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平成18年度予算編成の基本方針

平成17年12月6日
閣 議 決 定


 我が国の経済・財政と構造改革の推進

 
 (緩やかな回復を続ける我が国経済)
 景気は、緩やかな回復を続けている。
 我が国経済は、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、世界経済が着実に回復する中、地域によってばらつきが見られるものの、国内民間需要中心の緩やかな回復が続くと見込まれる。
 物価は依然として緩やかなデフレ状況にあるが、実体経済が緩やかに回復する中、政府の日本銀行と一体となった政策努力の強化・拡充により、デフレからの脱却に向けた着実な進展が見込まれる。
 一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
 
 (基礎的財政収支の黒字化に向けて)
 我が国財政は、平成17年度予算では公債依存度が41.8%にも及ぶなど、先進国のいずれの国と比較しても極めて深刻な状況にある。また、高齢化の進展等に伴う諸経費の増大や公債の累増に伴う国債費の増大等により歳入歳出構造はますます硬直化してきている。2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化に向け、歳出・歳入の両面において思い切った見直しを進め、将来世代に責任が持てる財政を確立する必要がある。このため、上記の経済判断を踏まえ、実体経済の自立的回復を維持しつつ、平成18年度予算において、景気回復等による歳入面の環境改善に甘えることなく、厳しく歳出を見直し、「歳出・歳入一体改革」の第一歩として力強く踏み出すこととする。
 
 (「小さくて効率的な政府」の実現、デフレからの脱却)
 改革の芽が様々な分野で大きな木に育ちつつある今こそ、更に構造改革を加速・拡大し、21世紀にふさわしい仕組みを作り上げていかなければならない。本格的な人口減少・超高齢社会の到来や地球規模でのグローバル化の進展など時代の潮流に適切に対応するため、「改革なくして成長なし」「民間にできることは民間に」「地方にできることは地方に」との方針の下、郵政民営化の着実な実施、政策金融改革、総人件費改革、資産・債務改革、市場化テストによる民間への業務開放・規制改革等を通じ、不退転の決意で「小さくて効率的な政府」を実現する。これにより国民や市場の信頼を確保する。
 また、デフレの克服は引き続き重要な政策課題であり、デフレからの脱却を確実なものとしつつ、新たな成長に向けた基盤の重点強化を図る。
 日本経済の再生は元気な地域経済に支えられて実現する。地域再生の取組の強化や構造改革特区の拡充などを通じ、地域自らの意欲と行動に立脚した地域経済の活性化を推進する。
 
 

U

 平成18年度予算の基本的考え方

 
 (歳出改革の堅持・強化)
 平成18年度予算は、重点強化期間最後の重要な予算であり、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(平成13年6月26日閣議決定)以来の構造改革に一応の目途をつけるものと位置付けられる。同時に改革を加速するための予算でもある。また、中期的には引き続き「2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化」及び「デフレの克服、民需主導の持続的経済成長」の実現を図らなければならない。そのため、予算編成に当たっては、小さくて効率的な政府の実現に向け従来の歳出改革路線を堅持・強化する。このため、三位一体改革を推進するとともに、総人件費改革、医療制度改革、特別会計改革、資産・債務改革、政策金融改革等の構造改革について、順次予算に反映させる。また、歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、一般歳出の水準について前年度よりも減額し、一般会計歳出についても厳しく抑制を図る。さらに、足下の経済情勢や税収動向を踏まえ、新規国債発行額について平成17年度(34.4兆円)よりも大幅に減額し、30兆円にできるだけ近づける。
 予算の配分に当たっては、「公共投資関係費」、「裁量的経費」については、2割増の要望を認めつつ、その総額を前年度予算額から3%減算した額及び重点化促進加算額の範囲内とすることを基本に厳しく抑制を図る。「義務的経費」は、自然増を放置することなく、制度・施策の抜本的見直しを行い、歳出の抑制を図る。また、予算執行実績を的確に踏まえた予算とするため、個々の経費の積算内訳にまで踏み込んだ見直しを行い、その結果を適切に反映させる。
 予算配分の重点化・効率化に当たっては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(平成17年6月21日閣議決定。以下「基本方針2005」という。)における「活性化のための政策三指針」を踏まえ、活力ある社会・経済の実現に向けた4分野(下記Vの1から4までに掲げる分野。以下「重点4分野」という。)へ施策を集中する。また、各府省は、各施策について成果目標を提示し、厳格な事後評価を行う。政策評価等を活用し、歳出の効率化・合理化を進める。さらに、民間委託・PFIなど民間活力の活用による効率化に努めるとともに、物価動向や行政サービスの合理化・効率化を織り込み、単価を引下げ、経費を削減する。
 
(総人件費改革の推進)
 公務員の定員の大幅な純減と給与制度改革の強力な推進等により、総人件費改革に強力に取り組む。このため、「総人件費改革基本指針」を受けて政府としての実行計画を年内に策定し、平成18年度の予算や地方財政計画から順次反映させる。
 
 (特別会計の抜本的な改革等)
(1) 特別会計
 特別会計については、事務事業を厳格に精査し、引き続き歳出の効率化・合理化を図り、一般会計からの繰入や民間等からの借入を抑制するほか、明確な必要性がない剰余金・積立金については、国債残高の抑制を図り国民負担の軽減につなげるために活用する。また、各特別会計の性格に応じて、独立行政法人化・民営化や一般会計への統合等による廃止も含めた抜本的な制度改革を検討し、平成18年度予算から順次実施する。
 特定財源の在り方については、それぞれの財源の性格や資源の適正配分の観点等から、一般財源化を含め、総合的に検討する。道路特定財源の見直しについては、年内に基本方針をとりまとめる。
(2) 成果重視事業・政策群等
 成果目標(Plan)−予算の効率的執行(Do)−厳格な評価(Check)−予算への反映(Action)を実現する予算制度改革を定着させる。このため、「モデル事業」を試行から一般的取組に移行させる第1ステップとして、その基本的枠組みを維持しつつ、政策評価との連携を強化した「成果重視事業」を創設する。また、政策群については、府省横断的な予算の重複排除と関係府省間の連携を進める。
 政策評価の改善・充実を図りつつ、政策評価と予算との連携強化を更に進める。
 
 (税制改革)
 税制については、「基本方針2005」やこれまでの与党税制改正大綱も踏まえ、重点強化期間内を目途に結論を得るべく、包括的かつ抜本的な検討を引き続き進める。
 平成18年度税制改正においては、昨年度に引き続き、定率減税の見直しについて、導入時の経緯や上記Tの今後の経済動向等についての認識を踏まえ検討を行う。また、期限の到来する研究開発やIT投資等に対する減税の見直し等について検討する。
 
 (資産・債務改革等)
 政府資産・債務改革を積極的に推進する。国債発行に当たっては、国債の安定消化を図るとともに、各種のリスクを踏まえつつ中長期的な観点からコストの抑制に努めることを基本とし、一層の債務管理政策の充実を図る。また、売却可能な国有財産の一層の売却促進に努め政府の資産の縮減を図る。
 政策金融改革を推進するとともに、財政投融資については、民業補完の原則の下、対象事業の重点化・効率化に努める。
 
 

V

 歳出の見直しと構造改革の推進

 
 平成18年度予算は改革の総仕上げに向け、歳出全体を厳しく見直し、大胆な質的改善を図る。1から4までに掲げる重点4分野について、これまでの実績・評価を考慮しつつ、政策効果が顕著なものについて重点的かつ効率的に推進する。また、5から7までに掲げる事項についても制度・施策の見直しを行う。その際、各施策の推進に当たっては、安全・安心について十分に配慮する。
 さらに、ODAその他の歳出分野についても「基本方針2005」に即し、歳出の見直しに取り組む。
 
 人間力の向上・発揮−教育・文化、科学技術、IT
 
 競争的環境の下で、世界最高水準の大学を育成するため、大学改革を一層促進するとともに、大学院における教育研究の質的向上を進める。機関補助について競争原理に基づく支援策へのシフトを更に推進するとともに、奨学金事業については、適切な債権管理策を講じつつ、意欲と能力のある学生の主体的な自助努力への支援を進める。初等中等教育については、習熟度別少人数指導などにより確かな学力の向上と豊かな心の育成に向けた取組を進める。そのため、評価の充実、多様性の拡大、競争と選択の導入の観点をも重視しつつ、教育改革を推進する。また、青少年の健全育成を推進するとともに、関係行政機関等が連携し、国民運動として食育を推進する。さらに、国民の豊かな感性を育み国際文化交流及び地域の活性化に資する文化芸術が尊重され、国民の体力及び競技力を向上させるスポーツが活かされた豊かな国づくりを進める。
 雇用のミスマッチを縮小する施策に取り組むとともに、フリーター常用雇用化プランの強化、若者の働く意欲の向上や地域との連携強化など「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」を強化・推進する。
 「新産業創造戦略2005」を踏まえ、戦略分野について施策の重点化を図る。また、「総合物流施策大綱(2005-2009)」(平成17年11月15日閣議決定)に基づき、物流施策を総合的・一体的に推進する。
 第三期科学技術基本計画の下で改革と投資の重点化を推進することにより、科学技術創造立国の実現を図る。基礎研究の推進や政策課題に対応した研究開発の重点化、科学技術人材の育成・強化を図るとともに、重点化すべきとされた分野においても更に領域を絞り込み、投資効果を一層向上させる。競争的研究資金については、拡充の成果を十分に検証しつつ、その拡充を図る。また、産学官連携の推進及び地域科学技術の振興を図るとともに、「地域の知の拠点再生プログラム」(仮称)を推進する。さらに、知的財産立国に向け、「知的財産推進計画2005」に基づく施策を推進する。
 世界最先端のIT国家であり続けるため、これまでの「e-Japan戦略」等の評価を行い、既存プロジェクトの見直しを図るとともに、利用者・生活者の視点、国際的な視点に立った新たなIT戦略の下で、IT化の遅れた領域への対応の強化や国民・社会の要請する課題の解決に取り組む。また、2010年までに次世代情報社会(ユビキタスネット社会)を実現するために、「u-Japan政策」を推進する。
 
 個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方
 
 都市の魅力と国際競争力を高めるため、民間都市開発を促進するとともに、中心市街地の活性化等地域の創意工夫による自主的・自立的な都市再生を推進する。また、地域経済の活性化と地域雇用の創造に向け、地域の再生に向けた取組を進めるとともに、「食料・農業・農村基本計画」(平成17年3月25日閣議決定)等に基づく農林水産業の競争力の強化・担い手に着目した経営安定対策等の推進や建設業の新分野進出支援など地域の基幹産業の活性化、都市と農山漁村の共生・対流、観光立国の実現等を総合的に推進する。さらに、地方の自立と活性化を促進するため、市町村合併を効果的に支援する。
 活力ある中小企業の革新と再生を積極的に支援するため、中小企業者への資金供給の円滑化等を図るとともに、中小企業の技術開発、人材確保、新事業展開等を支援する。
 国家・国民の安全と安心を確保するために、公共施設や住宅等の耐震化等の大規模地震対策、治山治水対策をはじめとし、消防等の防災対策を推進するとともに、テロ、有事に係る体制整備を推進する。併せて、陸・海・空の公共交通の安全対策を総合的に推進する。また、国民の不安を払拭し「世界一安全な国、日本」の復活を図るための強力な治安対策を推進するとともに、児童生徒等の安全確保対策、情報セキュリティ対策、犯罪被害者等のための施策、衛生上の安全確保等を進める。
 
 公平で安心な高齢化社会・少子化対策
 
 人口減少社会の到来を踏まえ、国の基本政策として少子化の流れを変えるための施策を強力に推進する。このため、「少子化社会対策大綱」(平成16年6月4日閣議決定)及び「子ども・子育て応援プラン」に基づき、職場と地域を通じた子育て支援体制の強化、待機児童ゼロ作戦をはじめとする仕事と子育ての両立支援、男性・女性を通じた働き方の見直し、子育ての支え合いと連帯等を進めるとともに、生命の大切さや家庭の役割について理解を深める等少子化対策の推進を図りつつ、国民的運動を展開する。また、年内に策定する「女性の再チャレンジ応援プラン」(仮称)を踏まえた施策を進める。
 介護、子育て支援サービス基盤の効果的な整備の推進や「健康フロンティア戦略」を踏まえた健康寿命の延伸を図るとともに、高齢者・障害者に配慮した生活環境の整備、社会参加活動を推進する。
 さらに、アスベスト問題に対応するため、被害者救済対策やアスベストの早期かつ安全な除去等に取り組む。また、科学に基づいた食の安全と消費者の信頼の確保を図る。
 総合法律支援の実施及び体制整備等、国民に身近で頼りがいのある司法を目指す司法制度改革に引き続き取り組む。
 
 循環型社会の構築・地球環境問題への対応
 
 環境保護と経済発展の両立のため、関係府省は施策の重複を排除しつつ連携・協力を強化する。「京都議定書目標達成計画」(平成17年4月28日閣議決定)に基づき、京都議定書の削減約束の達成、脱温暖化社会の構築へ向け、国民各層一体となった取組を推進する。このため、省エネ・新エネ対策や、京都メカニズムの活用、多様で健全な森林の整備・保全等の取組を確実に実施する。環境技術の実用化に向けた研究開発等科学技術の活用を進めるとともに、廃棄物等の発生抑制、再使用、リサイクルや不法投棄の防止等を着実に実施する。自然との共生や都市のヒートアイランド対策を進める。石油・天然ガス、原子力発電を含むエネルギー安定供給確保策の強化を進める。
 
 社会資本整備
 
 (公共投資の重点化)
 重点4分野を中心に「基本方針2005」を踏まえた施策の集中を図るとともに、整備水準、整備の緊急性、国と地方の役割分担等の観点から、きめ細かく重点化を図る。
 具体的には、防災・減災等による安全・安心の確保や我が国の競争力強化、都市再生・地域再生を推進する観点を踏まえた重点化を進めることとし、三大都市圏環状道路、スーパー中枢港湾、大都市圏拠点空港等を推進するとともに、地方の自主性・裁量性を拡大しつつ、災害対策、都市機能の高度化、公共空間のバリアフリー化、リサイクルの推進等の課題について、事業横断的に取り組む。災害対策については、対象の重点化、規制手法の活用、ソフト施策との連携など、総合的な対策を講ずる。
 他方、上下水道、大規模ダム、都市公園、地方道、地方港湾、地方空港、農山漁村の生活環境整備等については、事業の必要性を精査し、これまでの「予算編成の基本方針」に基づき、引き続き見直しを行う。
 また、地域間の予算配分は、整備状況を踏まえて弾力的に行う。
 
 (公共事業の効率的・効果的な実施)
 既存ストックの有効活用、効率的・計画的な維持管理の推進、PFIの活用、規格の見直し等による効率的な公共事業の実施に努め、5年間で15%の総合コスト縮減を図ることを目標とする公共事業コスト構造改革を引き続き強力に推進する。併せて、社会資本整備の効率をより高めるため、関連するソフト施策との連携を推進する。
 また、談合の排除など、入札・契約の透明性、公正性を確保する。そのため、再発防止策の厳格な運用を図るとともに、引き続き不断に見直しを進める。
 
 (事業評価の厳格な実施等)
 効率的な事業実施のために、事前・事後の事業評価を厳格に実施する。事業評価に当たっては、第三者によるチェック機能の活用、情報公開の徹底、透明性の確保を図りつつ、事業評価を踏まえて個別事業の新規採択・継続・中止を判断するなど、評価結果の予算への反映を徹底する。
 
社会保障制度
 
 少子高齢化が進展する中で、経済・財政と均衡がとれ、将来にわたり持続可能な制度を構築するため、社会保障の一体的見直しを進める。
 平成18年度予算においては、こうした考え方の下、医療、介護その他の分野の制度改革等により、社会保障関係費の自然増を抑制する。
 なお、年金についても、被用者年金制度の一元化に向けた具体的な処理方針をできるだけ早く決定できるよう検討を進める。
 
 (医療制度改革)
 
 医療制度については、国民皆保険を堅持し、将来にわたり持続可能なものとしていくため、政府・与党医療改革協議会による「医療制度改革大綱」(平成17年12月1日)に基づき、「安心・信頼の医療の確保と予防の重視」、「医療費適正化の総合的な推進」、「超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現」という基本的考え方の下、構造改革を推進し、平成18年度予算から反映させる。
 
 (介護)
 介護報酬については、賃金・物価の動向等の昨今の経済動向、介護事業経営実態調査の結果、保険財政の状況、平成17年度改定等を踏まえ、適正に見直す。また、効率的かつ効果的な介護予防の推進、在宅中重度者への対応等の観点から、介護報酬体系の見直しを行う。
 
地方財政
 
 国と地方に関する「三位一体の改革」について、平成18年度までの三位一体の改革に係る「政府・与党合意」及び累次の「基本方針」を踏まえて以下のように取り組み、その成果を平成18年度予算に適切に反映する。
 国庫補助負担金について、税源移譲に結びつく改革、スリム化の改革及び交付金化の改革を進め、平成18年度までに4兆円を上回る廃止・縮減等の改革を行う。
 税源移譲は、これまでの国庫補助負担金の改革の結果を踏まえ、3兆円規模とする。この税源移譲は、平成18年度税制改正において、所得税から個人住民税への恒久措置として行う。平成18年度予算においては、税源移譲額の全額を所得譲与税によって措置する。
 地方交付税については、累次の「基本方針」に基づき、国の歳出の見直しと歩調を合わせて、地方歳出を見直し、抑制する等の改革を行う。平成18年度においては、地域において必要な行政課題に対しては適切に財源措置を行い、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する。あわせて、2010年代初頭における基礎的財政収支の黒字化を目指して、国・地方の双方が納得できるかたちで歳出削減に引き続き努め、平成18年度においても地方財政計画の合理化、透明化を進める。また、地方財政計画の計画と決算の乖離の是正を図り、重点強化期間内に解消の目処をつけるよう努める。引き続き交付税の算定方法の簡素化、透明化に取り組むとともに、不交付団体(市町村)の人口の割合を着実に高める。