事故災害防止安全対策会議
事故災害防止安全対策会議報告書 概要
平成11年12月8日
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1.基本認識
「安全文化」の創造、安全教育の充実等を通じて社会全体での安全意識を高めることにより、事故災害の防止及び被害の低減を図り、安全に対する国民の信頼を回復する。
2.基本的な考え方
(1)「安全文化」の創造、安全教育の充実等を通じて、社会全体での安全意識(モラル)を高めるための努力が必要
(2)安全確保のためには、適正なコスト負担が必要であることを共通の認識とするように社会全体で取り組むことが必要
(3)事故防止のためには、事業者等におけるリスクマネジメントシステム、すなわち、事故発生の未然防止や発生した事故の速やかな処理を行うことにより、組織の損害を最小コストで最小限に食い止めるシステムの普及、促進が必要
(4)事故を防止するためには、過去の事故の原因や状況の分析、ヒューマンファクターに関する調査研究等の科学的アプローチが必要
(5)機械・システムについて、フェイル・セ−フ、すなわち、仮にエラーが発生してもすぐには事故につながらないようにする等の観点に立った設計・開発が必要
(6)万が一事故が発生した場合においても、その被害、影響を最小限に抑えるための体制づくりが必要
(7)安全対策の実施にあたっては、常にその効果の評価を行うとともに、不断の見直しが必要
(8)安全性向上のためには、事業分野の内外を問わず、情報の共有と公開が必要
(9)事故災害に関しては、再発の防止を図るため、徹底した原因究明と事業者の責任の明確化等の事後チェックが重要
3.「安全文化」の創造、安全意識の徹底を図るための政府の取組
(1)学校教育全般を通じた安全教育の充実のための対策
- 初等中等教育における、各教科や道徳等学校教育全般を通じて安全に関する意識を高める教育の推進
- 安全教育に関する指導用の資料の配布等安全教育への積極的な取組の促進
- 児童生徒の科学や技術に対する興味・関心を高めるための「ふれあいサイエンスプログラム」、「子ども科学・ものづくり教室」等の事業の中で安全教育の観点に配慮
- 技術者教育の認定制度(アクレディテーション・システム)を通じた技術者倫理に関する教育の充実
- 「インターンシップ」(学生等の就業体験)の機会を通じた安全教育の推進等高等教育における安全教育の充実
(2)事業者等における安全教育と安全意識の徹底を図る対策
- 安全又は衛生のための特別の教育を行うべき対象業務の拡大
- 危険を伴う業務従事者の資格制度について、経験年数に応じた再度の教育訓練のシステムの導入の検討
- 大学等の高等教育機関における技術者・研究者等を含む社会人を対象とした安全教育に関連する再教育の取組の促進
- 労働安全衛生マネジメントシステム(事業者が労働者の協力の下に一連の過程を定めて継続的に行う自主的な安全衛生活動)等のリスクマネジメント手法の普及・促進
- 技術士資格制度に関し、高い職業倫理を備えること等を主要な要件に追加すること等の改善の実施
- 産業界が中心となった技術者教育プログラムにおける技術者に対する倫理教育の徹底 等
(3) 事業者等における法令遵守の徹底と法令違反に対する厳正な対処
- 事業者に対する法令遵守の指導の徹底
- 国の立入検査等の効果的な実施
- 法令違反に対する行政処分の厳正な実施及び刑事責任の究明の徹底
- 法令違反を犯した事業者等に対する罰則規定の見直し
4.事業者等において取り組むべき安全確保のための対策
(1)事業者等の組織的な安全への取組
- 労働安全衛生マネジメントシステム、ISO9000シリーズに基づく品質マネジメントシステム等のマネジメントの手法の導入による社内体制の整備
- 安全な作業マニュアルの策定、作業手順等の安全性を保証する責任者を選任する仕組みの事業場への導入促進
- 安全管理に関する専門知識を有する適切な人材の育成及び適正な配置、労働者個人の業務負担増に配慮した人事配置・人事管理
- 請負業者を含めた組織全体での安全管理体制の整備
- 緊急時対応マニュアル等緊急時対処対策の整備 等
(2)労働者の安全教育の充実等
- 雇入れ時の安全衛生教育の徹底
- 事故、異常事態に対する対応方策についての訓練の充実
- 事業所における保安意識・対策の向上に向けたケース・スタディ等への取組の普及、促進
- 事業者による教育訓練についての支援及び業界団体を活用した研修の促進
5.検査点検体制の充実強化
- 品質管理体制及び品質評価技術の充実強化
- ISO9000シリーズに基づく品質マネジメントシステムの導入・展開
- 保守点検マニュアルの作成・充実、点検週間の設定等による定期的検査の実施の徹底
- 機械・設備等の検査点検を適切に行うため、外部専門家等の活用の促進 等
6.機械・システムの安全性の向上の促進
- システム自体の高度化(自動化・機械化)による安全性と信頼性の向上
- フェイル・セーフ等のシステム導入の推進
- 事故発生時の被害を軽減する構造・システム等の導入 等
7.情報の共有化と公開の推進
- 作業の危険性等に関する情報及びその防止対策の共有化の推進
- 過去の事故・インシデント情報の把握、分析及び活用の推進
- 国、地方公共団体、事業者、住民等の連絡調整網の整備と事故発生時の迅速かつ的確な情報提供 等
8.本報告書の位置付け
- 本報告書で示された対応方策は、各省庁、地方公共団体及び事業者等において、今後の事故防止対策を検討する際のガイドラインとなるよう、考えうる基本的な方策をできる限り多く盛り込むことを旨としている。
- 事故防止のための方策は、各業種、事業者等に応じて異ならざるを得ないものであるため、本報告書を踏まえて、各省庁、地方公共団体及び事業者等において、それぞれの実状に応じて取り組んでいくことが望ましい。
9.関係省庁における取組
関係省庁においては、本報告書を踏まえ、所管事業に係る個別的、具体的な安全対策についての取組を促進することとし、平成12年3月までに内閣官房にその実施状況を報告するものとする。
10.ものづくり能力の再構築のための検討
最近多発している事故災害は、我が国が得意としてきた品質管理等を含むものづくり能力に深刻な問題があることを示唆しており、ものづくり能力の再構築に向けて、別途、専門的な検討が必要。