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経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003 |
| (目 次) | |||
| 第1部 日本経済の課題 | |||
| 1. | 日本経済の体質強化 | ||
| 2. | デフレの克服 | ||
| 3. | 「3つの宣言」と「7つの改革」 | ||
| (1) | 経済活性化 | ||
| (2) | 国民の「安心」の確保 | ||
| (3) | 将来世代に責任が持てる財政の確立 | ||
| 第2部 構造改革への具体的な取組 | |||
| 1. | 規制改革・構造改革特区 | ||
| 2. | 資金の流れと金融・産業再生 | ||
| 3. | 税制改革 | ||
| 4. | 雇用・人間力の強化 | ||
| 5. | 社会保障制度改革 | ||
| 6. | 「国と地方」の改革 | ||
| 7. | 予算編成プロセス改革 | ||
| 第3部 16年度経済財政運営と予算のあり方 | |||
| 1. | 経済財政運営の考え方 | ||
| (1) | 今後の経済動向と当面の経済財政運営の考え方 | ||
| (2) | 中期的な経済財政運営の考え方 | ||
| 2. | 平成16年度予算における基本的な考え方 | ||
| (1) | 歳出改革路線の堅持と財政の持続可能性の確保 | ||
| (2) | 予算編成に当たっての重点と抑制の考え方 | ||
| (3) | 主要予算の改革 | ||
| (別紙1) | 「530万人雇用創出プログラム」の具体的な施策 | ||
| (別紙2) | 「国庫補助負担金等整理合理化方針」 | ||
経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003
構造改革の基本理念は、「改革なくして成長なし」、「民間でできることは民間に」、「地方でできることは地方に」という方針に集約される。この基本理念の下、これまでの2年間、政府は構造改革に着実に取り組んできた。日本経済再生のタネは、その結果、構造改革特区の導入、「金融再生プログラム」に基づく不良債権処理の促進等、徐々に蒔かれつつある。
日本経済は、輸出の増加を背景に持ち直し、平成14年度の実質経済成長率は1.5%のプラス成長となった。しかし、14年後半以降、輸出の増勢が弱まったことなどから、このところ景気は横這いで推移している。日本経済の体質を強化して、内需主導の自律的回復を実現するという依然大きな課題を残している。
構造改革が目指す目標は、「経済活性化」、「国民の『安心』の確保」、「将来世代に責任が持てる財政の確立」の3つを実現することである。大胆な規制改革などにより民間の持てる力を最大限引き出さなければ、元気な日本経済は実現しない。国民が老後や医療に不安を抱えていては、元気な日本経済は実現できない。財政が破綻するおそれがあっては、元気な日本経済は実現できない。
日本経済の体質を強化して、内需主導の元気ある経済を創造するために、環境
と経済の両立を図りつつ、未来への投資を通じて民間経済がもつ創意工夫を十分に発揮できる環境を整備する。具体的には以下の4つの改革に取り組む。
改革1:規制改革・構造改革特区
社会保障制度について、現状の制度を将来にわたって維持すれば、高齢化に伴い若年世代の負担が増加し、若年層の負担の重圧により経済の活力が阻害される懸念がある。また、少子高齢化の進行を背景として度重なる年金制度の改正が行われたことや世代間の不公平があることによって、国民の年金不信が強まっている。 このため、世代間・世代内の公平を図り、持続可能で信頼できる「社会保障制度」に改革する。年金・医療・介護・生活保護を一体的にとらえ、制度設計を相互に関連づけて行う。
また、雇用や中小企業のセーフティネットを確保する。様々な側面での生活の「安全」「安心」は国民生活の基礎であり、緊急事態対応体制の整備を含め、これを十分に確保する。
我が国は、大幅な財政赤字が続き、政府は巨額の債務残高を抱えている。近年の財政構造改革への取組を反映して、歳出規模は抑制されているものの、国・地方ともに財政赤字が拡大し、債務残高は高水準に達している。現在の制度・政策を続ければ、今後、債務が一層拡大し、財政破綻に至るおそれがある。
改革6:「国と地方」の改革 |
第2部.構造改革への具体的な取組
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第3部 16年度経済財政運営と予算のあり方(平成15・16年度の日本経済)
(当面の経済財政運営の考え方)
日本銀行は、これまで日銀当座預金残高の増額や長期国債買入れの増額など、量的緩和政策を行ってきた。また、金融政策運営の基本的な枠組みについて、金融緩和の波及メカニズムを強化する観点から、様々な措置について幅広く検討を進めつつ、必要な措置を講じているところである。政府は、引き続き、「改革と展望−2002年度改定」に沿って、デフレ克服に取り組むこととしており、日本銀行においても、できる限り早期のデフレ克服を目指し、実効性ある金融政策運営を行うよう期待する。 経済活性化とデフレの克服に向け、民間需要、雇用の拡大を最重視した構造改革を加速するとともに、政府・日本銀行一体となってできる限り早期のプラスの物価上昇率の実現に向けて取り組む。
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| 2.平成16年度予算における基本的な考え方 | |||
| 「官から民へ」、「国から地方へ」といった改革を全面的に推進する。また、財政規律を維持しながら民間需要や雇用を創出するために、予算を「根元」から見直し、大胆なメリハリをつけ、将来のために活用する。さらに、持続可能な財政の構築に向け、簡素で効率的な政府を実現する。 | |||
| (1) | 歳出改革路線の堅持と財政の持続可能性の確保 | ||
| ・ | 「改革と展望」において示された「政府の大きさ(一般政府の支出規模のGDP比)は現在の水準を上回らない程度とすることを目指す」との方針を踏まえ、平成15年度予算は一般会計歳出及び一般歳出ともに実質的に平成14年度の水準を下回るものとなった。現在の財政の状況に鑑み、平成16年度予算においても、昨年度同様の歳出改革路線を堅持する。また、国債発行額についても極力抑制する。 | ||
| ・ | また、特別会計や地方を含めて捉え、政府の大きさ(一般政府の支出規模のGDP比)を極力抑制することを目指す。 | ||
| (2) | 予算編成に当たっての重点と抑制の考え方 | ||
| 1) | 重点化の考え方 | ||
| 予算の配分に当たっては、民間需要を誘発する政策、より少ない財政負担で民間主体の投資を喚起する政策等、民間の潜在力を最大限引き出す政策を重視する。具体的には、ある目標に向かって、民間のイニシアティブを引き出すための以下のような政策と予算との組合せ(政策群)という手法を重視し、効果を最大限発揮させる。 | |||
| ・ | 規制改革や構造改革特区の円滑な推進、市場環境整備 | ||
| ・ | 民間資金や民間ノウハウ、NPO等を活用して実施する、PFI(民間資金等活用事業)、官民協力型事業、公設民営、民間委託、産学連携 | ||
| ・ | 新事業創造・起業の加速 | ||
| また、「第2部 構造改革への具体的な取組」を促進するとともに、下記の「活力ある社会・経済の実現に向けた重点4分野」(「基本方針2002」)の考え方に沿い、施策を集中する。ただし、「(3)主要予算の改革」も踏まえ、政策効果が最大限発現するよう、これまでの実績・評価を考慮して、重点分野においても施策の絞込み(重点化・効率化)を行う。 | |||
| <活力ある社会・経済の実現に向けた重点4分野> | |||
| (i) | 人間力の向上・発揮 ─ 教育・文化、科学技術、IT | ||
| (ii) | 個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方 | ||
| (iii) | 公平で安心な高齢化社会・少子化対策 | ||
| (iv) | 循環型社会の構築・地球環境問題への対応 | ||
| 2) | 抑制の考え方 | ||
| 予算全体について、物価動向に加え、行政サービスの簡素化・効率化を織り込み、単価を引き下げる。 | |||
| 総人件費の抑制については、徹底した増員の抑制と一層の定員削減に努める。また、人事院・人事委員会等においては、地域ごとの実態を踏まえた公務員給与のあり方の具体的見直し内容を早急に明らかにするよう、要請する。 | |||
| 国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分の見直しからなる「三位一体の改革」を推進する中で地方向け補助金等の廃止・縮減等の改革を行う。組織の整理統合・業務の効率化等を更に推進し、特殊法人等向け財政支出を厳しく抑制するほか、独立行政法人の業務実績の厳格な評価を予算に反映する。 | |||
| (3) | 主要予算の改革 | ||
| 歳出の聖域なき見直しのためには、緊要性・政策効果等について「根元」から洗い直し、「官から民へ」、「国から地方へ」、「利用者選択の拡大へ」、「ハードからソフトへ」といった基本的な考え方に沿って、効率化・削減を強力に推進する必要がある。このため、概算要求段階から、以下の観点に立った歳出構造改革に取り組む。その際、政策評価等の結果を一層活用する。 | |||
| 1) | 社会保障 | ||
| 社会保障については、一般歳出の約4割を占め、年々増加する社会保障関係費の伸びの抑制が財政上の最大の問題である。このため、概算要求段階及びその後の予算編成過程において、社会保障関係の自然増を放置することなく、「第2部 5.社会保障制度改革」を踏まえ、年金をはじめ医療・介護・その他の分野の制度改革等や近年の物価・賃金動向等を踏まえた給付・コストの見直しにより、その抑制を図る。 | |||
| 2) | 雇用関連 | ||
| 若年失業及び長期失業防止、並びに観光などサービス産業を中心とする新規雇用機会の創出に関する施策に重点化する。また、多様な働き方の実現や円滑な労働移動を可能とするため、大胆に政策転換する。国の一律的な対応から、民間委託など民間の積極的活用、地域の実情を踏まえた施策の実施に取り組む。 | |||
| ・ | 雇用維持支援・雇入助成から労働移動支援・ミスマッチの解消へ、生活支援から早期再就職支援等の自立支援に重点化する。 | ||
| ・ | 雇用保険3事業等の既存の施策、ハローワークにおける実施体制を、上記の観点から見直す。 | ||
| 3) | 科学技術 | ||
| 国際競争力の強化、安心・安全で快適な社会の構築等に向け、科学技術分野における資源配分を更に大胆に見直す。その際、更なる質的向上を図る観点から、総合科学技術会議の方針にのっとり、施策の優先順位の明確化を図り、重複を排除するとともに、重点4分野(ライフサイエンス、情報通信(IT)、環境、ナノテクノロジー・材料)への更なる重点化と、その他分野(エネルギー、製造技術、社会基盤、フロンティア)における一層の効率化・合理化等を図る。 | |||
| ・ | 一般会計はもとより特別会計を含め、科学技術予算全体について、総合科学技術会議が行う予算の優先順位付けを予算に反映する。その際、研究基盤の充実、未来の産業競争力の確保・強化、安心・安全で快適な生活の実現に資する研究予算に配慮する。 | ||
| ・ | 特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月19日閣議決定)に基づき、原子力、宇宙、海洋関係の研究機関等の整理合理化を大胆に進め、研究開発等の重複を徹底して省くとともに、業務の効率化を推進する。 | ||
| ・ | 競争的資金について、プログラム・オフィサーやプログラム・ディレクターを配置する等資金配分・評価体制を整備する。 | ||
| ・ | 政府系研究所への予算配分を見直すとともに、必要に応じて民間部門への外部委託を図る。 | ||
| ・ | 科学研究費補助金については、民間も含め学術の振興に寄与する研究を行うすべての研究者が応募できるよう、年齢や所属組織に関わりなく研究内容が評価され、資金配分される研究体制に改革する。 | ||
| ・ | 独立行政法人等の科学技術関係業務について、総合科学技術会議がその概要を把握した上、主要なものについて検討し、見解をまとめ、資源配分に反映する。 | ||
| 4) | 教育・文化 | ||
| 義務教育から大学までの教育の質を高めるため、競争環境の一層の整備、地方の自主性の尊重等を通じた教育改革を推進する。 | |||
| ・ | 初等中等教育については、今まで以上に児童生徒に対する教育投資の質の向上を図り、投資効果を高めることを目指す。地方の自主性を一層尊重するとともに、学校や教員の個性と競争を重視する。 | ||
| ・ | 大学内部、大学と民間の競争環境を整備する。大学への支援について、既存の支援策を見直し、競争原理に基づく支援に大胆にシフトする。 | ||
| ・ | 既存の補助等の施策を見直すとともに、適切な受益者負担を求める一方で意欲・能力のある個人を支援する。 | ||
| ・ | 文化芸術については、「官と民」・「国と地方」の役割の見直しや費用対効果の検証等を進め、その振興、支援の重点化を推進し、国内外の人々を魅了する我が国の文化力の向上を図る。 | ||
| 5) | 社会資本整備 | ||
| 公共投資については、景気対策のための大幅な追加が行われていた以前の水準を目安に、その重点化・効率化を図っていくとの「改革と展望」を踏まえつつ、更なる重点化・効率化を推進し、コストの縮減等を図る。また、各省間の重複投資を整理するとともに、政策目的に照らし、費用対効果の観点を踏まえ、農林水産関係分野をはじめ公共事業から公共事業以外の政策手段への転換(ハードからソフトへの転換)の努力を更に進める。 | |||
| ・ | 「平成14年度予算編成の基本方針」(平成13年12月4日閣議決定)及び「平成15年度予算編成の基本方針」(平成14年11月29日閣議決定)における厳しい見直しを行うべき分野について、一段と厳しく抑制する。 | ||
| ・ | 森林整備保全事業計画などの公共事業関係計画について、計画策定の重点を事業量から成果目標へ変更する。 | ||
| ・ | 今後5年のコスト縮減目標の達成に向け、コスト構造改革に取り組み、その効果を予算に反映する。また、国等の契約における中小企業への契約目標については、政府調達の公正性と経済合理性や効率的な予算執行の確保といった視点を十分踏まえて、その在り方を検討する。 | ||
| ・ | 効果的でより質の高い社会資本を整備するため、PFI(民間資金等活用事業)の導入を促進する。このため、各府省は、目標や導入対象等を明確化し積極的にPFI(民間資金等活用事業)を活用する。 | ||
| ・ | 機能類似の事業については、府省間の一層の連携・調整を図り、効率的整備を推進する。 | ||
| 6) | 農林水産関連 | ||
| 市場重視の観点から、個性や付加価値の高い生産を活発化する。また、施策を意欲と能力ある経営体に集中することにより、零細な生産構造からの脱却と真に消費者を起点とした政策転換に向けた農業構造改革を更に推進する。 | |||
| ・ | 農協改革については、経済事業等広範な農協系統事業の抜本的改革を促進し、農業者、消費者から競争の中で選択してもらえるようにする。 | ||
| また、行政と農協系統との関係については、安易な相互依存とならないようにするとともに、行政運営の上で農協系統と農協以外の生産者団体とのイコールフッティングを確保する。 | |||
| ・ | 米政策については、消費者重視・市場重視の視点に立って、水田農業の構造改革を進めるとともに、財政負担の費用対効果を最大とするような、効率的な財政措置による政策運営を実現する。 | ||
| ・ | 農業委員会、農業改良普及事業等の地方組織のスリム化を早急に進める。 | ||
| 7) | 地方財政 | ||
| 「三位一体の改革」を推進し、国の方針と歩調を合わせつつ、地方歳出の徹底した見直しを行い、地方財政計画の規模の抑制に努めるとともに、引き続き交付税の算定方法を見直す。 | |||
| 8) | 環境関連・その他 | ||
| ・ | 循環型社会の構築・地球環境問題への対応に当たっては、関係府省、研究機関等への重複支出を整理する。 | ||
| ・ | 「バイオマス・ニッポン総合戦略」(平成14年12月27日閣議決定)に掲げた目標達成に向けた取組工程等の策定や評価基準の明確化を行い、予算に反映させるなど、環境を重視した施策への転換を推進する。 | ||
| ・ | 大規模施設整備が進められているごみ焼却施設については、稼働率やエネルギー利用等も考慮して、より効率的・効果的な整備に努める。 | ||
| ・ | ODA等については、前年度(「基本方針2002」)と同様の考え方で対応することとし、その内容を厳しく精査するとともに戦略化・効率化を進める。 | ||
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(別紙1) 「530万人雇用創出プログラム」の具体的な施策
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