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経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003

(目  次)
第1部 日本経済の課題
1.日本経済の体質強化
2.デフレの克服
3.「3つの宣言」と「7つの改革」
(1)経済活性化
(2)国民の「安心」の確保
(3)将来世代に責任が持てる財政の確立
第2部  構造改革への具体的な取組
1.規制改革・構造改革特区
2.資金の流れと金融・産業再生
3.税制改革
4.雇用・人間力の強化
5.社会保障制度改革
6.「国と地方」の改革
7.予算編成プロセス改革
第3部  16年度経済財政運営と予算のあり方
1.経済財政運営の考え方
(1)今後の経済動向と当面の経済財政運営の考え方
(2)中期的な経済財政運営の考え方
2.平成16年度予算における基本的な考え方
(1)歳出改革路線の堅持と財政の持続可能性の確保
(2)予算編成に当たっての重点と抑制の考え方
(3)主要予算の改革
(別紙1)「530万人雇用創出プログラム」の具体的な施策
(別紙2)「国庫補助負担金等整理合理化方針」


経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003


第1部 日本経済の課題


1. 日本経済の体質強化

 構造改革の基本理念は、「改革なくして成長なし」、「民間でできることは民間に」、「地方でできることは地方に」という方針に集約される。この基本理念の下、これまでの2年間、政府は構造改革に着実に取り組んできた。日本経済再生のタネは、その結果、構造改革特区の導入、「金融再生プログラム」に基づく不良債権処理の促進等、徐々に蒔かれつつある。
 しかし、本格的に取り組むべき課題が依然多く残っており、改革は途半ばである。タネが確実に花開く努力を重ねると同時に、日本の将来を生みだす新たなタネを蒔かなければならない。「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」は、構造改革を更に本格的に推進するため、これまでの進展を点検・評価した上で、構造改革の基本方針を「3つの宣言」と「7つの改革」という形で新たに打ち出す。その枠組みに沿って政府が今後特に推進する施策を明らかにする。
 構造改革よりは、短期的な景気対策を優先させるべきとの主張がある。構造改革の目的は、国民に我慢を強いることではない。これまでの古い制度や政策手法が限界に近づいていることは明らかであり、我が国は先進国中最悪の危機的財政状況の中で「持続可能」な形での政策運営を迫られている。一時的ではなく持続する経済成長、長持ちする景気拡大を実現するには、構造改革を推進して、日本経済の体質を改善して「元気な日本経済」を実現するしかない。
 「元気な日本経済」は個性と魅力ある「元気な地方」に支えられて実現する。そのためには、地方が持つ潜在的な力を十分に開花させていく必要がある。


2.デフレの克服

 日本経済は、輸出の増加を背景に持ち直し、平成14年度の実質経済成長率は1.5%のプラス成長となった。しかし、14年後半以降、輸出の増勢が弱まったことなどから、このところ景気は横這いで推移している。日本経済の体質を強化して、内需主導の自律的回復を実現するという依然大きな課題を残している。
 また、平成14年度の名目経済成長率は0.7%のマイナスとなっており、依然としてデフレ(一般物価水準の継続的下落)が続いている。加えて、資産価格の下落も続いている。デフレは企業の実質債務負担を増加させ、地価の下落は担保価値を引き下げ、不良債権問題の解決を妨げている。想定以上に厳しい内外経済環境の下で、デフレ傾向は根強く、これを早期に克服することが依然大きな課題として残されている。
デフレ克服と同時に、構造改革によりプラスの実質経済成長率を達成することが重要であり、それに応じたプラスの名目経済成長率が実現される。
 デフレ克服に向け、今後とも、政府は、日本銀行と一体となって強力かつ総合的に取り組む。日本銀行には、実効性ある金融政策運営の展開を期待する。また、デフレと不良債権問題との間には相互関係があり、より強固な金融システムの構築が必要である。政府は、「金融再生プログラム」に基づき、平成16年度に不良債権比率を半減させるという目標の実現に取り組んでいる。本年6月には、金融危機を未然に防ぐため、りそな銀行に対する資本増強を決定した。また、証券市場の構造改革、不動産市場の活性化、住宅・土地、金融・証券税制の軽減措置などを実施している。こうした取組を通じ、「改革と展望−2002年度改定」(平成15年1月24日閣議決定)で示したように、集中調整期間の後にはデフレは克服できると見られる。


3.「3つの宣言」と「7つの改革」

 構造改革が目指す目標は、「経済活性化」、「国民の『安心』の確保」、「将来世代に責任が持てる財政の確立」の3つを実現することである。大胆な規制改革などにより民間の持てる力を最大限引き出さなければ、元気な日本経済は実現しない。国民が老後や医療に不安を抱えていては、元気な日本経済は実現できない。財政が破綻するおそれがあっては、元気な日本経済は実現できない。
 構造改革の勢いを維持するには、これまで以上に国民の生活に密着した分野での構造改革を行い、「日本が変わった」と国民が実感できるようにすることが必要である。このためには、「官から民へ」を明確に制度・規制改革として実現し、「国から地方へ」を、地域の視点・現場重視の発想により積極的に推進し、財政構造改革を進める中で予算配分を抜本的に見直しながら新しい予算編成プロセスの導入を実現しなければならない。
 政府は、以下の「3つの宣言」・「7つの改革」に基づき、今まで以上に強力に構造改革を推進する。あわせて、経済情勢によっては、大胆かつ柔軟な政策対応を行うこととする。


(1)経済活性化

 宣言:民間の活力を阻む規制・制度や政府の関与を取り除き、民間需要を創造する。

 日本経済の体質を強化して、内需主導の元気ある経済を創造するために、環境 と経済の両立を図りつつ、未来への投資を通じて民間経済がもつ創意工夫を十分に発揮できる環境を整備する。具体的には以下の4つの改革に取り組む。

  改革1:規制改革・構造改革特区
  改革2:資金の流れと金融・産業再生
  改革3:税制改革
  改革4:雇用・人間力の強化


 これらの施策のほか、起業支援を強化するとともに、戦略的な研究開発の実施、コンテンツ(情報内容)やIT産業等の持つ潜在力の顕在化等を通じて日本ブランドの確立を図る。「科学技術基本計画」に基づく施策を進め、生活支援技術を含む日本の明るい未来の創造に役立つ技術開発を推進するとともに、「e-Japan戦略II」に基づき第2期IT革命を推進する。また、WTO新ラウンドを推進しつつ、FTA(自由貿易協定)を推進する。さらに、日本の市場をグローバリゼーションに対応した構造とし、対日直接投資を促進することを通じて、消費者の利益と安全を重視しつつ我が国の国際競争力を強化する。環境産業の振興やエネルギー技術との連携を深め、循環型社会の進展を図る。


(2)国民の「安心」の確保

 宣言:持続可能な社会保障制度を構築し、若者が将来を展望でき、高齢者も安心できる社会をつくる。

 社会保障制度について、現状の制度を将来にわたって維持すれば、高齢化に伴い若年世代の負担が増加し、若年層の負担の重圧により経済の活力が阻害される懸念がある。また、少子高齢化の進行を背景として度重なる年金制度の改正が行われたことや世代間の不公平があることによって、国民の年金不信が強まっている。
 21世紀型経済社会は、個人が健康に暮らし、自由な選択と自己責任の下で何度でも挑戦できる元気な社会でなければならない。老後の不安、病気の心配、倒産や失業へのおそれ、災害や治安への心配や食の安全への懸念が強いと、元気ある日本経済は実現できない。持続可能で効率的な制度を確立することなどにより国民の「安心」を構築することは、政府の責務である。

 このため、世代間・世代内の公平を図り、持続可能で信頼できる「社会保障制度」に改革する。年金・医療・介護・生活保護を一体的にとらえ、制度設計を相互に関連づけて行う。


  改革5:社会保障制度改革

 また、雇用や中小企業のセーフティネットを確保する。様々な側面での生活の「安全」「安心」は国民生活の基礎であり、緊急事態対応体制の整備を含め、これを十分に確保する。

(3)将来世代に責任が持てる財政の確立

宣言:財政の信認を確保し、成果を重視する。

 我が国は、大幅な財政赤字が続き、政府は巨額の債務残高を抱えている。近年の財政構造改革への取組を反映して、歳出規模は抑制されているものの、国・地方ともに財政赤字が拡大し、債務残高は高水準に達している。現在の制度・政策を続ければ、今後、債務が一層拡大し、財政破綻に至るおそれがある。
 現行制度を維持する場合、公債残高の増加に伴う利払い費の増加、高齢化の進展による社会保障給付費の増加等により、今後、政府の規模は、趨勢的に増大していくこととなる。プライマリーバランスを黒字化する(過去の借金の元利払い以外の歳出は新たな借金に頼らない)など財政を健全化していくため、民間需要主導の持続的な経済成長を実現すると同時に、政府全体の歳出を国・地方が歩調を合わせつつ抑制することにより、例えば潜在的国民負担率で見て、その目途を50%程度としつつ、政府の規模の上昇を抑制する。


 このため、歳出全体の改革を引き続き強力に推進するとともに、地方自治の本来の姿を実現する観点や国民への説明責任を果たす観点を踏まえつつ、以下の改革に取り組む。

  改革6:「国と地方」の改革
  改革7:予算編成プロセスの改革



第2部.構造改革への具体的な取組


 第1部の3つの宣言を実現するため、以下の7つの分野で構造改革に取り組む。

1.規制改革・構造改革特区
  ―――医療や子育てなどの国民生活に直結した分野や、ビジネスニーズの高い分野等で規制改革・構造改革特区を推進し、消費者の選択肢とビジネスチャンス・雇用の拡大を図る。また、事前規制の緩和、撤廃に併せて、事後チェック体制の充実を図る。

【改革のポイント】
(1) 医療・福祉・教育・農業など、官の関与の強いサービス分野の民間開放を促進することにより、消費者・利用者の選択肢の拡大を通じた多様なサービス提供を可能とするとともに、新規需要と雇用の創出を加速化する。
(2) 地方や民間から定期的に全国規模の要望及び構造改革特区の提案を受け付け、これらの項目については、「全国」あるいは「構造改革特区」で規制改革を強力に推進するとともに、構造改革特区においては、規制の特例措置の効果等を評価し、特段の問題のないものは速やかに全国規模の規制改革につなげる。

【具体的手段】
(1) 「規制改革推進のためのアクションプラン」(平成15年2月17日総合規制改革会議。以下、「アクションプラン」)の12の重点検討事項については、次のとおり改革を進める。
1)株式会社等による医療機関経営の解禁
 構造改革特区における株式会社による医療機関経営の状況等を見ながら、全国における取扱いなどについて更に検討を進める。(構造改革特区における株式会社の医療への参入については後述)
2)保険診療と保険外診療の併用の拡大
 特定療養費制度における高度先進医療について、一定の基準を満たした場合には、医療技術及び病院ごとの個別の承認を必要とせず、迅速に認める仕組みについて検討し、結論を得て、平成15年度中に措置する。また、医療技術の向上の観点から、高度先進医療への新技術の導入の迅速化を図ることにより、対象技術の範囲の拡大を促進する。
3)医薬品販売体制の拡充
 医薬品の一般小売店における販売については、利用者の利便と安全の確保について平成15年中に十分な検討を行い、安全上特に問題がないとの結論に至った医薬品すべてについて、薬局・薬店に限らず販売できるようにする。
4)新しい児童育成のための体制整備
 近年の社会構造・就業構造の著しい変化等を踏まえ、地域において児童を総合的に育み、児童の視点に立って新しい児童育成のための体制を整備する観点から、地域のニーズに応じ、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置を可能とする(平成18年度までに検討)。
 あわせて、幼稚園と保育所に関し、職員資格の併有や施設設備の共用を更に進める。
5)公立学校の管理・運営の民間委託等
 公立学校の民間への包括的な管理・運営委託について、早急に中央教育審議会で検討を開始する。特に高等学校中退者を含めた社会人の再教育、実務・教育連結型人材育成などの特別なニーズに応える等の観点から、通信制、定時制等の高等学校の公設民営方式について平成15年度中に結論を得る。
 株式会社等による学校経営については、構造改革特区における実施状況についてできるだけ速やかに評価を行い、検討を進める。
6)株式会社等による農地取得の拡充
 株式会社等の農地取得に関しては、改正農業経営基盤強化促進法に基づき、農業生産法人に対する株式会社の出資制限を緩和する措置を平成15年度中に実施する。
7)労働者派遣の医療分野への適用拡大
 医療機関における労働者派遣については、紹介予定派遣の方式により行うことを可能とし、平成15年度中に実施する。
8)大学・学部・学科の設置等の弾力化
 大学の校地面積基準については、構造改革特区における特例措置の状況等を踏まえ全国拡大を図ることについて検討を進め、遅くとも1年以内に結論を得る。また、大学を設置する学校法人の校地・校舎の自己所有要件の緩和については、平成15年中に検討し、結論を得る。
 学部・学科の設置認可の弾力化について、本年度から施行された制度改正の実施状況等を踏まえ、今後更に検討する。
9)高層住宅に関する容積率の緩和
 都心居住の一層の推進を図るため、平成15年中に、都市計画制度の運用実態について総点検を行い、その結果を踏まえ、関連都市計画制度が積極的かつ円滑に活用されるよう、包括的な運用指針を策定するとともに、用途別容積型地区計画における住宅の容積率割増し算定方法の多様化を含め、容積率割増しに関する弾力的な運用を図る。
10)職業紹介事業における地方公共団体・民間事業者の役割の大幅拡大
 有料職業紹介事業に関する求職者からの手数料規制については、年収要件の大幅引下げ(年収1200万円超を例えば700〜800万円超へ)等を平成15年度中に可及的速やかに行う。
 ハローワークの職業紹介関係業務については、平成16年度から、例えば長期失業者就職支援などを示して、民間委託を拡大する。その際、成果に対する評価に基づく委託費の支給を行う。
 無料職業紹介事業については、地方公共団体、民間事業者、学校等とハローワークとの総合的連携の下に、地域の新たな取組として、若年者に対して職業に関する情報提供・コンサルティングから職業紹介までの幅広いサービスをワンストップで行うセンターを、平成16年度から設置する。
11)株式会社による特別養護老人ホーム経営の全国展開
 構造改革特区における公設民営方式またはPFI(民間資金等活用事業)方式による株式会社の特別養護老人ホーム経営の状況や、施設体系のあり方の見直しの状況を見ながら、全国における取り扱いなどについて更に検討を進める。
12)株式会社による農業経営(農地のリース方式)の全国展開
 構造改革特区で認められた「農地のリース方式」の全国展開については、その実施状況及び地域農業への効果、影響等の検証を行い、その評価を踏まえて全国展開について検討し、平成16年末までの間で可能な限り速やかに結論を得る。
(2) 上記の12の重点検討事項については、今回の「アクションプラン」での取組を改革の一里塚として、引き続き規制改革に取り組み、その成果を本年末にまとめる総合規制改革会議の答申に盛り込む。
(3) 最終年度となった総合規制改革会議は、経済財政諮問会議との連携を強化しつつ、規制改革を更に加速させる。なお、来年4月以降の規制改革の推進のあり方について、今後、引き続き検討する。
(4) 6月以降も引き続き「規制改革集中受付月間」を設け、地方や民間から定期的に全国規模の要望及び構造改革特区の提案を受付け、「実現するためにはどうすればよいか」という観点から検討を行い、可能な限り多くの規制改革を全国又は構造改革特区において実現する。
(5) 構造改革特区を通じた規制改革の加速化
構造改革特区における株式会社の医療への参入について、地方公共団体などのニーズに即し、自由診療の分野において、高度な医療を提供する病院又は診療所の開設を可能とするよう、速やかに関連法令の改正を行う。
地方公共団体の構造改革特区計画の申請を四半期ごとに受付け、地方公共団体に適切な助言等をしながら、認定基準を満たす構造改革特別区域計画については、すべて速やかに認定を行う。
構造改革特区で講じられた規制の特例措置の効果等を評価するための民間人からなる委員会を7月中に設立し、年内に評価方法や基準等を検討する。認定された構造改革特区において実施されている規制の特例措置について、評価のための委員会で特段の問題の生じていないと判断されたものについては、速やかに全国規模の規制改革につなげる。
(6) これまで実施した規制改革が、どれだけの新規参入や新規雇用を創出したか等を明確にし、その上で、十分な成果が生まれるよう改革を進める(成果主義の規制改革)。

2.資金の流れと金融・産業再生
  ―――資金の面でも「官から民へ」流れが戻り、家計の豊富な金融資産が民間の成長分野に円滑に投資されるよう改革する。

【改革のポイント】
(1)不良債権問題を解決し、間接金融を再生させ、金融システムを強化する。
(2)証券市場の構造改革と活性化を推進し、直接金融の拡大・充実を図る。
(3)郵便貯金・簡易保険、年金の資金の調達・運用やリスク管理のあり方等について、引き続き検討する。
(4)財政の状況を総合的に明らかにしつつ、公的な支出の規律を高める。
(5)政策金融のあり方について更に検討を進める。
(6)公的債務のリスクを適切に管理する。
(7)産業を再生させ、地域経済を活性化し、過剰債務問題を解決する。

【具体的手段】
(1)金融改革
1)金融システムの強化
金融システムの信頼を高め、金融機関が本来の仲介機能を回復するため、必要な検査監督体制の下、「金融再生プログラム」等の着実な実施を通じて、平成16年度に不良債権問題を終結させることを目指す。
民間金融機関に対し、リスクを見極めそれに見合った金利を設定することを含め、収益力のあるビジネスモデルの構築を促す。
事業会社をはじめ様々な担い手の金融分野への参入に関する環境整備を図る。
公的資金を迅速に投入することを可能にする新たな制度の創設の必要性などについて検討し、必要な場合には法的措置を講ずる。
金融機関の自己資本強化のための繰延税金資産の扱い方や関連する税制について引き続き検討を行う。
2)証券市場の構造改革と活性化
郵便貯金や銀行預金など、元本保証の資産で運用する傾向を強めている家計貯蓄の証券市場への流入を促進し、リスクマネーの流れを拡大するため、「証券市場の構造改革と活性化に関する対応について」(平成15年5月14日証券市場活性化関係閣僚等による会合)の諸施策を着実に実施・検討する。
国債の保有が民間金融機関に偏っていることは、国債価格の潜在的な不安定性や、それに伴うリスクをもたらしていると考えられる。そこで国債・地方債の商品性を向上させ、販売網を整備し、個人による長期的保有の増加など保有者層の多様化を図る。
3)公的部門における取組
郵便貯金・簡易保険について、郵政公社による経営改革の状況を踏まえ、民間金融との役割分担、将来の金利上昇によるリスクへの対応、証券市場の活性化などの観点から、資金の調達・運用のあり方やALM(資産・負債総合管理)の充実について引き続き検討する。
年金資金についても、その規模、リスク管理、及び資金運用のあり方について、社会保障制度改革の動きを踏まえつつ引き続き検討する。
公的資金の用途の中には、市場のチェックを受けないこともあって、更なる効率化の余地があるものもあると考えられる。このため、特別会計、特殊法人、独立行政法人及び政府保証などの状況も含め、国の財政状況を国民に分かりやすい形で総合的に明らかにし、特殊法人の経営の見直しも含め、公的な支出の規律を高めることに役立てていく。
中小企業のセーフティネットの充実など金融円滑化・多様化(不動産担保に依存しない手法の推進等)や産業再生のために政策金融を有効活用していく一方で、民間金融の再生を妨げることのないように、長期的に望ましい役割分担の姿に向けて、更に検討を進める。
国債残高が膨大になる中で、公債市場の安定性を高めるとともに、資金調達コストを最小化していくために、公的債務の各種リスクを適切・専門的に管理するとともに、説明責任の充実を図る。
(2)産業再生
1)産業面の構造改革
不良債権問題を企業・産業の過剰債務問題と一体的に解決する観点から、過剰債務企業が抱える優良な経営資源を再生するために、産業再生機構、中小企業再生支援協議会、改正産業活力再生特別措置法等を活用し、企業の事業再構築、産業再編等による産業面の構造改革を促進する。
2)地域経済
地域金融の側面では、中小・地域金融機関のリレーションシップバンキング(注)機能を強化し、中小企業の再生と地域経済の活性化を図る。
(注) 金融審議会金融分科会第二部会「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」(平成15年3月)においては、「必ずしも統一的な定義は存在しないが、金融機関が顧客との間で親密な関係を長く維持することにより顧客に関する情報を蓄積し、この情報を基に貸出等の金融サービスの提供を行うことで展開するビジネスモデルを指すのが一般的である」とされている。

3.税制改革
  ―――持続的な経済社会の活性化を目指し、将来にわたる国民の安心を確保する税制への改革を進める。

【改革のポイント】
(1)「包括的かつ抜本的な税制改革」に引き続き取り組む。
(2)社会保障制度改革と整合性をとって税制改革を行う。
(3)「国と地方」の「三位一体の改革」と整合性をとって税制改革を行う。
(4)負担に対する国民の納得が得られるよう、納税と徴税の環境を整える。
【具体的手段】
(1) 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(平成14年6月25日閣議決定。以下、「基本方針2002」)の考え方を踏まえ、「改革と展望−2002年度改定」で掲げた次の事項を中心に、引き続き税制改革に取り組む。
持続的な経済社会の活性化のための税制改革
租税負担と社会保障負担の総合的な検討
国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方
(2) 家計の金融資産を証券市場に振り向け、将来の成長に結びつけるために、金融資産からの収益を一体化して課税する方式に向けて検討を行う。
(3) IT化に対応した納税申告と税の徴収を進める。サラリーマンの申告納税の拡大・納税者ID制度等の検討によって、より信頼できる徴税と納税の環境を整える。
(4) 平成18年度までに、国と地方双方が歳出削減努力を積み重ねつつ、必要な行政サービス、歳出水準を見極め、また経済活性化の進展状況及び財政事情を踏まえ、必要な税制上の措置を判断する。

4.雇用・人間力の強化
  ―――雇用については、何歳であっても、能力を開発し、拡大するサービス産業などで仕事の機会が得られる労働市場をつくる。特に、若年者の働く意欲を喚起しつつ、すべてのやる気のある若者の職業的自立を促進する。また、女性の能力発揮のための取組の推進を図る。さらに、高齢者の活力の活用を図る。教育については、義務教育から大学までの教育の質を高める。
【改革のポイント】
(1) 観光などサービス産業を中心として、雇用機会の拡大を図る必要がある。
(2) 雇用政策については、関係機関の連携、地域の自主性、利用者選択の拡大を図るとともに、民間事業者への委託など、民間の最大限の活用が重要である。特に、若年者に関しては、地域の主体的取組による民間活用に留意した新たな仕組みが必要である。
(3) 国民の求める安心の実現に向けて、雇用の維持努力とともに雇用機会の拡大、失業等に関連する適切な情報やサービスの提供が必要である。
(4) 義務教育の質向上を図るため、学校評価や学校選択の自由の拡大及び教員の意欲と能力に応じた処遇等が必要である。
(5) 大学教育の質向上を図るため、大学改革の着実な推進と、第三者機関による厳格な成果評価等による競争環境の整備が必要である。

【具体的手段】 
(1)雇用制度改革
今後の時代を担う若年者の人間力強化のため、「若者自立・挑戦プラン」を推進する。その際、地域、企業、若年者の状況に十分配慮する。
若年者について、現下のフリーター、無業者の増大に対処し、職業人としての自覚の涵養・職業意欲の喚起を前提として地方自治体、学校、民間団体、民間事業者との密接な連携・協力の下に、複数紹介、トライアル雇用や就職支援相談員(ジョブ・サポーター)を活用した一対一の個別総合的な職業相談・紹介体制を整備する。
企業ニーズ等労働市場の状況に応じ企業実習と教育・職業訓練を組み合わせた若年者への「実務・教育連結型人材育成システム(日本版デュアル・システム)」を導入する。
全国一律的な制度から、地域の個性や自主性を活かした雇用促進策へ転換する。地域の新たな取組として、自治体と地域の企業、学校、ハローワーク、民間事業者等の連携の下、その実情に応じ若年者のためのワンストップ・センターを整備する。
長期失業者に民間事業者を活用して集中的な就職相談、効果的な職業訓練・職業紹介等を行う。その成果に対する評価に基づく報酬等の誘因を付与する。また、労働市場の状況を反映しつつ個人の選択を機能させた職業訓練等を行う。
労働市場の環境整備のため、キャリア・コンサルティングを担う人材の育成・活用や産業のニーズに応じた職業スキル標準・カリキュラムの策定、職業能力評価制度の整備等を進める。
社会貢献活動やワークシェアリング等、多様な雇用・就業機会の提供等を推進するとともに、育児休業の取得推進や保育サービスの強化・充実など、子育てをしながら働ける環境整備を推進する。
「男女共同参画社会」の実現を目指して、指導的地位に女性が占める割合が2020年までに少なくとも30%程度になるよう期待し、平成15年度においては、関連情報のワンストップ・サービス化、ネットワーク化など女性のチャレンジ支援策に取り組む。
障害者の雇用・就業を促進するため、トライアル雇用、能力開発、在宅就業の支援等を進める。
国民の求める安心の実現に向け、一元的に雇用や失業関連の情報を提供する。
旧国立研究所など公務員型独立行政法人について、その業務の内容により非公務員型独立行政法人化を進める。
(2)雇用機会の創造
サービス分野における規制改革や公的部門の外部委託の推進、情報提供、人材の育成支援、観光立国の実現及び休暇の取得促進・分散化等により、「530万人雇用創出プログラム」を着実に推進する。特に、サービスの生産を担う人材の質的強化は、サービスの品質や生産性を高め、競争力や付加価値の高いサービス産業の発展・創業を促進する上で重要である(具体的な対策例は別紙1参照)。
公的サービスの外部委託を計画的に進め、NPO等を活用するほか、総合的な健康サービス産業、文化産業の創出などにより地域事業を創出する。
「起業」による就業機会の拡大を図るため、ベンチャー企業向けの実践型就業実習の実施や創業・技術経営(MOT)の知識習得のための実効的カリキュラム・講座・ビジネス支援図書館の整備等により、総合的な事業化・市場化支援を推進する。また、創業塾を充実し若手経営者等による「第二創業」の支援を図る。
大学における知的財産創出、大学発ベンチャー1000社計画や企業発(スピンオフ)ベンチャー支援等による研究開発型ベンチャーの創出、知的財産推進計画の推進、知的技術革新・産業集積の充実を一体的に推進する。このため、最低資本金制度の撤廃の恒久措置化、有限責任会社(LLC)・有限責任組合(LPS)の早期創設、全国レベルでの見本市の開催、起業化支援機能の強化、特許審査の迅速化、投資ファンドに対する支援策の改善等を行う。
(3)義務教育改革等
1)義務教育改革
義務教育面では、時代や社会の要請に応え、基礎・基本の十分な定着を図るとともに、コミュニティ・スクール導入に向けた制度整備や習熟度別少人数指導等、地域の実情や子供の個性に応じた多様な教育・指導方法の工夫を進め、子供の学習意欲の向上も含め「確かな学力」の向上を目指す。この一環として、教員の一律処遇からやる気と能力に応じて処遇するシステムへの転換を進める。
2)教育と雇用の連携等
小中学校、高校等で、地域や企業等の協力を得て、就業体験、子供参観日(親の職場を子供が参観)などのキャリア教育を推進し、就業意欲を高める。また、体験・参加型の起業家教育を強化する。
専門職大学院の設置等、専門職業人養成を目的とする高度で多様な教育機会を拡大するとともに、就学休業(キャリアブレイク)制度を推進する。
人間力を養う柱となるとともに、食の安全・安心確保の基礎となる「食育」を関係行政機関等の連携の下、全国的に展開する。
(4)大学改革
国立大学の法人化に当たっては、中期目標の作成及び中期計画の認可に際し、大学の自主性・自律性を最重視する。また、監査・評価については、情報公開を推進しつつ、簡素化・効率化する。
学部・学科設置及び定員配分等について、各大学の主体的・機動的な組織編成を可能とし、運営に関する大学の創意工夫を生かすなど、自由で競争的な環境をつくる。また、人事面で政府は極力介入しない。
国立大学の法人化に当たっては、大学の特性に配慮しつつ独立行政法人に準じた予算化が行われることとなっており、事業運営と予算について、「宣言‐実行‐評価」のプロセスを確実なものとする。
運営費交付金については、明確な基準に基づいて算定することとし、その際法人化される各大学の自助努力を阻害しない仕組みとする。施設費補助金についても、中期計画に基づき弾力的・効率的に執行する。
教育については、大学への補助を一層重点的・競争的なものにするとともに、奨学金を充実する。

5.社会保障制度改革
  ―――世代間・世代内の公平を図り、持続可能で信頼できる社会保障制度に改革する。

【改革のポイント】
(1)経済と調和し、かつ、国民生活の安心を確保できる、持続可能な社会保障制度を確立することが、経済社会の活力の源である。このため、活力ある高齢社会を構築する中で、国民の安心を確保しながら、社会保障給付費の伸びを抑制し、国民負担率の上昇を極力抑制する。
(2)年金制度は、現行制度のままでは、若年世代の負担が過重なものとなり、世代間のバランスを失することになってしまうことから、給付と負担の改革を行う。また、「生涯現役社会」や「男女共同参画社会」の理念に合致した制度に向けた改革を行う。
(3)保険者の再編・統合、高齢者医療制度、診療報酬体系についての基本方針の早期具体化、増大する高齢者医療費の伸びの適正化方策や公的保険給付の内容及び範囲の見直し等の課題の早期検討・実施、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(平成13年6月26日閣議決定。以下、「基本方針2001」)に盛り込まれた「医療サービス効率化プログラム(仮称)」の早期の完全実施など、医療制度改革を加速する。
(4)年金・医療・介護・生活保護などの社会保障サービスを一体的にとらえ、制度の設計を相互に関連づけて行う。
【具体的手段】
(1)社会保障給付費の伸びの抑制
 今後の一層の少子高齢化の進行の下で、政府の規模を抑制するとの方針を踏まえ、医療制度改革を加速するとともに、年金制度や介護制度について新たな改革を行い、持続可能な制度を確立し国民の安心を確保しながら社会保障給付費の伸びを抑制する。その際、自助努力や民間部門の活用を図ることが重要である。
(2)年金制度の改革
 平成16年に予定される次期年金制度改正においては、後述の課題を念頭におきつつ、次の1)〜8)の基本的方針に沿った改革を行う。これにより、頻繁に制度改正を繰り返す必要のない恒久的な改革とする。
1) 現行の給付と負担の水準では制度は維持できない。持続可能な制度を構築するためには、将来の現役世代の負担を過重にしないため、早期の給付調整を図ることを基本とする。その際、年金受給者や年金受給の近い者に対して、急激な変化をもたらさないよう配慮する。
2) 保険料は引き上げざるを得ないが、将来の最終的な保険料については、国民負担率の上昇抑制と、将来の現役世代の過重な負担の回避という視点を重視し、決定する。保険料の引上げは早期に行う。
3) 基礎年金の国庫負担については、平成12年年金改正法附則の規定を踏まえ対応する。
4) 将来における負担を一定水準に固定し、既に年金を受給している者も含めて、人口や経済の状況変化に応じて給付を自動的に調整する仕組みの導入を念頭に置き、長期的な給付と負担の均衡を図る。
5) 年金給付については、4)にあわせて、片働き世帯を前提とした給付水準の見直しを行うとともに、高齢者の経済格差に配慮した給付抑制や負担のあり方についての検討を行う。
6) 積立金については、その水準は将来に向けて、年金の支払に支障のない程度まで抑制する。積立金の運用は、独立した第三者機関で効率的に行い、受託者責任を厳正に適用する。
7) 第3号被保険者制度の見直し、短時間労働者の年金適用、在職高齢者についての給付のあり方の見直しなど、女性や高齢者の就労を阻害せず、働くことに中立的な制度とする。
8) 年金制度の未納・未加入者に対する徴収の強化を徹底する。
 また、以下の課題についても検討を行う。
(i) 基礎年金の負担の仕方は、現在、職業等によって異なっているが、基礎年金の役割・位置付けを明確にし、職業を問わず共通の負担の仕組みとなるよう給付の仕組みと併せて検討を進めること。
(ii) 将来の生涯現役社会を展望した支給開始年齢のあり方について、雇用と年金の連携を考慮しつつ、検討を行うこと。
(3)医療制度の改革
 国民皆保険体制の下で、医療サービスの多様化・質の向上と患者による選択の拡大を図るとともに、公的医療費の伸びの抑制を図り、経済・財政とも均衡のとれたものとなるよう、持続可能性のある医療制度への改革を引き続き推進する。
1) 本年3月に閣議決定した保険者の再編・統合、高齢者医療制度、診療報酬体系についての「基本方針」の具体化について実施可能なものから極力早期に実施していく。
2) 増大する高齢者医療費の伸びの適正化方策や、公的保険給付の内容及び範囲の見直し等の「基本方針」以外の課題について、早期に検討を行い、実施する。
3) 「基本方針2001」に盛り込まれた「医療サービス効率化プログラム(仮称)」について、工程表を改めて作成し、早期の完全実施を行う。
(4)介護保険制度の改革
 介護保険制度については、給付費が増大する中、制度全般の検証を行い、介護保険が適用される給付の内容及び水準、施設・在宅の枠組みを越えた新しいタイプのサービスのあり方、施設サービスにおけるいわゆる「ホテルコスト」等給付と負担のあり方について検討を行い、必要な措置を講ずる。
(5)社会保障サービスの一体的な設計
1) 「社会保障個人会計(仮称)」の導入に向けて検討を進める。この場合、現役世代にとっても年金の給付と負担が分かりやすい仕組みを工夫し、基礎年金、報酬比例年金それぞれの給付と負担について、加入者個々人に情報提供を行う。
2) 少子化の流れを変え、子どもを生み、育てやすい環境づくりに総合的に取り組むなど、次世代育成の支援を進める。
3) 生活保護においても、物価、賃金動向、社会経済情勢の変化、年金制度改革などとの関係を踏まえ、老齢加算等の扶助基準など制度、運営の両面にわたる見直しが必要である。
4) 医療保険や介護保険の保険料、医療や介護サービスを受けた場合の自己負担の所得基準などについて、世代間・世代内の公平の観点から、制度相互の関係を含め、一体的に見直す必要がある。

6.「国と地方」の改革
  ―――「三位一体の改革」を推進し、地方が決定すべきことは地方が自ら決定するという地方自治の本来の姿の実現に向け改革。

【改革のポイント】
 「官から民へ」、「国から地方へ」の考え方の下、地方の権限と責任を大幅に拡大し、国と地方の明確な役割分担に基づいた自主・自立の地域社会からなる地方分権型の新しい行政システムを構築していく必要がある。このため、事務事業及び国庫補助負担事業のあり方の抜本的な見直しに取り組むとともに、地方分権の理念に沿って、国の関与を縮小し、税源移譲等により地方税の充実を図ることで、歳入・歳出両面での地方の自由度を高める。
 これにより、受益と負担の関係を明確化し、地方が自らの支出を自らの権限、責任、財源で賄う割合を増やし、真に住民に必要な行政サービスを地方自らの責任で自主的、効率的に選択する幅を拡大する。
 同時に、行政の効率化、歳出の縮減・合理化をはじめとする国・地方を通じた行財政改革を強力かつ一体的に進め、行財政システムを持続可能なものへと変革していくなど、「効率的で小さな政府」を実現する。
(1)三位一体の改革によって達成されるべき「望ましい姿」
1)地方の一般財源の割合の引上げ
 地方税の充実確保を図るとともに、社会保障関係費の抑制に努めるなど、地方財政における国庫補助負担金への依存を抑制することにより、地方の一般財源(地方税、地方譲与税、地方特例交付金及び地方交付税)の割合を着実に引き上げる。
 なお、その際、国・地方の財政事情を踏まえるとともに、歳出の徹底した縮減・合理化に努める。
2)地方税の充実、交付税への依存の引下げ
 税源移譲等による地方税の充実確保、地方歳出の徹底した見直しによる交付税総額の抑制等により、地方の一般財源に占める地方税の割合を過去の動向も踏まえつつ着実に引き上げ、地方交付税への依存を低下させる。この結果、不交付団体(市町村)の人口の割合を大幅に高めることを目指す。
 また、課税自主権の拡大を図ることにより、地方団体や住民の自立意識の更なる向上を目指していく。
3)効率的で小さな政府の実現
 「改革と展望」の方針に沿って歳出構造改革を行うことに加え、「三位一体の改革」により、真に地方にとって効果・効率の高い選択を行うことを可能にすることを通じて、「効率的で小さな政府」を実現する。
 地方財政においては、現在、約17兆円を上回る財源不足が生じている。国・地方を通じた歳出の徹底的な見直しを行うなど財政健全化を図ることにより、プライマリーバランスを黒字化し、更に地方財源不足を解消することを目指す。
(2)三位一体の改革の具体的な改革工程
1)国庫補助負担金の改革
 地方の権限と責任を大幅に拡大するとともに、国・地方を通じた行政のスリム化を図る観点から、「自助と自律」にふさわしい国と地方の役割分担に応じた事務事業及び国庫補助負担金のあり方の抜本的な見直しを行う。
 このため、「改革と展望」の期間(当初策定時の期間で平成18年度までをいう。以下、「6.『国と地方』の改革」において同じ。)において、別紙2の「国庫補助負担金等整理合理化方針」に掲げる措置及びスケジュールに基づき、事務事業の徹底的な見直しを行いつつ、国庫補助負担金については、広範な検討を更に進め、概ね4兆円程度を目途に廃止、縮減等の改革を行う。その際、国・地方を通じた行財政の効率化・合理化を強力に進めることにより、公共事業関係の国庫補助負担金等についても改革する。
2)地方交付税の改革
 地方交付税の財源保障機能については、その全般を見直し、「改革と展望」の期間中に縮小していく。他方、必要な行政水準について国民的合意を図りつつ地域間の財政力格差を調整することはなお必要である。
 また、国・地方を通じた歳出の縮減、必要な公共サービスを支える安定的な歳入構造の構築等を通じて、早期に地方財源不足を解消し、その後は、交付税への依存体質から脱却し、真の地方財政の自立を目指す。
 このような観点から、次のとおり取り組む。
(i) 国の歳出の徹底的な見直しと歩調を合わせつつ、「改革と展望」の期間中に、以下のような措置等により、地方財政計画の歳出を徹底的に見直す。これにより、地方交付税総額を抑制し、財源保障機能を縮小していく。この場合、歳入・歳出の両面における地方団体の自助努力を促していくことを進める。
 国庫補助負担金の廃止、縮減による補助事業の抑制
 地方財政計画計上人員を4万人以上純減
 投資的経費(単独)を平成2〜3年度の水準を目安に抑制
 一般行政経費等(単独)を現在の水準以下に抑制
(ii) 国の関与の廃止・縮小に対応した算定方法の簡素化及び段階補正の見直しを更に進めていく。また、基準財政需要額に対する地方債元利償還金の後年度算入措置を各事業の性格に応じて見直す。同時に、地方債に対する市場の評価がより機能するように取り組んでいく。
(iii) 現在、9割以上の地方団体が地方交付税の交付団体となっているが、三位一体の改革を進めることを通じ、不交付団体(市町村)の人口の割合を大幅に高めていく。
(iv) 税源移譲を含む税源配分の見直し等の地方税の充実に対応して、財政力格差の調整の必要性が高まるので、実態を踏まえつつ、それへの適切な対応を図る。
3)税源移譲を含む税源配分の見直し
 「改革と展望」の期間中に、廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについては、税源移譲する。その際、税源移譲は基幹税の充実を基本に行う。税源移譲に当たっては、個別事業の見直し・精査を行い、補助金の性格等を勘案しつつ8割程度を目安として移譲し、義務的な事業については徹底的な効率化を図った上でその所要の全額を移譲する。あわせて、「18年度までに必要な税制上の措置を判断」して、その一環として地方税の充実を図る。なお、必要な場合、地方の財政運営に支障を生じることのないよう暫定的に財源措置を講ずるものとする。
 15年度の義務教育費国庫負担金等の削減分についても併せて対応する。
 また、地方が納税者の理解を得ながら、課税自主権を活用して地方税の充実確保を図ることは重要な課題であり、課税自主権の拡大を図る。
 こうした三位一体の取組により、地方歳出の見直しと併せ、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、地方への税源配分の割合を高める。その際、応益性や負担分任性という地方税の性格を踏まえ、自主的な課税が行いやすいという点にも配意し、基幹税の充実を基本に、税源の偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系を構築する。
上記の諸施策について、フォローアップ(追跡調査)を行いつつ、三位一体の改革を強力に推進する。また、改革を円滑に実現するため、15年度予算における取組の上に立って、来年度予算の中で改革を着実に進める。
(3)市町村合併の推進
 改革の受け皿となる自治体の行財政基盤の強化が不可欠であり、「市町村の合併の特例に関する法律」の期限である平成17年3月に向けて、市町村合併を引き続き強力に推進する。

7.予算編成プロセス改革
  ―――財政構造改革を進めるに当たっては、予算の質の改善・透明性の向上が重要である。このため、事前の目標設定と事後の厳格な評価の実施により、税金がどのような成果を上げたかについて、国民に説明責任を果たす予算編成プロセスを構築する。

【改革のポイント】
(1)トップダウンの予算編成を更に強化し、歳出の思い切った重点化を図る。
(2)政策目標を国民に分かる形で明確に示し(「宣言」)、目標達成のために弾力的執行などにより予算を効率的に活用し(「実行」)、目標達成の状況を厳しく評価する(「評価」)という予算編成プロセスの確立を目指す。
(3)平成16年度予算において、新しい予算編成プロセスを「モデル事業」として試行的に導入する。
【具体的手段】
(1)トップダウンの予算編成の強化
「改革と展望」において、主要な歳出分野についての複数年度にわたる指針をより明確に示す。
「基本方針」等で内閣の経済財政に関する大方針を具体的に提示するとともに、予算の優先配分等の基本的な方針を明示する。
予算編成は、そのスタート段階から歳出水準についての考え方など、全体像を明らかにしつつ行う。
(2)新しい予算編成プロセスの確立に向けた基本的考え方
各府省は、「基本方針」で示された大方針の下で、達成すべき政策目標(予算制約と両立するもの)を具体的に作成する。また政策目標は、事業の性格に応じ、可能な限り定量的なものとする。各府省は、政策目標との関連を明らかにしつつ予算要求を行う。
各府省は、政策目標を達成するために、効率的な予算執行に努める。また、事業の性格に応じ、弾力的な予算執行を行う。
目標の達成や執行の効率性について、執行段階及び事後の政策評価等を厳しく行い、その後の予算編成に結びつける。
事前評価・事後評価のための科学的手法を開発する。また、各府省は、ABC(活動基準原価計算)等のコスト管理手法への取組を一層強化する。
透明性を高めるために、発生主義会計等の民間企業会計手法の導入など、公会計制度の改革を進める。
(3)平成16年度予算における「モデル事業」の試み
各府省は、上記の基本的考え方に沿った第一歩として、モデル事業を検討する。その際、下記の要件に合致した政策目標を設定し、内閣府と意見交換の上、ふさわしいものについては、モデル事業として概算要求を行う。経済財政諮問会議で、当該事業について報告する。
(i) 定量的な達成目標であり、達成期限・達成手段が明示されていること。
(ii) 何をもって「達成」とするか、評価方法が提示されていること。
(iii) 目標期間は1〜3年程度とし、各年度ごとの達成目標が明らかにされていること。
政策目標を効率的に達成するため、事業の性格に応じ、予算執行の弾力化を行う。各府省は、弾力化に伴う効率化に応じ、これを予算に反映する。
複数年度にわたるモデル事業については、国庫債務負担行為等の活用により、複数年度にわたる予算執行に支障のないようにする。
(4)「モデル事業」の事後評価
計画期間終了後及び各年度ごとに、目標の達成状況等について政策評価や予算執行調査等の評価を行い、国民への説明責任を果たす。そして、今後の予算編成プロセスの改革に向けた検討材料とする。

第3部 16年度経済財政運営と予算のあり方

  

1.経済財政運営の考え方

(1)今後の経済動向と当面の経済財政運営の考え方

(平成15・16年度の日本経済)
 景気の現状は、おおむね横ばいで推移している。企業部門は持ち直しつつあるが、株価の動向や米国経済等、引き続き不透明感がみられる。デフレについては、依然厳しい状況が続いている。
 今後の経済動向については、「平成15年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(平成15年1月24日閣議決定)及び「改革と展望−2002年度改定」におおむね沿った姿になると見込まれる。
 平成15年度については、構造改革を強力に進める中で、平成14年度補正予算、税制改革における減税等の効果の発現に加え、世界経済も徐々に回復していくことなどから、輸出や生産が再び上向き、企業収益が増益を維持するなど、企業部門も緩やかに回復する。こうしたことから、平成15年度の我が国経済は、民間需要中心の緩やかな回復へと次第に向かっていくものと見込まれる。ただし、所得・雇用環境については、厳しい状況が継続する。デフレについては、物価の下落は継続するものの、需給の回復等により、デフレ圧力は徐々に低下していくと見込まれる。
 平成16年度については、本基本方針で示した構造改革を強力に進め、不良債権問題を終結させることを目指すとともに、引き続きデフレ克服に向けた総合的な取組を進める中で、デフレは改善され、民間需要中心の緩やかな回復過程を辿るものと考えられる。

(当面の経済財政運営の考え方)
 「改革と展望−2002年度改定」では、平成16年度までの集中調整期間において、最も重要な課題は資産デフレを含めデフレの克服であるとしており、そのため、民間需要、雇用の拡大に力点をおいた構造改革を中心に改革を加速するとともに、金融面など総合的な対応が重要であるとしている。政府は、こうした「改革と展望−2002年度改定」の考え方に立って、日本銀行と一体となって、デフレ克服に向け、強力かつ総合的な取組を実施する。経済情勢によっては、大胆かつ柔軟な政策対応を行う。
 政府は、「3つの宣言」を実現するため、引き続き、規制、金融、税制及び歳出の構造改革を一体的かつ整合的に実行することにより、民間需要が持続的に創出される環境を整備していく。
 規制面については、構造改革特区を突破口としながら、国民生活に直結した分野での改革を徹底し、成長分野における潜在需要を喚起する。
 金融面については、平成16年度における不良債権問題の終結を目指し、「金融再生プログラム」に基づく諸施策を着実に実施することにより、金融仲介機能の回復を図り、資源の新たな成長分野への円滑な移行を可能にする。また、今後とも、金融システム不安を起こさせない。
 税制面については、引き続き、持続的な経済社会の活性化を目指し、将来にわたる国民の安心を確保する税制への改革を進める。
 歳出面については、民間需要創出に力点を置いた大胆な重点化を行うとともに、社会保障制度改革等と併せ、持続可能な財政構造を構築することを通じて、国民の将来不安を払拭し消費や投資を喚起する。
 財政投融資については、構造改革に資する分野に対象事業の重点化を図りつつ、経済金融情勢を踏まえ、真に政策的に必要と考えられる資金需要には的確かつ弾力的に対応する。
 これらの取組や雇用制度改革を通じ、雇用機会の創造を図る。

 日本銀行は、これまで日銀当座預金残高の増額や長期国債買入れの増額など、量的緩和政策を行ってきた。また、金融政策運営の基本的な枠組みについて、金融緩和の波及メカニズムを強化する観点から、様々な措置について幅広く検討を進めつつ、必要な措置を講じているところである。政府は、引き続き、「改革と展望−2002年度改定」に沿って、デフレ克服に取り組むこととしており、日本銀行においても、できる限り早期のデフレ克服を目指し、実効性ある金融政策運営を行うよう期待する。


(2)中期的な経済財政運営の考え方

 経済活性化とデフレの克服に向け、民間需要、雇用の拡大を最重視した構造改革を加速するとともに、政府・日本銀行一体となってできる限り早期のプラスの物価上昇率の実現に向けて取り組む。
 また、「改革と展望」に沿って、2006年度までの政府の大きさ(一般政府の支出規模のGDP比)が2002年度の水準を上回らない程度とすることを目指す。
 さらに、2007年度以降も、それ以前と同程度の財政収支改善努力を継続するとともに、民間需要主導の着実な成長を実現することにより、国と地方を合わせたプライマリーバランスを、2010年代初頭に黒字化することを目指す。


2.平成16年度予算における基本的な考え方
 「官から民へ」、「国から地方へ」といった改革を全面的に推進する。また、財政規律を維持しながら民間需要や雇用を創出するために、予算を「根元」から見直し、大胆なメリハリをつけ、将来のために活用する。さらに、持続可能な財政の構築に向け、簡素で効率的な政府を実現する。
(1)歳出改革路線の堅持と財政の持続可能性の確保
「改革と展望」において示された「政府の大きさ(一般政府の支出規模のGDP比)は現在の水準を上回らない程度とすることを目指す」との方針を踏まえ、平成15年度予算は一般会計歳出及び一般歳出ともに実質的に平成14年度の水準を下回るものとなった。現在の財政の状況に鑑み、平成16年度予算においても、昨年度同様の歳出改革路線を堅持する。また、国債発行額についても極力抑制する。
また、特別会計や地方を含めて捉え、政府の大きさ(一般政府の支出規模のGDP比)を極力抑制することを目指す。
(2)予算編成に当たっての重点と抑制の考え方
1)重点化の考え方
 予算の配分に当たっては、民間需要を誘発する政策、より少ない財政負担で民間主体の投資を喚起する政策等、民間の潜在力を最大限引き出す政策を重視する。具体的には、ある目標に向かって、民間のイニシアティブを引き出すための以下のような政策と予算との組合せ(政策群)という手法を重視し、効果を最大限発揮させる。
規制改革や構造改革特区の円滑な推進、市場環境整備
民間資金や民間ノウハウ、NPO等を活用して実施する、PFI(民間資金等活用事業)、官民協力型事業、公設民営、民間委託、産学連携
新事業創造・起業の加速
 また、「第2部 構造改革への具体的な取組」を促進するとともに、下記の「活力ある社会・経済の実現に向けた重点4分野」(「基本方針2002」)の考え方に沿い、施策を集中する。ただし、「(3)主要予算の改革」も踏まえ、政策効果が最大限発現するよう、これまでの実績・評価を考慮して、重点分野においても施策の絞込み(重点化・効率化)を行う。
<活力ある社会・経済の実現に向けた重点4分野>
(i)人間力の向上・発揮 ─ 教育・文化、科学技術、IT
(ii)個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方
(iii)公平で安心な高齢化社会・少子化対策
(iv)循環型社会の構築・地球環境問題への対応
2)抑制の考え方
 予算全体について、物価動向に加え、行政サービスの簡素化・効率化を織り込み、単価を引き下げる。
 総人件費の抑制については、徹底した増員の抑制と一層の定員削減に努める。また、人事院・人事委員会等においては、地域ごとの実態を踏まえた公務員給与のあり方の具体的見直し内容を早急に明らかにするよう、要請する。
 国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分の見直しからなる「三位一体の改革」を推進する中で地方向け補助金等の廃止・縮減等の改革を行う。組織の整理統合・業務の効率化等を更に推進し、特殊法人等向け財政支出を厳しく抑制するほか、独立行政法人の業務実績の厳格な評価を予算に反映する。
(3)主要予算の改革
 歳出の聖域なき見直しのためには、緊要性・政策効果等について「根元」から洗い直し、「官から民へ」、「国から地方へ」、「利用者選択の拡大へ」、「ハードからソフトへ」といった基本的な考え方に沿って、効率化・削減を強力に推進する必要がある。このため、概算要求段階から、以下の観点に立った歳出構造改革に取り組む。その際、政策評価等の結果を一層活用する。
1)社会保障
 社会保障については、一般歳出の約4割を占め、年々増加する社会保障関係費の伸びの抑制が財政上の最大の問題である。このため、概算要求段階及びその後の予算編成過程において、社会保障関係の自然増を放置することなく、「第2部 5.社会保障制度改革」を踏まえ、年金をはじめ医療・介護・その他の分野の制度改革等や近年の物価・賃金動向等を踏まえた給付・コストの見直しにより、その抑制を図る。
2)雇用関連
 若年失業及び長期失業防止、並びに観光などサービス産業を中心とする新規雇用機会の創出に関する施策に重点化する。また、多様な働き方の実現や円滑な労働移動を可能とするため、大胆に政策転換する。国の一律的な対応から、民間委託など民間の積極的活用、地域の実情を踏まえた施策の実施に取り組む。
雇用維持支援・雇入助成から労働移動支援・ミスマッチの解消へ、生活支援から早期再就職支援等の自立支援に重点化する。
雇用保険3事業等の既存の施策、ハローワークにおける実施体制を、上記の観点から見直す。
3)科学技術
 国際競争力の強化、安心・安全で快適な社会の構築等に向け、科学技術分野における資源配分を更に大胆に見直す。その際、更なる質的向上を図る観点から、総合科学技術会議の方針にのっとり、施策の優先順位の明確化を図り、重複を排除するとともに、重点4分野(ライフサイエンス、情報通信(IT)、環境、ナノテクノロジー・材料)への更なる重点化と、その他分野(エネルギー、製造技術、社会基盤、フロンティア)における一層の効率化・合理化等を図る。
一般会計はもとより特別会計を含め、科学技術予算全体について、総合科学技術会議が行う予算の優先順位付けを予算に反映する。その際、研究基盤の充実、未来の産業競争力の確保・強化、安心・安全で快適な生活の実現に資する研究予算に配慮する。
特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月19日閣議決定)に基づき、原子力、宇宙、海洋関係の研究機関等の整理合理化を大胆に進め、研究開発等の重複を徹底して省くとともに、業務の効率化を推進する。
競争的資金について、プログラム・オフィサーやプログラム・ディレクターを配置する等資金配分・評価体制を整備する。
政府系研究所への予算配分を見直すとともに、必要に応じて民間部門への外部委託を図る。
科学研究費補助金については、民間も含め学術の振興に寄与する研究を行うすべての研究者が応募できるよう、年齢や所属組織に関わりなく研究内容が評価され、資金配分される研究体制に改革する。
独立行政法人等の科学技術関係業務について、総合科学技術会議がその概要を把握した上、主要なものについて検討し、見解をまとめ、資源配分に反映する。
4)教育・文化
 義務教育から大学までの教育の質を高めるため、競争環境の一層の整備、地方の自主性の尊重等を通じた教育改革を推進する。
初等中等教育については、今まで以上に児童生徒に対する教育投資の質の向上を図り、投資効果を高めることを目指す。地方の自主性を一層尊重するとともに、学校や教員の個性と競争を重視する。
大学内部、大学と民間の競争環境を整備する。大学への支援について、既存の支援策を見直し、競争原理に基づく支援に大胆にシフトする。
既存の補助等の施策を見直すとともに、適切な受益者負担を求める一方で意欲・能力のある個人を支援する。
文化芸術については、「官と民」・「国と地方」の役割の見直しや費用対効果の検証等を進め、その振興、支援の重点化を推進し、国内外の人々を魅了する我が国の文化力の向上を図る。
5)社会資本整備
 公共投資については、景気対策のための大幅な追加が行われていた以前の水準を目安に、その重点化・効率化を図っていくとの「改革と展望」を踏まえつつ、更なる重点化・効率化を推進し、コストの縮減等を図る。また、各省間の重複投資を整理するとともに、政策目的に照らし、費用対効果の観点を踏まえ、農林水産関係分野をはじめ公共事業から公共事業以外の政策手段への転換(ハードからソフトへの転換)の努力を更に進める。
「平成14年度予算編成の基本方針」(平成13年12月4日閣議決定)及び「平成15年度予算編成の基本方針」(平成14年11月29日閣議決定)における厳しい見直しを行うべき分野について、一段と厳しく抑制する。
森林整備保全事業計画などの公共事業関係計画について、計画策定の重点を事業量から成果目標へ変更する。
今後5年のコスト縮減目標の達成に向け、コスト構造改革に取り組み、その効果を予算に反映する。また、国等の契約における中小企業への契約目標については、政府調達の公正性と経済合理性や効率的な予算執行の確保といった視点を十分踏まえて、その在り方を検討する。
効果的でより質の高い社会資本を整備するため、PFI(民間資金等活用事業)の導入を促進する。このため、各府省は、目標や導入対象等を明確化し積極的にPFI(民間資金等活用事業)を活用する。
機能類似の事業については、府省間の一層の連携・調整を図り、効率的整備を推進する。
6)農林水産関連
 市場重視の観点から、個性や付加価値の高い生産を活発化する。また、施策を意欲と能力ある経営体に集中することにより、零細な生産構造からの脱却と真に消費者を起点とした政策転換に向けた農業構造改革を更に推進する。
農協改革については、経済事業等広範な農協系統事業の抜本的改革を促進し、農業者、消費者から競争の中で選択してもらえるようにする。
 また、行政と農協系統との関係については、安易な相互依存とならないようにするとともに、行政運営の上で農協系統と農協以外の生産者団体とのイコールフッティングを確保する。
米政策については、消費者重視・市場重視の視点に立って、水田農業の構造改革を進めるとともに、財政負担の費用対効果を最大とするような、効率的な財政措置による政策運営を実現する。
農業委員会、農業改良普及事業等の地方組織のスリム化を早急に進める。
7)地方財政
 「三位一体の改革」を推進し、国の方針と歩調を合わせつつ、地方歳出の徹底した見直しを行い、地方財政計画の規模の抑制に努めるとともに、引き続き交付税の算定方法を見直す。
8)環境関連・その他
循環型社会の構築・地球環境問題への対応に当たっては、関係府省、研究機関等への重複支出を整理する。
「バイオマス・ニッポン総合戦略」(平成14年12月27日閣議決定)に掲げた目標達成に向けた取組工程等の策定や評価基準の明確化を行い、予算に反映させるなど、環境を重視した施策への転換を推進する。
大規模施設整備が進められているごみ焼却施設については、稼働率やエネルギー利用等も考慮して、より効率的・効果的な整備に努める。
ODA等については、前年度(「基本方針2002」)と同様の考え方で対応することとし、その内容を厳しく精査するとともに戦略化・効率化を進める。




(別紙1)

「530万人雇用創出プログラム」の具体的な施策

「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の推進、都市と農山漁村の共生・対流を含む魅力ある観光交流空間づくり、休暇の取得促進・分散化等、訪日及び国内観光の振興による観光立国の実現
優秀なコンテンツ・プロデューサーやクリエーター、デザイン・マネジメント等の人材の育成
エステティック等個人サービスにおける民間を活用した資格制度の導入の検討
経営、ベンチャー、事業再生等の高度専門人材の育成支援
農林水産業(いわゆる緑の雇用なども含む)、造船業、物流業等における次代の担い手たる人材の育成支援
情報通信分野における、放送デジタル化の推進、ベンチャー企業支援、情報通信人材の育成支援
生活支援輸送関連サービス(ライフモビリティ・サービス)の普及促進
住宅性能評価の推進、不動産取引価額等の情報提供の充実、住宅リフォーム関連情報提供の充実、耐震性が確保された長寿命の住宅の整備促進、住宅関連サービスの人材育成の推進
ネットワーク型保育を含む事業所内保育施設の設置促進、地方自治体等による子育て・保育サービスに関する情報提供の強化
低利融資・債務保証等を活用した民間によるいわゆる「安心ハウス」の整備促進、施設・在宅の枠組みを超えた新たな住居型高齢者介護サービスの提供
医療の情報化の推進(電子カルテ・電子レセプトの普及、医療情報の院外保存、医療情報関連サービスの普及推進等)、患者の選択の幅の拡大(特定療養費制度の見直し)
司法制度改革等による専門職人材の充実や法律事務職員(パラリーガル)等の支援人材の育成
地球温暖化対策への対応、その他環境サービスの推進
若年者のためのワンストップ・サービスセンターの設置、キャリア・コンサルタントの養成・活用、地域雇用受皿事業特別奨励金の活用




(別紙2)

国庫補助負担金等整理合理化方針

 事務事業及び国庫補助負担金の在り方については、「改革と展望」の期間中において、1の基本方針に沿って見直しを行う。重点項目の改革工程は、2に掲げるとおりである。

1 「改革と展望」の期間中における基本方針

 事務事業及び国庫補助負担金の在り方の見直しに関する「改革と展望」の期間中における基本方針は、以下のとおりである。

(1)国庫補助金の廃止・縮減
1) 国庫補助金については、原則として廃止・縮減を図っていく。
2) 国庫補助金のうち、補助率が低いもの(3分の1未満)又は創設後一定期間経過したものについては、廃止又は一般財源化などの見直しを行う。
(2)国庫負担金の廃止・縮減
1) 国が一定水準を確保することに責任を持つべき行政分野に関して負担する経常的国庫負担金については、国と地方公共団体の役割分担の見直しに伴い、国の関与の整理合理化等と併せて見直し、社会経済情勢等の変化をも踏まえ、その対象を真に国が義務的に負担を行うべきと考えられる分野に限定していく。
2) 総合的に樹立された計画に従って実施させるべき建設事業に係る国庫負担金については、従来のシェア配分にとらわれずにその対象を国家的なプロジェクト等広域的効果を持つ根幹的な事業などに限定するなど、投資の重点化を図るとともに、住民に身近な生活基盤の整備等に係る国庫負担金については類似した奨励的補助金も含めて国の補助負担対象の縮減・採択基準の引上げ等を図り、地方の単独事業に委ねていく。
 この場合において、全国的に一定の整備水準が達成された事業に係る国庫負担金については、廃止・縮減する。
(3)国庫補助負担金を通じた廃止・縮減等
 以下の方針により、国庫補助負担金の廃止・縮減を推進するとともに、地方の自主性を高める観点から、国の義務付けの縮減、交付金化、統合メニュー化、統合補助金化、運用の弾力化等の改革を進める。
1) 地方公共団体の事務として同化、定着、定型化しているものに係る補助金等、すなわち、法施行事務費、公共施設の運営費・設備整備費をはじめとする地方公共団体の経常的な事務事業に係る国庫補助負担金については、原則として、一般財源化を図る。
また、人件費補助に係る補助金、交付金等については、当該職員設置に係る必置規制等を見直すとともに、特定地域に対する特別なものを除き、一般財源化等を図る。
2) 国庫補助負担金が少額のもの、地方公共団体が行う事務・事業全体に係る経費のうち国庫補助負担事業部分が一部にすぎないもの等については、原則として、廃止又は一般財源化を図る。
3) 投資的経費に対する国庫補助負担金については、特に、公共事業に係る国の関与を重点化する観点から、以下のとおり、廃止・縮減する。
(i)市町村事業への国庫補助負担金は、全国的な見地等からの検討が必要なものを除き、原則として縮減する。
(ii)広域性や重要性に応じて対象公共施設に区分が設けられているものについては、その性格に応じて国庫補助負担金の重点化を行う。
(iii)既に完成した社会資本の維持管理や既存ストックの更新は、管理主体が自らの財源で責任を持って行うことを原則として、地方公共団体の自主性に委ねていく方向で検討する。維持補修や日常的な改良工事等小規模なものや効果が地域的に限定されるもの等については、施設の性格も踏まえ、順次廃止・縮減する。
(iv)公共事業の各分野の特性を踏まえつつ、一定の目標の下に段階的に採択基準の引上げ等の見直しを検討する。
(4) 以上の基本方針に基づき、対象となるすべての国庫補助負担金について平成16年度予算から厳しく見直しを実施するとともに、予算編成後に実施状況のフォローアップを行う。
 特に、上記(1)については、平成16年度予算において削減目標を設定して廃止・縮減を推進するとともに、(3)1)及び2)については、「改革と展望」の期間の中で可能な限り速やかな実現に努める。これら以外の項目についても着実な推進を図る。


2 重点項目の改革工程

 事務事業及び国庫補助負担金の在り方の見直しに関する「改革と展望」の期間中における重点項目の改革工程は、以下のとおりである。

【社会保障】
新しい児童育成のための体制の整備
1) 近年の社会構造・就業構造の著しい変化等を踏まえ、地域において児童を総合的に育み、児童の視点に立って新しい児童育成のための体制を整備する観点から、地域のニーズに応じ、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置を可能とする。
2) 児童の教育・保育に従事する者は、当分の間、それぞれの資格を認めることとしつつ、将来的に幼稚園教諭と保育士の双方の資格を併せ持つことを要することとし、当面、双方の資格が取得しやすいような方策を講ずる。
3) 1)及び2)の実現に向けて、関係省庁において平成18年度までに検討するとともに、関連する負担金の一般財源化など国と地方の負担の在り方について、地方公共団体の意見を踏まえ、上の検討と並行して検討を進め、必要な措置を講ずる。
保健所長医師資格要件の廃止
 保健所長の医師資格要件については、地方の自主性の拡大の観点に立って検討会で検討を進め、平成15年度中に結論を得る。
保険制度、サービス水準の見直し
 増大する社会保障分野の補助負担金の抑制等に向けて、医療制度において、公的医療費の伸びの抑制等に取り組むとともに、介護保険制度を持続可能なものとするため、法施行後5年を目途とした見直しとして、給付と負担の見直し等に取り組むほか、生活保護その他福祉の各分野においても、制度、執行の両面から各種の改革を推進する。
 介護保険事務費交付金については、一般財源化に向けて、地方公共団体における要介護認定に係る事務の定着状況や、地方公共団体の意見を十分に踏まえて検討し、必要な措置を講ずる。
【教育・文化】
義務教育費国庫負担制度、教員給与の一律優遇の見直し
 地方分権を推進し義務教育に関する地方の自由度を大幅に高めるため、平成14年12月の「総務・財務・文部科学3大臣合意」及び「国と地方に係る経済財政運営と構造改革に関する基本方針」で示された工程に従い、以下のとおり、引き続き義務教育費国庫負担制度等の見直し・検討を着実に推進し、必要な措置を講ずる。
1) 義務教育に関する地方の自由度を大幅に拡大する観点から、平成16年度に義務教育費国庫負担制度の改革(例えば定額化・交付金化)のための具体的措置を講ずるべく、所要の検討を進める。
2) 義務教育費に係る経費負担の在り方については、現在進められている教育改革の中で中央教育審議会において義務教育制度の在り方の一環として検討を行い、これも踏まえつつ、平成18年度末までに国庫負担金全額の一般財源化について所要の検討を行う。
3) 学校栄養職員、学校事務職員については、義務標準法等を通じた国の関与の見直し及び義務教育費国庫負担制度の見直しの中で、地域や学校の実情に応じた配置が一層可能となる方向で検討を行う。
4) 退職手当、児童手当等に係る国庫負担金の取扱いについては、平成16年度予算編成までに結論を得る。
5) 教員給与については、平成16年度からの国立学校準拠制の廃止に伴う給与体系の見直し、及び平成18年度に実施される予定の公務員制度改革(能力・業績を適正に評価し、処遇に反映)と歩調を合わせた教員給与制度の一層の見直しを進める中で、教員の一律処遇から、能力等に応じた処遇システムへの転換に向けた検討を行う。
学級編制の基準の設定権限等の県から市への権限移譲
 県と政令市間の県費負担教職員制度の見直し、学級編制の基準の設定権限の移譲については、関係道府県及び政令市等関係方面の理解を得つつ、平成15年度内に意見を集約し、その結果を踏まえ、実現を図る。
 政令市立の高等学校及び中核市立の幼稚園の設置認可の見直しについては、認可制を届出制とすることにつき、関係各方面の意見を平成15年度内に集約し、その結果を踏まえ、実現を図る。
【公共事業】
地方道路整備臨時交付金の運用改善
 地方道路整備臨時交付金については、地方公共団体がより主体的に事業を実施できるよう、平成15年度より国費と地方費の割合を個別事業(要素事業)ごとに固定せず、都道府県内の個別事業費の総額について適用する取扱いとする。
市町村事業等に係る国庫補助負担事業の原則廃止・縮減
 平成15年度に引き続き、平成16年度以降においても、採択基準の引上げ、補助金の統合化、補助対象の重点化等を実施する。平成16年度における採択基準の引上げ幅については、具体的に定める。
事業主体としての国と地方の役割分担の明確化
 維持管理に関する直轄事業負担金については、地方分権推進計画に基づき、引き続き、段階的縮減を含め、見直しを行う。
 直轄事業負担金に係る事務費については、地方分権推進計画に基づき、引き続き、国直轄事業と国庫補助事業の事業執行の在り方等も踏まえつつ、対象となる経費の内訳や範囲等について均衡のとれたものとなるよう、更に見直しを行う。
【産業振興その他】
農業委員会・改良普及事業
 農業委員会については、必置基準面積を大幅に引き上げるとともに、選挙委員の法定下限定数を引き下げる(次期通常国会に法律改正案を提出予定)。あわせて、農業委員会の組織のスリム化、効率化を進め、これに沿った交付金の縮減を行う。
 協同農業普及事業については、普及センターの必置規制を廃止するとともに、普及手当支給の上限規定を廃止する(次期通常国会に法律改正案を提出予定)。あわせて、普及事業の重点化・効率化、普及職員の資質向上等により組織のスリム化を進め、これに沿った交付金の縮減を行う。また、林業普及指導事業、水産業改良普及事業についても、協同農業普及事業に準じた見直しを行う。
 なお、改革の進展状況を踏まえつつ、平成18年度までに、地方の自主性の拡大の観点に立って、交付金について一般財源化等その在り方等について所要の検討を行い、結論を得る。
交通安全対策特別交付金の見直し
 交通安全対策特別交付金については、国の関与を縮減する観点から、道路交通法の国の報告徴収及び国への返還の規定を廃止する。
 また、現在反則金の対象としている違法駐車に関する法制度の在り方の検討に当たっては、国の関与を縮減するという三位一体の改革の観点も踏まえ、平成15年中を目途に結論を得る。