次代を担う青少年について考える有識者会議

第5回議事録

内閣官房内閣内政審議室

次代を担う青少年について考える有識者会議第5回議事次第
日 時:平成10年7月27日(月)14:00 〜16:20
場 所:内閣総理大臣官邸大ホール

1.開 会
2.議 事
関係審議会等における審議・検討状況について
青少年問題についての政府の取り組み状況について
その他

3.閉 会

○座長 まだ委員が1人お見えになりませんけれども、時間がまいりましたので、ただいまから次代を担う青少年について考える有識者会議第5回目の会合を開かせていただきます。御多忙のところを御参集いただきましてありがとうございました。

 今日は、関係省庁から大臣、事務次官等に御出席をいただいております。後ほど、15時20分ごろには総理もお見えになるということであります。

 今日の御欠席は岩男委員、氏家委員、杉原委員が、いずれも所用のために御欠席になっておられるということであります。

 それから、この会議の座長代理をお務めいただいておりました有馬委員が中央教育審議会の委員をお辞めになりましたので、この会議のメンバーとして同審議会の新しい会長になられた根本委員に御出席をいただくことにいたしました。根本委員には有馬委員に代わって座長代理を引き続きお願いをしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日の会議は、4月30日に総理に提出しました会議の討論結果と申しますか、そういったものを受けて、関係の審議会や関係官庁で早速その問題についてお取組をいただいた、その取組状況について、今日御報告を申し上げたいと思います。それから、今後の審議とか、あるいは施策の推進について、御意見をいただきたいということでございます。

 前回に引き続いてマスコミの方々にもおいでいただいております。その点はこの前と同様でありますので御了承をいただきたいと思います。

 それでは、まず関係審議会等における審議の検討状況について、順次簡単に御紹介いただくことにいたします。説明に対する質問とか意見は、全部の報告が終わってから後、お願いをしたいと思います。

 お手元に資料1がありますけれども、これは関係審議会等における審議・検討の状況が概括的にまとめられておりますので、参考にしていただきたいと思います。

 それでは、初めに私が会長を務めております青少年問題審議会の中間まとめからそのポイントを報告させていただきます。これは大体1報告5分前後でお話を申し上げたい。御協力を是非お願いしたいと思います。それでは、青少年問題審議会の中間まとめの要約を申し上げます。

 第15期青少年問題審議会は、昨年の7月28日に内閣総理大臣から「青少年の問題行動への対策を中心とした西暦2000年に向けての青少年の育成方策について」という諮問を受けまして、以来、有識者からのヒアリングを行うとともに、この有識者会議の議論を念頭に置きながら審議を進めてまいりました。それで、6月23日にこれまでの審議から得た基本的認識について中間まとめとして決定して公表いたしました。資料2がその中間まとめであります。ともすれば、網羅的になりがちなこの種の議論でありますが、審議会では問題解決のための重点的な目標をどこに置くべきかという観点から審議を行いました。この中間まとめは、その意味では極めて大胆にこういうところが問題だというポイントを絞り込んだ内容になっております。

 最初にこの中間まとめの全体的な構成についてでありますが、目次をごらんいただきたいと思います。目次の最初の「はじめに」で、この中間まとめを行うに至った経緯を述べまして、次に第1章「全体的な考え方」で非行問題を中心とする青少年問題の現状についての認識、それを踏まえて今後引き続き青少年の育成方策を検討していくに当たっての基本的な考え方を述べております。

 そして、第2章から「より『開かれた』人間関係・社会関係の構築のために」ということで、第1章を踏まえた青少年の育成方策についての具体的な考え方の方向を示しております。

 そして、最後に今後の審議の進め方等を述べた「今後の検討に向けて」という構成になっているということであります。

 それで、いろいろな問題はあるのですが、特にこの中間まとめの特徴としては次の3点が挙げられます。

 まず第1点は、この有識者会議の基本的認識に通じる点でありますけれども、3ページから5ページにかけまして、現代の社会一般に見られる風潮の問題点を指摘しております。もう少し詳しく申しますと、社会の基本的なルールについての認識がおろそかにされているということで、もう少し敷衍いたしますと、御承知のように人間は一人で生きることはできないのでありまして、多くの人々と社会生活を行うことによって人間らしく生きることができる。もしそれが人間の本能とか欲望のおもむくままに社会生活が行われたときには、健全な社会生活はなくなってしまって社会は崩壊するわけでございます。そういった中で人間が人間らしく生きるということは非常に難しい。不可能である。そうであれば、人間の社会生活が円満、着実に行われる必要がある。

 そのためには、やはり人間は社会生活の基本的なルールを守っていく必要があるわけであります。そのためには人間の本能とか、欲望とかというものを理性の力によって抑制することのできるような、自己抑制力というものを養わなければいけない。こういうことについての問題が今日、自己抑制力が弱いという形で出てきているわけでありますから、それを考えなければならないというのが第1点です。

 それから、次に特定の価値を自分の都合のいいように解釈して一方的に主張する傾向が見られる。

 次に、ある特定の価値に固執することによって価値相互間のバランスが崩れているというところもあります。

 それから、経済的な豊かさを追求する余り、子どもによりよい学校に進学することばかりを求め、子どもが多様な人間関係の中で社会性や人とのつき合い方を習得するという機会が減少していると、こういう点が指摘されております。

 こうした現代社会の一般的な風潮が青少年の問題行動の増加に結び付いております。青少年のみを対象とした対策だけではなくて、戦後50年の日本の社会の在り方を国民全体の問題として問い直していく必要がある。そういう意味で、国民全体に議論を喚起したいと考えているわけであります。これが第1点であります。

 第2点は、その上で青少年をいかに育てていくべきか。これにつきましては、この有識者会議においても生活体験等の必要性として指摘されておりますが、5ページから6ページにかけまして、青少年が多様な人々との意見交換、相互理解に向けた努力及び摩擦の経験等を通じて、自分とは異なったさまざまな価値観に触れることは大切である。そして、そうした開かれた関係の中で青少年が社会性を培っていくための環境づくり、条件整備が必要であるということを述べております。

 それから第3番目でありますが、このような開かれた人間関係、社会関係を体験するための場と人のつながりを確保する方策を中心に、家庭、学校、地域社会、企業、情報メディア、関係機関の6つの分野において重要と考えられる点を7ページ以降で整理いたしております。この開かれた人間関係、社会関係を体験するための時間をどうつくるかという方策については、引き続き検討していくことにいたしております。

 以上が中間まとめの内容ですが、今後審議会ではこの有識者会議でも御提言いただいているように、青少年をめぐる問題の解決には社会を挙げて取り組む必要があるということから、この中間まとめにより、国民の間で活発な議論がなされることを期待いたしますとともに、国民から幅広く意見、情報を募集しているところで、審議会は今後、国民から寄せられた意見等を踏まえて審議を深め、来年夏ごろまでには答申を取りまとめるという予定にしております。

 以上、簡単でありますが、青少年問題審議会における検討状況を御報告いたします。

 それでは、次に根本座長代理から中央教育審議会の答申について御説明をいただきます。

○根本座長代理 ただいま御紹介いただきました根本でございます。有馬先生の後を受けまして、この度、中教審の会長をやらせていただくことになりました。

 幼児期からの心の教育の在り方、これは6月30日に文部大臣に答申を提出したわけでございます。昨年6月に21世紀を展望した日本の教育の在り方について諮問が大臣からございまして、まず何と言いましても子どもたちにゆとりを持たせて、そしてその環境の中で力強く生きる力をはぐくむべきである。それで、あくまでも個性尊重の教育を展開すべきだと、こういう3つの点を提言いたしました。

 その後、昨年の8月に、生きる力の源泉となります幼児期からの心の教育の在り方、三つ子の魂百までと申すわけでございますが、これについて大臣から諮問を受けまして、6月30日に最終答申を行ったということでございます。その内容について若干御説明申し上げますが、3月31日に中間答申を出しまして、有馬委員が4月2日の本会議で概要を御説明されているはずでございます。

 資料は3−1と3−2と3−3と3つになっておりまして、資料3−1が最も簡明な3枚物でございます。3−1と3−2を参照しながらお話をしたいと思います。ただいま石川先生からも御指摘がございましたが、子どもの問題とは言いながら、何と言いましても大人社会の道徳の低下、これがまず第1にございます。これに対して、我々日本人がいかにして挑戦していくかという大問題を抱えているわけです。

 それから、現場という表現がいいか悪いかとは思いますが、家庭、地域社会、それから学校といった3つの現場がそれぞれ密接に提携して連帯しながらトライアングルを組んで子どもたちの教育に当たらなければならないという趣旨になっております。 資料3−1の2枚目をごらんいただきますと、最初には「未来に向けてもう一度我々の足元を見直そう」ということで、我々の軸足をどこに置くべきかということに触れているわけでございまして、グローバライゼーションの時代にはなりましたが、やはり我が国の伝統的な文化、その他そういったものを大事にして、日本の美徳というものをよく振り返って、その上に海外のいろいろなヨーロッパ的なものも加味しながら倫理観、正義感や思いやりの心、豊かな人間性をはぐくむ必要があるということにまず第1の軸足に置いております。

 その上で、まず何と言いましても家庭。最近は御案内のとおり少子化も進んでまいりまして、家庭関係が非常に希薄になってきております。大変恐るべきことでございますが、親による子どもの虐待というような社会的な病理現象がかなり増えてきているとか、憂慮すべきことがかなり起きてきております。そういったことに対応する意味でも、家庭をもう一度見直す。その場合に、父親が母親とともに子どもの教育に参加するという姿勢が絶対に必要だということを指摘しております。

 また、同時に我々は少年時代にそうでございましたが、よく学びよく遊べということと、自然体験の重要さというようなことについても触れておりまして、知育偏重の早期教育への問題提起ということになっております。

 それから、「地域社会の力を生かそう」ということで、地域がこぞって子育てを支援しようということで、母子保健の機会を活用してこの教育問題に母も子も一緒になって巻き込むとことを考えるべきである。これはいろいろと事務的に進んでおるところでございます。

 それから、特にテレビとビデオの関係者の更なる自主規制を要望しております。Vチップ導入の前向きかつ速やかな検討を要望しているわけでございまして、私の孫などを見ておりますと、いろいろな番組を自分でぱっぱとやりながら見ているところがございまして、やはり有害情報を規制していく必要があるのではないかということを指摘しております。

 それから次に学校、何と言いましても心を育てる場としての学校を見直していこうということで、ここでは特に道徳教育とか、それからカウンセリングの充実その他、問題行動に毅然として対応しようということでございまして、また先生の側の問題などにつきましても指摘をしているということでございます。

 大体、以上のようなものが今回の答申の内容でございますけれども、これはまさに座長もおっしゃっておられましたが、国民運動に匹敵するものでございまして、何と言っても大人社会における問題、それから教育というものに関して今の日本が当面しているクライシス・パーセプション、これが非常に弱いんじゃないかということを私は民間人として感じております。景気回復、それから不良債権の処理、これも何と言いましても大事でございますが、それ以上に今のいろいろな現象を見ますと、あるいはある意味においては国民全体がクライシス・パーセプションをしっかりと持ってこれに対応する態度が必要だ。そのための仕掛けが必要ではないかというふうに思っております。

 これから総理大臣もお見えのようでございますが、新しい総理大臣が自らの就任演説の中で、教育問題について相当これを割いて日本の前途に向かって発言する。そして、それを受けて何らかの国民運動に展開するような仕掛けを考えていく必要があるのではないか。後ほどの討議の中で私の考えを申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

○座長 ありがとうございました。
 それでは、次に生涯学習審議会の審議状況について、奥島委員から御報告を願います。

○奥島委員 それでは、御報告申し上げます。
 資料1にありますように、最近では6月11日に「地域社会における子どもの活動を充実させるための方策について」という議題で第1小委員会を開催いたしました。本年度内に答申を取りまとめる予定でございます。

 昨年の6月に文部大臣から、青少年の生きる力及び地域社会の環境の充実方策について諮問をいただき、鋭意審議を進めているところでありまして、先ほど御報告をいただきました青少年問題審議会あるいは中央教育審議会でもこの地域の問題についていずれも触れられておりますので、それと重なるところはもちろんあるわけでありますけれども、違った角度からの私どもの提言をまとめたいということで努力をいたしております。お手元に今回配布させていただいております資料4をごらんになっていただきたいと思いますけれども、これまでの議論を踏まえて審議状況あるいは審議事項につきまして事務局の方で概要を整理したものであります。そこに書かれておりますように、現在審議会におきましては地域における身近な遊びと交流あるいは日常生活を離れての自然体験活動の充実などを念頭に置きまして、これらを実現するための情報提供あるいは指導者の活用と、学校外活動を振興するためのさまざまな条件整備について審議を進めております。

 審議におきましては、有識者会議の意見の取りまとめでも指摘されております、学校外での青少年の居場所づくり、自然体験、生活体験の重視、青少年を取り巻く社会環境の浄化等につきましては特に活発な議論を進めているところでありまして、今年度末を目途に中間まとめを公表する方向での検討を急いでいるわけでありますけれども、何とか今年度内に答申をまとめたいと考えております。

 この問題につきましては、総理を始め町村文部大臣あるいは関係審議会の会長及び有識者の方々と、この有識者会議における意見交換を通じまして、現下の青少年問題に対する共通認識を深め、生涯学習審議会における今後の調査審議に反映させていきたいと考えております。現在のところ、まだ審議の中間まとめに至っておりませんので、途中経過について簡単に御報告いたします。よろしくお願いいたします。

○座長 ありがとうございました。
 それでは次に、矯正保護審議会の審議状況について稲田委員から御説明いただきます。

○稲田委員 矯正保護審議会におきましては、少年非行の問題に関する審議を最近とり行いましたので、その概要等につきまして御報告申し上げます。

 初めに、皆様御案内の方も多いと思いますが、矯正保護審議会は、法務大臣の諮問に応じまして矯正及び更生保護の制度の運用に関する重要な事項について調査審議するということになっておりまして、家庭裁判所で保護処分に付されました少年のみならず、広く罪を犯し矯正施設等に収容された人たちの改善、更生とその円滑な社会復帰を図るための諸施策等について審議を行ってきておるわけでございます。

 配布されました資料の1でも御案内のとおり、矯正保護審議会では6月22日に矯正保護審議会の準備会というようなものを行いまして、続いて7月7日、「凶悪事件を起こした少年に対する処遇の充実強化策」を議題として開催いたしたわけでございます。この6月22日の準備会におきましては本日、皆様方の席上に配布させていただいております資料の5−1と5−2、5−1は5−2を要約したものでございます。この準備会におきまして資料5−2「現代の少年非行を考える−少年院・少年鑑別所の現場から−」という資料に基づき、その内容につきまして事前審議を行いまして、そして今月の7日、矯正部会を開催しまして、この資料のほか昨年9月に少年収容期間の弾力化、処遇の個別化を一層推進させるべく改正されましたところの行政局長通達等に関する資料を踏まえまして、各委員から活発な意見が述べられ、審議が行われたところであります。

 この審議におきまして提示されました意見の概要でございますが、まず5−2の冊子でございますが、これは非常に大部にわたっておりますが、大きく分けますと少年鑑別所に入所した非行少年についてさまざまな観点から分析を加えた非行分析論の部分と、少年院における処遇の実態の紹介や立ち直った少年たちの事例を通し、非行少年への働き掛けのヒントを示した少年処遇論の部分から成っております。

 そして、その内容につきまして各委員から多くの意見が提出されたわけでありますが、具体的に申しますと、まず非行分析論につきましてはその中に東京少年鑑別所に入所した少年のアンケート結果から、ポケベルや携帯電話などの使用が非行に結び付いたケース、テレビの影響で暴走族にあこがれ加入したケース、9歳からナイフを所持していた少年のケースなどが紹介されておりますとともに、統計資料に基づいた データの分析結果が示されておるのでございます。

 これに対しまして各委員から、主として統計資料の分析について意見が出されまして、3つのピークを有する戦後の少年非行の動向、社会の変化及び一般少年の変化を踏まえた上で現在の少年非行について分析することが必要であるということ、非行少年の人格変化に関するデータを基にした分析を踏まえ、昨今の少年非行の動向を論ずる必要があることが指摘されますとともに、今後一層の科学的な研究と、それに基づく処遇方針の確立に対する期待が示されたのであります。

 次に、少年処遇論についてでございますが、少年処遇論の中に、よいことはよい、悪いことは悪い、わがままは認めず努力させる、できたことはほめて一緒に喜ぶと いった少年院で勤務する法務教官の基本的な心構えや、子どもたち一人一人に、自分が周囲から必要とされている存在であることを実感させるといった少年院における処遇の基本理念が事例を通じて紹介されておるのでございます。

 これに対しまして各委員から、処遇の成功事例だけではなく、失敗事例についても報告した上で新しい処遇についての提案があってもよいのではないか。1対1の処遇を強調し過ぎる余り、少年院における集団処遇の大切さや有効性が伝わらないことは残念であるといった意見が示されましたが、総じて非行少年を改善、更生させようとする少年院の地道で辛抱強い努力及び少年院における矯正教育の在り方について高い評価が示されました。

 その結果、この資料5−2に対する総括的な意見としまして、資料の5−2は、少年非行に関心はあるが、刑事司法の知識がない者にとって判別や処遇の流れを分かりやすく説明している上に、少年院、少年鑑別所の現場で行われている処遇の実例や、子どもの独自性に着目した分析データも多く盛り込まれている。また、少年院収容者という極端なケースでも、努力すればよい方向に向かっていくということが明らかにされており、青少年の処遇に戸惑い、悲観的になりがちな親や教師への助けになることが期待されるというものであります。

 ほかにも昨年9月、法務省が少年院収容期間の延長、これは従来2年だったのを2年以上というように延長されておるわけですが、この延長等を盛り込みました局長通達の改正について、凶悪事件を起こした少年を処遇する上で有効である。今後、ケースワーク的な視点から継続的な検討を行う必要があるとの意見が示されました。

 また、非行対策に関する総合的な見地からは、非行少年に関するデータ分析や処遇の見直しについて学校や家庭、あるいは社会における少年教育の在り方等を念頭に置いて検討する必要があり、そのためには他省庁との連携についても考慮していく必要があるというふうな意見が示されたわけでございます。

 以上、述べられました意見は、本有識者会議から審議を求められました非行少年に対する処遇の充実強化の観点からも有益なものであったと思われるのでございますが、これらの意見を踏まえ、矯正保護審議会は本有識者会議への中間報告として矯正局作成にかかる先ほどの資料を添え、以下の提言を行うことを全会一致で決定いたしております。その提言は、現在の少年非行問題の解決のためには家庭、学校、地域社会、関係機関、関係省庁がそれぞれ個々に解決策を検討するのではなく、これらが有機的に連携し、一貫した継続的な対応策を講ずる必要があるというものでございます。

 なお、矯正保護審議会には更生保護部会もございまして、この更生保護部会は主として保護観察対象の少年に対する処遇の充実強化を図るものでございまして、これを議題として7月7日に矯正部会に引き続きまして若干審議をいたしました。その際、本日席上に配布させていただいております資料5−3「非行少年に関する特別調査の概要−更生保護の現場から−」に基づいて意見交換が行われたのでございますけれども、時間的な関係もございまして、この点に関する実質的な審議は来たる9月19日に改めて開催されます同部会において行うという審議経過となっております。

 以上、簡単でございますが報告とさせていただきます。

○座長 ありがとうございました。
 それでは、中央児童福祉審議会の状況について江草委員からお願いします。

○江草委員 中央福祉審議会において先日、取りまとめました「今後の児童の健全育成に関する意見−子育て重視社会の構築を目指して−」について簡単に御説明申し上げます。資料の6−1と6−2でございます。6−1は概要でございますが、これを中心に御説明を申し上げたいと思います。

 中央児童福祉審議会では本年4月、当有識者会議において関係審議会において審議を進めるよう提言されたことを踏まえまして企画部会、育成環境部会の合同部会を開催いたしまして、児童の健全育成について検討を加えてまいりました。本年4月14日に第1回の部会を開催いたしました。そして、6月29日までに計4回にわたり検討を加えたのでございますが、この間に委員は手分けをいたしまして各種の児童福祉施設を中心に現地視察を実施いたしました。児童の健全育成にかかわる職員、父母の方、そしてまた児童の諸君と直接意見交換を行い、これらを踏まえて児童の健全育成に関して早急に講ずべき対策を、これまでの子育ての在り方、家庭、学校、企業等の社会全体の在り方に根本的な反省を加えつつ、新しい施策を求めて意見の集約をいたしました。

 その概要、主な内容でございますが、資料6−1をごらんいただきますと「施策全般に関する意見」、そしてまた「個別施策に関する意見」の2つに分けている次第でございます。

 この2つの意見を御説明する前に、昨年6月に21世紀に向けて児童福祉制度の新しい在り方を目指して児童福祉法の改正が行われたことをまず申し上げておきたいと思います。保育制度の改善、相談体制の整備、児童の自立支援施策の充実等を内容としたものでございます。これらはすべて児童の権利を守り、健全育成の強化に努めたいというところから始まったものでございます。

 施策全般に関するところをごらんいただきますと、育児は父母の共同事業である。互いに補い合いながら子育てに当たるとともに、子育てをする父母が孤立しないようにこれを支えていく体制が必要であるということをまず述べておるところでございます。縦割り主義と申しますのは行政的な立場での批判を込めたところでございますが、縦割り主義的な行政手法を改めるとともに各種民間団体、企業、学校、ボランティア等とも十分連携しながら、総合的な施策を講ずる必要があると意見をまとめております。しかしながら、この縦割り主義的な行政手法を改めるということについては既に文部、厚生両省の間でその後、新しい取組が始まっております。両省の間で担当者の連絡協議が始まっていることなどはその一つであろうと思います。

 次に、個別施策に関する点でございます。

 最初に、「父親の子育て参加の促進」でございます。父親は家庭内で子育てへ参画するとともに、地域社会でスポーツ活動の指導者としてでも参加することができるではないか、また参加すべきであるという意見が出ております。

 次に、「子どもの家庭活動への参加」でございますが、子どもが家庭内の行事や家事に参加することにより、自覚と責任感が生まれる。また、家族で食事を共にするということの広い観点からの意味を理解すべきである、あるいは啓発すべきであるという考え方。そしてまた、青少年期においてもっと乳幼児と触れ合う機会を増やすべきではないか。親となるための準備を早期に進めることも有効であるし、また人と人とのつき合い方を知ることにも役立つではないかという考え方。

 そして3番は「企業における子育て支援」でございます。企業において育児休業を取得しやすいような職場環境の整備に努めていただくように努力すべきである。さらに、育児支援のための一層の改善、充実に取り組んでいただきたい。従業員のために福利厚生施設を大きな企業はたくさん持っていらっしゃいますが、これを地域の子どものために開放していただくことはできないだろうか。

 それから4番は「地域における児童の育成環境の整備」でございますが、地域社会の中で学校以外に、そしてまた家庭までの中間に居場所を増やす必要があるのではないか。例えば、放課後児童健全育成事業の開所時間を延長するとか、あるいは弾力的な運営をする。児童館の日曜日、休日等の開館を推進することなども重要ではないかといった考え方でございます。

 それから5番目は「入所施設における児童の自立支援」、これは児童福祉関係のたくさんの施設がございますが、こうしたものを地域における子育て支援のために役立ててもらうことが必要なのではないか。保育所はもとよりでございますが、情緒障害児の短期治療施設とか、あるいは児童養護施設とか、こうしたものの整備促進あるいは心理療法等の体制強化も必要ではないかといったことなどでございます。

 6、7を飛ばさせていただきまして8番に入らせていただきますと、「出版・映像分野における自主規制等」の問題でございます。先ほど来、中央教育審議会その他で文化財に関するお話がございましたが、児童に有益な出版物については実は中央児童福祉審議会はかねてこれを推薦という形で示してまいりました。しかし、児童に有害な出版物について関係業界において児童の健全育成へ御協力いただく。こういう観点から、実質的に規制をもう少し深めていただけないだろうかといったことなどでございます。

 「おわりに」は、子どもが健やかに成長できるように行政機関、児童福祉施設、企業、学校、地域住民、ボランティア等の緊密な連携と協力体制が整備されなければならないこと、少子化時代に対応した総合的な少子対策の推進、子育て重視社会の構築に向けた努力が必要であることを強調させていただきました。以上でございます。

○座長 ありがとうございました。
 それでは、今日は国家公安委員会の岩男委員が御欠席でありますので、国家公安委員会、警察庁の状況につきまして警察庁の田中次長から御説明願います。

○田中警察庁次長 私からは、本有識者会議の中間報告の提言を受けまして、警察庁の取組につきまして御報告申し上げます。

 なお、警察庁におきます検討結果につきましては去る6月、国家公安委員会におきまして御審議をいただき、その御了承を得たものでございまして、既に外部に発表しております。

 申すまでもございませんが、警察は非行少年や不良行為少年に日々接する機関でございます。例えば、昨年を見ましても刑法犯罪を犯して検挙された少年が15万2,825人、不良行為により補導した少年が81万4,200人と、その取扱いは膨大な数に上っております。そして、この会議でも御指摘がございましたように、昨今の少年非行の姿は質的にも変化が著しく、警察といたしましても少年非行の今日的問題に即応した取組が必要と考えておりまして、このような観点から早急に必要となる警察活動の在り方につきまして総合的な見地から検討を加えていったところでございます。

 そして、去る6月に国家公安委員会において御了承を得ました「子どもを非行から守るために」と題する対策指針、お手元に資料7−1、7−2、7−3としてお配りしてございますが、これがまとめ上がったものでございます。本日は、この資料7−1の要旨に基づきまして、特に警察として今なすべきこと、これは資料7−1の4 ページ以下に書いてございますが、それにつきまして簡単に御報告いたします。内容は4つの柱から成っております。

 その第1は、不良行為少年に対するサポートの充実であります。従来の非行にはほぼ例外なく前兆となり得る問題行動があるところでございますが、街頭での問題行動、すなわち不良行為につきましては専ら警察が認知しておりまして、今後は不良行為少年の補導段階で少年や家庭に対する適切な助言指導を行い、ケースによっては警察以外の相談先や、少年の居場所となり得る社会参加活動の紹介を行うなど、少年自身が抱える問題を取り除くための支援活動を推進することが重要であると考えております。このため、警察におきます少年問題の専門家であります少年補導職員を中核とする補導専門組織として少年サポートセンターの構築を図り、少年や家庭に対する支援活動、関係機関や民間の団体等との連携を図ってまいることとしております。

 第2は、悪質な非行への的確な対応であります。警察は犯罪を犯した少年に対し、最初に接する行政機関であります。悪質な非行を敢行した少年につきましては、その更生のためにも甘やかすことなく毅然とした捜査を行い、犯罪の社会的意味や被害者の痛みを理解させていくことが重要と考えております。このため、悪質な非行に対する組織捜査の徹底など、少年事件捜査力の強化を推し進めていくこととしております。

 第3は、少年の規範意識の問題や家庭、地域社会の無関心への対応であります。警察は日々、非行少年や不良行為少年に接し、更に少年をむしばむ行為の取締りに当 たっております。その蓄積した情報を発信し、社会に還元することは少年の規範意識の形成や家庭、地域の問題意識の醸成のため、極めて有効であると思います。このため、例えば薬物問題につきましては警察職員を学校に派遣し、取締り活動等を通じて得た具体的実例を基に少年に語り掛け、薬物の危険性、有害性の認識を徹底するという薬物乱用防止教室を全国の中学校、高等学校で開催することしておりますが、今後はこのような枠組みを更に拡充していくこととしております。

 第4は、急速に変貌する社会環境の問題への対応でございます。少年を取り巻く環境の問題につきましては、本有識者会議でもいろいろ御指摘がございましたが、幅広い観点からの取組が必要と思いますが、警察といたしましても法制面の見直しも視野に入れつつ、不良行為を助長する環境への対策を討議するための有識者から成る研究会を近々立ち上げることとするなど、総合的な少年保護対策の確立を進めていくこととしております。

 以上、警察庁におきます取組状況につきまして簡単に御報告申し上げました。今後とも関係省庁との具体的協力関係の確立に配慮しつつ、少年問題の解決に全力を傾けていくこととしております。今後とも委員各位の御指導、御支援をよろしくお願いいたします。

○座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今まで御説明のありました内容につきまして、委員の方々から御意見なり、あるいは御質問なりを伺いたいと思います。

○ ただいまの一番最後の御説明でございますけれども、非行の増加傾向というのは先ほどの資料の最後の方に少し出ておりますが、やはり国際的に見ましても先進国で大体共通の現象になっておるのでございますか。

○田中次長 つまびらかな数字は持っておりませんけれども、やはりアメリカとヨーロッパ、先進国でも少年非行の問題は大変深刻な問題、量的にも質的にも大変重要な段階にきているという認識は各国でも同じように持っているという状況にございます。

○ そういった国々がどんな対策を講じておるかというのは何かお分かりでございますか。

○田中次長 私どもでまとめました、お手元の資料の中にも「諸外国の少年非行による対策」という項がございますので、もしお時間がございましたら御拝読いただければというふうに思っております。

○ 日本の絶対数ですけれども、このチャートに不良行為少年が年間81万人、それから被害少年が年間32万5,000人、これは合わせると100万ぐらいいるわけですけれども、一世代200万の人口だとすると少年というのは何万ということになるのか。10歳代だとすると2,200、2,300万の少年の中の100万というのはすごい数だと思うんです。先進国あるいは開発途上国の非行少年というのはどのぐらいのデータなんですか。

 それから、非行行為というのをどのレベルでとらえているか。それも国際的な基準があるのかどうか、いかがでしょうか。大ざっぱな概念でよろしいんですけれども。

○田中次長 資料の7−2の中で外国の少年の非行の状況、付録というところでございますが、64ページ以下に若干コメントしてございます。その数字的な問題でございますけれども、外国の場合は非行少年という場合には犯罪を犯した少年ということでございまして、日本の場合の不良行為少年というよりも非常に範疇が狭うございます。日本の場合は例えば喫煙とか、飲酒とか、街頭で保護した少年なども不良行為少年ととらえておりますけれども、外国の場合には現実に犯罪少年でございますので若干数字は少なくなってございます。したがいまして、日本のような基準でとらえますと、これはもう少し数字は大きくなるということは言えるのではないかと思います。

○座長 ほかにございますか。どうぞ。

○ 最後の7−2の資料の3ページでございますけれども、少年非行が戦後第4の上昇期に入ったと書いてあるのですが、この図表1の非常にきれいなカーブは何がこういうふうに上がったり下がったりをもたらす原因かということについて分析があれば教えていただきたいと思います。特に一貫して上がっているというのは分かるのですが、80年代から90年までの間に急速に下がってきている。要するに、このように下がってきているということは何か対策が行われて下がったのか、あるいは別の要因かということでございます。

○田中次長 今、第4の上昇期を迎えたと我々は言っておりますけれども、第3のピークから落ちたとき、これにつきましては少年法の改正でありますとか、あるいはシンナー関係の規制とか、更に道交法で暴走族の規制とか、法制でもってかなり抑え込んだという状況がございます。

○ この表を見ると、例えばバブル期みたいなときにかなり減っていて、昭和60年とか割と不況だったりした時期に大きな山ができている。それは相関関係があるかどうかは分からないのですけれども、不況というか、社会が全体的にそういった時には人の気持ちがすさむというのか、家庭が冷めたようなこととか、それとの相関関係というのはあるのんでしょうか。

○田中次長 少年非行の原因というのはなかなか一律説明にはできないと思います。例えば、戦後ですと貧困と少年非行の関係とかといったことで顕著な相関関係が見られた時期もございますけれども、最近はそういうような相関関係というのはつまびらかにしないといいますか、バブルとか、あるいは景気の動向と少年の非行とが密接に結び付いているということは必ずしもないと思います。

○ これを見ると、景気の動向などでそうなっているのかと思ったのですが。

○田中次長 この数字でございますが、たまたまそういったバブル期と、それから非行がスローダウンしていくといったことが一致したということだろうと思います。そこに密接な関係があったということはなかなか言えないので、もちろん遠因としてそういうものがあったかどうかは分かりませんけれども、そういった関係をここで断定するのは少し危険かと思います。

○ それからもう一つ、先日報道でベルギーなどで幼児ポルノがインターネットで流されているといった事件がありましたけれども、そういう幼児ポルノですとか、この間もお母さんが自分の子どもをアダルトビデオで仕事をさせていたなどというのも新聞で報道されていました。子どもがそういった世界に巻き込まれていくような境界がなくなってきて、そういう事件がすごく多い。何か法的な規制などの動きはあるのですか。

○田中次長 例えば児童買春とか、あるいは児童ポルノにつきましては必ずしも日本の法制は十分ではないというような御意見がございます。実は議員立法の形で現在児童買春とか児童ポルノを規制しようという動きがございまして、これはほぼ成案を見ております。具体的には今度の国会の中で議論をされて立法化の方向に進んでいくと我々は考えております。

○座長 それでは、まだ御質問、御意見はあると思いますが、もう一つだけ報告として伺っておかなければならないものがあります。それは、青少年問題についての政府の取組状況について御説明をいただくということであります。それをお聞き取りいただいて、その後でまたもう一回御意見を伺うことにします。

○久山総務庁青少年対策本部次長 青少年問題に関する関係省庁の主な取組等につきまして、4月30日の有識者会議の提言公表後のものを中心に、一括して概略を御説明申し上げます。

 お手元の資料8をごらんいただきたいと思います。資料名の下に注記してありますとおり、冒頭に◎を付けたものが提言公表後のものでございます。そして、〈 〉の中に書いてありますものが提言の中の対応部分という整理にいたしております。基本的には、提言の事項の順に沿って整理いたしております。

 なお、政府広報等の取組につきましては、別途資料10を用意しておりますので、資料8からは除いてございます。

 まず、政府の青少年対策を総合的かつ効果的に推進するために設けられております青少年対策推進会議による取組でございます。今月の24日、関係省庁で構成いたしております青少年対策推進会議が開催されまして、取組体制の充実強化と青少年対策推進要綱の改正が行われております。

 この推進会議におきましては、平成元年の発足以来、関係14省庁の局長クラスを構成員としてまいりました。しかしながら、青少年を取り巻く問題の深刻化等を踏まえまして、政府を挙げて取り組む体制を確保するという観点から、今回、新たに、総理府、経済企画庁、大蔵省、国税庁、通産省の関係局長等が構成員に加わることになりました。

 また、青少年対策推進要綱は関係省庁の青少年対策の基本方針等を定めているものでございますが、これにつきましても昨年7月の改正以後、青少年問題をめぐる状況の変化や、この有識者会議の御提言など、新たな動向を踏まえまして内容の見直しを行ったところでございます。

 改正された青少年対策推進要綱は、お手元に資料9としてお配りさせていただいております。また、青少年対策推進会議の構成につきましても、資料9の最後のページに添付いたしておりますので、後ほど合わせて御覧いただきたいと思います。

 次に、総務庁の取組についてでございます。有識者会議の御提言を受けた取組といたしましては◎を付しておりますとおり、7月と11月にそれぞれ実施いたしております非行防止と健全育成のための月間の充実がございます。従来、7月は「青少年を非行からまもる全国強調月間」として実施してまいりましたが、月間の実施がちょうど20回目に当たる今回、名称を「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」に改め、また参加省庁、協賛団体を大幅に拡充し、より広く月間中の各種行事等が実施されるよう充実を図っております。11月の「全国青少年健全育成強調月間」につきましても、現在、一層の充実を図るべく検討を行っているところでございます。また、青少年育成国民運動を充実させるため、平成10年度から新規に、地域で青少年健全育成活動に携わっている指導者等を対象といたしました「青少年健全育成活性化研究協議会」を全国5ブロックで開催することとしております。

 次に、警察庁関係の主な取組についてでございます。まず、提言後の取組としましては、組織捜査の一層の充実を図るとともに、共犯事件の急増に対処するため、事件の背景、組織性等の解明を図るための基盤を整備するなど、少年事件捜査体制を充実強化することとされております。

 また、少年補導職員を増強し、これを中核として警察部内に「少年サポートセンター」を構築して、家庭や学校などとの情報交換や各種相談機関等とのネットワーク化を推進するなど、少年の問題行動への適切な対応を図ることとしております。

 さらに、少年非行に関する具体的情報を活用した少年に対する語り掛けを効果的に行うための教材等の整備や、警察の持つ情報を社会ヘフィードバックするための体制づくりなど、情報発信体制の充実強化が図られております。

 また、少年をむしばむ行為の国際化、情報化等に対処するため、広域捜査力等の強化、情報通信技術も活用した捜査の高度化を推進するとともに、少年の不良行為を助長する営業への対策に関する法制面を含めた検討を進めていくこととされております。

 このほか、インターネッ卜上の有害情報への取組として調査研究会を設置し、近く提言を受ける予定となっております。

 次に、3ページ目の法務省関係の主な取組についてでございます。まず、子どもの人権に関する取組として、広報啓発活動や平成6年度に導入された子どもの人権専門委員、いわゆる「子ども人権オンブズマン」による人権相談等が行われております。また、保護観察所においては、保護観察の対象となった少年に対して、社会活動への参加や家庭訪問など、少年の問題性に応じた個別処遇、あるいは処遇困難な者に対する保護観察官の直接的関与の強化等が行われております。

 少年院においては、在院者の規範意識のかん養及び社会生活への適応力を向上させる観点から、生活指導や職業補導が実施されております。これらのほか、少年鑑別所と学校等教育機関との連携強化、今月の「社会を明るくする運動」の展開などの取組も進められております。

 次に、文部省関係の主な取組についてでございます。まず、提言後の取組として本年6月、子どもと家庭を支援するため、厚生省と共同行動計画を策定し、関係局課長で構成する教育・児童福祉施策連携協議会を設置するなど、教育行政と児童福祉行政の連携確保が図られております。

 また、道徳教育を推進していくため、都道府県の教育委員会に委嘱して、学校・家庭・地域社会が連携しつつ、幼児期からの豊かな体験の場を提供するよう図るとともに、地域の特色を生かした教材の研究開発、道徳教育用教材の充実が図られております。

 さらに、スクールカウンセラー派遣校を大幅に拡大し、あるいは生徒が悩み等を気軽に話せ、ストレスを和らげることができる第三者的な存在である「心の教室相談員」を公立中学8,000校に配置し、その活用と効果に関する調査研究を都道府県教育委員会に委託するなどの取組が進められております。

 また、平成10年度からの3か年計画として「心の教室」を全国の公立中学校に整備することとなっており、10年度は2,000 校に整備する予定とのことであります。

 次に、5ページ目の厚生省関係の主な取組についてでございます。まず、提言後の取組として子育て支援基金を創設し、地域・家庭における子育て支援事業、青少年の非行防止・健全育成事業、非行等児童や家庭問題をめぐる諸課題に関する調査研究、広報啓発活動に対し助成しております。

 また、保育所等の整備・充実、母子保健相談指導事業、文部省との共同での幼稚園と保育所の在り方に関する検討会の設置、学校外での青少年の居場所づくりとしての児童館の整備といった施策も推進されております。

 最後に、6ページ目の終わりの方の郵政省関係の主な取組についてでございます。郵政省におきましては、本年5月、青少年の健全育成が重要な政策課題となっている中で、放送分野における視聴者政策の充実が求められていることに対応するため、有識者15名で構成する「青少年と放送に関する調査研究会」を発足させております。同研究会では、現在、青少年育成に関する諸外国における放送の現状調査、青少年をめぐる放送行政としての課題の抽出、視聴者政策の在り方とその導入方策等について、本年10月ごろの取りまとめを目指して検討が行われております。

 また、近年、青少年への影響が懸念されているインターネット上の有害情報についても、受信者側においてこうした情報を格付け、フィルタリングする技術の開発研究に取り組んでおります。

 なお、説明は省略させていただきますが、御参考までに関係業界・団体における主な取組についても7ページ以降に添附してございますので御参照ください。

 以上、青少年問題に関する関係省庁の主な取組等につきまして概略を御説明申し上げました。

○座長 どうもありがとうございました。
 では、上村内閣広報官からどうぞ。

○上村内閣広報官 私からは、政府の青少年問題に関する広報啓発活動の取組状況について御報告を申し上げたいと存じます。

 政府広報におきましては、青少年問題を今年度の最重点テーマの一つに位置づけさせていただいております。質、量両面にわたる充実に懸命に努めているところでございます。時間の関係もございますので、具体的な広報例、主要なものという言い方がいいかどうか分かりませんが、お手元にお配りしてございますものを中心に御説明をさせていただきたいと存じます。

 最初にパンフレットでございます。これはまさにこの会議でおまとめをいただきました御提言をベースに作成いたしました。60万部余りを作成をいたしてございます。全国の小中学校や児童相談所、少年補導センター等を始めとしまして、広く関係者の皆様方に配布いたしますとともに、全国の郵便局にも配りまして一般の方々にも自由にお持ちいただけるように配布いたしたいと存じております。こういう形で郵便局等を活用しての配布はこれまでもいろいろな広報でいたしてございます。

 時間がございませんのでこのパンフレットの内容は省略させていただきますが、この作成に当たりましては本会議のメンバーでいらっしゃいます香山先生、柴門先生、杉原先生に大変な御協力を賜りました。誠にありがとうございます。厚く御礼申し上げます。

 そのほか、最近実施した主な広報について、お手元の資料に沿いまして簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。3月から4月にかけてでございますが、お手元にございますとおり、長野五輪のジャンプで大変な活躍をされた原田選手を起用して全国の主要鉄道の車内の中づり広告でございます。これは主に大人世代に対して青少年問題の重要性を訴えるという観点から作成をいたしました。長野五輪で活躍をされたオリンピック選手につきましては、オリンピック委員会に大変な御協力をいただきまして、政府広報として使わせていただいているものでございます。

 それから、その次にございますのが6月分の広報でございますが、これは若い人たちを対象にいたしました青少年向けの漫画雑誌でございます。『少年ジャンプ』『少年サンデー』『少年チャンピオン』、それから『non・no』『セブンティーン』 等々、こういうところに掲載をさせていただいております。これらの雑誌は御案内のとおり大変な発行部数で、青少年に大変広く読まれているものでございます。清水選手、岡崎選手、こういう人たちに、夢とチャレンジ精神の重要性や、そういうものを持って人生にチャレンジをしてほしいということを訴えたいと思いましてつくったものでございます。主として清水選手については少年、それから岡崎選手については少女を ターゲットに考えてつくったものでございます。

 それから、つい先日まで放送しておりましてあるいはごらんいただいたかと存じますが、長塚(京三)さんという最近アンケート等では理想の父親像の一人と言われている方に御出演をいただきましてテレビのスポットをつくりました。これを7月の上旬からおとといまで、15秒と30秒のテレビスポットで流させていただいております。

 それからその次に、これは読売新聞の青少年問題についての特集に私どもも協力をするという形で、2面にわたりまして、上が新聞社の特集記事、その下に政府広報を出しております。これは25日土曜日、一昨日に掲載をいたしてございます。これには石川座長にも御出演をいただきまして、大変ありがとうございました。御礼申し上げます。

 それから次が一般週刊誌、女性週刊誌を活用いたしました坂本先生、柴門先生、海原先生による鼎談でございます。これを週刊誌8誌に掲載予定をいたしております。一般週刊誌5誌、女性週刊誌3誌ということでございます。

 このほかに街頭ビジョン、これは全国主要都市20か所、それから映画館でのムービースポット、インターネット等におきましても同様に各般の広報をいたしてございます。

 また、時間の関係もございますので御説明は省略させていただきますが、関係省庁におきましても、お手元の資料10にございますように、それぞれの所掌を踏まえていろいろな種類のポスターやパンフレットの作成配布、インターネットの活用、各種のイベントの開催など、工夫を凝らしたさまざまな広報啓発活動が行われているところでございます。特に7月は先ほど青少年対策本部次長からお話がございましたが、青少年の非行問題に取り組む全国強調月間、社会を明るくする運動の実施時期でございます。それから、中央教育審議会の答申、青少年問題審議会の中間まとめが出された時期でもございまして、こういうものを特に重点的に広報で取り組んでおることと存じます。

 政府全体としての取組状況は、先ほど申し上げました資料でお配りしてございますので、お時間がございますときにごらんいただければと存じます。青少年問題への対応といたしましては、各般にわたる広報啓発活動の役割は大変重要と考えております。

 今後とも関係省庁との連携に十分配慮いたしまして、一層の充実を図ってまいりたいと存じます。どうか先生方、これからもますますの御指導、御鞭撻、御支援を引き続き賜りますようにお願い申し上げます。

 簡単でございますが、広報啓発活動関係の御説明を申し上げました。

(橋本総理大臣入室)

○座長 どうもありがとうございました。
 それでは、先ほどに引き続いて各審議会、警察庁からの御報告と、それから今、政府の取組方について御報告をいただいたわけですが、そのすべてを含めて、ひとつこれから自由に御意見なり御質問なりを出していただきたいと思います。

 総理が参られましたので、ごあいさつをお願いいたします。

○橋本内閣総理大臣 次代を担う青少年について考える有識者会議の第5回会合に当たりまして、一言お礼とともにごあいさつを申し上げます。

 昨年、青少年をめぐる問題はさまざまなケースが非常に深刻な形で表面化をいたしました。そうしたものを背景として本年3月、私は皆様に御参集をいただきまして、青少年を取り巻くさまざまな課題について御議論の上、今後の取組の方向性を打ち出していただきたいと、そのようなお願いをいたしました。そして、大変短い期間でありましたのに、4月の末に委員の皆様から大変目配りの効いた骨太な御提案をちょうだいをいたしました。そして、御提案の中でお示しをいただきました、戦後50年の我が国社会の在り方が問われている、その基本的な認識は、青少年とかかわっていく上ですべての大人たちがいま一度深く思いをめぐらせるべき取組の原点であろうと、そのように思います。

 いただきました御提言を基として、政府としては関係の審議会、関係省庁などにおきまして専門的な観点から更に具体的な検討を深めてまいりました。本日の会合でも既に御報告を申し上げていると思いますが、既に幾つかの審議会からは審議における成果が公表され、あるいは具体的な取組としてスタートしているものもございます。

 青少年をめぐる問題、この取組というのはいずれも一朝一夕に効果が現れるといったものではございません。しかし、政府を挙げ、また社会を挙げて着実に進めてまいらなければなりません。

 21世紀を目前に控えまして、今、社会のあらゆる分野で変革が求められております。青少年はそのような変革の将来の担い手でありますし、変革によって生み出される社会を更なる発展に導いていく主役でもあります。一日も早く、子どもたちがこの世に生を受けて本当によかったと思い、自らの目標に向かって遥進できるような社会を築くことが、現在の大人のすべてに課せられた責任であると思います。この問題は、放置すれば将来に禍根を残すことは間違いがない、その社会の在り方そのものが問われているのではないかといったような危機感を持ちまして、私は皆様にこの会議にお集まりをいただきました。そして、この会議の開催を通じまして、国民皆が手を携えて青少年をめぐる問題について考え、取り組むための新しい一歩を踏み出すことができました。その意味で、私はこの会議を政府の青少年問題の取組の要と考えておりまして、これから先こうした歩みを更に力強いものとして、新たな時代への道のりを進んでいければと思っております。

 青少年をめぐるさまざまな問題は依然として楽観を許す状況ではございませんし、全力を傾注して不断の努力を重ねていかなければなりません。政府におきましては、先の御提言を踏まえまして具体的な取組を一歩ずつ着実に進めているところでありますが、こうした取組が青少年をめぐる問題の抜本的な解決に資するものとなるよう、また国民的な取組となって広がっていくように、委員の皆様方には今後ともこの会議におきまして忌憚のない御意見をいただければ幸いでございます。

 最後に、これまでの御尽力に対しまして心からお礼を申し上げますとともに、次の内閣になりましてもこの課題の重要性は変わりませんので、どうぞよろしくお願いをいたします。

○座長 それでは、どうぞ御質問なり、御意見なりございましたらどうぞ。

○ 今回このパンフレットのイラストを書いたり、雑誌の鼎談などにも参加させていただいたんですけれども、割と近所の普通の主婦から、政府の仕事をしているみたいだけれども一体何をしているのといった質問を受けて、これこれをしていてと言うのですが、一般の主婦たちというのは自分たちの子育てはさておき、しつけとか上から言われたくないわよねというのがまず一般的な考えです。現場の主婦としてはもう一回しつけとか道徳教育を見直さなければいけないという気持ちは非常にあるのですが、ただその痛いところを面と向かって突っ込まれるとますます反発するところがあります。

 それで、先ほどの資料の中で道徳教育を見直そうと、度々そういう項目が出まして、道徳教育というのが目につくのです。確かに必要ですけれども、道徳という言葉を全面に押し出しますと、その言葉自体に非常にアレルギーを感じる一般市民が大変多い気がします。もちろんこれは大切なことですけれども、広報的に活動するときに道徳という言葉に代わる何かもう少し一般の人々に受け入れやすい、心の安らぎでは変ですが、心の時間とか、中学生には道徳と言うよりも人間関係の時間とか、言葉だけの問題なのですが、少し考えていただいたらどうかということを個人的に感じました。

○座長 ありがとうございました。ほかにどうぞ。

○座長代理 今の点に関連しまして申し上げますが、道徳ということが何でそんなにおかしいのか、全く私には分かりません。道徳ということを持ち上げると何か大変な違和感を感ずるとか言っていますけれども、そんな問題ではないのです。

○ 本当に言葉だけです。

○座長代理 もっと事態は深刻です。道徳に代わる言葉というのは文部省が出しているような規範意識とか、いろいろな言葉になっていますが、私たちから見るとやはりやっていいこととやって悪いことはあるわけだし。

○ だから、そういった分かりやすい言葉に置き換えればいいだけのことではないですかというだけです。

○座長代理 それは道徳ですよ。それはそれでよろしいです。

 総理がおられるので一言申し上げたいと思うのでございますが、ただいまいろいろ皆さんのお話を伺っておりまして、それぞれの審議会が大変に熱心にそれぞれのテーマについて討議をされて、しかもそれが同じような問題を切り口を変えてアプローチしているという感想を持ちました。それで、平成元年につくられました青少年対策推進要綱というものの中に、この問題はあくまでも国民運動の問題であるということが明記してございます。

 それから10年ほどたったわけでございますが、あるいはほかの委員の方はそういうお感じはしないかもしれませんけれども、やはり国民運動というものについてもう少し強いアピールが国民に対して必要ではないかということをまず私は感じました。それで、そのためにはこれはもう一歩踏み込んだ仕掛けが必要ではないか。その仕掛けがどういうものかということについていろいろ御議論があるかと思いますが、新しい行革の下で例えば総合科学技術会議というものを内閣府の中におつくりになるということでございますが、やはり青少年問題に限定せずに、教育ということについての教育改革総合会議のようなものをお考えいただけないかというのが一つの提言でございます。それで、総理もいろいろ国会の演説の中で教育問題は非常にお話をされておりますが、新総理も就任早々の答弁の中で是非ともこの教育問題について触れていただきたい。

 一般の国民の立場からしますと、私自身の感じでは危機意識、いわゆるクライシス・パーセプション、この教育問題が何かはっきりしていないのではないか。ですから景気回復、あるいは不良債権の処理、そういった物と金の面におけるいろいろな報道その他が行われておりますが、それと同時ないしはもうちょっとマグニチュードは大きい問題がこの教育問題にあると、恐らく総理もそういうお考えだと思いますけれども、同時並行的にそれが進められるような仕掛けを考えていただけないか。

 現場の声につきましては家庭あるいは地域社会、あるいは学校といった3つの現場の核が密接な連携の下にトライアングルを組んでやっていかなければならないというのが私の提言にはなっておりますが、それだけではなしに現在政府が現にやっておられることをもう一歩踏み込んで来世紀に向かってもう少し何らかの仕掛けができないものかという感想でございます。

 ブレアさん、あるいはクリントンさんなどの御意見を聞きましても、特にブレアさんの場合は、次の課題は何かと聞きますとエデュケーション・エデュケーション・アンド・エデュケーションと言われるくらい、彼らも教育問題について大変な熱の入れ方ではないかと思っておりますので、一つの意見としてお話を申し上げました。

○座長 ありがとうございました。どうぞ。

○ 先ほど江草委員の方から中央児童福祉審議会の報告がございましたが、その中で非常に大きなポイントとして父親の子育て参加とか、企業における子育て支援ということが指摘されております。実はこれは労働問題でありまして労働行政の問題なんですが、先ほど総務庁から御説明があった青少年問題に関する関係省庁の取組の中で労働省関係が一つも入っていないという点につい少しコメントさせていただきたいと思います。

 これは、この青少年問題ということを余りにも直接的にとらえていることに問題があるのではないか。ある意味で非常に今の父親の働き方、あるいは母親の働き方ということがこの青少年問題とか少子化問題に非常に密接に関係しているわけです。現に今、労働省でも実は労基法の改正とか、所管法の改正に取り組んでおりまして、実はこれは労働時間の場合によっては個人単位の働き方、それだけ自由に休みが取れるということにもつながる面、あるいは正規労働者だけではなくてパートタイマーでもよい機会を増やすための有料職業紹介とか、派遣事業の拡大とか、そういったことが今、議論されているわけです。そういうものは間接的に母親が正社員として育児休業を取るだけではなくて、子育て期間は逆に負担の軽い短時間労働に勤務して、その後はまた正規社員に復帰するといった多様な働き方を促進するためにも非常に重要な施策であるわけですから、もう少し青少年問題というものも幅広く考えてとらえていただきまして、特にこの労働行政とのかかわり合いということについて今後とも注意を払っていく必要があるのではないかと思います。以上です。

○座長 ありがとうございました。ほかにどうぞ。

○ さきほど委員がおっしゃったことは大変大事なことではないかと思います。

 今、私は何人かでプロジェクトを組んで、戦後の育児雑誌がどのようなメッセージをお母さんたちに送ってきたかということのチェックをこつこつみんなでやっているところですが、それによると90年代に入ってからあらゆる育児雑誌が啓蒙的なものを一切なくしてあるわけです。

 というのは、全然売れなくなったということなのです。80年代ぐらいまではまだいろいろな識者とか、文化人とか、そういう人たちがこのように育てた方がいいとか、子どもがこうした方がいいというメッセージを送ることを受け入れる素地があったのですが、90年代に入ってからそれをやっていると全く売れないということだと思うのですけれども、すっかり変わってしまって、啓蒙を若い女性たちは受け付けない、はねてしまうというところがあります。

 ですから、そういった意味でメッセージを届ける方法が非常に大事なのではないかと思って、さきほど委員の提起されたことは私は非常に大事なのではないかということを実際に自分が取材したりして痛感しているものですから、少し言いたかったと思ったのです。

○座長 ありがとうございました。ほかにどうぞ。

○ 先ほど委員からもお話がございましたが、父親の育児参加でございます。これは理念的には皆さん理解できると思うのですけれども、現実問題としてなかなか難しい。例えば土曜、日曜日は子どもさんは学校が休みです。

 ところが、土曜、日曜日は病院も休むのです。そうしますと、私は子どもの精神医学をやっておりますが、なかなか学校教育についていきにくいお子さんたち、これをお母さんだけがお連れになる機会が多いわけです。

 実際に治療効果というのはお父さんとお母さんが同じようにお子さんの病状を認識しなければうまくいかないのです。しかしながら、月曜日から金曜日、お父さんは付いて来ようにも来れない。

 そこで、私の方では子どもの精神医学と子どもの整形外科だけは土曜日に診察しておるわけです。それは月曜日から金曜日までの医者を少し薄めまして土曜日へ回しているわけです。医者もやはり週5日働いて2日休まなければいけませんから、そういうことをやるわけですけれども、もししかるべき事情の説明があれば、子育ての期間中はお父さんの休みを月曜日から金曜日までも容易に取れるような雰囲気を、これは理屈を言えば当然申し出ればいいのではないかということになるわけですが、その雰囲気がないとなかなかできないという感じが私はするのです。

 そこで、やはりここに書いてありますように総合施策とありますが、総合施策の実を上げるような、委員からもお話がありましたけれども、各省領域横断的に連携を保つようなものがないといけないのではないかということを思っています。

 それからまた、話は大分違うようですが、今サッカーなどはかなり企業単位ではなくて地域単位でチームができておりますけれども、あれこそ望ましい姿ではないだろうか。つまり、子どもたちは学校を中心にクラブ活動をやったり、運動をやったりしていますけれども、地域単位でやれるような雰囲気、ボーイスカウト連盟の活動などもそれに入ると思うのですが、そういったものがもっと充実できるように、しかもそれに父親が一人の社会人として参加できるようになったらいいのでないか。

 私が存じ上げておりますのは地方のある小さな会社ですけれども、その少年サッカーなり少年野球のために休みたいと言いますと、どうぞ休んでくださいと。そして、京都で試合をやりますと言ったら、京都へ出掛ける応援のための資金援助をしましょうと会社が申し出ているという話を聞いたことがありますが、そういう雰囲気ができるようなやり方、これはあるいは税制上の問題はあるのかもしれませんが、何かいい方法はないのか。非常に身近なことで恐縮でございますが、父親の参加ということを言うのは簡単だけれども、参加できる条件づくりをしてあげなければいけないのではないかと、このように思っています。以上です。

○座長 どうぞ。

○ 今、青少年の問題をやっているのですけれども、青少年というのは大人なんです。ですから、例えば少年非行などのデータを先ほどお伺いしたのですが、子どもたちの社会のひずみというのを追跡するというか、大人になったとき一体どのようになっているかということを少し知りたいというのが1つ。

 それから、戦後教育は高等教育の発達によって、もう半分は大学へ入るというようなことになったときに、よく言われる大学の格差の問題もあるし、それから受験のときの落ちこぼれというのも出てくるわけだし、戦後50年豊かになった代償みたいなものが、その大人の社会の投影みたいなものとして青少年問題というのはあるのではないかという感じがどうしてもいたします。 それからもう一つ、やはり少年非行というのは少年の在り方のグローバルスタンダードを把握しなくてはいけないのではないかと思います。社会の進歩が早ければどうしてもそのひずみが大きくなる。そういう帰結としての現状であるならばやはり教育改革全体、先ほど委員がおっしゃったようなことで、もう少し大きく網を掛けたものの中でこれを見直していくというスタンスもあるいは必要かと。

 それを国民運動にするといった場合、さきほど委員から道徳という言葉に対するアレルギーというのがありました。私の世代はありませんが、アレルギーがあるだろうということは何か分かるような気がしますけれども、倫理という言葉にはアレルギーはありませんか。

○ ないです。

○ 倫理にはない。道徳という言葉は今まで使われなさ過ぎたのだろうと思います。ですから、例えばいろいろなスキャンダルなどのとき倫理という言葉が出てきても、それは異常にも何も感じないというか、割と素直に受け取られる。倫理という言葉が道徳に代わるかどうかは分かりませんが、ともかく戦後の集大成というか、総決算をするという枠の中での位置づけとして、青少年の問題という認識をまた改めてした方がいいのではないか。ですから、国民運動といったときにやはり上からやるようなコメントではなくて、何か盛り上がるようなコメントなり仕掛けというもの、今アイデアがあるわけではありませんが、そういうものが必要ではないかと思います。

○座長 ありがとうございました。どうぞ。

〇 私は学校の現場という立場から、今、進められております開かれた学校、それから地域との連携ということで、私が聞いたところ、つい最近、兵庫県の方で新しい試みとしまして特別活動の領域の中で兵庫県の中学2年生全員を1週間社会に出して、1週間そこで生活をさせる。特別活動の領域で試行しているということで要綱とパンフレットを見ましたが、やはり先ほども出ましたように生活体験、中学生、高校生の生活という考え方です。勤労体験だとかも含めて、実際の生活とはどういうことなのかということの体験が不足しているということで、学校教育の中で生活体験をさせる。それで、兵庫県の中学2年生は一斉に1週間学校に登校しないわけです。地域の商工会議所との連携の中で1週間、家からそこへ通って生活体験をする。いろいろな場所で。1つの例ですと、中学校の2年生が小学校へ行って小学校の先生のお手伝いをするということがあるようです。すべての中で受け入れて地域の中でそのような体験をさせるということが兵庫県で行われるということでありました。学校だけの生活ではなくて、学校は何のためにあるのか。生活とは何か。もっと幅広く学生のころからそういったことを体験させることをこれからますます行ってほしいと思います。

 学校現場としてもいろいろな意味で大変ですけれども、幅広く生きていくとは何か。生活とは何か。社会の中の一つが学校であり、社会人の中の一人が学生、生徒であるわけですから、その位置づけを知るためにもそういったところでの生活をどんどん体験させるということは非常にいいことだと思います。以上です。

○座長 ありがとうございました。
 いろいろお話を承り、それから資料を見せていただいて私が感じますことは2つほどあります。

 1つは、いろいろな切り口からこの問題を切っておりますけれども、しかし、そこで提案されているいろいろな対策の内容というのはかなり共通性があるのです。恐らくいろいろな審議会でそれぞれ対応策を考える。そこにはかなりの共通性があると思いますので、私はこれを全部並べてみて、その中で共通的なものはやはり将来まとめてみるといいのではないかというような気がいたします。これは総務庁の方にお任せするよりしようがないのですけれども、そうするといろいろな審議会の記録を一つずつ見なくてもそこにまとまった形のものが出てくるだろうから、それはそういうふうにした方がいいのではないかということが1つ。

 それからもう一つは昔、私どもが臨教審の委員をやっていたときに、天谷さんという通産省出身の非常に立派な、頭のいい方がおられたのですが、会議が始まったときに会長に向かって、要するにこの臨教審の二百三高地はどこですかと聞いたわけです。ここにおいでの方で分からない方もいるかもしれませんが、日露戦争のときに旅順を落とすのにそこさえ攻略すれば大丈夫だという地域が二百三高地だったんです。だから、臨教審の問題の一番究極の点、これさえやれば波及効果が大きくて問題が解決の方に向かう、そこのところは一体何だろうかという質問だったと思います。

 実は、この青少年問題でも私は同じだと思うのです。何が一体二百三高地に当たるものになるのか。いろいろな対策はもうほぼエグゾースティブに書かれているけれども、しかしここをやれば非常に波及効果の強いものがあるというのは一体何だろうかということを考えてみることは非常に私は大事なのではないかと思います。

 教育の人格権、人間形成の最も基本的な目的は、先ほども少し申しましたけれども自己抑制力をどうやって養うかということなのです。人間は一人では生きられません。社会と一緒に生きているわけですから、社会が健全に行われなければ人間は人間らしい生活はできなくなる。もし人間が欲望のおもむくまま、本能のおもむくままに勝手気ままに生きたら社会は崩壊してしまうわけです。

 ですから、そういうことを考えてみると、人間が人間らしく生きるためには他人のことも考え、そして円満に着実な生活ができるような秩序とか、ルールとか、そう いったものを尊重していかなければいけない。そういうときに自己抑制力というものが非常に働くわけですけれども、どうも最近の状況を見ると自己抑制力というのはだんだん衰えて、腹が立ったから火をつけたとか、腹が立ったから人を殺したという傾向が出てきているということだろう。どうやってこの自己抑制力を身に付けるのか、どうして今のように自己抑制力が弱くなってきたのかということを考えてみることがやはり二百三高地の一つだと思います。

 いろいろ説はあると思いますが、一つは戦争が終わって日本の中の価値観が混乱してしまったのです。安定した価値観というのをなかなか我々は手に入れることができなくなったということがあると思います。

 それからもう一つは、戦後、アメリカの庇護の下で日本は生きてきましたから、したがって安全保障についてはアメリカと一緒にやっていれば心配はない。それから、国内のいろいろな難しい問題でもアメリカと相談してやればそれはそれで何とか解決がつく。そうすると、生きることについてそんなに不安がなければ、あとはそういった環境に守られて自分の言いたいことを言いたいように言って生きることができるわけです。そういうことになってきた。そこへ豊かな生活が加わりましたから、人間はそういうところから自己中心主義の考え方にどうしてもなってしまうということがあります。

 それからまた第3に、そういう環境の中に育った親が実はそれよりもっと激しいかどうか知らないけれども、とにかく同じような環境の中にある子どもを教える教育をするわけですから、そうなると親は子どもの言論に対して自信がなくなります。例えば、子どもはこういうことをしたい。親は、いやそれはいけない。そのときに子どもは、それはおれの自由じゃないかと言われると、親はなぜ自由でないのかということを説明することができない。先生も多分そうです。

 そういうようなことがいろいろ重なって、やはり自己中心主義とか、あるいは一国平和主義などというようなことで、自分のところさえよければほかはどうでもいいというような考え方が生まれてきたんだろうと思うんです。これを何とかしなければいけないので、それをするためには学校でも家庭でもそういうことを教えなければいけません。

 しかし、これは言葉だけで教えてもとてもだめなので、したがってそれには体験が必要になります。その体験をさせる機会をどのくらい数多く設けられるか。あるいは、効果的に行えるか。そういうことになってくると、それはもう教育だけの問題ではなくなってしまうわけです。日本社会全体にわたる姿がそういうところへ投影しなくてはいけないわけです。

 したがって、私は具体的な対策についてはかなり皆さん方の中で合意があるし、それを吟味しながらまとめていけば、対策としてかなりのものができるだろうと思いますが、一番肝心なところをどうするかということは、やはりはっきりさせる必要があるのではないか。本能とか欲望の勝手気ままな活動はできない。それはやはり理性の力で社会生活を円満に行うための抑制が必要だということを自覚することが非常に子どもにとって大事だと思います。

 その意味では、絶対的な自由というのは人間社会の中にあるわけはないのです。やはりそれには一定の限度があるということ。また、その限度があるということを知ることが、実は本当の意味で人間の自由を生かす道でもあるのだ。これは私の考えでありますが、そういうふうに思っておるわけでありまして、その一番肝心なところを私は強調したいと思うのです。

○座長代理 今のお話は全く同感でございますが、私は経済人、民間人としての立場で今のお話にコメントさせていただきます。冷戦体制が崩壊いたしまして、もう地球上が全部市場経済という波の中にあるわけでございますが、市場というのは今、御指摘のとおり欲望と欲望の交換によって成り立つものでございまして、これをとどめなく進めていけば欲望が正義であるということになってしまうわけです。ですから、ただ今御指摘のとおり、やはりそこを抑制しなければならない。

 それで、同時に今、情報通信革命というものに我々は当面しておりまして、この世界というのは光の面もございますが、陰の面というのは言うなれば一種のバーチャル・リアリティーの世界です。したがって、情報通信革命と市場経済方式の陰の部分は人間性を疎外していくということになるのです。

 ですから、我々経済人も市場万能主義ということはよくないと思います。やはり市場と、先ほどの委員は嫌がるかもしれないけれども、道徳という言葉が嫌であればモラルでもいいですが、その市場と道徳と秩序という3つのものが三位一体化して進んでいくというのが、日本がとるべき道ではないかと思っております。

 それから、一方、今のような学歴社会ができまして、それに向かってみんなが競争し、かつ偏差値教育のような極めて変態的な姿になってしまったということの根本には、やはり日本の企業の在り方が問題であったと思います。そういう意味では、我々も十分に反省して、学歴社会というものをもっと破壊して自由な社会にしなければならぬというのが一つあるのではないか。最近は随分変わってまいりましたが、一つの会社に入りますと40年ほどおるわけでございまして、大学を10回ぐらい卒業することになるわけです。ですから、その人の人間形成について、その企業というものがいろいろなチャンスにおいて相当の責任を持たなければならない。教育についても、やはりそれぞれの企業というものが相当の配慮をしていく必要があるのではないかと、このように思っております。

○座長 ありがとうございました。ほかに、どうぞ。

○ こういう機会なので少しお話したいと思うのですが、幼児教育の現場の人たちに、この間、保育大会のようなところに行って取材をしたりしたのですが、幼児教育の現場が大変な危機感を持っているんです。そういうところで何か割と悠長に言っていられないような事態があるのではないかと思うのですが、例えば子どもたちにいろいろな体験をたくさんさせることが必要だというのは正しいわけなのですけれども、現実にはたくさん経験することを阻害するようなことが多く行われるわけです。

 具体的な例で言えば、幼稚園バスというのがありまして、非常に身近なことなのですけれども、お母さんたちは幼稚園のバスに乗せます。そうすると、就学前の幼児が1時間半掛かって園に行くわけです。それで、幼稚園は早く終わりますから、帰りに一番遅い子で1時間半かけて帰るわけです。そうすると、最長1日のうち3時間ぐらい幼稚園のバスの中に押し込められるようなことが頻繁にある。とりわけ地方の幼稚園がそうで、先生たちの方からも、それは幼稚園も少子化時代ですから経営をしていくためには広域の子どもたちを集めなければいけないということがあるのですが、幼児期の子どもが幼稚園に行ったとき3時間バスに乗せられているような生活を強いられる。これは一例ですけれども、そういうのが現実に起こっているわけです。そのことに対して、先生とか、保育者とかいった人たちが非常に心を痛めているわけです。そういうことが問題になるのです。

 そういったことなどは割と簡単にやめられるのではないかと思うのですけれども、日々そうさせられている子どもがいるわけです。すぐ解決できるようなことが放置されているのです。例えば2歳のときに子どもに言葉を教えましょうと大変な教育をやってみたりとか、一つ一つの子育てがぐちゃぐちゃになっています。ですから、私は幼児期の子どもたちをきちんと育てないと、小学校の授業破壊でも何でもそこに原点があるのではないかと思っているのです。

○橋本内閣総理大臣 私は次の会議がありまして退席します前に今、伺っておりました全体についての感想を1つ2つ申し上げたいと思います。

 最初に先ほど御提案の出ました政府横断的な会議ということですが、私はむしろここをその場に活用していただくことはできないかなと。ちょうど委員から資料に労働関係の取組がないという御指摘がありましたけれども、ならばここにそういう代表者を入れていただいて、ここをそういう形に使っていただくことはできないだろうか。

 私は幼稚園児の母親を娘に持っていますから、委員が言われたように、お仲間の方たちなどを見ていて言われることはよく分かります。ただ、それではと言ってその 方々が何かやっていらっしゃるかというと、対応していらっしゃる方もあるのですが、対応できていない方も現実におります。そうすると、その方々が受け入れやすい仕組みというのは、私は余りがっちりと政府が正面に出た国民運動本部みたいなものではないだろうと思います。むしろこうしたある程度緩やかな中に関連して、もっとあそこも呼びたい、ここも呼びたいというところを入れていただいて、そこで出てくるものがフィードバックする。そういう仕組みが一番いいのではないかという感じを私は持ちました。

 と同時に、最後に出ました点で私は非常に今、伺っていて気になりましたのは、果たしてその1時間半なりの通園圏内にもっと近い幼稚園はないのだろうか。というのは、私もそういうケースを知っています。その上で私が申し上げたいことは、往々にして例えばあの幼稚園はあの小学校に入りやすい。あの小学校に入れることによってあの学校に行きやすい。私はあれは実に子どもの人権を無視した親の勝手だと思っていますけれども、1時間半どころかもっとかけて通わせていらっしゃる方もあります。

 私は自分の子どもを5人とも郷里で自分の住んでおります町の公立の小学校に進ませましたし、一番下の子だけは親がいないものですからこちらへ途中で連れて来ましたけれども、全部町の小学校に入れました。上の4人はそのまま郷里の中学校、県立の高等学校、そこから先は自分たちの勉強の好きなところへ行きました。今、幼稚園生が1人おります。区立の幼稚園で、それこそ歩いて行ける範囲です。時々、父親が送ったり、母親が送ったり交互にやっていますけれども、妹は来年当然のことながらその区立の幼稚園へ行けるものと本人は信じておりますし、当然そういうことになるでしょう。

 私は時々、同僚にも言うのですが、教育改革、青少年問題で、自分の子どもはどうしているか。町の学校で普通に育てているか、それとも特別扱いか。非常にそこのところが私は気になるのです。そして、幼稚園でも保育所でもそうなのですが、遠距離通園になります。そして、そこには非常に申しわけないのですが、親がこの子のために選んだ人生、それはあの学校へ行くこと、そのためのスタートとしての幼稚園の選択が大事。近くに区立の施設がありましても、あるいは市町村立がありましてもそうではなくてほかへ行かせる。私は、本当にその子どもたちの方がかわいそうだなと 思っています。そして、私は自分の郷里の小学校に子どもに通わせたことを何ら恥じておりませんし、むしろ彼ら、彼女らに自分の故郷というものを思い出に持たせただけでもよかったと思っております。

 その点になりますといろいろな御議論が成立するのですけれども、私は本当は遠距離通園を言われる以前に手近にあるのではないかなと。保育所であれ、幼稚園であれ、そういう思いがしますし、これは町村さんにしかられる可能性がありますが、実は私は子どもにとっては幼稚園のいわゆる教育という形態をとった姿よりも、保育の中の一日の遊びの中に、子どもの一日の暮らしのリズムの中に教育のテーマが埋め込まれて、生活の中で自然体に義務教育就学時点において幼稚園児童と同じような教育水準を持っていくというのが一番むしろ望ましい形なのではないか。ものすごく早くに字を覚えさせることが必ずしもいいことだと私は思いませんし、ものすごく特殊な能力を持つお子さん以外に果たして自然体でない教育というものがいいのだろうかというのは正直疑問を持っております。

 勝手なことだけ申しまして申しわけありません。ありがとうございます。

(橋本総理大臣退室)

○文部大臣 時間もないので一言だけ。4月にこの会議から出されたレポートあるいは今、石川先生が言われた戦後の日本の社会の在り方、あるいは日本の教育の在り方にある基本的な平等、それが行き過ぎた悪平等になり、自由と権利の主張が行き過ぎてそこに責任とか、あるいは義務ということを忘れ去っているという、まさにその点を変えることが、今、文部省が進めております教育改革の基本的なコンセプトだと 思って、その考え方に立って具体的な制度なり運営を変えていこうと考えております。その意味で今、石川先生が言われたことはもっともだと思います。

 例えば二百三高地は何かという話ですが、安定した価値観がない。確かにそうです。しかし、価値観として、価値観というのはオーバーですが、確実にあるのは先ほど座長代理が言われた学歴信仰なんです。これは多分若いお父さん、お母さん方は抜き難く持っている。この間、テレビで子どもたちの討論番組を見ていたら子ども同士の議論で、あなたは大きくなって結婚する相手が中学卒と高校卒と大学卒とどれがいいと思うか、と子ども同士でそういう議論をしていて、それは大学がいいわよと無条件に答えているんです。そこには何を学んだとか、どうしたとか抜きにして、絶対に学歴が高い方がいいということを子どもたちが信じ込んできて、それを前提にしてテレビの議論が進行しているのを見て、戦前だってあったのではないかと思いますが、学歴信仰を、今、打ち破る必要があると座長代理は言われた。どうやったらそれを打ち破れるかです。

 私はいろいろな機会の度にソニーを例に出して、ソニーは採用のとき一切学歴欄は消してありますというような話をするのですが、本当かなという顔をしてお父さん、お母さんは聞いています。だから、ありとあらゆる努力を傾注しないと学歴というか、記憶力だけを伸ばすような教育はやめようという、学歴振興を現実的に取り払って、子どもたちやお母さん、お父さんたちが、学歴が人生のすべてではないと考えるようにはならない。

 北海道でいい学歴を得て拓殖銀行に入るのが一番北海道では幸せだったのです。拓銀がつぶれたので、北海道は幸せのパターンがなくなって困っているのです。本当にそういう現実があるのです。ですから、学歴ばかりではないということをいかに確実に大人社会が子どもたちにメッセージとして伝えられるか。私は、それは間違いなく一つの二百三高地なのではないかと思います。

 そこで今、そういったことを例えば母子保健のときに母子手帳だけではなくて親子手帳というのをつくって、お父さん、お母さんに子育てのこういうポイントを考えてくださいというのを中教審のレポートを中心につくっています。そこで非常に悩むのは、さっき委員が言われた、啓蒙的な上からの押し付け的なのは嫌だと、そう言われてしまうのも分かります。気分は分かりますが、そう言われてしまうと、ではどうしたらいいのだろうかと。この人たちに、例えば学歴がすべてではないんです、いたずらな早期教育はよくないといった話を例えば教育委員会とか学校の校長先生が話をしても、そんな上からの押し付けは嫌よと言われてしまうと、ではどうしたらいいんだろうかと。聞きたくない気も分かるのだけれども、しかし考えてもらわなければならない。

 そういうときに、委員が全部あちこちに講師に行って出ていただければいいのだろうけれども、なかなかそうもいかない。とすると、ではどういう方法があるのかということについて、何かいいサゼスチョンをいただけないと、私たちはすぐ何でも上から物を言うことが身に付いてしまっているものですから困ってしまうのです。そこは何かいい方法、いい手段をご提示いただけると、それが二百三高地に登る具体的な命綱になるのではないかという気がします。

○委員 文部大臣の言われましたことに関連しまして、メッセージの伝え方というのは非常に難しいと思います。私は、どんなに工夫してもすべての人に同じようにメッセージを伝えることは不可能であると、むしろそういう前提に立って物事を考えているわけであります。

 といいますのは、例えばモラル、徳目というものを幾ら並べてみても、それがその人の個性あるいは人間としての発達段階によってそれぞれ受け取り方が違う。同じ年齢であるから同じ発達段階にあるということにはならないわけです。ですから、要するにこれからの日本社会を考えていったときには、特に少子化高齢化時代でありますから、そういった意味で前に石川座長も敗者復活戦ができるような社会にしなければいけないとおっしゃっておりましたが、私は生涯学習審議会の方に関係しておりまして特にそのことを思っております。

 つまり、どういうことを言っているのかというと、やはりモラルをモラールに転化するというのが一番大事なんです。いろいろなことを知っていても、それをやる気というものに結び付けなかったら本当の意味がないわけでありますから、それを結び付けるようなことをしていくためにはどうしなければいけないかというと、そのメッ セージの伝え方を同一年齢だから同一年齢に対して同じ伝え方でいけば全部伝わるだろうというやり方では恐らく伝わっていかないだろう。日本社会全体がもっとフレキシブルな社会になる必要がある。つまり、大学生というのは18歳でなければいけないというような信仰を打ち破っていくようなことの方が、むしろ今の日本では有効な手段ではないかと思っているわけです。

 というのは、アメリカの場合には30歳以上の大学生が48%だという数字を見るだけでも、はるかにアメリカの方が柔軟な社会というものをつくり上げている。そういうことを考えていきますと、私たちはやはりこれから日本を教育立国でもって建て直していくよりしようがないというふうに私自身は思っておりますけれども、そういう形にしていくためには教育というものにパッションが伴っていかなければいけません。そして、このパッションというものは一時的なものではなくて持続的なものでなかったらやはりモラルがモラールに転化しないように、パッションとしての本来の意味合いを持たないし、それから結局いろいろなことを知っているけれども、しかし何一つ実を結んでいかないという形になってくるのではないか。

 ですから、私はいろいろな書類を見せていただきますし、いろいろな御意見を聞きますけれども、これはという徳目にしろ、方法にしろ、ほとんどいろいろ出尽くしているぐらい出ているのではないか。それを本当の意味で社会の中で生きていかせるためには、私は今の社会自身がもっとフレキシブルでなければいけない。そのフレキシブルというのはどういうことかというと、同一の年齢の者が同じスタートラインに 立ってその競争を始めるということではなくて、要するにそれぞれの年齢でその競争に加われるような仕組みというものを考えていかなければいけない。今の日本の大学のシステムというのは、高校を卒業して暗記したものが消え去ったときにはもう参加できないんです。高等教育に参加できるという条件をつくっていくということだったら、今の試験問題ではやっていけないのははっきりしているわけであります。そういう意味で、大学の在り方、大学だけではなくて教育全体のシステム、あるいは社会のもっと大きいシステムというものが変わっていかなければいけない。

 そこで、やはり一番問われるのは指導者の資質というか、指導者がやはりパッションというものを持続させるような、そういうかぎを握っていると思うのです。企業で言えばやはり社長が大事だと思いますし、政治で言えば総理大臣が大事だと思いますし、学校で言えばやはり学校の先生が頑張らなくてはいけないと私は思っておりまして、そういう人たちが頑張っていくということをもっと考えていくのであれば、それぞれの年代に応じたところでの指導者というものを見出せるような、そういった社会づくりということを考えていくよりしようがない。

 つまり、ハイブリッドでなければいかぬというのが私の基本的な考え方であって、余りにも日本の場合には何事も考え方が単線型過ぎるのではないか。その点について、私は今いろいろ出てきている知恵はそれぞれ全部正しいんだけれども、しかし、それをいつも同一の年齢、同一の地域、同一の仲間という、そこへ適用して、それでもって全体を律しようというやり方でいくと、結局行き詰まりを見ざるを得ないのではないかと、そういった感想を持っております。以上です。

○座長 ありがとうございました。
 こういう議論をしているとまだ1時間でも2時間でもできるわけですけれども、予定の時間をもう15分以上超過している状況でありますので、またこの次の回に御議論は譲って、少しく申し上げることがありますのでそれをお伝えしておきます。

 先ほど総理からごあいさつがありましたように、青少年問題は極めて重要であるということで、この会議でも今後も適宜、政府の措置、施策その他について御報告をいただき、かつ御意見を賜る。そういう意味で、今回がこの会議の終わりではないということを申し上げておきたいと思います。

 それから、次回の具体的な日程につきましては改めて事務局から御相談をさせていただきます。議事録もでき上がり次第、私が内容を確認した後、各委員にお送り申し上げ、公表もいたします。

 それでは、これで今日の会合を終わります。どうもありがとうございました。

以上