増員し、不当表示の常時監視体制を強化する。
b)特定商取引法の遵守状況の点検(経済産業省)
 2003年度中に、インターネット通販広告やいわゆる迷惑メール等について特定商取引法の遵守状況を点検し、違反事業者に対しては広告の改善を求める等所要の措置を講ずる。
c)少年が安心してインターネットを利用できる環境の整備(警察庁)
 <再掲 V.2.人材の育成並びに教育及び学習の振興 (3)3)イ)d)>
d)消費者被害に関する広報・啓発活動等(警察庁)
 2004年度までに、ネットワーク利用の悪質商法事犯に関する情報を全国警察で共有・利用するためのシステムの整備、電子商取引に関係した消費者被害に関する広報・啓発活動等、消費者保護対策に必要な体制の整備を行う。また、情報セキュリティアドバイザーを設置して相談業務を強化するとともに、ハイテク犯罪等に関する相談に迅速かつ的確に対応するためにネットワーク相談対応システムを構築する。
e)電気通信分野における消費者行政の充実(総務省)
 2003年度中に、総務省や関係機関に寄せられた苦情・相談を基に、主なトラブルとそれに対する対処方法についてホームページ、関係者による連絡会等を通じて情報提供を行う。
f)ADR 26に関する共通的な制度基盤の整備(司法制度改革推進本部及び関係府省)
 総合的なADRの制度基盤を整備する見地から、ADRの利用促進、裁判手続との連携強化のための基本的な枠組みを規定する法律案を提出することも含めて必要な方策を検討し、2003年度中に所要の措置を講ずる。
g)ADRに関する情報提供面・担い手の確保面での連携強化(司法制度改革推進本部及び関係府省)
 「ADRの拡充・活性化関係省庁等連絡会議」において取りまとめた「ADRの拡充・活性化のための関係機関等の連携強化に関するアクション・プラン」に盛り込まれた施策に引き続き取り組むとともに、ADR機関等の関係諸機関による連絡協議会の体制が早期に整備されるよう、2003年度中に必要な支援を行う。
4.行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進
<目標>
1)行政の情報化については、行政情報の電子的提供、申請・届出等手続の電子化、文書の電子化、ペーパーレス化及び情報ネットワークを通じた情報共有・活用に向けた業務改革を重点的に推進し、2003年度までに、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現する。また、2005年度末までに、総合的なワンストップサービスの仕組みや利用者視点に立った行政ポータルサイト等の整備を図り、利用者本位の行政サービスの提供を目指すとともに、業務分析の実施、業務プロセス等の抜本的な見直しを通じて、2005年度末までのできる限り早期に、各業務・システムの最適化に係る計画を策定し、予算効率の高い簡素な政府の実現を目指す。

2)公共分野においてITを活用することにより、サービスの多様化及び質の向上等を図り、広く国民がITの恩恵を享受できる社会を実現する。具体的には、高度道路交通システム(ITS)の普及と発展のため、2004年のITS世界会議や2005年の愛・地球博において世界最先端のITSを提示・実現する。また、2003年度までに、各防災機関や国民が防災情報を共有化できるシステムの整備を行う。
(1)現状と課題
1)  行政の情報化は、行政のあらゆる分野へのITの活用とこれに併せた既存の制度・慣行の見直しにより、国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資することを目的としているものである。
 これまで政府においては、e-Govの構築、申請・届出等手続のオンライン化に係るアクション・プランの策定、汎用受付等システムの整備、書面による手続に加えオンラインによる手続等も可能とする「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」等行政手続オンライン化関係3法の成立・施行(一部を除く。)等の基盤整備を図るとともに、個別分野においても、1)輸出入・港湾関連手続のシングルウィンドウ化の実現、2)公共事業、非公共事業における電子入札・開札の実施など行政の情報化全般の取り組みを推進してきた。
 しかしながら、これまでの取り組みは、各府省間の連携が必ずしも十分でなかったこともあり、国民等利用者からみて、利便性の面で改善の余地がある。また、行政事務のIT化は既存の業務及び制度を前提としたものにとどまるとともに、各府省に共通する業務や類似の業務についても、区々にシステムの整備が行われている状況にある。
 こうした問題を解決し、各府省が連携して行政の情報化を一層していくため、2002年9月に、IT戦略本部の下にCIO連絡会議を設置し、政府全体としての情報化推進体制を強化したところである。
 今後は、従来の各府省ごとの行政情報の提供、すべての手続のオンライン化という「量」の追求から、行政情報の入手やオンラインによる手続を、便利で分かりやすいものとするという「質」の向上への転換を図る必要がある。また、行政事務のIT化に当たっては、業務処理過程の重複等の徹底排除、各府省共通業務・類似業務における共通システムの利用や業務・システムの一元化・集中化、定型的業務等の外部委託の推進等業務・システムの最適化を戦略的、横断的に推進する必要がある。
 一方、地方公共団体においては、電子入札・開札の実施、電子会議室の設置、電磁的記録式投票の実施などいくつかの団体において先進的な取り組みが進められている。また、行政手続オンライン化関係3法が成立するなど、電子自治体を構築する上での必要な共通基盤も着実に整備されつつある。
 しかしながら、すべての国民が情報化の恩恵を享受するためには、一部の先進的自治体のみならず団体規模や能力等にかかわらずすべての地方公共団体においてITを活用した質の高い住民サービスの提供が図られるよう環境整備等を行う必要がある。また、業務の合理化、コスト削減の観点から、複数の地方公共団体によるシステムの共同整備、共同運営を促進する必要がある。
2)  行政の情報化と並んで、公共分野の情報化は広く密接に国民生活に関連しており、利便性の向上とともに、経済社会全体の情報化の起爆剤になることが期待されている。
 特に、インターネット等の活用により、公共サービスへの国民のアクセシビリティが向上するとともに、国民のニーズを的確に反映し、質の高い公共サービスが新たに提供されることが期待されている。
 このため、「e-Japan重点計画」において各分野の具体的目標及びその達成期限を定め、着実な進展が図られてきたところである。例えば、牛肉の履歴情報に係る法律を策定し、防災情報システム整備の基本方針を制定するなど、実績をあげている。
 国民全体がさらに豊かな生活を享受するためには、こうした国民と広く密接する公共分野において、情報通信技術を活用し、質の高いサービスの提供を行うべく、引き続き研究開発を推進するとともに、先進的な情報通信基盤やアプリケーションの積極的導入を図り、サービスの充実に努める必要がある。

<行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進に関する主要指標>
国の申請・届出等手続のオンライン化手続数590※16,048※3
国の行政機関のホームページ開設数1,310※11,468※4
地方公共団体のホームページ開設率83.5%※295.7%※5
「電子政府の総合窓口」トップページへのアクセス2,510,202※12,825,597※4
「電子政府の総合窓口」ホームページ検索3,483,855※14,139,670※4
「電子政府の総合窓口」法令データ検索2,863,142※16,482,752※4
※1 2002年3月   ※2 2001年4月   ※3 2003年6月   ※4 2003年3月  ※5 2002年4月 
(2)施策の意義
 行政の情報化については、国民や企業が行政組織等を意識せず、携帯端末、携帯電話の普及に対応した多様な手段による電子政府利用環境(マルチアクセス環境)の下、24時間365日ノンストップで必要な情報を容易に入手し、ワンストップで適切な行政サービスを受けることを可能とするものであり、国民や企業の利便性を飛躍的に向上させる。
 また、国の行政機関においては、行政の情報化により、行政機関内部における各種行政事務に係る手続及び業務プロセスについて、制度の見直し、ITの活用、民間の知見・能力の活用等を通じて、業務・システムの最適化を図ることが可能となり、予算効率の高い簡素な行政を実現する。

 医療、食料、文化、交通、防災等あらゆる公共サービスの分野での情報化の推進は、多様かつ質の高い公共サービスの提供を通じて、国民生活の全般的な質の向上が期待される。
 さらに多くの国民が、例えば家にいながらにして図書館や美術館の情報を活用できたり、移動する車の中で映像情報も含め種々な情報を入手できたりする等、様々な分野でITの便益を身近に体験することを通じ、我が国全体の情報化に向けて大きな波及効果が期待できる。特にこれらの公共分野は、広く国民に密接に関連する分野であることから、公共分野の情報化の進展は国民の情報活用能力を向上させ、情報格差を是正する効果も併せて有しているものと考えられる。
 なお、これらの実現を図るため、国、地方公共団体が密接な連携を図っていくとともに、国は地方公共団体の取り組みに対して必要な支援を行う。
(3)具体的施策
(1)行政の情報化
ア)電子政府の構築
 行政分野へのITの活用とこれに併せた業務や制度の見直しにより、国民の利便性の向上と行政運営の簡素化、効率化、信頼性及び透明性の向上を図るため、別添「電子政府構築計画」に基づく各種施策を着実に実施する。
イ)電子自治体構築に向けた支援
 すべての国民がITの恩恵を享受し、生活の利便の向上を実感できるようにするとともに、IT活用による行政運営の効率化を一層推進していくためには、国民に身近な行政サービスを提供している地方公共団体の電子自治体の構築に向けた取り組みが極めて重要な段階に至っている。
 このため、国は、こうした地方公共団体の取り組みが国における電子政府構築の取り組みと歩調を合わせて実施されるよう、各地方公共団体に共通する制度面、システム面の条件整備等に対する支援を引き続き着実に行っていく必要がある。
a)電子自治体構築に向けた共通基盤の整備
 電子自治体構築の前提として、各地方公共団体に共通するシステム基盤を早急に整備する必要があることから、公的個人認証サービスのシステム整備等をはじめとする共通基盤の構築に向け、次に掲げる地方公共団体の取り組みに対して支援する。
i)総合行政ネットワーク(LGWAN)の整備・活用(総務省及び全府省)
 すべての地方公共団体を相互に接続する総合行政ネットワーク(LGWAN)について、2003年度中に全市区町村との接続を図る。また、国・地方を通じて情報交換・情報共有が必要となる業務については可能な限りLGWANを活用することとし、行政の簡素化・合理化を推進する。
ii)組織認証基盤の整備(総務省)
 地方公共団体の組織認証基盤については、2003年度までに全市区町村までの整備を図る。
iii)住民基本台帳ネットワークシステムの推進(総務省)
 住民基本台帳ネットワークシステムについては、電子政府・電子自治体の基盤となるものであり、国民の一層の理解を得つつ、2003年度以降も引き続き安定的な運用を図るとともに、2003年8月開始の住民基本台帳カードの積極的な普及を図る。
iv)公的個人認証サービス制度の整備(総務省)
 「電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律」(平成14年法律第153号)に基づき、地方公共団体が構築・提供する公的個人認証サービス制度について、システム設計、全国運用実験、システム整備を進めるとともに、政省令や技術的基準の整備等を行い、2003年度中の運用開始を目指す。
b)行政手続のオンライン化
 電子政府・電子自治体の構築により、すべての国民が行政サービス分野での利便性の向上を実感できるよう、旅券の交付等住民に身近でニーズの高い手続をはじめとして地方公共団体が扱う行政手続について、申請届出から手数料等の納付に至るまでのオンライン化の速やかな実現に向けて、引き続き必要な支援を行う。
i)汎用受付システムの整備の促進(総務省及び関係府省)
 地方公共団体の汎用受付システムについては、既に策定された基本仕様(2002年3月、自治事務等オンライン化推進関係省庁連絡会議決定、2003年3月改定)を基に、2003年度中に、手続のシングルウィンドウ化等の住民の利便性の向上、決済基盤との連携等の検討を進め、順次その整備を促進する。
ii)オンライン化実施方策の提示(総務省及び関係府省)
 法令に基づき地方公共団体が取り扱う個別手続に関し、原則として2003年度中に、実証実験の成果や業務改革の視点も踏まえつつ、必要な様式や項目、業務手順の標準化・簡素化、添付書類の省略・簡素化等オンライン化を図るうえで必要な実施方策を提示する。
c)地方公共団体における業務改革の促進
 すべての地方公共団体において、ITを活用した業務改革の取り組みを通じて、既存の組織や業務の見直しを図り、行政運営の一層の簡素化・効率化を進めるための支援を行う。
i)「共同アウトソーシング」システム整備の促進(総務省)
 <前掲 U.7.行政サービス (2)3)エ)>
d)すべての地方公共団体でシステム構築に取り組めるようにするための環境整備
 団体規模や能力等にかかわらず、すべての地方公共団体においてITを活用した住民本位で質の高い行政サービスの提供が図られるよう、市町村合併の動向に配意し、都道府県・市区町村の意見や要望も十分踏まえたうえで、システム構築のための環境整備等の必要な支援を行う。
i)情報システムの共同整備・運営の促進(総務省)
 地方公共団体間のIT格差の解消を図る観点等から、2003年度以降も引き続き、ASP 27等を活用した「共同アウトソーシング」システムをもとに、複数の地方公共団体による情報システムの共同整備及び共同運営を促進する。
ii)主要手続のオンライン化進捗状況の調査等(総務省及び関係府省)
 2003年度以降も引き続き、主要な申請・届出等手続についてのオンライン化の進捗状況を調査・公表し、当該調査結果を踏まえた必要な支援を行う等、地方公共団体の取り組みを一層促進する。
iii)電子自治体推進にかかる広報、普及活動の実施(総務省)
 2003年度中に、電子自治体の構築に向けて、利用者である住民の理解を広く得る観点から、住民サービスの向上や行政運営の効率化等電子自治体が果たす役割について広報、普及活動を行う。
iv)都道府県・市区町村を対象とした高度情報セキュリティ研修等の実施(総務省)
 2003年度以降、都道府県・市区町村による主体的な情報化施策の一層の推進を図るため、都道府県・市区町村を対象とした研修・啓発等の支援を引き続き実施するとともに、信頼性の高い電子自治体実現の観点から、すべての都道府県・市区町村を対象とした高度情報セキュリティ研修を実施し、効率的な情報セキュリティ研修の体系を構築する。
v)地方公共団体による自主的な取り組みへの支援(総務省)
 2003年度以降も引き続き、地域の創意工夫を活かして、電子自治体の構築に向けて自主的な取り組みを行おうとする地方公共団体に対し、地方財政措置の実施や情報提供等の必要な支援を行う。
vi)地上デジタル放送の利活用に関する研究(総務省)
 地上デジタル放送の持つデータ放送や双方向機能を活かしたアクセシビリティの高い行政サービス提供システムの開発・実証を2004年度までに実施し、地方公共団体の情報提供サービス等への活用を促進する。
e)ITを活用した住民参画の促進
 住民が、自らの居住する地方公共団体が行う施策や地域づくりのあり方等について、行政ポータルサイト等により情報を容易に入手できるとともに、それらに対する意見や要望の表明を主体的にできるようにするなどITを活用した住民参画の促進に対して支援を行う。
i)住民の行政等への参画促進に対する支援(総務省)
 行政ポータルサイトでの地方公共団体の施策に関する意見の募集や電子会議室の設置等ITを活用した住民の行政等への参画を容易にする仕組みの構築等に対して必要な支援を、2003年度以降も引き続き実施する。
ii)地方選挙における電子投票の普及促進(総務省)
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙における電磁的記録式投票(電子投票)について、2003年度以降も、実施しようとする地方公共団体に対する支援を引き続き行うことにより、その一層の普及を図る。
(2)公共分野
ア)科学技術・学術研究分野の情報化
 世界最高レベルの研究環境を整備・維持し、研究水準の一層の向上を図るとともに、産学官の研究者への迅速かつ的確な情報提供を進めるため、科学技術・学術情報基盤の整備を推進する。
a)スーパーSINETの構築(文部科学省)
 先端的研究機関を最大10Gbpsの回線で接続するスーパーSINETを2003年度までに28機関において整備し、更に順次拡大する。
b)仮想研究環境ITBL(IT-Based Laboratory)の構築及び超高速コンピューター網の形成に資する基盤ソフトウェアの開発(文部科学省及び関係府省)
 研究開発のIT化を実現するため、2005年度までに国内すべての研究機関のスーパーコンピュータを大容量ネットワーク上で共用化が可能な環境を構築し、その普及を促進する。また、2007年度までに世界水準の超高速グリッド・コンピューティング 28環境を実現する基盤ソフトウェアを開発し、実証を行う。
c)研究開発に必要な各種データベースの整備・高度化(文部科学省)
 学術コンテンツポータルシステムにおいて、収集・提供するコンテンツを、2005年度までに大学、研究機関等が保有する情報、学術電子ジャーナルまで順次拡大する。また、解読されたゲノム情報(全遺伝情報)を高度利用する研究を促進するため、2005年度までにゲノム関連データベースの高度化・標準化を図る。
d)ITを活用した研究開発等の基盤技術の開発(文部科学省)
 2006年度までに、高機能ITを活用したスパコンネットワーク上での三次元高精度立体画像等によるバーチャルリアリティ技術や遠隔地実験技術等の開発を行う。また、2007年度までに各種細胞,生体機能の薬剤応答等を生命情報技術,先端イメージング技術によってシミュレーションするプログラム開発を目指す。更に、産業技術、科学技術の国際的競争力向上のため、2006年度までに世界最先端の水準の計算科学技術を産業界でも利用可能とする実証ソフトウェアを開発する。
イ)芸術・文化分野の情報化
 <前掲 U.5.知 (2)3)>
ウ)保健、医療、福祉分野の情報化
 医療分野の情報化を進め、サービスの質の向上、効率化を進めるとともに、ITを活用し、遠隔医療等新たなサービスニーズへの対応を進める。また、食品の信頼確保に係るサービスニーズに対応するため、消費者に対し食品の履歴情報をインターネット等を通じて提供するシステムを整備する。
a)医療分野のIT化の推進
 <前掲 U.1.医療>
b)食品トレーサビリティシステムの構築
 <前掲 U.2.食 (2)1)>
エ)高度道路交通システム(ITS)及び公共交通分野の情報化の推進
 最先端の情報通信技術等を活用し、人と道路と車両を一体のシステムとして構築し、渋滞、交通事故、環境悪化等道路交通問題の解決を図る高度道路交通システム(ITS)を推進するとともに、そのための基盤技術研究開発の促進を図る。また、公共交通分野の情報化を推進する。
a)道路交通情報提供の充実(警察庁、総務省、国土交通省)
 民間事業者による高付加価値の情報提供を促進するため、2004年度までにカーナビゲーションシステム等で必要となる交通規制情報のデータベース化を図る。また、光ビーコン 29を2005年度までに都市部の主要な一般道路等を概ねカバーできるよう整備するとともに、その機能高度化等を推進するため、2004年度までに所要の環境整備を行う。さらに、3メディア対応型VICS 30車載機の導入・普及拡大とあわせ、道路交通情報の提供の充実を図る。
b)走行支援システム及び安全運転支援システムの推進(警察庁、総務省、国土交通省)
 ドライバーへの情報提供、危険警告や操作支援を行う走行支援システムの技術について、研究開発を推進し、2003年を目途に実現を目指す。また、光ビーコンを活用した安全運転支援システムについて2005年度までに全国展開を目指す。
c)ノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)等の推進
i)ETCの推進(国土交通省)
 一般利用者に対するサービスを2003年度までに、基本的に全ての料金所に拡大するとともに、交通の安全と円滑について考慮した上でETC専用レーンの整備を図る。また、主に有料道路の多頻度利用者を対象にETC車載器のリース等を支援する制度を2003年度中に導入するなど、ETCの利用促進を図り、2007年度末までにETC利用率を有料道路利用者の半数程度まで引き上げ、料金所渋滞をおおむね解消することを目指す。
ii)DSRC応用サービスの普及促進(総務省、経済産業省、国土交通省)
 ETCの技術を応用した狭域通信(DSRC) 31システムの多目的利用の推進を図るため、2003年度までに地域ITS情報通信モデルシステムを確立し、これを基にDSRCシステムの利活用を推進する。また、2003年度中に官民連携の下、DSRC応用サービスの早期実現に向けた目標設定と実現プロセスの検討を行い、DSRC応用サービス普及のためのアクションプランを策定する。
d)高度交通管制システムの推進(警察庁)
 2005年度までに全国の主要都市において、MODERATO 32やリアルタイム信号制御モデルの導入、信号機の高度化や必要な体制整備等を図るとともに、2004年度までに環境データを信号制御に反映させるシステムを開発するなど、高度交通管制システムを推進する。
e)ITS技術の国際標準化の推進(警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省)
 本格的な発展が予想される今後3年間において、ITS関連産業の国際競争力強化の観点も踏まえつつ、車両の走行を支援するシステムや狭域通信(DSRC)システム等を国際標準化機構(ISO)及び国際電気通信連合(ITU)に提案する等により各種ITS技術の国際標準化を目指す。
f)ITSの普及方策の強化(警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省)
 ITSの普及と更なる発展を目指すため、官民の連携・協調の下、ITSの普及方策について継続的な検討を進めていくとともに、我が国で開催される2004年のITS世界会議や2005年の愛・地球博等において、官民を挙げた世界最先端のITSを提示・実現する。
g)公共交通分野における情報化の推進
i)バスのリアルタイム位置情報の提供及び公共車両優先システム等の導入(警察庁、国土交通省)
 公共交通の円滑化と利便性向上を図るため、2005年を目途にバスのリアルタイム位置情報の提供や、最適な経路選択・交通機関選択が可能となるシステムの全国主要都市への導入を目指す。また、2005年度までに公共車両優先システム(PTPS)や車両運行管理システム(MOCS)を全国主要都市に導入する。
ii)運輸多目的衛星を活用した次世代航空保安システムの整備(国土交通省)
 航空交通の増大や多様化に対応して、航空機の安全確保と航空交通容量の拡大を図るため、運輸多目的衛星活用した次世代航空保安システムの整備を2005年度までに行う。
iii)国際空港における各種手続きの電子化の推進(法務省、外務省、国土交通省及び関係府省)
 国際空港における各種手続等の電子化を推進し、航空旅客手続きの効率化を図るとともに、航空会社等との連携を図ることにより、多様で質の高い旅客サービスの提供を実現するための所要の検討を行い、2005年度を目途にシステムの整備に取り組む。
オ)環境分野の情報化
 地球環境問題に対応するため、環境情報を分かりやすく国民等に提供し、自主的な環境保全活動を促進するとともに、環境モニタリング技術の活用等を推進する。
a)環境情報総合データベースの構築(環境省)
 2003年度までに、国、地方公共団体、民間が保有する情報を収集し、温室効果ガスの排出量等を一元管理するシステムをはじめ、環境に関する総合的なデータベースを構築し、インターネット等を通じて、国民、企業等に対し、分かりやすく情報提供を行う。
b)人工衛星等を活用した環境モニタリングシステムの導入(環境省)
 環境汚染を未然に防止するため、人工衛星等を活用した環境モニタリング技術や不法投棄を発見するシステムの整備を2003年度までに行う。
c)世界最速コンピュータによる地球環境変動予測の実現(文部科学省)
 世界最速の計算処理速度を有し、温暖化進展や異常気象といった地球規模の環境変動の予測を可能とする地球シミュレータを活用し、2005年度までに精度の高い地球環境変動予測を実現する。
カ)地理情報システム(GIS)の推進
 官民連携のもと、国際ルールとの整合を図りつつ、GISを利用する基盤環境を整備するとともに、防災、まちづくり、交通、教育等の行政分野、民間業務の合理化・効率化、新しいビジネスモデルの創造、国民生活の高度化・多様化を図るため、「GISアクションプログラム2002-2005」(2002年2月地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議)に沿った所要の施策を着実に実施する。
 また、政府が保有する地理情報が、我が国の国土に関する様々な情報を客観的に把握することを可能にする資料的、文化的価値を有することに鑑み、原則として、2005年までにデジタル化・アーカイブ化し、誰もが容易に閲覧・入手し、活用できるようにする。
a)地理情報の電子化・提供の推進(国土交通省、経済産業省及び関係府省)
i)街区レベル位置参照情報の定期更新
 国民が最新の地理情報をインターネットで手軽に閲覧し活用できる環境を実現するため、既に定期更新を行っている数値地図25000、数値地図2500 33に加え、街区レベル位置参照情報についても2003年度から定期更新を行う。
ii)地理情報クリアリングハウス 34の拡充
 2003年度までに、政府が保有する地理情報について、原則として、地理情報クリアリングハウスに登録するとともに、検索機能向上のため、データ構造等の仕様をJIS化する。
iii)全国109水系における観測情報や環境情報のGIS化及び情報提供
 2005年度までに、全国109水系において観測情報や環境情報などのGIS化を図り、インターネット等による提供を行う。
b)地方公共団体や民間におけるGISの本格的な普及支援(総務省、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び関係府省)
i)統合型GISに関するマニュアルの作成
 2003年度までに、地方公共団体を対象とした統合型GISの導入・運用に関するマニュアルを作成し、関係府省との協力による普及活動を実施する。
ii)森林GISの整備
 2005年度までに、都道府県において森林に関する多様な情報を一元的に管理する森林GISを整備し、森林管理の効率化を図る。
iii)電子基準点データを常時収集、解析、配信するシステムの構築
 全国どこでも高精度な位置情報を得ることが可能となるよう、2004年度までに全ての電子基準点データを常時収集、解析、配信するシステムの構築を推進し、運用を開始する。
iv)gコンテンツ制作基盤の整備
 多種多様なデジタルコンテンツについて、G-XML規格に基づき、位置情報を付与すること等により、地理情報システム間でのGISコンテンツの相互紹介・流通を実現する仕組みを2003年度中に実証構築する。
c)技術的・制度的課題の解決(総務省、経済産業省、国土交通省及び関係府省)
i)地理情報標準のJIS化及びG-XML規格の国際標準制定
 国際規格が確定次第速やかに地理情報標準のJIS化を行うとともに、2005年度中のG-XML(GML)規格の国際標準制定を目指し、確定後、政府はこれらの標準を率先して使用するとともに、その普及を図る。
ii)ウェブマッピングシステム 35の開発及びモバイル3次元GISの実現
 2003年度までにウェブマッピングシステムの開発を行い、その普及を図る。また、2005年度までに、モバイル端末でも3次元GISの利用が可能な次世代GISの基盤技術の研究開発を行う。
キ)防災分野の情報化
 防災において情報の迅速な収集・伝達等を図り、国民が安心して暮らすことができる社会を実現するため、「防災情報システム整備の基本方針」(2003年3月18日、中央防災会議)に基づき、2005年度までに国・地方公共団体・住民を結びつける高度な情報通信システムを構築する。
a)共通プラットフォームの構築(内閣府及び関係府省)
 2005年度までに、防災機関が横断的に共有すべき防災情報の形式を標準化し、国、地方公共団体等の各機関や住民等の情報を共通のシステムに集約し、その情報にいずれからもアクセスできる「共通プラットフォーム」を構築する。
a)共通プラットフォームの構築(内閣府及び関係府省)
 2005年度までに、防災機関が横断的に共有すべき防災情報の形式を標準化し、国、地方公共団体等の各機関や住民等の情報を共通のシステムに集約し、その情報にいずれからもアクセスできる「共通プラットフォーム」を構築する。
b)総合防災情報システムの整備(内閣府及び関係府省)
 2003年度までに、各種の防災情報を標準化し、全国的データベース化を行うとともに、各防災機関や国民が防災情報を共有化できるシステムの整備を行う。そのため、広く国民が防災情報等に容易にアクセスし、その活用が図れるよう、情報提供窓口を集約するとともに、総合的な情報アクセスを可能とする防災情報ポータルサイト(インターネット上に整理された総合情報窓口)や防災情報提供センター等を設置する。
c)情報収集体制の高度化(内閣府及び関係府省)
 2003年度までに、人工衛星等を活用した被害状況等の把握システムを整備する。2005年度までに、人工衛星や航空機からの画像情報等の実情報と、被災の全体像等を即時に把握するコンピューター推計情報とを組み合わせ、被災全体像の早期把握の精度を向上する。その際、官民を問わず各機関が保有する施設管理情報や位置情報等を集約し、有機的に連携して被災の全体像等の早期把握に活用する。また、2005年度までに夜間、悪天候等の悪条件下における情報収集が可能となるように情報収集体制を確立するとともに、災害時に情報システム等が迅速・的確に機能し活用されるよう、防災情報システムを運用する人員体制の充実を図る。
d)信頼性の高い大容量データ通信体系等の整備(内閣府及び関係府省)
 2003年度までに、国、地方公共団体等の防災関係機関間で回線の大容量化・デジタル化や相互利用の体制を整備し、画像等の大容量通信を可能とする全国的な災害性の高い大容量通信ネットワークを実現する。
e)IP化に対応した防災関係データ通信回線の整備(内閣府及び関係府省)
 IPデータ通信にも対応できるよう、2005年度までに、国の機関や指定公共機関等のすべての防災関係機関にIP化に対応したデータ通信回線を整備する。
f)防災GISの整備(内閣府及び関係府省)
 2005年度までに、地理情報システム(GIS)上で防災情報を総合化する防災GISを整備し、被災や復旧の状況を正確・迅速に把握し、防災機関の共通情報として防災活動を支援するとともに、わかりやすい地図情報として社会に随時提供する仕組みを構築する。
g)的確で効果的な住民等への情報提供(内閣府及び関係府省)
 広く国民が防災情報等に容易にアクセスし、その活用が図れるよう、情報提供窓口を集約するとともに、総合的な情報アクセスを可能とする防災情報ポータルサイト(インターネット上に整理された総合情報窓口)や防災情報提供センター等を2003年度までに設置する。また、防災情報バリアフリー対策として、高齢者等の災害時要援護者や外国人などの情報弱者に対して、確実に緊急情報等が伝わるよう、情報提供における障害の解消(情報バリアフリー)に配慮した情報提供体制を確立するとともに、企業防災を支援する情報提供を、2005年度までに行う。
h)国、地方公共団体、住民間での防災情報の共有化(内閣府、総務省、国土交通省)
i)総合防災情報システムと災害情報ネットワーク 36の連携による情報の共有化
 2003年度までに、総合防災情報システムと災害情報ネットワークを連携し、情報の共有化を図る。
ii)気象に関する総合的な情報処理システムの高度化
 台風や集中豪雨時等における国及び地方公共団体等の適切な防災対応活動に資する、より正確・詳細かつ分かりやすい気象情報を提供するため、気象衛星や各種の気象観測データを迅速に収集し、稠密かつ精度の高い解析及び予測を行うとともに、これらの成果情報を円滑かつ迅速に配信するための総合的情報処理システムを2005年度までに整備する。
i)消防防災分野における情報化の推進(総務省及び関係府省)
i)消防防災関係情報システムの整備及びモデルシステムの開発
 2005年度までに、大規模災害時における災害応急活動等のための消防防災関係の情報システムが整備されるように、地方公共団体の取り組みを支援し、総合防災情報システムと連携しつつ、国・地方公共団体及び行政機関・住民間での防災情報の共有化を実現する。また、大規模災害等に際し、予警報、災害情報等を住民が有する様々な情報通信機器へ一斉に伝達するためのモデルシステムの開発を2003年度中に行う。
ii)消防防災情報通信ネットワークの高度化・高機能化
 災害時において情報の収集・伝達を確実にできるよう、2007年度を目途に地域衛星通信ネットワークの第二世代化(映像送受信設備等)、概ね2016年度を目途に消防救急無線のデジタル化を図るとともに、市町村防災行政無線(同報系)のデジタル化等を進めるなど、消防防災情報通信ネットワークの高度化・高機能化を推進する。
iii)携帯電話からの119番通報の技術的仕様の策定
 「携帯電話等を用いた119番通報のあり方に関する研究懇談会」を開催し、携帯電話からの119番通報を直接管轄の消防本部で受信する方式の技術的な仕様について2003年度を目途に策定するとともに、発信者の位置特定の方策、IP電話からの緊急通報への対応等についても検討を進めていく。
iv)ITを活用した消防防災活動の高度化及び災害応急システムの整備
 大深度地下の閉鎖された空間等の悪条件下における消防活動を支援するシステムの実用化や初動活動において迅速な災害応急対応等を支援するシステムの整備を2005年度までに行う。
j)火山防災システムの構築(内閣府、国土交通省、総務省)
 デジタル火山ハザードマップ 37の活用により、火山活動の状況に即応した危険区域の設定や避難経路の表示等ができる火山防災システムの整備を2003年度までに行う他、時間の経過とともに変化する火山活動の推移に応じて溶岩流等をリアルタイムにシミュレーションするシステムを2004年度までに開発する。
k)高度即時的地震情報伝達網の実用化(文部科学省及び関係府省)
 大地震を震源域近傍で速やかに捉え、重要施設等に大きな地震動が到達する前に、予想される地震動の強さ等の情報を自治体等の防災機関に伝達するナウキャスト地震情報の高度化として、自動的に防災措置を講じるシステムの実用化を今後5年間で目指す。
5.高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保
<目標>
 国民が高度情報通信ネットワーク社会の利便性を十分に享受できるようにするため、情報通信ネットワークや情報システムの安全性・信頼性と多様性の確保や適切な運用管理及び情報セキュリティ文化の定着を図るとともに、情報セキュリティに関わる人的基盤の充実と技術的基盤の形成を推進することにより、安心してインターネット等を利活用できる環境を構築する。
 特に、電子政府や電子自治体、重要インフラ等の公共的分野のサービスについては、国民の社会経済活動に大きな影響を及ぼすことのないよう、情報セキュリティ対策の一層の充実を図る。
 ・2005年までにDoS攻撃 38、コンピュータウイルス 39、不正アクセス 40等による被害を最小限にするための技術的なガイドラインの策定及び専門的な監査の実施等を行うための体制を確立する。
 ・2005年までの早期に、全国の地方公共団体において、情報セキュリティの責任者を明確化し、安全な電子自治体の運用のための責任体制の確立に向けた施策を推進する。
 また、個人の権利利益の保護を図るための仕組みを整備する。
(1)現状と課題
 近年、我が国においてはインターネットの普及が進み、一般利用者の裾野が急拡大するとともに、いわゆるブロードバンド型の常時接続回線の利用などその利用形態の面でも高度化が進展しつつある。また、エネルギー供給、交通、政府・行政サービス等の国民の社会経済活動に不可欠なサービス提供や公共の安全確保等において、情報システムがますます重要な役割を果たすようになってきているが、このことは同時に、これら社会基盤の多くが情報システムへの依存性を一層高めつつあることをも意味している。
 このような状況の中、コンピュータウイルスやサイバー攻撃等の情報セキュリティ関係事案の発生、各種システム内の不具合・事故などにより、電子政府や電子自治体、重要インフラ等の社会基盤を支える情報通信ネットワークや情報システムの一時的な機能不全などが引き起こされ、我が国社会に混乱を生じさせる危険性はますます強まっている。
 最近の情報セキュリティ関係事案は、ホームページの改ざんのような特定のコンピュータに対する単発的な攻撃にとどまらず、突如出現した新種のコンピュータウイルスが自己増殖を繰り返しながらインターネットを通じて極めて短時間かつ非常に広範囲に感染拡大し、インターネット社会全体に被害をもたらすものや、分散型のDoS攻撃のようにインターネット上の第3者のコンピュータを攻撃ルートとして多数悪用するものなど、その形態が大規模化・巧妙化し、その影響も広範囲に及ぶ傾向が顕著となっている。また今後は、高い技術的能力を有する集団が多様な手段を用いて、組織的な犯罪、テロ等を行う恐れも否定できない。
 我が国における情報セキュリティは、昨年の重点計画の策定以来、様々な取り組みの推進により着実に向上しつつあるとは考えられるが、情報セキュリティ対策は、その特質上、継続的かつ着実に繰り返し実施していくことが重要であり、今後も電子政府や電子自治体、重要インフラ等の公共的分野における体制整備や情報システムの評価・検証と改善、運用管理の適切な実施、広く一般への普及啓発、研究開発や人材育成の推進のほか、情報セキュリティ関係事案に対処するための国際的な協力関係の構築などを引き続き図っていくことが重要である。
 2001年2002年
地方公共団体における責任者の設置率(注1)
 都道府県
 市 町 村
 
10.6%
4.7%
 
27.7%
9.1%
情報セキュリティ関連資格取得者数(注2)2,405人2,942人
注1: 地方公共団体においてCIO(情報統括責任者)が任命されている割合(各年4月1日現在)
注2: 情報セキュリティアドミニストレータ試験 41合格者数及びネットワーク情報セキュリティマネージャ 42資格取得者数の合計数
(2)施策の意義
 我が国社会にインターネット等が広く浸透するとともにその利用形態の高度化が進み、また重要インフラ等の社会基盤の多くが情報システムへの依存性を一層高めつつある状況は、情報セキュリティ関係事案の発生等が国民の社会経済活動に深刻な影響を及ぼし得る恐れを強めている。
 このことから、高度情報通信ネットワーク社会の着実な形成を図り、国民がその利便性を十分に享受するためには、所要の情報セキュリティ対策を積極的に図っていくことでこのような社会全体の「脆弱性」を極力排除し、誰もが安心してインターネット等を利活用できる環境整備を進めることが重要である。
(3)具体的施策
(1)政府の情報セキュリティ確保
 各府省における情報セキュリティ対策の水準を一層向上させるために、政府の情報セキュリティ確保のための体制整備をより一層推進する。具体的には、情報セキュリティ水準の高い製品等の利用、重要システムのバックアップ、擬似アタックを含めた情報セキュリティ評価の実施等、国民に信頼される電子政府及び電子自治体の構築を推進する。
ア)電子政府の情報セキュリティ確保のための体制整備の推進
i)電子政府の情報セキュリティ確保のための体制整備の推進(内閣官房及び関係府省)
 2004年度までに、各府省における情報セキュリティに関する責任体制の一層の明確化と機能強化を図るとともに、電子政府の安全性・信頼性をさらに向上させるための具体的なガイドラインの策定や専門的な監査の実施及び情報セキュリティ基準等の整備に関する体制のあり方について検討する。
ii)諸外国の情報セキュリティに関する施策と体制の調査(内閣官房)
 2003年度中に、諸外国における情報セキュリティに関する施策と体制の現状について調査を行う。
iii)政府の緊急対応支援チーム(NIRT)の体制の強化(内閣官房)
 2003年度中に、訓練の実施等による政府の緊急対応支援チーム(NIRT)の緊急時対応能力の向上、平時における情報収集・分析能力の強化、海外関係機関との連携の推進等体制の強化を行う。
イ)防衛庁における緊急対処体制の整備(防衛庁)
i)防衛庁における緊急対処体制の整備
 2003年度中に、防衛庁の保有する情報システムについて、情報セキュリティを確保するための運用要領の策定等を行うほか、2003年度においても情報システムに関する組織(部隊)の常時監視、緊急事態対処等の各種機能を強化する。
ii)防衛庁が発注する情報システムの情報セキュリティ確保
 2003年度から、防衛庁が発注する情報システムについて、受注企業における情報セキュリティを確保するため、契約上、当該企業に防衛庁の策定する情報セキュリティ基準等に基づく保全対策を求め、その実施状況等の監査等を行う。
ウ)地方公共団体の情報セキュリティ確保(総務省)
 2003年度中に全ての地方公共団体に対し、情報セキュリティの責任体制の明確化を要請するとともに、引き続き、情報セキュリティポリシー 43の策定、緊急対応体制の整備への支援や地方財政措置の実施等を行い、安全な電子自治体の運用のための施策を推進する。
(2)重要インフラのサイバーテロ対策
 産業界との連携により重要インフラ等における情報システムについて、情報セキュリティ対策を促進するとともに、政府の緊急対処能力の向上を図る。
ア)重要インフラ防護に関する調査・検討(内閣官房及び関係府省)
 2003年度中に、諸外国における重要インフラ防護の推進状況など最新の動向について調査を行うとともに、重要インフラに対するサイバーテロ等各種攻撃の影響とそれらに有効な対策等の検討を引き続き行う。
イ)産業界との連携
i)産業界との連携の強化(警察庁)
 2004年度までに、重要インフラ事業者等との連携を強化し、連絡体制の確立を図るなど、互いに緊密な情報交換を行うほか、情報システムのセキュリティに関する自主的な取り組みや脆弱性試験への協力、事案発生時における被害の拡大・波及の防止のための助言・指導を行う。
ii)緊急時連絡・連携体制の強化(総務省)
 2003年度中に、Telecom-ISAC Japanと、政府及び他の関係機関との連携及び連絡体制の強化をするなど、緊急時の適切な対応を図る。
iii)産業界との連携の強化(経済産業省)
 2004年度までに、情報通信関連事業者、情報セキュリティ専門事業者、情報セキュリティ関連団体、コンピュータに関する有識者等と連携して、情報セキュリティに関する情報を収集・分析するための枠組みを構築する。
ウ)警察におけるサイバーテロ対策の充実・強化(警察庁)
i)サイバーテロ関連情報の収集及び分析能力の強化
 2004年度までに、高度化するサイバー攻撃手法に対応するため、装備資機材の高度化、外国治安機関等との連携強化、国内外のサイバーテロに関する情報収集体制の強化、情報のデータベース化、サイバーテロの物理的・電子的攻撃手法の収集・分析能力の強化、要員の技術向上のための教育訓練等を行い、警察における緊急対処体制の強化を図る。
ii)サイバーテロ対策を推進する体制の充実強化
 2004年度までに、警察庁、管区警察局及び都道府県警察において、サイバーテロ対策を推進する体制を確立し、事案発生時における緊急対処体制及び捜査活動のための体制の充実・強化を図る。
(3)民間部門における情報セキュリティ対策及び普及啓発
 広く情報セキュリティ文化が定着し、適切な情報セキュリティ対策が実施されるよう、啓発や注意喚起等を行う。また、不正アクセス、違法・有害な情報の流通その他の不正行為に対処するための対策を推進する。
ア)情報セキュリティに関する普及啓発
i)広報啓発活動による情報セキュリティ意識の向上(警察庁)
 2004年度までに、セキュリティポータルサイト及び情報セキュリティコミュニティセンター(都道府県警察)の有効活用等を通じ、行政機関、消費者団体、学校教育関係者等と連携して、情報セキュリティ意識の向上につながる広報啓発活動を推進する。
ii)産業界と連携した広報啓発活動の推進(警察庁)
 2005年度までに、不正アクセス対策の実態の把握に努め、ハイテク犯罪 44発生時の対応及び未然防止策についての産業界等との意見交換を実施するとともに、産業界等と連携した広報啓発活動を推進する。
iii)情報セキュリティに関する周知・啓発活動の推進(総務省)
 2004年度までに、無線LANをはじめとする情報通信ネットワークのセキュリティに関する利用動向、技術動向等についての検討をもとに、「国民のための情報セキュリティサイト」の充実等を通じて、国民一般に向けた情報セキュリティに関する周知・啓発活動を一層推進する。
iv)不正アクセス対策・ウイルス対策等に関する普及啓発活動の推進(経済産業省)
 2004年度までに、情報処理振興事業協会(IPA)やコンピュータ緊急対応センター(JPCERT)等の機能拡充を図り、不正アクセス、コンピュータウイルス、脆弱性対策等について、効率的な情報収集、情報分析及び情報提供を実施するなど、情報セキュリティ意識の向上につながる普及啓発活動を推進する。
v)情報セキュリティに係る制度の普及促進(経済産業省)
 2004年度までに、情報セキュリティ評価・認証制度、情報セキュリティマネジメント及び情報セキュリティ監査に関する普及促進を行い、これらに関するガイドライン、基準等のメンテナンスを実施する。
vi)電子署名及び認証業務に関する認定制度等の円滑な実施(総務省、法務省、経済産業省)
 <前掲 V.3.電子商取引等の促進 (3)1)ア)b)>
イ)信頼性向上施設等の導入支援(総務省)
i)電気通信基盤充実臨時措置法による税制優遇措置等の支援
 2003年度においても、電気通信基盤充実臨時措置法により、「信頼性向上施設」の導入を行う民間事業者に対する税制優遇措置等の支援を行う。
ii)「ファイアウォール装置」を購入した場合の税制優遇措置
 2003年度まで、法人又は個人事業者が「ファイアウォール装置」を購入した場合、税制支援措置を実施する。
ウ)情報通信ネットワークにおける情報セキュリティ評価手法の確立(総務省)
 2004年度までに、情報通信ネットワークに関して事業者の規模にあったセキュリティ評価項目等について検討を行い、ITUに対し国際標準提案を行うとともに、国内の事業者における情報セキュリティ対策のレベルを的確に判断するための評価手法を確立する。
エ)電気通信事業における情報セキュリティ対策の認定(総務省)
 2003年度においても、インターネット接続サービス安全・安心マーク制度の周知・普及活動を行い、プロバイダの情報セキュリティ対策の向上及び利用者によるプロバイダの選択に資する。
オ)安全性・信頼性の高い製品の提供促進(経済産業省)
 2005年度までに、情報セキュリティ評価・認証制度の円滑な運用、普及啓発、新たな評価・認証技術の開発等を通じて、情報セキュリティの確保に配慮した多様な製品の提供を促進する。
カ)ソフトウェアの欠陥に対する対処の促進(経済産業省)
 2005年度までにソフトウェアの脆弱性を低減させるプログラミング技術の開発等を実施するとともに、ソフトウェアの欠陥に対する修正手段の速やかな提供がなされるような環境を整備することを目的として脆弱性に関する法令等の調査等を実施する。
キ)インターネット上の違法・有害情報対策
i)インターネット上の違法・有害情報対策(総務省)
 2005年度までに、モバイルフィルタリング機能の実現に向けた検討や、利用者が安全なコンテンツを容易に選択できるようにするための「コンテンツ安心マーク」(仮称)の策定に関する検討を行う。
ii)少年が安心してインターネットを利用できる環境の整備(警察庁)
 <前掲 V.2. 人材の育成並びに教育及び学習の振興 (3)3)イ)d)>
iii)インターネット上の違法・有害情報に対するフィルタリング等の対策(経済産業省)
 <前掲 V.2. 人材の育成並びに教育及び学習の振興 (3)3)イ)d)>
(4)情報セキュリティに係る制度・基盤の整備
 刑事基本法制等、情報セキュリティ対策における制度・基盤の整備を推進する。
ア)刑事基本法制等の整備(警察庁、総務省、法務省、外務省及び経済産業省)
 2005年度までのできるだけ早い時期に各種のハイテク犯罪に対する罰則、情報通信ネットワークに関する捜査手続について、サイバー犯罪条約の早期締結を視野に入れ適切な処罰を確保するため必要な法整備を引き続き行う。
イ)暗号技術評価の推進(総務省及び経済産業省)
 電子政府推奨暗号の監視、電子政府推奨暗号の安全性及び信頼性確保のための調査・検討、暗号モジュール評価基準の作成等を行う。
ウ)情報セキュリティ評価・認証事業の国際相互承認(経済産業省)
 2003年度中に我が国の情報機器等の情報セキュリティ関連国際規格(ISO/IEC15408)に基づいた認証結果に関する国際相互承認の枠組みへの参加を目指す。
エ)電子署名及び認証業務に関する国際的な連携の推進(総務省、法務省、経済産業省)
 <前掲 V.3.電子商取引等の促進 (3)1)ア)c)>
(5)情報セキュリティに係る研究開発
 情報システムの脆弱性の低減、コンピュータウイルス対策等の情報セキュリティに関する技術について、民間による技術開発に加え、国においても、先導的基盤的研究開発を推進する。
ア)国防・治安に係る情報セキュリティ技術の研究開発の推進
i)捜査手続のための電磁的記録の解析技術に関する調査検討等(警察庁)
 2004 年度までに、捜査手続のための電磁的記録の解析技術に関する系統的な調査研究等を行い、「コンピュータ法科学」分野の確立を目指す。
ii)サイバー攻撃に対する対処手法の実証的研究(防衛庁)
 2004年度までに、サイバー攻撃に対する対処手法の実証的研究等を行う。その後、その成果を防衛庁が保有するネットワークの情報セキュリティを強化に反映する。
イ)情報セキュリティに関する基盤技術の研究開発の推進
i)各種情報システムの防御、ログ保全等に係る技術に関する研究開発(警察庁)
 2004年度までに、不正アクセス手法やコンピュータウイルスに関する情報収集、解析を始め、各種情報システムの防御、ログ保全等に係る技術に関する研究開発を行う。
ii)情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保に向けた総合的な研究開発(総務省)
 2006年度までに、インターネット等におけるネットワークセキュリティの飛躍的向上を図るため、サイバーテロ等の予防・検知等に関する技術、未知のサイバー攻撃を短期間に分析するための技術、認証技術、暗号技術、危機管理及び非常時通信機構、量子情報通信技術、タイムスタンプ・プラットフォーム技術等、情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保に必要となる総合的な研究開発を実施する。
iii)情報セキュリティに関する基盤技術の研究開発(経済産業省)
 2004年度までに、情報の自由な流通を確保するため、暗号技術、電子署名等の認証技術、セキュリティ評価・認証技術、ウイルス等情報セキュリティに係る情報の収集、分析及び提供に関する技術、リスク分析手法等情報セキュリティの確保に必要な技術開発等を行う。
ウ)オープンソースソフトウェアの評価・検討(内閣官房、総務省及び経済産業省)
 2003年度中に、情報セキュリティの観点からオープンソースソフトウェアの評価・検討を行う。
(6)情報セキュリティに係る人材育成
 教育研究機関及び研修事業の拡充、資格制度の有効活用等を通じ、高水準の情報セキュリティ技術を有する人材を十分に確保するための多面的な育成を行う。
ア)政府における情報セキュリティ人材育成
i)政府職員の教育訓練等の拡充(内閣官房及び総務省)
 2003年度中に、政府における情報セキュリティ対策の能力向上を図るため、政府職員の教育訓練等の拡充を行う。
ii)ハイテク犯罪対策に係る人的基盤の整備(警察庁)
 2004年度までに、ハイテク犯罪捜査官の配置、ハイテク犯罪捜査に従事する全国の警察職員に対する部内外の研修の実施等、ハイテク犯罪の高度化に対応し得る体制の整備を行う。
iii)防衛庁における情報セキュリティ等に係る人材教育(防衛庁)
 2003年度においても、防衛庁職員を米国等へ派遣をし、緊急事態に対処するための等の高度な情報セキュリティ技術等を習得した中核的な技術専門要員を確保する。
iv)都道府県・市区町村を対象とした高度情報セキュリティ研修等の実施(総務省)
 <前掲 V.4.行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進(3)1)イ)d)C)>
イ)ITセキュリティ技能標準の策定・普及等
i)情報セキュリティ人材の育成・活用(経済産業省)
 2005年度までに、情報セキュリティ人材に必要とされる技能に関する標準の利用を促進することによって、情報セキュリティ人材の育成・活用を推進する。
ii)情報セキュリティ人材育成のための研修の支援(総務省)
 2005年度までに、情報通信ネットワーク・システムに対する攻撃や不正侵入などに対する対処法を習得するための研修を推進する。
ウ)情報セキュリティマネジメントの専門家の育成
i)情報セキュリティに関する専門家の育成(総務省)
 2003年度においても、ネットワーク情報セキュリティマネージャー(NISM)資格認定講習の周知・普及を行い情報セキュリティマネジメントの専門家の育成を図る。
ii)情報セキュリティマネジメント専門家等の育成(経済産業省)
 2004年度までに、情報セキュリティマネジメントに関する規格(JIS-X-5080等)に基づき、業種に応じた評価実施ガイドラインを策定し、情報セキュリティマネジメント構築等について助言を行うことのできる専門家を育成するための研修事業等に対する助成を行う。
エ)情報セキュリティ評価技術者の育成(経済産業省)
 2004年度まで、セキュリティ水準の高い製品・システムを導入するための情報セキュリティ評価基準(ISO/IEC15408(JIS-X-5070))に基づく評価等を行う情報セキュリティ評価技術者及び情報セキュリティ設計技術者等を育成する。
オ)大学・大学院における情報セキュリティ人材の育成(文部科学省)
 2003年度においても、大学、大学院等に設置された新興分野の人材養成ユニットにおいて、情報セキュリティ分野の研究者・技術者を養成する。
(7)情報セキュリティに係る国際連携
 情報セキュリティに関する国際的な取り組みの推進に加え、開発途上地域への支援等の積極的な国際的貢献を行う。
ア)ハイテク犯罪対策に係る国際連携強化(警察庁、総務省、外務省、法務省及び経済産業省)
 2003年度中に、G8の枠組みにおいて国家間の緊急連絡網の実効性向上等に取り組むことにより、ハイテク犯罪に関する迅速かつ効果的な国際連携の強化を図る。
イ)海外情報セキュリティ関係機関との連携強化(内閣官房)
 2003年度中に、緊急対応支援チーム(NIRT)の情報収集・分析能力を強化するため、情報セキュリティに関する国際組織であるFIRSTへの加盟等、海外の情報セキュリティ関係機関との連携強化を行う。
ウ)各国警察機関との連携強化(警察庁)
 2003 年度中に、アジア各国のハイテク犯罪への技術対応担当者を対象とする国際会議の開催、コンピュータ・ネットワークを活用した情報の共有・交換を引き続き実施するとともに、アジア以外の国からも担当者を国際会議へ招聘するなど、海外警察機関との連携の拡大・強化を行う。
エ)米国国防総省等との連携強化(防衛庁)
 2003年度においても、防衛庁としての情報保証に資するために、米国国防総省との間における政策協議や情報交換(ITフォーラム等)を行う。これらのノウハウ・技術等については、国防上支障の無い限り関係行政機関に提供する。
オ)情報セキュリティに関するグローバル情報交換ネットワークの構築
i)Telecom-ISAC Japanと諸外国関係機関との連携推進(総務省)
 2003年度中に、通信サービスの適切な提供を妨げる、もしくは他の重要なインフラに対する情報セキュリティ上の影響が予想されるセキュリティ侵害事案に関する対処・予防措置について、Telecom-ISAC Japanと米国・韓国等諸外国の関係機関との連携に向けて調整を行う。
ii)JPCERT/CCと関係諸機関との連携強化等(経済産業省)
 2003年度中に、不正アクセス・ウイルス等の発生状況等情報セキュリティに関する情報の集積や分析を行っているCERT/CC等諸外国の官民関係機関との情報交換のため、JPCERT/CC等と関係諸機関との連携強化、民間各層におけるネットワーク構築の支援等を行い、情報セキュリティに関する迅速かつ正確な情報提供、対応及び施策への反映ができるよう一層の環境整備を実施する。
(8)個人情報の保護
 高度情報通信ネットワーク社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ、官民を通じた個人情報の適正な取扱いを確保することにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する。
ア)個人情報の保護に係る制度基盤の整備(内閣府及び全府省)
 個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする「個人情報の保護に関する法律」が制定され、公布されたところである(2003年5月30日)。公布の日から2年以内の全面施行に向けて、関係施策の総合的かつ一体的な推進を図るため政府が基本方針を作成するなどの施策を推進する。
 また、公布の日から2年以内に、個別分野での個人情報の適正な取扱いが担保されるよう法制上の措置その他必要な措置を講じる。
イ)行政機関及び独立行政法人等の保有する個人情報の適切な取扱いに関する法制の整備(総務省及び全府省)
 「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」及び「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」その他関連法律の公布の日から2年以内の施行に向けて、個人情報ファイル簿をインターネットで公表する仕組みを整備するなど、適切に施行準備を行う。



1 アクセス(網):通信事業者の基幹回線ネットワークとユーザを結ぶ回線網。

2FTTH:fiber to the homeの略。電話局等の加入者収容局から各加入者宅までの回線を光ファイバケーブルにし、超高速のデジタルデータ伝送を可能とする方式。

3CATVインターネット:ケーブルテレビ網を用いたインターネットサービス。

4第4世代移動通信システム:IMT-2000(第3世代携帯電話)の次の世代の移動通信システム。100Mbps程度の超高速伝送をどこでも使える無線システムとして期待されている。

5電子タグ:ICチップを内蔵したタグ。この中に個別の識別情報等を格納しておくことで、電波を利用し、接触することなく近接した距離において格納されたデータを読み書きすることが可能となる。

6FWA:Fixed Wireless Accessの略。固定無線アクセスシステムのこと。送受信機を1対1で結ぶP-P(Point to Point)方式及び、1つの送受信機と複数の送受信機を1対多で結ぶP-MP(Point to Multiple Point)方式がある。

7Mbps:Mega bits per secondの略。bpsはデータ通信における情報の通信速度の単位であり、1秒間に通信することのできるビット(bit)数を表す。Mbpsは10の6乗のbps。

8UWB:Ultra-Widebandの略。パルス状の電波を発射するなど数GHz幅以上の非常に広い周波数帯域にわたって電力を放射するシステム。10m程度の近距離で100Mbps規模の高速通信を可能とするほか、高精度な測位等を可能とするものとして期待されている。

9Ku帯航空移動衛星業務:12/14GHz帯の周波数を使用して、人工衛星を介して航空機に開設した無線局と地上に開設した無線局又は航空機に開設した無線局相互間で通信を行う業務。

10準天頂衛星:高度36,000kmの円軌道を、赤道から約45度傾けた軌道に置く衛星通信システム。高仰角であるため、建物等による遮へいが少なく、高品質な移動体データ通信・放送・測位が可能となる。

11専門高校:農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報などに関する学科が置かれ、それぞれの分野の職業に関する専門的な教育を行う高等学校のこと。

12ソフトウェアエンジニアリング:高品質・高信頼のソフトウェアを効率よく生産するための学問、及び技術体系

13アジアITスキル標準化イニシアティブ:アジア各国のIT技術者のレベルアップや国境を越えた雇用機会の拡大のため、アジア各国のIT技術者に関するスキル標準について各国制度間で共有化する構想。2000年10月、ASEAN+日・中・韓経済大臣会合(AEM+3)において承認された。

14NPO:Nonprofit Organization の略。行政、企業とは別に社会的活動をする非営利の民間組織。

15総合的な学習の時間:小・中学校では2002年から、高等学校では2003年の入学者から実施される新しい学習指導要領において新設される教育課程の一つ。「総合的な学習の時間」の中では、各学校が創意工夫を活かした特色ある教育活動を展開し、国際理解、情報、環境、福祉・健康など横断的・総合的な課題についての学習が実施される。

16ユネスコ:国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)のこと。諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じた国際平和と人類の福祉の促進を目的とする国連の専門機関。

17ポータルサイト:「ポータルサイト(portal)」は入口、玄関の意。転じて、インターネットに接続した際に最初にアクセスするウェブページのこと。分野別に情報を整理しリンク先を表示。

18eマーケットプレイス:複数の売り手(販売側)と買い手(調達側)で、財・サービスの交換を行うインターネット上での取引の場(インターネット取引所ともいわれている。)。調達側のコストの削減と販売側の機会増加という双方のメリットが享受出来るため、企業間電子商取引の中で特に重視されている。

19ネットオークション市場:オークションの場をインターネット上で実現したもの。ホームページ上で紹介された商品に希望購入価格を書き込んで入札し、締切期限までに一番高い金額をつけた人が落札する仕組みを使って行う電子商取引市場のこと。

20公開鍵基盤(PKI):Public Key Infrastructure。公開鍵暗号技術と電子署名を使って、インターネットで安全な通信ができるようにするための技術基盤。認証局を設けて電子署名による電子証明書とともに公開鍵を発行、管理し、通信相手の正当性を証明する仕組みを提供。

21サプライチェーン:供給者から消費者までを結ぶ、開発・調達・製造・物流・販売までの一連の流れのこと。

22貿易金融EDI:荷主、運輸、金融機関その他の企業間の貿易関連手続き(貨物の権利の移転に伴う手続き、運送契約、保険契約等)の用に供する文書(船荷証券、インボイス等)の情報を電子化し、インターネットにより伝送するためのシステム。

23物流EDI:運送関係・倉庫関係のメッセージの標準化等により、出荷・輸送・荷受等の情報を電子的にやりとりするための仕組み。

24eb XML:Electronic Business XML(eXtensible Markup Language)の略。XML(ウェブページを記述する際などに用いる言語)の企業間電子商取引向けの標準仕様で、アメリカの業界団体OASIS(構造化情報標準化振興機構)、国連内の部局UN/CEFACTが標準化を推進。受発注や見積もり等のビジネス上のデータ交換の手順や表現形式に関して規定。

25オープンソースソフトウェア: プログラムのソースコードが公開されているソフトウェアのこと。

26ADR:Alternative Dispute Resolution(裁判外の紛争解決手段)の略。

27ASP:Application Service Providerの略。各種ソフトウェアを通信ネットワークを使って貸し出すシステム等の総称。

28グリッド・コンピューティング:分散設置された多数のコンピュータや記憶装置等をネットワークに統合的に接続して、あたかも1つのコンピュータのように連携させ、超高速演算処理を可能とするコンピュータシステム。

29光ビーコン:交通情報提供・収集等を行う新交通管理システム(UTMS)用の赤外線双方向通信装置。

30VICS:道路交通情報通信システムの略。渋滞や交通規制等の道路交通情報を、車に搭載されたカーナビゲーションシステム等を通じて、画面により表示できる。

31狭域通信(DSRC)システム:限定された場所で用いる無線通信システム。

32MODERATO:モデラート。交通流の変動にきめ細かに対応した信号制御等を可能とする高度な交通管制システム。

33数値地図25000、数値地図2500:国土地理院が整備している1/25000、1/2500の精度のデジタル地図データ。

34地理情報クリアリングハウス:地理情報の所在場所データベースと検索機能を有するシステム。

35ウェブマッピングシステム:インターネット上でGISの機能が扱えるシステム。

36災害情報ネットワーク:監視装置、情報提供装置、情報ネットワーク等の整備を進め、国土保全施設等の遠隔制御等や情報の共有、提供を行うことによって、災害の発生の防止、被害の抑制、安全の確保等を図るシステム。

37デジタル火山ハザードマップ:火砕流・溶岩流の流下シミュレーションや過去の噴火災害の実績等の防災情報を電子化したもの。

38DoS攻撃:コンピュータやネットワークに不正に負荷をかけたり、セキュリティホールを悪用して業務を妨害すること。DoSは、Denial of Serviceの略。

39コンピュータウイルス:インターネット等を介してコンピュータに入り込み、意図的に悪影響を及ぼすように作られたプログラム。悪質なものは、プログラム、データ等のファイルの破壊などをひきおこす。

40不正アクセス:コンピュータへの正規のアクセス権を持たない者が、不正にコンピュータを利用できる状態にすること。

41情報セキュリティアドミニストレータ試験:(財)日本情報処理開発協会が実施している情報処理技術者試験の試験区分の一つ。

42ネットワーク情報セキュリティマネージャ:ネットワーク情報セキュリティマネージャ推進協議会(略称はNISM推進協議会:(社)電気通信事業者協会など7団体において設立)が実施している資格認定講習。

43情報セキュリティポリシー:どのような情報資産をどのような脅威からどのようにして守るのかについての基本的な考え方並びに情報セキュリティを確保するための体制、組織及び運用を含めた規定。

44ハイテク犯罪:コンピュータ技術及び電気通信技術を悪用した犯罪で、電子計算機使用詐欺、ネットワークを利用したわいせつ物頒布、不正アクセス禁止法違反等が挙げられる。