次代を担う青少年について考える有識者会議第1回における内閣総理大臣あいさつ

平成10年3月6日(金) 10:00 〜12:16


  
  

「次代を担う青少年について考える有識者会議」の開催に当たり一言ごあいさつを申し上げます。

まず、御出席をいただきました皆様には、御多忙にもかかわらず、この会議への参加を快くお引き受けいただきましたこと、厚くお礼を申し上げます。

今国会の施政方針演説でも申し上げましたが、私は自立した個人が夢を実現するために、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる、国、年長者を敬い、親から子へと心の大切さや生活の知恵を伝えていくことができる社会、そして、豊かな自然や伝統文化を大切に守り伸ばしていけるような社会を創りたい。心からそう願っております。

その意味で、私は、先月開催された長野オリンピックでの日本選手の活躍に大変勇気づけられました。選手たちは小さい頃からさまざまな困難を乗り越え、自らの夢や目標に向かって日々努力とチャレンジを続けてきた若者であります。

メダルを手にされた方ばかりではなく、例えメダルに手が届かなくても、入賞を果たした方、自己記録を更新した方、さらには実力を発揮できず、来るべき機会に雪辱を誓った方など、すべての選手が日本中の人々に新鮮な深い感動を与えるとともに、同世代の若者や、あるいは子どもたちに夢と希望を与えてくれました。今またパラリンピックが開催され、ここにも大きな夢をかけております。親や周囲の大人たちが、青少年を温かく見守り、励まし、時に戒めることを通じて、尽きることのない青少年たちの可能性を開花させることができると確信しております。

しかしながら、日常の生活に目を向けると、今、青少年の多くは、自分の将来に夢や希望を明確に持つことが難しく、自分にも理解できないような焦りや苛立ち、衝動にさいなまれているのではないでしょうか。ナイフを使用した殺傷事件、薬物の乱用、いじめ、性をめぐる問題など、次代を担うこととなる青少年が直面している問題は極めて深刻です。

こうした問題の根底には、青少年を取り巻く家庭、地域、学校など、環境の変化、あるいは青少年自身、あるいは社会全体の価値観などの様々な変化があると思われ、特効薬と思えるような対策をやすやすと打ち出せるとは考えておりません。しかし、現象面にのみ目を奪われることなく、腰を据えて問題の本質を深く洞察し、家庭・学校・地域、さらにはマスメディアなどを含めて、皆が手を携えて取り組むためにはどうすればよいのか、それぞれの経験、意見を持ち寄りながら、幅広い観点から議論することが非常に重要になっております。

この会議には、青少年にかかわる問題をそれぞれの観点から議論していただいております関係審議会の会長を始め、マスメディアや青少年の育成に日頃かかわっておられる方々などにお集まりをいただきました。次代を担う青少年が夢やチャレンジ精神を持って育っていけるような国民的な取組を進めるために、青少年を取り巻く様々な課題について幅広く御議論の上、今後の取組の方向を打ち出していただければと心から願っております。それを基に、関係審議会において専門的な観点から審議を深めて、政府を挙げて対策を順次実施に移していきたいと考えております。

この問題は放置すれば、間違いなく我が国の将来に禍根を残すことになります。対症療法的な対策を考えるだけでは、この問題の解決にはなりませんし、教育改革だけで解決できる問題でもありません。社会の在り方そのものが問われております。社会や親の意識改革も含めて、子どもにかかわりのあるすべての立場の方々がその在り方を見直していくことが必要です。大変難しい、しかも重い課題であります。子どもたちのために、今、何をすればよいのか、皆様とともに考え、真正面から取り組んでいきたいと願います。

子どもたちがこの世に生を受けて本当によかったと思い、自らの目標に向かって邁進できるような社会を築きますために、御出席の皆様のお力添えをお願いし、開会に当たってのごあいさつとさせていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。


次代を担う青少年について考える有識者会議第1回議事録