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首相官邸 カテゴリー:IT戦略本部
 トップ会議等一覧IT戦略本部e-Japan重点計画-2004 印刷用(PDF形式)


U.2005年の目標達成への施策の重点化・体制整備と2006年以降に向けての布石


〔1〕2005年の目標達成への施策の重点化
〔1−1〕加速化の5分野
 「加速化5分野」は、2004年2月に取りまとめた「e-Japan戦略U加速化パッケージ」において政府が重点的に取り組むべき分野として位置づけられたものである。
 評価専門調査会の中間報告書の提言を踏まえ、この加速化5分野のほか、先導的7分野及びインフラの各分野について、成果目標(アウトカム目標)を設定した。成果目標とは、社会的に実現したい状態についての達成目標であって、利用者の視点に立って記述されるものである。この成果目標によって、「e-Japan戦略U」に描かれている達成したい目標すなわち「実現したいこと」と「個別の施策」とを明確に対応付けることとする。
  1. アジア等IT分野の国際戦略 (A:Asia)

    (1) 基本的考え方

     世界的規模でインターネットの普及、社会の情報化が急速に進んでいる中で、現実の国際的情報流通は未だ欧米偏重である。この背景には、通信インフラ、技術、人材等の面における先行的取り組みによる蓄積の結果として総合的な情報創造力・発信力を欧米、特に米国が高水準に有しているからだと見ることが出来る。これに対してアジア地域は、大規模、集中的なIT投資が行われなかったこと等を背景に全体としてIT社会形成に立ち遅れが目立ち、かつ地域内におけるデジタル・ディバイドも看過できない状況にある。ただその一方で、中国やインド等巨大な潜在市場を抱え、またモバイルインターネットやDSL等分野によっては既に世界最先端の地位を占める国もあるなど、潜在的な発展性にはきわめて大きいものがある。

     この現状を踏まえ、我が国を含めたアジア諸国が豊かなIT社会の恩恵を享受し、新たな発展軸を構築してゆくためには、我が国がリーダーシップを発揮し、アジアにおけるブロードバンドの普及と利活用の推進を図るとともに、アジア諸国と二国間、または多国間における重層的な協力関係を構築していくことを通じて、各種システムの整合性、相互接続性及び相互運用性を確保し、相互利益を増大させる。これらによって、世界の情報流通の不均衡を改善し、アジア全体として世界の情報拠点(ハブ)を目指すことが重要である。これを実現する具体的目標として2008年までにアジアの10カ国以上と情報通信分野における協調関係の構築を推進すること、アジア地域と北米、欧州の情報流通量が共に欧米間の情報流通量と同程度になることを目指す。
     我が国がアジア全体の均衡あるIT社会の発展に寄与することにより、アジアが世界のハブになるためには、我が国自身が情報創造拠点としての求心力を持つことが必要である。これらは、国内の各種施策を引き続き強力に推進するとともに、国際的な取り組みを体系的に強化することにより始めて達成可能なものであり、こうした取り組みにより、真の意味で世界最先端のIT国家となることができるのである。

    (2) 具体的施策

    1) アジア諸国と我が国とのIT分野における協力の推進
    成果目標:アジア諸国と我が国とのIT分野における協力関係の枠組みについて、2005年度までに6カ国以上と協力関係を構築する。また、協力プログラム等の推進により、アジア内の情報流通量を増大させる。

    ア)国際政策の基本的な考え方の策定(内閣官房及び関係府省)
      アジアを中心としたITに関する国際政策を総合的かつ整合的に推進するため、IT戦略本部のもとで2004年夏頃までに国際政策に係る基本的な考え方を策定するとともに、国際政策を統一的にフォローアップする。

    イ)アジア各国への2国間・多国間協力の推進
      アジア各国がIT化を進める中で、各種システムの整合性、相互接続性及び相互運用性を確保し、相互利益を増大させることが重要であるため、2004年夏頃までに策定する国際政策に係る基本的な考え方を踏まえつつ、「アジアITイニシアティブ」の一層の具体化を図るとともに、「アジア・ブロードバンド計画」等のさらなる推進を図る。この際、アジア各国と、既存のプログラムの実施状況等をフォローしつつ、2国間プログラムを推進するとともに、多国間の協力プログラムを積極的に推進する。

    a)アジアITイニシアティブの推進(内閣官房及び関係府省)
     アジア諸国と我が国との間でIT分野における総合的・包括的な協力関係を二国間もしくは多国間の枠組みを用いて構築する。2008年までに協力関係の枠組みについて、インドネシア・フィリピン・ベトナムに続き、10カ国以上と合意形成を行う。
    b)アジア・ブロードバンド計画の着実な推進(総務省及び関係府省)
     2010年までにアジアにおけるブロードバンド環境を整備するため、アジア・ブロードバンド計画(2003年3月28日に制定)に基づき、ブロードバンドに係るネットワーク・インフラの整備のための施策、ブロードバンド普及のための関連施策のそれぞれを、2005年度までに重点的に講じていく。

    ウ)アジア地域でのICパスポートの導入支援(内閣官房、外務省、法務省及び関係府省)
      アジア地域全域でのセキュリティ強化の観点から、各国の要望に応じて、アジア地域でのICパスポートの導入支援について検討する。

    エ)アジア地域における海賊版被害の撲滅(文部科学省、経済産業省、外務省)
      2004年度も引き続き、「コンテンツ海外流通促進機構」の具体的運営を支援し、アジア地域での海賊版の取締り強化の要請のための官民合同ミッションの派遣を行う。
    また、海賊版対策の抜本的強化のため、JETRO、コンテンツ海外流通促進機構の連携を進めることにより、北京、上海に海賊版対策専門家を派遣し、海賊版等に係る情報収集、情報発信、企業相談や海賊版に対する企業、消費者等の意識改革を促進するため、セミナー、広報事業等を実施する。

    オ)電子署名及び認証業務に関する国際的な連携の推進(総務省、法務省、経済産業省)
      2004年度まで、電子商取引の国際的な発展に資する環境整備のため、電子署名・認証業務の認定に関する国際的な相互承認等に向けた取り組みを推進する。

  2. セキュリティ(安全・安心)政策の強化(B:Block and Back-up:Security)

    (1) 基本的考え方

     近年、我が国においてはインターネットの普及が進み、一般利用者の裾野が急拡大するとともに、いわゆるブロードバンド型の常時接続回線の利用などその利用形態の面でも高度化が進展しつつある。また、エネルギー供給、交通、政府・行政サービス等の国民の社会経済活動に不可欠なサービス提供や公共の安全確保等において、情報システムがますます重要な役割を果たすようになってきているが、このことは同時に、これら社会基盤の多くが情報システムへの依存性を一層高めつつあることをも意味している。
     このような状況の中、コンピュータウイルス 1やサイバー攻撃等の情報セキュリティ関係事案の発生、各種システム内の不具合・事故などにより、電子政府や電子自治体、重要インフラ等の社会基盤を支える情報通信ネットワークや情報システムの一時的な機能不全などが引き起こされ、我が国社会に混乱を生じさせる危険性はますます強まっている。
     最近の情報セキュリティ関係事案は、ホームページの改ざんのような特定のコンピュータに対する単発的な攻撃にとどまらず、昨年のBlasterワームの例にも見られるように、突如出現した新種のコンピュータウイルスが自己増殖を繰り返しながらインターネットを通じて極めて短時間かつ非常に広範囲に感染拡大し、インターネット社会全体に被害をもたらすものや、分散型のDoS攻撃 2のようにインターネット上の第三のコンピュータを攻撃ルートとして多数悪用するものなど、その形態が大規模化・巧妙化し、その影響も広範囲に及ぶ傾向が顕著となっている。また今後は、高い技術的能力を有する集団が多様な手段を用いて、組織的な犯罪、テロ等を行う恐れも否定できない。
     一方、最近は、このような外部のネットワークからの攻撃等の事案だけではなく、内部職員や外部委託先の悪意又は過失による個人情報をはじめとした重要情報の漏えい事件なども多数発生している。
     我が国における情報セキュリティは、様々な取り組みの推進により着実に向上しつつあるとは考えられるが、情報セキュリティ対策は、その特質上、継続的かつ着実に繰り返し実施していくことが重要であり、今後も電子政府や電子自治体、重要インフラ等の公共的分野における体制整備や情報システムの評価・検証と改善、運用管理の適切な実施、広く一般への普及啓発、研究開発や人材育成の推進のほか、情報セキュリティ関係事案に対処するための国際的な協力関係の構築など「IT社会を守る」政策を引き続き図っていくことが重要である。
     また、2003年の侵入盗は333,233件、火災による損害は約1,113億円(概数)に達し、建物火災24,224件(概数)の30%は建物内の機器(こんろ、ストーブ、電気機器など)が原因である。「ITで守る」政策により、国民生活、社会・経済活動の安全・安心を確保することが必要である。


    (2) 具体的施策

    1)安心してインターネット等を利活用できる環境の構築 
    成果目標:国民が高度情報通信ネットワーク社会の利便性を十分に享受できるようにするため、情報通信ネットワークや情報システムの安全性・信頼性と多様性の確保や適切な運用管理及び情報セキュリティ文化の定着を図るとともに、情報セキュリティに関わる人的基盤の充実と技術的基盤の形成を推進することにより、安心してインターネット等を利活用できる環境を構築する。
     特に電子政府や電子自治体、重要インフラ等の公共的分野のサービスについては、国民の社会経済活動に大きな影響を及ぼすことのないよう、情報セキュリティ対策の一層の充実を図る。
     上記目標を達成するため、2005年までに、各府省庁の情報システムに対する攻撃や不正な侵入による被害を最小限にするための安全基準を策定し、専門的な監査の実施等を行うための体制を確立する。

    ア)各府省庁の情報セキュリティ確保(内閣官房及び関係府省庁)
      各府省庁の情報セキュリティ水準を客観的に把握し、政府全体で統一のとれた安全対策を推進するため、内閣官房の人員増強を図るなど政府の情報セキュリティ体制を段階的かつ速やかに強化しつつ、2004年6月中に攻撃の予兆や被害に関する情報収集・分析体制の充実、各府省庁の情報システムとその運用に関する安全基準の策定及び情報セキュリティ対策の評価を実施するための基本方針及び具体策について検討する。

    イ)地方公共団体の情報セキュリティ確保(総務省)
      2004年度中に、電子自治体の安全性・信頼性をさらに向上させるための具体的なガイドラインの策定や専門的な監査の実施及び地方公共団体における情報セキュリティ対策に関する支援体制のあり方について検討する。

    ウ)重要インフラの情報セキュリティ確保(内閣官房及び関係府省)
      2004年度中に、災害及び攻撃から重要インフラを防御するため、その情報システムが最低限満たすべき技術的水準及び運用基準について官民で協力しつつ検討する。

    エ)民間の情報セキュリティ強化(総務省及び経済産業省)
      民間の情報セキュリティ関係団体等の機能強化にも資するような施策の推進を図る。

    オ)情報セキュリティに係る人材育成と普及啓発
      情報セキュリティに関する専門的知識・技術を持った人材を育成するとともに、情報セキュリティ意識を広く定着させるため、以下の施策を実施する。
    @)2004年度中に、政府機関職員の能力向上のための実務的な研修等を実施する。(内閣官房)
    A)2004年から、各省庁と連携した国民向けの啓発・広報活動等を行う。(内閣官房及び関係省庁)

    2)安心して暮らすことができる社会の実現 
    成果目標::ITを活用して国民が安心して暮らすことができる社会を実現するため、2005年度までに、出入国管理等におけるセキュリティの向上を図るとともに、防災において情報の迅速な収集・伝達等を図り、国・地方公共団体・住民を結びつける高度な情報通信システムを構築する。


    ア)パスポートのIC化の推進 (内閣官房、外務省、法務省及び関係府省)
      ITの活用による空港、港湾等におけるテロ対策や治安対策の一環として、国際標準に準拠したパスポートのIC化とそれを活用した出入国管理の強化を行うこととし、2004年度に実証実験を実施し、2005年度中の導入を目指す。

    イ)国家公務員身分証明書のICカード化 (内閣官房及び全府省)
      セキュリティの一層の強化の観点から、国家公務員身分証明書のICカード化に向け、共通仕様書の策定やシステムの共通利用等の措置について2004年中に結論を得て、順次導入を進める。

    ウ)防災情報共有システムの整備と国民への提供拡大(内閣府及び関係省庁)
      災害時における被災状況の即時把握、各種防災情報の伝達など、国・地方公共団体間、住民等との間の効率的な情報共有を可能とする方策について検討し、本格的なIT活用型の防災体制を構築して、国民の安全・安心を確保する。そのために2005年度までに、防災情報の横断的な共有を図る防災情報共有プラットフォーム等、防災情報を集約し共有するシステムの実用化を図る。

    エ) 携帯電話やIP電話等の様々な情報通信手段による緊急通報への対応(総務省、警察庁、国土交通省)
     ・今後普及が予想されるIP電話等の様々な情報通信手段に対応し、かつ災害弱者にも配慮した緊急通報システムの実現を図るため、2004年度中に携帯電話からの緊急通報者の位置情報通知に係る技術的条件等の実現方策を取りまとめるとともに、IP電話からの緊急通報への対応を検討する。また、2005年度までに110番通報システムを不正アクセス等から守るために必要な調査研究を行う。

     ・2005年度までに、携帯電話からの電子メールによる119番通報を実現するシステムの詳細な技術仕様を策定する。

  3. コンテンツ政策の推進(C:Contents)

    (1) 基本的考え方

     日本のゲーム、アニメ、漫画等は海外でも高い競争力を誇っている。この他に、我が国には伝統文化や地域文化等の優れた文化が存在している。しかしながら、権利処理作業の負担、不正コピーの危険性等の要因から、こうしたコンテンツの海外へのオンライン配信のみならず、国内でのオンラインコンテンツ市場についても十分には発展していない状況にある。我が国のコンテンツ産業の競争力の向上を図るためには、これらの課題を解決するとともに、我が国の知的財産を利用したコンテンツの創造を活性化させる必要がある。さらに、海外における日本文化の理解向上を図るために、様々な分野の情報をデジタルアーカイブ化し、海外に発信する必要がある。
     コンテンツ産業の国際競争力の向上を図るためには、コンテンツを創造し、それが円滑に流通し、利用者によって購入され、そして、その資金を元に新たなコンテンツを創造するという力強いサイクルを確立する必要がある。このため、コンテンツ制作力の強化、デジタルコンテンツの流通環境の整備、デジタルコンテンツ市場の拡大の3つの視点から、総合的な施策を推進する。
     また、日本文化への理解向上を図るため、様々な情報のデジタル化・アーカイブ化及び国内外への発信を推進し、このために必要な技術開発を推進する。

    (2)具体的施策

    1)コンテンツ産業の国際競争力強化(1)
    成果目標::2005年度までに、世界的に評価される魅力的なコンテンツが数多く制作され、デジタルコンテンツ市場において流通されるようにするとともに、2005年度までに、ネットワーク上のデジタルコンテンツ市場規模を1兆円程度に拡大することを目指す。

    ア)人材の育成

    a)コンテンツプロデューサの育成(経済産業省)
     コンテンツプロデューサを育成するため、2004年度中に、各教育機関の参考となるよう知的財産管理・海外取引実務などを内容とする教育プログラムを補充・強化する。併せて、教育プログラムの実証実験への参加機関の拡大を図り、2005年度までに、複数の高等教育機関等において、コンテンツプロデューサ人材育成に関する教育が自立的に実施される基盤を確立する。
    b)コンテンツクリエイタの育成(経済産業省)
     2003年度に策定した体系的な教育カリキュラム及びスキルマップに基づくコンテンツクリエイタ育成のためのモデル事業を実施し、2005年度までにクリエイタ人材育成に関する教育が自立的に実施される基盤を確立する。

    イ)コンテンツ制作の活性化

    a)日本版バイドール制度の拡充(内閣官房、経済産業省及び関係府省)
     日本版バイドール制度(国等の委託による研究開発の成果である知的財産権を受託者に帰属させることができる制度)の拡充により、国、地方公共団体などの資金により製作されるコンテンツ等の著作権を製作者に帰属させることができるよう、2004年度中に必要な措置を講じる。
    b)新たな資金調達事例の創出・普及促進(経済産業省、総務省、文部科学省)
     コンテンツ事業に関して、資金調達手法の多様化を可能とする環境整備が整いつつある。こうした状況を踏まえ、2004年度 中に、完成保証会社、信託事業会社等新たなスキームの有効性の実証・検証や、スキームの普及促進を行う。
    c)改正下請代金支払遅延等防止法の周知及び円滑な運用(公正取引委員会、経済産業省)
     2004年度以降、関係団体等を通じて作成者、権利者、流通事業者等に対して改正下請代金支払遅延等防止法の周知徹底を図るとともに、同法に基づき書面調査を実施し、違反行為が認められた場合には迅速かつ厳正に対処する。
    d)コンテンツ取引全般に関する契約見本の策定・周知(総務省、経済産業省)
     2006年度までに、親事業者と下請事業者間の発注書見本、契約ガイドライン等の策定によるアニメ製作事業における公正なコンテンツ取引環境を確立するとともに、映画コンテンツに係る著作権の帰属について、これまでの判例や学説を整理しつつ、実態に即した「発意と責任」の考え方を提示し、さらに、放送番組については、2004年度以降、2003年度に策定された「放送番組の制作委託に係る契約見本」の有効活用促進によって制作委託契約におけるより一層の公正性・透明性の向上を図り、今後の映像コンテンツの流通拡大の促進を図る。

    2)コンテンツ産業の国際競争力強化(2)
    成果目標::2005年度までに、知的財産の権利が正しく保護されたデジタルコンテンツを公正かつ容易に利用できるようにするとともに、コンテンツの海外展開規模については、2005年度までに5,000億円程度に拡大することを目指す。

    ア)既存コンテンツ資産のブロードバンド上での再利用の促進(内閣官房)
      ブロードバンド上におけるコンテンツ流通を促進するため、著作権法上の裁定制度の利用促進など既存コンテンツの再利用の促進、ブロードバンドサービスを利用した放送の著作権法上の位置付け等について、「知的財産推進計画2004」に基づき検討する。

    イ)コンテンツの流通手段としてのインターネットの位置付け検討(内閣官房)
      現在の著作権制度では放送とインターネット配信の位置付けが異なっているが、これについて、コンテンツ利用におけるインターネットの重要性の増大に応じた見直しについて、「知的財産推進計画2004」に基づき検討する。

    3)多様なコンテンツ資産の有効活用
    成果目標:2005年度までに多種多様なデジタルコンテンツ資産を統合的かつ簡便に利用できるようにする。

    ア)政府コンテンツのデジタルアーカイブ構築と一般利用の拡大(内閣官房及び全府省)
      国立国会図書館における政府刊行物アーカイブ(文書や記録を電子的に集積し保管する書庫)構築及び同図書館のウェブページ・アーカイブを活用した政府各機関ホームページの長期的保存により、国等の有するコンテンツの利用機会の拡大と保存を図るため、同図書館も参加した連絡会議を設置し、アーカイブの構築や公開に関するルールの明確化など、同図書館への協力体制を2004年度中に確立する。また、同連絡会議の場において、国立国会図書館で検討しているアーカイブの統合ポータルサイトとの連携のあり方についても検討する。

  4. IT規制改革の推進(D:Deregulation)

    (1) 基本的考え方

     IT規制改革の推進に関する取り組みについては、これまでに商取引における書面交付の電子化を可能としたIT書面一括法や会社関係書類の電子化を可能とした商法改正法の施行等によって着実に進展してきたが、民間におけるIT利用を阻害する規制が未だいくつかの領域で残されている。
     IT戦略本部は、IT利用を促進し、2005年に世界最先端のIT国家となるとの目標を達成するため、以下の規制改革を進めるとともに、今後も、規制改革・民間開放推進会議及び同本部と緊密に連携しつつ、IT規制改革を強力に推進していく。

    (2)具体的施策

    1) e-文書イニシアティブの実現等
    成果目標:法令により保存が義務付けられている文書・帳票のうち、電子的な保存が認められていないものについて、文書・帳票の内容、性格に応じた真実性・可視性等を確保しつつ、原則として民間企業等が電子保存できるようになるように、法案を早期に国会に提出し、民間企業等における文書保存コストの削減を図る。また、その他IT化が遅れている分野や現実世界の制度と整合等を図る必要がある分野においても、早期に規制改革を進めていく。

    ア)e-文書イニシアティブの実現

    a)e-文書イニシアティブの実現(内閣官房及び関係府省)
     民間における文書・帳票の電子的な保存を、文書・帳票の内容、性格に応じた真実性・可視性等を確保しつつ、原則として容認する統一的な法律(通称「e-文書法」)の立案方針等を策定し、2004年度早期に法案を国会に提出するなど、e-Japan戦略U加速化パッケージのe-文書イニシアティブの早期実現を図る。
    b)電子文書の長期保存のための基礎技術の研究開発(経済産業省、総務省)
     2005年度までに、暗号技術、電子署名等の技術、タイムスタンプ・プラットフォーム技術、デジタル・アナログ・ハイブリット保存技術等、電子文書の長期保存に必要となる基礎技術の研究開発を行う。

    イ)これまでの制度のIT化と比べ、IT化が遅れている分野の早期規制改革

    a)総会議決権行使の電子化(内閣府及び法務省)
     民法・中間法人及びNPO法人の総会の議決権行使などを他の民間企業と同様に電子的に行えるよう検討し、2005年度末までに法制上の措置を講じる。

    ウ)現実世界の制度とサイバースペース上での制度で整合等を図る必要のある規制改革

    a)電子的手段による資格保有等証明の推進 (内閣官房、総務省、法務省、経済産業省及び関係府省)
     重要情報のオンライン転送にあたり、医師、弁護士等の本人性、資格保有等の証明を電子的にできるようにするため、既存認証制度に対する属性情報追加等のニーズ等も踏まえ、制度の在り方について検討し、2004年中に結論を得る。
    b)タイムスタンプに対する一層の信頼性の付与及び利用促進(総務省及び経済産業省)
     民間事業者が提供するタイムスタンプに、より一層の信頼性を付与するとともにその利用が促進されるよう、2004年度中に必要な方策について検討し、結論を得る。

  5. 電子政府・電子自治体の推進(F:Friendly e-government and e-local government)

    (1) 基本的考え方

     行政の情報化は、行政分野へのITの活用により、国民の利便性の向上と行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上を図ることを目的とするものである。
     国民の利便性の向上という面については、これまで政府において、行政手続オンライン化関係3法の施行をはじめとした基盤の整備を進めた結果、国税の申告・納税手続など国の扱うほとんどの手続においてインターネットによる申請が可能となるとともに、電子入札・開札が導入されるなど一定の成果を上げてきたところである。しかしながら、国民等利用者の視点に立てば、分りやすさ、使いやすさの点でまだまだ改善の余地があり、今後は、ワンストップサービスの整備等の取り組みをさらに進めていく必要がある。
     また、行政運営の簡素化、効率化という面については、行政事務のIT化が既存の業務や制度を前提としたものにとどまるとともに、各府省に共通する業務について区々にシステムの整備が行われているなど、これまでの取り組みは十分とはいえない状況にある。このため、業務や制度の見直し、システムの共通化・一元化等により業務・システムの最適化を着実に推進していく必要がある。
     一方、国民等に身近な行政サービスを提供する地方公共団体においては、総合行政ネットワーク(LGWAN)の全団体接続、公的個人認証サービスの開始など、電子自治体を構築する上で必要な共通基盤が着実に整備されてきたところである。今後これら基盤を活用し、すべての地方公共団体においてITを利用した質の高い行政サービスを提供していくためには、重複投資を回避するための業務・システムの標準化・共同化や、IT化を支える人材の育成等に係る地方公共団体の取り組みに対し支援を行っていく必要がある。

    (2)具体的施策

    1)ワンストップサービスの整備
    成果目標:e-Govと各府省のシステムとの連携等により複数手続を一括してオンライン申請できるワンストップサービスを2005年度までに整備するなどにより、オンライン申請における国民の利便性の向上を図る。

    ア)輸出入・港湾手続のワンストップ化(内閣官房、財務省、法務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、外務省)
      輸出入・港湾手続について、既存システムの相互接続にとどまらず、手続の簡素化、国際標準への準拠などその徹底した見直しをもとに、より信頼度が高くかつ運用コストの低廉な新たなシステムを構築するため、業務・システムに係る最適化計画を2005年度末までのできる限り早期に策定する。
     また、手続の簡素化、国際標準への準拠の一環として、外航船舶の入出港に関する手続や必要書類の簡素化を図ることを内容とする「国際海運の簡易化に関する条約(仮称)(FAL条約)」の締結を行うための措置を2004年度中に講ずる。その際、FAL条約で求められる締約国の順守すべき規準については、現在、我が国が採用できないとされる標準規定の項目が諸外国と比較し多数存在するが、これらの項目数を先進国並みにまで引き下げるよう、関係省庁は連携して、着実な対応を図る。

    イ)自動車保有関係手続 3のワンストップ化(国土交通省及び関係府省)
      自動車保有関係手続について、2005年中に手続の電子化によるワンストップサービス・システムの稼動開始を目指す。このため、2004年度には、2003年度に開発したシステムの改良を行うとともに、対象地域等を拡大して実用化に係る試験運用を行う。

    ウ)電子政府の総合窓口(e-Gov)を活用した手続のワンストップ化(総務省及び全府省)
      「行政ポータルサイトの整備方針」(2004年3月31日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)を踏まえ、e-Govに各府省の電子申請システムをできる限り統合するとともに、電子申請の受付等に係る各府省共通の機能を整備することにより、e-Govを活用して申請手続の案内情報の入手から複数申請の一括提出までを行えるワンストップサービスの仕組みを2005年度末までに整備する。

    エ)対面による意見聴取等の電子化  (全府省)
      行政と国民との間で対面で実施されている聴聞等の手続について、原則としてテレビ会議を活用して遠隔で行えるようにするため、各府省において、テレビ会議システムが活用可能な対面手続の洗い出し、当該システムの多面的活用を前提にシステム導入の費用対効果等について本年7月末までに検討を行い、その結果を踏まえ順次システム整備等を進める。

    2)業務・システムの最適化
    成果目標:各府省に共通する業務・システムや個別府省の業務・システムについて、業務や制度の見直し、システムの共通化・一元化、業務の外部委託などを内容とする最適化計画を2005年度末までのできる限り早期に策定し、簡素で効率的な行政を実現する。

    ア)業務・システムの最適化(全府省)

    「人事・給与等業務・システム最適化計画」(2004年2月27日 各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)に基づき、人事院、総務省及び財務省は2004年度末までに人事・給与関係業務情報システムの主要な部分を整備するとともに、各府省は2004年6月末を目途に本システムの導入計画を策定し、2007年度末までに順次更新する。また、国家公務員の給与の全額振込化について、職員の協力を得つつ推進し、2005年度末までに、山間・僻地等全額振込化が困難な地域を除き、各府省において原則として100%の実施を目指すとともに、各府省別の実施状況を定期的にフォローアップする。
    共済、物品調達、物品管理、旅費等官房基幹業務の業務・システムについては2004年7月までに、災害管理、統計調査、研究開発管理等の業務・システムについては2005年度末までのできる限り早期に、それぞれ最適化計画を策定する。
    旧式(レガシー)システム等個別府省の業務・システムについて、2005年度末までのできる限り早期に最適化計画を策定する。
    上記最適化計画の中で、業務処理時間や経費の削減効果(試算)を数値で明示する。また、最適化計画の策定に際しては、各府省情報化統括責任者(CIO)補佐官等連絡会議の助言を受けるとともに、国民、企業に密接に関連するものについてはパブリックコメントを実施する

    3)ベンチャー企業からの政府調達の拡大
    成果目標:IT分野の技術力の高いベンチャー企業からの政府調達を拡大し、その育成を図る。

    ア)ベンチャー企業からの政府調達の拡大(内閣官房、総務省、経済産業省及び全府省)
      IT分野の技術力の高いベンチャー企業の育成を図るため、「ベンチャー企業からのIT関連政府調達の拡大方策について」(2004年3月、IT関係省庁連絡会議申合せ)に基づき取り組みを進めるとともに、取組状況や調達実績のフォローアップを実施し、その結果について評価を行う。

    4国家公務員のテレワークに関する制度等の環境整備
    成果目標:生産性の向上、通勤負担の軽減、仕事と生活の調和等に向けた就業環境の整備を前提とした上で、就業者全体に占めるテレワーク 4人口比率を現在(2002年)の6.1%から2005年で10%になることを目指すとともに、現在未導入である国家公務員(中央官庁)におけるテレワークについても、2005年に導入開始することを目指す。

    ア)国家公務員のテレワークに関する制度等の環境整備(内閣官房、人事院、総務省及び全府省)
      公務員のテレワークについては、「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」等現行法制の下での導入は可能であり、公務能率の向上に有効である場合もある。このため、人事院及び総務省により作成されたテレワーク導入に関する指針等を参考に、各府省は勤務状況等に応じ、2004年度よりテレワークの試験的な勤務の実施等を行うとともに、2004年度中にテレワーク勤務率の目標設定を行う。
     また、人事院、総務省は、引き続き公務員の裁量労働制その他テレワークに資する制度環境の整備の検討を行い、2005年夏に結論を得る。
     なお、必要に応じて関係省庁連絡会議の活用を検討する。

    5)電子自治体構築のための業務・システムの標準化・共同化及び人材育成
    成果目標:地方公共団体の業務・システムに係る標準化・共同化により自治体ごとのシステム開発に伴う重複投資の回避や円滑な相互接続・連携を推進するほか、高度なIT人材を育成することにより、効率的で質の高い電子自治体を実現する。

    ア)地方公共団体の業務・システムの標準化・共同化(総務省)
      地方公共団体に共通する住民サービス業務や内部管理業務に係るシステム整備を効率的に実施するため、2003年度に開発した電子申請受付等のモデルシステムの普及を図るとともに、引き続き地方公共団体によるシステム開発を積極的に推進し、さらに地方公共団体で従来から用いられてきた旧式システム(レガシーシステム)に対応する移行モデルに関する検討を2004年度中に行う。
     また、アウトソーシングに係るセキュリティガイドラインの周知も図りつつ、データセンターを活用した複数の地方公共団体によるシステムの共同利用を促進する。

    イ)Webサービス技術 5の活用による地域におけるシステム改革(総務省)
      地方公共団体の業務・システムについて、EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)に基づく最適化モデルを明らかにした上で、Webサービス技術を活用しながら、地方公共団体をはじめとする地域のあらゆるシステムの連携を可能とする次世代地域プラットフォームの開発に向けて、システム構築や技術、標準化等について2004年度中に検討を行う。

    ウ)公共的なアプリケーションの共同構築・運用(総務省及び関係府省)
      防災・有事・テロ等の危機管理、教育、医療などの公共アプリケーションについて、2005年度以降、全国展開すべき標準的なアプリケーションを順次構築するとともに、公共ネットワーク 6上において国及び地方公共団体で共同運用し、利活用を図る。

    エ)電子自治体を支える人材育成(総務省)
      信頼性の高い電子自治体実現の観点から、すべての都道府県・市区町村を対象とした高度情報セキュリティ研修を引き続き実施する。また、アメリカのCIO大学等の先進事例を参照しつつ、官民が連携した形での地方公共団体におけるさまざまなレベルのIT人材育成手法の2005年度中の確立に向けて検討を進める。


1 コンピュータウイルス:インターネット等を介してコンピュータに入り込み、意図的に悪影響を及ぼすように作られたプログラム。悪質なものは、プログラム、データ等のファイルの破壊等を引き起こす。

2Dos攻撃:コンピュータやネットワークに不正に負荷を掛けたり、セキュリティホールを悪用して業務を妨害すること。DoSはDenial of Serviceの略。

3自動車保有関係手続:自動車の保有に伴い必要となる各種の行政手続(検査・登録、車庫証明、納税等)。

4テレワーク:ここでは、情報通信手段を週8時間以上活用して、時間や場所に制約されない働き方と定義する

5Webサービス技術:インターネット技術を用い、1)ネットワーク上に存在するサーバー内のアプリケーションを呼び出して活用し、または、2)アプリケーションを相互に連携させ統合的に運用する技術。

6行政機関専用の業務系(行政の内部事務)及び情報系(住民サービス等)の両者またはいずれかの機能を有するネットワークが「公共ネットワーク」である。