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IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会(第1回)議事要旨



  1. 開催日時:平成14年11月22日(金) 18:00〜19:00

  2. 場  所:内閣府5階特別会議室

  3. 出席委員:
    石黒委員、出井委員(座長)、大江委員、大橋委員、大山委員、小野委員、清原委員、国領委員、清水委員、鈴木委員、多賀谷委員、田村委員、成毛委員、廣川委員、村井委員(座長代理)、村上委員

    ※その他の出席者:細田IT担当大臣、事務局(内閣官房)


(議事次第)

  1. 開会

  2. 座長の選任

  3. 専門調査会の運営について

  4. 自由討議

  5. 閉会


(配布資料)
 資料1 IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会について
 資料2 IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会 委員
 資料3 IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会に関する運営について(案)
 資料4 IT戦略の今後の在り方 検討参考資料


(会議概要)

1.開 会
(1) 開会にあたり、細田IT担当大臣から挨拶が行われた。概要は以下のとおり。
 この2年間で、情報通信インフラの整備や高速インターネット接続サービスの料金低廉化等が大きく進展し、IT戦略の第一段階としての成果は得られたのではないかと思う。現在の状況を踏まえ、第二段階として、今後のIT戦略の在り方を議論し、方向性を出していこうということになり、この専門調査会を開催することになった。特に、「元気で便利な日本」になるということを目指し、皆様のお知恵をお借りしながら、良い戦略を考えていければと思う。精力的なご審議をお願いしたい。
(2) 事務局から、資料1に基づき、本専門調査会設置に係る第15回IT戦略本部決定の説明が、資料2に基づき、各委員の紹介が行われた。


2.座長の選任
(1) 座長の互選を行い、出井委員が座長に選出された。
(2) 出井座長から以下の挨拶が行われた。
 インフラはできたものの、日本経済が活性化するような使い方がされていない。そのような状況を少しでも打破するよう、新戦略では目標を立て、成果が実際に上がる内容にしていきたい。従来の延長型で細かい議論をしても日本は良くならない。構造改革にあわせてITを活用すれば企業は良くなる。構造改革に必要なのは、ひとつは、連続的な改革だが、その他にどこかで非連続的なジャンプが必要。日本はこの非連続的ジャンプがうまくできていない。本専門調査会では、できるだけ具体的に考え、集中して問題点を出してもらって、絞り込んで取り組んでいく。基本的にあらゆるものが短期決戦。日本ではデジタル時代になって、どのように変わらなければないないのかという認識が低い。また、役所や産業界の危機意識も低い。ITによって産業構造が大きく変わり、ルールもまったく変わる。時代認識をしっかりとして、日本が今何に集中して取り組んでいくべきか考えていかなければならない。
(3) 座長の指名により、村井委員が座長代理に選出された。


3.専門調査会の運営について
 事務局から、資料3に基づき、専門調査会の運営につき説明があり、資料のとおり決定された。


4.自由討議
 自由討議が行われ、各委員から以下の意見が述べられた。
 IT戦略とは、新しい技術を基盤に、桁違いのブーストを人間の知性と情報に対して行うことだと思う。その意味で3つの視点が大事。ひとつは、国民が自由にデジタル技術を使って、知識と情報を共有できるようすること。自由な情報空間がまだまだ必要であり、情報空間として日本を見て、それをきちんと考えていくことがひとつ。次に世界一になるということについて。2005年に一番になり、それ以降も一番優れた技術を持っている国である責任がある。そのために、今とるべきアクションをひとつの考え方の流れとすべき。3番目は国際的な位置づけ。情報世界はグローバルな空間。グローバルな中での位置付けを考え、アジアに対してどうするかなど、具体的な目標設定が大事。
 地方公共団体の情報化は遅れている。国民が如何にITのメリットを享受できるかは、地域のコミュニティにおける民間と行政の効率で決まる。その中で如何にコンテンツやアプリケーションができていくかが重要であり、行政と民間の共同のプラットフォームが必要。IT教育については、地域や学校でまだ格差がある。さらに、小中高の連携ができておらず、情報の共有もできていない。外部からの人材の登用を進める必要があるが、そのためには、もう少し規制緩和を進めていく必要がある。医療については、資格の認証、レセプトの電子化やカルテの電子化も進める必要あり。
 IT産業そのものが飛躍的成長を続けるとは思っていない。ITが他の産業に与える影響は大きい。したがって、IT産業をどうするかではなく、ITが他の産業の成長にどう貢献するかが重要。例えば、コンクリートの分野で、建築基準法の改正を受けて、国際標準的な手法を取り入れ、ITを活用して大いに効率化が進んだ企業もある。ミクロの視点を大切にしつつ、マクロの議論を行いたい。また、このような観点から、既存産業のIT化を妨げている法律の議論も行っていきたいと考えており、その際には個々の法律をターゲットにして検討を進めていくべき。
 競争政策をどうするかとなどと言っているようではダメ。米国がリードしているのは、新規産業を常に興しているから。新規参入を大胆にやるかどうかにかかっている。官僚政策的、行政指導的にやるのではなく、市場メカニズムと、透明なプロセスである審判等で対応すべき。公正な環境を作ることで市場の信頼を得る。このような議論を、具体的な例を挙げつつ行っていくべき。
 まず、企業について。国内社会においてIT化がどのように進むか。欧米のシステムをそのまま導入しても意味がない。EDIのシステムが日本になかなか導入されないのは、日本社会にとってあまり便利でないから。それなりの工夫が必要。もうひとつは行政の情報化について。従来の紙で行われたシステムをそのまま電子化しようということを行政ではよくやるが、紙で最適なシステムであっても、電子化したときに最適とは限らず、システムの見直しをしなければ意味はなく、まったく新しい発想でやらないと成功しない。
 インターネットの進展により世界中の通信事業者が崩壊の危機に瀕している。今は電話では金が取れず、通信業はもうなくなる。通信業は大きな痛みを経験してきた。もっとも、大きな課題を残して取り組んでいるのが企業。通信事業者が痛みを持ってやっているのに対し、使い手である企業は、痛みを伴うところに手をつけない状況。ITそのものではなく、ITを使って何ができるか考えるべき。通信について、日本ほど優位性を持っている国はない。それをどう勇気をもって使っていくかのビジョンかできればすばらしい。ITを使って 産業、行政、社会システムを如何に変えていくかが大切。
 教育の情報化と産業界の関係について、産業界で作ったコンテンツが教育の現場でうまく使われていない。英国では、産業界で作ったコンテンツを買うための資金を直接学校に補助するという取組を行っている。また、ICTが進んだ学校の方が学力が高いという結果も出ている。裾野を広げる人材育成に関しては、来年度から、高校で、「情報」が必修科目として実施されるが、それが大学入試にどれだけ繋がるかが問題。
 ITやIT産業が自己目的化してはダメだ。日本が元気で便利な国になるには、達成しなければならない目標、戦略が明快に見えなければいけない。メリハリをつけるには、マクロの思想がはっきりとしなければいけない。例えば、R&D、マーケティングを含んだ産業の高付加価値化、環境と経済成長が両立するシステムの構築、バリアフリーで、高齢化しても活力が維持できる社会、プライバシーとセキュリティが両立する仕組み作り、知的な生産物を作った人が報酬を得られるような知識経済の確立等、このくらいのレベルのマクロの考え方とそれを裏打ちするミクロの施策と効果測定などを書きたい。
 目標がインフラ整備からユーザー重視に変わり、利用の活性化と高度化に重心を移したことは非常に重要。良いシフトをしたと言いたい。4点申し上げる。まず、公的領域が牽引力になるべきだということ。電子政府・電子自治体の推進にあたっては、セキュリティ技術の確保を優先的にやって欲しい。誰にも利用しやすい、情報バリアフリーの考え方に基づく、ユニバーサルデザインの普及は、国際的にも意味がある。日本人はプライバシー保護に対して非常に感受性が強いので、高い優先度をもって、この点にも取組むべき。2点目としては、ゲーム、アニメーションなど、クリエイティブな領域での作品、コンテンツ工学は日本が世界に貢献できる分野。著作権が保障され、いかにリーズナブルなコストで人々が使うかということ。「リーズナブル」ということが重要。3点目は、公私の中間領域について。教育、医療の分野での活用がもっとなされるべきであり、また、中小企業を含めた地域におけるコミュニティビジネスという新しいビジネス領域の活性化を図っていくべき。最後に、IT時代の民主主義のあり方、文化の形成において日本はもっと発展すべき可能性がある。IT革命を行っていく上で、ヒューマンな文化への配慮が必要と思う。
 企業の立場で申し上げる。日本経済の活性化ということがまず第一であり、その結果として、世界最先端のIT国家になるということ。製造業、IT企業の課題として、特にハード産業では、ITの活用をグローバルな戦略の中で考えることが重要。グローバルな視点が整っている企業とそうでない企業があるが、強い企業はグローバルな視点がしっかりしている。ITガバナンスが出来ているところと出来ていないところで差別化されており、そこをどうしていくかが重要。ソフト産業についても、中国等との関係もあり、いずれ同様になる。また、公的な生産性向上をどうするか、知的財産問題について、これをどう解決していくかも大きな課題。
 電子政府・電子自治体に関し、業務分析が十分行われていない。かなりの予算を使っている以上、戦略的な調達をどうするかなど、新しいルール等を作るという視点が必要。また、国際的な場で我々がやることは、自由な情報空間と同時に安全・安心な情報空間を作るべきであり、この2つがセットとなってはじめて本来の力を持つ。我が国が、安全の分野で、日本の技術、制度の作り方で、海外に例示を示すということも必要。
 電子政府と日本経済の活性化はある種距離がある。電子政府を国、経済の発展につなげる努力をしていない気がする。電子政府は世界最先端から程遠いとよく言われるが、遅れているのは、手続の便利さ、行政のし易さということを重視して進んできたから。これからは内容面が加わる。手続の電子化に伴い、5万という手続の数の見直しが必要。これが企業や経済への間接的なサポートとなる。
 世の中が便利になるときは全てデフレになる。19世紀後半に鉄道が出来たときにもデフレになった。デフレは悪いものではなく、昔の制度を壊していくもの。今インフレになると古い制度が残ってしまう。デフレはそういうものを壊す原動力であり、ITはそういう仕組みで世の中を変えていくものではないか。また、ODAでアジア諸国の通信インフラ整備を支援し、その後コンテンツの普及を図るという仕組みを作っていくべきではないか。もうひとつは国家の問題。政治も変わっていかなければいけない。選挙などにどんどんツールとしてITを入れていくことにより、政治を変え、戦略を変えていくことが重要。また、電子政府について、官僚や政治家は、予算を作ることばかりに執心するが、予算の執行もちゃんと見なければ効率的な予算配分が出来ない。電子政府について、大手ばかりでなく、良い技術を持っているベンチャーにも任せるべき。
 「インフラはもう出来た」との認識は問題だ。国民(世帯)を高速・超高速で二分することは、「あまねく全国民が」とあるIT基本法の理念に合致しない。同法には、「受信」のみならず「発信も」とあり、完全双方向のFTTHの全国構築を一層強く目指すべき。また、日本は世界の光ネットワークの技術的リーダーであることを一層深く認識すべき。IMT-2000(第3世代モバイル)も同様だが、第4世代以降へのR&Dの加速化が急務。また、情報家電・固定・移動融合型ユビキタスネットワークの推進を、更に強力に行うべき。さらに、米欧のITバブル崩壊と日本の状況が基本的に異なることの再認識が必要。市場シェアオンリーの発想ではなく、技術シェアで考える必要性が大きく、R&Dインセンティブ付与の政策の一層の推進が必要。
 戦略見直しの戦略を3点。一点目は、追いつくための戦略から、やってみて最後は結果的に追い越しているという戦略へシフトすべき。ユニークな今までとは異なる方法でIT戦略を実行していくという目標設定とすべき。二点目は、インフラ整備から利活用へとシフトする場合、新規のインフラを利用するのか、既存のインフラを利用するのか。既存インフラでの利活用も大事だが、是非、新しいインフラで新しい利活用というようなフロンティアを拓いていくアプローチをこの中で触れていくべき。三点目は、見直しが、国民一般或いは産業界、更には海外にも伝わることが必要。e-Japan戦略の名称を変えることを検討しても良いのではないか。


5.閉 会
(1) 次回の専門調査会は、11月28日(木) 17時〜18時に開催することとされた。
(2) 各委員は、次回までに、技術やアプリケーション、個人や企業等、どういった点に特化し、どの分野に集約すべきかという具体的な案を提示することとされた。また、事務局は、現在の重点分野と新たな重点分野を、どのようにIT基本法の中で扱うのか、また、スケジュール的にいつまでに何をまとめるのかを、次回までに提示することとされた。
(以 上)